06/11/11 23:17:30
>>498
ドラッツェは上半身ザクだから間違ってないと思うが・・・
501:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:19:18
>>496
理事国はプラントから資源を輸入してたし、種世界って資源は宇宙の方があるんじゃないか?
502:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:54:57
>>497
グフとドムの中間に位置するイフリート位かな
グフとのコンペに負けて少数生産されているという設定だから
生産ラインはグフに比べると格段に少ないんだろうし
エース専用か指揮官専用と考えたほうがよさそう
503:51
06/11/12 00:32:40
ドラッツェか……
どんな武装がいいかな?
504:51
06/11/12 00:35:33
3.
艦内の一室でキラと友人達は身を寄せ合っていた。
「俺達……どうなるのかな……」
どうしようもない不安をカズィが口にする。当然だろう。自分達の住処が崩壊し、
親兄弟とは引き離され、生きているか死んでいるのかさえ分からない。“平和の国”
中立国オーブに住んでいた彼らにとって戦争はTVの中の出来事だった。しかし、
その戦争が目の前で行なわれたのである。
「はーい! みんな元気?」
扉が開きクリスが入ってくる。キラ達の様子を見に来たのだ。
「いい知らせよ。後2時間ほどでアルテミスに着くわ。そこでみんな降りてもらうからね」
「本当ですかクリスさん!」
「私が上に掛け合ったんだからね。感謝しなさい」
サイ達はホッと胸をなで下ろす。ただ、キラは違った。
「クリスさん、ザフトはどうなったんです?」
キラはアスランが気になっていた。親友が、またこの艦を襲撃するかもしれないのだ。
そんな心配をよそに、クリスは笑いながら答える。
「大丈夫! さっきの戦闘であらかたジンは落したし、こっちにはMSだって2機あるし……」
「でも連合のMSが何機か奪われたんですよね?」
「問題ないわ。そもそも連合のMSを造ってたのは私達よ。性能は把握してるわ」
そうクリスは言うが、それでもキラの不安は尽きない。
「でも……」
「はいストップ」
キラの口元に指を当てて微笑んだ。
「とにかく、お姉さんを信じなさい」
顔を近づけられキラは赤くなった。
505:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 00:35:49
基本的にはザクを踏襲でいいかと
ザク並のコストと装甲で機動力アップ、汎用性ダウン、てのがドラッツェだと思う
506:51
06/11/12 00:36:43
<マッケンジー中尉! 至急ブリッジへ!>
艦内アナウンスに、クリスははっと頭を上げる。
「ゴメンね。呼び出されちゃった」
掌を合わせポーズを取りながら、クリスは部屋を後にした。その姿を見送るとキラは更に悩む。
(ザフトが攻めてきたのか? アスランなのかな? 僕はどうしたら……)
相手はコーディネイターだ。性能だってOSを最適化させて向上させるだろう。MSが合っても
アークエンジェルに勝ち目があるとは思えなかった。
(でも僕は戦いたくなんかない……)
しかしコーディネイターである自分が戦えばザフトを退けるかもしれない。
「コラーッ! なに赤くなってんだ!!」
悩んでるキラをトールがからかう。キラはトール達の顔を一人一人見た。
(クリスさんはああ言ってたけど……)
「キラ?」
(やっぱり僕は……)
キラは立ち上がり、仲間達を見回した。
「行って来るよ」
「何言ってんだよキラ」
「僕は……コーディネイターだから」
そう言って、キラは部屋を飛び出した。
507:51
06/11/12 00:37:30
4.
クリスがブリッジに着くと皆慌しかった。
「大型の熱量感知! 戦艦のエンジンと思われます。距離200、イエロー3317マーク02チャーリー、進路ゼロシフトゼロ!」
「同方向へ!? 気づかれたの?」
「だがだいぶ遠い」
「目標、本艦を追い抜きます!―艦特定! ナスカ級です!」
「チィ! 先回りして、こっちの頭を抑えるつもりだぞ!」
「ローラシア級は?」
「待って下さい……本艦の後方300に進行する熱源! いつの間に……」
「やられたな」
これはアークエンジェルを挟み撃ちにする形になる。こうなるとローラシア級に追いつかれる、
もしくはエンジンを使って逃走したところをナスカ級が転進してくるのどちらかだ。
「おい! 2隻のデータと宙域図、こっちに出してくれ」
「なにか策が?」
「それは、これから考えるんだよ」
ムウが叫んだその時、ブリッチにキラが入ってくる。
「坊主!?」
キラはムウを見ると、覚悟を決めた。
「僕に、僕にガンダムを使わせてください!」
「貴様何を言っている!?」
「ザフトが来るんですよね。僕が戦います」
「ふざけた事を言うな! 民間人においそれとMSを与えるわけが……」
「僕はコーディネイターです!!」
ついにキラは自分の正体を言ってしまった。
508:51
06/11/12 00:38:41
その場にいた兵士たちが一斉に銃を構える。
「僕はMSを動かせます! だから!」
「コーディネイターだと、拘束しろ!!」
複数の兵士がキラを床に倒し押さえつける。これがこの戦争の一つの図式なのだ。
「待て! お前らやめろ!」
「ナタル! やめさせなさい!」
ムウとマリューが止めに入るがナタルも引かない。
「何を言っているのですか!? 相手はコーディネイターなのですよ!!」
興奮冷めやらぬなか、パオロを診ていたセイラが発する。
「皆さん静まりなさい!!」
それは威厳のある一言だった。瞬間ピタリと騒動がやみセイラのほうを振り向く。
「艦長からお話があるそうよ」
見るとパオロは目を開けていた。
「少尉、彼を解放したまえ……」
「しかしっ!!」
「これは命令だ……」
軍人にとって命令は絶対である。ナタルはキラの拘束を解かした。
「キラ……君と言ったね。……話してみなさい」
ゆっくりと、静かな声で語りかける。
「先程も言いましたが、僕はコーディネイターです。だからOSを書き換えてMSを動かしました」
皆が黙ってキラの言葉を聞いている。
「戦いたくはありません。でも、この艦には友達が乗ってます。僕も死にたくはありません。だから……」
「MSに乗せろと言うのか!?」
「少尉……ッ!」
痛みをこらえてナタルを制する。
「艦長!」
「……大……丈夫だ。それより、彼をストライクに乗せたまえ」
「し、しかし彼はコーディネイター……」
パオロはナタルを見据え続ける。
「オーブの民間人だ。ザフトの兵士ではない」
「……了解しました」
「皆、聞いてくれ……状況は切迫している」
苦しそうに身を乗り出し、艦橋にいる全員を見る。
「まずは落ち着こう。そして作戦会議を行なおうではないか」
――つづく
509:51
06/11/12 00:41:03
うーむ。シャアが出てこないね~。
もう少しで出るので待っててください。
それとシャア&ララァの相手決まりましたので……。
510:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 02:24:15
ドラッツェ
URLリンク(ja.wikipedia.org)
改修案としては40㍉バルカンをザク2改が持つ90㍉マシンガンとシュツルムファウスト
を持たせるだけでベテランならかなりの戦火を上げてくれそうだ
機動性はリックドム並らしいしな
511:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 03:03:52
>>510
もうリックドムいらない気が
512:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 03:44:14
どうも、>>375でゲリラ戦リクしてた者です。
リビア砂漠のガルマvsバルトフェルド戦、結局自分で書いてみました。
>>365を見て、そのあまりの熱さに創作意欲を抑えられませんでした。
勢いだけでろくに資料も揃えず(wikiは見ました)、悪ノリしまくっていますが、
せっかく書いたので投下させていただきます。
>51様
今回もGJです。キラをかばうパオロ艦長がすごくかっこよかったです。
さて、上記のとおり、私もあなたの作品の3次創作を投下させていただきます。
楽しんでいただければ幸いです。
>>485様
>>461では気を使わせてしまったようで申し訳ありません。
上記のとおり、結局、自分で書いてしまいました。
資料が揃えば書いてみたいとのこと、私もいち読者として読んで見たいです。
書きあがりましたらぜひ投下してください。
513:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:45:42
第1次リビア会戦 ~ガルマvsバルトフェルド~
MSの動力炉変更による作戦の遅れを取り戻すべく、破竹の勢いで進撃していたガルマ・ザビ率いるジオン地球方面軍は、ついに
ユーラシアからアフリカへと侵攻した。
しかしこの地には、地球連合軍アフリカ駐留部隊を手も無く蹴散らし、いまや“砂漠の虎”の異名で恐れられるザフト軍北アフリ
カ駐留軍司令官、アンドリュー・バルトフェルドが待ち構えていたのである。
バナディーヤ攻略へ向け、カイロで戦略を練っていたガルマは、ザフト接近の報を受けリビア砂漠へと進軍を開始した。
「“砂漠の虎”……お前はどう見る?」
「そうですな。ガルマ様はどうお考えで?」
質問を質問で返されたガルマは、しばしの黙考の末、小声で自分の考えを述べた。
「正直、分が悪いと考えている。数ではこちらが上回っているが、我々は砂漠を知らなさ過ぎる」
マ・クベはその答えに「ほう…」と内心で唸った。ガルマの考えが彼のそれと同じだったこともあるが、それ以上に、自分だけに聞
こえるよう、わざわざ声を絞ったことについてである。司令官として、味方の士気を落としかねない発言を控える、と言う判断ができ
ていたからだ。
(このお方は、案外化けるかもしれない)
そんな心中をおくびにも出さず、マ・クベはガルマへと、やはり小声で話しかけた。
「私の考えも同じです。今日のところは様子見と考えて、適当なところで引き上げるのがよろしいかと」
当然のことだが、ジオンにもプラントにも砂漠は存在しない。砂漠の陽炎による照準の狂いや、砂地による接地圧の変化など、ジオ
ン軍は進軍しながら調整を試行錯誤するしかなかった。未だ全ての兵器の調整が終わらぬ現状では、砂漠という地形での勝利を重ねて
きたバルトフェルドに対しての勝機は非常に少ないだろう。
ガルマはマ・クベの進言に硬い表情で頷くと、今回の戦略について確認を始めた。
それから1時間後、ガルマの眼前にはザフトの先鋒部隊の姿があった。
「あれは地上戦車か?」
「ザウートと呼ばれるMSです。安定性の高いキャタピラと高い火力で制圧戦を想定しているのでしょう」
「なるほど、あれがザフトの砂漠戦の答えと言うわけか。無限軌道で砂地に対応し、機動力を火力で補う。確かに理に適ってはいるが、
当たらなければどうと言うことは無い。砂漠の虎、噂ほどではないな」
ガルマはふっ、と笑うと、高らかに宣言した。
「ミノフスキー粒子撒布終わり次第、マゼラアタック大隊は攻撃を開始せよ! ドップはアジャイル(戦闘ヘリ)を墜とせ!」
「MS部隊はどういたしますか?」
「敵の旗艦の姿が見えないからな。まだ温存する」
もちろんこの命令は、砂漠戦の調整が終わっていないMSよりも、安定性の高い戦車部隊の方が良いという判断にもよる。
かくして、ガルマとバルトフェルドの長い戦い、その第1ラウンドが始まった。
514:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:46:52
「ええい、ふざけているのか、ジオンは!」
