種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転2周目at SHAR
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転2周目 - 暇つぶし2ch137:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/07 23:19:21
第四十八話『こんな所じゃ止まれない』(前編)

 シンは見張りの兵士達が動揺した瞬間を見逃さなかった。右手に握り締めた逆手持ちのナイフで右側の男に切りかかる。侵入者の報告に顔を見合わせていた二人の兵士は
シンが動いたことにまったく気づいていない。容赦ない彼の攻撃に兵士は首の頚動脈2本と気管を切断され、血を撒き散らしながら糸の切れた人形のように床に崩れた。
「ウ、ウワアアァアアァァアッ!!!?」
目の前で仲間が鮮血を垂れ流しながら死んだことにもう1人の兵士は驚き、恐怖する。
 さらにシンは恐怖で固まったもう1人の兵士に襲い掛かった。肋骨と肋骨のわずかな隙間に正確に貫き、肺と心臓を切り裂く。
「ハァ、ハァ、ハァ…。」
時間にしてわずか五秒、それまで動いていたものはただの肉片に変わり、シンの右腕は自分以外の人間の血によって真っ赤に染まった。
「まさか、ナイフを実戦で使うことになるとはな…。」
プラントのアカデミー時代に軍人の基礎としていろいろなことを教えられたが、MSパイロットになったおかげで使うことの無いだろうと思っていた
ナイフ術がこんな所で役に立つとは思っても見なかった。
「…ッと、こんな所で呆けてる暇は無いんだった!」
自分がこの手で殺した死体に目を奪われている場合ではない。周りの状況は刻一刻と変化している。立ち止まっている時間は無い。
「サブマシンガンが二丁と予備のマガジンが4個…。」
死体が持っていたサブマシンガンを取り上げ、一丁はマガジンを取り外す。弾が入っていることを確認すると、マガジンを上着やズボンのすべてのポケットにそれぞれ一つずつ入れた。
「動く分には支障は無いな…。」
マガジンが動く時に邪魔にならないか確認すると再度死体に目を向ける。
 戦場ではこんな光景は当たり前のことである。だが、いままでMSでの戦闘を主に活動してきたシンにとって、間近に広がる血の海と赤く染まった右腕はあまりにも現実離れして見えた。
「俺が…やったんだよ…な……。」
彼が殺した二人の人間、こうしなければシンの命がどうなっていたかわからない。だが、彼はそう簡単に割り切ることができないでいた。
「い、今までだって連合の兵士を何人も殺したんだ。今更こんなことで…!」
彼らを殺した時の感触が右腕によみがえる。そのおぞましさに思わず左手で右腕を握り締めた。
「と、とにかく逃げなきゃ…。せっかく拘束が解けて見張りも…!」
 血の気の引いた青い顔でドアを開けて外へ飛び出す。ドアの外に見張りはおらず、誰もいない殺風景な廊下が左右に広がっていた。
「侵入者がいるって言ってたな…。」
妙に重たくなった体を強引に動かしながらシンは廊下を走る。額にはじっとりと汗がにじみ、呼吸は浅くテンポも速い。こみ上げてくる吐き気を必死に我慢しながら彼は足を進めた。


「この部屋だな…。」
戦艦ゼノンのブリッジでガロードが爆炎の中に消える様子を見送った後、ジャミルとティファは二人の兵士と共に彼らに宛がわれた部屋へと案内された。
 案内された部屋は艦の中では上級なものだが、外に見張りがいるので監禁されている状況と多差無い。
「皆、がんばってる…。」
見張りの兵士に聞こえない大きさでティファは呟く。真横にいたジャミルだけがその声を聞く事ができた。
「なに?」
「皆、未来を変えるために必死にがんばってる…。」
「…そうか…。」
兵士が鍵を開けて扉が開く。だが、ジャミルもティファをその場から動こうとはしなかった。
「我々も未来に、逆らうか。」
ティファはジャミルの言葉にうなずく。その瞬間、ジャミルの右足が鞭のようにうなりをあげて横にいた兵士を蹴り倒した。
「き、きさまぁぁ!!」
もう1人の兵士が銃を構えてトリガーを引く。ジャミルは銃口から連続して吐き出される弾丸を掻い潜り、レスリングのお手本になるような見事なタックルで兵士を悶絶させた。
「ティファ! 行くぞ!!」
「ハイ!」
ジャミルは気絶した兵士から銃を奪うと、ティファと共に廊下を走り出す。
 ティファは今この船で何が起こっているかわかっていた。進入してきたガロードとカトック、拘束を破って脱走したシン。限りなく四面楚歌に近い状態ではあるが、まだ絶望するに早い。
「ガロードとあの人がこの船にいます! 目的は…!」



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