種・種死の世界にXキャラがいたら-コーヒー四杯目- at SHAR
種・種死の世界にXキャラがいたら-コーヒー四杯目- - 暇つぶし2ch2:通常の名無しさんの3倍
06/07/06 23:58:51 60Joqb9F
>>1乙は一刻を争う!

3:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 00:00:03
巷に乙の降るごとく

4:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 00:17:30
>>1

5:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 04:44:06
>>1乙は出ているか!?


A.出てました

6:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 10:03:16
>>1
スレたて乙!
 (((
つ旦

7:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 14:18:06
>>1乙!


8:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 14:31:25
>>1
僕らが求めた新スレだ

9:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 15:59:36
>>1
終わらない>1乙へ

10:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 17:06:31
まとめサイトです。

GX-P 様
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
GX-P 「ディスティニー in A.W.0015」
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)


11:X運命 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:32:47

>>1
私の乙は凶暴です


GXさんの小説が面白かったので、ついつい自分も始めてしまいました
人気はGXさんの方が上だけど、それに少しでも追いつけたらなって思う

正直、MSの強さや、人物の能力など、GXさんのものと
こちらのものとは設定が違うことが多くなると思うけど、
そういうのはお互い気にしないようにしたい

GXさんの新作、楽しみにしてるけど、無理はしないで

12:機動新世紀ガンダムX・DESTINY。第三話『嬉しく思う』
06/07/07 17:36:19

==========================

「なんだって、俺だけ・・・・・まぁ助かったけど・・・・。でもシンのやつ、いったい・・・・」

無重力空間を四苦八苦しながら抜けたガロードは、ブリッジに向かう途中でつぶやいた。
それからブリッジに上がり、その空気に触れると、ぴんと張り詰めた緊張感をこちらも感じてしまう

「ガロード」

先に来ていたのか、デュランダルが椅子に座り、ガロードに微笑んでくる
その隣には、アスランとカガリが座っている

「知ってたの? 俺が・・・・・」

宙間戦闘できないことを、という意味を、ガロードは言外にこめた

「オルバがそうだったから、君も、と思ってな」
「そっか」
「戦闘は君がいなくとも問題ないだろう。アビスは出撃できないが、インパルス、アシュタロン、それにザクもいる
 ガイアは君が戦闘不能にしたのだし、我らが負ける要素はない
 暇ならばゲームでもしてくればいい、ガロード・ラン」

デュランダルはつまり、シュミレーターで訓練してこいと言っているのだった
ガロードはうなづき、笑う

「へへっ、いいとこあんじゃん、おっさん」
「お、おっさ・・・・!」

デュランダルではなく、艦長のタリアがこちらを振り返っていた
だがデュランダルは別にいいと言うように、かすかに首を振る
ガロードはタリアを無視して、そのままブリッジを降りた

==========================


13:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:38:04

==========================

「ふぅ・・・・」

ガロードがシュミレーターの椅子から立ち上がる
シュミレーターは特別製で、オルバが使っていたというものだから、操作系統に差は問題はなかった
問題は結果で、初めてやってみた宙間戦闘シュミレーションは、さんざんな出来に終わる
実戦なら十回は死んでいるような成績だった

「やっぱこのままだと、まずいよなぁ・・・・でもこの宇宙の、ずっと落ちるような感じが・・・・」

揺れはさっきから断続的に続いている。ミネルバも砲撃をしているようだ

ゴゴゴゴゴゴ・・・・

「うわっ!?」

砲撃のものとは思えない、ひどい揺れが来た。ミネルバがなんらかの損傷を受けたようだ
シュミレーターにしがみついたガロードは、ふと考える

(まさか俺・・・・こんなところで死ぬんじゃないだろうな。ティファ・・・・!)

急にティファに会いたくなった。あの長い髪、消え入りそうな声、ガロードへと呼びかける一声一声が、
切なく、悲しく思い出された

「でも・・・・クソッ、俺にできることって!」
衝撃が断続的に続く。ガロードはシュミレーターにもう一度乗り込み、起動させた
「こんなことしか・・・・!」

DXに乗り込みたいという衝撃を抑えつけ、戦闘中ということも忘れようとする
また、宙間戦闘シュミレーターが始まった

==========================


14:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:39:06

==========================

数十分後・・・・

戦艦ミネルバはどうにか敵の攻撃を退けた
一時は敵戦艦の奇襲を受け、小惑星の石に埋もれて身動きがとれなくなったりもしたが、
そこはアスランの機転やシンをはじめとするMS隊の活躍で切り抜けることができた
ただ、本来の目的であるガイア、カオスの奪還を果たしていないので、これは敗北とも言える

シン・アスカ、レイ・ザ・バレル、ルナマリア・ホーク、オルバ・フロストら、
ミネルバ乗員のエリートパイロットが艦に戻る
その姿を見つけた通信士のメイリンが、息を弾ませてブリッジであった事件を報告した

「アスラン・ザラ・・・・あいつが」

シンが、メイリンの言葉を受けてかすかに驚く。
ルナマリアから話は聞いていたが、情報が確たるものになったのだ

「でも、前大戦の英雄が、名前まで変えなきゃいけないものなのかなぁ」
メイリンがそうつぶやくと、
「戦場の英雄なんてのは、つまりは世界を変えられるほど人を殺したやつのことなんだよ
 名前を変えることぐらいはは珍しいことじゃない」
オルバはフンと鼻で笑って背を向けた。そのまま去っていく

「なーに、アイツ?」
ルナマリアが不満そうにオルバの背を見る。

「英雄が嫌いなんだろ、オルバは」シンはさらにつぶやく「俺も、わからない話じゃないしさ
 アスラン・ザラがスーパーエースにになるために、どれだけの人間が犠牲になったか」

「やれやれ、なーんかひねくれてるのよね・・・・どっちもさ」
ルナマリアが、肩をすくめた

==========================

15:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:40:27

==========================

「おい、起きろガロード」

ほんの少しだけと仮眠を取っていたガロードの肩が、乱暴にゆすられる

「・・・・・・くぁ、なんだよ・・・・オルバか? デブリ戦はなんの成果も損害も無かったんだろ・・・
 訓練やってて疲れてんだ、寝かせてくれ」
「いいから来い、緊急事態だ。場合によっては・・・」
「?」
「地球が滅びるかもしれない」
「い、いぃ!?」