ザフト先遣隊隊長のダコスタは、そのあまりに一方的な戦いに怒りをあらわにした。
戦いは圧倒的にジオン有利で展開している。
ミノフスキー粒子によってレーダーとロックオンを封じられたザウートは、その最大の武器である火力を事実上封じられ、機動力に
勝るジオンに翻弄されていた。
「裏切り者のジオンめ、舐めるな!」
キャノン砲での攻撃をあきらめ、重突撃機関銃で突貫したザフト兵は、マゼラアタックの「的にしろ」と言わんばかりの、砲塔と一
体化した高いコクピットを狙う。しかしそれは、突如宙へと浮かび上がった砲塔により回避された。そして死角となった頭上から、マ
ゼラトップの175mm無反動砲が襲い掛かる。
「な、なんだそりゃあ~!?」
それが彼の断末魔となり、また1機のザウートが沈んだ。
砲塔を宙に飛ばせて戦車の頭上を狙うという常識外れの機構を持つマゼラアタックは、相手が動きの鈍く巨大なザウートであることも
幸いし、意外にもその特性を最大に生かして多大な戦果を挙げていた。
ザウート部隊の唯一の希望であった有線制御式ミサイルを持つアジャイルは、空力特性を度外視して広い視界を確保したドップにドッ
グファイトに持ち込まれ、援護もままならず撃墜されていく。
もはや完全に趨勢は決まったかに思われた。
「マ・クベ、指揮を頼む」
ガウ攻撃空母のなかでその様子を見ていたガルマは、おもむろに艦長席から立ち上がるとそう言った。
「ガルマ様何を? すでに大勢は決しました、増援が来る前に手はずどおり引き上げるべきでは」
後退を進言するマ・クベにガルマは前髪をクルクルといじりながら、
「敵の戦力を削っておくに越したことは無い。引き上げはこの部隊を壊滅させてからでも遅くはないさ。それに、私も勝ち戦で敵の1機
も墜としておかないようでは、シャアに笑われてしまうからね」
と言って、ブリッジを出て行ってしまった。
間も無く、専用のドップで出撃したガルマは、すぐにその判断を悔いることになる。バルトフェルド隊旗艦レセップスが、砂塵をあげ
て向かってきたのである。
515:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:47:49
レセップスの登場によって、戦況は一変していた。かの艦から出撃した4足獣型MSバクゥは、圧倒的なスピードと機動力によってま
たたくまにマゼラアタックを駆逐したのである。何機かのマゼラトップは残っているものの、数分しか飛行能力を維持できないため、遠
からず全滅するであろう。
この事態に慌てて繰り出されたザクとグフは、転倒こそ無かったもののその動きはぎこちなさを隠せず、調整が間に合った機体も、コ
ーディネーターの反応速度とバクゥのスピードについていけず次々と破壊されていった。
また空中においても、機動力と小回りの良さを併せ持つディンの前に、ドップもドダイに乗ったザクもついて行くのが精一杯であった。
「ちぃっ! おふざけでないよ、この犬っころが!」
シーマ・ガラハウが毒づきながらマシンガンでバクゥを狙う。しかし、バクゥはそれをあざ笑うかのように鮮やかにホバーをふかして回
避した。
初期型のバクゥには、ビームサーベルは装備されていない。そのため、バクゥ部隊は常に距離をとってレールガンで狙撃する、アウト
ボクシングのような戦い方を徹底していた。接近してくればまだチャンスはあったものの、その高い機動性を生かした戦い方の前では、
最古参兵のシーマですら翻弄されるしかなかったのだ。
「仕方ない……コッセル、クルト、一旦後退するよ」
言うが早いか、シーマはけん制の弾幕を張りながら下がり始める。
「いいんですかい!?」
「このままじゃいずれやられちまう。まともな指揮官なら、ここいらが引き際だってわかるはずさ。ザビ家の坊ちゃんが何考えてるか知
らないが、それに付き合って無駄死にすることはないよ」
無論、「まともな指揮官」たるマ・クベはすでに撤退の判断を下していた。しかし、これほどの劣勢においてなお、彼らが撤退できない
理由があったのだ。
「だからあの時、引き上げるべきだと言ったのだ!」
マ・クベは歯軋りをしながら、作戦前、わずかでもガルマを認めたことを恥じ、彼の出撃を止められなかった自分を罵った。彼が敬愛す
るキシリアの弟でなかったら、当の昔に適当な理由をつけて見捨てていたかもしれない。
「ガルマ様は!?」
「ダメです! 未だ、敵MSの包囲網に捕らわれています!」
「ええい、あのお坊ちゃんめ……! 何故私は、あれを力づくでも止めなかったのだ!」
マ・クベは苛立ちもあらわに拳を叩きつけた。
516:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:48:33
ドップで出撃したガルマは、制空権を取り返すべく現れたディンに囲まれていた。専用カラー、そしてなによりザビ家の紋章をつけた
機体に乗るガルマは、ザフトにとって格好の獲物に他ならなかったのだ。
「各機! あの戦闘機は何が何でも捕獲しろ! ……ふ、いけないねえジオンのプリンス君。指揮官が不用意に前線に出るようでは」
「それをわかっていらっしゃるのでしたら、レセップスのブリッジから出ないでください」
自らバクゥに乗って一暴れした後、何事もなく帰還したバルトフェルドのセリフに、かろうじて生還したダコスタが文句を言う。
「そういうなよダコスタ君。自分で戦ってみて初めてわかることもある」
肩をすくめて答えると、バルトフェルドは頭上で展開される空戦に意識を向けた。
ガルマは焦っていた。
士官学校の同期で親友であったシャアは、華々しい戦果とともにトップエースとしての地位を確固なものとしているのに、自分は安全
な後方にいること。
ようやく地球方面軍司令として前線に立つ機会が与えられれば、その実、指揮官としての判断はマ・クベに頼りきりになっていること。
専用機を得ていながら、撃墜数が振るわないこと。
生まれの幸運だけでこの場にいることを、彼は認めたくなかった。だから、独力での手柄を立てたかったのだ。だがその結果、彼と彼
の部隊はかつてない危機に見舞われていた。
「うおおっ!?」
必死で操縦桿を引き、機体を立て直しながら、ガルマはかろうじてディンの重突撃機銃をかわした。そのまま速度を上げて振り切ろう
とするが、すかさず別のディンがその行く手を阻む。ガルマはなんとかガウに帰艦しようとするのだが、それを百も承知のディンはガル
マとガウの間に防衛ラインを引き、帰艦を封じているのだ。一方のガウも、現在はなんとかドダイ使用のザクとドップの残存戦力によっ
て撃沈を免れている状態であり、撤退ならともかくガルマ救助のため前に出るなど自殺行為でしかなかった。
「このままでは……」
ガルマは必死で機体を操っていたが、護衛のドップは1機また1機と数を減らしていき、ついに彼自身も背後を取られてしまった。
「しまった!」
機体を小刻みに振って揺さぶりをかけるが、背後のディンはそれに惑わされること無く散弾銃を構える。振り返ったガルマは、張り出
した風防から、自分を狙った射撃を正面から見ることになった。
(ダメか……ならばせめてザビ家の男として、あの陸上戦艦に一矢報いて……)
スローモーションで迫ってくる散弾を、どこか非現実的な光景のように見ながら、ガルマは悲壮な決意を固める。しかし。
「ガルマ様っ、危ねえーっ!」
ガルマの視界が何かにさえぎられると、轟音とともにそれが火を噴いた。ガルマには、それが自分の護衛の最後の1機だということに
気付くのに、数瞬の間が必要だった。
「た……タナベーっ!」
バーニアに直撃を食らったタナベ機は姿勢を制御できず錐もみに墜ちていく。ガルマはそれを、回避運動も忘れて呆然と見ていた。
部下が死ぬのは初めてではない。士官学校時代の友人が戦死したと聞かされたときも、戦争なのだから仕方がないと割り切ることが出
来ていた。しかし今、自分の目の前で、自分をかばって命を散らした部下の姿を目の当たりにした時、ガルマは、言いようの無い悔しさ
と哀しさと申し訳なさ、そして激しい怒りを感じた。
「すまない……タナベ……すまない」
絞り出すように謝罪の言葉を口にする。そして、憎悪に染まった瞳で目前の敵を睨みつけた。
「貴ィ様ァらーっ!!!!」
―その瞬間、ガルマの頭の中で『ナニカ』がハジケタ。
517:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:50:12
バーニアを全開にして正面のディンに突撃する。ディンは慌てた風も無く機体を右へ滑らせると、余裕を持ってその突進をかわした…
…つもりだった。
ガルマは左のバーニアのみを全力でふかし、回転しながらもディンを正面に捉え続けた。果たして放たれた機銃は過たずディンを蜂の
巣にする。体勢を立て直して急上昇すると、ループを描いて頭上から急降下しながら1小隊に銃弾の雨を降らせた。素早く散開したディ
ンだったが、逃げ遅れた1機が翼を砕かれて墜落する。動揺したディンに、今度は急上昇しながら真下からの攻撃を加え、破壊する。わ
ずか1分で、3機のディンが撃墜された。
バルトフェルドは、その戦いから目が離せなかった。
「まいったね……まさか彼が、ジオン・ズム・ダイクンが主張した“ニュータイプ”ってやつなのかな?」
「“ニュータイプ”?」
怪訝そうな顔をして尋ねるダコスタに、バルトフェルドは冷や汗を拭いながら、
「冗談だよ。冗談でも言わなきゃやってられないさ。あんな無茶な戦闘機で、ディンがなすすべも無いんだからねえ」
おどけた風に答えたものの、その顔に笑みは無かった。
「一旦引き上げだ、ダコスタ君。これまでの戦果でも、ジオンに与えた損害は充分すぎる。これ以上勝ち戦に泥を塗るべきじゃないよ」
その間にも、ディンは次々にやられていく。すでにガルマを囲んでいた隊は壊滅し、今はガウの攻撃部隊がその猛攻にさらされていた。
「うおおおおおおおおっ!」
今まさにガウを襲わんとしていたディンに狙いを定める。ディンは両手両足を撃ち抜かれバランスを崩しながらも、どうにか飛行して
撤退しようとする。しかし、ガルマはそれを許さなかった。最後の機銃弾が撃ち放たれ、ディンはコクピットを打ち抜かれて停止する。
それは、偶然にもガルマ機回収のため格納庫を開いていたガウの中に墜ちていった。
すかさず消化剤がまかれ、ディンが回収される。続いて推進剤を使い切ったガルマも、そこへ無事着艦したのだった。
518:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:51:38
ガルマの登場で持ち直したジオン空軍は、ディンを押し返すことに成功した。さらにレセップスから信号弾が上がり、バクゥら地上部
隊も撤退していく。しかし結果は、マゼラアタック大隊は壊滅、MSの損耗率も30%を越え、ドップ部隊もその大半が撃墜と、ジオン
の紛れも無い大敗であった。
ガルマはガウに帰艦すると、緊張と疲労からバッタリと倒れた。マ・クベはそれを聞いて再び頭を抱えたが、粛々と撤退の指示を出し、
ガウをひと足早くカイロへと向かわせた。そして自身は地上のダブデに降り、地上部隊の後退の指揮をとることにした。
「さて、問題は誰をしんがりにするかだが……」
後退の際、最後尾を任されるしんがりは、敵の追撃を抑える最も重要であり、また最も死亡率の高い部隊である。彼は、各中隊から損
傷の少ない部隊を集め、その中から選ぶことにした。
(やれやれ、厄介な役目を押し付けられたもんだね)
シーマはひとりごちると、ブリーフィングルームを見渡した。
早々に後退の判断を下したシーマ隊は、最も損傷の少ない小隊の一つだった。それゆえ、彼女は上司であるアサクラによって、いやお
う無くしんがり部隊に推挙されてしまったのだ。
アサクラの目的はわかっている。部下の手柄を横取りして、自身の出世に利用するつもりだろう。開戦当初からシーマたちを最前線に
派遣し続け、自分は安全な場所でその手柄だけを得ていた男を思い出し、シーマは反吐が出る思いだった。
(もっとも、こいつらの方がマシかっていうと、どうなんだろうね?)
