06/11/15 18:59:10
1.
四つのモノアイがギラリと輝いた。シャアは、前方のガモフを見ると、部下達に攻撃命令を与える。
「ララァとデニムはローラシア級を落とせ。スレンダーは私について来い」
「少佐、お気をつけて……」
シャアとスレンダーのMSがガモフを追い抜く。それを見届けたザク改と足のない白いザクはガモフを挟むように展開した。
それを見るやいなや、ガモフの艦長は薄ら笑みを浮かべる。2機とも対艦戦闘用のバズーカを装備していないのだ。白いザク
に至っては、武装すらしていない。
「フッ、ハエを撃ち落せ!」
ガモフから対空砲が放たれる。2機のザクはそれを避けると、ララァがデニムに命じた。
「デニム曹長! 対空砲を落とします! 離れてください」
ララァは命じると、精神を集中させる。次の瞬間、白いザクの両腕が本体から切り離された。
「な、なんだ!?」
ガモフの艦長はその光景に愕然となるが、彼にはそのような事をしている暇はなかった。
五つ並んだ閃光がガモフを貫き、一撃で対空砲火を破壊する。再び別方向から閃光が走ると全ての対空砲を一掃した。
「バ、バカな!!」
その閃光は、白いザク―サイコミュ高機動試験用ザクの指先から放たれた5連装メガ粒子砲である。これはニュータイプ
の発する特殊な脳波であるNT波を利用し機体内外の装置の制御を行なうシステム『サイコ・コミュニケーター』を搭載した
NT専用機で、それを使って連合のガンバレルのように、オールレンジ攻撃を可能とした機体なのだ。
「曹長!」
「了解であります!!」
対空砲を失ったガモフは、もはやまな板の上の魚も同然だった。
「ザフトめー! ジーンの仇だ!!」
叫びながらデニムは、獲物に向かってザクを走らせた。
「“赤い彗星”だと!? おもしろい……このイザーク・ジュールが落としてやる!!」
ストライクと対峙していたイザークはキラの力量に満足していなかった。その為シャアの存在を知るとデュエルの向きを変え、
そのザク目掛けてスラスターを吹かす。
「待てイザーク! 一人じゃ危険だ!!」
アスランは飛び去るデュエルを追おうとするが、ふとキラの方を目をやる。
「……キラ、お前とは次の機会に話そう」
言うとシグーをデュエルが向かった方向へ走らした。
「アス……ラン……」
キラはその姿をただ眺めているしかなかった。