種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転2周目at SHAR
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転2周目 - 暇つぶし2ch1:通常の名無しさんの3倍
06/12/06 09:45:10
スレの運営につきましてはマタ~リと進行しますのでよろしく
荒れ防止のため「sage」進行で

前スレ
種・種死のキャラがX世界に来たら
スレリンク(shar板)

兄弟スレ
種・種死の世界にXキャラがいたら-コーヒー22杯目-
スレリンク(shar板)

まとめサイト
GX-P 様
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
GX-P 「ディスティニー in A.W.0015」
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)

2:通常の名無しさんの3倍
06/12/06 11:10:04
2

3:通常の名無しさんの3倍
06/12/06 12:13:59
私の>>1乙は凶暴です

4:通常の名無しさんの3倍
06/12/06 17:14:59
ヒャア がまんできねぇ >>1乙だ!

5:通常の名無しさんの3倍
06/12/06 20:29:02
>>1
新スレ乙!

6:保守作品4
06/12/06 20:51:52
おれはGX1/144氏やSEED-X氏が来るまで保守し続ける。
ってことで構想時間=文章作る時間と同じなテキトー作品投下。

 酒があればな──
 アベルの昇進祝い兼送別会を執り行ったが、いかんせん出撃待機の状態である。
 酒を飲んで無礼講などできるはずもない。
 元々セインズアイランドで休養だったはずなのだが、島はゾンダーエプタへの援軍に送
 られる極東軍の補給場所になってしまった。
 まったく世の中は巧くいかないものである。

 それでも慌ただしい最中、別れを惜しみ、ささやかな宴を行ったことは意義のあること
 だとシンは満足していた。
 ようやくアベル=バウアーも正当な評価を受けられる時代になったという事だ。
 もしも、彼がニュータイプになれれば二階級特進もありうるという話に部隊員は我が事
 のように喜んだ。ニュータイプは無理だとしても昇進の可能性があるというのは士気に
 関わる。
 シンも散々上申した内容が受け入れられ、老人たちだと腐った目で見ていた上層部を多
 少見直す気持ちになっていた。

「正直少尉がいないと不安でたまりませんよ」
 宴というコトもあり年長者に対する姿勢でシンはアベルと会話をしていた。
「それは謙遜ですよ、中尉。
 今まで中隊が結果を出せたのは間違いなく中尉のおかげです。
 それは全員理解しています。
 中隊の初陣の後など、中尉がニュータイプではないかと皆囁いていましたよ」

 その昔話にシンは苦笑いを返す。
 瞳の紅い人間など自然に生まれるはずも無い。戦争末期に生まれた、遺伝子を改造され
 た人間などというものは、十人が十人ニュータイプという言葉を連想するだろう。
 人より何かしら優れた特徴があると、とりあえずニュータイプに類する存在というコト
 だ。
 そういった評価を受ける中、シンはCEで生活していた頃に見た、オリンピック選手が
 全員コーディネイターだと疑われたという話を自分に重ねていた。

「今だから言えますが、自分達より遥かに若く、年端もいかない強化人間が隊長だと言わ
 れた時は、暗澹たる気分でしたよ」
「やっぱり、そう思われてましたか……
 いえ、確かにその通りだと思いますよ」
「勘違いしないで下さい、出会った頃はです。
 ここまで命を助けられておきながら、若いから認めない。
 などというような恥知らずなど中隊にはおりません」
 アベルの断言にシンは居心地が悪かった。生意気だと言われれば反骨心で頑張るが、
 手放しでほめられると調子が狂う人間なのだ。

7:保守作品4
06/12/06 20:53:28
「しかし私にニュータイプの可能性があるとは、二日酔いの夢でも見ているようですな。
 考えただけでビットが動いたり、巨大なモビルスーツを意のままに操るなどという話は
 自分には縁のないことだと思っていましたよ」
「一人で戦局を揺るがす超兵士ですか、まさしくヒーローですね」
「中尉とて、時折その超兵士だと思うような動きをしているではありませんか?
 あの状態の中尉相手では誰が戦っても勝てませんよ。
 さっきも言いましたが、皆ニュータイプだと勘違いしたのですから」

「あれですか、自分でも良く分かっていないんですけどね。
 極度の興奮状態に陥ると無我夢中で発動するようです。
 ムラが多すぎて兵士としての完成度を逆に落とすとか、指揮官にはむかないとか、
 所詮ニュータイプの出来損ないだとか、散々言われましたよ。
 あの研究所の人たちはフラッシュシステムに対応しない限り、
 評価には値しないようですから」
 対応したとしてもモルモットになるだけじゃないかとは、これから調査を受けるアベル
 には言えるはずもなかったが……。

「雲を掴むような話ですよ、自分は一介の兵士だと思ってこの年まで生きて来ましたから。
 ニュータイプに覚醒すれば、違う世界が見えるのでしょうかね」
 あの大尉が話した覚醒した兵士はまだいないという情報のせいか、あまり自信はないら
 しい。とはいえ自信がなくとも意欲はあるらしく、こっそりスプーン曲げに挑戦してい
 たという情報は既に知れ渡っていた。
 知らぬは本人だけということだ。
 
「自分達と戦った人間がニュータイプだったとなれば、一生自慢できますからね。
 皆少尉には期待してるんですよ」
「プレッシャーをかけないで下さいよ中尉」
 そんな掛け合いを楽しみつつ宴の時間は過ぎていった。


 翌朝アベル=バウアー少尉を乗せたシャトルは、
 部隊員の最敬礼に見送られ、セインズアイランドを後にした。


なんか文章が”た”で終わるのがやたら多い、文才無いな自分。
初めて二次創作やってみたけど、やっぱりちゃんとした文章書ける人はすごいわ……

8:通常の名無しさんの3倍
06/12/06 21:04:55

                              /_,-―- 、:. 、.  \
                             //, -―‐- ヽ:. ヽ::.   ヽ
.                            //~、::...  、::... ヽ:.!:: ! jュ、 |
                           /:.{.:. !ヽ::.. !\:.×. !:: |ィ_|_> │
                            |::i:.レヘトレヽ| /ヽハ|:: |、!」」 ! !
         _,,.. -‐ァ               !::|: |:.!trz   ィテカ`|::.. |ノ: .:. | | SOS団団長涼宮ハルヒが>>8ゲット
.     r ‐ 二 ==ll │              ヾヽヽ!  `     |:::. !:::: ::::: | !なんか文句ある?
      |"~r-‐ ァ ∥ |                Vヽ::\ つ     !::.ノ::!:::l::. /リ
     │ L.-‐  ∥│                レヽ> -ィ´  レリ、ノ::/レ'
      !.     ∥│                  `┐/     / レ' ニ=、
      |      ∥│                ,-/~レ-―-/ / /  ヽ
.      |.     ∥│                /〃 /ニニミ/ // //    !
      !   ∧. ∥│               ,l ||| /   / // //     |
.      │  /:::ヘ. ∥ |               { ||| !  / ィ / |/     イ
古泉>1樹 SOS団の大黒柱よ!期待してるわ!
た>2川 流   私のおかげで食べていけるんだから、感謝しなさい!
朝比奈>3くる  アンタ見てるとなんかムラムラするんだけど?
キ>4ン      もっとさっさと動きなさい!
>5ンピ研     これからもSOS団のために働いてもらうわよ!
後藤>6らこ    "ゆうこ"じゃIMF変換できないから、こう呼ぶことにするわ!
>7が門有希   キョンとたまに何話してるの?
朝>9ら涼子   アンタの尻尾絶対つかんでやるんだから!
い>10のいぢ   アンタの絵最高やわ!

>>11-1000 この中にDQN・厨房・変態・ロリコンがいたら
        私のところに来なさい。

9:通常の名無しさんの3倍
06/12/06 22:18:49
>>7
GJ!
部屋で一人でスプーン曲げやってるアベルに不覚にも萌えた

10:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/06 23:33:09
完 全 復 活 !! 体調は万全だぜコンチクショォー!!
てな訳で帰ってまいりました…。ま、まだまだ忙しいですが
>>1 スレ立て乙!
>>6-7 新人おいでませ!! 一緒にスレを盛り上げよう

第四十四話『現実では、何が起こるかわからない』(前編)

「シィィィィンッ!!!」
海中に沈んでいくコックピットの中で気を失っていたシンには、ガロードの叫びは届かなかった。
 大破したディスティニーが海底に沈み終わる頃、GXとエアマスターはぶくぶくと泡立つ海面上空に到着した。
ディスティニーを形作っていたVPS装甲は細かく砕け散り、破片は色を無くし海面にぷかぷかと浮かぶ。
腕や胴体などの大半のパーツは気泡を撒き散らしながら海の底へと沈んでいった。
『こぉんのやろぉぉぉ!!』
 ウイッツはシンを倒されたことに激怒し、ヴァサーゴたちに対して怒涛の勢いでライフルのトリガーを引く。しかし怒りのままに放たれる攻撃が当たることはない。
『怒りに震えるその手で、我々を倒す事ができると思っているのか?』
 シャギアはいつも以上に余裕を称えている。オルバも同じようにあざ笑いながらエアマスターの攻撃を回避し続けた。
『ほらほら、さっさと助けてやらないとパイロットが死んでしまうよ?』
『くっそぉぉ!! おめぇらだけは!!!』
左のこめかみに血管を浮き立たせたウイッツはひたすらにライフルのトリガーを引き続ける。回避行動を続けるヴァサーゴの隙を狙って、GXもビームサーベルで切りかかった。
「よくもシンを!!」
『我々は彼にふさわしい終わりを与えただけだ。』
「終わりだと!?」
 ヴァサーゴもサーベルを引き抜きGXが振り下ろすサーベルを受け止める。両者のサーベルは激しく火花を散らした。
『彼の使っていた大剣は”クラウ・ソラス”という銘だということはお前も知っているだろう?』
「それがどうした!!?」
『だから、貴様達の目の前で闇に沈めたのだ!!』
互いに弾きあい距離を置く。エアマスターとアシュタロンもそれぞれGXとヴァサーゴの後に回った。
『クラウ・ソラス、古代ケルト人が残したケルト神話における代表的な武器の一つだ。形状などの詳しい記述はないが、
多くの文献で”敵を逃がさない不敗の剣”として語られている。』
「”不敗の剣”?」
ガロード達は距離を置いたままお互いに牽制しあい、戦況はわずかの間膠着状態に陥った。お互いに隙をうかがい、ただ時間だけが過ぎてゆく。シャギアの講釈は続いた。
『魔槍ブリューナク、戴冠石リア・ファル、中身が尽きることない魔の釜ダグザ、そして光の剣クラウ・ソラス。
これらは”エリンの四宝”と呼ばれ、それぞれが祭られていたエリンの民の住む土地では信仰の対象となった。』
『へッ! 知ったことか!!』
 シャギアの講釈に付き合うほどウイッツは気長な性質ではない。だが、ヴァサーゴの後に控えるアシュタロンが目を光らせており、
なかなか必殺の一撃を放つタイミングをつかめないでいた。
『クラウ・ソラスの持ち主、銀の腕のヌァザは優れた王として民のために働いていた。だが…。』
『最後の戦いで、援軍が到着する寸前に彼は闇の竜クロウ・クルーアッハによって闇の世界に葬り去られてしまうのさ。ちょうど、さっき僕らが彼を海に沈めたようにね。』
「…それがどうした…!」
ガロードは焦りと苛立ちを隠すように低い声で口を開いた。操縦桿を握る手には力がこもり、ギリギリと音を立てながらわずかに震えている。
「たとえ武器の名前がなにかの物語の物であっても、それを使っているのはヌァザなんて奴じゃない! シンはシンだ!!」
『そう、所詮は物語だ。現実では、何が起こるかわからない。』
ヴァサーゴとアシュタロンはGXとエアマスターに背をむけ、一気に島へと戻ってゆく。そして、一条の光が空からのびてきた。


11:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/06 23:36:31
第四十四話『現実では、何が起こるかわからない』(中編)

『我々が倒したのはヌァザではない。』
『そして、君も援軍に現れた光の神ルーじゃない!』
白い半月の月から伸びる一条の光は、島の港に立っている1体のMSの胸へと到達する。
その姿を見たガロードも、ジャミルも、そしてフリーデンのすべての面々が目の前に突きつけられた絶望を肌で感じることとなった。
「あれは…、サテライトシステム!!」
『その身で感じるがいい! 15年前、世界を変えた破壊の光を!!』
漆黒の闇を断ち切るかのように、月のマイクロウェーブ送電施設からGX-9901”ガンダムダブルエックス”の元に真の力が到達した。
 エネルギー受け、胸部の受信部は碧色の光を放って暗い闇の中でぼんやりと機体の輪郭をあらわにする。マイクロウェーブが到着しエネルギーがチャージされ始めると、
背面に展開された6枚の金色のリフレクターは月の光をかき消すほど強い光であたりを照らし出した。さらに脚と腕に取り付けられた
廃熱フィンからはその有り余るエネルギーが吐き出され、あたりの温度をどんどん上昇させる。
ガロードはそのダブルエックスの姿にまがまがしさを感じた。


『フリーデンに告ぐ! 今すぐ武装を解除し、全面降伏せよ!! 返答は3分以内、返答なき場合は攻撃を再開する!!!』
アイムザットは満足げにマイクから口を離した。だが、傍らで計器を見守る仕官の表情は険しい。
「良いんですか? そんなこと言ったって、撃てはしませんよ? まだダブルエックスは完成していないんですから……。」
「普通の人間相手ならば、こんな脅しは通用しないだろう。だが、相手がジャミルニートならば、効果は十分だ。」
ジャミルはGXに乗って15年前にこの引き金を引いている。その引き金の重さも、恐ろしさも骨身にしみている数少ない人物であった。
「きっかり3分、カウントしておけよ。」
「ハッ!」
「敵艦より信号弾、上がりました。!!」
別の士官の声に、アイムザットは正面ディスプレイに目を移す。そこには、フリーデンから上がった全面降伏の印があった。
「これで、すべてが私の思うままだ…。」
 彼の大きな歓喜の笑い声が司令室全体に響き渡る。参謀本部から来たデストロイを敵に破壊されたという点はマイナスになるが、
フリーデンを拿捕した功績はそれを差し引いても余りあるものだ。15年前のガンダム3機にニュータイプとニュータイプだった者、
そしてあのキラ・ヤマトと同じ遺伝子操作を受けたと思われる人間。
 これだけの土産を持っていけば参謀本部など掌握したも同然、戦後の世界を完全にわが手にできるという確信は、彼の笑い声をさらに弾ませた。


12:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/06 23:38:42
第四十四話『現実では、何が起こるかわからない』(後編)

「どうだい英雄さん、過去の自分と戦ってボロ負けした気分は?」
ブリッジのジャミルの席の横で銃を突きつけるカトックは口の端を吊り上げてククッと笑った。
サングラスをかけたままのジャミルの表情はうかがい知ることは難しいが、わなわなと震えている所をみると悔しさが後から後からわいてくることは容易に感じられた。
「俺は認めない。あんたらニュータイプも、俺の家族のいた連邦のコロニーに対してためらいなく引き金を引いたあんたも。だから、
俺の家族に向けられたあの銃口の前にあんたを引っ張り出した。そして、あんたは昔のあんたに負けた。あんたの、”大負け”だ。」
カトックの目はずっとジャミルを睨みつけている。彼にとってジャミルは、旧連邦軍時代の英雄であり、
彼ら一般兵の期待を裏切った大罪人であり、彼の妻と娘を殺した仇であった。
「…完敗だ……。捕虜になれば、どんな目に遭うか…。明日の夕日は見られないかもしれんな……。」
風に揺れる小さなろうそくの火のように消えそうな声でジャミルは言葉を漏らす。
 ジャミル達が探していた”GXを持ったニュータイプ”、それはジャミルが15年前に搭乗し、戦争の最終局面に使用された彼にとって忌まわしい過去の記憶そのものであった。
確かに機体そのものはGXからダブルエックスへと改修され、面影として残っているのは胸部にあるマイクロウェーブ受信部のみである。だが、外見が変わっても中身はかわらない。
過去のパイロットデータも、最初に無人の月面マイクロウェーブ送電施設から発行されたサテライトシステム登録IDも、最悪の結果を招くことになった狂気の力も。

プシューッ!

突然、ブリッジ入り口のドアが開く。その音にカトックはすばやく反応し、進入してきた人物の腕を取った。
「……なんだ、お譲ちゃんじゃねぇか…、…ん?」
扉の向こうから占領されたブリッジに突入してきたのはティファであった。
膝下近くまである紐でまとめた長い髪を揺らしながら入ってきた彼女はカトックに腕を取られ、動きを止める。
 カトックに腕を取られたおかげで、彼女は両手に抱えていた一枚の『絵』を落とした。
「なんだ?」
ティファの姿を見て彼女を無害と判断したカトックは彼女が落とした絵画を手に取る。その彼の後ろで彼女は彼には信じられたい言葉を口にした。
「あなたの為に描きました…。」
絵を目にしたカトックは自身の目を疑った。そこに描かれていたのは、彼の死んだ妻と幼い娘の姿であった。互いに手をとって楽しそうに笑う姿は驚くほど鮮明で、細かく描かれている。
「こ、これは……!!!」
無論、ティファが彼女たちを写生したわけではない。今となってはかつての姿を残すのはカトックの持つ一枚の黄ばんだ写真だけである。
驚いたことに、絵の構図はカトックが持っているその写真とまったく同じ構図だった。
 絵を持ったまま、カトックはティファに顔を向ける。ティファはカトックが止めた場所から動かずに静かに佇む。
「わたしは、あなたに信じてほしい。」
偽らず、静かに、だが確かに彼女は自分の本心を伝えた。


13:通常の名無しさんの3倍
06/12/07 00:26:10
>>10
GX氏、乙でつ!
全快、おめでとう。でも、ぶり返しには気をつけてくだせぇ。

14:通常の名無しさんの3倍
06/12/07 00:33:09
祝快復GJ!

15:通常の名無しさんの3倍
06/12/07 00:35:19
>>1
>>7>>GX氏GJ!
俺も胃腸風邪で今やばいです…
みなさんも風邪ひかないようにね

16:通常の名無しさんの3倍
06/12/07 18:10:25
ここのDXはジャミルのGXを回収して造ったんじゃなくて、
GXを改修して造ったっていう設定でいいの?

17:保守作品5
06/12/07 20:49:25
保守った甲斐があったってもんです。流石はスレの代名詞GJです。


 アベルを見送った中隊は、出撃の準備に余念が無かった。
 相手はガンダムを三機所有しているという、言うまでもなくガンダムは旧連邦軍の象徴
 ニュータイプのみが乗ることを許されたという、フラッシュシステムのキーユニットに
 して、ワンオフ機だ。
 コストを度外視して造られたそれらは、革命軍のニュータイプ達と熾烈な戦いを行い、
 多大な戦果を挙げたという。
 今現存するガンダムでビットモビルスーツと共に現れたという報告は上がっていない。
 故にその三機に、旧連邦のニュータイプ部隊の生き残りが乗っている可能性は低い
 といえる。
 だが、確実に乗っていないとも言えない以上、それらと戦いをするということは前大戦
 の英雄にして、15年間戦い抜いたエースパイロットを落とさねばならないということだ。
 極東軍の戦力で押し込んだとしても、犠牲は、必ず生まれる。

 新入りを交えた訓練をしている最中、出撃の命は下され、中隊は移動用の空母にバリエ
 ントを格納後、機体に乗り込んだままゾンダーエプタへ向かった。

 狭く重苦しいコクピットの薄暗い明かりの中、シンは自分は震えているのを感じた。
 ガンダム──
 脳裏に家族を灼きつくした、自由の名を冠したガンダムが浮かんでくる。
 あの日から、シンはモビルスーツという鋼鉄の力に圧倒的な渇望を抱くようになった。
 オーブはアスカ家を裏切ったが、それでもオーブを愛する心は消えることは無く。
 憎みきることも、悲しみを飲み込むこともできずオーブから逃げた。
 あの時代コーディネイターが安全に暮らせる場所はプラントだけであり、移民した彼が
 職を得ようと考えた時、プラント軍としてモビルスーツパイロットを望んだ。
 戦争を起こさせないような権力よりも、あのガンダムのように、そう究極の自由を実行
 できる剣にして盾となる鋼の暴力を欲した。

 思考の海に沈むシンの耳に、アラームが鳴り響く。
「戦闘中域に到達した、アスカ中隊、出撃せよ」
 前方の隔壁がゆっくりと開き、月光の満ちる夜の空へ中隊は飛び立っていった。

18:保守作品5
06/12/07 20:50:42
 大隊規模で編隊行動を行いゾンダーエプタに接近する。
 標的のバルチャー艦を捉えたとき、シンは、否、全てのパイロットは見た。
 自分達に2門の、長距離射程であろうキャノンを構えるガンダムを。
 遥か遠い距離だ、モビルスーツに搭載される砲ではあの距離の命中率とビームの減衰率
 を鑑みれば、脅威にはなるまい。
 そのはずなのに、標的とされたパイロット達は一様に、死神に睨まれたかのように恐怖
 を抑えられなかった。
 
 月光を貫いてレーザーがソレの胸に吸い込まれる。
 その直後、月よりすさまじい規模の”力”が打ち込まれ、ソレの各部が開き放熱を始めた。

 その姿、その圧迫感。エックスを背にするガンダム。
 ガンダムX──
 突如として、シンの頭に恩人であるカトック隊長の言葉が思い出された。
『オレの家族はガンダムXに、ジャミル=ニートにコロニーごと吹き飛ばされちまった』

 今アレがコロニーの代わりに狙っているものは……
 
 光が奔った。
 
 その砲身から放たれた破滅の閃光は大隊を灼くことはなく。
 ゾンダーエプタを根こそぎ吹き飛ばした。

「外れた、……いや外してくれた」
 シンは自分の心臓がやけにうるさく響く中、独り呟いた。

 極東軍は完全に竦み上がった。アレと戦うなぞ狂気の沙汰だ。
 あんな化け物に突撃なぞ誰がしたいものか。
 恐怖が伝染し兵士の勇気を踏みにじった時、撤退命令が下った。

 撤退行動をとりながら、ただの一人の例外無く兵士たちは自分が生きていることに安堵した。


公式ホームページ見に行ったらメカニック紹介のガンダムXに
>サテライトシステムの初動時における回線接続は、このフラッシュシステムによる
 サイコミュ通信でしか行われないものであった。
という記述があったので、サイコミュが既存技術だと自分を納得させることにした。

19:通常の名無しさんの3倍
06/12/07 23:02:34
お二方更新乙、そして添削

>>10
上3~5行目
文章の流れとしては、沈→浮→沈よりは沈→沈→浮の方が好ましい、かな。難癖レベル

>シャギアはいつも以上に余裕を称えている | 湛えている

>GXもビームサーベルで切りかかった その他
GXはビームソード、まぁ細かいか

>>11
>脚と腕に取り付けられた | 文章としては、順序が逆

>相手がジャミルニートならば | ジャミル・ニート

20:SEED-X
06/12/08 23:28:23
えっと、投下しようとしたら新スレだったんですね…
気を取りなおして。


第2話 「どの世界でも悲惨なものだな…」


アスランがジャミルの提案を受け入れ、フリーデンで生活し始めてから1週間が過ぎた。
スタッフはまだ名前と顔が一致しないメンバーも多いが、ブリッジのメンバーやMSパイロットの3人に順番に質問攻めにあったためアスランは意外と早く彼らと打ち解けることが出来た。
その際にGXが1撃でプラントを破壊できる出力の兵器を装備していたと聞いて度肝をぬかれたのは言うまでもない。


現在、フリーデンは船内・船外共にとても騒がしい。
というのも、昨夜ガロードが月から送信され、水平線の彼方へ消える光線を目撃していたからであり。
それが事実ならば海の向こうにはサテライトシステムに対応するMSとニュータイプと呼ばれ、常人とは違う能力を持った人間が居る可能性が極めて高い。
ニュータイプを保護しているジャミルはソレを見過ごすことは出来なかったようだ。
そのために今は海を渡るための物資補給の真っ最中なのである。
だが、アスランは何もしないで与えられた自室で休んでいる。
その理由は一目瞭然である。
アスランの左腕はギプスで固められて包帯が巻かれているため、手伝いを申し出ても皆が
「ケガ人を働かせるわけにはいかない」
と断ってくるのだ。
アスランは怪我をした左腕を見つめ、ためしに机の上にあるぼろぼろになったパイロットスーツに手を伸ばす。
普通ならまっすぐに手を伸ばせばスーツを容易に掴める距離だ。
しかし左腕に鈍い痛みが走り、手が届くことはなかった。

「これじゃ、役に立てないのも当たり前か」
そうアスランは呟き、ベッドに横になった。


21:SEED-X
06/12/08 23:30:40

「お~い、アスラン! アスラン!?昼飯だぞ~~」
ガロードが部屋の扉を叩く音で目が覚める、いつの間にか寝ていたらしい。
「……ガロードか、すまない寝ていたみたいだ。ティファを連れて先に行っててくれ」
「おう、待ってるからな」
アスランはガロードに返事をしてからベッドから起き上がる。
「今は何を考えても無駄か」
ため息を漏らしつつアスランは食堂へ向かった。

「お~、やっと来たなアスラン」
「来たね~色男君」
「こっちだぜ」
MSパイロットの3人とティファが合い席で昼食を食べていた。
6人が座れるテーブルの向かって右側にティファとガロード、反対側にウィッツとロアビィが座っている、そしてロアビィのトレーの横には食品が手付かずのトレーがあった。
「おめえの席はここだ」
ウィッツに促され指定された席に座り、4人に少し遅れて昼食を取る。
「なあ、アスラン。向こうの食事ってどんな感じなんだ??」
急にガロードに質問された。
「ああ、最前線の基地の食事はココと同じだ。でもプラントの普通の家庭ならもっとおいしいモノを食べられるな」
「最前線か…やっぱ違うんだな」
「すまない、自慢するようになってしまって…」
「いいって、聞いた俺が悪いんだ気にすんな」
「ああ…」

少し場の雰囲気が悪くなってしまった。と思ったところにキッドが駆けてきた
「お~いガンダム坊や、ちょっと来てくれよ」
「なんの用だ?」
「大したことじゃないらしいんだけど、ジャミルが呼んで来いって。」
「わかった。ティファごめんな、ココまでしか一緒に飯食えなくて」
「ううん、お仕事だもの。頑張って」
「おうっ!! じゃあ行ってくるぜ!!!」

22:SEED-X
06/12/08 23:32:27
ガロードを始めとしたMSパイロットの3人といいキッド、ブリッジのトニヤと、こんな荒廃した世界なのにあんなにも元気で活力にあふれる人間が居るものなのだろうか?
いや、これぐらいのバイタリティをもたなければ世界で生き残ることは出来なかったのかもしれない。
今までの彼らの様子を見て、アスランはそう感じていた。

そしてこの世界の様子を聞かされてからはプラント・連合間の戦争も大量破壊兵器の撃ち合いの結果、
この世界のようになる可能性があるということを今まで1度も考えもしなかった自分を情けなく思った。
たしかに核ミサイルの使用は自分が覚えている限りNジャマーによって抑制されてはいるが、
それ以外の方法で大量殺戮を行える兵器が開発される可能性が無いわけではない。
たしかに父をはじめとした議員たちもそういった可能性があるということは知っていると思う、
でも実際にそうなったら…その先は誰にも分かっていない。この世界を見た自分だけがその1例を知っている。