シーマは冷めた目で、自分以外の3人の男を見た。ノイエン・ビッター、ランバ・ラル、デザート・ロンメル。いずれも地球方面軍にその
人あり、といわれる軍人だ。彼らは皆、自ら志願してこの任務に就いている(表向きには、シーマも志願と言うことになっている)。
「では、やはりゲリラ戦を仕掛けて時を稼ぐのが最良と言うことか」
この4人の中では階級が最も上であるビッターが、自然、議長として場をまとめる。
「私も賛成です。真正面から仕掛けても勝ち目がない以上、本隊の盾となるよりは我々から仕掛けるべきかと」
ロンメルが賛成し、ラルは無言で首肯した。
「うむ。シーマ殿はどう思う?」
最後に、ビッターがシーマに意見を求めた。3人の視線が、シーマに集中する。
「反対だね。あたしはあんたたちと違って、自殺願望はないんだよ」
「なんだと!? 貴様、それはどういうことだ! 我らはジオンの理想を実現する礎として、ガルマ様を助けるために……」
「それが自殺願望だってのさ。あたしは、ご立派な理念のために犬死にするつもりはさらさら無いんだよ」
ロンメルが激昂し、シーマが挑発する。見かねて、ビッターが割って入った。
「やめんか! シーマ、理由を聞こう。ゲリラ戦では勝ち目がないということか?」
ビッターの言葉に、シーマは自らの考えを語り始める。
「あの犬っころ(バクゥ)の性能は見ただろう? ザクで相手にならない以上、下手に仕掛けたところで、消耗するのはこっちの方さ。お
まけに機動力でも向こうが上だから、逃げられるとも思えないしね。だいたい、あのだだっ広い砂漠で、どこに隠れて戦おうってのさ」
「なるほど、確かに一理ある」
今までゲリラ戦を主張していたラルがシーマの意見に同調した。これにはビッターもロンメルも驚いたが、ラルは構わず続ける。
「シーマの危惧は、わしも考えてはいた。それを補う策も無論用意してある。だが、“虎”相手では同じ手は何度も通用すまい。やつが
撤退するまで、果たしてそれが持つかはわからん」
ラルは一同を見渡すと、不敵な顔で言った。
「ならば、最初の1戦で決着をつけるというのはどうだ?」
519:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:52:32
「シーマ」
ブリーフィングを終え、作戦の準備にかかろうとしたシーマは、ラルに呼び止められた。
「礼を言うぞ。お前のおかげで、勝機が見えたわ」
意外なラルの言葉に、シーマは焦ったように答える。
「やめておくれよ、こそばゆい。あたしは、自分が死にたくなかっただけさ」
「そういう視点も、戦場では必要なのだ。お前のような現実的な見方のできるものがな」
そう語るラルを見て、シーマはふと、彼が何故この任務に志願したのか訊いてみたくなった。
「あんたは、なぜ志願したんだい? 正直、こんな任務で生き残れる可能性なんてほとんどないだろう?」
するとラルは、真顔のまま、
「わしの出世は、部下たちの生活の安定に繋がる」
と、言ってのけた。
「は、ははははは! いいね、あんた。ジオンの理想うんたら言い出すヤツよりずっといい」
過酷な戦場で、いつのまにか生き残ることが全てになったシーマとは似て非なる、思いもよらない理由だった。しかしそれゆえ、ラン
バ・ラルという漢が、その俗物的でありながら温かい「戦う理由」が、彼女にはひどくまぶしかった。
(私の上官も、あんたみたいな男だったらね……)
シーマはひときしり笑うと、真面目な顔になって手を差し出した。
「気に入ったよ。あんたの大博打、あたしも一口のらせてもらおうじゃないか。この作戦、絶対に生き残るよ」
「うむ。だが、重要なのは、作戦を成功させられるかどうかだ」
しっかりと釘をさすラルの職業軍人ぶりに苦笑しながら、しかしシーマは固くその手を握った。
ジオン後退の報を聞き、バルトフェルドはすぐさま作戦会議を開いた。
「追撃するんですか!? しかし、我が方の損害も甚大です。ザウートは壊滅しましたし、ディンの数も半分近く減っています」
「ザウートなんて飾りだよ、ダコスタ君。偉い人たちはそれがわかっちゃいない」
鼻で笑いながら、平然と上層部批判をすると、バルトフェルドは続ける。
「バクゥはほぼ無傷だ。そしてバクゥがあれば、我々は砂漠では無敵だ。違うかね?」
自信に満ち溢れた言葉に、その場に居た者が次々とうなずく。
「しかし、またガルマ・ザビが出てきたら……」
ダコスタがさらに言い募る。
「その心配は無いよ。彼を収容したガウはすでに離脱している、今から襲うのは足の遅い地上部隊だ」
バルトフェルドは自身の戦略を説明する。
「まずは敵の数の優位を崩す。そして、地球方面軍をアフリカに釘付けにするんだ。そのあいだに味方が他の拠点を押さえてくれる」
そしてニヤリと笑うと、言った。
「ジオンのヤツラに教えてやろうじゃないか。“砂漠の虎”の恐ろしさをね」
520:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:53:51
翌朝、負傷者と損傷した機体をバナディーヤへ下がらせると、バルトフェルドは追撃を開始した。
「隊長! レーダーに異常発生。おそらくミノフスキー粒子です」
「来たな」
バルトフェルドはバクゥを出撃させると、先行させた。まもなく、敵MS発見の報告が上がる。
「ザクが2小隊ほど、展開しているようです。敵本隊の姿は見えません」
「待ち伏せ……いや、足止めか。本隊を逃がすために時間を稼ごうという腹か。健気だねぇ」
バルトフェルドは決して敵を軽んじてはいなかった。ジオン地上部隊の名だたるエースたちの情報も得ていたし、伏兵や罠の可能性も
充分に承知していた。
「良し、攻撃を開始しろ。ただし、罠の可能性もある。地雷があるかも知れんから、正面からは行かずに回り込んで挟み撃ちにしたまえ」
だから、並大抵の相手なら、小細工ごと踏み潰してザフトは勝っていたはずだ。
「さあ諸君、戦争をしにいこうか」
彼の敗因は、唯ひとつ。敵が、ジオンの誇るゲリラ戦のプロフェッショナルだと知らなかったことである。
正面を無視して、大きく迂回しながら展開したザフトの姿を見て、ロンメルは皮肉気に笑った。
「さすがに真正面から正々堂々来るほど馬鹿ではないか。だが……」
ニヤリと笑って、手に持ったスイッチを押し込む。
「我々も、貴様らとまともに戦うつもりは無い」
次の瞬間、砂地に埋設された地雷がいっせいに爆発した。
「地雷!?」
目の前で起こった爆発にダコスタが目を見張った。
「落ち着け、ダコスタ君! レセップスを停止されろ! 爆心地は!?」
動揺する副官を叱咤し、バルトフェルドが矢継ぎ早に指示を出す。
「艦正面、及び敵部隊の周囲です。バクゥの展開していた地帯ではありません」
「被害なし……? 暴発か?」
敵の意図を計りかねて怪訝な声を出すダコスタと対照的に、バルトフェルドのそれには焦りが生じていた。
「しまった……! 目くらましか!」
爆発で巻き上げられた砂が視界をさえぎっていた。ミノフスキー粒子の効果で電波が、砂漠の熱で熱反応が封じられている上、信号弾
や光信号による通信も封じられたことになる。
「ダコスタ君、ここは任せる! 全周囲を警戒して、いつでも緊急発進できるよう備えておいてくれ!」
「待ってください、隊長はどこへ!?」
「通信が出来ないなら、直接向こうに行って指揮を取るしかあるまい? バクゥで出る!」
それだけを叫んで、バルトフェルドはブリッジを飛び出した。しかしこのとき、すでに先行したバクゥ部隊は熱砂の蜉蝣の恐怖を味わ
わされてていたのである。
521:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:55:18
バクゥ隊は、突如起きた爆発と砂煙の前に足を止めていた。異常事態に動揺したこともあるが、未だ爆発していない地雷の存在を警戒
してもいたからである。しかし、高機動性を誇るバクゥにとって、動きが止まると言うことは命取りに他ならなかった。
突如として1機のバクゥの足が捕まれた。わけもわからぬまま引き倒され、混乱するパイロットの目に飛び込んできたのは、鈍く光る
モノアイの光、そして―
「ふふふ、よりどりみどり」
接触回線からの、サディスティックな声だった。
砂の中から現れたのは、砂漠迷彩を施されたザク……ザク・デザートタイプである。しんがり部隊のため、破格の待遇によって供与され
たこの機体は、ジオンの砂漠戦の現時点での切り札の1つだった。
仰向けにされ、無防備になったバクゥの胴にヒートホークを叩きつけて沈黙させると、シーマは素早くクラッカーを投擲し、周囲の
バクゥの出鼻をくじく。そこに、ロンメルたちの集中砲火が加えられた。
持ち味を発揮できないまま沈んでいくバクゥを満足そうに眺めると、シーマはからくも離脱した数機に舌なめずりして向かっていった。
「さあ、ワンちゃんたち、オイタは終わりだよ。おしおきの時間さね……!」
奇襲に冷静さを失ったザフト軍は、攻撃を集中され、次々と撃破されていった。
「始まったな。アコース、コズン、我々も往くぞ」
迷彩シートを剥ぎ取り、半身を砂の中に埋もれてさせていたMSが立ち上がった。その前方には、無防備に横っ腹をさらしたレセップス
の姿がある。先頭に立つ青のグフは、マゼラトップ砲を構えて砂地を駆け出す。
「この風、この肌触りこそ、戦争よ!」
パイロットの太い笑みとともにグフが放った175mm無反動砲が、レセップスの主砲を破壊した。
今まさに格納庫から出撃しようとしたバルトフェルドは、突如襲った振動に動きを止めた。
「どうした、ダコスタ君!」
「伏兵です! 左舷の主砲がとられました! 砂漠迷彩のザクが2機と、青色の新型です!」
その言葉に、バルトフェルドの顔が苦渋に歪んだ。
「“青い巨星”か!」
その名は、ジオンのエースパイロットのなかでも、バルトフェルドが最も警戒していた男だ。単に腕が良いというだけではない、統率
力と戦術眼に優れ、なにより戦場という物を誰よりも知っている男。
「ダコスタ君、僕が発進したらすぐにレセップスを下がらせたまえ! 今残ってるバクゥは借りていく」
言うが早いか、バルトフェルドはレセップス護衛用のバクゥを引き連れてグフへ向かっていく。その間にも、レセップスは激しい砲撃
にさらされ続けていた。
522:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:56:18
バクゥは、レールガンを斉射してラル隊の動きを止める。ラル隊はすばやくマゼラトップ砲を捨てると、各々の武器を取り出した。
「コズン!」
ラルの声にコズンはザクバズーカを乱射する。もちろん弾速の遅いバズーカはバクゥには通じない。しかし、この攻撃は爆発でバクゥ
の視界を制限し、動きを捉えるのが目的だった。
「アコース、クラッカーだ!」
「了解!」
進路上でクラッカーが炸裂し、バクゥの動きが完全に止まる。そこに、ラルの5連装75mmマシンガンが止めを刺した。
次の獲物をさがすラルの前に、1機のバクゥが突っ込んできた。すれ違いざまに頭を飛ばしてやろうと、グフがヒートサーベルを振る
う。しかし、その一撃は紙一重で受け止められていた。
「むうっ!」
その頭部には、通常のバクゥには無い、サーベルタイガーを思わせる1対の牙があった。プロトタイプラゴゥ、通称バルトフェルド専
用バクゥである。そのことをラルは知らなかったが、しかし、自らの攻撃を受け止めるほどの男は、1人しか思い当たらなかった。
「貴様……“砂漠の虎”か」
「そういうあなたは、“青い巨星”でいいのかな?」
期せずして開かれた接触回線で、2人は『敵』の声を聞いた。
「指揮官がのこのこ出てくるとはな!」
「昨日の君たちの総司令官を真似てみたんだけどね!」
バルトフェルドは軽口を叩くが、その表情に余裕はない。先日の戦いでザクを圧倒したバクゥが、グフにじわじわと押されているのだ。
「なるほど……さすがは新型といったところか……」
「ザクとは違うのだよ! ザクとは!」
勝ち誇ったラルの叫びとともに、バクゥが押し込まれる。バルトフェルドはとっさにその勢いを利用して後方に離脱した。
「く、はずしたか!」
「危ない危ない……ん?」
バルトフェルドはそこで、アラームが鳴っていることに気付いた。バクゥの翼が片翼、真っ二つに断ち切られている。グフを見ると、
右腕から鞭のような物―ヒートロッド―が伸びていることに気付く。
「仕込み武器か。危ないところだった」
「できればここで仕留めたかったが……やはり一筋縄ではいかんか」
2機は一時にらみ合うと、再び戦闘を再開した。
523:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:58:00
戦いは当初のザフトの思惑を越えて長引いていた。
先の戦いと違い、数に勝るザフトだったが、砂漠の特性を生かし、エース級のパイロットで固められたジオン軍を圧倒するには至らな
い。逆にジオンは、じわじわと劣勢に追い込まれながらも、不敵な笑みを崩さなかった。
「そろそろきつくなってきたねぇ、ロンメル。逃げてもいいかい?」
シーマが、背中合わせに立つザクに接触回線を繋ぐ。
「本当にきつくなるのはこれからだぞ。そろそろのはずだ」
ロンメルが生真面目に答えた。
「ち、お堅いねぇ。せめていたわりの言葉ってものを言えないのかい。だいたい、あたしは死にたがりを助ける趣味は無いよ」
「シーマ!」
シーマの愚痴に、ロンメルが怒りで声を荒げたとき、遠くで三度砂煙が上がった。
「来たぞ」
バルトフェルドとラルは一進一退の攻防を続けていた。
一撃離脱戦法で攻めるバルトフェルドと、その一瞬の交錯にカウンターを狙うラル。その傍らでは、アコースとコズンがバクゥ相手に
ボロボロになりながらも奮戦していた。
「ここまでか。出来れば貴様の首を取りたかったのだがな」
もう幾度目かもわからない鍔迫り合いの最中、ラルが言った。
「その引き際の良さ、感心するけど同時に厄介だね。君のようなタイプにゲリラ戦に持ち込まれたらたまらないからね、悪いけど、逃が
さないよ」
バルトフェルドの答えに、ラルはおかしさを堪えられない、と言う風に笑った。
「くく、何を言っている? 逃げるのは貴様の方だ」
次の瞬間轟いた爆音に、バルトフェルドは慌ててサブモニターを開いた。そこには、爆煙を上げるレセップスの姿があった。
「な!? しまった、まだ伏兵が!」
慌てて引き返そうとして、いつの間にか開いていたレセップスとの距離に愕然とする。一緒にいたバクゥの何機かが、ザクの攻撃をか
いくぐって救援に向かうが、バクゥの速度を持ってしてももはや間に合わないだろう。
「まいったね……戦いに夢中になりすぎて、まんまと誘い出されてしまったってわけか」
歯噛みしながら、バルトフェルドも踵をかえす。ラルは、それを黙って見送った。大将首は惜しいが、彼の部下もそろそろ限界だ。救
援に向かい、後退を開始しなければならなかった。
524:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:59:16
「我々がここまで苦戦するとは……」
レセップスブリッジで、ダコスタは信じられないものを見る思いだった。無敵を誇ったバクゥが翻弄され、尊敬するバルトフェルドが
たった一人のナチュラルに苦戦している。それは、ありえないことのはずだった。
しかし、彼は気付いていない。彼にとってそれ以上の悪夢が、今まさに牙を剥こうとしていたことを。
「副長!」
オペレーターが切羽詰った声でダコスタを呼んだ。
「どうした!?」
「熱源接近! 陸戦艇クラスです!」
「なんだって!?」
モニターには、カタツムリを思わせる形状の陸戦艇、ギャロップが一直線に向かってくる様が映し出されていた。減速する気配が無い
ことを考えると、その目的は明らかだ。
「特攻する気か!? 弾幕を張れ! 近寄られる前に撃沈するんだ!」
しかし、撃ち放たれた砲撃は対空機銃だけだった。
「左舷! 弾幕薄いぞ! 何をやっているんだ!」
帰ってきたのは、絶望的な言葉だった。
「無理です! 左舷の砲台はほとんどが先ほどのランバ・ラルの攻撃で潰されてしまっています!」
「な……! あれが、布石? 最初から、これを狙っていたと言うのか!?」
ダコスタが恐怖とともにその言葉を叫んだときには、すでにギャロップは目の前だった。
「総員、衝撃に備えろ!」
恐慌状態でその命令を出せただけでも、彼の精神力を褒め称えるべきだろう。果たして、ギャロップはその後部に大量の爆薬を積んだ
カーゴを連結したまま、レセップスに激突した。
例によって砂の中に隠していたギャロップの自動操縦を設定した後、脱出し結果を見届けたビッターは、満足感とともに信号弾を発射
した。作戦完了の合図だ。
煙を上げるレセップスを見上げると、彼は自身のザクをドダイに乗せ、空へと浮かび上がらせた。先ほどの信号弾で、敵はこちらに向
かってくるだろう。あわてて戻ってくるバクゥを突破して味方に合流しなければならない。
正直、難しいだろう。しかしそれでも、作戦の成否は知らせる必要がある。味方には、損耗が激しければ躊躇無く見捨てて脱出するよ
