06/11/07 20:27:32
1.
新造艦アークエンジェルのブリッジではナタルとノイマンが口論をしていた。
「艦を発進させるなど! この人員では無理です!」
「そんなことを言っている間に、やるにはどうしたらいいかを考えろ!
モルゲンレーテはまだ戦闘中かもしれんのだぞ!」
起動作業を行ないながらノイマンを叱責する。
「それをこのままここに籠もって、見過ごせとでも言うのか!」
そんな中トノムラ伍長が数名の人員を連れて戻ってきた。
「ご命令どおり、動ける者を連れて参りました!」
「シートに着け! コンピュータの指示通りにやればいい」
ナタルは手を止めると、横になっているパオロに駆け寄った。
「艦長。準備が整いました。次の指示を……」
「少尉……君が艦の指揮を執りたまえ……」
「私がですか!?」
「そうだ……君がやるのだ」
パオロの命令に戸惑うナタル。
「私は……満足に動けん……それに……」
苦しそうな表情で語りかける。
「君の操鑑実習の成績は優秀だ」
「で、ですが……」
「ナタル・バジルール少尉……艦長代行を命じる……」
「……了解しました」
敬礼で答えたナタルは、意を決して艦長席に腰を下ろした。