その言葉で一気にガロードの目が覚めた。ベットからはね起き、ザフトの赤服に着替えると、
オルバに従って部屋を出る

「説明しろよ、オルバ」
「詳しいことは、メイリンが教えてくれる。ただ先にこれだけは言っておく」
「なんだ?」
「サテライトキャノンの存在は伏せておくんだね
 MSパイロットや整備士連中はもちろん、デュランダル議長にもだ」
「いきなりなに言ってんだよ
 伏せておくもなにも、この世界にマイクロウェーブ送信施設がないだろ
 サテライトキャノンは今、ただの筒だぜ?」
「いや、エネルギーの直接供給を行うことで発射はできるはずだ
 昔、GXシリーズのサテライトシステムを開発した科学者たちは、
 マイクロウェーブなしでサテライトキャノンを発射できるよう、
 Gファルコンという支援兵器を作った。GXシリーズはGファルコンという
 巨大なバッテリーと合体することで、一発だけサテライトキャノンのエネルギーを『ためること』に成功した
 それと同じ要領で、DXに巨大なバッテリーを連結するなりしてエネルギーを供給すれば、
 サテライトキャノンの発射は可能になるはずだ」
「・・・・・理屈はわかったけどよ、なんでおまえはサテライトキャノンにこだわって・・・・・」


16:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:41:51

ミネルバの休憩室につくと、ガロードはオルバと共にそこへ入った
中ではミネルバのクルーや、パイロットが顔をそろえている

(そういや、俺とこいつら、あんまり年が変わらないよな。軍人ってもっと年いってると思ったけどよ)

ガロードはなんとなくそんなことを思った。しかし周囲の人間は軍服が似合っている
ガロードなど、詰め襟つきの服をしているだけで息がつまりそうだった

「ガロード・ラン!」
メイリンが声をかけてくる。他のシンを始めとした人間たちも、一斉にこちらを見た
「なにがあったんだ? オルバに無理矢理連れてこられて、よくわかってねぇんだ」
「ユニウスセブンの軌道がずれて、地球に向かっているそうです。このままでは墜落するって・・・・」
「敬語はいいよ、俺、多分みんなより年下だしさ。それよりユニウスセブンってなんだよ?」

ガロードの発言に、休憩室にいたパイロットたちは顔を見合わせていた
よほど的外れな発言だったのだろう。オルバが、ガロードの足を踏んづけた

「いてっ!」
「ガロード。地球での任務が長いからといって、勉強をしなさすぎるそのクセ、治した方がいいんじゃないかい」
「・・・・・・・・・。」
「ユニウスセブンは先の戦争の発端、『血のバレンタイン事件』が起こった農業用コロニーだ。
 まったく、君の無知には時々呆れさせられるよ」
「・・・・・・・。」

ガロードは少し驚いた。なんとオルバはガロードをかばったのである

「でも地球への衝突コースだっていうのは本当なのか?」
気を取り直して、シンが発言した
「本当らしいよ。バートさんがそうだって」
メイリンが答える
「はぁ~、アーモリーでは強奪騒ぎだし、それもまだ片づいてないのに今度はこれ? どうなっちゃってんの」
ルナが愚痴はこぼしていた

「・・・・・で、俺たちはどうしたらいんだ?」
ガロードはとりあえず聞いてみる
「ユニウスセブンを、砕くしかない」
答えたのは沈黙を守っていた、同じザフトの赤服、レイである。
自己紹介はしてないが、ガロードも名前は聞いていた
長いさらさらの金髪が、印象的な男だ
「砕くって、あれを? 直径八キロあるんだろ?」
誰かが声をあげる
「しかし軌道の変更は不可能だ。衝突を回避したいのなら、砕くしかない
 それに衝突すれば地球は壊滅する。そうなれば何も残らないぞ。そこに生きるものも」
レイの声は落ち着き、よく抑えられていた


17:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:43:19

「じゃあ、地球・・・・滅亡・・・・かな・・・・」
また、誰かが言った

・・・・・・・・・・・・。

しばらく休憩室を沈黙が支配した
「はぁー、でもま、それもしょうがないっちゃあしょうがないかぁ?」
誰かが気楽そうな声をあげる
「不可抗力だろ? 地球が無くなれば、変なゴタゴタも綺麗に無くなって、案外楽かも。俺達プラントには…」
それに応ずるように、声が続く

「・・・・・なぁ」

ガロードがいきなり声を上げる。それからつかつかと窓際まで歩いて行って、地球を見た

「ここから見える地球って、綺麗だよな。やっぱり緑とかがいっぱいあって、生き物もたくさんいるんだろうな
 『あの』地球は」

・・・・・・・・・?

休憩室に奇妙な間が起きた。ガロードの発言の真意がわかった者は、オルバをのぞいて一人もいない

「俺さ、とんでもない環境の場所にいたからさ、よくわかんないんだけどさ。
 宇宙に出ても、やっぱり人間のふるさとは地球なんじゃないか
 ふるさとはちゃんとあった方がいいよな
 自分が帰れる場所ってヤツがさ・・・・」

「ガロード」
シンがこちらにつかつかと歩いてきていた
「なんだよ、シン」

ぐぃっ。急にガロードは、シンに胸倉をつかまれる

「故郷の話なんて二度とするな。地球が俺たちコーディネーターの故郷なんかであるわけないだろ!」
「な・・・・・? コーディネーター・・・・?」
「別に地球に滅びて欲しいわけじゃないし、そんなことを誰も本気で言っちゃいないけど・・・・!
 でも地球に裏切られた俺たちは、宇宙で生きていくしかないんだ!
 地球が俺たちのふるさとだって・・・!? ふざけるなッ!
 ガロード、おまえの綺麗事は吐き気がする!」
「わけわかんねぇこと言うなよ! 離せ!」
「シン!」
レイが仲裁に入ろうとした、その時だった


18:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:44:15

「地球がおまえたちを裏切ってるわけないだろう!」
にわかに険悪な空気となった休憩室に、女性の声が飛び込んできた。
ガロードが入り口を向くと、カガリと名乗るお偉いさんと、アレックスと名乗ったアスランという青年がいた
声の正体は、カガリのようだ

「なんだと・・・・!? あんたは・・・・オーブの!」
シンがガロードから手を離し、カガリをにらみつける
しかしカガリはひるまない
「デュランダル議長がナチュラルとの融和を考えているのに、そんないじけた考えでどうするんだ!
 その少年の言うとおり、地球はおまえたちのふるさとなんだぞ!
 あれだけの戦争をやって、まだコーディネーターとナチュラルを差別しようっていうのか!
 地球がなくなれば、ごたごたも無くなるだと!? プラントが楽になるだと!?
 新しいザフトは、そんな考えなのか!
 地球を共に護ることで、ナチュラルとコーディネーターも一緒に歩いていけるって、なんで考えない!」
「よせよ、カガリ」
激昂するカガリをなだめるように、アスランがその腕を引く

「別にヨウランも、本気で地球がなくなればいいって言ってたわけじゃないさ。そんなこともわからないのか、アンタは」
シンが馬鹿にするような感じで、カガリを見る
「シン、言葉に気をつけろ」
「レイ・・・・。ああ、そうでしたね。この人偉いんでした。オーブの代表でしたもんね」
「おまえ・・・・!」
よほど頭に血がのぼっているのか、カガリがシンに詰め寄ろうとする、その時だった