う取り決めてはあるが、さりとて座して死を待つつもりはない。ビッターは静かにスロットルバーを押し込んだ。
バクゥ部隊は、自分たちの旗艦を奇襲したビッターを、親の仇と狙ってくる。その弾幕をかろうじてかわしながら飛んでいくが、やは
り多勢に無勢、ついにドダイが破壊されてしまう。そして、レセップスへ帰艦しようとしていたバクゥの只中に落ちてしまった。
「ここまでか……」
いっそすがすがしい気分でザクマシンガンを構えたビッターだったが、その標的は、背後からの射撃によって破壊された。
「あきらめるのはまだ早いぞ、ビッター」
「ラル!?」
そこにいたのは、やはり後退をしていたラルだった。部下2人とともに敵陣を中央突破してきたのだ。さらに、前方からも無数の弾丸
がバクゥを追い立てる。
「ビッター殿、ご無事ですか?」
「ふん、死にぞこなってたかい、ならさっさと後退するよ。こっちの弾薬も無限じゃないんだ」
「ロンメル、シーマ……お前たちも生き残れたか」
「生き残れるかはこれからじゃないのかい? ビッター殿。さあ、さっさと本隊に合流しなければねえ」
階級が下のシーマの無礼な物言いにもさほど目くじらは立てず、ビッターはうなずいた。バクゥはバルトフェルドの命令もあって、形
勢不利とみて撤退を優先している。その間に、彼らは無事本隊と合流を果たしたのだった。
525:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 04:00:05
「やれやれ、見事にやられたねえ」
「申し訳ありません、隊長! 自分がもう少し状況を判断できていれば……」
煙を吹くレセップスを背後に頭を下げるダコスタに、バルトフェルドは手を振って、
「いや、敵の策を読みきれなかった僕の責任だ。てっきり消耗戦を仕掛けてくると思ったからね、まさか“青い巨星”が囮とは思わなか
った」
と、悔しそうに言った。
「レセップスの損害は?」
「動かすのは無理です。本格的な修理が必要ですね。追撃戦の続行は、言うまでもありませんが不可能です」
「だろうね……応急修理を急がせてくれたまえ。なんにせよ、バナディーヤまで戻らないことには話にならない」
「はい」
敬礼をして去っていくダコスタを見送って、バルトフェルドは周囲の兵たちの様子を見る。やはりショックは大きかったようで、あち
こちでひどく落ち込んだ姿が見えた。彼らには、最初から最後まで敵に踊らされたとしか思えなかっただろう。
正確には、後退した時点で余力を残していたのはザフトのほうだった。しかし、敗北感に打ちのめされた彼らに、精神的な余裕は全く
なかった。それに、仮にあそこで殲滅したところで、レセップスが動けなくなった時点で勝者はジオンなのだ。そんな悪あがきをするぐ
らいなら、次の戦場で今度こそ叩きのめす、というほうがバルトフェルドの流儀に合っていた。
「それにしても……」
と、バルトフェルドは、先ほどまで戦っていたジオンの戦士たちのことを思い描いた。
「ハルバートンも、いいかげんなことを言ってくれるものだ。なにが『ジオンに兵なし』だ、あれほどの兵(つわもの)が揃っているって
いうのに」
526:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 04:00:57
カイロに帰還したガルマは、疲労とショックで丸1日寝込んだ。
3日目の朝、マ・クベから地上部隊撤退完了の報告を受けたガルマは、見事足止めを成し遂げたビッターらをねぎらうため、すぐに彼ら
を呼び寄せた。
「今回の任務、本当にご苦労だった。諸君らのおかげで、我が軍の損害は最小に抑えられたと言って良いだろう。みな、本当に良くやっ
てくれた」
笑みを浮かべて、1人1人と硬い握手を交わしていく。最初にビッター、次にロンメル、シーマと続き、最後にラルの番になった。
「ランバ・ラル、今回の作戦立案は君だと聞いた。あいかわらず、見事な手並みだな」
「いえ、運が良かっただけです。“虎”が自ら出てきたため、旗艦に出来た隙を突いただけです」
ラルの言葉を謙遜と思ったのか、ガルマは上機嫌で続ける。
「それを実行できたのも諸君らの力だ。私はいい部下を持った」
「それだけ……ですか?」
ラルが低い声で言った。その声にマ・クベはじめその場に居た者が体を固くしたが、ガルマは気にせず答える。
「む? ああ、もちろんこのことは本国にも報告しておく。追って何らかの褒章があ……」
「御免!」
彼は、そのセリフを最後まで言うことが出来なかった。ラルが、いきなりガルマを殴りつけたのである。ビッターは黙ってそれを見つ
め、ロンメルとシーマは驚きのあまり硬直し、そしてマ・クベは顔をしかめたものの何も言わなかった。
「ラ、ラル、何を……?」
「申し訳ございません。しかし、ジオン兵の総意を汲んで、ご無礼を承知で“修正”をさせていただきました」
わけがわからない、という顔をするガルマに、マ・クベが諭すように言った。
「お分かりになりませんか。今回の戦い、ジオンもザフトも、総司令官が不用意に前線に飛び出し、それが原因で負けたのです」
ガルマが出撃しなければ、ジオンは優勢のまま撤退できていただろう。また、バルトフェルドがレセップスに残っていれば、ギャロッ
プの特攻を寸前で察知していた可能性は高い。どちらも、大局を見るべき指揮官が個人の戦いにこだわったがゆえの敗戦だったといえる。
「ガルマ様が成すべきことは戦場で自ら敵を殺すことではなく、大局を見極め、味方を“生かす”ことです。それができて初めて、あな
たは兄上様、姉上様と肩を並べることが出来るのです」
マ・クベの言葉に、ガルマは目の覚める思いだった。同時に、自分のつまらない意地で死なせてしまった、傷つけてしまった兵士たち
に申し訳ない気持ちで一杯になった。
「すまなかった、ラル、そしてマ・クベ。たしかに、私は指揮官としてあまりに軽率だった」
ガルマは素直に頭を下げると、ラルに向き直った。
「そして、ラル。先ほどの修正、身に染みた。私はこの痛みを生涯忘れぬようこの身に刻もう」
「いえ、もったいないお言葉」
がっちりと両手を握り合う二人の間に、マ・クベが割って入る。
「では、ランバ・ラル。総司令官への暴行の処罰についてだが」
「な! マ・クベ、ラルの拳は私を思ってのことだ、それは……」
ガルマはマ・クベの言葉を撤回させようとするが、そんな彼を見るラルとマ・クベの目を見て、すんでのところで思い直した。
どんな理由があれ、軍で上官に暴力を振るうことはあってはならないことだ。1度例外を作れば、そこから軍の規律は崩れてしまう。
それがわかっているからこそ、マ・クベはラルを処罰し、ラルはそれを甘んじて受けようとしているのだ。ならば、司令官としての自分
がするべきことは1つだ。
「ランバ・ラル。いかなる理由があれ、総司令官たる私への暴行を許すわけにはいかない。しかし貴様は今回の作戦において多大な功績
をあげた。それを考慮し、今回は不問とする。ただし、貴様への褒章は無いものと思え」
ガルマの言葉に、ラルは深々と敬礼した。
「は! 寛大なお言葉、ありがとうございます」
ガルマがマ・クベを見ると、彼は静かにうなずいた。
これをきっかけに、地球方面軍総司令官ガルマ・ザビはその才能を開花させていくのだが、それはまた別の作品(お話)である。
to be continued >>349?
527:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 04:03:51
初リアルタイム
まさにGJ!!
528:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 04:12:14
長文マジすいません orz
長くなったから前後編にわけて投下しようと思ってたの忘れてたよ……
あ、ラストに>>349へのリンクがありますが、これは作者のお遊びで
>>485氏の作品とはなんの関係もありませんので。
ガルマの成長を氏の作品の時系列的にあうようにしてみようと書いてはいたんですが、
事後承諾の形になったのは作者のうっかりです。無礼でした。
>>485氏、重ね重ね申し訳ない。
突っ込み、アドバイス等あれば、今後の参考にしたいので是非お願いします。
529:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 10:24:46
ゲリラ戦は面白かったが一つだけツッコミを
ガルマの戦闘シーンで種が弾けるっぽい場面があるが、ブルーコスモス穏健派に居たデキンが
溺愛していた息子であるガルマをコーディネートするはずが無い
530:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 10:33:00
>>529
種割れはナチュラルもコーディも関係なくできます。
531:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 11:19:52
カガリもナチュラルガルマもナチュラル
カガリにできてガルマにできぬわけがない
532:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 11:47:25
GJ!
シーマが・・・イイ!!
ベテラン達が格好よすぎるぜ。
それに引き換えバルトフェルド、お前はアホかと。
ガルマが前線に出て失敗したのを見た後なのに前線にでてくるなんて・・・学習しねぇのかコーディは!
ガルマが種割れしたが>>531が言ってるみたいにカガリに出来るくらいなら
殆どのナチュは種割れできるんじゃないか?
むしろ出来ない方がおかしいような。
533:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 11:54:38
>>532
種割れは若い奴ほどできやすいらしい。
>森田繁さんに聞く20の質問
>・タネがハジける基準はある!?
>数値化しているわけではありません。極限状況に追い詰められる、要は火事場の馬鹿力状態ですね。
>コーディネイター、ナチュラルの別なく発現する、人間誰しもが持つ能力です。
>ただ、年配の人にはその描写はありませんから、若者の未来とイメージ的にはリンクしてますね。
534:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 12:31:30
51氏 GJです。
セイラさんの一喝で軍人の動きを止めるってのは生まれ持ったカリスマなんでしょうかね。
しかしナタルのコーディ=敵ってのは短絡的ですな。
パオロ艦長が居なかったらどうなっていたやら。。。
ガルマvsバルトフェルド氏 もGJです。
ロンメルは精神論、ラル+シーマは現実論、ビッターは指揮官として中立ってのは
バランスが取れてると思いました。
シーマは毒ガス作戦してないから『熱砂の蜉蝣』が通名になるんでしょうね。
種割れはNTと同じく生まれ持った才能でしょうね。
ジオン側で種割れ(ガルマ)、プラント側でNT(クルーゼ)はイイ感じに思います。
>>502氏
> グフとのコンペに負けて少数生産されているという設定だから
イフリートって何時からこんな設定になったんでしょう?
初出 : SFCクロスディメンション、外伝パート。
設定 : キャリフォルニアベースが独自に開発した試作機。
生産数 : 設定8機、ゲーム上3機。 その内1機がEXAM搭載。
で、グフとのコンペなんてしてないと思いましたが。。。
535:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 12:53:29
バクゥってホバーあったっけ?
536:534
06/11/12 12:55:07
>>502氏
>>331の設定の事でしたか。
すんませんでした。
537:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 12:59:02
>>535
無いよ
異常なくらいに高速で走れるキャタピラはあるけど
538:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 15:48:51
そういやカガリはナチュラルなのに種割ってたな
指摘されて気づいた。混乱させるようなこと書いてすまん
539:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 18:35:27
「効果はあったが、予想したほどではなかった…というわけか」
「申し訳ありません」
マ・クベの仕掛けたアフリカ共同体への工作は、
結果的にはZAFTへの補給をある程度滞らせるだけに終わった。
「いや、中佐を責めているわけではない。半分は私の責任だ」
実際は半分どころではないがな、と内心ガルマは思っていた。
明らかにアフリカ共同体はプラントとジオンを天秤にかけている。
そして、地上でのジオン公国の劣勢が、そのまま天秤をプラント側に傾けているのは明白だった。
「それで、もう一方の首尾はどうなっている?」
「順調です。複数の反政府ゲリラと接触し、こちらの味方に引き入れることに成功しました」
ガルマは、アフリカ共同体からZAFTへのパイプを断つだけではなく、アフリカ共同体からの
ZAFTへのパイプを断つことも考えていたのである。そしてアフリカ共同体がこちらへ協力しない今、
遠慮なく同時にアフリカ共同体の土台も削り倒してやるだけのことであった。
マ・クベから手渡された協力者のリストに目を通していく内、ガルマの目が一点で止まった。
「『明けの砂漠』の協力を取り付けられたのか」
「はい。ただし、ZAFTを北アフリカから排除するまで、という条件付ではありますが」
『明けの砂漠』は反ZAFTを掲げる、(レジスタンスを自称している)有力なゲリラ組織である。
地域住民の支持を得て戦えるゲリラは強い。多くのゲリラが支持者以外からは反感を持って
迎えられることが多い中で、彼らはタッシルを中心とした多く住民から積極的な支持と協力を得ていた。
無論、ジオン公国とて彼らにとっては招かれざる客ではあったが、ZAFTと違い積極的に占領地と
交流を図ってきた―上流階層のパーティーへの高級士官の出席から、エネルギー施設の設置まで―
ジオン公国は彼らにとっては「まだマシ」な交渉相手だと判断したのであろう。
「協力の代償は食料、"対MS用兵器"、医薬品の供与か」
パイロットがいない以上、MSを供与しろと言ってこないのは当然であるが、
"対MS用兵器"といった漠然とした要求を示してきたということは、別の意味を持つ。
「ただの捨石にするつもりか、友軍として扱うか、態度で示せということか」
ジオン公国は、アフリカをどうするつもりなのか。それに対する答えをよこせ、ということでもある。
「……明けの砂漠のリーダー、サイーブとか言ったな。一度会ってみるべきだろう」
「司令、それは」
危険すぎます。そう言おうとするマ・クベを遮って言葉を続ける。
「わかっている。しかし、この男が求めているのは『信用』だよ。
ランバ・ラルやデザート・ロンメルが行って交渉しても駄目だろう。ビッターなら話は別だが……」
ノイエン・ビッターは前線のキンバライト鉱山基地にいる。
「つまり、適任なのは私だけ、ということさ」
「……わかりました。ただし会談の場所はこちらの勢力圏で設定いたしますが」
「当然だ。ただ、護衛の部隊は私に選ばせてもらいたいのだが」
マ・クベは了解し、自分のデスクに向かうべく部屋を後にした。
なお、彼は後で誰を選ぶつもりか聞いておかなかったことを後悔したことを付け加えておく。
540:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 18:36:49
マ・クベが退出してから丁度20分後、シーマは呼び出しに応じてガルマの執務室に入室した。
「シーマ・ガラハウ少佐、入室いたします。
司令官殿は、小官などになんの御用でありましょうか?」
室内にマ・クベがいないことを確認し、慇懃無礼の見本の様な挨拶を上官に向けてみせる。
ラルの「修正」の一件を見て溜飲を下げはしたものの、本心からガルマを許したわけではない。
そもそもジオンでも貧困層が多く住むマハル出身の彼女にとって、
ザビ家の御曹司という立場で司令官になった若者に頭を下げてみせることが面白いはずもない。
「ガラハウ中佐、あなたの隊に私の護衛を頼みたい」
「は?」
「つまりは、こういうことなのだよ」
あっけにとられているシーマに対し、ガルマは今回の会談について説明した。
「いち早く自軍の危機を悟り、迅速に決断できるあなたが適任なのだ」
「……無礼を承知でお聞きいたしますが、私が司令を後ろから撃つとは考えないのですか」
「それはない。そのつもりがあったら、とっくに君は私を殺して部下達と連合に投降している」
「…フフ」
シーマは、笑いをこらえ切れなかった。わかっている。わかっているじゃないかこの坊やは!
