06/11/05 23:25:14
ここのガルマ、士官学校主席卒業は伊達じゃないですな
351:通常の名無しさんの3倍
06/11/05 23:28:05
乙!
ガルマ編も面白いな。
マ・クベも有能だ。(塩沢ボイスが蘇ってくるぜ)
テキストかなんかに溜めて、纏めて投下してもらえるとボリュームがあって良いです。
352:通常の名無しさんの3倍
06/11/05 23:31:41
オーベルシュタインを思い出した。
353:通常の名無しさんの3倍
06/11/05 23:42:52
テキストでまとめて書こうとすると、51さんの設定と齟齬が出るのです。
ドップはディンに勝てるとわかったから上の話ができたわけでして……
あと、上で書いた作戦は、数がジオン>ZAFTでないと実行できないので、
虎さんが本気で全戦力かき集めてやってきたらとても実行できない…という脳内妄想で書いてます。
(だからジオン側も攻めあぐねてる、と)
354:353
06/11/05 23:48:27
ちなみに、ガルマのイメージはこのガルマのイメージです。
URLリンク(www.youtube.com)
355:通常の名無しさんの3倍
06/11/05 23:53:34
>>353
了解!
356:通常の名無しさんの3倍
06/11/05 23:59:44
誰だ こんなところでラインハルトとオーベルシュタインの会話を書いているやつは
いや本当にそのうち ガルマがマ・クベに対して「卿」と呼びそうなところが怖い・・・
357:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 11:48:57
結局、赤いのは彗星の人なのか?
それともわざと目立って撃墜されようとする人なのか?
前者なら父親がブルコスなんだからコーディーなのはおかしいような気がするけど
358:51
06/11/06 20:49:27
1.
「ご無事ですか大尉!」
X303“イージス”に乗ったクリスチーナ・マッケンジー中尉から通信が入る。
「ええ……クリス、ストライクは戦闘ができないわ。そっちは?」
「OSはインストール済みです。いけます」
ヨタヨタとぎこちない動きをするX105“ストライク”に比べ、紅いMSはスムーズに動いていた。
そんな2機を遠くからみていたデニムは冷静さを取り戻し考える。
(単機ではジンと連合の新型2機を相手にするのは無理だ。それに本来の目的は偵察であり戦果ではない)
デニムはザクの残骸をチラリと見ると―
「すまん、ジーン」
ヘリオポリスから脱出すべく自機を動かした。
一方のミゲルは自分の腕に自信があるのか、単機での捕獲を試みる。
「アレが残りの機体か……おもしろい!」
「く、来る!」
ジンは突撃機銃を発砲し、放たれた76mm弾がイージスを襲う。
「……アウッ!!」
「所詮テストパイロットか!」
重斬刀がイージスに振り下ろされた。
そんな光景を見ていたキラは、たまらずマリューに噛み付く。
「何してるんですか、やられちゃいますよ!」
「大丈夫、ジンのサーベルなどXナンバーには通用しない!」
XナンバーであるイージスとストライクにはPS(フェイズシフト)装甲が導入されている。
この装甲は一定の電流を流して位相転移を起こすことによってあらゆる物理攻撃を無効化するものである。
実際にイージスのPS装甲は重斬刀を弾き返しているが、事情を知らないキラは気が気ではない。
「こんなものに乗ってるんだったら何とかして下さいよ!」
「この機体はまだOSが出来てないの! 仕方ないでしょう!」
キラはマリューの言葉に頭に来たが、モニターに目をやると深呼吸をし決断した。
「……どいてください! はやく!!」
359:51
06/11/06 20:50:13
2.
二人が口論している間も戦闘は続く。
クリスは初の実戦で最初は焦ったが、今は冷静にジンの動きを追っていた。
(焦っちゃダメ。落ち着くのよクリス)
イージスの武装は75mm対空自動バルカン砲「イーゲルシュテルン」とビームサーベルしかない。
本来は60mm高エネルギービームライフルを装備しているはずなのだが搬入作業のため取り外されていたのだ。
そうなるとビームサーベルで勝負を決めなければならない。
「一撃で決めなきゃ……」
相手は経験豊富なコーディネイターである。
初めて実戦を経験するナチュラルのクリスでは困難な戦いだ。
クリスは防御に徹し、相手が隙を見せるのを待った。そして―
「いい加減に落ちろっ」
「いま!!」
苛立ちはじめたミゲルの一瞬の隙を狙って、ビームサーベルを抜き放つ。
その一撃はジンを捕らえたはずだった。
「はずした!?」
その瞬間、ミゲルは反射的に重斬刀を構えビームサーベルを受け止めようとしたのだ。
もちろん重斬刀は切断されてしまうが、その所為でビームサーベルがジンに届くのにコンマ数秒遅れた。
それは超人的な反射神経を持つコーディネイターが機体を動かすには十分な時間だった。
「貴様ー! ナチュラルの分際でっ!!」
激昂したミゲルはイージスを踏みつけ、至近距離で突撃機銃を乱射する。
「キャァッ!! こ、このままじゃ!!」
PS装甲があるとはいえ、エネルギーは永久ではない。
数十発の弾丸をうけたイージスは装甲から色が抜け落ち、みるみる暗い鋼の色になってしまう。
「死ねぇ!!」
止めを刺されるまさにその時、もう一つの新型MSストライクがジンに迫った。
「やめろおぉぉっ!」
「なに!? さっきと動きが!!」
勝負は一瞬で決まった。
キラが操るストライクはアーマーシュナイダーをジンに突き刺した。
機能を停止させたジンは糸を切られた人形の様に地面に倒れこんだ。
360:51
06/11/06 20:53:20
3.
「デニム曹長が突出した?」
『はい! コロニー内部にジンが侵入し、破壊活動を始めたのです』
ヘリオポリスからほど近い宙域にある小惑星の陰に1隻の軍艦がその身を隠していた。
ジオン公国のムサイ級巡洋艦“ファルメル”である。
『その後ジンと抗戦になり、非常事態とみて自分は脱出したのであります』
「よくやった、スレンダー伍長」
仮面で顔を隠した長身の男。
彼こそが、全世界にその名をとどろかせている赤い彗星ことシャア・アズナブルである。
「連合軍の新型MSは存在するのだな?」
『ハッ!』
「もういい、帰還しろ! 詳しい報告は後で聞く!」
通信を切ると副官のドレン中尉が言う。
「意外でしたな、デニムに兵が押さえられんとは……」
重苦しい空気が漂う。
そんな中、一人の女性士官がブリッジに入ってきた。
「少佐、私の言った通りになりましたね」
シャアに話しかけた女性は、まだ少女のようなあどけなさを残していた。
「あの二人には新型を与えたのだがな」
「あの人は腕が悪かったから」
「手厳しいな、ララァは……」
「でも曹長は生き残りました。少佐のおかげです」
シャアは笑うと、スクリーンに映ったヘリオポリスを眺めた。
「若さゆえのあやまち……か……」
361:51
06/11/06 20:55:01
つづく・・・
すみません、3連休中に投下しようと思っていたのに時間がかかりました。
ちょいと補足説明
クリスについて
初めはリュウでした。
でも連邦軍人がパオロにリュウじゃ、死亡キャラを選んでるみたいだったので変更しました。
テストパイロットだし、コンピュータの調整もできるし、バーニィ出したいし・・・
ララァについて
何度も書きますが戦争は1年以上経過しているので・・・
362:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 20:59:29
>>361
お疲れ様です。
勝手にガルマネタを書いている者ですが、1年以上戦闘が継続しているということは、
ペズンのMSやEXAM、アプサラスやアシュタロスについてもある程度完成しているということでしょうか?
その他、書いた内容におかしな内容はあるでしょうか。
勝手に三次創作している立場で申し訳ないんですが、教えていただけると幸いです。
363:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 21:05:26
GJ!
ララァがこの段階で出てくるとは・・・
しかも、結構毒舌ですな。
AAはイージス・ストライクを守りきりましたか。
戦力に少し余裕が出来た、と思いたいところですが、ザフトはともかくシャア・ララァがいるからなぁ。
やばい気がする。
アーマーシュナイダーがジンの何処に突き刺さったのかが、ちょっとわかりません。
ミゲルが脱出した描写もありませんし、コクピットと解釈してもいいんですかね?
それにしてもミゲル・・・
>「貴様ー! ナチュラルの分際でっ!!」
そんなに簡単に頭に血が上っちゃ底が知れたもんだな。
ジーン二号だな。
364:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 21:53:52
投下乙っ!
イージスが残った。
このイージスはまともなOSなのか、クリスだからスムーズに動くのか。
単にストライクが調整未了の様にも読めるけど。
365:51
06/11/06 22:50:11
>>362
ありがとうございます。ぜひ続けてください。
ただガルマとアンディは殺さんでください。
設定について考えついたものですが、
イージスについて
ストライクだけではシャアに対抗できないと思いました。
イージスいてもできるとは思えないけど・・・
ペズン計画
劣勢じゃないので提案すらされていない。
マグネット・コーティング技術は無いし、ギャンは出来てないし、ドムは開発不可だし・・・
アプサラス
同上
EXAM、アシュタロスなど
両方ともゲームですよね。
ブルーはやりましたが、コロニーはやってないんですよ。
だからゲーム関係はあまり考えてません・・・
ガルマ関係
まず最初に、ディン>ドタイ+MS>ドップ、です。
だからドップでディンを落したのは凄いことなんですよ!
ちなみにこのディンは捕獲してます。
そのため、とあるグフの発展型に影響を与えてまして・・・(ここまで書けば分かるでしょう?)
ガルマとアンディの戦い
1)ガルマ率いるマゼラアタック大隊とダコスタ率いるザウート部隊がリビア砂漠で戦闘。
2)ザウートは火力はあるが機動性が低いためマゼラアタック大隊の的にされてしまう。
3)アンディのバクゥ部隊到着。機動力を生かした戦術にマゼラアタックはおろかザクでも対抗できず。
4)ジオン軍後退。ザフト軍は追撃するがノイエン・ビッター、ランバ・ラル、デザート・ロンメルらがゲリラ戦を展開し足止めをする。
5)ガルマ本隊はカイロまで後退。リビア砂漠をはさんで膠着状態。
こんな流れですが、バナディーヤが何処なのか分からないので変わるかも・・・
ちなみにラルは毒ガス(オリジン設定)使ってないので普通にいます。
こんなところですね。
366:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 22:58:23
あー、するとアッザムやザメルは無いのですな。
デザートザクやザクキャノンはあっていいようですね。
367:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 23:10:11
>>366
アッザムは存在するんじゃないか?
あれは元々空中要塞で、
ミノクラで浮いているわけだから。
ミノクラは普通に使っているっしょ?
368:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 23:12:47
ディン捕獲できてるなら、それを元にドム作れないかな?
MSを浮かせる浮力が得られるんだから、それを簡略化してホバーにすればいいんだし。
369:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 23:26:36
グフフライトタイプかー。
イフリート改も存在してたりして……
370:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 23:27:46
ジオンにだってコーディいるしな。
371:通常の名無しさんの3倍
06/11/06 23:54:08
ミノクラはエネルギー(たぶん電力)とかの消費はどんな感じだろう。
消費が大きいとしても、大きい融合炉がアッザムに積めるなら問題ないけどね。
(まあ、逆にアッザムが融合炉を積むサイズで作れれば良いって発想もあり)
これをさらに妄想すると空中給油的発想でアッザムからコード引っ張って電源供給で例のグフが……
372:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 00:30:13
> 「所詮テストパイロットか!」
テストパイロットとはペズン教導団と並ぶパイロットのトップエリート集団なんだけど・・・
何故かでは二次創作では訓練兵として扱われる事が多い。 他にはナデシコとか。
まぁガンダムでクリスやコウ、キースなんかの新兵が所属してるからそう思われるんだろうけどね。
373:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 00:43:38
テストパイロットってのは試作機の不良部分を事細かに洗い出すのが仕事だから、ベテランの腕利きが選ばれる。
又、試作機は総じて扱い難いんで、そういった意味でも操縦に慣れていないと無理。
>まぁガンダムでクリスやコウ、キースなんかの新兵が所属してるからそう思われるんだろうけどね。
クリスは正確には、テストパイロットではなくMS操縦ができる技術者に過ぎない。開発後間もないMSに基本動作を仕込むのが仕事。
ガンダムNT-1のテストパイロットをやっていたのは、人手不足等による飽くまでも緊急の措置。
コウやキースにしても、実際にテスト機に乗っていたのはバニングやアレンであって、彼ら2人はザクに乗って模擬敵の役目をするのが仕事。
もし、ガトーの襲撃が無くそのままテストが続けられていたらアレン辺りがGP-01に乗っていたと思われる。
374:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 01:04:41
実戦でのテストパイロット部隊は外伝のブルーディスティニーを参考にして頂きたい
ユウの部隊はモルモット部隊と言われ損耗率がエラい事になっていた
375:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 01:30:43
>ノイエン・ビッター、ランバ・ラル、デザート・ロンメルらがゲリラ戦を展開し足止めをする。
うあああああ想像するだけで無茶苦茶燃えるぅぅぅぅぅぅぅ!
>>362氏書いてくれませんか? 自分で書ければいいんだけど、ちょいと荷が重い……
>>368
そ れ だ !
376:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 01:49:06
監督繋がりでいうと、サイバーフォーミュラSINの凰呀はテストドライバーが2名死亡している。
試作機を操縦するってのはこういう事が有りえるので熟練者がテストするんだよね。
ブルーのパイロットもEXAMシステムが起動して生きてるのはユウだけだし。
377:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 03:45:16
試作機というより実験機というべきではないかと・・・・
378:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 05:29:30
EXAMに関しては、あれは逆に熟練者っていうより使い捨てのコマ探しだからなあ……。
379:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 08:43:06
俺が思い浮かぶテストパイロットってセンチネルの教導団、AOZのマーフィー小隊、ザクシリーズのレムおじさんくらいかな
380:51
06/11/07 20:25:50
テストパイロットに関しては認識不足でした。
一応、
>前線で戦うミゲルは後方の安全な所でMSを動かしている奴らが嫌い
と考えてみた。
381:51
06/11/07 20:27:32
1.
新造艦アークエンジェルのブリッジではナタルとノイマンが口論をしていた。
「艦を発進させるなど! この人員では無理です!」
「そんなことを言っている間に、やるにはどうしたらいいかを考えろ!
モルゲンレーテはまだ戦闘中かもしれんのだぞ!」
起動作業を行ないながらノイマンを叱責する。
「それをこのままここに籠もって、見過ごせとでも言うのか!」
そんな中トノムラ伍長が数名の人員を連れて戻ってきた。
「ご命令どおり、動ける者を連れて参りました!」
「シートに着け! コンピュータの指示通りにやればいい」
ナタルは手を止めると、横になっているパオロに駆け寄った。
「艦長。準備が整いました。次の指示を……」
「少尉……君が艦の指揮を執りたまえ……」
「私がですか!?」
「そうだ……君がやるのだ」
パオロの命令に戸惑うナタル。
「私は……満足に動けん……それに……」
苦しそうな表情で語りかける。
「君の操鑑実習の成績は優秀だ」
「で、ですが……」
「ナタル・バジルール少尉……艦長代行を命じる……」
「……了解しました」
敬礼で答えたナタルは、意を決して艦長席に腰を下ろした。
382:51
06/11/07 20:29:12
>「君の操鑑実習の成績は優秀だ」
「君の操艦実習の成績は優秀だ」
ミスった・・・
383:51
06/11/07 20:30:05
2.
ジンを倒してホッとしたのも束の間、凄まじい轟音が鳴り響く。
岩盤が崩れ落ちると、土煙の中から白く輝く戦艦アークエンジェルが姿を現す。
「戦艦……コロニーの中に……!?」
キラが戦艦に見とれているその頭上で、白いMS“シグー”がシャフトを破壊し降りてくる。
その後には連合のMA“メビウス・ゼロ”も続いた。
「私がお前を感じるように、お前も私を感じるのか? 不幸な宿縁だな。ムウ・ラ・フラガ」
「貴様! ラウ・ル・クルーゼ!」
ゼロはガンバレルを展開し、四方から発砲する。
シグーはかわしつつガンバレルを落とそうとするが、ムウはそれより早くガンバレルを収納させる。
一進一退の攻防とはこのことだろう。決着がつく気配がない。
「こっちはシャアを落とすために腕を高めてんだ! お前なんかに!!」
「シャア……だと?」
「シャア」という言葉に反応するクルーゼ。
「ふざけるな!! 奴は私の獲物だ!」
「なんだと!?」
「第一、そんなもの(メビウス・ゼロ)で奴を落とせると思うのか! 身の程知らずめ!!」
シャアに恨みでもあるのか、いきなり激昂したクルーゼを尻目にムウは切り返す。
「あいにくだな! こちとらMSに機種転換するんだ! だから―」
言いながらガンバレルを、
「―こんなこともできる!!」
そのままシグーにぶつけた。
「な、なに!?」
あまりに意表をついた攻撃をシグーはまともに食らってしまう。
その隙をついてゼロはリニアガンを放った。
それに気づいたシグーはあわてて避けようとするが弾は左腕を吹き飛ばす。
「ちっ……被弾した。帰投する」
クルーゼは自分の失態に腹が煮えくり返る思いだった。
384:51
06/11/07 20:36:46
3.
「つまり巻き込まれちゃったわけね」
場所を近くの公園に移し、キラはクリスに経緯を説明していた。
なぜクリスに話しているかというと、マリューが気絶してしまったのだ。
OSを変えたストライクの動きにより、強いGがかかったのである。
「事情は分かったわ。でもこの機体は軍の最重要機密なの。
申し訳ないけど、しばらくは私達と一緒に行動することになるわね」
「そんな……」
「大丈夫よ! 私が上に掛け合ってみるから、そんなに落ち込まない!」
クリスは、バシッ! とキラの背中を叩く。
「でもさっきのメビウスとシグーの戦闘見た? すごかったわねー! さすがエンデュミオンの鷹っ!!
私が乗ってたこの機体も彼が乗ることになるのよ! すごいでしょ!?」
「はぁ……」
元気付けようと、大げさに話すがキラは落ち込んだままだった。
ただキラは拘束されることに落ち込んでいるわけではない。
(アスラン、だったのかな? でも君が軍人になんて……)
アスランのことを気にしていたのだ。
そんなことを知らずにクリスは、
(ま、まずい! 気まずい……)
385:51
06/11/07 20:38:22
微妙な雰囲気の中、一台の車がこちらに近づいてくる。
「トラック?」
荷台には数人の人達が乗っている。
「やっぱりキラだよ!」
「おーい!」
「キラー!」
それはゼミの友人達だった。
「サイ!? トール! ミリアリア! カズィ!」
荷台から降りると皆がキラに駆け寄ってきた。
「よく生きてたな、このヤロー!」
「皆、どうして?」
「退避シェルターに入れなくてさ」
「困ってたところをあの人に拾われたんだ」
「あの人?」
振り向くと、トラックの運転席から女性が降りている。
美しい金髪を肩まで伸ばし、どこか気品の感じられる女性だ。
「お友達?」
「ええ、同じゼミに所属してるキラです」
「キ、キラ・ヤマトです」
突然紹介されたキラは照れながら言った。
「セイラ・マスよ」
386:51
06/11/07 20:40:10
第2話前編終了
WBクルーはセイラだけを考えてる
387:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 21:05:06
>>380
安全に兵器を使えるのはテストパイロットたちのお陰なのに…
388:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 21:16:49
おー、GJ
互いにシャア(クルーゼは誤解ぽいが)に因縁持つムウとクルーゼのこれからの戦いにwktk
そしてセイラさんキター!!
そうだよなぁ。シャアがいるんだからセイラさんもいるよなぁ。
389:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 21:41:32
GJ!
セイラさんまで!・・・当然いるわな。
この分じゃアムロもいそうだな。
いないと、シャアがかわいそうだ・・・
390:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 21:51:33
投下乙。
セイラさんご登場、そしてイージスはフラガの乗機と判明、と。
変形機体だし、たしかにメビウスになれてるフラガ向きかもしれぬ。
391:今度は日常編
06/11/07 22:28:37
マ・クベに指示を出した後も、ガルマの仕事は終わらない。
運ばれる書類に目を通し、指示を与え、説明を求める。軍隊とは巨大な官僚機構である。
無論、最終決裁権者のガルマまで上がってくる案件は限られたものではあるが、
逆に言えばそれは全て今後を左右するものばかりである。
「ヒルドルブ……ほう、これはいい。バクゥよりも速いのか」
試作モビルタンク、ヒルドルブ。最高走行速度110km、最大射程32kmの30サンチ砲を備えた
巨大戦車である。地球降下作戦前にザクとのコンペに敗れたが、プラントの参戦に伴う情勢の変化から
再度性能試験が―地球で―行われることになった兵器であり、
ZAFTのザウート同様可変機構を持ち(こちらは戦車から半MS形体への変形だが)、
ザクやグフの装備も同時に使用できることも強みであった。
「これがあれば、あの大敗も無かったかもしれないな」
砂漠の虎に挑み、返り討ちにあった記憶が脳裏に蘇る。
積極的に戦いを挑む気は無いが、次に戦う時は負けはしない。
ガルマは知らず拳を握り、決意を新たにした。
「さて、これで今日の予定も終わりか。ようやく一息つけるな」
仕事が終われば、司令官の顔から、少し疲れが目立つものの、年相応の顔に戻る。
彼は地球方面軍の司令官ではあるが、同時に弱冠20歳の青年にすぎない。
だが、最上位者であるガルマには私的な話をする相手すらいないのだ。
そこからくる重圧は、並みのものではなかった。
「せめて、シャアがいてくれればな」
ため息とともに、今は宇宙にいるだろう親友を思い浮かべた。
ただ一人、ザビ家の御曹司であるガルマと対等に付き合ってくれたシャアがいれば、
公私共に頼りになることには疑いは無かった。
しかし、「話し相手が欲しい」といった理由で派遣を要請することが出来るはずも無い。
「話し相手か……イセリナはどうしているだろう」
イセリナ・エッシェンバッハは大西洋連合の大都市、ニューヤーク市長の娘であり、
数年前にオーブで開かれたパーティーで出会って以来、ガルマとは恋中であった。
地球とジオン公国は遠いため、お互い家族に隠れて、
ビデオメールのやり取りを交わす程度の間柄ではあったが……
(もっとも、キシリアはそのことを知っていて、逆に便宜を図っていたのであるが)
戦争が終われば、また会える。だが戦争終結のためには連合の中核、大西洋連合を落とす必要がある。
身勝手な考えとは自覚しているが、彼女がいるニューヤークを火の海にすることはしたくなかった。
「そういえば、あの少女は元気だろうか」
カガリ・ユラ・アスハ。彼女のおせっかいな空回りが無ければ、
自分はイセリナと恋仲どころか、話しかけることすら出来なかったのではないか。
戦火と関わりが無くとも、コロニー落としとニュートロンジャマー投下は
オーブにも様々な影響を与えているだろう。せめて息災でいるといいが……
そう思っている相手が、まさか自分のすぐ近くにいるとは、ガルマの考えの及ばないところであった。
392:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 22:51:53
乙!
キシリア・・・ガルマに甘すぎだろ!?
不覚にも萌えてしまったじゃないか・・・
393:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 00:13:38
ヒルドルブ!ヒルドルブ!
もしかして、ソンネンとゲリラ屋オッサンズ夢の共演が・・・!ワクワクテカテカ
394:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 00:18:46
確かに、こいつならバクゥにも勝てる…つーかザメルの最高時速220km/hかよ。速すぎるぞ。
しかし、バクゥの最高時速っていくらだっけ?110km/hなら出せそうな気もするんだが。
395:今度は日常編
06/11/08 00:32:50
ちなみに、ヒルドルブ → ザメルでなく、ヒルドルブ → ライノサラスになります。
問題はバストライナー砲の代わりが見つからんことです。
あー、でも完成する頃はガルマもバルトフェルドも死んじゃうのかー。
396:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 08:16:11
>>395
>バストライナー砲の代わり
ローエングリンとか
397:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 08:32:12
>>394
あれ、ドムって300km/h位出なかったけ?
あれ~? 記憶があやふやだから間違ってたらごめん。
398:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 09:51:56
>>397
この話の中ではドムは技術的な問題で作られて無いんだよ
399:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 13:37:02
熱核ホバーが今のところは駄目だしね
400:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 14:16:59
あのグフがモノになるのであれば装甲はともかく機動性ならドム以上の機体に仕上がりそう
宇宙用なら推進器いろいろありそうだしGジェネに出てきた足無しのドム作ってみるとかw
401:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 18:50:33
これってアムロは出ないのかな?
コーディネイターとは別にニュータイプがいるというのがここのジオンの思想だが、そうなら元祖ニュータイプのアムロは必要な気もする
でもそうするとアムロvsシャアに他のキャラが呑み込まれて目立たなくなりそうな悪寒
402:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 21:02:16
>>401
何をいう。元祖ニュータイプはシャリア=ブルだ。
403:51
06/11/08 21:31:31
1.
「ミゲルとの交信が途絶えた!?」
その報告を受けたアデスは、思わず聞き返した。
「間違いないのか!?」
彼はザフトのナスカ級高速戦闘艦“ヴェサリウス”の艦長である。
ヴェサリウスとローラシア級MS搭載艦“ガモフ”の2隻がヘリオポリスを襲撃したのだ。
「“黄昏の魔弾”を失うとはな……」
アデスは俯きながらつぶやいた。
クルーゼ隊には赤服と呼ばれる優秀なパイロットがそろっている。
しかし彼らはいずれもアカデミーを出たばかりで実戦経験に乏しかった。
ミゲルは赤服ではないが、戦場で武勲を立て、パーソナルカラーを許された歴戦の戦士である。
彼を失った意味は大きい。
<アデス聞こえるか>
帰還途中のクルーゼから通信が入る。
<全MSにD装備をさせろ>
「D装備ですか?」
アデスは驚いた。D装備は要塞攻略用の最重装備だからだ。
クルーゼの命令に不満を擁きながらも、彼は部下に命令する。
「分かりました。すぐにジンへD装備を!」
「フレドリック艦長」
その時、ブリッジにアスランが入ってくる。
「自分を出撃させてください」
「なんだと? しかし、機体が無いだろう」
「ミゲルのシグーを使わせてください!
自分が“G”が奪取していれば彼は死ななかったかもしれません。仇をとらせてください」
アデスは一瞬迷ったが、アスランの赤服を見て承諾した。
「分かった。許可しよう」
「ありがとうございます」
言うなりブリッジを飛び出す。
(あれは……キラなのか?)
404:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 21:34:17
何気にジョージ・グレンも木星帰りだったりするんだが、
この世界だと奴こそファーストニュータイプってことになったりしないよな?
脳だけで生きてるあたり怖いんだけど
405:51
06/11/08 21:34:18
2.