バキッ

シンの横からこぶしが飛んできて、それが見事に命中したのだ
「へっ、悪かったな、綺麗事でよ。でも喧嘩を最初に売ったのは、おまえの方だぜ!」
「ガロード・・・・! おまえ・・・!」
「あー、やだやだ。エリートさんってのはなんでこうもひねくれてんのかね!
 人が死ぬより、死なねぇ方がいいに決まってんだろ」
「死なない方がいいだと・・・・・!? おまえになにがわかるって!!」


19:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:46:52

ガロードへ殴りかかろうとしたシンを、とっさにレイが抑える
「よせ、シン。大事な作戦前に、営倉行きになる気か。ガロードもだ
 お互いに意見もあるだろうが、バカな真似はやめろ」
「チッ・・・・・。ガロード、せいぜい次の作戦では足引っ張るなよ!」
シンはそう吐き捨てると、肩をいからせながら、休憩室を出て行く

「最初につかみかかったシンも悪いが、最初に殴った君も悪い」
こぶしを握り締めたままのガロードに、レイが声をかける
「・・・・・・・・・・・・」
「シンは昔、地球で家族を失っている
 そのことに関する話題が出ると、血が上ってしまう。理屈もむちゃくちゃで、誰彼構わず当り散らす
 あいつの悪い癖だ。優秀なパイロットであるのは、確かなんだがな」

そう言いながらレイは、自販機からジュースを一つ買うと、ガロードに投げてよこした

「とにかく、これでも飲んで落ち着け」
「へへっ、すまねぇな」

プシュン

ガロードがジュースを開けると、すっと手が差し伸べられた。握手を求めているらしい
手の正体はカガリだ。さっきまでの様子とは変わって、少し微笑んでいる

「ザフトにもおまえのように思ってくれる人間がいたことを、嬉しく思う。私はカガリ・ユラ・アスハ。おまえ、名前は?」
「え? あ、ああ・・・ガロード・ランだよ」
「ガロード・ランか。アーモリーワンでは助けられたな。アスランから話は聞いた。
 そのことも含めて礼を言う」
「え、いや・・・まぁ・・・どういたしまして」

顔を少し赤くして、ガロードはカガリの手を握り返した。やはり美人にこういう風な扱いをされると、照れてしまう
まだ、少年は十五才だった

==========================


20:X運命 『嬉しく思う』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/07 17:47:42
 

つづく

21:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 18:12:49
この頃のシンって
ただのクズ野郎だなw

22:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 19:17:24
ガロードはボロボロになった地球を知っちゃってるからなあ。

23:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 20:35:29
このときのカガリってとてもひどかった記憶が

24:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 21:40:55
カガリな、どうだろ・・・
種死五話見てみたけど、カガリはヨウランの軽口にキレてザフト批判してたけど、
ガロード(ザフトの赤服)が、地球擁護してるから

それよりアニメの五話のシンひでぇ・・・・('A`)

25:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:02:56
至ってどうでもいいがガロードに赤服って似合わない気がするw
描いてみっかな……

26:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:13:01
>>25
よろ (;´Д`)ハァハァ 

27:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:38:13
>>24
そうか?ヨウランの軽口もありゃ心の奥底にコーディのほとんどがもってるであろう本音だろうと感じたな。
もしコーディも共に地球のことを心配し、手を取り合うことを望むならそれなりのことをしてからキレろよとオモタが。

それにシンにはシンの事情があるんだし、別にそこまで酷いとは思わなかったな…
むしろあそこはカガリの馬鹿さ加減で半ばあきれてた。

28:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:41:49
お父様も~の所とかな
さすがにこれ以上スレ違い

29:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:45:09
礼儀作法を何一つ教えられてないんだからしょうがないよ。

30:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:47:11
カガリよりも、微妙に優しいオルバに(;´Д`)ハァハァしろよおまえら!!

31:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:48:56
アウルは見事な人間ミラコロの使い手のようだな…気配すら感じられん。

32:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:50:25
ところでDXのプラモの武装の話はどうするべ?

33:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:54:17
一応フリーデンの片隅に転がっているカットが存在したって話を聞いた事があるが・・・
・・・本当なのか?

34:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:54:48
オレの近所の模型屋にはGXの在庫が無いので悲しい。

35:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 22:55:25
>>33
本当らしい。
まあ、ロウにでも造って貰うか?

36:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 23:27:43
プラモの武装をX運命に入れたらっていう話だろ32が言いたいのは

37:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 23:28:59
ハンマーは必須だな。

38:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 23:29:02
しかし奇麗事を並べてただけだと思ってたガロードが、
実際は自分よりも遥かに酷い境遇にいた事を知ったときシンはどう反応するかな。
たしかガロードの両親って殺されてたんだっけ?

39:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 23:39:50
父親は戦争で死亡、母親は不明だがおそらく幼い頃に病死
友達も半数が死亡

40:通常の名無しさんの3倍
06/07/07 23:49:07
よく考えたら作品中、同年代の友達ってカリスぐらいしかいないなと思ったら

ロアビィ 18歳
ウィッツ 17歳
トニヤ 17歳

( ゚д゚)

( ゚д゚ )

41:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:07:30
Xの世界の人々は皆早熟だな。もっとも、そうでもければあの荒廃した世界を生き延びられないだろうしな。

42:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:08:10
戦中生まれと戦後生まれだと何らかの隔たりがあるんじゃないか?

43:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:09:34
>>40
キッドは12歳だったな。
パーラはガロードと同い年の15歳。

44:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:20:03
ジャミラでさえ30台前半だからな

45:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:24:44
サラなんてまだ20じゃないんだぜ?

46:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:32:33
フロスト兄弟が双子だということがいまだに信じられん

47:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:36:54
>>33
ハンマーが転がってたのは覚えてる

48:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:41:14
>>46
二卵性とは言え同性なのに見た感じの歳が離れすぎだもんな

49:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:42:42
シャギアが10代なんて詐欺だとしか思えない

50:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:43:00
>>48

あーあ、言っちゃった
おまえ、近いうちにニュータイプ候補生としてMSに乗せられると思うけど、
せいぜい身辺には気をつけろよ



51:25
06/07/08 00:47:51
描いちゃった
そもそもガロードに見えるかが問題
URLリンク(www.imgup.org)

52:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:49:07
>>51
GJ!