「このシーマ・ガラハウ、命令を受けたことはあっても、『頼まれた』ことはございません。
司令官殿の護衛、見事頼まれてご覧に入れましょう」
一礼し、シーマは執務室を出て行った。来る時と違い、その足取りは妙に軽かった。
541:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 20:22:58
GJ!!!
スキップしてる(俺の脳内で)シーマ様に萌えた。
ガルマはアサクラを抹殺してほしい。
そうすればシーマは、半分くらいガルマに付くから。
542:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 21:23:12
とってもGJ!
なんかワンダースワン版のギレンの野望っぽいな。
人徳で海兵を動かすガルマに期待するキシリアとドズルの気持ちが判るよ。
543:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 21:49:18
これはまさか、ギレンにおけるデラーズ、ドズルにおけるラコック、キシリアにおけるマクベのような
参謀ではなくて安心して自分の権限を委任することのできる中級指揮官が、
ガルマにとってはシーマの姐さんになるフラグなのか・・・・・!?
これでガルマが死んだら、シーマの姐さん、死にものぐるいでガルマの敵を取りそうだな。
544:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 22:53:00
おいおい、ジオンの漢たち(シーマ様含むw)がカッコよすぎじゃねえか!?
御曹司に陰険な参謀にまで漢義を感じるぜ・・・・・・ザフトも頑張れよ・・・虎さんw
途中からタイトルが『激闘!青い巨星VS砂漠の虎』な感じになったがねwww
wktkして次回を待ちますよ!
545:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 22:53:09
戦争開始してから1年以上経っているのに、未だに主力が戦車とMAな連合…
どれだけ無能なんだ連合上層部は…
546:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 23:07:57
>545
一概に連合が無能とは言えない。
WWⅠのとき、イギリス軍が戦車を初めて戦場で1916年に使用したわけだが、
対するドイツ軍が戦車を本格的に戦場に投入できたのは戦争も末期の1918年の春になってから。
それまで概念がなかった新兵器が実戦に出た場合、これだけ時間差がどうしてもでてしまう。
だから、種でも連合が一年ちょいでMSを開発して実践に投入したことは、
連合の軍政家たち、オフィサーや技術屋たちの非常に優秀さが実は証明されている。
547:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 23:19:30
何気にシーマ様昇格させてるガルマGJ
シーマさまの長の苦労が若き司令官に認められているというのは萌える展開。
ジオンの戦況が変化することによってこのような展開が生まれるとは…
548:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 23:49:29
CE版V作戦が発動されての傾斜生産方式ってわけじゃなかったもんね、原作だと。
オーブっていう他国の技術を利用したとはいえ、
1年で新技術盛りだくさんの機体をロールアウトできたのは凄いと思うよ。
549:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 23:55:59
まー、ジオンはPS装甲以外全部持ってるけどな。
ビームかく乱幕なんてものまであるし。
550:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 23:57:49
ところでザフトはミノフスキー粒子を利用してるのかな?それとも使ってないのかな。
上のガルマVS虎の人のだと、ザフト側はレーダーによる自動ロックオンを多用してるみたいなんだけど。
551:通常の名無しさんの3倍
06/11/13 00:24:35
技術はモルゲンレーテ、基本構造はサフトとジオンのMS、OSもジオンのMSから
ある程度情報は引出せただろうし、PSシフト以外はこれといって新技術使ってないのでは
と思って連合の上層部は無能と思ったんだが。
まったく新しいコンセプトの兵器開発だし時間が掛かるのは仕方ないのか。
552:ガルマvsバルトフェルド
06/11/13 01:33:36
意外に好評なようで感激しています。
ガルマ種割れとかシーマ様登場とか、やりすぎたかなあと思っていたので。
シーマ様は「ギレンの野望」でオデッサ侵攻に参加していたという話を聞いたので出してみました。
当初はバクゥのかませで終わるはずだったのは内緒w 動かしやすかったので活躍してもらいました。
>>539-540様
設定拾ってもらえたーーーーーーーー!(狂喜)
GJの3倍嬉しいです! ありがとうございます!
シーマ様、これをきっかけに出世の道がひらかれたのか? これからも楽しみです。
>>527
一番乗り&初リアルタイムおめでとうございます。
初投下の私にとっては、あなたは初GJを頂いた相手です。
時間的に感想がすぐ来るとは思ってなかったので、むっちゃ嬉しかったです、ありがとうございます。
>>532
感想ありがとうございます。
虎を弁護するなら、バルトフェルド隊でラルを抑えられるのは虎だけだと思います。アコース、コズン付きだとなおさら。
ですのでギャロップ特攻が無ければ、あの判断も間違いとは言い切れないかと。
結局、ラルを警戒しすぎたことが敗因となってしまったわけですが。
ちなみに、文中でうまく表現できませんでしたが、虎はなんだかんだでラルとの一騎討ちを楽しんでます<ダメじゃんw
>>534
ありがとうございます。
ランバ・ラルとシーマ様って、何気にいいコンビじゃね? と思ったのがシーマ様活躍のきっかけでした。
その分、ロンメルとビッターの描写が減ってしまったのが悔しいですが……
>>550
自分は、ジオンとザフトの地上戦はまだ少ないので、装備の換装が終わってないのではと考えて書きました。
連合の戦闘機相手には、やはり誘導兵器が有効だと思うので。
ちなみに、バクゥのミサイル装備タイプは登場していなかったりします。
553:ガルマvsバルトフェルドの作者
06/11/13 01:47:30
名前変えるの忘れたorz わかりやすいからいいけど
554:ガルマvsバルトフェルドの作者
06/11/13 02:16:15
連投すいません、ご挨拶忘れてた方がいたので、再カキコ。今夜はこれが最後ですので……
>51様
勝手にガルマ種割れ&シーマ参戦、申し訳ありません。
当然のことですが、私の作品は所詮3次創作であり、これらの設定を51様に押し付けるつもりはありません。
51様は51様の物語を書いてください。それを読みたいからこそ、私はこの板に来ているのです。
>>535、>>537
ホバーって書いてましたね。私の勘違いでした。すみません。
555:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 07:34:31
アフリカの反政府勢力で武闘派っていうと、青の部隊が筆頭かな?
あのグレミーすら感化させた砂漠の貴族達。
556:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 10:46:24
カガリ&キサカと「再会」w
557:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 11:39:53
キラはアスランより先に「種割れ」してるガルマに落とされたりしてねw
って言うか、NTに開花する可能性すらあるわけで・・・そう考えると
ドズル兄さんでなくても、先が楽しみだわ
558:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 12:25:38
サハリン家御一行は今なにしてるんだろう
戦況が一年戦争より余裕があるからアプサラスⅢ完成してるかな
559:51
06/11/14 15:45:09
遅くなりました・・・
ガルマ氏およびガルvsバル氏(変な名ですまぬ)
お二人ともGJです!!!
もうガルマとマは一緒でいいです!オデッサの護りはギニアスあたりに任すとしましょう!
そうなると>>558のようにオデッサ防衛のためアプサラスを造ってる可能性があるな
一つだけツッコミ
>「いや、中佐を責めているわけではない。半分は私の責任だ」
マはオリジン設定だから中将なんだよーorz
560:51
06/11/14 15:46:30
5.
パイロットスーツに着替え、格納庫に行くと、ムウとクリスが待っていた。
「似合ってるわよ」
「なんか変だぞ、そのカッコ」
「合うサイズがなかったんです」
パイロットスーツの襟を引っ張る。キラの体格が痩せ型なのでブカブカだ。
3人は簡単にブリーフィングを行い、キラはストライク、ムウはイージス、そしてクリスはゼロに乗り込む。
「では大尉のゼロ、お借りします」
「壊さんでくれよ」
「ガンバレルをシグーにぶつける大尉に言われたくありません」
「ありゃ?」
コックピットに乗り込むと、ムウは軽口を叩く。キラとクリスの緊張を解くためにだ。こうしてみて見ると彼が数々の戦場を
駆け巡った兵士である事が分かる。
「坊主、よく聞け……ストライクに乗る以上、君はこの艦を護る義務がある。それを承知でお前は乗るんだな?」
そのムウが真剣な表情でキラを見つめていた。それは、言わばムウからの最後通告であった。自分から乗ると言い出したから
には甘えは許さない。彼はそう言っているのだ。
「……はい」
やるしかない。それしか生き残る方法がない。キラは改めて覚悟を決めた。
<ローレシア級、後方90に接近!>
<中尉、タイムアウトです。発進願います>
「了解!―キラ君、後はよろしく!」
「バレルを展開する必要はないからな! そのままの状態で一斉砲火だ!」
モニターの中で、クリスはムウに敬礼をすると通信を切った。
<正しいことなんてどこにもない。でも……クリスチーナ・マッケンジー出撃します!>
ゼロがフワリ、と落ちるように艦を出た。それを見て、キラはつぶやく。
「うまく行くかな……」
「仮にも彼女は実験部隊に居たんだ。大丈夫さ、作戦はうまくいく!」
作戦―それはムウの発案だった。アークエンジェルとXナンバーで敵MSを引き付け敵の攻撃が集中している間に、クリス
がゼロでひそかに先行し、前方のナスカ級を叩く、というものだ。
当初、ゼロにはムウが乗るはずだったが、パオロが待ったをかけた。それはヘリオポリスでの戦闘中にオレンジ色のシグーが
確認されたためだ。この機体は、夕日に照らされたようなオレンジ色の塗装と、高機動性を生かした一撃必殺を身上とする戦闘
スタイルでザフトのエースになった“黄昏の魔弾”の専用機なのである。ラウ・ル・クルーゼに“黄昏の魔弾”というザフトの
エースが二人いるのでは、キラとクリスでアークエンジェルを護るのは難しかった。
そこでパオロは、クリスをゼロに、ムウをイージスに乗せる事を提案したのである。クリスは元々、MA乗りとしてある程度
の実績を作り、実験部隊に配属された経歴を持つ。ムウの方はMSでの実戦経験はないが、シミュレーションではクリス以上の
成績を叩き出しているし、イージスはMAへの変形機能を備えている。初陣となるが防衛戦なら十分に通用するはずだ。
561:51
06/11/14 15:47:51
「マードック軍曹、装備はエールをっ! 急いで!!」
「よーし、オメエらー! チャッチャと着けるぞ!!」
下ではマリューはマードック達整備班に指示を出していた。ガントリークレーンに吊り下げられたユニットが、機体の背面に
装着する。機動性を高める追加装備“エールストライカー”だ。装着中のストライクより先にイージスがカタパルトに移動する。
<大尉! イージス発進願います>
「了解だ! 坊主、先に行くぜ!」
ムウはカタパルトからイージスを射出させ出撃した。
<続いてストライク、発進だ!>
そうナタルは命じたが、キラは上の空だ。
(アスラン……戦争が嫌いなんじゃないの……)
キラは作戦会議での説明にあった“黄昏の魔弾”が気になっていたのだ。オレンジ色のシグー。まさにあの時、自分が対峙し
ていたMSだ。そしてそのパイロットは自分の親友―アスラン・ザラ。彼がザフトのエースになり、専用機まで所持している。
もちろん“黄昏の魔弾”とはヘリオポリスで戦死したミゲル・アイマンの事なのだが―
(君はそんなに人を殺したの……?)