だがそれを伝えようにも自分には元の世界へ帰る方法はもちろん、有能な情報も何一つ手に入っていないのである。
唯一この世界で役に立てる可能性があるMSの操縦スキルも乗るMSが無ければ宝の持ち腐れだ。
ましてキラを殺したことを自分はまだ引きずっている。
表情には出さないではいるが、心の奥底では自分がMSで戦うことによって敵味方関係なく、また大切な人を失うのではないかと恐れている自分がいた。
それでもフリーデンの人間は自分にとってこの世界で唯一の『仲間』である。
せめて、彼らを守るとまでは行かなくとも何か役に立ちたい。そう思っていた。
「あ~~っと、アスラン!!」
ガロードへの伝言を終え、MSドックに戻ろうとしていたキッドが体を翻しアスランに声をかけてきた。
「なんだ!?」
俯いていたアスランは慌てて顔を上げて返事をした。
「アスランと一緒に見つけたガンダム…あの灰色の機体だけどよ、修理してみるか??」
「出来るのか?」
「100%元の姿にするのは無理だけど、ちゃんと戦えるようにしてやるよ。俺様に任せとけって」
アスランは自問自答する。
仮に修理されたとして自分は戦えるのか? しかもあのMSは己が殺したキラの機体だ。
ただこの世界ではバルチャー同士や時には軍とのMSによる戦闘がたびたび起こる。
そう考えるとせめて最新鋭機であったストライクを修理しておけば盾になることぐらいは出来るだろう。

アスランは決断した。
「……頼む。」
「じゃあ昼食を終えたらドックに来てくれよ、詳しく話したいんだ。」
「わかった。」

アスランは承諾し、少し急いでパンをほおばる。
しかし喉にパンを詰まらせてしまい、ロアビィに救われた。


23:SEED-X
06/12/08 23:34:37
そんなこんなで、食事を終えたアスランがMSドックを訪れる。
そこではキッドをはじめとしたメカニックの面々がせわしなく働いていた。
アスランが目線を上げた先には灰色の装甲でななく、ところどころが損傷したフレームのみの姿になったGAT-X105「ストライク」があった。

「来たな~待ってたぜ」
アスランを見つけたキッドが駆けてくる
「詳しい話って?」
「ああ、このMSって起動させようとするとディスプレイに表示されるあれなんだけど、設定とかはアスランにやってもらわないといけないんだ。
もちろん俺が設定しても良いんだけど最適な設定はアスランが一番良く知っているだろうから、そっちの方が良いだろ?」
「たしかに…ってキッド、お前あのOSの設定がわかるのか?」
「ああ、ちょっと複雑だけどパターンが分かれば大丈夫だと思う。ただどんな設定が一番良いのかは俺には皆目検討がつかないしね」
「分かった。で、今アレはフレームだけになってるがどうするつもりなんだ?」
「あ~、元から付いてた装甲。PS装甲だっけ?あれはすごくエネルギーを消費するから胸部以外はドートレスとかのと同じ材質になっちまうね。
まあ基本的にこっちの世界だとビーム兵器も入手しやすいからPS装甲の『物理攻撃が効かない』っていう利点があまり無いし。
出来ればルナチタニウム使ってやりたいんだけどこの前GXを大幅に改修した際にストックをかなり使っちまって今は無いんだ。
それでも、胸部とか重要なパーツ周りはルナチタニウムにしておくから1発でやられるってことは無いと思うぜ。」
「それで十分だ。でPS装甲を使わなければ稼働時間はどれぐらいになるんだ?」
「ちょっと待ってくれよ。」
キッドはつなぎのポケットから1枚の紙切れを取り出した。それにはびっしりと細かい文字列が並んでいる。
「え~っと、バッテリーが満タンの状態でPS装甲を基準値の設定で起動・ビームライフルを1分に5発撃つとすると、持って10~15分。PS装甲を使わなければ今のままでも20分~25分だな。」
「そんなに稼動限界が伸びるのか?」
「ああ、こっちの世界のMSの装甲材に比べてPS装甲に使われる素材が重過ぎるんだよ。それが無駄にエネルギーを使う原因になってるんだ。機体重量が減るだけで意外と持つようになるよ」
「そうか、どれくらい軽くなる?」
「ロココ、ナイン!コイツのデータ集持っててくれ~」
「「わかりました~」」
メカニックのうちキッドの愛弟子とも言える2人が紙束を持ってくる。ストライクのデータが書かれているであろうそれの厚さは1cmはありそうだった。


24:SEED-X
06/12/08 23:43:24
その束にキッドは目を通していく。ふとキッドの目線が一箇所に止まった。
「え~っと、ここだ。元の重量が約80トン、で装甲全部がルナチタニウムだと62トン。 普通の装甲素材も使うと……65トンってところだな~」
「15トンの減量か。」
「スラスターの出力設定が前とはずいぶん違うからテストはしっかりとしてくれよ。」
「わかった」

アスランはふと自分が斬り飛ばしたストライクの左腕…とはいっても二の腕までしかない。を見つめる。
「左腕はどうするんだ?」
「左腕はコイツの周りに転がってたアスランの本来の機体の腕。コレを移植する予定。
基本のフレームは一緒みたいでアスランの機体の場合は共通のフレームの外部に余剰パーツが付いてるだけだから移植自体は難しくない。
ただやっかいなのが背中に背負ってる拡張バックパックなんだけど…全面改修にするつもり。」 
どうしてなんだ? ほとんど原型をとどめているじゃないか」

ボリボリと頭をかくような仕草をしてからキッドが応える。
「あのさ、コレって基本的に宇宙用の装備だろ?ソレを無理やり地上で使ってるからエネルギーのロスがすごいんだ、
宇宙では十分な出力でも地上で使えば機体の重量が仇となってジャンプしか出来ないみたいだし。」
「エネルギーのロスがそんなに激しいのか?」
「ああ、ウィングなんて重力下ではデッドウェイト以外の何者でもない。だから要らないね。かわりのスタビライザーは別に用意するよ。」
「で次なんだけど…」

キッドはまだまだ説明することは山ほどあるといった感じで話を進めようとしていた、しかしアスランは立ち話を延々と聞かされるのかという不安を抱き、キッドに言う。
「すまない、今日はまだ用事があるんだ。 説明するのは改修が終わってからで良いから、全部キッドの好きにしてくれ。」
「いいんだな?  OK、この天才キッド様に任せておけって!!!」

そうして意気込んでストライクに飛びついたキッドを見送り、MSドックを後にしてアスランはテクスの居る処置室へと向かった。


ドアをノックするとテクスが顔を出す
「どうした?傷が痛むのか?」
「いえ、そうでは無いんですが…」
「うむ、話を聞こうかな?」


25:SEED-X
06/12/08 23:45:07

俯くアスランを見てテクスは部屋に入れ、そしてアスランにマグカップを渡す。
「ブラックで良いかね?おっと、アイスコーヒーには似合わないマグカップだが気にしないでくれ」
「大丈夫です。」

気温が高かったためかテクスが煎れたアイスコーヒーはアスランの喉を潤すと共に頭をすっきりとさせてくれた。
「落ち着いたかな? でどんな相談ごとだい?」
「俺、この前話した此処に来る前の戦闘で…友人を自分の手で殺しました。」
「それは初耳だな。 それは本当なんだね?」
「はい。 ただあいつも俺の仲間を殺してます。」
「どの世界でも悲惨なものだな… 戦争というものは」
「はい。」
「で、君は彼の遺体を見たのかね?」
「遺体を見たわけではありません。ただ俺のMSを自爆させた時、確実にアイツはハッチの無くなったむき出しのコックピットに居たんです。だから助からないだろうと…」
「そうか、だが君はその時点では彼を救おうとは思わなかったのだろう?」
「はい、怒りだけが思考を支配していて、あいつ…キラを殺す気でした。」
「人は誰もが過ちを犯すものだ。 大事なのは過ちを犯した後どうするか…だな。罪を償うのか、はたまたその罪を隠したまま、それを一生背負って生きていくのか」
「過ちを犯した後、どうするか……」
「それは君自身にしか答えは出せないだろう。今の時点で私が助言できるのはここまでだ。だが、少しは気が楽になったかな?」
「はい、ありがとうございます」
「また悩みがあれば相談に来るといい、またコーヒーをご馳走しよう。」
「では。」

そうしてアスランがドアノブに手をかけた瞬間、フリーデンが揺れた。
「敵か?」
「ドクターはここに、俺が行ってきます。」
「あまり無理はするな、まだ腕は完治していないぞ」
「わかってます、では」
アスランはドアを開け、ブリッジへと走りだした。

~つづく~

26:SEED-X
06/12/08 23:48:06
補足というか、なんというか…
一応MSの重量に関してはwikiを参考にしています。
あとストライクと、Xの世界のMSの能力の差についてはあまり明確な差は無いと判断しています。
その辺を考慮しつつ今後は読んでいて抱ければと思います。
では。



27:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 00:14:46
>>26
減った分でドートレス二機分だな

28:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 00:31:35
SEED-Xさんお疲れ様。
次も楽しみにしてます。

29:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 00:34:08
GJ、続き楽しみにしてるぜ!

30:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 00:34:52
SEED-X氏久々の更新乙、そして添削

>パイロットの3人に順番に | 3人から の方が読みやすいかも。難癖レベル

>目撃していたからであり。 | あり、 か ある。 の方が文章としては忠実か。難癖レベル

>その理由は一目瞭然である。 | だった。 の方が自然か(直後が過去説明のため)。難癖レベル

>>22
>バイタリティをもたなければ世界で生き残ることは
後の流れを見ると この世界で の方がよいかも。難癖レベル

>有能な情報も | 有能では意味が通らない。有用の間違い?

>時には軍とのMSによる戦闘がたびたび起こる
この時点では新連邦軍との直接の接触はまだないのでは?設定に変更加わってるならゴメンナサイ

>>23
>このMSって起動させようとするとディスプレイに表示されるあれなんだけど、
あれ、が指すものがMSに掛かってしまっている

>コイツのデータ集持っててくれ~ | 持ってきてくれ~ ?

>>25
>相談ごと | 相談事

>また悩みがあれば相談に来るといい、またコーヒーをご馳走しよう
最初のまたは不要かも。難癖レベル

31:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 00:35:50
おっと、最初の3つは>>21宛てで

32:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 00:36:38
じゃない、>>22だよorz

33:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 00:50:01
作品充実してきたな、スレも活気づきそうだ、SEED-X氏GJ!


そして添削慌て過ぎ、間違ったままだしm9(^Д^)プギャー

34:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 09:40:59
>>20
復活おめでとう。ストライクがどうなるか楽しみだ。

(以下ちらしの裏)
……なんだけど、X300系列(変形機構付き)のフレームのイージスの腕は、
X100系列(いたってノーマル)のフレームのストライクに接合出来るんだろうか。
とか思ったけどX200系列のフレームのブリッツの腕がアストレイ金に接続されていた事を思い出した。
その上改造するのがキッドだから軽々とやれるんだろうな。
(ちらしの裏終了)

35:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 17:40:38
つうか、投下が3つもあったのに何でここは盛り上らん…?

36:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 20:19:00
Xを見た人が少ないと予想、X→種系ならXを詳しく見なくても
ゲームとかである程度知識が補えるけど
こっちはX本編を見ないととっつきにくいんじゃないかな

37:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 21:02:20
>>35
GX氏:薀蓄&原作なぞり。GJとは思うけど、今回は大して面白く・・・
保守氏:保守と言い切ってる作品に対してあれこれ言うのは無粋だと思うので
SEED-X氏:まだまだ序盤。GJだけど、内容に対して云々言える段階じゃない

以上の理由から、俺の場合は「盛り上がりたくても盛り上がりようがない」だな

38:通常の名無しさんの3倍
06/12/09 22:00:34
皆さんGJ
下手に騒いで荒し呼び込むよりこのままのマッタリペースが吉と思うんだ

39:通常の名無しさんの3倍
06/12/11 01:29:06
GJ!

40:通常の名無しさんの3倍
06/12/12 00:13:37
すごく遅れたがGJです!!

41:通常の名無しさんの3倍
06/12/12 12:23:17
URLリンク(www2.odn.ne.jp)

プラモの画像なんだが…

42:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/15 13:48:45
投下予告

ジャミルたちフリーデン一行は、新連邦にとらわれてしまう
ティファと引き離されたガロードは、彼の置かれた理不尽な状況に吠える
だが帰ってきたのは、大人たちの冷たい洗礼だった

第四十五話『"大人"ってのがどういう物か……!』


今日PM10:00までには投下しますのでよろしく
ただねぇ… "無言の緊迫した雰囲気"って書くの難しいです

43:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 15:42:35
今、期待で緊迫してる

44:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/15 20:22:06
今回の作品は頑張ったんだけど…、皆さんの期待に添えるかどうかなぁ…
つくづく自分の無力さが悔しい…

第四十五話『”大人”ってのがどういう物か……!』(前編)

「ダブルエックス、収容完了しました。」
「すぐに整備にかかれ。終わり次第システムのコピー作業を続行しろ。」
アイムザットは降伏したフリーデンの面々がいる格納庫に脚を進める。ジャミル・ニート以下フリーデンの全クルーは
それぞれ特定の人数に分けて牢屋に収容する方針だが、そのうちの3名は別の場所へ移送されることになっていた。
「海中に沈んだキラ・ヤマトの機体と同じシステムを持つ機体の回収はどうなっている?」
「既に回収しています。ヴァサーゴとアシュタロンによって破壊された腕部・脚部は損傷がひどく、修復できるかどうかは今の所なんともいえない状況です。」
「まったく、あいつらは加減というものを知らんのか? まぁいい、我々がほしいのは機体ではなくパイロットの方だからな」
彼が思い描いた『最強のニュータイプ戦士』の構想のための素材が増えたことに、表情は幾分緩んでいる。先に見える通路の出口からのびる光が、彼には栄光の花道のように思えた。