ガロードにちゃんと見えるけど、
やっぱり鬼のように似合わねぇ('A`)

53:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 00:49:20
>>33
36か37話のフリーデンⅡの格納庫に在ったぞ・・・宇宙戦で使えるか疑問だが・・・

>>46
まあ、その話は当時からだったからなwww俺は気にしてなかった。二卵性なら、
容姿が相当違うという双子も存在するし。
(ウチの元同級生の双子はニ卵性で背も10CM以上違ってた・・・何でも兄貴が
父親似で弟が母親の体格に似たんだと)

ちなみに年齢はフロスト兄弟19歳、ジャミルは丁度30歳。ランスローが33歳・・・
兄弟とキャプテンはともかく、ランスローのあの姿は若いぞ・・・

54:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:07:57
>>44
吹いただろうがw

55:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:10:59
じゃあシャギアは父親似で、オルバは母親似といったところか。

逆だったらなんとなく嫌だ。

56:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:13:27
そういえばツインズなんて映画があったな。
片方が優良でもう片方が搾りカスの

57:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:15:06
オルバが絞り粕だって言うのかーーー!!!!!

58:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:15:44
>>56
有能な弟がシュワちゃんだったな

そういえばあの映画も遺伝子の優劣がどうこうって話だった気が(うろ覚え)

59:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:15:48
キラとカガリのことかぁぁぁ!!

60:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:18:01
なんかキラがFOXDIEで死にそうだ

61:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 01:33:02
キラが年上でウィッツが年下なんて信じられない

62:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 02:06:53
遺伝子の優性、劣性って単に発現しやすさを表したものにすぎないってことを知らない奴が多すぎる

63:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 02:31:17
X運命でのガロードってひょっとして一番チビ?

64:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 09:29:34
ガロの身長は161だぞ
15歳ならそんな低くないんじゃ?
まぁ子供の頃の栄養状態は最悪だっただろうが

65:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 10:14:33
前スレ綺麗に埋まったな

66:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 10:14:36
報告。
誰もいなかったので、前スレ1000を頂きました。

67:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 10:54:08
新スレだ!新しい職人だ!!
憎たらしいツンですねw
これからが楽しみです

68:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 11:23:14
というか、シンがアヌメと比較にならないぐらいアレな奴になってるぞ
そもそもシンはコーディとナチュの格差に対する偏見なんてゼロな奴だったし
カガリをまともにするのは構わんが、それに対抗するキャラを劣化させてどうする

69:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 11:23:38
>>63
周りのキャラの身長はどうなんだ?

70:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 12:19:56
シンが168だったかな
レイはもうちょっと高い
遺作は174ぐらいあったような気が

71:影無き氷狼 ◆cDmqsEGndM
06/07/08 12:22:32
うろ覚えだが、ジャミルが15歳のときルチルより頭半分くらい低かったから
伸びるのはこれからなんじゃね?
と、言ってみる

72:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 13:47:03
シンはオーブ出身だからナチュへの偏見や差別意識は無いな
ついでに地球に裏ぎられたなんて考えをしたことも無い

オーブへのあれはアスハアレルギーだしな

まあ職人さんのシン像がおうなんだろうから傍観者はこれ以上何も言わないが

73:機動新世紀ガンダムX DESTINY 第四話
06/07/08 14:09:02

==========================

ガロードはデュランダルから出撃の要請を受けた
ユニウスセブン破砕作業の作戦へ、正式に加わることとなったのだ

(宇宙でどれだけやれるかわかんねぇけど、作業ぐらいなら・・・!)

主だったパイロットを集めて行われたブリーフィングで、作戦の概要が説明される
『メテオブレーカー』と呼ばれる大型のドリルを使い、それをユニウスセブン各所に設置
それを起動させ、破砕させるというものだった
ユニウスセブンの大きさが大きさであるためか、かなりの数のザフト援軍が向かっているらしい
ガイア、カオスの奪還はひとまず後回し、というわけだ
ミネルバに工作部隊はいないので、MS隊の任務は工作部隊の支援が主になる

(クソッ、サテライトキャノンさえ使えれば、こんな石ころ一発で・・・・)

ブリーフィングを聞きながら、ガロードは歯がゆい想いにとらわれていた
目の前に地球の危機が迫っているのに、それをたやすく解決できる
兵器を使用できないのだ。だが・・・・・・

(本当にサテライトキャノンを使いたいのなら・・・サテライトキャノンのことをミネルバのクルーに
 言わなきゃいけないのに、なぜそうしない・・・・俺は・・・・)

オルバの言葉が正しいなら、十分なエネルギーさえ供給されれば、サテライトキャノンは使用できる
ミネルバのクルーにそのことを継げれば、エネルギーを調達してくれるかもしれないのだ
しかしガロードは苦悩していた。オルバに口止めされたからではない
DXを託してくれた男の言葉が、耳の奥でこびりついて離れないからだ

『過ちは繰り返すな』

過ち。罪。
かつて戦争があった。大規模な宇宙軍のコロニー落とし作戦を阻止すべく戦場に投入されたGXシリーズは、
 地 球 を 護 る た め 、サテライトキャノンでコロニーを撃滅させた
しかしサテライトキャノンが結果的に宇宙軍の恐慌を招き、恫喝目的で進められ、
実行されることなど想定されてなかったコロニー落とし作戦は、恐怖という後押しを受けて強行された
結果、地球は想像を絶するダメージを受け、戦争もできないほど国力を低下させた宇宙軍と地球軍は、
混乱に身をゆだねることになったのだ

それが、第7次宇宙戦争の結末である
確かにユニウスセブンと状況は違うものの、ガロードの心にそれが引っかかっていて、
サテライトキャノンのことを言い出せずにいた


74:X運命 『久しぶりです、本当に』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/08 14:10:54

ブリーフィングが終わると、パイロットたちが散っていく。ガロードは少し重い気持ちで立ち上がった
「ガロード」
廊下で呼び止められ、振り返る。オールバックの赤服がそこにはいた
「オルバ・・・・なんだよ?」
「一応確認しておくんだけどね、ノーマルスーツのことはわかるかい」
「ノーマルスーツ?」
「やっぱり知らなかったか。パイロット用の宇宙服さ
MSを宇宙で使うなら、必ず着なければいけないシロモノだよ
ロッカーにある」
「そうか・・・・。へっ、えらく俺に気を使うじゃないか、オルバ?」
「勘違いしてほしくないね。ただ、こんなふざけた世界を生き抜くのは、
 一人では難しいだけさ。別に君に信用してもらう必要はない
 ただ、利害が一致している間は、足並みぐらいはそろえておこうと思わないかい」
「間違っちゃいねぇけどよ。さんざん俺たちのこと引っ掻き回してくれたやつを、
 簡単に信用できるほど俺はお人好しじゃないんでね」
「相変わらず議論は平行線か」
「ま、別にいいぜ。元の世界に帰るまで、停戦で
 俺はおまえのことを信用も信頼もしてねぇけどな」
「フン・・・・上出来だ」