キラはおもいっきり勘違いをしていた。
<キラッ! キラ・ヤマトッ!!>
「は、はい!」
激昂しているナタルに気づき、あわてて返事をする。
<なんだその態度はっ! この艦には貴様の大事な友達だって乗っているんだぞっ!!>
人質だと言わんばかりに、ナタルは言い放つ。自分の態度も悪かったが、激しく叱咤するナタルにキラは嫌悪感を持った。
ブリッジでは青筋を立てるナタルに誰もが声を掛けられずにいた。そんな状況を見かねたセイラが立ち上がる。
「バジルール少尉! 通信席が空いていますね!?」
スタッと席につき、インカムを身に着けるとスイッチを入れた。
「ストライクとの交信は私がしますから、少尉は指揮に専念してください」
ナタルはセイラの行動に唖然となる。
「装備の説明は聞いているわね? ビームライフルは強力だけど使いすぎないように! エネルギーがもたないから」
<分かりました……キラ・ヤマト! ガンダム、行きます!>
「……」
ナタルはセイラの行為をやめさせようと思ったが、今は非常事態である。構っている時間はない。
「後方より接近する熱源3! 距離67! MSです!」
「対モビルスーツ戦闘用意! ミサイル発射管、13番から24番“コリントス”装填! リニアカノン、バリアント、両舷起動!
目標データ入力急げ!」
「機種特定……これは! Xナンバー、デュエル、バスター、ブリッツです!」
「なに……!?」
チャンドラ伍長の言葉にクルー達が凍りつく。
「奪ったGを全て投入してきたか……」
562:51
06/11/14 15:49:38
6.
キラは鳴り響く敵機接近の警告音に、ビームライフルを身構える。オレンジ色の機体―“黄昏の魔弾”のシグーだ。
<止めろキラ、僕らは敵じゃない。そうだろ! 同じコーディネイターのおまえが、何故地球軍にいる。何故ナチュラルの味方
をするんだ!?>
通信から聞こえる声は紛れもなくアスランだった。
「僕は地球軍じゃない!」
思わずキラは言い返す。
「でも、あの艦には仲間が……友達が乗ってるんだ!」
その時、キラはアークエンジェルが2機のMSに襲われている事に気付いた。ムウのイージスが渡り合っている。キラは慌て
て戻ろうとしたが、その前にシグーが割り込んでくる。
<やめろ!>
「アスラン・・・・・・」
焦りを感じつつ、だが攻撃もできず、キラはやり場のない怒りをアスランにぶつけた。
「君こそどうして、何でザフトなんかに。戦争なんか嫌だって、君も言ってたじゃないか! なのに何でエースなんかに!!」
<エース……? 何の話だ!?>
アカデミーを卒業して4ヶ月、まだ戦果と呼べるものはない。エースと言われて、アスランには何の事か分からなかった。
「その機体……聞いたよ。“黄昏の魔弾”って呼ばれるエースのだって!」
<っ!……ち、ちがう。それは……!!>
キラの勘違いに気がづいたアスランだったが、弁明をする前に一条のビームが2機の間に割り込んだ。
<何をモタモタやっている!? アスラン!>
「X-102、デュエル! じゃあこれも!」
5機のなかで最もスタンダードなスペックを持つ機体は、離脱しようとするストライクに狙いを定める。
<手に負えないというなら俺がもらう!>
デュエルのパイロット、イザーク・ジュールは高らかに言い放った。
一方イージスはバスターとブリッツ相手に奮戦していた。
「行かせん!!」
突破を試みるバスターにビームを放ち牽制する。
「ちっ、イザークは何処に行ったんだ!?」
「イージスは僕が押さえます! その内に“足つき”をっ!!」
ブリッツに乗るニコル・アマルフィはビームサーベルを抜くとイージスに接近戦を仕掛ける。ブリッツは、本来単独で敵陣に
切り込む侵攻用の機体であり、攻盾システムなどシリーズの各機とは一線を画す試験的に製作された特殊兵装を装備している。
イージスの方も、ビームサーベルを4つ装備しており近接戦闘ではブリッツ以上であるが、ムウがナチュラルで、これが初陣で
ある事も重なり、バスターの突破を許してしまうことになる。
「クソッ! 1機そっちに行ったぞ!!」
ムウは、イージスの両手にビームサーベルを装備しブリッツと斬り合いながら、アークエンジェルに警告を発した。
「アンチビーム爆雷発射! イーゲルシュテルン、敵を艦に近づけるな! ヘルダートは自動発射にセットしろ!」
アークエンジェルの艦橋ではナタルが懸命に指示を出していた。
爆雷が撃ち出され粒子を撒き散らす。対空バルカン砲“イーゲルシュテルン”が弾幕を張り、対空防御ミサイル“ヘルダート”
がバスターを襲う。その圧倒的な火力にバスターのパイロット、ディアッカ・エルスマンは攻めあぐねいていた。
563:51
06/11/14 15:51:25
7.
「ガモフより入電! 『本艦においても確認される敵戦力はMS1機のみ』とのことです!」
「あのMAはまだ出られんということか……?」
ヴェサリウスで戦況を確認していたクルーゼは、何かが引っかかっていた。MAが出れないという事は、ムウがMSに乗って
いるという事なのだろう。先の戦闘でムウ自身が「MSに乗る」と言っていたし、何よりメビウス・ゼロはムウにしか扱えない。
目の前の戦闘で、何もおかしな点はない。
(何だこの感覚は……)
ぞわりと肌を伝うような感覚―それは重圧(プレッシャー)と表現するべきなのだろうか―をクルーゼは感じていた。
(ムウではない……何者だ……)
いつもはムウが近くにいると感じるそれだが、今感じているものは明らかに別の者だ。その重圧はムウのそれよりも大きい。
「敵戦艦、距離630に接近! まもなく本艦の有効射程圏内に入り……なっ!? これは!!」
その時、管制クルーが驚きの声を上げた。何事かとアデスは彼を見る。
「どうした? 報告は正確に言え!」
「本艦底部より接近する熱源っ! MAです!!」
その報告に、クルーゼは思わず立ち上がった。
「アタシにだってこれくらいの兵器は使いこなせるはずよ!」
クリスは最大加速でヴェサリウスに迫ると、唸りを上げるその機関部に目掛けてリニアガンとガンバレルから、ありったけの
火力をぶち込む。すれ違いざま機関部が火を噴くのを見て、クリスは「やり過ぎちゃったわね!」と舌を出す。そしてアンカー
をヴェザリウスに撃ちこみ、振り子のように慣性で向きを変え、すばやく宙域を離脱した。
「敵MA離脱!」
「撃ち落せー!」
クルーゼは、歯ぎしりしながらモニターを睨む。自分自身に怒りをあらわにしたのだ。『メビウス・ゼロはムウにしか扱えない』
その固定概念がこの悪夢の様な損害を出してしまったのである。
「お、おのれ……」
―しかし、
「艦長!! ガモフの後方! 距離100の位置に熱源反応!」
―彼らにとって、
「これは、ジオンの……っ!」
―本当の悪夢は、
「……ジオンのムサイ級です!!」
―まだ始まったばかりであった。
564:51
06/11/14 15:53:17
「それは本当か!?」
アークエンジェルでもムサイ級を確認はされていた。
「は、はい。間違いなくムサイ級巡洋艦です……! MSが射出されました!! 熱源4! でもこのスピード……1機だけ速いです!
通常の約3倍のスピードで接近中!!」
「バカな! そんなMSが……」
「……シ、シャアだ……」
ナタルの声をさえぎる様に、パオロは叫んだ。
「赤い彗星だ!」
「艦長! なにか!?」
パオロが何を言ったのかよく聞き取れず、耳を近づけるナタル。
「赤い彗星の……シャアだ!! 世界樹戦役では5隻の戦艦が、シャア一人のために撃破された……」
―赤い彗星
連合軍の末端兵士にまでその名は轟き、恐怖の対象となるエースパイロット。その男が目の前にいることに、クルー達は息を呑む。
「に、逃げろー!!」
赤く塗装された機体―シャア専用高機動型ザクのコックピットで、シャア・アズナブルは不敵な笑みを浮かべていた。
「見せてもらおうか。連合軍のMSの性能とやらを……」
――つづく
565:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 16:19:53
うおおおおおおおおおGJ!!!!!!!
続きが早く見てええええええええええ
566:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 16:34:42
連合のMSと言ってもザフト側に3機もあるもんな~
パオロ艦長の死亡フラグ回避できるかな?
567:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 16:35:03
キターーー!
シャアだーーー!
ヤベェな、ここで全部落ちかねないぞ。
激しく続きが気になるぜぇ!
GJ!!!でした。
568:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 16:38:05
しかし電池切れにならない限り、ザクマシンガンではまったくダメージ与えられないという難点が・・・
569:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 16:58:45
バーニア・関節部に攻撃を集中させて潰すだけの話だな。
570:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 17:34:12 UILlrCkk
ムゥ、クルーゼ?再会か!
571:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 17:38:28
さらにバズーカとかクラッカーだとの衝撃も中の人や精密部品にとっては洒落にならない
572:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 17:40:15
>>568
なあに、初代ガンダムでもそうだったから問題ない。ガンダムはザ区マシンガン
いくらくらっても傷ひとつつきはしない
573:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 18:11:53
マ・クベが中将だと問題が。大佐の参報に就けるのか?
他にも階級をいじった方が良さそうな
ちょいと気になった
574:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 18:18:09
マ・クベはアニメだと中佐→大佐だったな。
総合整備計画発案時が中佐で、オデッサ作戦時は既に大佐になっていたはず。
575:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 19:02:51
ヒートホークならいけるはずだ
PS装甲の設定上、高熱には弱いからな
576:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 22:32:46
ふと思ったが
51氏が本編ってことはジオン敗北なのか
ガル氏とかガルvsバル氏見てるとジオン負かすの惜しいよな絶対
スレタイからしても
577:ガルマネタ書いてるヤシ
06/11/14 22:37:11
>>576
頑張ってても負けちまうのがジオンです。
ベルセルクの8巻までみたいなもので、破滅が確定していても素晴らしいものは素晴らしいと思ってます。
などと書いてはみたけど、正直ジオンが負けることがありうるのだろうか?
Ζ最終回の時点のアクシズのように漁夫の利を得て一人勝ちになるのではと思ったりもします。
ま、それは51氏の胸のうちということで……
578:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 23:18:11
>>577
まぁ「最後のジョーカー」たるラクス・クラインが全ての陣営を滅ぼして
頂点に立っても俺は驚かないことにする。
579:通常の名無しさんの3倍
06/11/14 23:50:31
>>578
真面目に考えればギレン・キシリア対立どころでないレベルでの、ザフト分裂→ザフト自滅フラグなんだけど、
悲しいけど、それって種世界ベースだとあり得ることなのよね。
580:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 00:05:02
>579
つまり正史のままで行くと連合軍が勝者となり
スペースノイドをいじめる為の部隊を作り。
ジオン軍はオデッサから得た「ジオンはあと10年戦える」だけの物資をもって
各地に潜伏し力を蓄え。
ザフトはラクス派と議長派の内乱により歴史の表舞台から消えつつあると
581:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 07:36:55
おいおい、何だ?この素晴らしい三つ巴はw
作者GJ!!!
このスレは三次創作含めてクォリティ高すぎるwww
個人的にジョニー・ライデンとクルーゼが今後どうなるか楽しみw
582:51
06/11/15 18:57:42
タイトルと各話を振り分けてみた。
タイトル 『ガンダムSEED ジオンの栄光』
>>285~ 第0話『プロローグ』
>>285~ 第1話『その名はガンダム』
>>381~ 第2話『崩壊の大地』
>>472~ 第3話『サイレントラン』
意見求む!
583:51
06/11/15 18:59:10
1.
四つのモノアイがギラリと輝いた。シャアは、前方のガモフを見ると、部下達に攻撃命令を与える。
「ララァとデニムはローラシア級を落とせ。スレンダーは私について来い」
「少佐、お気をつけて……」
シャアとスレンダーのMSがガモフを追い抜く。それを見届けたザク改と足のない白いザクはガモフを挟むように展開した。
それを見るやいなや、ガモフの艦長は薄ら笑みを浮かべる。2機とも対艦戦闘用のバズーカを装備していないのだ。白いザク
に至っては、武装すらしていない。
「フッ、ハエを撃ち落せ!」
ガモフから対空砲が放たれる。2機のザクはそれを避けると、ララァがデニムに命じた。
「デニム曹長! 対空砲を落とします! 離れてください」
ララァは命じると、精神を集中させる。次の瞬間、白いザクの両腕が本体から切り離された。
「な、なんだ!?」
ガモフの艦長はその光景に愕然となるが、彼にはそのような事をしている暇はなかった。
五つ並んだ閃光がガモフを貫き、一撃で対空砲火を破壊する。再び別方向から閃光が走ると全ての対空砲を一掃した。
「バ、バカな!!」
その閃光は、白いザク―サイコミュ高機動試験用ザクの指先から放たれた5連装メガ粒子砲である。これはニュータイプ
の発する特殊な脳波であるNT波を利用し機体内外の装置の制御を行なうシステム『サイコ・コミュニケーター』を搭載した
NT専用機で、それを使って連合のガンバレルのように、オールレンジ攻撃を可能とした機体なのだ。
「曹長!」
「了解であります!!」
対空砲を失ったガモフは、もはやまな板の上の魚も同然だった。
「ザフトめー! ジーンの仇だ!!」
叫びながらデニムは、獲物に向かってザクを走らせた。
「“赤い彗星”だと!? おもしろい……このイザーク・ジュールが落としてやる!!」
ストライクと対峙していたイザークはキラの力量に満足していなかった。その為シャアの存在を知るとデュエルの向きを変え、
そのザク目掛けてスラスターを吹かす。
「待てイザーク! 一人じゃ危険だ!!」
アスランは飛び去るデュエルを追おうとするが、ふとキラの方を目をやる。
「……キラ、お前とは次の機会に話そう」
言うとシグーをデュエルが向かった方向へ走らした。
「アス……ラン……」
キラはその姿をただ眺めているしかなかった。
584:第4話 『赤い彗星』
06/11/15 19:00:39
2.
