06/08/04 23:48:00
第二十七話『同じ思いはさせたくない!!』(後編)
本来、ニュータイプ能力を利用する兵器はパイロットの増幅された精神波を使うことで機能するものである。GXなどに搭載されているフラッシュシステムはパイロットの精神波を増幅した上で、12機のビットMSにそれを反映させ同時に操作させるものである。
だが、”Lシステム”は生態コアであるルチル・リリアントの戦いに対する嫌悪感を増幅させ一定範囲内の電子機器を使用不能にさせるものであった。
「なるほどね。戦闘をMSでやる今の世の中じゃそれだけで戦闘が終わってしまうってわけか。」
「でもよぉ、そんな物が戦場にあったら自分のMSだって動かなくなっちまわねぇか?」
「宇宙であれば、敵をおびき寄せて機能を停止させた後に機雷をぶつけてやるだけで全滅させることが可能だ。」
ロアビィに疑問を投げかけたウイッツにジャミルが答えた。さらに付け加えて、このシステムは未だ試験段階であり、改良すれば宇宙革命軍に対してだけ機能が働くようにすることも可能なのである。
「・・・・・・。」
シンは話を聴いている間感情を爆発させないよう必死に抑えていた。彼の表情はフォートセバーンでフリーダムを見たときよりもさらに険しく、怒りの炎がメラメラと燃え盛っている。
「・・・どこの上層部も、戦争をしたくない奴やさせる必要の無い奴まで勝手に巻き込んで!」
「・・・そうね、戦争で被害をうけるのはいつもそこに住む人達だわ・・・。」
ティファの体を借りたルチルも静かに同意する。軍人であったとはいて、彼女も被害者であることに変わりなかった。
「ジャミルさん、ルチルさんのことを助けましょう!! あんたに、俺と同じ思いはさせたくない!!」
「”同じ”思い?」
「・・・俺は目の前で好きな人を助けられなかった。戦争なんかできる奴じゃなかったのに!!」
血が出るほど強く握り締められた拳から皆は彼の悔しさを容易に感じ取る事が出来た。