オルバが背を向けようとしたが
「おい、オルバ。サテライトキャノンのことを秘密にしろって言ったよな。なんでだ?」
ガロードが呼び止めた

「サテライトキャノンのことを知れば、ガロード、君はいらない敵を作ることになる
 元いた世界で、力を欲しがるバルチャーたちが、ガンダムを欲したように、
 この世界の人間たちもDXを欲しがるだろう。あるいはあまりに危険な兵器と、破壊するかな
 とにかくこの世界は、微妙な緊張状態にあるからね」
「・・・・・・・。」
「わざわざ口止めしたのは、ユニウスセブン破壊に使おうなんて、君が言い出しかねないと思ったからさ」
「でも・・・! あんなのが地球に落ちたら!」
「この世界のことはこの世界の人間に任せるんだね。第一、どこからエネルギーを引っ張ってくるつもりだい?
 それに何度も言うけど、サテライトキャノンを撃ったら、この世界の人間はDXを追い回すよ
 そして君は無残に戦死する」
「・・・・・・・・。」
「第7次宇宙戦争は地球を護ろうとした、ジャミル・ニートのサテライトキャノンで悲惨な結末を迎えた
 僕は兄さん以外誰が死のうと興味ないけど、くだらないごたごたは作らないでくれよ・・・ガロード・ラン」

言い残し、オルバは背を向けた。ガロードはその背をにらみつけた後、ロッカーへ向かう
いくらか、ガロードの体も無重力エリアに慣れてきていた

==========================


75:X運命 『久しぶりです、本当に』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/08 14:13:16

==========================

ノーマルスーツを着用し、DXに乗り込んだガロードはGコンをはめ込んで動力を入れた
慣れ親しんだ手つきで計器のチェックと、宇宙機動のシステムなどを確認する

ピッ

するとブリッジから通信が入って、モニタに赤毛の少女が映った
『ガロード、艦長からの命令をお伝えします』
「ん・・・、なんだよメイリン?」
『ガンダムDXは、特殊装備、Gハンマーで出撃するようにとのことです』
「Gハンマー? なんだよそれ?」
『元はインパルス等の新型ガンダムに配備される予定の武器でしたが、
 各機体のコンセプトに不適合であったことから、配備する機体が未決定であった武器です
 ただ、ガンダムDXの出力を計算したところ、Gハンマーの使用が可能であるとの結果が出ました
 ま・・・・早い話が大きな鉄球を使って、破砕作業を手伝えってことね』
「オッケー。でもそんなのでユニウスセブン殴っても、大したことできないんじゃ?」
『工作に邪魔な岩を砕く、障害物を排除する。そういうやり方で使ったらいいんじゃないかな』
「りょーかい!」
『それにしてもずいぶん短気なのね、ガロードって』
「もうその話題はやめてくれよ。手をあげたのは反省してるんだからさ」
『でもいいじゃない。おかげで、オーブのお姫様に気に入られてさ
 正直珍しいよねー、コーディネーターで地球を護るなんて言う人
 特殊隊員ってみんなそんなことを・・・
 あ、すいません艦長。すぐに全MSへ通達します』

メイリンが私語をとがめられたのか、会話の途中でブリッジとDXの通信は打ち切られ、
全モビルスーツへの通信に切り替わった

『全MSに通達。モビルスーツ発進3分前。
 各パイロットは搭乗機にて待機せよ。繰り返す、発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ。
 なお、ユニウスセブン到着後は、先行して破砕作業を行っているジュール隊の指示に従うこと
 繰り返す・・・・・』

DXのモニター越しに、あわただしい動きを見せるMSデッキを見回した
オルバのアシュタロンや、ザクなどももう動力が入っている
シンのインパルスは戦闘機で出撃して合体するというもので、MSデッキにはいない
奪還され、小破しているアビスガンダムは動力が入っている気配は無い
アビスが戦場に投入されることは無いようだ

(捕まったパイロット、どうしてんのかな・・・・)

ガロードはふと、顔も知らないアビスのパイロットを想った
軍の規律がどういうものかはわからないが、あれだけのことをしでかして無事にはすまないだ

76:X運命 『久しぶりです、本当に』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/08 14:14:11

ビーッ!

するといきなり警報が鳴り響き、DXにも緊急通信が聞こえた
『全MS発進停止。状況変化。ユニウスセブンにてジュール隊がアンノウンと交戦中』
「アンノウン・・・・・?」
『各機、対モビルスーツ戦闘用に装備を変更して下さい』
「戦闘になるのかよ・・・・」

ガロードは思わず息を呑んだ

『おい、DX! DXは装備の変更なしだ! Gハンマーは対MS戦闘にも使える! 
 そのままカタパルトで武器を受け取り、発進してくれ!』
メイリンとは別の通信が入る。整備士のヨウランとかいうやつだ

ガロードは舌打ちして、言われたとおりカタパルトに向かう
そこには巨大な鉄球を鎖で繋げただけの、かなり原始的な武器がぶら下がっていた

「こんなもんでMSと戦えってのか? 無茶言うぜ・・・!」
DXがハンマーを手に取る

『ガンダムDX、先発してください』
発進をうながすメイリンの声が、ひどく耳障りに聞こえた

「ティファ、俺に力を貸してくれ・・・・! ガロード・ラン、ガンダムダブルエックス、出るぜ!」

ミネルバのカタパルトにDXの足をはめ込む

グン・・・!

カタパルトが起動して急に衝撃が来るが、その勢いのままスラスターを開き、ミネルバから飛び立った

DXは、暗い宇宙の海に向かって行った

==========================

77:X運命 『久しぶりです、本当に』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/08 14:15:27

==========================

破砕作業を行おうとした工作隊を、まずジンの部隊が襲った
ザフトの機体がザフトを襲う奇妙さはともかく、現場の指揮をしていたジュール隊の隊長、
イザーク・ジュールは謎のジン部隊を敵と判断し、すぐさまMSで出撃したのだ

そして数分後、
前大戦を生き延びた歴戦のパイロット、イザークは、
ザクのコクピットの中で大きく眼を見開いた

「そんな・・・・バカな・・・・なんでアレが・・・・・」
『おい、イザーク! なんの冗談だよこりゃあ!』
戦友のディアッカ・エルスマンからも通信が入ってくる
わめきたいのはイザークも同じだった

ドゥン、ドゥン、ドゥン!

