06/08/14 17:03:51
皆さんお盆休みをいかがお過ごしでしょうか? といいつつネタ投下… また出てきました問題児!
第二十九話『・・・因縁は、自らの手で断ち切るものだ。』(前編)
「機関部の修理、完了しました!」
「よし、フリーデンは直ちに発進。敵潜水艦を負う!」
ローレライの海での戦闘から丸一日、機関部の修復がようやく終わったフリーデンはマーカス一味の追撃を開始した。敵は潜水艦だが先日の戦闘で潜水艦として機能は
一時的に失われており、海上でしか活動できないフリーデンにも追撃は容易な状態であった。
「あ~あ~あ~あ~、また無茶してくれちゃって・・・。」
キッドはディスティニーの整備をしながら愚痴をこぼした。元々海中での活動に不向きな形をしているディスティニーがかなり無茶な扱いをされたために機体の至る所に金属疲労が発生していたのである。
「ま、海ン中で散々引っ張りまわされたって話だから仕方ないか・・・。」
15年前の戦争の際に作られたGXなどに使われている装甲の3倍の厚さはあるだろう装甲をワイヤーで吊り下げ引き剥がす。
ヴァリアブル・フェイズ・シフト装甲、通称VPS装甲は電力を消費することでその強靭な強度を保っているが、装甲そのものが永久にその性質を保っていられるわけではない。
C.E.のレクイエム破壊後に一度新品の装甲に取り替えたとはいえ、幾多の激戦を潜り抜けた装甲には細かい傷がびっしりと刻み込まれていた。
「う~ん、本気で近々装甲の総取り替えせにゃなんねぇかもしれねぇな…。」
VPS装甲の作り方をキッドは知らない。仮に知っていたとしてもVPS装甲は無重力空間でしか生成することが出来ない物だ。ただでさえ”重さ”と言う観点で問題を抱えているディスティニーはさらにキッドに難題を突きつけるのだった。
「目標確認!! 距離2,000!」
「ガンダム各機、発進願います!!」
敵艦の追撃を開始してから丸1日、うまく海流に乗る事ができたので本来の航程の約半分で敵艦に追いつく事ができた。
だが、敵艦に追いつく事ができても今回の目的は達成されたことにはならない、今からが本番なのである。
「皆出た?」
「ええ、皆ちゃんと出撃・・・、って、え?」
いつも耳にする声だが、戦闘中には肉声で聞くことの無い声にブリッジの面々は違和感を覚える。入り口の方を向くと、赤いジャケットを着た少年がにんまりと笑いながら立っていた。
『ガロード!!?』
「何であんたがここにいるのよ!!?」
ガロードはGXのパイロットである。だが、GXは既に敵艦へ向けて出撃している。では誰がGXに乗っているのか導き出される答えは一つ。
「キャプテン!!?」
「ルチル・・・、今行く!」
GXのコックピットの中でジャミルは口を真一文字に結び敵艦を見つめていた。今回の目的は敵艦に回収されたLシステムのユニットを回収すること、生態コアとして組み込まれているルチル・リリアントの救出が最終目的であった。
ルチルはジャミルにとっては元上司、そして淡い青春の思い出でもある。
『ガロードの奴、粋なことするねぇ!』
『ガキの分際でな!』
「ま、ある程度予想できましたけどね!」
ロアビィとウイッツの言葉にシンもうなずいた。ルチルと一番関係が深いのはジャミルである以上、本来彼が助けに行くのが一番良いのである。だからガロードの行動に異を唱えるものは誰もいなかった。
『MSが出てきた。突入を援護してくれ!!』
『おうッ!』
『あいよっ!』
「了解ッ!」