「全員両手を挙げて、こちらを向け!!」
「お前らはこっちの輸送車だ!」
「指示に従わない場合は容赦なく射殺する!!」
ガロードたちフリーデンのクルーは新連邦の兵士達に囲まれ、次々と輸送車に乗せられそれぞれの牢獄へと運ばれてゆく。
「チーフ!!」
「俺達どうなっちゃうんですかぁ!!?」
「みんな!!」
ロココとナインはキッドと別の輸送車に乗せられていた。動き出した車の中で、頼りになるメカマン軍団の頭であるキッドと離れることに彼らは情けない叫び声を上げる。
『チ~フ~!!』
「…あいつら、お前よりも年上だよな?」
「そんなこと関係ねぇよ!!」
大の男が護送車の窓から情けない声を出す姿にカガリはあきれた様子で見送った。輸送車は既に13台、次の輸送車でカガリたちも牢屋へと輸送されることになるだろう。
「お前は怖くないのかよ!? 皆と離れるのが!!?」
「怖がったところで、状況が変わるわけじゃないだろ……?」
 カガリは周りに不安を感じさせないように振舞っていた。彼女とて捕虜になった経験はないし、CE世界の捕虜の扱いに対する条約が
この世界でも適用されるなどとは思っていない。新連邦政府がどのような対応をするか、彼女とて不安なところは数えきれないほどあった。

アスラン…

 赤いシャツの胸元にぶら下がる指輪のついたペンダントを握り締め、今いずこにいるかわからない彼のことを思い出し自分を奮い立たせる。あちらの世界で戦っているのか、こっちの世界に来ているのか。
もう2ヶ月以上顔をあわせていないあのまじめすぎる男のことを思うと”こんな所で死ぬわけには行かない”という思いがどんどん強くなっていった。


45:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/15 20:24:56
第四十五話『”大人”ってのがどういう物か……!』(中編)

 周りを武装した新連邦政府の兵士に囲まれ、ガロードはわずかに萎縮していた。何度も敵に囲まれた経験はあるし、銃弾の飛び交う中でMSハントをやった経験もある。
だが、今回は逃げ場の無い敵陣で完全に包囲されている。武器もなく、取引をする材料もない。状況は絶望的と言っていい。
先の見えない状況に考えをめぐらせていると、ためらいがちに右手に触れる小さな手があった。
「ティファ…。」
ティファの手はガロードのそれと比べて、小さくとても華奢だ。自分に向けられた銃口を見ながら握られたその手は、目の前に突きつけられた恐さに震えていた。
「…大丈夫、心配しなくていいから…。」
 精一杯の強がりでガロードはティファを励ました。
クルーのほとんどが牢獄に送られ、身の危険を感じている。特に彼女はニュータイプの研究材料として重要視されていることは今更言うことではない。
新連邦政府からすれば彼女が生きてさえいれば他のクルーが何人死のうがどうでもいいことであった。
「お楽しみのところ、すまんな。」
 アイムザットは二人のそんな様子を眺めながら口を開いた。彼らが物語りの主役であれば、最後に永久の愛を誓って結婚式場で盛大に祝福を受けるのだろう。
だが、アイムザットの書いたシナリオにはそんなシーンはない。
「お前は、我々と来てもらう。」
アイムザットはガロードたちの前に一歩踏み出す。彼はガロードに比べて頭一つ以上背が高い。その高い所から見下ろす目線は見るものを射抜くように鋭く、不気味な威圧感を持っていた。
 ティファの手がいっそう強く握られ、残っていた右手がガロードの服の袖にしがみつく。彼女がガロードと出会う前にいたアルタネイティブ社の研究施設での事が脳裏をよぎり、うまく口が回らない。
その時、ガロードは恐怖に震える彼女と悠然と歩み寄ってくるアイムザットとの間に入った。アイムザットの表情は一変して険しくなり、邪魔者に対して敵意をむき出しにする。
ガロードは内心恐怖しながらもティファを渡したくない一身で体は前に動いていた。
「小僧…。」
アイムザットは後一歩踏み出せばガロードとぶつかる距離で立ち止まる。見下ろしながら睨みつけるアイムザットに対して、ガロードも負けじと睨み返す。
「きゃあ!!」
だが、彼の行動をあざ笑いながらシャギアはティファの腕を掴みガロードから引き離した。ティファは苦悶の表情を浮かべ、アイムザットもシャギアもニヤニヤといやな笑みを浮かべた。
「ティファ!!」
ティファを助けるべく駆け出すガロードに、オルバは足を引っ掛けてつまずかせる。こけて床に這いつくばった姿を見てアイムザットも鼻で笑った。
「さて、君にも来てもらおうか?」
ジャミルに向かって、アイムザットはさらに陰湿は笑みを浮かべて彼の乗るジープへと促す。ジャミルには、ただ従うことしかできなかった。


46:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/15 20:27:24
第四十五話『”大人”ってのがどういう物か……!』(後編)

 ジャミルたちを乗せたジープが通路の奥に消えるのをカトックは静かに見送った。彼の経歴から言えば今回の働きは評価に値するが、死に場所を求めてさすらう彼にとって、どうでもいいことであった。
「……なぁおっさん、念願の復讐を果たした気分はどうだ?」
「………………。」
挑発的な声にカトックはゆっくりと振り向いた。
床に倒れていたガロードは、痛む腕を押さえながらゆっくりと立ち上がる。フリーデンを奪われ、仲間を奪われ、ティファを奪われたガロードの表情は醜く変形していた。
 カトックはゆっくりと吠えるガロードへ近づいてき、手を伸ばせば届く所で立ち止まる。アイムザットと同じぐらいの背の高さのカトックが同じようにガロードを見下ろす。
「これで満足なんだろ? おっさんよ!」
「………………。」
カトックは何も言わず、吠えるガロードを見下ろす。彼の表情から何もうかがい知ることはできない。ただ、静かにガロードを見下ろした。
「なぁ、なんか言ってみろよ!!」

ドカッ!!

ガロードの体は3mほど後に弾き飛んだ。ガロードの頭ほどはあろうカトックの拳がうなりをあげ、ガロードを殴り飛ばしたのだ。周りにいたウイッツやロアビィ、カガリたちも思わず顔を背けるほど激しく飛ばされる。
「…ぺっ! 俺さ……ようやくわかってきたぜ、”大人”ってのがどういう物か……!」
口の中を切ったのか、唾を吐いて再度立ち上がる。ふらつきながらも反抗的な表情はいっそう激しさを増す。
「戦争だ、連邦だ、ニュータイプだ! 生まれる前のゴタゴタにこっちを巻き込んで引っ掻き回す!」
「………。」
カトックは眉一つ動かさず、機械のようにゆっくりとガロードとの距離を詰める。また拳が飛んでくると感じたガロードは、今度はただじゃ殴られんとばかりに構えを取った。
「それがあんた達の言う”大人”なんだろ!!?」
 ガロードの言葉を無視し、カトックはガロードのシャツの襟を掴むとそのまま宙に持ち上げた。宙吊りにされたガロードは襟を締め上げる腕をどうにか引き剥がそうと両手で腕を掴む。
「は、放せよ! 放せって言ってるだろ!!」
 ガロードは同年代の男性と比べると大きい方とはいえない。だが決して発育が遅れているわけでもなかった。
「………………。」
「いい加減…! 勘弁してほしいぜ……!!」
 カトックの腕は彼がどんなに暴れても揺れない。鍛えられた褐色の腕は大地に根付く大木の幹のようにじっとガロードを締め上げ続ける。
襟を掴まれて宙吊りにされたガロードも最初のうちは抵抗したものの、徐々に力を失い暴れる度合いがどんどんと小さくなってゆく。抵抗が弱くなっていくガロードの様子を見たカトックは、頃合を見て手を放した。
受身を取ることもなく床に落ちゴホゴホとせきをしながら苦悶の表情を浮かべるガロードを彼は黙って見下ろす。
 カトックに殴られ、締め上げられ、傷だらけになったガロードだったが、最後まで彼を見上げる反抗的な目は変わることはなかった。


47:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 21:00:36
新作キター!
GJ!

48:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 21:56:17
更新乙、そして添削

>>45
>彼女がガロードと出会う前にいた
前の部分で主体がはっきりしてるので 彼女が は蛇足かも。難癖レベル。

>>46
>彼の経歴から言えば今回の働きは評価に値するが、死に場所を求めてさすらう彼にとって、どうでもいいことであった。
彼にとっては か 彼にとって、それは としないと、文章の繋がりが切れる。

>カトックはゆっくりと吠えるガロードへ近づいてき、
ゆっくりと は動詞の直前に持ってきた方がわかりよいかも。難癖レベル。


見た限りで誤字脱字の類は無し、これで2回目ですね、素晴らしい

49:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/15 23:22:36
>>48
いつも添削どうもです…。誤字、脱字はもとより文章のつながりなんかの指摘は
ホント参考になります。

今回投下した第四十五話でガロードVSカトックのシーン、原作でのカトックのあの雰囲気が伝わりましたでしょうか?
原作知っている方なら容易に想像できるシーンだと思うのですが、あれを文章だけで表すのってすさまじく難しいです。
顔と雰囲気だけで怒りとも憤りとも大人なめんじゃねゴラァ(゚ ロ゚ )とも取れる感情表現…深いです。

ぶっちゃけ言って、今回書いた物では半分も表現できていないような気がします…。

さてさて、『あれ? シンは?』って思ってらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、
次回よりシンも復活させますので今後ともよろしく。

50:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 00:01:57
このスレを発見してから今まで見てなかったGXを見てみた
とても面白かった
そして今日全部見終わったから
ようやくこのスレの作品をきちんと読めるぜ!!!

51:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 19:32:32
>>49
そう言ってもらえるとありがたいです;;

あのシーンでのカトックは色んな感情が渦巻いて複雑な心境になってますよね。
二次創作という前提を考えれば、あえて内面を描かなかったのは正しかったと思いますよ。
俺個人としてはGX氏の情景再現と感情描写は大げさな所もあるとはいえかなり正確だと思うので、
あえて冒険して踏み込んだ場合も見てみたかった気分はありますが。

52:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 20:16:55
> 『あれ? シンは?』
心配はしてないが期待してます。

アスランいまだ出番ナシwww
どうせならサテリコンまで取っとくとか?

53:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 00:50:14
宇宙革命軍のほうにも誰かしらは流れ着いてそうだな
ザイデルにNTは人類の革新やらなんたらとか言われて丸め込まれてそうな感じはする

54:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 12:57:36
丸め込まれると言ったら、凸だな

55:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 14:03:19
まああまり先の展開口にするのはよそうや

職人さんが書きにくくなるといけない

56:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 23:52:54
うぃ、スマソ

57:54
06/12/18 16:13:17
ゴメン

58:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 05:05:35
今更ながら、GX氏GJ!!
次回のシン復活劇にwktkで待っとります!ゞ

そして・・・保守!

59:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 21:20:18 JOdfy1Gd
サテライトキャノンでこのスレを上げるんだ!

60:通常の名無しさんの3倍
06/12/21 13:29:38
過ちは…繰り返さない!!

61:保守作品6
06/12/21 20:41:35
 何か言いたげに、背後に部下が近づいてくる。
「青い空ー、白い雲ー、こんな良い気分を邪魔するのは誰だー!」
「隊長、質問があります!」
「軍曹、どうした!」
「我々はバリエントを駆る新連邦の精鋭部隊ではありませんでしたか?」
「その通りだ」
「我々の格好と武装は何でしょう?」
「サルベージ作業を行う海の男達だ」
「我々は極東軍に編入されるという話だったのでは無いのですか?」
「上官にそうまで胸を張って文句をつけるとは、平時なら軍法会議モノだな」
「はぐらかさないで頂きたい。中尉」
「くっ、やるな軍曹。
 ……さて、諸君等の冷たい視線も最もだ。
 アベル=バウアー中尉を攫っていった大尉に曰く、
 ゾンダーエプタの件が片付き次第という、前置きを頂戴していた」

 一度言葉を切り、シンはその命令書の内容を吐き出す。

「先日大尉の言葉どおり、新たな命令書が中隊に届いた。
 実に名誉なことだぞ、意訳するとアイムザット総括官の沈没した船から価値のあるもの
 を引き上げろ。
 また、仮にも連邦の基地があったところを民間業者にうろつかれるのは問題だ。
 という訳でセインズアイランドで水中モビルスーツと水上艦を借りてきたのだ。
 以上、今の説明で何か不審な点があるか、軍曹?」
「全くありません」
「ようしせっかくの海だ、楽しんでやろう」
「了解」
 元気な返答とはうらはらに、部隊全員やる気がない。

 空中戦をもっぱらとする中隊に、水底に潜れというのは酷な話だろう。
 空を飛ぶパイロットにとって、沈没というのはほぼ死に直結する事態だからだ。
 こんな成果があるかないか怪しい任務に回されるとは、もしかしてウチの中隊は疎まれて
 いるんだろうか?
 シンは船の舳先で深い深いため息をつくのだった。

 旧ゾンダーエプタ基地を眺める。
 今では真っ平らに均され海の下だ、基地があったなどといっても誰も信じないだろう。
 あのサテライトキャノンを間近でみたのが三日前、昨日ゾンダーエプタの騒動の詳細と、
 今回の命令が送られてきたのだ。
 あのガンダムXの名称はガンダムダブルエックス。GX-9901-DXという型式番号を持つ、
 ガンダムXの後継機らしい。
 あんな馬鹿げたものを造ったところで、使い途なんて……
 はた、とシンは気づいた。
「まさか、革命軍のコロニーにぶち込むつもりだったのか?」 革命軍が健在なのは間違いないが、相応の民間人とて居るはずだ。
 まさか其処にサテライトキャノンを撃ち込むつもりだったのだろうか。
 いやいや、そう考えるのは早計だ。またコロニー落しをされたときの切り札かもしれないし、
 やはり連邦の象徴として存在する、新しいガンダムタイプのつもりだったのかもしれない。

62:保守作品6
06/12/21 20:43:42
 当人が死んでしまった以上、今では真相は海の底だ。
 益体もないことばかり考えつつ、シンもまた海中へ潜るべく格納庫へ降りていった。

 探索を始めて半日、散らばった荷物らしきコンテナと共にアイムザット総括官の艦が見つかった。
 あとは引き上げ、艦内を撮影して上に送りつければ一件落着だと、シンは胸を撫で下ろした。
 シン達は水死した兵士に黙祷を捧げ、艦内の調査を開始した。