ユニウスセブンにとりついた工作部隊がつぎつぎとやられていく
それはまるで破壊の風だった。だが奇妙なことにMSの姿が見えない
いや、存在していないわけではない、消えるだけなのだ

破壊の風は、一帯の工作部隊を撃破すると、
自分の仕事の成果を誇示するように、姿を見せる

フォォォォォン・・・・・

姿を見せたのは黒いMS。機体はガンダム。右腕には盾、銃、剣、弓が
それはとうに存在しないはずの機体。たった一機の特殊兵器
イザークは叫んだ

「なぜ、ブリッツがここにいる!?」

プッ・・・・・。

ザクの通信が突如別回線で開き、声が飛び込んでくる
『やぁ、イザーク。久しぶりです、本当に』
「ニコル・・・!」
聞き覚えのある声だった。しかし亡霊の声だった

==========================

78:X運命 『久しぶりです、本当に』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/08 14:17:21

==========================

「ユニウスセブン工作隊の被害甚大・・・・モニターに映します!」

ミネルバのメインモニターが切り替わるそこには、ビームを放ち、サーベルで切り刻み、
工作隊を次々と撃破する一機の黒いMSの姿があった

「ブリッツ・・・・なぜ!?」

ミネルバのブリッジにいたアスランの顔にも衝撃が走った。彼は破砕作業を手伝わせてくれと、
デュランダルに頼み込んでいたのだ。

「ふむ、ブリッツか・・・話には聞いているが。かつて、ザフトが連合から強奪した機体だな
 前の戦争の中盤で撃破されたと聞いたが、それがいったいなぜこんなところに・・・・」
デュランダルがモニターを見つめ、腕を組む
「確かに撃破されたんです、友人と一緒に・・・・。でもなぜ・・・・」
「アスラン・・・・いや、アレックス君。MSを貸して欲しいと言ってたね。議長権限の特例でそれを許可しよう」
「議長・・・!」
デュランダルの言葉に、タリアが難色を示す。いくら前大戦の英雄とはいえ、微妙な立場にあるアスランを使うのは、
いろいろと面倒なことになりかねないことだった

「タリア。とにかく今は、建前は抜きに、戦力が必要なのではないかね」
「議長・・・しかし・・・」
「彼の腕は確かだ。君だって知ってるだろう
 タリア。応急処置の済んだあれを、彼にまわしてやってあげてはくれないか?」
「まさか、アビスをですか? しかしあれは我が軍の・・・・!」
さらに言おうとするタリアを、デュランダルは右手を軽く上げて制した

「非常事態だ。作戦は一刻を争う」


   つづく

==========================

79:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 17:17:52
ブリッツ+ニコルがでてくるとは
オリジナル展開となったか
続き楽しみにしてるよ

80:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 17:41:16
で、アウルは(ry

81:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 18:12:45
うおっ!!投下されてる!
そして

ハ ン マ ー k t k r ! ! ! 



82:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 18:41:28
なんか俺、光になりそう・・・

83:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 18:46:33
ハンマーは1st版?!

84:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 18:54:22
ワイヤーらしいぞ

85:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 19:46:59
今から投票を行います。
みんなで協力しあって以下の分を全スレに貼り付けてきてくれ

~以下~

新シャア板のローカルルール投票を行います。
・公示期間は今日から2006年6月30日迄
・投票期間は2006年7月1日0:00から2006年7月16日24:00までとします。
・投票の公正さを保つためメール欄は省略してIDを表示してください。
(1ID=1票とします。)

投票の過半数が得られた場合ローカルルールの変更を管理者に申請します。
投票しない場合は棄権したということとみなさせていただきますので投票忘れのないようご注意願います。

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【問い合わせ先】
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86:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 20:56:50
>>83-84
> そこには巨大な鉄球を鎖で繋げただけの、かなり原始的な武器がぶら下がっていた

ということらしい。
個人的には1st版というより∀版なイメージだが。

87:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 21:04:49
ハンマーは防御と攻撃を兼ね備えた
拠点破壊には持って来いな装備

あれで何度サイコやビグザムを落としたかwww

88:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 22:44:23
連ジの地上だと、無敵かと思うくらい強かったな。
ガンダムハンマー

89:通常の名無しさんの3倍
06/07/08 23:59:31
             ,.-‐''" ̄ ̄`丶、
            /             \
          、_/      ,      ヽ
          | ̄´ .: . .  ,.::/ . ..:::: . :l 、i
        ヽ....::::/ ,、. .:/l/l .:;イィ/} .! !
         `z.///}.ノ-、 !/,-__/ .:| {   俺のアビス・・・俺の・・・
          /イ ' 7{フ`ト  ´{-'/イ: l/ トi
           l  }└‐'___,、`~// ト、!
           ⊥_ノ}丶、_マ__,ノ‐'´\`
             }ー 'ヽ:::|: : |  |: |:/1

90:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 00:00:27
>>89
エロ本買えなくて泣いてる男の子を思い出した

91:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 00:52:01
>>73-78 題名がティファがいいそうなセリフだったので、「ティファたんくる!!」と
思ったけど、この状況ではでてこないよな…il||li _| ̄|○ il||li

92:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 00:54:49
そういえばアビスが戻ってきたということは・・・
まさかASTRYの奴がいずれミネルバに?
波乱の予感だ・・・

93:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 01:07:09
>>92
これか。

●マーレ・ストロード
ZGMF-X31Sアビスガンダムのテストパイロットを務めた、赤服を纏うザフトのエリート。
C.E.71の旧大戦時にも地球の水中部隊で活躍していた歴戦の勇士であるが、大戦後期にはフォビドゥンブルーを駆る「白鯨」ジェーン・ヒューストンにボロ負け。
ナチュラルへの敵意を強める事となった。
しかしゾノやグーンでTP装甲持ちのMSに勝つのは事実上不可能に近く彼の戦闘能力の評価を下げる要因にはならないであろう。
だが敗北の責任を重く受け止める彼はテストパイロット時代にも臥薪嘗胆、雪辱を晴らす日のイメトレを怠らなかった。
後に、その努力と熱意が認められアビスの正パイロットに選ばれる。
だが実は彼の本命はインパルスで、その正パイロットであるシン・アスカに対し少女漫画のイジワル役のような陰険な嫌がらせを行っていたが失敗。
アーモリーワンのG強奪事件でステラ・ルーシェに撃たれ、一命は取り留めるも重体、復讐ナチュラルリストにまた新たな名を書き加えた。
その後見事に完治し、念願のインパルスの新装備「デスティニーシルエット」のテストパイロットに任命。
テストがてら、地球にやってきた火星人確保の任務を受けた。
しかし火星人の確保に失敗、更に肝心のシルエットをジェスに奪われ、手ぶらで帰還する羽目になる。

でもこの時点では

>アーモリーワンのG強奪事件でステラ・ルーシェに撃たれ、一命は取り留めるも重体、復讐ナチュラルリストにまた新たな名を書き加えた。

だもんな…

94:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 11:22:12
>>93
そう、それ。
ただその説明に少しばかり訂正を加えると、
奴がシンに対してやったのは嫌がらせなどという生易しいレベルのものでなく、
シンの命を危険に晒すほどのものもあり、
あわよくばシンを亡き者にしてインパルスの正パイロットになろうと目論んでいた。

95:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 12:34:27
事故に見せかけて、テストエリア内にローエングリン砲台仕込んで
時限式でインパルスごとシンを撃ち落そうとしたりしてたもんなぁ(インパルスも落ちるが、アレは換装式なのでパーツがあれば元通りに直せる)。
ありゃ、普通に死ぬだろ。

96:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 13:06:01
っていうか
>>地球にやってきた火星人確保
どういう任務だこれ。

97:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 13:17:42
>>96
火星移民者のことじゃなかったか?