シャアはデュエルが近づくのを確認するとスレンダーに離れるよう指示する。
「頼むぞスレンダー」
「はっ!」
スレンダー機が離れると閃光が闇を切り裂いた。
「落ちろー!!」
これでもかと言うようにデュエルは57ミリ高エネルギービームライフルをザクに向けて撃ちつづける。シャアはそれを難なく
回避する。決してイザークの腕が悪いのではない。純粋にシャアの操縦技術が卓越しているのだ。
(フッ……素人め……)
そう、シャアは思った。戦いなれたパイロットは決して無駄弾を撃たない。彼にとってデュエルの攻撃は実に滑稽だった。
「ええーい! 何故当たらん!!」
イラつくイザークをよそに、シャアはデュエルに狙いを定めライフルを撃つ。もちろんそれはPS装甲により弾かれてしまう。
しかし、それは問題ではなかった。シャアはデュエルの機体性能を観察しているのである。
(PS装甲と言うやつか……そして火力はララァのザク並み……)
シャアはザクの姿勢を制御させると、デュエルに向かって機体を急接近させた。デュエルは必死にビームを放つがザクが近づ
けば近づくほど射角は狭くなる。これでは落とせない事を悟ったデュエルは、ライフルを捨てビームサーベルを抜こうとする。
「遅い!!」
だが、それよりも早くシャアの機体がデュエルと重なった。
「…………!?」
イザークは息を呑んだ。その瞬間、正面のモニターが一瞬消えて急激なGが彼の体をシートにめり込ませる。イザークは何が
起きたのか最初は理解できなかった。なぜなら、デュエルはザクに蹴られ、後ろに跳ね飛ばされたのだから。
「キ……キ、キサマアァァッ!!!!」
これはイザークにとって屈辱的な出来事だった。MS同士が戦闘行為をして一年しか経っていないが、MSに蹴り飛ばされた
MSはイザークのデュエルが初めてだろう。
「このイザーク・ジュールを足蹴にするとはっ!」
イザークの怒りは凄まじく、まさに“キレた”といっていいだろう。
「このままにはさせん!!」
ビームサーベルを抜き、機体をザク向けて走らす。
「MSの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということを教えてやる。」
シャアは先程と一転して距離をとり、ライフルを当て続けるがザクのライフルはまったく通用していない。
「ハッ! そんなものがデュエルに効くか!!」
そんな2機の戦闘の傍らではアスランのシグーが戦況を見守っていた。
(……イザークが、あの“赤い彗星”を押している……のか?)
その姿は、逃げるザクに追うデュエル。違和感を感じながらもアスランにはそう映る。しかし―
「頃合か……」
―そう呟くと、シャアはライフルを連射させた。
「効かんと言っているだ……な、なに!?」
イザークは目の前のエネルギーゲージを見ると驚愕した。ゲージがレッドゾーンに達しているのだ。冷静さを失っていた為に、
その事に気づかなかったのである。青と白の装甲が、鋼色に変わっていく。
「自身の腕とMSの性能を過信し、敵の攻撃を避けようともしないとは……」
ヒートホークを手にすると、振りかぶった。
「うわあぁぁぁっ!!」
目の前に迫る“死”にイザークは恥も外聞もなく悲鳴を上げていた。
585:第4話 『赤い彗星』
06/11/15 19:02:27
3.
次の瞬間、シャアは後方へ飛び退けていた。
デュエルを守るように、重斬刀を持ったシグーが間に割って入ったのである。
「イザーク退け!」
「ふ、ふざけるな。俺はお前の助けなど……」
「そんな事を言っている場合か! 早く退け!!」
「……くっ!」
イザークは何とか機体を制御させるとヴェサリウスへ帰還する。
「次の相手は俺だ……赤い彗星!」
そう言ってシグーは重斬刀を構える。シャアはそれがオレンジである事に気づくと、
「“黄昏の魔弾”、ミゲル・アイマンか」
キラと同様の大きな勘違いをしていた。
「いいだろう、相手になってやる」
シャアはヒートホークへのエネルギー供給を切り、熱を失ったホークを構えた。重斬刀であるシグーに合わせた形となる。
「なめるなー!」
シグーはザクに向かって突貫し重斬刀がザクを襲う。ザクの装甲を切り裂く為にやや大振りであるが、それは的確かつ正確な
攻撃だった。シャアはその猛攻を、急旋回を繰り返す事により全て回避する。
「なるほど。一撃、一撃が正確だ……」
呟きながらシャアは、まるでそこに斬撃がくる事が分かっていたかのように、重斬刀を受け止めた。
「故に読みやすい!」
ザクが振りかぶる行動にアスランは咄嗟に身構えるが、シャアが放った攻撃はホークの一撃ではなく、素手による殴打だった。
「がっ……何!?」
「武器を振りかぶったからといって、斬撃が来るとは限らない」
コーディネイターは優秀である。故に1を聞いて10を知る事が出来る。シャアの攻撃は、まさに彼らの特徴を利用した物だ。
「この程度か……“黄昏の魔弾”の実力は?」
接触回線からアスランはシャアの言葉に驚く。
「ち、ちが……!!」
「違うのなら、本気でくる事だ!」
意味を履き違えつつも、シャアはその後も殴打と斬撃、時には蹴りもまじえアスランを追い詰めていった。
――つづく
586:51
06/11/15 19:05:40
>サイコミュ高機動試験用ザク
知らない人はプロトジオングと考えてくれればいいです。
・・・シャア強すぎる?
587:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 19:19:22
GJ!
サイコミュ高機動試験用ザク
URLリンク(gundamnetworkoperation2.hp.infoseek.co.jp)
588:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 19:20:15
GJ!
シャアまで勘違いかww
589:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 19:20:50
GJ!
この時点でタコザクがでてくるとはw
終戦の頃にはプロトキュベレイが実戦投入されても可笑しくないかもしれませんな
エースとヒヨッコの戦いなのだしシャアに関しては問題ないのでは?
590:51
06/11/15 19:22:07
スマソ!
第0話は>>285以前の部分!
591:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 19:30:44
GJ!
お禿げ様曰く迷いの無いシャアはアムロを瞬殺出来るって話だから
ララァが生きてるからシャアが鬼強くても問題無しだと思う
592:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 19:43:49
そうか、アムロがいなくてララァが生きてるシャアは、誰にも邪魔されずにラブラブ新婚生活を送れるかもしれないのか
ララァとの間に子供まで出来ちゃったりしたら、それこそハッピーハッピーウヒョーな精神状態になって、迷いも消し飛ぶのか
593:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 19:45:39
やべぇ、今からキラVSシャア(たぶんあると思うから)の戦いが気になってきた。
この設定でギレンの野望を出してくれないかなw
594:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 19:48:46
>>583-585
GJ!
ジオンは早くも種世界でいうドラグーン搭載MS(厳密には違うけど)を実戦投入してるわけですか。
原作だと空間認識能力者はナチュラルのほうが多いようだし、頭数揃えて来られたらザフトますますヤバくね?
凸ピンチ!嘗ての友か現在の仲間か・・・キラはどう動く?
595:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 20:53:20
GJ!!!
PS装甲をどうゆう風に攻略するかと思ったけど、まさにシンプルイズベストだな。
バッテリーが持たなけりゃ意味ねーわなw
MSの戦闘法にしてもレベル云々以前に立ってる場所が違うし、まさにシャアだ!!
イザークは雑魚並みの行動しか取れんし、凸はここで死ぬんじゃね?
596:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 21:16:36
この時点でサイコミュがここまで実用化されているとなると
キケロガも作られていそうだな・・・
597:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:06:36
いや、もうジオングの原型はできていてもおかしくは無い。
ビグ・ザムだって開発中だろう。
その代わり地上が今ひとつ……ケンプファーやガルバルディは原型のギャンの開発が×だからなぁ。
いっそ地上用のヅダでも(ry
598:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:13:39
このシャアは強いがゆえに覚醒しなさそうだ
599:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:22:18
>597
この世界のビグ・ザムは核融合炉を積んで洒落ならん火力
と防御力を実現した文字通り「このビク・ザムが量産の暁には」
な化け物機体になりそう
600:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:24:17
この世界にヅダがあったかは知らないけど
ドムがダメになった分ギャンの開発に力入れてるんでない?
601:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:35:03
>>599
ビグ・ザムは冷却装置が最大の問題だったから、いくら化け物になっても稼働時間が延びないと意味がなさそう。
602:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:38:11
>>601
つラミネート装甲の技術+融除剤ジェル
603:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:41:27
そうかラミネート装甲の関係で冷却技術が上がってるのか
ビグ・ザム本気でやばくなりそう
604:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:47:51
GJ!!
タコザク+ララァってこの時期なら無敵ですね。
・・・アムロの代わりにムゥが感じ合ったりしたら面白いかも。
>>596
Gジェネ、スパロボ系は出さないほうが無難じゃないか?
シュネー・ヴァイス(Rドムがないからゲルググかギャン辺り)が限界だと思う。
>>597
融合炉使えない状態であの火力と防御力を再現できるのかなぁ。
I フィールドは無理でビームコーティングになりそう。
605:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:50:18
>>604
実質無制限の戦艦の動力源を使えばいいじゃないか。
606:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:51:42
>>604
>融合炉使えない状態であの火力と防御力を再現できるのかなぁ。
>I フィールドは無理でビームコーティングになりそう。
つデストロイ
607:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 22:57:44
確か51氏が融合炉は開発されてるけど小型化に苦労してるって言ってなかったっけ?
ビグ・ザムクラスの大きさなら積めるんじゃないのかな。
608:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:03:13
>604
ジオンでは大きいものなら核融合炉が完成しているので
おそらくビクザムはそいつを積む事になると思われ。
あとこれを書いて気づいたんだがジオンのMAは核融合炉を
搭載してMSでは実現不可能な高火力を撒き散らす化け物揃いになる可能性
があるかも。
つまりこの世界だと赤くて角がついて通常の3倍早いザクレロが出てくることも
考えられるわけで。
609:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:06:28
まあ、ザクレロは冗談としてもビグロは出てきそうだなシャア専用ビグロ。
610:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:06:36
ケンプファーは出して・・・
611:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:09:36
ケンプファーは稼働時間さえなんとかなれば超高性能機だもんね。出して欲しい。
612:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:11:01
「キンバライト鉱山を落とす目処はまだ立ちません。指揮官のビッターの抵抗がしぶとくて……」
「まったくだね。もっとも、ビッターだけじゃなくジオン自体もしぶといんだと僕は思うんだけどねえ」
ノイエン・ビッター率いるキンバライト鉱山基地防衛部隊のタフさに、ザフトは手を焼いていた。
下半身を破壊されたザクやザクキャノンを改造してザクタンクを作るだの、
破壊されたマゼラトップを改造してザクの手持ち武器にするだの、
半壊したザクのシールドを改造して防具兼武器のスパイクシールドにするだの、
とにかくジオン側はコーディネイターには思いもよらない方法で粘り強く戦うのである。
コーディネイターに比べ、能力に劣るナチュラルが中心になって建国されたジオン公国の発展は、
プラントに比べて艱難辛苦の連続であった。そうした環境が、粘り強く簡単には諦めない
ジオンの国民性を作り上げたのであろうか。
「きっと連中は物資が無くても、気力が続く限り10年だって抵抗を続けるよ。
我々もその点は見習いたいものだね。僕じゃコーヒーが切れたらダメだろうけどなぁ」
バルトフェルドはキンバライト鉱山がジオンの本格的な前線基地になることさえ
防げればいいと思っているので、半ば気楽なものである。
仮に北アフリカに展開しているザフトが壊滅すれば、ジオンは地球連合を構成する
南アフリカ統一機構と直接勢力圏を接することになり、挟み撃ちの形となってしまうのである。
あの前髪をいじりたがる坊ちゃんはどうだか知らないが、ジオン本国はそれを望まないだろう。
そう考えている砂漠の虎としては、地球連合の支援を受けている南アフリカ統一機構の息の根を止め、
パナマ侵攻の準備にかかれるようにすることが最優先である。
かと言ってプラント本国の意向や指示も無視できないし、
ジオンの勢力圏を拡大されるのも癪ではあるので、前線の物資集積所や基地を襲撃して
こちらに有利な現状の維持を図る、アリバイ作り程度のことは行っているのであった。
「それにしてもねえ…」
報告書に目を通しながら苦笑するバルトフェルド。
「普通、バクゥのキャタピラをザクタンクなんかに利用するかね?