自己紹介をすました少年達の心は連合のMSに移っていた。
「しかしすげーなー。キラが動かしてたのか?」
「『ガンダム』? なにそれ?」
「ちょっとー! 見るだけで、乗っちゃダメよ!!」
ストライクのコックピットに入り込もうとしている彼らをクリスが必死に制止する。
「軍人さんも大変ね」
「ええ、まあ……」
和気藹々といったなかでマリューが目を覚ました。
彼女は身を起こし現状を確認すると、慌てて腰にある拳銃を抜きキラ達につきつける。
「その機体から離れなさい!」
「何をするんです! 止めて下さい!」
「助けてもらったことは感謝します。でもあれは軍の重要機密よ。民間人が無闇に触れていいものではないわ」
「た、大尉落ち着いてください」
クリスの制止も聞かず、彼女は断固とした口調で続ける。
「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です。申し訳ないけど、あなた達をこのまま解散させるわけにはいかなくなりました」
「一緒に行動するんだろ。クリスさんに聞いたよ」
「なら話は早いわ。こっちにきなさい……クリス、貴女がいながらこれはなに?」
「すみません、でも!」
「言い訳はいいわ!」
そんな二人の間にセイラが割ってはいった。
「銃をおろしなさい―」
銃をつきつけたマリューにセイラは静かに言う。
「―相手は子供よ」
「関係ないわ。私は開発責任者としてこの機体を任されてるの」
「エリートでいらっしゃるのね」
「!?」
その一言にマリューは眉間にしわを寄せた。
「それは皮肉かしら?」
「別に……でも、もう少し肩の力を抜いてもいいのではない? 大尉さん」
406:51
06/11/08 21:35:38
3.
「ラミアス大尉!!」
マリュー達がアークエンジェルに到着すると、アーノルド・ノイマン曹長が駆け寄ってきた。
「ご無事で何よりです」
「あなた達こそ、よくアークエンジェルを守ってくれました」
「その子達は?」
ノイマンはマリューの後ろにいた少年達について尋ねる。
「ヘリオポリスの民間人よ。Xナンバーを目撃してしまった為に一時的に拘束しました。学生と医療ボランティアの方が……」
「医者がいるのですか!? どなたが!?」
ノイマンは慌てて少年達に問いかける。
中からセイラが手を上げて前に出る。
「私です。まだ医者の卵ですが……」
「構いません! すぐブリッジまで来てください!」
「怪我人ですか?」
「艦長が重態なのです」
「待って、衛生兵はどうしたの?」
「それは……とにかくいらしてください」
407:51
06/11/08 21:40:53
セイラ達がブリッジに着くとナタルが賢明に指示を出していた。
「大尉! ご無事でしたか」
「ナタル、貴方も……カシアス艦長!」
艦長席の傍らには簡易ベッドがあり、艦長のパオロが横になっていた。
セイラはノイマンに案内され診察に入る。
「何をしている……私のことはいい……」
パオロは軍医の治療を拒否していたのである。
自分に構うよりも、他の怪我人を治療するように命令したのだ。
ただでさえ人員が不足していることもあり、パオロは簡単な応急処置しか行なわれていなかった。
「彼女は兵ではありませんから、その命令は無効です」
ノイマンは屁理屈を言う。
皆が見守る中でセイラは診察を終えた。
「ここでは無理。早くちゃんとした施設でないと」
その言葉は時間が無いことを意味していた。
(やはり早急にアルテミスまで行かなくては)
408:51
06/11/08 21:43:27
思考の海に潜ろうとするナタルだったが、横からパイロットスーツ姿の男が声をかけた。
「地球軍第7機動艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉だ、よろしく」
「第2宙域、第5特務師団所属、ナタル・バジルール少尉であります」
互いに敬礼して名乗ると、ムウが切り出す。
「こんな時になんだが乗艦許可をもらいたい」
「あ……乗艦を許可します、大尉」
「俺はパイロットになるヒヨっ子達の護衛で来たんだが、連中は?」
ナタルは沈痛な面持ちで首を振る。
「……そうか。だったら、ストライクとイージスは誰が?」
「それは……」
マリューが口を開こうとした時、クルーの一人が声を上げる。
「少尉! またMSです!」
情報分析をしていたトノムラ伍長はさらに続ける。
「ジンの編隊です。シグーもいます」
「ちぃっ! ゼロで出る!」
言ってムウはブリッジを飛び出す。
マリューとナタルは互いの顔を見合わした。
「―ストライクとイージスはまだ外ですか!?」
「ええ、回収している余裕はないわ。自力で合流させましょう」
頷き、ナタルは艦長席に座る。
「アークエンジェル発進準備! 総員、第一戦闘配備!」
409:51
06/11/08 21:45:56
つづく
セイラとマリューの会話がなんか微妙だ
アスランの機体はミゲル専用シグーに決定
もちろん色はオレンジです
ちなみシグーはザクに対抗するため史実より量産されてます。
アムロについて
>>386
410:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 21:58:38
>>409
乙です!
411:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 22:05:39
高機動型ザクはシグーには対抗できそうな気がするですが、どうなんでしょ。
もっとも、勝てたとしても、ザクレロやビグロに勝つのは難しいだろうなぁ。
水中でもグラブロがあるし、ジオンは大型MAに結構シフトしていきそうな気が。
……あー、ララァがいるということはサイコミュザクがいるのか。
エクステンデットの技術をゲットしてジオンで強化人間の量産ですね!
412:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 22:14:03
高機動型ザクの中身は半分くらいザクとは別物だからシグーには勝てると思う。
初期型は足周りが複雑すぎて整備性、生産性が悪かったんで生産数も少なかったけど、
改良型のR-1タイプは足のブースターの燃料をカートリッジ式にして改善している。
原作だとリック・ドムの方が手軽な上に火力も高かったけど、種世界だとドムが実用化
されていない現在、高機動型ザクは宇宙戦のメインになりそうだ。
413:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 22:22:57
つ リックアッガイ
414:通常の名無しさんの3倍
06/11/08 22:48:30
>>412
改良型はR-1Aだ
初期型がR-1でシン・マツナガが乗ってたのがこれ
R-1Aで有名なのが三連星の乗ってた機体
415:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 00:57:40
ディスティニーから出せそうなキャラも少数ながら居るな
ヒルダ、マーズ、ヘルベルトの新三連星vsマッシュ、オルテガ、ガイアの本家三連星対決とか
ハイネvsラルの新旧ザクとは違うのだよ対決等
個人的には見てみたいな
416:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 03:30:48
R-2ってほとんどプロトゲルググなんだっけ?
417:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 05:49:12
R-2は性能的にはビーム兵器が使えないゲルググみたいなもんじゃないか?
R-3なんかになると外見からしてまるっきりゲルググだし
>>395
バストライナー入手前ならバストライナーじゃなく
200mmキャノン砲を装備しているライノサラスA型で良くないか?
418:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 08:12:34
>ゲルググ
Sugeeeeeeeee!!!!!!!!
高機動型ザクってかなり強いんじゃん
419:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 08:42:37
フルバレットザク
420:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 08:56:04
元々はゲルググの開発が滞っている為の繋ぎのMSとして造られたからね。
ゲルググ開発の過渡期のMSだから似ているのは当たり前としては当たり前かな。
コンペではリック・ドムに負けたけど性能は高いよ。
421:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 09:09:50
R型ザクの問題になったのはコストと整備効率が悪化したことだからね
R-2なんか4機しか作られなかったくらいだし
まあドムとリックドム、生産ラインの大半を共用できたのも強みなんだろうけど
422:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 10:32:37
種死のドムもどきはどうやって浮いてるんだろ?
やっぱり、負債の過誤を受けて腐力で浮いているだろうか?
423:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 12:52:47
R型のザクって、レムのおっちゃんが体を張って作ったんでしたっけ?
424:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 14:38:06
ドムが作れなかったらギャンの開発速まらないか
量産されたギャン見てー
425:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 16:58:16
>>422
誰が上手い事を言えと(ry
426:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 17:43:21
>>421
種のスラスターがなんなのかまだわかってないからなぁ
エールストライクは超伝導推進らしいけど、それじゃ宇宙は動けないはずだし
適当に決めて細かいところ考えてないのが良くわかるぜ
427:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 19:44:13
超伝導推進がどうのってのは水中戦やるときに出たんだっけ?
あの時は何もつけないかソードだった気がするんだか
428:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 19:53:33
>>427
そう、そんときエールは水中でも使えるっていう設定がでた
たしかプラモの箱んとこに説明があったはず
設定上ではXナンバーのスラスターは全部超伝導推進ってことになるんだが、宇宙で動けねえよそれじゃww
429:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 19:54:31
いっそのことドムを超電磁推進にしてしまえ
430:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 19:58:36
種はアレだ
ノリと勢いと厨くさいカッコよさで設定がなりたってるからw
431:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:11:24
>>428
プラズマジェット推進にしとけばなぁ
宇宙でも地上でも使えてバッテリー駆動、しかも地上では推進剤の水素いらず
水素は海水から精製できるから世界観にぴったりだったのに
432:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:15:34
そんな夢のような推進システム本当に存在するの?
433:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:19:25
>>432
存在する
種世界は核パルス発電に失敗してるけどこれなら簡単に作れる
燃料(液体水素)にX線レーザーぶち当ててプラズマ化させ推進力にする
地上では燃料の代わりに空気や海水でもいけるというこのすばらしさ
434:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:22:38
それなら地上はバッテリーだけでいけるな
435:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:24:03
>>433
ガンダムグリープが使ってたのだな。
436:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:27:03
>>433
そうなんだ、知らなかった
でも核融合炉が完成してるんなら、これ使わなくてもいいはずなんだがな
プラズマジェット推進ってレーザー核融合の出来損ないみたいなもんだし
437:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:32:33
まちがえた>>435ね
438:51
06/11/09 21:34:12
今回は短いけど・・・・・・投下します。
439:51
06/11/09 21:35:05
1.
キラはクリスと共に、MSを使い破壊されたモルゲンレーテから物資を搬入していた。
その二人にジンが突入することを知らされ、迎撃を行なうよう命ぜられる。
「なんでですか!? ここは中立なんですよ!」
「さあな。ザフト兵の考えてることなんざ、俺は知らんよ」
キラの問いかけにムウは肩をすくめる。
「俺のゼロと中尉のイージスがオフェンスだ。キラ、だったな。君はアークエンジェルを守れ」
しかしキラは俯いたまま黙っている。
「……自分と同じコーディネイターを撃つことが気になるのか」
「!!」
「安心しな。俺も中尉も、君の素性を話すつもりはないぜ」
連合は基本的にナチュラルが中心の国家である。
それがコーディネイター中心国家のプラントと戦争をしているのだ。
キラの素性が知られたら、拘束される可能性もある。
「君が戦うのは今回だけでいい。後は俺がイージスに乗って、余ったストライクには中尉が乗ってもらうようにする」
クリスもムウの言葉に頷いているが、キラは首を振って叫んだ。
「ぼ、僕は戦争が嫌で、中立のヘリオポリスに来たんです。戦うなんて……」
「いいかキラ! 怖いのは分かる。コーディネイターとはいえ民間人なんだからな。でもザフトはコロニーを破壊するつもりだ。
そうなったら軍人、民間人なんて立場は関係ない! 今ヘリオポリスを守れるのは俺達だけなんだぞ」
「でも、僕は……」
声を震わせるキラに、ムウは語りかけた。
「君はできるだけの力を持ってるだろ? なら、できることをやれよ」
はっとキラは顔を上げると、モニターには優しい表情のムウが写っていた。
440:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 21:35:30
核融合炉の莫大な電力を使えば効率とかすごくよくなるからじゃね
レーザーの出力がスラスター推力に直結してるから
441:51
06/11/09 21:38:01
2.
上空では進入してきたジンにゼロとイージスが戦っていた。
基本的にゼロのオールレンジ攻撃でジンを釘付けにし、その隙をイージスが撃ち落す戦法だ。
しかしゼロとイージスだけでは全てのジンを落とすことはできず、2機のジンが抜け出した。
それはアークエンジェルを発見すると、艦に向けて大型ミサイルを発射する。
「くっ! 対空砲火!!」
ナタルの指示で弾幕を張るが、ミサイルは次々と迫っていた。
「やめろおぉぉ!」
キラは迫り来るミサイルを57ミリ高エネルギービームライフルで撃ち落す。
そして銃口をジンに向けると、迷わず引き金を引いた。
その一撃はジンの胴体を貫き爆発する。
「なに!?」
僚機を一撃でやられたことに動揺するザフト兵。
その隙を、キラは見逃さなかった。
「うわあぁぁぁっ!」
442:51
06/11/09 21:40:14
声を上げながら、アサルトナイフを抜くとジンの頭部に突き刺し、離れ際にライフルを一発撃ってもう1機のジンを撃破する。
息衝ぐ暇もなく、別のMSがストライクに迫る。
そのMSは先刻ゼロと戦っていたMSとは違い、オレンジに塗装されたものだった。
<キラ! キラ・ヤマト!>
「アスラン! アスラン・ザラ!」
<やはりキラ? キラなのか?>
しばし呆然となるキラであったが、爆発音が鳴り、辺りを見渡すと他のジンがミサイルをヘリオポリス中に撃っている。
コロニーを攻撃するザフトのMSと目の前にいるかつての親友に怒りがこみ上がる。
「なぜ……なぜ君が!?」
<お前こそ! どうしてそんなものに乗っている!?>
アスランの方も真意を問いただそうとするが、
「キラ君!!」
クリスの叫び声と共に轟音が鳴り響きコロニーのシャフトが折り曲がる。
地面に亀裂が入り、空気の流出にが始まる。
そしてそれはストライクの足元にも―
「うあぁぁっ―!」
キラのストライク、そしてアスランのシグーは宇宙に放り出された。
―C.E.0071年1月25日、クルーゼ隊が潜入して約6時間後、ヘリオポリスは崩壊した。
443:51
06/11/09 21:42:49
つづく・・・
とりあえずシャアは高機動型ザクに乗ることでFA?