98:機動新世紀ガンダムX DESTINY 第五話
06/07/09 13:35:47

==========================

DXやアシュタロン、それにインパルスやザクといった機体が編隊を組み、ユニウスセブンへと向かっていく

「宇宙ってのは、こうも地上と違うのかよ・・・・。武器はハンマーなんてわけのわからないものだし・・・・
 いまさら文句言っても仕方ねぇけどよ」

ピッ。ぼやいているガロードのコクピットに、ミネルバから通信が入った

『ミネルバ所属のMS各機に通達。応急処置の終わったアビスが、
 作戦行動に参加します。協力体制を取ってください』

「アビスって・・・・オルバが捕まえたアレか・・・・」
ガロードがメインカメラを後方に向けると、確かにこちらへとやってくる水色の機体が見える
アビスはそのまま何事もないかのように編隊に加わった
同時に全MS用の回線で、アビスから通信が入る

『緊急時のため、デュランダル議長のはからいで戦闘に参加することとなった、アレックス・・・・
 いや、アスラン・ザラだ。ただ、建前として名前はアレックスとしてくれ。ミネルバ各機、よろしく頼む』

ふと、編隊の空気がざわついた気がした。ガロードは関心がないが、
アスランという人物はいろいろ艦内でうわさされていた人物である
彼の参戦は、いろいろと問題があるのかもしれなかった

やがてユニウスセブンが近づいてくる。間近でみるとかなり巨大で、これを本当に破壊できるのかと思うほどだ
ちらほらと見える閃光が、そこで行われている戦闘の激しさを物語っている


99:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:36:49

バシュゥゥン! バシュゥゥン!

「・・・・・・ッ!」
上から突如飛来したビーム砲を、DXはどうにか避ける
カメラをそちらに向けると、こちらへ向かってくる二機のガンダム、
カオス、ガイアの姿が見えた

『あいつら・・・! 俺のインパルスとオルバのアシュタロンであいつらの相手をする! 
 他の機体はユニウスセブンに先行してくれ!』

シンの通信が聞こえた。宇宙での戦闘に自信がない以上、
それに文句はつけられない

『ガロード。僕はあいつらの相手をするけど、おかしな考えは起こすんじゃないよ?
 そう・・・・お互いのためにね』
いきなりオルバから通信が入る
「俺がどうしようと勝手だろうが! さっさと行けよ!」

ドシュゥ!

アシュタロンとフォースインパルスが、スラスターを吹かしてカオス、ガイアに向かっていく
ガイアは修理したのか、ガロードが傷つけた痕跡はほとんどなくなっていた

DX、アビス、ザクなどはそのままユニウスセブンへと向かっていった

==========================

100:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:37:40

==========================

「オルバ! インパルスはガイアの相手をする! おまえはカオスを!」

アシュタロンとの通信を開き、シンは叫ぶ。シンにとってオルバは、
ほとんどわからない存在だった。エリートパイロットの証、赤服を着ているものの、
そこまで優秀な成績を残したのならば士官学校で名前ぐらいは聞くはずだった
だがオルバは降ってわいたようにミネルバにあらわれ、
インパルスと同時期に建造されたと言われるアシュタロンの専属パイロットとなっている
ただ、これまであまり積極的に戦おうとしないので、腕を見ておきたいという気分が
シンのどこかにあった

『フン・・・・わかったよ』
オルバは気乗りしないような声だったが、シンは無視してガイアに狙いを定める

「この泥棒野郎がぁぁー!」

フォースインパルスのライフル構え、乱射。ガイア、シールド、防ぐ。敵、ビームサーベルを抜く
インパルスもサーベルを抜き、構える。盾を前に押し出した体勢で、突撃
ガイア。斬りかかってくる。盾、防ぐ。同時に、サーベルを叩きつける
ガイア、同様に盾で防ぐ

『うぅぅ・・・・!』
MS同士が接触すると、なにかの拍子にパイロットの声が聞こえることがある
その声が、インパルスに伝わった

「ガイアに乗ってるのは女かよ・・・・でも、容赦は!!」

インパルスの胸部に備え付けられたバルカンを放つ
VPS装甲の相手にダメージは与えられないが、けん制にはなる

「容赦は、しないッ!」
ビームサーベル。狙うはガイアの胸部。

ガシャン!

ガイアは突如、犬の形態に変形してその攻撃を避けた

「ちぃ!」

シンは舌打ちして、インパルスの体勢を立て直した

==========================


101:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:38:41

==========================

最新鋭機であるカオスガンダムに乗り、また『特殊な措置』を施されることで
コーディネーターを上回るとも言われる能力を持ったパイロット、
スティングはたった一機のMSに劣勢を強いられていた

「アウルをやった、カニか! ・・・・・速いッ!」

敵のMS、アシュタロンは変形し、いきなり肉薄してくる

「ぐっ!」

反射的にカオスはビームを放ち、同時に変形しようとすることで間合いを取ろうとする
が、

ガシャアアン!

ガイアが横っ飛びに吹っ飛んだ。いつの間にか後ろに回ったアシュタロンが、
クローでガイアを殴りつけると同時にビームを発射したのだ
致命傷ではないが、右腕が吹っ飛んだ

それでもスティングは懸命にビームを放ち、防戦につとめた
アシュタロンはそれでもじわり、じわりとカオスにダメージを与えていく

「動きが・・・・! バカな、ついていけない・・・・! この俺が・・・!?」

『フッ・・・・コーディネーターとか、いろいろこの世界も人間をいじってるようだけど・・・・
 僕ら選ばれた人間と、君たちの差はこれぐらいあるということさ』

余裕なのか、カオスの通信回線にオルバの声が入ってくる
スティングは挑発に答える余裕はなく、黙ってカオスのビームサーベルを抜いた

==========================

102:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:39:51

==========================

「工作隊の半数がすでに撃破されただと・・・・ちぃっ! このままでは丸ごと落ちる!」
謎のMS部隊との戦闘を行っているジュール隊隊長のイザークは、
相手の数にもかかわらず、異様な劣勢に追い込まれていた

その原因は凄まじい機動で迫る黒いガンダム、ブリッツにあった
性能はイザークやディアッカの乗るザクに劣るはずだが、
ブリッツは、ジュール隊をたった一機で圧倒するほどの戦闘能力を見せていた

