06/11/03 20:58:01
1.
「大尉ー!」
MSのコックピットから呼びかけられ、マリュー・ラミアスは振り返る。テストパイロットである
友人が長い髪をなびかせ怒鳴っている。
「X303のOSチェック行ないますー!」
「お願いね!」
周囲が騒がしいのでマリューも怒鳴った。
ここは“ヘリオポリス”。地球の衛星軌道上、L3宙域にあるスペースコロニーである。
ヘリオポリスはオーブ首長国に属している。この国は連合、プラント、ジオンの三つ巴の戦争に
一切関わらないと中立宣言をした国家だ。
「X105の方はどうしますー!」
「時間がないから搬出後にやるわー!」
このヘリオポリスでは連合が極秘裏に行なっている“G”計画が実行されていた。この計画は
相次ぐ敗戦に危機感を持ったハルバートン提督が責任者となったものである。
その内容はジオンおよびプラントのMSに対抗できるMSとそれを運用する新造艦の開発、製造
であった。この新型兵器は“G”と呼ばれ、これからの戦局において重要な価値を持つものである。
その“G”が完成し、搬出も目の前という段階でマリューは安堵していた。しかし彼女はそれが
まだ早すぎることを知らなかった。