 艦内は奇妙な状況だった。
 沈没原因は言うまでも無く、あのサテライトキャノンの余波による大津波だが、死因がおかしい。
 ブリッジにおいて銃殺された死体が多数見つかったのだ。
 格納庫からはDXが脱出したとおぼしき穴、そして強奪犯と銃撃戦になったと思われる薬莢と
 兆弾の跡が激しく刻まれていた。
 バルチャーがいないのにブリッジで銃撃戦があったというのか。
 犯人がブリッジまで移動したのなら、間違いなく防衛戦が艦内廊下で行われた筈だ。
 しかもブリッジクルーは拳銃に手を掛けた瞬間、あるいは抜く間もなく殺されている。
 アイムザット大佐も椅子に座ったままだ。
 内部犯がブリッジを占拠したとでもいうのか?
 艦内コンピュータにはブリッジの映像は残っておらず、撃ち殺した犯人は分からずじまい。
 仮に内部犯と仮定しても、この艦に所属する乗員名簿などは機密のため知ることは出来ないだろう。
 諜報統括官だったというし、何らかの陰謀や口封じの可能性もあるかも知れない。
 シンに出来ることは事態を正確に調査し、上に送りつけることだけだ。それだけでいい。
 シンは部下のためにも、これ以上首を突っ込まないことを決めた。
 なぜか、あの大尉の切れ長の瞳が思い浮かんだが、頭を振って追い出した。
 わざわざ味方の軍人を、根拠も無く疑う必要は無い筈だ。

 今回のサルベージで得たものは、新連邦への不信、格納庫やコンテナに収納されていたバリエント
 及びDXの予備部品や武装。
 アイムザット大佐の周辺で見付かった、赤い色のコントローラーらしきパーツ。
 そして──

「隊長、すぐに来てください!
 ガンダムタイプらしき胴体が見付かりました!」

 シンはその連絡を聞いて駆け出した。
 胸騒ぎが収まらない。
 別にガンダムタイプをアイムザット大佐が所持していたとしても驚くには値しない。
 だというのにこの予感は何だ。
 この奇妙はブリッジは、あのコントローラーは、DXを作り上げたゾンダーエプタの遺産は何だ。

 全力でサルベージされたコンテナまで走りきる、そこでシンは見た。
 その密閉されたコンテナから引き出された機体は、その頭部を失ったガンダムは、紛れもなく幾度も
 映像記録で目に焼き付けたガンダム。
 旧連邦の象徴、99%の人類を滅ぼした悪魔、ニュータイプが駆った決戦用モビルスーツ。

「ガンダムエックス……なのか──」


保守が必要なときにつづく

63:通常の名無しさんの3倍
06/12/21 23:34:07
>>61-62
保守&作品投下乙!

そして、久々のコーヒー保守!
URLリンク(ykr414.net)

64:通常の名無しさんの3倍
06/12/22 01:13:18
>>63
懐かしいなーそれw

65:通常の名無しさんの3倍
06/12/22 02:48:26
保守乙!

66:通常の名無しさんの3倍
06/12/22 05:01:17
保守乙!
そして……ジャミルGX!?

67:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 02:14:21
保守乙!

最近なにげに保守作品が楽しみな俺

68:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 14:29:42
>最近なにげに保守作品が楽しみな俺

やぁ!俺

69:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 15:03:53
あれ?
なんか俺がいっぱいいる

70:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 15:44:40
もう一人追加俺

71:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 18:41:05
「皆の意見を聞きたい、我々はコレをどうするべきか?」

 中隊はセインズアイランドに資料や引き上げた品を持ち帰っていた。
 本来ならば、部品に関しては目録を作り、映像資料などは加工せずに上に提出すれば終
 わりだ。
 極東ないし何処かへ送れなり、現地の部品として扱えなどの指示が降るだろう。
 だがGXの報告だけはシンは躊躇った。
 このGXは壊れている、要のサテライトキャノンとて既に失っている。
 新連邦は既にDXを造る技術や設計図を持っているのだ、何も躊躇う必要など無い。
 新しいGXを建造できる連邦に、旧式のXタイプを引き渡しても問題は無いはずなのだ。
 だが今の連邦にコレを渡して良いのだろうか?
 シンには決断しかねた。
 重みが違った。
 コレは他の兵器とは違う。このGXはジャミル・ニートが搭乗し、100億の人間を殺
 すきっかけとなった、既に大量殺人を犯した忌まわしい兵器なのだ。
 コレが改修され、サテライトキャノンを再び携えた時、新連邦に扱う資格はあるのか?
 シンは答えを出せず、自分より年長である戦後を生き延びた人々に答えを求めた。
 今この倉庫は中隊の全ての人間が集まっている。
 外部におかしいと思われないように注意しつつ、GXのコンテナだけこの倉庫に運び込
 んだのだ。

 パイロットの一人が発言する。
「ビームで完全に溶かして消し去るべきです、あるいはバラバラに解体して海に廃棄すべ
 きだと考えます。コレは今生きている地球人類全ての仇です」
 若い整備員が発言する。
「反対です、モビルスーツ自体に罪はありません。悪いとしたら人間です。
 サテライトシステムはジャミル・ニートか新たなニュータイプが認証を受けない限り使
 えないようですし、危険性は薄いと思います。なにより軍規に背いてます」
「お前は若いからそんなことが言えるんだ。
 コレが出来たとき皆期待したもんだ、連邦の若きエースパイロットと地球を守る最強の
 ガンダムだってな、結果はどうだ。
 みぃんな死んじまった。
 地球で無事を願ってたお袋も、兄貴も、妹も誰も残っちゃ居なかった。
 こいつはな兵器なんてもんじゃない、悪魔だ。うそっぱちの悪魔なんだよ」
 初老の兵士が発言した。

 続くように他の者が口を開いてゆく、
「大体コレが出来たから革命軍はコロニー落しを強行したんだ。
 規模をより大きくして、サテライトキャノンに防がれないように。
 コレは生まれるべきじゃなかったんだよ」
「同感だ、こいつは不幸を呼ぶ悪魔だ」
「破壊するべきです。例えDXのようなガンダムが既に造られていたとしても、
 サテライトシステムは否定するべきだと思います」
「上に送るのは止めるべきでしょう、一部の新連邦に反対する地域では市街地へ空爆など
 も行っているそうです、もしもコレがサテライトキャノンを持って復活したら、空爆ど
 ころか土地を更地に変えてしまいます。今此処で消えてなくなるべきです」


72:保守作品7
06/12/23 18:42:15

 実直な軍人達が、軍規を無視してでもGXを破壊すべきだ。
 という意見が大半なことにシンは安堵した。
 良かった、ここにいる連中は良心がある、信ずるに値すべき仲間だと。

 彼はザフトに所属していたが、プラント人の中で、地球人類の10%を殺した無差別攻撃
 であるニュートロンジャマーの投下に対して、罪悪感を持っていた人間が極少ないことに
 恐怖を覚えていた。
 彼は資源と金のあったオーブに居たから助かったが、他の地球連合やユーラシア連邦では
 10人に一人が死んでいく地獄だったのだ。
 コーディネイターを滅ぼすべきだと言う、ブルーコスモス過激派が台頭したのは当たり前
 なのだ。
 だがそのことを理解している理性的なプラント人はほとんど居なかった。
 この世界の人々が、全ての責任を革命軍に押し付けるのではなく、連邦にも非があったこ
 とを認め、反省していることはシンにはありがたかった。
 人は被害者にならなければ、悲劇を理解できないという見本だったのかもしれないが……。

 意見を受け取りながら、シンは再び中隊の面々に問いかけた。
「では、革命軍が再びコロニー落しを敢行した場合。
 サテライトキャノンは必要ないと貴様等は考えるか?
 コレの建造がコロニーを刺激したのは事実だとしても、サテライトキャノンが無ければ、
 今でも地球が冬の世界だったことは疑いないことだと思うが?」

 全員が押し黙る。
 GXが地球に冬をもたらしたのではなく、落下するコロニーを防げなかっただけ。
 客観的に見てGXは悪くないのだ。
 ただ無力だっただけ、力が足りなかっただけなのだ。
 そう世界を冬にしたのは革命軍であり、外交に失敗した旧連邦だと云うのに。

「もしも、サテライトキャノンが全てのコロニーを壊しきっていたら、
 コレも、ジャミル・ニートも英雄のままだった。
 違うか?」

 倉庫に沈黙が満ちた。


73:保守作品7
06/12/23 18:46:33
 その時、中隊の整備長がよく通る声で口を開いた。
「ワシはジャミル・ニートに会ったことがある。
 戦争が始まる前に遠目に見ただけだったが、実直で回りの人々に好かれていたことは知っ
 ていた。
 戦後に聞いた噂話ではニュータイプの保護を目的として活動しているそうだ。
 彼が地球を守ろうとして銃爪を引いたのは間違いないだろう。
 彼が背負うべきなのかはわからんが、地球を滅ぼしたせめてもの償いを必死でしているの
 だろうよ。
 ワシは家族を15年前に一人残らず失ったが、彼を憎む気は無いよ」

 誰もがその言葉を聞いて目を伏せた、守ってくれなかったニュータイプ。
 納得できた者、怒り収まらぬ者、同情する者、様々だ。

 シンは全員の反応を見ながら、決断を下す。
「来たるべき革命軍との戦争が終結し、コロニー落しの危険が完全になくなった時、このGX
 を破壊する。
 ゾンダーエプタが既に無く、DX本体がバルチャーに奪われている現在、このGXのサテラ
 イトシステムに残る、月との交信データは貴重だ。
 戦争が始まっていない今は、極東本部に送ることもしない。
 他のGXが造られ使用されるならばともかく、このGXはいわくがありすぎる。
 コレに再び地球を危険にさらす可能性を与えるのは悲しすぎる。
 よって、ガンダムXはこの倉庫に隠匿する。できるならば二度と必要としないことを祈って。
 この責任は隊長である俺が被る。
 誰かこの件について上から質問された場合、全て中隊長の独断だったと俺を糾弾しろ、命令だ。
 以上解散、全員職務に戻れ。不満などある奴は残れ。
 この件に関しては反対を許す」

 シンの命令で、業深きガンダムを前にした会議は終了した。



 次の保守に続く

74:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 19:31:07
またまた保守キター
乙です

75:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 19:41:11
保守乙

気になったんだけど

> サテライトシステムはジャミル・ニートか新たなニュータイプが認証を受けない限り使
> えないようですし



> ゾンダーエプタが既に無く、DX本体がバルチャーに奪われている現在、このGXのサテラ
> イトシステムに残る、月との交信データは貴重だ。

は矛盾しないか。
てかX本スレでサテライトシステムの認証登録データは複製不可で
DXにまるごと移植されたっていうのを前に見た気がする。

76:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 19:50:02
前者は認証データ
後者は月と交信した時のデータで前者とは別物の何か
と予想

77:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 22:04:04
シンのNJとそれに対するプラントの反応が良いなぁ……。
本編じゃ本当に誰も気にしてなかったし。

78:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 22:54:42
交信データを丸ごとダンプして、エミュレートするようにしたとか?

79:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 23:17:42
実はドームの詳細な位置データと予想
諸々の要素が絡まって戦後には新連邦側にも詳細な位置データは存在しなくなっていたのです

80:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 23:20:23
>75
前者のジャミル・ニートは戦中から戦後に至るまでの著名なニュータイプの代表としてとらえる。
(能力を失っていることは多分一般的知識でないだろうし書いてる人も
それを意図して新たなニュータイプを新旧に対応する形で対置しているのだろう)
後者は交信データをアクセス権に変換して読めばすんなり通る。

81:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 23:33:26
Gコンさえなければただのガンダリュウムの塊じゃね?

82:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 23:43:21 tsFCdFfs
Gコン無くても改造すれば動かせる

83:通常の名無しさんの3倍
06/12/23 23:59:29
>81
Gコンは単なる機動キー。
言うなれば車のキーと同じようなもの。

問題はアクセスするのに必要なフラッシュシステムの在り処だが、
ここのSSに好意的な解釈をするなら頭部はフラッシュシステムの発進源
というだけでシステム本体は胴体に搭載されているということになる

84:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 00:08:34
Gコン無しでも動かせるように改造は可能だけど、
代償としてフラッシュシステムが起動しなくなるのかもしれない。

85:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 00:14:58
サテキャ発射のさいの演出を見る限りはフラッシュシステムはともかく、
サテキャの発射はGコンがないと不可能っぽいな。

ちなみにフラッシュシステムの起動が必要なのは初回だけで
一度DOMEに登録されればあとはDOMEの方でやってくれるらしい。

86:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 00:41:16
痔コン

87:保守作品8
06/12/24 10:38:50
 シンは回収した物品を整理したり書類をまとめたりでまたも事務処理漬けの日々に戻っ
 ていた。
 中隊長、中尉風情がどうしてこんなに面倒な仕事を押し付けられるんだ。
 それもこれも左官が少なすぎるせいだ。
 シェルターに入っていたお偉いさんと若い世代ばかりで、新連邦には中間の大人が少なすぎる。
 叩き上げの人間はあの時代の士官学校出てないから出世してないし。
 俺はパイロットが本業なんだぞ、畜生。
 心の中で怒りの声を上げつつ、赤い目を更に真っ赤にして事務処理をしていたシンの元へ、
 部下の曹長が執務室にやってきたのだった。
 彼はアベルと入れ替わりで配属された経験豊かなパイロットで、すぐに中隊にも馴染んだ。
 その彼が深刻な顔で相談に来た。

「ローレライの海?
 たしかDXを奪取したバルチャー連中と新連邦が交戦した地域だったか。
 あのジャミル・ニートが乗ってる可能性があるとか、ええとフリーデンだったか」
「はい、その海域で私はフリーデン攻撃部隊としてドートレスフライヤで戦いました。
 そこでの詳しい記録をご存知でしょうか?」
「いや、3機のガンダムタイプのモビルスーツと交戦し、敗北したと。
 シーバルチャーが引き上げた、旧連邦の立ち消えになった作戦の資料と機材を巡った戦闘
 だと報告が来ていたが」
「はい、私も戦闘前は詳しい説明も無く戦闘に突入したのですが、撃墜され、海の上を漂っ
 ている時に見てしまったんです」
 そこで彼は言葉を切った、言い淀んでいるが、話す気があるからここまで来たのだろう。
 シンは嫌な沈黙の中、次の言葉を待った。