それとシャアの相手誰にするかな・・・
444:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:01:19
ザフトだと相手になりそうな相手が居ない気がする
ザフト最高部類に入るクルーゼがジョニーらしき人物に抑えこまれているしな
連合製MSのOSがジオンMSのOSをベースで作成されているとしても、こっちも相手が居ないような…
445:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:07:00
ルース・カッセル&フォルド・ロムフェラーなんかどうだろ
446:51
06/11/09 22:07:24
ちなみにシャアを相手にする=ジオンNT部隊を相手にする。
ですので・・・
447:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:20:50
51氏GJ!
NT部隊って、シャア、ララァ、シャリア・ブル、小説版を含むならクスコ・アル、ルロイ・ギリアム位か?
∩( ´Α`)< 先生、勝てそうな部隊いないっすよ?
448:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:23:53
マリオンはー?
449:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:28:13
小説版て…シャリア・ブルはシャアより強かった気が…
450:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:30:11
>>445の2人に加えてユウ・カジマ、シロー・アマダ、
ジェームス・A・アーノルド、チャールズ・S・サインツ
で、実験機試作機部隊とか
451:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:35:10
マリオンは51氏がゲームの事は考えてないらしいから除外してた
連合は連邦から梃入れできるが、ザフトは梃入れできる連中が少ない
サーペントテイルをザフトが雇っても焼け石に水か?
452:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:39:12
ニュータイプ部隊がいる → シャアの目的は復讐から人の確信を見ることへ → ガルマ死なない?
453:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:39:39
ザフトには自分の所属する部隊は必ず自分以外全滅し、自分だけは必ず生き残る男ドクターがいる!
しかもコンピュータを外科手術できる凄腕だ。
454:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:48:13
ザフトと連合が同盟でも組まない限りジオンに太刀打ちできんぞこれは
455:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:50:10
地球侵攻ちょっと遅らせて制宙圏を掌握してザフトの部隊を地上に降ろさないようにすれば
地上のザフトは干上がったも同然になるから虎もあっさりやれるんじゃなかろうか
456:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:50:31
ザフトは一般兵が全員コーディで平均的に強いからバランスはとれるだろう。
457:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 22:52:17
ジオン兵の方が兵士としてのの錬度は高いんじゃないか?
操縦うまくてもコーディって連携しないしさ
458:通常の名無しさんの3倍
06/11/09 23:03:20
>>308
の作中にて地の文で説明あるから
性能が同じ機体ならコーディネーターが有利
459:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 00:02:18
しかし問題は宇宙ではジオンのMSの方が性能が高いって所だな
460:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 00:08:20
さて、ガルマがナイーブな青年の悩みを抱える一方、マ・クベの方も悩みを抱えていた。
―こちらの悩みは実に殺風景で、しかも血と鉄の香りが溢れかえるものであったが。
「また捕虜への暴行事件か。とは言え、ナチュラルの兵士にやらせるわけにもいかんからな……」
戦闘が起きれば、敵味方に捕虜は発生する。ZAFTが相手でも、それは同様である。
問題は、捕虜を収容した後の扱いであった。コーディネイターの身体能力はナチュラルを凌駕する。
ナチュラルの兵士を看守にあてたのでは、暴動が起こった際に対処しきれない可能性がある。
従って、コーディネイターを収容している施設に配属されているのは、ハーフ、クォーターも含めた
コーディネイターであったが、それが最大の問題なのだった。
ブルーコスモスが母体であるジオン公国は、コーディネイター化を認めない。
従ってジオン公国のコーディネイターは、当然のことではあるが、移住してきた者がほとんどである。
―そして、大部分はプラントからの亡命者でもあった。
『コーディネイターは強い同胞愛を持つ』
プラントの市民が好んで使う言葉である、それは確かに正しかった。
だが、全てのコーディネイターを同胞と認めるわけではない、という言葉が欠けていた。
ナチュラルの配偶者を持つ者やハーフコーディネイターは、プラントにとっての同胞ではなかったのだ。
そして、婚姻統制によって結ばれることを許されない者たちも同様に白眼視された。
こうしたプラントの『非国民』たちは、新天地としてジオンへと移住して行ったのである。
また、ジオンとプラントの関係が少なくとも険悪ではなかった時期には、ジオン公国に住む
子供が出来ない第二世代コーディネイターのカップルが、コーディネイトの失敗を理由に
親権を放棄された哀れな子供たちを養子に迎えることも多かった。
こうした背景から、ことジオン公国のコーディネイターやハーフ、クォーターたちの
プラントへの悪感情は、深く根深いものがあった。バレンタインの虐殺に喝采を叫んだ者もいた、
その事実だけでどれだけの憎しみがあったか想像できるであろう。
皮肉なことに、ジオン公国で最もプラントを憎むのは、コーディネイターに連なる者たちなのであった。
そのため、ジオンのコーディネイターたちは最も勇猛果敢に戦う集団であり、味方からは敬意を、
敵からは恐怖と「裏切り者」のレッテルを与えられたのである。
しかし、それは捕虜の監視や管理という職務においては、有害でしかなかった。
「お前らに同胞愛は無いのか」という捕虜の言葉から凄惨なリンチが発生した、
自分の「遺伝上の」親を目の前にして逆上して射殺してしまった…という事件がたびたび発生することに
マ・クベは頭を抱えていたのであった。
「……捕虜交換を具申してみるか」
シノワズリーの壺のコレクション―本当は模倣ではなく本物の北宋の壺が欲しいのだが―を眺めながら、
マ・クベは机の上で一人つぶやいた。
落ち着いてコレクションを鑑賞できる日は、当分先のことになりそうであった。
461:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 00:10:46
今回はジオン公国のコーディネイターについて妄想してみたり。
ゲリラ戦は書きたいけど、資料が…
462:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 00:17:53
こう言う事情は絶対あったと思うが、種じゃ全然描かれてないからな。
特にハーフはスポットが当ってない。
463:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 01:29:53
種はコーディ側に偏ってるからなあ。
464:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 02:04:37
なぁ なんでオーベルシュタインが居るんだ? 教えてくれまいか
465:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 02:10:20
マ・クベがオーベルシュタインでも全然違和感が無いな。
466:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 04:33:01
>>464
勘違いしてはいけない。
オーベルシュタインがここにいるのではなく、ここのマさんが銀英伝に出てるんだ。
467:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 07:36:16
あ、納得
468:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 08:35:29
>>444
長谷川裕一の外伝漫画の内容が公式に認められた物とすれば、
赤い稲妻は忠誠心こそシャアより低めだけど、
こと任務に関してはシャアより遙かに実直だから。
469:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 11:05:39
それを言うならガンダムパイロット列伝を忘れてもらっては困る
アレのジョニーのキシリアへの忠誠心は相当なもんだぞ?
470:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 19:53:49
キシリアが別嬪さんだからな
471:51
06/11/10 22:12:38
ちょっと書き方を変えてみた。
472:51
06/11/10 22:14:28
1.
「よくやったな坊主」
ムウは格納庫に行くと、真っ先にキラに声をかけた。
「ム、ムウさん……」
声はまだ震えていたが、幾分か落ち着きを取り戻している。
ヘリオポリスが崩壊した後、宇宙に押し流されたストライクは自力でアークエンジェルへ帰還した。
その途中、推進部が壊れた救命ポッドを見つけたキラはそれを抱えていた。本来はオーブの救援艇が
保護しに来るのだが、“住民を見殺しにするな”とパオロが命じていた為ナタルはそれを受け入れていた。
「もう怖い思いをしなくていいぞ。後は俺と中尉にまかせろ」
「は、はい」
そう返事をしたものの、キラには複雑な思いがあった。
これでキラはMSに乗らなくていいだろう。機密を見たこともクリスとムウが何とかしてくれそうだし、
自分がコーディネイターであることも黙っていてくれるようだ。しかし、
―やはりキラ? キラなのか?
アスランの声を思い出す。
―どうしてそんなものに乗っている!?
確かにMSに乗り戦うのは嫌だ。しかしここでMSを降りたら、二度とアスランと会えないような気がした。
(アスラン……僕は……)
「キラッ!」
「無事だったんだな!」
友人達が駆寄ってくる。トールは抱きつき、サイは頭を掻き毟ってキラは目を白黒させる。
ほほえましい光景の中、救命ポッドから声が上がった。
「サイーッ!」
紅い髪を束ねた少女はキラ達に近寄る。
(知り合いか……ここはもういいな……)
ムウはその光景を見ると、そっと場を離れた。
473:51
06/11/10 22:15:53
2.
その頃ブリッジではナタル達が情報の分析を行なっていた。
「ザフト艦の動きは分かるか?」
「無理です。残骸の中には熱を持つものも多く、これでレーダーも熱探知も……」
「それはザフトも同条件では?」
クリスがナタルは考え込む。
「私としては、ヘリオポリスにいたザクが気になるのですが……周囲にジオン艦は?」
クリスの問いに皆がパル伍長を見るが、彼は首を振った。
「とにかく現状では、あると想定して動くべきでしょう」
「そうね。私もナタルの意見に賛成だわ」
「遅れてスマン」
「大尉、何所へ行っておられたのですか」
「ちょっと格納庫にね……今はどんな状況だ」
ナタルはこれまでの経緯を話した。
「なるほどな。こっちの戦力はストライクにイージス、そしてゼロか
……まあ、パイロットは俺とクリスしかいないからな」
「?……ストライクに乗っていたパイロットはどうしたのですか?」
ナタルの疑問にムウとクリスはぎくりと目を見開く。
(しまった! 説明してなかった!)
とりあえずムウは場を誤魔化し始める。
「降りてもらったよ。オーブの民間人だしな」
「民間人が……しかし普通の人間がGに乗れるものなのですか?」
しかし痛いところをつかれる。
「(やべえな)そ、それはだな……」
「ストライクのOSは初心者用に設定していたのです!!」
傍らのクリスが助け舟に入った。
「殆どがOSのオート任せで、サルでも乗れる状態だったんです!
その名も“マリューおねえさんのMSにのってみよう”ッ!!!」
その言葉に固まるムウ。ナタルは唖然とし、マリューにしてみれば何を言っているのか理解できない。
静寂が辺りを包み、その場にいる全員がマリューの方を向く。
(ちょっ! おまっ! なんつー言い訳をっ!)
(ふええぇぇぇっ! しまったあぁぁぁっ!!)
ムウは頭を抱え、クリスは動揺しまくっていた。
「た、大尉……そんなOSがあるのですか?」
突然、訳の分からない話を振られたマリューは思考がついていかない。ムウはナタルの背後で
気づかれないようにアイコンタクトをとる。それに気ついたマリューは何とか話を合わせようとした。
「あ……え、えっと……!」
とは言っても、“マリューおねえさんのMSにのってみよう”等と言われれば返答に困ってしまう。
『YES』と答えたら、まるで自分がバカみたいだ。それでもムウの必死のジェスチャーによっては観念した。
「……あるわ」
「…………そうですか」
皆の白い視線を受け、マリューは後でクリスをシメることを心に誓った。
474:51
06/11/10 22:17:23
「と、とにかくだ! これからどうするかを考えようぜ!」
まずい空気にムウは話をそらす。ナタルは腑に落ちないといった表情だ。
「現状で考えられるのは戦闘、逃走、そして投降だ」
投降、という言葉に皆ぎょっとする。
「それも一つの手ではあるだろ?」
「戦闘は避難民がいる以上避けた方がいいわ」
「逃走するにしても、向こうには高速艦のナスカ級がいます。振り切れるかどうか……」
「投降はありえません。我々の目的は、何としてもMSとこの艦をアラスカへ持ち帰ることです。
そこで、私はアルテミスへの入港を具申致します」
「傘のアルテミスか……」
―アルテミス
ヘリオポリスから近い宙域にある軍事衛星である。所属はユーラシア連邦になるのだが、
制宙権を失った連合にとって唯一の宇宙基地であり、大西洋の艦艇も入港している。
「それに―」
ナタルはチラリとパオロの方を見ると、
「―時間がありません」
パオロはセイラに痛み止めを打たれ、静かに眠っていた。
「そうだな。アルテミスまではおよそ2時間ってとこか。戦闘になるかは運だな」
その一言で議論は終わり、各々が配置に着く。
「デコイ用意。発射と同時に、アルテミスへの航路修正の為、メインエンジンの噴射を行う。
後は艦が発見されるのを防ぐため、慣性航行に移行。第二戦闘配備。艦の制御は最短時間内に留めよ!」
――つづく
475:51
06/11/10 22:19:44
クリスの発言は無視していい
それとこのままだと(対ジオンに関しての)主役はムウになりそうだ・・・
476:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 22:23:02
乙です!
477:ガルマネタ書いてるヤシ
06/11/10 22:37:26
なんだか不評みたいですねえ…マがオーベルシュタインみたいだとか色々言われてますし。
自分は設定の辻褄あわせをやるのは得意なのですが、文章書くと地の文過多の銀英伝風になってしまうのです。
もうちょっとなんとかならんか頑張ってみるですよ。
ところで、51様、ジオンのコーディネイターについては、私の書いた内容でよろしいでしょうか。
こういったしょうもないことへの妄想に血道をあげてしまうのが悪い癖なもので…不都合なら指摘していただけると幸いです。
478:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 22:48:33
>>477
いやいや、マがオーベルシュタインでもまったく構わんです
自分はこういうの大好きですし、銀英伝風でも味があっていいですよ
479:51
06/11/10 22:49:47
問題ありませんが個人差はありますので・・・。
ただ、そうなるとイライジャはジオンに居る可能性も・・・?