足が速くて格闘戦を挑んでくるザクキャノンタンクなんて反則じゃないか」
613:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:11:43
>>608
つかMAってさ
アッザム
アプサラスⅡ
アプサラスⅢ
ビグ・ザム
ザクレロ
ビグロ
ヴァルヴァロ
ブラウブロ
エルメス
ライノサラス(バストライナー)
グラブロ
こんなにいるじゃん
サイズ的にどれも核融合炉積めそうだしジオンすごいことになりそうだ
614:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:12:03
「司令、物資が底を尽きかけています。このペースでは一ヶ月持ちません」
「そうか。よく持ったと言うべきだろうな」
部下の報告にキンバライト鉱山基地司令、ノイエン・ビッターはうなずいた。
部品の「共食い」の結果、機体カラーがまだらになっていないザクは無く、
グフにしてもザクの部品で応急修理した部分も目立つ。
マゼラアタックはもはや大部分がザクタンクである。
ザフトが大規模な攻撃を仕掛けてこないためとはいえ、ここまで戦い抜いたビッターの手腕は、
その非凡な能力を示すものであった。
「どちらにせよ、我々の役割ももうすぐ終わる。脱出の準備を始めてくれ」
ビッターの任務の一つは、ザフトがジオン勢力圏に食い込んでくることを遅らせる、
いわば時間稼ぎである。どう頑張っても、ザフトにバクゥがある限り、ジオンは正面からの決戦に
勝利することはできない。だが、もうすぐ自分の役割を肩代わりしてくれる者たちが現れるのだ。
そうなれば、もう鉱物資源のうまみも少ないこの基地に固執する必要も無かった。
「了解です。しかし、我々がどうやって逃げ出すつもりか知れば、ザフトの連中は腰を抜かすでしょうな」
ミノフスキー粒子を高々濃度で散布してミサイルを殺し、残った兵器全てをオート動作のおとりにして、
基地に数機ある全てのHLVで一気に大気圏を突破してジオン勢力宙域まで撤退する。
その後は宇宙軍に拾ってもらい、オデッサ経由でまたアフリカへ、という算段である。
「だが、この方法は二度と使えんだろう。我々が得た戦闘データだけは、宇宙で友軍に渡さなければな」
バクゥに勝てるMSを開発するための貴重な戦闘データを得て、後の戦いに生かす。
これはジオンが勝利するのに絶対に必要なことであった。
「……戦いとは、二手三手先を考えてするもの、か」
「は?」
「赤い彗星の言葉らしい。もっとも、私もまた聞きでしか知らんがな」
ビッターは部下を下がらせ、壁に貼られた地図を見た。
二手三手先を実行するため、今はまだ目の前の一手に集中しなければならなかった。
615:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:32:42
やっぱり、プラントのコーディは肉体スペックが高いだけの駄目人間のようだな。
616:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 23:34:41
GJ!
さすがビッターやってくれるぜ
高機動ザクタンクとか最高!
>>613
ビグ・ラングとノイエ・ジールもだぜ
開発中だった巨大MA(ノイエ・ジールの原型)にビグロつなげたのがビグ・ラング
戦況が不利になってたからこうなったけどそうじゃなきゃノイエ・ジールは完成してたはず
617:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 00:02:15
GJ!
やはり苦労している者達は違いますな。
ビッター格好よすぎるぜ!
618:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 00:22:22
>>615
うおお・・・。なんつうか、匂ってきそうな男臭さがたまりませんな。
GJ! です。
やっぱ、敵と味方が有能なもの同士ってのは燃えるなあ
619:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 12:13:48
>>613
>>616
ビグロマイヤーは無しの方向ですか?
620:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 12:48:29
>>619
しまった忘れてた
ビグロの火力強化型だったっけ?
621:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 13:07:48
>>620
そんな感じだね
ミサイル取っ払ってクローアームをメガ粒子砲内蔵型のアームに変更
その分機体が軽くなった上にスラスター推力も3倍くらいになってた気がする
622:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 13:08:55
ビグロにビグザムの足付けて地上侵攻用にしようぜ
623:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 15:07:12
その発想はなかった。
624:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 15:24:31
グラブロにも足
625:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 16:15:41
ブラウ・ブロにも足を付けるべきだな
626:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 16:39:15
ムサイにも足をつければ良い
627:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 17:00:38
そしてアースノイドを踏み潰すのだ!
628:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 17:19:34
ムサイはでっかい足で2足歩行じゃなく、ザクの足がいくつもワラワラと生えてて
ムカデのごとく歩くといいな
629:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 17:30:53
ソーラレイに手足つければ
630:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 17:34:58
ソロモンに手足を付けr
631:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 19:26:51
もうね・・・「ザクZ」で良いじゃない
632:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 20:27:54
ビグザムの頭部にビグロを被せて、接近戦に対応させた、というのを、昔ボンボンのマンガで読んだ。
633:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 20:31:39
>>582
51氏、285以前の部分はどうなるです?
むしろその部分がその後の部分の基本設定として重要と見受けられたですが?
634:51
06/11/16 21:07:10
MAは全体的に発展途上段階で、
ギニアスさんはアプサラス造ろうとしたけど上層部に却下される。
秘密裏に造ろうとしたがオデッサ防衛を任されたのでそれも出来ず。
ならばと防衛用MAライノサラス開発に力を入れている。
―という妄想をしてみた。
>>633さん
第0話『プロローグ』ということに・・・
635:第4話 『赤い彗星』
06/11/16 21:09:31
4.
ムウとニコルは、未だに互いの刃を合わせていた。シャアの参戦は戦場にいる者の意識を大きく変えている。ディアッカも、
アークエンジェルへの攻撃を止め、意識をジオンへ合わせていた。
「ニコル!」
「イザークが後退しました。先に行ってください!」
ディアッカのバスターは元々支援用のMSである。単機で性能を発揮するブリッツとは正反対の機体だ。
「僕の機体は援護に向いていない!」
「分かった!」
バスターが離脱するのを見ると、再び意識をイージスに向けた。
「赤い彗星がいるんだ! そこを退けえぇ!!」
「行かせません!!」
イージスのビームサーベルを攻盾システム“トリケロス”で防ぐと、ニコルは考え込んだ。
(とは言ったものの、シグーとバスターだけで赤い彗星を仕留められるでしょうか?)
相手はデュエルに乗ったイザークを凌駕した力の持ち主だ。対ザク用に開発されたシグーと、Xナンバーのバスターだけで、
抑えきれるとはどうしても思えなかった。
そんなニコルはある考えを実行に移すべく、グレイプニールをイージス目掛けて放つと、あるシステムを起動させた。
(ぶっつけ本番だけど……やるしかない!)
次の瞬間、ニコルの乗ったブリッツは宇宙の闇に溶けるように、その姿を消した。
「ミラージュコロイドか!」
ミラージュコロイドとは可視光線を歪曲させレーダー波を吸収する特殊なコロイド状の微粒子、及びこれを利用したステルス
機能だ。このコロイドを磁場で物体表面に定着させ、その物体に対し電磁的・光学的にほぼ完璧な迷彩を施す事ができる。
ムウは神経を研ぎ澄ませ、相手の気配を探った。こうなった以上、頼れるのは自分の第六感しかない。
「何処から来る……」
1分、2分と時間が経過してもブリッツは攻撃を仕掛けない。それが5分も経つと、ムウには嫌な考えが脳裏に浮かぶ。
「……もしかして逃げた?」
実は、ニコルは攻撃すると見せかけてアスラン達の援護に向かっていたのだ。
「………………と、とにかく! 今は赤い彗星をっ!!」
イージスをMA形態にし、ムウはシャアの元へ向けてスロットルを全開にした。
636:第4話 『赤い彗星』
06/11/16 21:10:48
5.
ザクに蹴り飛ばされてシグーが虚空を舞った。
「く……そ……っ!」
アスランの乗ったシグーはボロボロだった。ミゲル用にカスタム化された機体が見るも無残な姿を晒している。
「まだまだだな……ん?」
そんな戦場に高出力のビームが2機の間を貫いた。
「……支援MSのようだが」
見ると94ミリ高エネルギー収束火線ライフルを構えたバスターがいる。
「待たせたなアスラン……援護してやるよ」
言いながら220ミリ径6連装ミサイルを一斉に発射した。アスランは後方へ下がりながら体勢を立て直す。シグーが安全な位置
に移動するのを確認すると、ディアッカは再び収束ライフルを撃った。しかし、
「当たらなければどうと言う事はない」
ザクを旋回させそれを避けると、シャアはシグー目掛けて機体を動かす。アスランは重斬刀を構えそれを迎え撃つが、途端に
バスターからの援護射撃が途切れてしまう。シャアはバスターとシグーの対角線上になるよう自機を操作しながらシグーに迫る。
「ちぃ! アスラン退け!」
アスランも必死に引き離そうとするが、シャアの乗るザクは高起動が特徴に機体だ。おまけにシャア専用にカスタム化もされ
ている。ザクは接近するとシグーにヒートホークで斬りつける。さらには頭部を掴みメインカメラを握り潰すと、今度はシグー
を盾にバスターへ向けてスラスターを吹かした。
迫り来るシャアにディアッカは戦慄し、トリガーを引くのに躊躇する。バスターの火力だとシグーを巻き込んでしまうのだ。
引き金を引けばアスランは間違いなく死ぬ。
「戦場で迷ったら終わりだぞ!」
シャアは、シグーをバスターに叩きつけると、絡み合った2機を漆黒の宇宙に蹴り飛ばす。
「「うわああぁぁぁっ!」」
幸いな事に、彼らが蹴り飛ばされた方角はヴェサリウスの居る宙域だった。
「連合のMSはこの程度なのか?」
しかもコーディネイターが乗っているにも拘らずである。シャアはあまりの不甲斐なさに肩を落とした。その時―
『少佐! 後ろです!』
637:第4話 『赤い彗星』
06/11/16 21:12:13
6.
ヒートホークとビームサーベルがぶつかり光が飛び交う。
シャアは『声』を聴いた瞬間に、ザクを反転させヒートホークを身構えたのだ。
「そんな!!」
そう発したのはニコルだった。彼はミラージュコロイドでシャアの背後に回りこみ、一撃で勝負を決めるつもりだった。
「やってくれたな」
ブリッツを殴りつけ、最大出力のヒートホークを叩きつける。
「……くぅ!!」
「透明化はもう終わりかね?」
イージスとの戦闘に、ミラージュコロイドの使用が重なり、ブリッツのエネルギーは残りわずかであった。
「……熱光学迷彩、使えるかもしれんな……ん?」
シャアはセンサーに映った高速物体―イージスに気づいた。
「連合側の“G”か……ララァ!」
「少佐、ご無事で!?」
「君の『声』が無ければ死んでいたよ。それより、この機体を頼む」
「分かりました」
言うと、シャアはブリッツを見向きもせず、その場を離脱した。入れ替わりでサイコミュ・ザクとザク改がブリッツに迫る。
「新手!? でも……!」
「うおおぉぉぉ!!」
ブリッツに対し、デニムはザク改を急速接近させるとグレネードを放つ。ニコルはトリケロスでそれを防ごうとするが、彼の
目に映ったのは、爆炎ではなく眩い光。デニムが使ったのは閃光弾だったのである。そして、
「今です少尉!!」
そんなデニムの叫びよりも早く、ブリッツの頭部をメガ粒子砲が貫いていた。
――つづく
638:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 21:41:11
GJ!!
ブリッツ捕獲で何か開発されるかな?
639:633
06/11/16 22:34:11
まずはGj
えっと
タイトル 『ガンダムSEED ジオンの栄光』
>>285~ 第0話『プロローグ』
>>285~ 第1話『その名はガンダム』
>>381~ 第2話『崩壊の大地』
>>472~ 第3話『サイレントラン』
から
>>51~ 第0話『プロローグ』
>>285~ 第1話『プロローグ』
>>285~ 第2話『その名はガンダム』
>>381~ 第3話『崩壊の大地』
>>472~ 第4話『サイレントラン』
ということで・・・・
いかんプロローグが二つに orz ・・・・・・
640:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 23:58:53
GJ!!
ブリッツ、ゲットだぜ!
完全に偵察専門のMSでも開発するかな?
もしくは、ドップとかに搭載するとか。
PS装甲とビーム兵器(ぶちっつのはレーザーだったか?)のデータも手に入りそうだな。
ジオンはPS装甲をMSには搭載しないだろうからMAとかに搭載するのか?
PS装甲とIフィールドを搭載したビグザム・・・やっ、やば過ぎるぜ。
641:通常の名無しさんの3倍
06/11/17 00:02:25
GJ!
うおお・・・。ニコルいきなり死亡フラグかい
善人は早死にするなあ。
642:640
06/11/17 00:03:24
>>640
誤字スマソ
ぶちっつ⇒ブリッツ
ぶちっつって何だよOTZ
643:通常の名無しさんの3倍
06/11/17 00:40:08 v663Qs1E
>>634-637
GJです!
やはりNT能力の前にはミラコロは無力であったか…
しかし、デニム、ナイスアシスト!目くらましでブリッツの動きを止めるとは・・・
ブリッツの頭部を吹っ飛ばされた、ニコルの運命は?
644:通常の名無しさんの3倍
06/11/17 00:50:37 v663Qs1E
>>640
ブリッツのトリケロスに搭載されているのはレーザーライフル。
磁気の影響を受けないので、Ⅰフィールド・バリアに実弾以外では唯一対抗できる光学兵器。
645:通常の名無しさんの3倍
06/11/17 00:55:52
ニコルはシャアと因縁でもあるんかいな
シャアスレのSSでも今日投下の作品でニコルがシャアに殺られた