「bitモビルスーツを見たんです」

 納得した。なるほど確かにトップクラスの重要機密だ、話したがらないのも無理は無い。
「……そうか、シーバルチャーが引き上げた貴重なbitモビルスーツを回収する任務だったのか」



88:保守作品8
06/12/24 10:40:27
「違います、そのbitモビルスーツは……
 稼動していました」
「は、冗談だろう、フラッシュシステムを起動する能力をジャミル・ニートは既に」
「分かりません、分かるのはGXによく似た機体に従い、完璧な編隊行動と正確無比な射撃
 を行うbitモビルスーツの集団があったことです。
 あっという間に部隊は壊滅しました、恐ろしい強さでした」

 シンは口を開けたまま言葉が出ない。驚きで何を言うべきか見付からなかった。
「その後、そのGXに似た機体は次々にbitモビルスーツを破壊していきました」
「な、なんで、味方だろう」
「bitモビルスーツを落としながら、外部音声でそのパイロットの声が響きました。
『こんなモノはもういらないんだ』と」

「それは……パイロットは多分、」
「ええ、おそらくは15年前のGXパイロットの……」
「その後私は救出されましたが、固く口止めされ、誓約書に記名しました。
 後はこの部隊へ、という訳です」
「そうか、話してくれてありがたかった。
 だが何故機密事項を話してくれたんだ?」
「あのGXを見て以来、誰かに聞いてもらいたくて仕方なかったんです。
 内密にお願いします」
「わかった、誰にも話さない。というより俺も今回の件がばれると首が飛ぶ。
 話しようがない。安心してくれ」
「はい、報告したいことは以上です。それでは失礼します」
「待て確認したいんだが、そのbitモビルスーツはXタイプだったのか?」
「間違いありません、武装、背中のバックパック、塗装、紛れも無くXタイプのbitモビル
 スーツでした」
「ではもう一つ確認するが、そのbitモビルスーツは完全に壊れたのか?」
「え、ええ。
 遠目でしたが、胸部にビールライフルを喰らって爆発したのを確認しました。
 頭部を破壊されただけで、海に沈んだのもあったように思いましたが」
「ではサテライトキャノンが壊れていないbitモビルスーツもある可能性は残っているか?」
「それは──
 無いとは言い切れません」
「私見を聞きたい。
 ジャミル・ニートならば、サテライトキャノンを搭載したGXを駆る資格があると思うか?」


89:保守作品8
06/12/24 10:42:27
「彼以外に撃つ資格のある人間が居るとは思いません。
 ダブルエックスが我々を撃たなかった時に確信しました。
 あのサテライトキャノンを、多少なりともマシな使い方をできるのは彼ぐらいでしょう。
 もしも自分がニュータイプで、サテライトキャノンを撃てなどと言われたなら逃げますよ」
 曹長は苦笑いを浮かべる、絶対無敵の力を手に入れてはしゃげるのは子供だけだ。
「部下がまともな思考回路を持っていて俺も安心した。
 モビルスーツは白兵戦がメインだからな、俺も問答無用で殲滅するような機体は御免だ。
 互いに命を賭けないとフェアじゃない、甘いけどな」
 シンも苦笑いを浮かべる、ダブルエックスの恐怖を思い出して口元が引き攣った。

 話したいことを全部吐き出したせいか、すっきりした顔で曹長は退出していった。

「はあ、次から次に厄介事が。
 俺は一介の中尉だぞ、はぁ──」
 最近ため息が多くなったシンであった。

 体重が減っていくことを懸念するシンの執務室に、以前から苦手だと感じていたお客さんが
 やって来たのは、その夜のことだった。
 その男は胡散臭くて、細身で、女性っぽい雰囲気を醸し出し出す、シーバルチャーであった。



 保守、
 ああクリスマスでも日々は変わらないのさ、虚しいなあ。
 こんな思い付きを紡いだモノでも楽しんでくれる人がいると嬉しいなあ。
 前の話では怪しげな解釈ができるお話してごめんなさい。
 本編見ただけなので、フリーデン狙った時のDXのマイクロウェーブは認証を受けたGXと
 変なコードで繋がることでDOMEをごまかしたんだと思ってた。
 それでもキャノンは撃てないみたいだったけど。
 だからDXが無くても、GXの過去の交信記録は貴重かなあと思ってたんです。
 ………あれ、マイクロウェーブまで来るんだったら何で発射できないんだ?
 ニューGコンあったしなあ。ガロード撃ったから完成してたんだし。
 発射システムはニュータイプ技術と切り離してもいいだろうし、不思議だ。

 年末にSEEDーXやGX1/144の続きが読みたいってのは贅沢だよねえ、
 続きこないかあ……

90:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 11:42:46
GJ!
もう保守作品なんてレベルではないな、こりゃ。

91:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 11:43:54
>>保守作品

貴様がGX氏やSEED-X氏を楽しみにしているように、貴様を楽しみにしている人間もここに居る事を忘れるな


92:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 11:46:56
仕事前に保守が読めてよかった、シン頑張れ!

93:保守作品9
06/12/24 18:46:25
 アベル・バウアー中尉へ激励と部隊の近況、蛇足ながらフロスト大尉への注意を促す手
 紙をニュータイプ研究所へ送るように手配し、自分にコーヒーを淹れたところでノック
 の音が響いた。
 部下なら名乗るし、島民でも一度来たものなら、やはり名乗る。
 とりあえず厄介ごとの種であることは疑いようが無い。
 シンは眉間にしわを寄せて肩を落としたが、深呼吸し気合を入れ直してお客を予想した。
 襲撃するならノックしないだろうし、金属探知機にかからない以上、銃も持ってないだ
 ろう。多分安全な手合いだ。となると十中八九、陳情……。
 くそ、アポイントくらい取れ。俺は軍人だ、市長じゃない。大体元セインズアイランド
 行政府の連中だって、真面目に働いてた奴は残してるんだ、そっちをあたってくれ。
 悪い支配者を畏れ敬ってくれ、近づくな、頼るな、揉め事もってくるな、主にマイルズ。
 3秒間に怒りを爆発させ、落ち着くと。
「どうぞ」
 シンは入室を許可した。

「お邪魔するわ」
 入ってきたのは痩身の男、名はルマーク・カウト。
 この辺りでは名うてのシーバルチャーらしく、かなりの資産やコネを持っているらしい。
 今までにも数回この執務室を訪れ、忠告やら仕事の売込みに来ていた。
 軍の名義で彼のモビルスーツを買い取ったこともある。
 こういう顔の広い相手は敵に回すのは得策ではないと、敵対しないように気をつけてい
 たのだが。

「ああ座ったままで良いわよ、一応市長さんなんだから威張ってないとね、坊や」
「お心遣い痛み入ります」
 心にもない返答を返すシン、こういう人間は苦手なのだ。
 激動の時代を生き延びてきたせいか、腹芸がうまく、こっちが横暴に出ないことを知っ
 て坊や呼ばわりするし、足元見るし、最初に来たときは武装蜂起するかもなどと脅しを
 掛けてきたし、何より異常にこちらの内情を知っているのだ。
 正直年季の違いを感じてしまう。侮ることができないのだ、目の前の男は。

「あら、そんな嫌そうな顔しないでよ、前の市長よりずっと役に立ってるわよ。
 ピンハネしないし、バルチャーにも公正だし、ちゃんと商品を買ってくれるしね。
 確かに前よりやりづらいけど、時代の流れでしょう。
 無法時代は長く続かないなんて事、とっくに解ってたわ」
「理解あるお言葉、感謝に堪えません」
 言葉は丁寧だが顔が引きつっている、使い慣れない対応に体が着いてこれないらしい。
 商人のように談笑出来る軍人なんて人間になるように、遺伝子を調整しといてくれたら
 良かったのに。と親に責任転嫁するシンであった。

94:保守作品9
06/12/24 18:47:43

「無理しなくて良いわよ坊や、そういう生真面目なトコ気に入ってるけどね。
 じゃあ、からかってないで本題に入りましょうか」
「はあ、そうして頂けると助かります」
「仕事上の取引をしたいの、そちらは情報を教える。
 私はその情報を生かして商品を造る、それを買って欲しいの」
 疲れる相手だ、またロクでもないことを言うのだろう。
「随分と抽象的な物言いですけど、具体的に言ってください」

 ルマークはいかにも愉しそうに目を細めると。
「ローレライの海」

 シンの瞳が殺気を帯びる、こいつは危険だ。
 シンは音を立てないように下段の引き出しを開けると拳銃を掴む。
「無法者のシーバルチャー、オルクも近づかない海域があると聞いてますが、
 その海域がどうかしましたか?」
「とぼけなくても良いわよ、もうあの海域にローレライは居ない。
 そして連邦にとって、いえ、貴方にとって大事なモノが沈んでる」
 何処まで知っているかは解らないが、情報は筒抜けらしい。
 部下か、それとも他に新連邦から情報を得たか。
「なるほど、貴方の言う俺の大事なモノを引き上げるから買ってくれ。
 というお話ですか?」
「理解が早くて良いわ、けど足りない。
 私が買って欲しいのは、その大事なモノを再利用して修復された──
 ・ ・ ・ ・
 ガンダムなんだから」

 1秒かけず、シンは銃口を眼前の男の眉間に押し付けた。
「知りすぎたようですね。貴方の存在は新連邦にとって害悪のようだ」
 しかし男は眉一つ動かさず、それどころかこちらを面白そうに観察する始末だ。
「知りすぎた?
 貴方が教えてくれたのに」
「なに」
「聞きたい?
 だったら、銃を下ろしてくれないかしら、貴方の綺麗な瞳が見えないもの。
 話は相手の目を見てするものでしょう」
「断る。そのたわごとを包み隠さず話すのなら、今は頭を吹っ飛ばすのを止めてやる」
「怖い怖い、でも本当よ。
 貴方が私の最大の情報提供者だっていうのは」
「ふざけたことを──」
 シンの言葉を遮り、
「お兄ちゃんはもう駄目かもしれないよ、マユ」
 ルマークの口から妹の名前が漏れた。

95:保守作品9
06/12/24 18:49:02
 音が止まる、呼吸が止まる、何故だ、何故知っている。
 部下も知らないようなことを……何故
 考えろ、考えろ、マユの名は一人の時しか漏らして──そうか!?
「盗聴か!」
「ご明察、貴方たちの会話は全部私に筒抜けだったのよ」
 シンはこの男に底なしに怒りが湧いてきたが、同時に疑問も浮かんだ。
「何故、話した。
 自分の優位を崩すような真似を」
「貴方がそうやって考えられる人間だからよ。
 怒りに任せて銃爪を引くような、無能な軍人さんじゃないもの。
 是非、貴方と親密な商売がしたくって。良い商売は信用から生まれるのよ」
 よく言ったものだ、盗聴するような人間が信用を口にするとは。

「もし、貴方が此処から帰ることが出来なかった場合どうなる」
「そう考えられる坊やは好きよ、勿論、新連邦にとって都合の悪いことが、
 連鎖的に起きてしまうかも。」
「今、貴方を殺す方が、連邦にとって都合が良いとは考えませんか?」
「部下に責任が行くわよ」
「っ」
 ありえる、GXのことまで包み隠さず上に知られたら、彼一人の責任に出来なくなって
 もおかしくない。
「……そちらの方が上手のようですね、だがそれは信用じゃなくて弱みを握って脅迫する
 というんですよ」
「銃を突きつけられているんだからフェアだと思うわ」

 ああ言えばこう言う、苛立たしい相手だが、盗聴をばらした以上、譲歩の気持ちはある
 のだろう。シンは降参した。
「ふう、やはり年の差では勝てませんか。
 やはり暴力に訴えるとします。
 悪い軍人ですからね、俺」
「出来ないわよ、坊や」
「本業はパイロットですから」
「丸腰の相手を撃てる様な卑怯者じゃないわ、不器用そうだもの貴方」
「さて、それはどうでしょう」
 相手を恫喝するため、銃口を相手の股間へ向ける。

 シンは嘲笑って銃爪を──

 冗談でしょ、と男の眼が驚愕に見開き

 ──引いた。



 行き当たりばったりで続く。
 ここのシンはバイオレンスなんです。
 それとルマークってカツ・コバヤシと同じ声だったんですねえ。

96:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 19:27:09
スゲー、連続投下だ乙

>>90>>91も言ってくれてるし、保守なんて言わなくてもいいぜこれは

97:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/24 21:17:46
メリークリスマス… と夜な夜な投下 >>保守氏、トリつけて連載してみたら?