私の脳内ではマがオデッサ、ガルマがアフリカと考えてましたが、この際細かい事は気にしません!
480:ガルマネタ書いてるヤシ
06/11/10 22:57:39
>>479
どもです。遅ればせながら、いつも楽しみにさせていただいてます。
ニュータイプ部隊については
プラントのコーディネイター:コーディネイターこそが新たな人類である。まがい物が抹殺すべしということで優先的に狙われる
ジオンのコーディネイター:ジョージ・グレンの理想をかなえる時が来た! 我々が彼らニュータイプとオールドタイプの架け橋となるのだ!
という考え方の違いがあるのではないかと考えてみました。
で、シャア(NT部隊があるということは中佐?)についてはジオンのコーディネイターでも意見がわかれていて
「あいつはニュータイプでもコーディネイターでもないのになんで隊長なんだ!」
「シャア中佐も優れたニュータイプだ。我々は彼を助けるべきなんだ!」
の二派が存在すると妄想したり(シャアの覚醒がララァ死後か以前かで変わるわけですが)。
あと、EXAM開発は「ジオンでは」ない、と考えても良いのでしょうか?
481:ガルマネタ書いてるヤシ
06/11/10 23:03:10
その、実はEXAM開発無しだったらマリオン・ウェルチに地上に来てもらおうかなぁ、と……
482:51
06/11/10 23:11:49
>>480
EXAMについて調べてみると、
化に取り残されたオールドタイプは、かつて現人類に滅ぼされた旧人類のようにニュータイプに駆逐されるのではないかという強迫観念である。
危機感を持ったクルスト博士は、オールドタイプでもニュータイプを倒せるシステムの開発に着手する。
とあります。
これはナチュラルとコーディの関係に似ているので、この世界で開発されるかは・・・
個人的には、『ジオン公国が種・種死世界にきたら』なので
U.C.の連邦軍人は士官のみ、パイロット(特にユウの様なエースクラス)は出さない方がいいと思っています。
ジオンはキャラは別だけど
483:通常の名無しさんの3倍
06/11/10 23:17:42
いや不評ではないと思う
484:51
06/11/10 23:20:29
>>481
マリオンならいいかな
485:ガルマネタ書いてるヤシ
06/11/10 23:23:16
つまり、EXAMの開発はされない=イフリート改はない、ということなのですね。
ゲーム『ジオンの系譜』では、マリオン・ウェルチはフラナガン機関に所属していたニュータイプ
(ララァ・スン、シャリア・ブル、クスコ・アルらには遠く及ばない。強化人間にされたレイラ・レイモンドに比べれば遥かに高いが)
なので、登場させても問題ないみたいですね。
もちろん、『地上』なので、戦局を変えたりするような派手な活躍はしないですし、虎を圧倒したりはしません。
51様の邪魔にならない程度に、細々と書かせていただきます。遠慮なくダメだししてください。
所詮、私の作品は三次創作ですから……
関係ない話ですが、シャアは高機動型ザクよりも、試作型ゲルググの方が良いのでは、と。
装備についても、ECAPが未熟なためのビームバズーカ(エネルギーを収束できない)とかで。
これからも頑張ってください。では~。
486:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 08:14:23
プロトタイプゲルググってザクのR-3S?
487:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 20:33:00
>>486
確かそうだったと思う
つかR-2型の時点でジェネレータと外装以外はほぼゲルググだけど
488:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:01:26
>>487
それも、補給将校が他のザクと互換がない部品だらけと知ったら烈火のごとく怒りそうなシロモノだねぇ。
489:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:09:00
R-2は特別だと思う。
合計4機しか生産されてなく、そのうち1機はエリオット・レム中佐がビーム兵器の試験用に使っていたし。
ノーマルの高機動型ザクでも足回りを中心に互換はあまりなかったりしたんで、そんなに目くじらたてないんじゃない?
490:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:15:45
R型ザクは全般的に技術試験機的であって実戦向きな機体じゃないからねぇ。
コレ作るんだったらザク上半身+ガトルブースターのドラッツェの方が実戦向き。
整備士の慣れた、枯れた技術だから稼働率高そう。
1回の戦闘毎に脚部の分解整備とか金持ちの道楽じゃないんだから・・・
491:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:26:21
ドラッツェは生産性と整備性はいいと思うんだが武装がなぁ
ビームサーベルと40mmバルカンだけってのが終わってる
せめてザクマシンガンくらい持たせてやれよと
492:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:32:01
ドラッツェってある意味MAだよね。
機動性だけなら普通のMSも凌駕してるし。
まあ、火力不足だったのはデラーズ・フリートの物資不足だったからで、
もしジオンが造るようになったらMMP80マシンガンくらい持たせるんじゃない?
493:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:40:23
それ以前にあの薄い装甲を・・・・・・・・
494:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:55:18
ドムは核熱ジェットエンジンが作成無理だから出来ないとしても
リック・ドムって作成できないか?
核熱ロケットエンジンの部分を背部スラスターを流用して出来そうなきもするが
495:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 22:57:32
リック・ドムはドムのラインが使えるから造った繋ぎの機体だからなあ。
純粋な空間戦闘能力は高機動ザクの方が強いと思う。
496:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:03:41
>>493
開戦初期ならザクの装甲は十分厚いよ、作中にジンの突撃銃が弾かれる描写があるし。
アフリカの資源が入手できないジオンは少ない労力で戦力増加させる方法としてドラッツェ生産ってのは
有りえると思う。
497:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:03:57
ドム以外で陸戦能力高いMSって何があるかな
ハイゴックあたりはジェットパックのおかげで強襲できるが基本的に水中用だし
イフリート除くともうケンプファーくらいしかないような
498:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:10:09
>>496
ドラッツェのことだと思うが
499:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:14:56
ケンプファーは強襲用で大型スラスターのせいで推進剤を食いまくるから短時間しか運用ができない
グフ・フライトタイプかゲルググを出すしか無いと思うが
500:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:17:30
>>498
ドラッツェは上半身ザクだから間違ってないと思うが・・・
501:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:19:18
>>496
理事国はプラントから資源を輸入してたし、種世界って資源は宇宙の方があるんじゃないか?
502:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 23:54:57
>>497
グフとドムの中間に位置するイフリート位かな
グフとのコンペに負けて少数生産されているという設定だから
生産ラインはグフに比べると格段に少ないんだろうし
エース専用か指揮官専用と考えたほうがよさそう
503:51
06/11/12 00:32:40
ドラッツェか……
どんな武装がいいかな?
504:51
06/11/12 00:35:33
3.
艦内の一室でキラと友人達は身を寄せ合っていた。
「俺達……どうなるのかな……」
どうしようもない不安をカズィが口にする。当然だろう。自分達の住処が崩壊し、
親兄弟とは引き離され、生きているか死んでいるのかさえ分からない。“平和の国”
中立国オーブに住んでいた彼らにとって戦争はTVの中の出来事だった。しかし、
その戦争が目の前で行なわれたのである。
「はーい! みんな元気?」
扉が開きクリスが入ってくる。キラ達の様子を見に来たのだ。
「いい知らせよ。後2時間ほどでアルテミスに着くわ。そこでみんな降りてもらうからね」
「本当ですかクリスさん!」
「私が上に掛け合ったんだからね。感謝しなさい」
サイ達はホッと胸をなで下ろす。ただ、キラは違った。
「クリスさん、ザフトはどうなったんです?」
キラはアスランが気になっていた。親友が、またこの艦を襲撃するかもしれないのだ。
そんな心配をよそに、クリスは笑いながら答える。
「大丈夫! さっきの戦闘であらかたジンは落したし、こっちにはMSだって2機あるし……」
「でも連合のMSが何機か奪われたんですよね?」
「問題ないわ。そもそも連合のMSを造ってたのは私達よ。性能は把握してるわ」
そうクリスは言うが、それでもキラの不安は尽きない。
「でも……」
「はいストップ」
キラの口元に指を当てて微笑んだ。
「とにかく、お姉さんを信じなさい」
顔を近づけられキラは赤くなった。
505:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 00:35:49
基本的にはザクを踏襲でいいかと
ザク並のコストと装甲で機動力アップ、汎用性ダウン、てのがドラッツェだと思う
506:51
06/11/12 00:36:43
<マッケンジー中尉! 至急ブリッジへ!>
艦内アナウンスに、クリスははっと頭を上げる。
「ゴメンね。呼び出されちゃった」
掌を合わせポーズを取りながら、クリスは部屋を後にした。その姿を見送るとキラは更に悩む。
(ザフトが攻めてきたのか? アスランなのかな? 僕はどうしたら……)
相手はコーディネイターだ。性能だってOSを最適化させて向上させるだろう。MSが合っても
アークエンジェルに勝ち目があるとは思えなかった。
(でも僕は戦いたくなんかない……)
しかしコーディネイターである自分が戦えばザフトを退けるかもしれない。
「コラーッ! なに赤くなってんだ!!」
悩んでるキラをトールがからかう。キラはトール達の顔を一人一人見た。
(クリスさんはああ言ってたけど……)
「キラ?」
(やっぱり僕は……)
キラは立ち上がり、仲間達を見回した。
「行って来るよ」
「何言ってんだよキラ」
「僕は……コーディネイターだから」
そう言って、キラは部屋を飛び出した。
507:51
06/11/12 00:37:30
4.