第四十六話『仲間を助けるための賭けだ』(前編)

 フリーデンが拿捕されてから丸一日が過ぎた。ガロードたちはジャミルが捕まる寸前に出した『シークレットコマンド』”明日の夕日は見られない”に従い、
着々と準備を進めている。ガロードは通風孔に入って基地の武器庫やMS格納庫の配置を調べに行っている。残された面々は静かに時が過ぎるのを待っていた。
「GX、エアマスター、レオパルドを取り替えさえすれば状況は一気にこっちに傾くけど…。」
「捕まってるキャプテンたちが問題よねぇ…。」
「キャプテンとティファは新連邦にとって利用価値があるから、殺される心配はないと思うけど…。」
 シンゴ、トニヤ、サラの表情は暗い。『シークレットコマンド』とは、緊急時のみ使われる暗号命令である。”明日の夕日は見られない”とは
”明日の夕方、日没と同時に各自逃亡作戦を開始せよ”という意味合いを持つ。だが、ジャミルたちを助け出すほどの余裕はおそらくない。今までずっとフリーデンに乗って
ジャミルの下で働いてきた彼らにとって、ジャミルがいなくなることに対する不安はかなりのものであった。
「な~に、ジャミルだって伊達にバルチャーやってるわけじゃねぇんだ。自分の身は自分で守るだろうさ。」
「そーそー。作戦やらなんやらはジャミルの担当だったしね。俺達にこんな指令出しておいて自分は何にもしないなんてことは無いんじゃないの?」
 シンゴたちとは反対側の壁に寄りかかって座って脚を組んでいるウイッツとロアビィは楽観的に自体を見ていた。一人一人個別の牢屋に入れられると思っていたが、
実際にはグループごとにまとめて投獄されている。バルチャーを捕らえておくにはずさんな処置だったというべきだろう。
「それはそうと、シンはどうすんの?」
頭の後ろで手を組んだキッドが思い出したように口を開いた。
 海中に沈んだディスティニーの残骸は新連邦に回収されており、兵士がコックピットからシンを引きずり出しているところを皆は見ていた。
「あいつら、けが人の扱いがえらくわるかったよな。敵とはいえ、シンはけが人だろ?」
「治療もろくにされないで、別の場所つれていかれちゃったもんねぇ…。」
ウイッツとトニヤの会話を左から右に流しながら、カガリはひざを抱えたまま床を見つめていた。
 新連邦の兵士達に両脇を抱えられ連れて行かれたシンは、顔の半分近くを真っ赤な血で染めていた。頭部のけがは少しの傷でも多量の出血を伴うことは知識としては知っている。
だが、知識として知っているのと実際に目で見るのとでは受ける衝撃が違いすぎた。
 赤黒く染まった彼の痛々しい姿は、カガリの脳裏に焼きついて離れないでいた。
「心配? シンのこと。」
 顔を上げると、隣にトニヤが座っていた。カガリは傷ついたシンの姿を見て以降口を開いていない。いつも場を盛り上げていたトニヤの目に、沈んだ彼女の姿は見るに堪えないものがあった。
「…あんたがフリーデンに乗った最初の時は、シンいきなりキレちゃって手が着けられなかったわよね。」
「……今でもあいつは私と話すときあんまり目を合わせることは無いぞ…。」
「それでも、前に比べたらやさしくなったんじゃない?」
「まぁ…、な。」
 カガリは視線を戻し、フリーデンに乗ってから彼と行動を共にした時間を思い返す。確かにトニヤの言ったとおり、前に比べれば彼の彼女に対する敵意は小さくなっているだろう。
初めて出会ったときに向けられたあの憎悪の眼差しに比べたら態度がかなり軟化しているのも事実だ。
「やっぱ、怒ってばっかだったシンちゃんが好意を素直に表現できるようになったのかしらね…?」
「…私はあいつの家族を殺した奴の娘だ。シンが態度を硬くしても仕方が無い。」
 カガリの話す内容は日常の会話で話すような軽い内容のものではないが、不思議と彼女の表情は穏やかだった。
「だけど、あいつもようやく私のことを”仲間”と認めてくれたんだと思う。もっとも、私が勝手に思っているだけでかもしれないがな。」
顔を上げてトニヤのほうを向いたカガリは照れくさそうに頬をかく。トニヤもそんな彼女を見ながら穏やかに笑った。


98:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/24 21:20:36
第四十六話『仲間を助けるための賭けだ』(中編)

 シンは薄暗い道を必死に走っていた。向かう先には一向に光は見えず、この道がどこまで続いているのかまったくわからない。ただただ後ろから迫ってくる異形な者たちから必死で逃げていた。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ―!!」
どれぐらいの距離を走ったのか、どれだけの時間走り続けているのか。時間の感覚も距離の感覚もとうに麻痺し、汗だくになりながら息も絶え絶えに走り続ける。
「クソ! いつまで付いてくるつもりだッ!!!」
振り向いて異形な者たちの姿を確認する。距離はまったく開いておらず、異形がわざと距離を詰めていないように感じられた。
 異形は2体、1体は人型に近い形状をしているが、背中の大きな翼を広げ腹部に大きな口が見え隠れしている。両腕の長さが通常の2倍はあり、
その先には金色に輝く2本の大きな爪が暗闇の中で異様なほどの輝いて見える。
 もう1体は人型ではなく、丸々とした大きな胴体に2本の大きなはさみを持った一つ目の魔物である。正面に見える赤い目玉はシンを逃がすまいとしっかり見据える。
大きなはさみは動きを見せていなかったが、逆にその不気味なほど静止した無骨なはさみにシンは恐怖を覚えていた。
 延々と走り続けたシンが勢いよく地面に倒れる。道は果てしなく長く続いているが、彼が躓いて転ぶような石や障害物は存在しない。彼が足に目を向けると、あのまったく動くことの無かった
一つ目のはさみが彼の足を掴んでいた。距離は目測で10m、この距離を一度振り返って前を向きなおすまでにはさみを伸ばしたのである。
「クソ!! 放せ!!!」
 走り続けていた体は疲労を訴えて動こうとしない。ゆっくりと手繰り寄せられるはさみから逃れようと彼がもがいた。だが、異形たちはすぐに手を伸ばせば届く位置までたどり着いつく。
「あ…あ……。」
シンの顔に恐怖の色がありありと浮かぶ。今までMSでの戦闘で死ぬような怖い経験を何度もしてきた彼だが、ここまで恐怖を表面に出したことは無い。
 人型の異形が長い両腕で彼の腕を地面に固定する。十字架に貼り付けられるような形になったシンの前で、ゆっくりと胴体の口が開いた。
「やめろ…!!」
異形の口内には歯や舌は見当たらない。しかし、口内の中心に小さな赤い光球があった。光は血のように赤く、徐々にその大きさを増していく。
「やめろぉぉぉッ!!」
首を左右に振りながら何とかその場から逃げようと必死に身をよじる。だが、腕の拘束は緩むことは無く、足を挟むはさみの拘束も緩まない。
「あああぁぁぁぁッ!!!」
その場から脱出することもできず、シンはそのまま光に呑まれた。


99:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/24 21:23:25
第四十六話『仲間を助けるための賭けだ』(後編)


「あああぁぁぁぁッ!!!」
「うるせぇんだよ!! このガキが!!!」
頬に走った衝撃と痛みにシンは目を覚ました。固まった血がこびりつくまぶたを開けると真っ白な床が飛び込んでくる。ゆっくりと頭を動かすと、真っ白な部屋に入れられていることに気がついた。
「ここは…?」
そういって立ち上がろうとしたシンは、自分がどのような状態に置かれているかはっきりと認識する。
「な!? なんだよこれ!!?」
両腕は後でしっかりと縛られ、体は椅子にベルトでしっかりと固定されている。ベルトはきつく、身をよじった程度では逃れることはできそうに無かった。
「あんたら!! 一体これはどういうことだ!!?」
シンは正面に立つ二人の兵士に対して叫んだ。入り口の両側に立つ二人のうち、右側に立っていた兵士がめんどくさそうに答える。おそらく彼を殴ったのもこの男だろう。
「お前みたいな”化け物”を捕まえておくにはこれでもまだ足りないくらいだよ。」
「化け物…?」
 初めて言われた『化け物』という言葉にシンは驚愕した。彼のいた世界にある”ブルーコスモス”は『青き正常なる世界のために』というフレーズをうたい文句にコーディネイターを化け物扱いしている。
無論シンのようなコーディネイターが自然の摂理に反しているといえば反しているだろう。だが、好きでコーディネイターとして生まれてきたわけではない彼らにとってその言葉はまさに”言葉のナイフ”というにふさわしいものであった。
シンもそういう風に言う輩がいることは知っていた。戦場でナチュラルの兵士達が口々にそう叫んでいるのを何度も聞いた事がある。しかし、この『ナチュラル』『コーディネイター』という概念のないこの世界で、そのことを言われたことに大きな衝撃を受けた。
「な、何だよ…? 化け物って……?」
「化け物は化け物だよ。細胞いじって、普通の人間とは体のつくりが違うんだろ? そんな人外な生き物を”化け物”って呼んで何が悪い?」
「…どこでそれを?」
「おまえ、あのキラとか言う奴と同じように色の変わるMSに乗ってたろう? あんな装甲はほかに無いからな。パイロットも遺伝子いじった形跡があったって話しだし、そうなると同じような機体を持っているならおのずと答えは出るさ。」
「おい、あんまりべらべらしゃべるな。」
もう1人の兵士が先に口を開いた兵士を黙らせる。そんな中、シンはうつむいて唇をかんだ。
 この島に着く前の戦闘でフリーダムが現れなかったことを気にかけてはいた。確かにフリーダムのシンのディスティニーもPS装甲という『色の変化する装甲』をつけている。そういう考えにいたっても不思議ではないだろう。
 ふと、シンの中で一つの疑問が生まれた。
「フリーダムは!? あいつは今どこにいる!!?」
「さてな、捕虜はそんなことを知る必要は無い。」
それ以降、シンがどんなことを聞いても彼らは口を開かなくなった。何もできない状態でただ時間だけが過ぎてゆく。

 シンたちの会話が途切れて20分ほどたった頃、入り口から二人の男が部屋に入って来た。二人は監視をしていた男たちを部屋の外に出すと、椅子に縛り付けられろくに血を拭かれていないシンと正面から向かいあう。
監視役だった二人とは違い、彼らは紺の上着に白いスラックスを着用している。赤いシャツを上着の下からのぞかせた背の高い男と、紫のシャツをのぞかせるもう1人の男をシンは睨みつけた。
「血まみれの改造人間、か。無様だね。」
「キラ・ヤマトといい、お前といい、遺伝子に手を加えられた者達は普通の人間よりも優れた存在になるのではないのかね?」
シンは彼らの言葉に何も言い返すことをせず、ただ睨み続ける。あきれたように背の高い男が息とつくと話を続けた。
「我々は、貴様を尋問しに来たわけでも、拷問しに来たわけでもない。」
「僕らは、君と賭けをするために来たんだ。」
「…賭け…?」
要領を得ない発言にシンは眉をひそめる。
「そう、フリーデンのクルーは全員捕まっている。」
「仲間を助けるための賭けだ。掛け金は、君の命。」
 シャギアとオルバは含みのある笑みを浮かべたまま、シンを見下ろした。


100:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 22:08:00
GJ!
カガリは「シンが怪我した姿」にショックを受けた?
それとも「怪我そのものの酷さ」にショックを受けた?

101:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 23:01:25
両方じゃないかね?
見知った人間の流血シーンは見ていて気分が良い訳ないしね

102:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 23:12:56
クリスマスに更新乙、そして添削

>>97
>GX、エアマスター、レオパルドを取り替えさえすれば | 取り返しさえ

>ウイッツとロアビィは楽観的に自体を見ていた。 | 事態

>シンいきなりキレちゃって手が着けられなかったわよね。 | 付けられなかった

>カガリの話す内容は日常の会話で話すような軽い内容のものではないが
「話す」を同文内で重複して使うのはあまりよろしくないか。
先を カガリの話の内容 とするか、後を 日常の会話のような とした方がよいかも。難癖レベル。

>私が勝手に思っているだけでかもしれないがな。 | だけかもしれないが

>>98
>大きな爪が暗闇の中で異様なほどの輝いて見える。 | 異様なほど輝いて

>ゆっくりと手繰り寄せられるはさみから
「手繰り寄せる」は意味としては不適当。「引き寄せられていく」などの方が適当か。

>手を伸ばせば届く位置までたどり着いつく。 | たどり着く

>>99
>”言葉のナイフ”というに
前後からすると ここは 言うに か。

>そのことを言われたことに大きな衝撃を受けた。
「こと」を多用すると文章の流れが悪くなる。「そう言われたことに」、「そう呼ばれたことに」などが適当か。難癖レベル。

>細胞いじって、
後の文を見ると 遺伝子 の間違い?(間違ってはいないし、わざとそうしてあるのかもしれないけど)


保守氏も乙です!今日は二度も更新とは流石クリスマス。

103:保守作品10
06/12/25 21:02:00
「ぷ、あははははは、今の顔最高!」
 シンの爆笑が執務室に響いた。
 そうシンが突きつけていた拳銃には弾が入っていなかったのだ。
 暴力の威光を最大限に示すために、こういった小道具を用意していたわけだ。
 弾の入った拳銃はいつも腰に身に着けている。
 これも恩師に当たるカトックから学んだハッタリ、もとい知恵だ。
 見事にシンの演技に引っかかったルマークは憮然としていた。

「良い演技するものね坊や、腹立たしいけどますます気に入ったわ」
 シンは銃を机に置くと、肩をすくめて全面降伏した。
 自分より頭の切れる相手に全ての情報を握られたのだ。どうしようもない。
「降参です、お手上げだ。
 けど一つ教えてください、いつの間に盗聴器を?
 するとルマークは満面の笑みを浮かべた。
「貴方達が来るずっと前から、この建物が出来たときに。
 元々ここの行政府から情報を手に入れるために仕掛けてたの」
 シンは左手で顔を覆った。
 何て間抜けだ、自分からバルチャーの餌場に飛び込んだようなものだ。
「それは、また……」
 二の句が続かない、シンはあまりの愚かしさに落ち込んだ。

「あんまり落ち込むことないわ、接収した後に気をつけてただけでも及第点よ」
「はあ、まったく貴方は俺を凹ます為だけに来たんじゃないでしょうね」
「言ったでしょ、取引だって」
 一度言葉を切り、商人の顔でルマークは言葉を繋ぐ。
「そっちの内情は大方知ってるわ。
 Xタイプのbitモビルスーツで直す機体と言えば、同じくXタイプであるガンダムXしか無い。
 つまり、貴方は所有しているんでしょう。世界を滅ぼしたガンダムの残骸を」
「ご明察。
 ある倉庫に隠してありますけどね」
「隠した?
 ああ巷のバルチャーが怪しんでる、軍が貸しきった倉庫のことかしら。
 あれで隠したつもりだったの、バレバレよ。
 私に任せなさい、連邦にも見付からない場所に隠してあげるから」
「それは………」
「信用できない?
 でも私は商売に関しては嘘は言わないわ、誘導したり、話さないことはあるけどね。
 私が信用できなくても、あの倉庫が怪しいなんて皆知ってるわよ。
 そのうち隠すならもらってしまえって、バルチャーに襲われるかも」
「よく言う、けしかける側の癖に」
「まあそれは置いといて、どうする?
 情報を貰えればbitモビルスーツを回収して、ガンダムXを修復、保管してあげるわ」
「貴方は直すべきだと思いますか、アレを……」
「もうダブルエックスっていう、サテライトキャノンを持ったガンダムがロールアウトしてい
 るんでしょう、だったらもう一機増えたって問題あるの?」

104:保守作品10
06/12/25 21:05:13
「アレはジャミル・ニートが乗っていた現物です」
「だから、何?
 手段は多いほうが良いでしょう、血濡れだろうが新品だろうが銃は銃よ。
 革命軍がまだ現役だなんて知らされたら、またコロニーが降って来るなんて知ったら、
 なりふり構っていられないわ」

 戦後を生き抜いたシーバルチャーは冷徹らしい、感傷よりも明日の生存を優先する人間なのだ。
 いや、もしかするとガンダムという象徴に拘っているのは軍人だけで、戦後を生き抜いた人々に
 とって、GXですらただのお宝に成り下がったのかもしれない。

「いつまで迷ったフリをしているの、貴方は使う為にGXを手元に置いているのよ。
 自分を誤魔化したってコロニーは待ってくれない。
 だったら一刻も早く修復して備えるべきでしょう」
「確かに正論ですね、けれど直した後に騙して売り払ったりするのがバルチャーの流儀じゃないん
 ですか?」
「傷つくこと言うわね。繰り返すけど嘘は言わないし、顧客は売らないわ」
「どうだか」
「証明してみせましょうか?
 前に貴方達と交戦した青いモビルアーマー、
 アレ、私が造ったのよ」

 シンは意味を理解すると同時に腰の拳銃を抜き放ち、再び男に突きつけた。

「話せ、あれに乗っている奴のことを」
「嫌よ、お客さんだも──」
 言い終える前に銃把で額を殴りつけ、足払いを掛けて転がす。
 すかさず銃口を額にめり込ませ、床と銃で頭をサンドイッチにする。
「もう一度言う、死にたくなければ話せ」
 圧倒的に不利な体勢にも関わらず、ルマークの眼光がいささかも衰えない。
「フリーのモビルスーツ乗りに売ったわ、
 軍を襲ったのはセインズアイランドがその人の第二の故郷だからよ」
 押さえつける力が、少し緩くなる。
「これ以上は守秘義務よ。自分で探しなさい」
「キサマの口を割らせる方が速い」
「無駄よ」
「バルチャーが客一人の為に命を棄てるか」
「客一人の為じゃないわ、私自身を賭けてるのよ」
 まっすぐな眼差しを向ける相手にシンはひるんだ。
「生き汚いバルチャーの台詞じゃない」
「武力制圧する連邦軍人より上等な生き方じゃなくて」

 シンとルマークは相手を射殺さんばかりに視線をぶつけ合った。



 続く、忙しければ忙しいほど妄想が浮かんでくる、駄目社会人だ。
 会話ばかり浮かんでくるんだけど、地の文が出てこないんだよねえ、困った。
 それと忘れちゃいけないGX1/144氏、乙に御座います。

105:通常の名無しさんの3倍
06/12/25 21:13:08
ちょwルマ-ク姐さん(♂)男前過ぎww

106:通常の名無しさんの3倍
06/12/25 21:32:19
保守乙!
GX氏といい、保守氏といい、ルマークをグッとこさせる使い方。

107:通常の名無しさんの3倍
06/12/27 21:46:49
保守

108:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 05:33:45
保守

109:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 16:59:06
 互いに睨み合う中、シンはこの男が正真正銘、命を賭けている事を認めざるをえなかった。
 同時にこの男に危害を加えたとして、自分を含めた仲間たちに何らかの報復がある事も、
 やはり認める他無かった。
「いいだろう、どうせ飲む以外に道はなさそうだ。
 だがそのパイロットは見つけ次第こちらで処理する、文句は無いだろう」
「当然よ、客は売らないけど、客のツケまで払う気は無いわ。
 これで商談成立ね」

 渋々銃をしまうと、端末からローレライの海における作戦情報をディスクにコピーする。
 ルマークは余裕たっぷりに立ち上がると、玉のお肌に瑕がついたなどと愚痴りながら、
 額の傷をハンカチで拭っていた。
 口も利きたくないシンは、無言でコピー済みのディスクを放り投げた。
 ディスクを受け取ったルマークはにんまり笑うと、
「確かに受け取ったわ、だけど対価が足りないわ」
「鉛弾も欲しいか?」
「冗談。ねえ前の市長が横領していた隠し財産があると思うんだけど……」
 全く忌々しい、そっちは口に出したことも無いというのに。

 指摘の通りシンは金塊を秘匿していた。別に財産にしようとした訳ではなく、
 軍の予算が足りなかった時に、内緒で運用しようと大事に取って置いたのだ。
「金塊が確かにあった。だが半分はカモフラージュで上に提出したぞ。
 それと金塊は貴様の仕事を確認した上で、かつG-bitが無かった時だけくれてやる」
「若いのにしっかりしてるわねえ、流石、私の見込んだ市長さんね」
「用件が済んだらすぐに失せろ、いつまでも俺が切れないと思わないことだ」
「はいはい、おっかないわねえ」

 肩をすくめて逃げ出すルマーク。
 帰りのドアの前でこちらを振り向かぬまま、ルマークはシンに問いかけた。
「ねえ隊長さん、今の時代に、たかが兵士一人の損失でそんなに怒っていたら、疲れなくて?」
 先ほどまでと声音が違うことに気づいたシンは、真摯に応えた。
「若いからな、仲間の死が堪えるだけだ」
「ウソ。戦後を生きてきた若者はもっとドライよ、死人を気にしてたら自分も死んでしまうって
 知っているから」
「アンタがバルチャーだから、そんな人間としか出会わなかっただけだ。
 俺はそんなに強くない」
 ルマークは視線だけシンに向けると、微笑んだ。
「そう、そういうことにしておくわ。それじゃあ貴方のために頑張ってくるわ。
 またね、隊長さん」
 ドアを閉めて、去ろうとする寸前、手が止まる。
 首だけ覘かせると、
「そうそう忘れてたわ、私のことが恋しくなったらシーサイドストリートの、Lilacって
 お店に連絡して頂戴」
 そう言い残し、今度こそ帰っていった。

「二度と来るな……」
 シンは目頭を押さえ机に突っ伏すと、盗聴器の排除を誰に任せようか考え始めた。

 続く保守。

110:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 19:15:09
>>109
乙!

よろしければ参考資料としてどうぞ(出典・まとめサイト)
URLリンク(gxportal.yh.land.to)

111:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 21:53:52
大晦日前に保守乙!

112:GX1/144 ◆W0Vy9L0Fcg
06/12/30 22:42:02 ExRQmk6+
第四十七話『”未来”を変える気、有るか?』(前編)

「基地司令室より入電! フリーデンの一部のクルーが脱走したそうです!!」
ゾンダーエプタの司令室から戦艦ゼノンのブリッジに一報が伝えられる。アイムザットは静かに目を開いた。
「フン…、奴らも行動を開始したか…。さて、我々も動くとするか。」
艦長席に座ったまま出港の準備を急がせる。ジャミル、ティファ、シンのとらわれた船の周りで、兵士達はあわただしく動き回っている。予定出港時間まで後30分、彼には時の過ぎるのがゆっくりと感じられた。


日は西の空に完全に落ち、空は満天の星空で埋め尽くされている中、ゾンダーエプタの中では銃弾と爆音が飛び交っていた。フリーデンのブリッジクルーとガロードたちMSパイロット、
そしてキッドとカガリはジャミルのシークレットコマンド『明日の夕日は見られない』に従い行動を起こしたのである。
 しかし、その行動は既に新連邦に知られており、牢屋からの脱走は成功したものの、ガンダムを奪い返して戦局を一気に引き寄せる作戦は失敗に終わることとなった。
今はガンダムの格納してあった部屋でコンテナを挟んで激しい銃撃戦を繰り広げていた。
「クソ!! 何でこっちの作戦がバレたんだ!?」
「そんなこと、俺が知るわけ無いでしょ!!」
サブマシンガンのトリガーを引いたままウイッツとロアビィは叫ぶ。脱走の準備にしても新連邦の兵士に知られないように細心の注意を払っていた。にもかかわらず、
敵がなぜ彼らの行動の先を行っているのか不思議でならない。
「お前ら、そんな事考えるのは後にしろ!!」
アサルトライフルのマガジンを交換しながらカガリも叫ぶ。銃声と爆音のおかげで普段話している音量ではまったく会話が成り立たないほどに格納庫は騒然となっていた。
「このままじゃ埒があかねぇ!! カガリ! 俺を援護してくれ!!」
「ハァッ!? なんだとッ!!?」
「ティファたちを助けに行く!!」
 言い終わらないうちにガロードは出入り口に向かって銃弾の雨の中走り出す。カガリも後を追おうとするが、コンテナの切れ間を狙って新連邦の兵士達が激しく弾丸を浴びせる。
「クソ!! ガロードの奴、どっかのバカに似てきたんじゃないか!?」
 言いながら武器庫から奪ってきた手榴弾のピンを口にくわえて引き抜き、新連邦の兵士達が隠れているコンテナに投げ込む。緩やかな放物線を描いた手榴弾は、兵士達が盾としているコンテナの前に落ち爆砕する。
爆風で敵の攻撃が止んだ瞬間をチャンスと見たロアビィは、すぐさま背中に背負っていたロケットランチャーを片手で持ち上げ、ガロードの行く手をふさぐシャッターに向かってトリガーを引いた。
弾は見事に命中し、シャッターにぽっかりと大きな穴を開ける。
「せっかく花道作ってやったんだ! 失敗したらただじゃ置かないからな!!」
「サンキュー!!」
煙の立ち込めるシャッターの穴にガロードが飛び込むのを見送ると、ウイッツとシンゴはほぼ同時に手榴弾を取り出す。
「さぁて、とっととここを片付けねぇとな!」
「ああ、敵はまだいっぱいいるもんな!」
カガリの肩では届かなかった兵士達のいるコンテナの向こう側、彼女よりも筋力のあるウイッツとシンゴはそれぞれピンを引き抜き兵士達に向かって思い切り投げはなった。


 格納庫を脱出したガロードは近くにいた兵士を脅して情報を聞きだした後、シンたちのつかまっている船のある港へ全力で走った。
ゾンダーエプタは周りを海で囲まれた完全な孤島、もし船でどこかへ逃げられてしまったならば追跡する術がない。
「ティファ…! 無事でいてくれよ……!!」
港に直行するエレベーターの中でガロードは乱れた息を整えながらティファたちの無事を祈る。彼女をさらう仕事を請け負っていなければ彼は今ここにいなかっただろう。
彼女がいたから、GXを見つけ、フリーデンに乗り、何度も死線を潜り抜けてきた。
フリーデン以外には利害関係の一致で組んだチームは有っても腰をすえて自分の場所を作ることなどしなかった。彼女との出会いが彼の何もかもを変えたのである。
「何が何でも、ティファを助ける!!」
エレベーターの到着音と一拍の間をおいてドアが開く。眼前で動き始めていた船に向かって、ガロードは走った。


113:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/30 22:44:32
第四十七話『”未来”を変える気、有るか?』(中編)

ティファァァァァァッ!!!

 ガロードの叫び声がティファの心に届いた。ブリッジで出港の様子を見せてやると連れてこられたジャミルとティファは四方を銃で武装した兵士に
囲まれ、ただ夢に見た彼女の運命に身を任せていた。だがガロードの声を、港を走るガロードの姿をみつけると彼女はいてもたってもいられなくなり窓際に走りよった。
「ガロード! ガロード!! ガロードォォッ!!!」
ジャミルですら、ここまで声を大にして叫ぶティファを見るのは初めてであった。ガラス越しにティファは叫び続ける。それまでおとなしかったティファの豹変振りに
あっけに取られていた新連邦の兵士達であったが、アイムザットに一喝されティファの腕をねじりあげて静かにさせる。
「ほぉう、逃げ出したクルーがここまでたどり着いたか。しかし、今少し遅かったな。」
ゼノンの後部に待機していたヴァサーゴとアシュタロンが港を走る生身のガロードに向かって容赦なくビームで攻撃を加えていく。ビームの着弾によって起きた爆炎の中にガロードの姿は消えた。


「くっそ~! どうすりゃいいんだよ!!」
ゆっくりと島を離れていく船を見ながらガロードは瓦礫の隙間から這い出した。
 生身の人間はビームの直撃に耐えることはできない。ガロードがこうして生き残る事ができたのは、ビームの着弾点から距離があったことと、
着弾により飛散する瓦礫を足場にし、必死に逃げ回ってわずかな瓦礫の隙間に身を隠したからであった。
 ティファに対する執念を糧に、ガロードは生き残ったのである。
「ガロード!!」
その様子を見ていたカトックは、ガロードを大声で呼んだ。右手に銃を構えたまま新連邦の制服を着た彼はまっすぐに彼を見据える。
こちらを向いたガロードが銃を向けられた状況の中で諦めていない様子を見て、感心した様子で唇の端を吊り上げた。
「…お前さん、”未来”を変える気、有るか?」
「未来を、変える?」
予想もしないカトックの言葉にガロードは戸惑いの声を上げた。カトックの話は続く。
「あのお嬢ちゃんが言ってたぜ、”お前にはもう会えない”って。ガンダムは船が牽引しているあのコンテナ船の中だ。アイムザットの野郎、
ニュータイプ研究所とのコンタクトの手土産にするらしい。」
「”ニュータイプ研究所”だと?」
「やるのか! やらないのか!! どっちなんだ!!?」
カトックは有無を言わさずこの場での即決を求める。ガロードの中での答えは最初から決まっている。だが、フリーデンがつかまる原因となった男のことを簡単には信用できない。
「…なぜ俺達の味方をする?」
「へっ! …未来が見えてたまるか、ニュータイプとやらの鼻をあかしてやりたい、それだけさ。」
 カトックの口調はまじめなものではなかったが、彼の目は真剣そのものだった。



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