クリスがブリッジに着くと皆慌しかった。
「大型の熱量感知! 戦艦のエンジンと思われます。距離200、イエロー3317マーク02チャーリー、進路ゼロシフトゼロ!」
「同方向へ!? 気づかれたの?」
「だがだいぶ遠い」
「目標、本艦を追い抜きます!―艦特定! ナスカ級です!」
「チィ! 先回りして、こっちの頭を抑えるつもりだぞ!」
「ローラシア級は?」
「待って下さい……本艦の後方300に進行する熱源! いつの間に……」
「やられたな」
これはアークエンジェルを挟み撃ちにする形になる。こうなるとローラシア級に追いつかれる、
もしくはエンジンを使って逃走したところをナスカ級が転進してくるのどちらかだ。
「おい! 2隻のデータと宙域図、こっちに出してくれ」
「なにか策が?」
「それは、これから考えるんだよ」
ムウが叫んだその時、ブリッチにキラが入ってくる。
「坊主!?」
キラはムウを見ると、覚悟を決めた。
「僕に、僕にガンダムを使わせてください!」
「貴様何を言っている!?」
「ザフトが来るんですよね。僕が戦います」
「ふざけた事を言うな! 民間人においそれとMSを与えるわけが……」
「僕はコーディネイターです!!」
ついにキラは自分の正体を言ってしまった。
508:51
06/11/12 00:38:41
その場にいた兵士たちが一斉に銃を構える。
「僕はMSを動かせます! だから!」
「コーディネイターだと、拘束しろ!!」
複数の兵士がキラを床に倒し押さえつける。これがこの戦争の一つの図式なのだ。
「待て! お前らやめろ!」
「ナタル! やめさせなさい!」
ムウとマリューが止めに入るがナタルも引かない。
「何を言っているのですか!? 相手はコーディネイターなのですよ!!」
興奮冷めやらぬなか、パオロを診ていたセイラが発する。
「皆さん静まりなさい!!」
それは威厳のある一言だった。瞬間ピタリと騒動がやみセイラのほうを振り向く。
「艦長からお話があるそうよ」
見るとパオロは目を開けていた。
「少尉、彼を解放したまえ……」
「しかしっ!!」
「これは命令だ……」
軍人にとって命令は絶対である。ナタルはキラの拘束を解かした。
「キラ……君と言ったね。……話してみなさい」
ゆっくりと、静かな声で語りかける。
「先程も言いましたが、僕はコーディネイターです。だからOSを書き換えてMSを動かしました」
皆が黙ってキラの言葉を聞いている。
「戦いたくはありません。でも、この艦には友達が乗ってます。僕も死にたくはありません。だから……」
「MSに乗せろと言うのか!?」
「少尉……ッ!」
痛みをこらえてナタルを制する。
「艦長!」
「……大……丈夫だ。それより、彼をストライクに乗せたまえ」
「し、しかし彼はコーディネイター……」
パオロはナタルを見据え続ける。
「オーブの民間人だ。ザフトの兵士ではない」
「……了解しました」
「皆、聞いてくれ……状況は切迫している」
苦しそうに身を乗り出し、艦橋にいる全員を見る。
「まずは落ち着こう。そして作戦会議を行なおうではないか」
――つづく
509:51
06/11/12 00:41:03
うーむ。シャアが出てこないね~。
もう少しで出るので待っててください。
それとシャア&ララァの相手決まりましたので……。
510:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 02:24:15
ドラッツェ
URLリンク(ja.wikipedia.org)
改修案としては40㍉バルカンをザク2改が持つ90㍉マシンガンとシュツルムファウスト
を持たせるだけでベテランならかなりの戦火を上げてくれそうだ
機動性はリックドム並らしいしな
511:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 03:03:52
>>510
もうリックドムいらない気が
512:通常の名無しさんの3倍
06/11/12 03:44:14
どうも、>>375でゲリラ戦リクしてた者です。
リビア砂漠のガルマvsバルトフェルド戦、結局自分で書いてみました。
>>365を見て、そのあまりの熱さに創作意欲を抑えられませんでした。
勢いだけでろくに資料も揃えず(wikiは見ました)、悪ノリしまくっていますが、
せっかく書いたので投下させていただきます。
>51様
今回もGJです。キラをかばうパオロ艦長がすごくかっこよかったです。
さて、上記のとおり、私もあなたの作品の3次創作を投下させていただきます。
楽しんでいただければ幸いです。
>>485様
>>461では気を使わせてしまったようで申し訳ありません。
上記のとおり、結局、自分で書いてしまいました。
資料が揃えば書いてみたいとのこと、私もいち読者として読んで見たいです。
書きあがりましたらぜひ投下してください。
513:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:45:42
第1次リビア会戦 ~ガルマvsバルトフェルド~
MSの動力炉変更による作戦の遅れを取り戻すべく、破竹の勢いで進撃していたガルマ・ザビ率いるジオン地球方面軍は、ついに
ユーラシアからアフリカへと侵攻した。
しかしこの地には、地球連合軍アフリカ駐留部隊を手も無く蹴散らし、いまや“砂漠の虎”の異名で恐れられるザフト軍北アフリ
カ駐留軍司令官、アンドリュー・バルトフェルドが待ち構えていたのである。
バナディーヤ攻略へ向け、カイロで戦略を練っていたガルマは、ザフト接近の報を受けリビア砂漠へと進軍を開始した。
「“砂漠の虎”……お前はどう見る?」
「そうですな。ガルマ様はどうお考えで?」
質問を質問で返されたガルマは、しばしの黙考の末、小声で自分の考えを述べた。
「正直、分が悪いと考えている。数ではこちらが上回っているが、我々は砂漠を知らなさ過ぎる」
マ・クベはその答えに「ほう…」と内心で唸った。ガルマの考えが彼のそれと同じだったこともあるが、それ以上に、自分だけに聞
こえるよう、わざわざ声を絞ったことについてである。司令官として、味方の士気を落としかねない発言を控える、と言う判断ができ
ていたからだ。
(このお方は、案外化けるかもしれない)
そんな心中をおくびにも出さず、マ・クベはガルマへと、やはり小声で話しかけた。
「私の考えも同じです。今日のところは様子見と考えて、適当なところで引き上げるのがよろしいかと」
当然のことだが、ジオンにもプラントにも砂漠は存在しない。砂漠の陽炎による照準の狂いや、砂地による接地圧の変化など、ジオ
ン軍は進軍しながら調整を試行錯誤するしかなかった。未だ全ての兵器の調整が終わらぬ現状では、砂漠という地形での勝利を重ねて
きたバルトフェルドに対しての勝機は非常に少ないだろう。
ガルマはマ・クベの進言に硬い表情で頷くと、今回の戦略について確認を始めた。
それから1時間後、ガルマの眼前にはザフトの先鋒部隊の姿があった。
「あれは地上戦車か?」
「ザウートと呼ばれるMSです。安定性の高いキャタピラと高い火力で制圧戦を想定しているのでしょう」
「なるほど、あれがザフトの砂漠戦の答えと言うわけか。無限軌道で砂地に対応し、機動力を火力で補う。確かに理に適ってはいるが、
当たらなければどうと言うことは無い。砂漠の虎、噂ほどではないな」
ガルマはふっ、と笑うと、高らかに宣言した。
「ミノフスキー粒子撒布終わり次第、マゼラアタック大隊は攻撃を開始せよ! ドップはアジャイル(戦闘ヘリ)を墜とせ!」
「MS部隊はどういたしますか?」
「敵の旗艦の姿が見えないからな。まだ温存する」
もちろんこの命令は、砂漠戦の調整が終わっていないMSよりも、安定性の高い戦車部隊の方が良いという判断にもよる。
かくして、ガルマとバルトフェルドの長い戦い、その第1ラウンドが始まった。
514:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:46:52
「ええい、ふざけているのか、ジオンは!」
ザフト先遣隊隊長のダコスタは、そのあまりに一方的な戦いに怒りをあらわにした。
戦いは圧倒的にジオン有利で展開している。
ミノフスキー粒子によってレーダーとロックオンを封じられたザウートは、その最大の武器である火力を事実上封じられ、機動力に
勝るジオンに翻弄されていた。
「裏切り者のジオンめ、舐めるな!」
キャノン砲での攻撃をあきらめ、重突撃機関銃で突貫したザフト兵は、マゼラアタックの「的にしろ」と言わんばかりの、砲塔と一
体化した高いコクピットを狙う。しかしそれは、突如宙へと浮かび上がった砲塔により回避された。そして死角となった頭上から、マ
ゼラトップの175mm無反動砲が襲い掛かる。
「な、なんだそりゃあ~!?」
それが彼の断末魔となり、また1機のザウートが沈んだ。
砲塔を宙に飛ばせて戦車の頭上を狙うという常識外れの機構を持つマゼラアタックは、相手が動きの鈍く巨大なザウートであることも
幸いし、意外にもその特性を最大に生かして多大な戦果を挙げていた。
ザウート部隊の唯一の希望であった有線制御式ミサイルを持つアジャイルは、空力特性を度外視して広い視界を確保したドップにドッ
グファイトに持ち込まれ、援護もままならず撃墜されていく。
もはや完全に趨勢は決まったかに思われた。
「マ・クベ、指揮を頼む」
ガウ攻撃空母のなかでその様子を見ていたガルマは、おもむろに艦長席から立ち上がるとそう言った。
「ガルマ様何を? すでに大勢は決しました、増援が来る前に手はずどおり引き上げるべきでは」
後退を進言するマ・クベにガルマは前髪をクルクルといじりながら、
「敵の戦力を削っておくに越したことは無い。引き上げはこの部隊を壊滅させてからでも遅くはないさ。それに、私も勝ち戦で敵の1機
も墜としておかないようでは、シャアに笑われてしまうからね」
と言って、ブリッジを出て行ってしまった。
間も無く、専用のドップで出撃したガルマは、すぐにその判断を悔いることになる。バルトフェルド隊旗艦レセップスが、砂塵をあげ
て向かってきたのである。
515:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:47:49
レセップスの登場によって、戦況は一変していた。かの艦から出撃した4足獣型MSバクゥは、圧倒的なスピードと機動力によってま
たたくまにマゼラアタックを駆逐したのである。何機かのマゼラトップは残っているものの、数分しか飛行能力を維持できないため、遠
からず全滅するであろう。
この事態に慌てて繰り出されたザクとグフは、転倒こそ無かったもののその動きはぎこちなさを隠せず、調整が間に合った機体も、コ
ーディネーターの反応速度とバクゥのスピードについていけず次々と破壊されていった。
また空中においても、機動力と小回りの良さを併せ持つディンの前に、ドップもドダイに乗ったザクもついて行くのが精一杯であった。
「ちぃっ! おふざけでないよ、この犬っころが!」
シーマ・ガラハウが毒づきながらマシンガンでバクゥを狙う。しかし、バクゥはそれをあざ笑うかのように鮮やかにホバーをふかして回
避した。
初期型のバクゥには、ビームサーベルは装備されていない。そのため、バクゥ部隊は常に距離をとってレールガンで狙撃する、アウト
ボクシングのような戦い方を徹底していた。接近してくればまだチャンスはあったものの、その高い機動性を生かした戦い方の前では、
最古参兵のシーマですら翻弄されるしかなかったのだ。
「仕方ない……コッセル、クルト、一旦後退するよ」
言うが早いか、シーマはけん制の弾幕を張りながら下がり始める。
「いいんですかい!?」
「このままじゃいずれやられちまう。まともな指揮官なら、ここいらが引き際だってわかるはずさ。ザビ家の坊ちゃんが何考えてるか知
らないが、それに付き合って無駄死にすることはないよ」
無論、「まともな指揮官」たるマ・クベはすでに撤退の判断を下していた。しかし、これほどの劣勢においてなお、彼らが撤退できない
理由があったのだ。
「だからあの時、引き上げるべきだと言ったのだ!」
マ・クベは歯軋りをしながら、作戦前、わずかでもガルマを認めたことを恥じ、彼の出撃を止められなかった自分を罵った。彼が敬愛す
るキシリアの弟でなかったら、当の昔に適当な理由をつけて見捨てていたかもしれない。
「ガルマ様は!?」
「ダメです! 未だ、敵MSの包囲網に捕らわれています!」
「ええい、あのお坊ちゃんめ……! 何故私は、あれを力づくでも止めなかったのだ!」
マ・クベは苛立ちもあらわに拳を叩きつけた。
516:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:48:33
ドップで出撃したガルマは、制空権を取り返すべく現れたディンに囲まれていた。専用カラー、そしてなによりザビ家の紋章をつけた
機体に乗るガルマは、ザフトにとって格好の獲物に他ならなかったのだ。
「各機! あの戦闘機は何が何でも捕獲しろ! ……ふ、いけないねえジオンのプリンス君。指揮官が不用意に前線に出るようでは」
「それをわかっていらっしゃるのでしたら、レセップスのブリッジから出ないでください」
自らバクゥに乗って一暴れした後、何事もなく帰還したバルトフェルドのセリフに、かろうじて生還したダコスタが文句を言う。
「そういうなよダコスタ君。自分で戦ってみて初めてわかることもある」
肩をすくめて答えると、バルトフェルドは頭上で展開される空戦に意識を向けた。
ガルマは焦っていた。
士官学校の同期で親友であったシャアは、華々しい戦果とともにトップエースとしての地位を確固なものとしているのに、自分は安全
な後方にいること。
ようやく地球方面軍司令として前線に立つ機会が与えられれば、その実、指揮官としての判断はマ・クベに頼りきりになっていること。
専用機を得ていながら、撃墜数が振るわないこと。
生まれの幸運だけでこの場にいることを、彼は認めたくなかった。だから、独力での手柄を立てたかったのだ。だがその結果、彼と彼
の部隊はかつてない危機に見舞われていた。
「うおおっ!?」
必死で操縦桿を引き、機体を立て直しながら、ガルマはかろうじてディンの重突撃機銃をかわした。そのまま速度を上げて振り切ろう
とするが、すかさず別のディンがその行く手を阻む。ガルマはなんとかガウに帰艦しようとするのだが、それを百も承知のディンはガル
マとガウの間に防衛ラインを引き、帰艦を封じているのだ。一方のガウも、現在はなんとかドダイ使用のザクとドップの残存戦力によっ
て撃沈を免れている状態であり、撤退ならともかくガルマ救助のため前に出るなど自殺行為でしかなかった。
「このままでは……」
ガルマは必死で機体を操っていたが、護衛のドップは1機また1機と数を減らしていき、ついに彼自身も背後を取られてしまった。
「しまった!」
機体を小刻みに振って揺さぶりをかけるが、背後のディンはそれに惑わされること無く散弾銃を構える。振り返ったガルマは、張り出
した風防から、自分を狙った射撃を正面から見ることになった。
(ダメか……ならばせめてザビ家の男として、あの陸上戦艦に一矢報いて……)
スローモーションで迫ってくる散弾を、どこか非現実的な光景のように見ながら、ガルマは悲壮な決意を固める。しかし。
「ガルマ様っ、危ねえーっ!」
ガルマの視界が何かにさえぎられると、轟音とともにそれが火を噴いた。ガルマには、それが自分の護衛の最後の1機だということに
気付くのに、数瞬の間が必要だった。
「た……タナベーっ!」
バーニアに直撃を食らったタナベ機は姿勢を制御できず錐もみに墜ちていく。ガルマはそれを、回避運動も忘れて呆然と見ていた。
部下が死ぬのは初めてではない。士官学校時代の友人が戦死したと聞かされたときも、戦争なのだから仕方がないと割り切ることが出
来ていた。しかし今、自分の目の前で、自分をかばって命を散らした部下の姿を目の当たりにした時、ガルマは、言いようの無い悔しさ
と哀しさと申し訳なさ、そして激しい怒りを感じた。
「すまない……タナベ……すまない」
絞り出すように謝罪の言葉を口にする。そして、憎悪に染まった瞳で目前の敵を睨みつけた。
「貴ィ様ァらーっ!!!!」
―その瞬間、ガルマの頭の中で『ナニカ』がハジケタ。
517:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:50:12
バーニアを全開にして正面のディンに突撃する。ディンは慌てた風も無く機体を右へ滑らせると、余裕を持ってその突進をかわした…
…つもりだった。
ガルマは左のバーニアのみを全力でふかし、回転しながらもディンを正面に捉え続けた。果たして放たれた機銃は過たずディンを蜂の
巣にする。体勢を立て直して急上昇すると、ループを描いて頭上から急降下しながら1小隊に銃弾の雨を降らせた。素早く散開したディ
ンだったが、逃げ遅れた1機が翼を砕かれて墜落する。動揺したディンに、今度は急上昇しながら真下からの攻撃を加え、破壊する。わ
ずか1分で、3機のディンが撃墜された。
バルトフェルドは、その戦いから目が離せなかった。
「まいったね……まさか彼が、ジオン・ズム・ダイクンが主張した“ニュータイプ”ってやつなのかな?」
「“ニュータイプ”?」
怪訝そうな顔をして尋ねるダコスタに、バルトフェルドは冷や汗を拭いながら、
「冗談だよ。冗談でも言わなきゃやってられないさ。あんな無茶な戦闘機で、ディンがなすすべも無いんだからねえ」
おどけた風に答えたものの、その顔に笑みは無かった。
「一旦引き上げだ、ダコスタ君。これまでの戦果でも、ジオンに与えた損害は充分すぎる。これ以上勝ち戦に泥を塗るべきじゃないよ」
その間にも、ディンは次々にやられていく。すでにガルマを囲んでいた隊は壊滅し、今はガウの攻撃部隊がその猛攻にさらされていた。
「うおおおおおおおおっ!」
今まさにガウを襲わんとしていたディンに狙いを定める。ディンは両手両足を撃ち抜かれバランスを崩しながらも、どうにか飛行して
撤退しようとする。しかし、ガルマはそれを許さなかった。最後の機銃弾が撃ち放たれ、ディンはコクピットを打ち抜かれて停止する。
それは、偶然にもガルマ機回収のため格納庫を開いていたガウの中に墜ちていった。
すかさず消化剤がまかれ、ディンが回収される。続いて推進剤を使い切ったガルマも、そこへ無事着艦したのだった。
518:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:51:38
ガルマの登場で持ち直したジオン空軍は、ディンを押し返すことに成功した。さらにレセップスから信号弾が上がり、バクゥら地上部
隊も撤退していく。しかし結果は、マゼラアタック大隊は壊滅、MSの損耗率も30%を越え、ドップ部隊もその大半が撃墜と、ジオン
の紛れも無い大敗であった。
ガルマはガウに帰艦すると、緊張と疲労からバッタリと倒れた。マ・クベはそれを聞いて再び頭を抱えたが、粛々と撤退の指示を出し、
ガウをひと足早くカイロへと向かわせた。そして自身は地上のダブデに降り、地上部隊の後退の指揮をとることにした。
「さて、問題は誰をしんがりにするかだが……」
後退の際、最後尾を任されるしんがりは、敵の追撃を抑える最も重要であり、また最も死亡率の高い部隊である。彼は、各中隊から損
傷の少ない部隊を集め、その中から選ぶことにした。
(やれやれ、厄介な役目を押し付けられたもんだね)
シーマはひとりごちると、ブリーフィングルームを見渡した。
早々に後退の判断を下したシーマ隊は、最も損傷の少ない小隊の一つだった。それゆえ、彼女は上司であるアサクラによって、いやお
う無くしんがり部隊に推挙されてしまったのだ。
アサクラの目的はわかっている。部下の手柄を横取りして、自身の出世に利用するつもりだろう。開戦当初からシーマたちを最前線に
派遣し続け、自分は安全な場所でその手柄だけを得ていた男を思い出し、シーマは反吐が出る思いだった。
(もっとも、こいつらの方がマシかっていうと、どうなんだろうね?)
シーマは冷めた目で、自分以外の3人の男を見た。ノイエン・ビッター、ランバ・ラル、デザート・ロンメル。いずれも地球方面軍にその
人あり、といわれる軍人だ。彼らは皆、自ら志願してこの任務に就いている(表向きには、シーマも志願と言うことになっている)。
「では、やはりゲリラ戦を仕掛けて時を稼ぐのが最良と言うことか」
この4人の中では階級が最も上であるビッターが、自然、議長として場をまとめる。
「私も賛成です。真正面から仕掛けても勝ち目がない以上、本隊の盾となるよりは我々から仕掛けるべきかと」
ロンメルが賛成し、ラルは無言で首肯した。
「うむ。シーマ殿はどう思う?」
最後に、ビッターがシーマに意見を求めた。3人の視線が、シーマに集中する。
「反対だね。あたしはあんたたちと違って、自殺願望はないんだよ」
「なんだと!? 貴様、それはどういうことだ! 我らはジオンの理想を実現する礎として、ガルマ様を助けるために……」
「それが自殺願望だってのさ。あたしは、ご立派な理念のために犬死にするつもりはさらさら無いんだよ」
ロンメルが激昂し、シーマが挑発する。見かねて、ビッターが割って入った。
「やめんか! シーマ、理由を聞こう。ゲリラ戦では勝ち目がないということか?」
ビッターの言葉に、シーマは自らの考えを語り始める。
「あの犬っころ(バクゥ)の性能は見ただろう? ザクで相手にならない以上、下手に仕掛けたところで、消耗するのはこっちの方さ。お
まけに機動力でも向こうが上だから、逃げられるとも思えないしね。だいたい、あのだだっ広い砂漠で、どこに隠れて戦おうってのさ」
「なるほど、確かに一理ある」
今までゲリラ戦を主張していたラルがシーマの意見に同調した。これにはビッターもロンメルも驚いたが、ラルは構わず続ける。
「シーマの危惧は、わしも考えてはいた。それを補う策も無論用意してある。だが、“虎”相手では同じ手は何度も通用すまい。やつが
撤退するまで、果たしてそれが持つかはわからん」
ラルは一同を見渡すと、不敵な顔で言った。
「ならば、最初の1戦で決着をつけるというのはどうだ?」
519:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:52:32
「シーマ」
ブリーフィングを終え、作戦の準備にかかろうとしたシーマは、ラルに呼び止められた。
「礼を言うぞ。お前のおかげで、勝機が見えたわ」
意外なラルの言葉に、シーマは焦ったように答える。
「やめておくれよ、こそばゆい。あたしは、自分が死にたくなかっただけさ」
「そういう視点も、戦場では必要なのだ。お前のような現実的な見方のできるものがな」
そう語るラルを見て、シーマはふと、彼が何故この任務に志願したのか訊いてみたくなった。
「あんたは、なぜ志願したんだい? 正直、こんな任務で生き残れる可能性なんてほとんどないだろう?」
するとラルは、真顔のまま、
「わしの出世は、部下たちの生活の安定に繋がる」
と、言ってのけた。
「は、ははははは! いいね、あんた。ジオンの理想うんたら言い出すヤツよりずっといい」
過酷な戦場で、いつのまにか生き残ることが全てになったシーマとは似て非なる、思いもよらない理由だった。しかしそれゆえ、ラン
バ・ラルという漢が、その俗物的でありながら温かい「戦う理由」が、彼女にはひどくまぶしかった。
(私の上官も、あんたみたいな男だったらね……)
シーマはひときしり笑うと、真面目な顔になって手を差し出した。
「気に入ったよ。あんたの大博打、あたしも一口のらせてもらおうじゃないか。この作戦、絶対に生き残るよ」
「うむ。だが、重要なのは、作戦を成功させられるかどうかだ」
しっかりと釘をさすラルの職業軍人ぶりに苦笑しながら、しかしシーマは固くその手を握った。
ジオン後退の報を聞き、バルトフェルドはすぐさま作戦会議を開いた。
「追撃するんですか!? しかし、我が方の損害も甚大です。ザウートは壊滅しましたし、ディンの数も半分近く減っています」
「ザウートなんて飾りだよ、ダコスタ君。偉い人たちはそれがわかっちゃいない」
鼻で笑いながら、平然と上層部批判をすると、バルトフェルドは続ける。
「バクゥはほぼ無傷だ。そしてバクゥがあれば、我々は砂漠では無敵だ。違うかね?」
自信に満ち溢れた言葉に、その場に居た者が次々とうなずく。
「しかし、またガルマ・ザビが出てきたら……」
ダコスタがさらに言い募る。
「その心配は無いよ。彼を収容したガウはすでに離脱している、今から襲うのは足の遅い地上部隊だ」
バルトフェルドは自身の戦略を説明する。
「まずは敵の数の優位を崩す。そして、地球方面軍をアフリカに釘付けにするんだ。そのあいだに味方が他の拠点を押さえてくれる」
そしてニヤリと笑うと、言った。
「ジオンのヤツラに教えてやろうじゃないか。“砂漠の虎”の恐ろしさをね」
520:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:53:51
翌朝、負傷者と損傷した機体をバナディーヤへ下がらせると、バルトフェルドは追撃を開始した。
「隊長! レーダーに異常発生。おそらくミノフスキー粒子です」
「来たな」
バルトフェルドはバクゥを出撃させると、先行させた。まもなく、敵MS発見の報告が上がる。
「ザクが2小隊ほど、展開しているようです。敵本隊の姿は見えません」
「待ち伏せ……いや、足止めか。本隊を逃がすために時間を稼ごうという腹か。健気だねぇ」
バルトフェルドは決して敵を軽んじてはいなかった。ジオン地上部隊の名だたるエースたちの情報も得ていたし、伏兵や罠の可能性も
充分に承知していた。
「良し、攻撃を開始しろ。ただし、罠の可能性もある。地雷があるかも知れんから、正面からは行かずに回り込んで挟み撃ちにしたまえ」
だから、並大抵の相手なら、小細工ごと踏み潰してザフトは勝っていたはずだ。
「さあ諸君、戦争をしにいこうか」
彼の敗因は、唯ひとつ。敵が、ジオンの誇るゲリラ戦のプロフェッショナルだと知らなかったことである。
正面を無視して、大きく迂回しながら展開したザフトの姿を見て、ロンメルは皮肉気に笑った。
「さすがに真正面から正々堂々来るほど馬鹿ではないか。だが……」
ニヤリと笑って、手に持ったスイッチを押し込む。
「我々も、貴様らとまともに戦うつもりは無い」
次の瞬間、砂地に埋設された地雷がいっせいに爆発した。
「地雷!?」
目の前で起こった爆発にダコスタが目を見張った。
「落ち着け、ダコスタ君! レセップスを停止されろ! 爆心地は!?」
動揺する副官を叱咤し、バルトフェルドが矢継ぎ早に指示を出す。
「艦正面、及び敵部隊の周囲です。バクゥの展開していた地帯ではありません」
「被害なし……? 暴発か?」
敵の意図を計りかねて怪訝な声を出すダコスタと対照的に、バルトフェルドのそれには焦りが生じていた。
「しまった……! 目くらましか!」
爆発で巻き上げられた砂が視界をさえぎっていた。ミノフスキー粒子の効果で電波が、砂漠の熱で熱反応が封じられている上、信号弾
や光信号による通信も封じられたことになる。
「ダコスタ君、ここは任せる! 全周囲を警戒して、いつでも緊急発進できるよう備えておいてくれ!」
「待ってください、隊長はどこへ!?」
「通信が出来ないなら、直接向こうに行って指揮を取るしかあるまい? バクゥで出る!」
それだけを叫んで、バルトフェルドはブリッジを飛び出した。しかしこのとき、すでに先行したバクゥ部隊は熱砂の蜉蝣の恐怖を味わ
わされてていたのである。
521:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:55:18
バクゥ隊は、突如起きた爆発と砂煙の前に足を止めていた。異常事態に動揺したこともあるが、未だ爆発していない地雷の存在を警戒
してもいたからである。しかし、高機動性を誇るバクゥにとって、動きが止まると言うことは命取りに他ならなかった。
突如として1機のバクゥの足が捕まれた。わけもわからぬまま引き倒され、混乱するパイロットの目に飛び込んできたのは、鈍く光る
モノアイの光、そして―
「ふふふ、よりどりみどり」
接触回線からの、サディスティックな声だった。
砂の中から現れたのは、砂漠迷彩を施されたザク……ザク・デザートタイプである。しんがり部隊のため、破格の待遇によって供与され
たこの機体は、ジオンの砂漠戦の現時点での切り札の1つだった。
仰向けにされ、無防備になったバクゥの胴にヒートホークを叩きつけて沈黙させると、シーマは素早くクラッカーを投擲し、周囲の
バクゥの出鼻をくじく。そこに、ロンメルたちの集中砲火が加えられた。
持ち味を発揮できないまま沈んでいくバクゥを満足そうに眺めると、シーマはからくも離脱した数機に舌なめずりして向かっていった。
「さあ、ワンちゃんたち、オイタは終わりだよ。おしおきの時間さね……!」
奇襲に冷静さを失ったザフト軍は、攻撃を集中され、次々と撃破されていった。
「始まったな。アコース、コズン、我々も往くぞ」
迷彩シートを剥ぎ取り、半身を砂の中に埋もれてさせていたMSが立ち上がった。その前方には、無防備に横っ腹をさらしたレセップス
の姿がある。先頭に立つ青のグフは、マゼラトップ砲を構えて砂地を駆け出す。
「この風、この肌触りこそ、戦争よ!」
パイロットの太い笑みとともにグフが放った175mm無反動砲が、レセップスの主砲を破壊した。
今まさに格納庫から出撃しようとしたバルトフェルドは、突如襲った振動に動きを止めた。
「どうした、ダコスタ君!」
「伏兵です! 左舷の主砲がとられました! 砂漠迷彩のザクが2機と、青色の新型です!」
その言葉に、バルトフェルドの顔が苦渋に歪んだ。
「“青い巨星”か!」
その名は、ジオンのエースパイロットのなかでも、バルトフェルドが最も警戒していた男だ。単に腕が良いというだけではない、統率
力と戦術眼に優れ、なにより戦場という物を誰よりも知っている男。
「ダコスタ君、僕が発進したらすぐにレセップスを下がらせたまえ! 今残ってるバクゥは借りていく」
言うが早いか、バルトフェルドはレセップス護衛用のバクゥを引き連れてグフへ向かっていく。その間にも、レセップスは激しい砲撃
にさらされ続けていた。
522:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:56:18
バクゥは、レールガンを斉射してラル隊の動きを止める。ラル隊はすばやくマゼラトップ砲を捨てると、各々の武器を取り出した。
「コズン!」
ラルの声にコズンはザクバズーカを乱射する。もちろん弾速の遅いバズーカはバクゥには通じない。しかし、この攻撃は爆発でバクゥ
の視界を制限し、動きを捉えるのが目的だった。
「アコース、クラッカーだ!」
「了解!」
進路上でクラッカーが炸裂し、バクゥの動きが完全に止まる。そこに、ラルの5連装75mmマシンガンが止めを刺した。
次の獲物をさがすラルの前に、1機のバクゥが突っ込んできた。すれ違いざまに頭を飛ばしてやろうと、グフがヒートサーベルを振る
う。しかし、その一撃は紙一重で受け止められていた。
「むうっ!」
その頭部には、通常のバクゥには無い、サーベルタイガーを思わせる1対の牙があった。プロトタイプラゴゥ、通称バルトフェルド専
用バクゥである。そのことをラルは知らなかったが、しかし、自らの攻撃を受け止めるほどの男は、1人しか思い当たらなかった。
「貴様……“砂漠の虎”か」
「そういうあなたは、“青い巨星”でいいのかな?」
期せずして開かれた接触回線で、2人は『敵』の声を聞いた。
「指揮官がのこのこ出てくるとはな!」
「昨日の君たちの総司令官を真似てみたんだけどね!」
バルトフェルドは軽口を叩くが、その表情に余裕はない。先日の戦いでザクを圧倒したバクゥが、グフにじわじわと押されているのだ。
「なるほど……さすがは新型といったところか……」
「ザクとは違うのだよ! ザクとは!」
勝ち誇ったラルの叫びとともに、バクゥが押し込まれる。バルトフェルドはとっさにその勢いを利用して後方に離脱した。
「く、はずしたか!」
「危ない危ない……ん?」
バルトフェルドはそこで、アラームが鳴っていることに気付いた。バクゥの翼が片翼、真っ二つに断ち切られている。グフを見ると、
右腕から鞭のような物―ヒートロッド―が伸びていることに気付く。
「仕込み武器か。危ないところだった」
「できればここで仕留めたかったが……やはり一筋縄ではいかんか」
2機は一時にらみ合うと、再び戦闘を再開した。
523:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:58:00
戦いは当初のザフトの思惑を越えて長引いていた。
先の戦いと違い、数に勝るザフトだったが、砂漠の特性を生かし、エース級のパイロットで固められたジオン軍を圧倒するには至らな
い。逆にジオンは、じわじわと劣勢に追い込まれながらも、不敵な笑みを崩さなかった。
「そろそろきつくなってきたねぇ、ロンメル。逃げてもいいかい?」
シーマが、背中合わせに立つザクに接触回線を繋ぐ。
「本当にきつくなるのはこれからだぞ。そろそろのはずだ」
ロンメルが生真面目に答えた。
「ち、お堅いねぇ。せめていたわりの言葉ってものを言えないのかい。だいたい、あたしは死にたがりを助ける趣味は無いよ」
「シーマ!」
シーマの愚痴に、ロンメルが怒りで声を荒げたとき、遠くで三度砂煙が上がった。
「来たぞ」
バルトフェルドとラルは一進一退の攻防を続けていた。
一撃離脱戦法で攻めるバルトフェルドと、その一瞬の交錯にカウンターを狙うラル。その傍らでは、アコースとコズンがバクゥ相手に
ボロボロになりながらも奮戦していた。
「ここまでか。出来れば貴様の首を取りたかったのだがな」
もう幾度目かもわからない鍔迫り合いの最中、ラルが言った。
「その引き際の良さ、感心するけど同時に厄介だね。君のようなタイプにゲリラ戦に持ち込まれたらたまらないからね、悪いけど、逃が
さないよ」
バルトフェルドの答えに、ラルはおかしさを堪えられない、と言う風に笑った。
「くく、何を言っている? 逃げるのは貴様の方だ」
次の瞬間轟いた爆音に、バルトフェルドは慌ててサブモニターを開いた。そこには、爆煙を上げるレセップスの姿があった。
「な!? しまった、まだ伏兵が!」
慌てて引き返そうとして、いつの間にか開いていたレセップスとの距離に愕然とする。一緒にいたバクゥの何機かが、ザクの攻撃をか
いくぐって救援に向かうが、バクゥの速度を持ってしてももはや間に合わないだろう。
「まいったね……戦いに夢中になりすぎて、まんまと誘い出されてしまったってわけか」
歯噛みしながら、バルトフェルドも踵をかえす。ラルは、それを黙って見送った。大将首は惜しいが、彼の部下もそろそろ限界だ。救
援に向かい、後退を開始しなければならなかった。
524:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 03:59:16
「我々がここまで苦戦するとは……」
レセップスブリッジで、ダコスタは信じられないものを見る思いだった。無敵を誇ったバクゥが翻弄され、尊敬するバルトフェルドが
たった一人のナチュラルに苦戦している。それは、ありえないことのはずだった。
しかし、彼は気付いていない。彼にとってそれ以上の悪夢が、今まさに牙を剥こうとしていたことを。
「副長!」
オペレーターが切羽詰った声でダコスタを呼んだ。
「どうした!?」
「熱源接近! 陸戦艇クラスです!」
「なんだって!?」
モニターには、カタツムリを思わせる形状の陸戦艇、ギャロップが一直線に向かってくる様が映し出されていた。減速する気配が無い
ことを考えると、その目的は明らかだ。
「特攻する気か!? 弾幕を張れ! 近寄られる前に撃沈するんだ!」
しかし、撃ち放たれた砲撃は対空機銃だけだった。
「左舷! 弾幕薄いぞ! 何をやっているんだ!」
帰ってきたのは、絶望的な言葉だった。
「無理です! 左舷の砲台はほとんどが先ほどのランバ・ラルの攻撃で潰されてしまっています!」
「な……! あれが、布石? 最初から、これを狙っていたと言うのか!?」
ダコスタが恐怖とともにその言葉を叫んだときには、すでにギャロップは目の前だった。
「総員、衝撃に備えろ!」
恐慌状態でその命令を出せただけでも、彼の精神力を褒め称えるべきだろう。果たして、ギャロップはその後部に大量の爆薬を積んだ
カーゴを連結したまま、レセップスに激突した。
例によって砂の中に隠していたギャロップの自動操縦を設定した後、脱出し結果を見届けたビッターは、満足感とともに信号弾を発射
した。作戦完了の合図だ。
煙を上げるレセップスを見上げると、彼は自身のザクをドダイに乗せ、空へと浮かび上がらせた。先ほどの信号弾で、敵はこちらに向
かってくるだろう。あわてて戻ってくるバクゥを突破して味方に合流しなければならない。
正直、難しいだろう。しかしそれでも、作戦の成否は知らせる必要がある。味方には、損耗が激しければ躊躇無く見捨てて脱出するよ
う取り決めてはあるが、さりとて座して死を待つつもりはない。ビッターは静かにスロットルバーを押し込んだ。
バクゥ部隊は、自分たちの旗艦を奇襲したビッターを、親の仇と狙ってくる。その弾幕をかろうじてかわしながら飛んでいくが、やは
り多勢に無勢、ついにドダイが破壊されてしまう。そして、レセップスへ帰艦しようとしていたバクゥの只中に落ちてしまった。
「ここまでか……」
いっそすがすがしい気分でザクマシンガンを構えたビッターだったが、その標的は、背後からの射撃によって破壊された。
「あきらめるのはまだ早いぞ、ビッター」
「ラル!?」
そこにいたのは、やはり後退をしていたラルだった。部下2人とともに敵陣を中央突破してきたのだ。さらに、前方からも無数の弾丸
がバクゥを追い立てる。
「ビッター殿、ご無事ですか?」
「ふん、死にぞこなってたかい、ならさっさと後退するよ。こっちの弾薬も無限じゃないんだ」
「ロンメル、シーマ……お前たちも生き残れたか」
「生き残れるかはこれからじゃないのかい? ビッター殿。さあ、さっさと本隊に合流しなければねえ」
階級が下のシーマの無礼な物言いにもさほど目くじらは立てず、ビッターはうなずいた。バクゥはバルトフェルドの命令もあって、形
勢不利とみて撤退を優先している。その間に、彼らは無事本隊と合流を果たしたのだった。
525:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 04:00:05
「やれやれ、見事にやられたねえ」
「申し訳ありません、隊長! 自分がもう少し状況を判断できていれば……」
煙を吹くレセップスを背後に頭を下げるダコスタに、バルトフェルドは手を振って、
「いや、敵の策を読みきれなかった僕の責任だ。てっきり消耗戦を仕掛けてくると思ったからね、まさか“青い巨星”が囮とは思わなか
った」
と、悔しそうに言った。
「レセップスの損害は?」
「動かすのは無理です。本格的な修理が必要ですね。追撃戦の続行は、言うまでもありませんが不可能です」
「だろうね……応急修理を急がせてくれたまえ。なんにせよ、バナディーヤまで戻らないことには話にならない」
「はい」
敬礼をして去っていくダコスタを見送って、バルトフェルドは周囲の兵たちの様子を見る。やはりショックは大きかったようで、あち
こちでひどく落ち込んだ姿が見えた。彼らには、最初から最後まで敵に踊らされたとしか思えなかっただろう。
正確には、後退した時点で余力を残していたのはザフトのほうだった。しかし、敗北感に打ちのめされた彼らに、精神的な余裕は全く
なかった。それに、仮にあそこで殲滅したところで、レセップスが動けなくなった時点で勝者はジオンなのだ。そんな悪あがきをするぐ
らいなら、次の戦場で今度こそ叩きのめす、というほうがバルトフェルドの流儀に合っていた。
「それにしても……」
と、バルトフェルドは、先ほどまで戦っていたジオンの戦士たちのことを思い描いた。
「ハルバートンも、いいかげんなことを言ってくれるものだ。なにが『ジオンに兵なし』だ、あれほどの兵(つわもの)が揃っているって
いうのに」
526:ガルマvsバルトフェルド
06/11/12 04:00:57
カイロに帰還したガルマは、疲労とショックで丸1日寝込んだ。
3日目の朝、マ・クベから地上部隊撤退完了の報告を受けたガルマは、見事足止めを成し遂げたビッターらをねぎらうため、すぐに彼ら
を呼び寄せた。
「今回の任務、本当にご苦労だった。諸君らのおかげで、我が軍の損害は最小に抑えられたと言って良いだろう。みな、本当に良くやっ
てくれた」
笑みを浮かべて、1人1人と硬い握手を交わしていく。最初にビッター、次にロンメル、シーマと続き、最後にラルの番になった。
「ランバ・ラル、今回の作戦立案は君だと聞いた。あいかわらず、見事な手並みだな」
「いえ、運が良かっただけです。“虎”が自ら出てきたため、旗艦に出来た隙を突いただけです」
ラルの言葉を謙遜と思ったのか、ガルマは上機嫌で続ける。
「それを実行できたのも諸君らの力だ。私はいい部下を持った」
「それだけ……ですか?」
ラルが低い声で言った。その声にマ・クベはじめその場に居た者が体を固くしたが、ガルマは気にせず答える。
「む? ああ、もちろんこのことは本国にも報告しておく。追って何らかの褒章があ……」
「御免!」
彼は、そのセリフを最後まで言うことが出来なかった。ラルが、いきなりガルマを殴りつけたのである。ビッターは黙ってそれを見つ
め、ロンメルとシーマは驚きのあまり硬直し、そしてマ・クベは顔をしかめたものの何も言わなかった。
「ラ、ラル、何を……?」
「申し訳ございません。しかし、ジオン兵の総意を汲んで、ご無礼を承知で“修正”をさせていただきました」
わけがわからない、という顔をするガルマに、マ・クベが諭すように言った。
「お分かりになりませんか。今回の戦い、ジオンもザフトも、総司令官が不用意に前線に飛び出し、それが原因で負けたのです」
ガルマが出撃しなければ、ジオンは優勢のまま撤退できていただろう。また、バルトフェルドがレセップスに残っていれば、ギャロッ
プの特攻を寸前で察知していた可能性は高い。どちらも、大局を見るべき指揮官が個人の戦いにこだわったがゆえの敗戦だったといえる。
「ガルマ様が成すべきことは戦場で自ら敵を殺すことではなく、大局を見極め、味方を“生かす”ことです。それができて初めて、あな
たは兄上様、姉上様と肩を並べることが出来るのです」
マ・クベの言葉に、ガルマは目の覚める思いだった。同時に、自分のつまらない意地で死なせてしまった、傷つけてしまった兵士たち
に申し訳ない気持ちで一杯になった。
「すまなかった、ラル、そしてマ・クベ。たしかに、私は指揮官としてあまりに軽率だった」
ガルマは素直に頭を下げると、ラルに向き直った。
「そして、ラル。先ほどの修正、身に染みた。私はこの痛みを生涯忘れぬようこの身に刻もう」
「いえ、もったいないお言葉」
がっちりと両手を握り合う二人の間に、マ・クベが割って入る。
「では、ランバ・ラル。総司令官への暴行の処罰についてだが」
「な! マ・クベ、ラルの拳は私を思ってのことだ、それは……」
ガルマはマ・クベの言葉を撤回させようとするが、そんな彼を見るラルとマ・クベの目を見て、すんでのところで思い直した。
どんな理由があれ、軍で上官に暴力を振るうことはあってはならないことだ。1度例外を作れば、そこから軍の規律は崩れてしまう。
それがわかっているからこそ、マ・クベはラルを処罰し、ラルはそれを甘んじて受けようとしているのだ。ならば、司令官としての自分
がするべきことは1つだ。
「ランバ・ラル。いかなる理由があれ、総司令官たる私への暴行を許すわけにはいかない。しかし貴様は今回の作戦において多大な功績
をあげた。それを考慮し、今回は不問とする。ただし、貴様への褒章は無いものと思え」
ガルマの言葉に、ラルは深々と敬礼した。
「は! 寛大なお言葉、ありがとうございます」
ガルマがマ・クベを見ると、彼は静かにうなずいた。
これをきっかけに、地球方面軍総司令官ガルマ・ザビはその才能を開花させていくのだが、それはまた別の作品(お話)である。
to be continued >>349?