『ククク・・・ほらほらァ・・・どうしたんですか、イザーク、ディアッカ!
 前の戦争に比べて、動きが悪くなったんじゃないですか!』

通信から声が入ってくる。それは前大戦で共に戦った仲間であり、
悲劇的な最後を迎えたザフトのパイロット、ニコル・アマルフィだった

ニコルは優しく、穏やかな少年だった。趣味はピアノであり、休暇中にコンサートを開いたこともある
イザークは好戦的な性格であり、生前のニコルを軽く見ていたが、友情を感じていないわけではなかった
それに今では時折、ニコルの優しい性格も悪くなかったと、思うこともある
だがこの通信から聞こえる不愉快な声はなんだ
以前のニコルとは想像もできないほど、異常な言葉遣いだった

「ニコル・・・・・なぜ貴様が生きているッ! おまえはストライクにやられたはず・・・・ッ!」
『イザーク・・・・フフフ・・・死神と神様に同時に嫌われちゃったみたいでしてねぇ・・・・
 こうやって醜く無様に生きてるんですよぉぉぉ!』

いきなりイザーク機のサブモニターが切り替わり、ブリッツのコクピットが映し出される
そこにいたのは・・・・一言で言うなら、『ミイラ男』だった。ザフトの赤服を着ているが、
肌が露出しているはずの部分はすべて包帯で覆われている
顔まで包帯で覆われ、唯一露出している両目は、まるで人ではないもののように光っていた

「ニコル・・・・!? その姿は・・・・・」
『あははははは、ショックですかぁ? ショックですかぁ、イザァァァクゥゥゥゥゥッ!!!』


103:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:40:52

フォン・・・・ブリッツはいきなり姿を消すと、次の瞬間にはもうイザーク機の目の前に立って

ザシュゥ!

その両足をビームサーベルで斬り落とした

「ぐぉ・・・・!」
『どうですか、イザーク。ブリッツカスタムの性能は・・・・? 外装、武装に装甲はほとんど変わってませんけどね、
 出力を向上させ、ミラージュコロイドの欠点をいくらか解消しただけでこんなに強くなるんですよ・・・・
 以前のブリッツは姿を消すと大幅に行動が制限されましたけど、
 このブリッツカスタムのミラージュコロイドは、攻撃の直前まで姿を消せるんですよ・・・・。』

ドゥン、ドゥン!

止めを刺そうとしたブリッツに、ビームの雨が降り注ぐ

『ニコル! おまえ、正気か!? うちの隊長をやらせはしねぇッ!』
『うふぅ・・・うふふふっふふふふ、ディアッカ、あなたも遊んでくれるんですかぁ? 
 これでアスランがいれば、かつてのクルーゼ隊集合ですね。派手に同窓会といきましょうよぉぉぉ!!』

飛来したディアッカのザクを確認すると、ブリッツはまたしても姿を消した

ザシュゥ、ザシュゥ!

次の瞬間、ディアッカ機の背後に出現し、あっという間にその両腕を斬り落とす

ブォォォォォォン!!

瞬間、凄まじいうなりをあげて『なにか』がブリッツの鼻先をかすめていった
その正体が鉄球だとイザークが気づくのに、数瞬の時が必要だった

==========================

104:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:42:04

==========================

ルナやレイのザクは謎のジン部隊迎撃に向かい、DXとアビスは凄まじい動きを見せるブリッツに当たることになった

「くそ、外した!」

ガロードはDXのコクピットで痛恨の叫び声をあげる。
慣れないGハンマー、初めての宇宙戦ということを差し引いても、
必殺の間合いと距離で外したのだ
『ガロード、なにやってる! 武器のセーフティを解除するんだ!』

アスランが苛立ちと共に通信を入れてきた
「セーフティ?」
『Gハンマーにはブースターとビームが内臓されている! ブースターはある程度敵を自動で狙ってくれるし、
 フェイズシフト対策で鉄球部分を、ビームでシールドのように覆うこともできる!』
「そういうことは早く言えよなぁ!」
『セーフティ解除は、士官学校で教わることだろう! ・・・・・・来る!』
「わ、ちょ、待っ・・・・!」

ブリッツが姿を消した。一瞬、なにごとかとガロードは混乱する
『ガロード! ブリッツはミラージュコロイドという特殊兵装を装備している!
 MSを透明人間にする兵器だと考えればいい・・・・目に頼るなよ!
 避けるときは思いっきり逃げろ!』

アスランの声を受けたガロードは、
細かい機動は無視して、遮二無二DXのスラスターを吹かした

(くそ、なれない宇宙だってのに・・・・・!)

ヒュゥン! 肉薄してきたブリッツのサーベルが、DXの装甲をかすめる

(ユニウスセブンに半端な重力が残ってて・・・・戦いにくい・・・!)

『どうしたんですか、新型のパイロット! 動きが悪いですよぉ!』
なにを考えているのか、ブリッツのパイロットが戦闘中に通信を入れてくる
ガロードはその非常識な行動に、薄気味悪さを感じた

『ニコル・・! やっぱりおまえなのか! ニコル!』
アスランが会話に割り込んでくる
『フフ・・・アスラン。会いたかったですよ!』
『なぜ破砕作業の邪魔をする!? もう戦争は終わったんだ! こんなものを落として、平和を乱すことは無いッ!』
『そうですよねぇ、父親を裏切って、自分の身分まで捨てて、たくさんの人を殺して、不幸をばらまいてッ!
 それであなたが作り上げた平和ですからねぇッ!! 大切な大切なものでしょうよ!』

105:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:43:19

『ニコル・・・! なら、邪魔をするなッ! なにがあったか知らないが、おまえは生きてるんだろう!
 俺はそれだけでも・・・・ッ!』
『黙ってくださいよぉ、アスラン・ザラァ・・・! 貴様に・・・・貴様に僕の気持ちがわかるかぁ・・・・
 内臓のほとんどを取り替え、皮膚も髪の毛も焼けただれ、人ではない化け物に成り果てた、
 無様なミイラ男の怨念がぁぁぁぁッ!』
『なっ・・・・その姿・・・!?』
アスランの驚愕と時を同じくして、DXのサブモニタにもブリッツのコクピットが映し出される
怪談やホラー映画に出てくる、不気味なミイラ男そのものがMSの操縦を行っていた
『あの八つ裂きにしても飽き足らないキラ・ヤマトの攻撃から、かろうじて一命を取り留めたのはいいんですけどね・・・
 見てください、この姿。道行く人は異様の目で僕を見つめてきて、子供には化け物と石を投げられるんですよ・・・・。
 看護婦や医者でさえ、僕の姿に顔をしかめ、それでも日常生活を送ることすら一人でままならないッ!
 挙句の果てに生殖器まで失って、子供や女とも縁が無くなった・・・・・
 フフッ・・・・言語に尽くせない惨めさの中にいる僕の気持ちは・・・・・
 人に不幸をばらまくことで表現するしかないみたいですねぇ・・・・』
『ニコル・・・・八つ当たりでユニウスセブンを落とす気か! 
 そんなことはよせ! まるでラウ・ル・クルーゼの亡霊じゃないか!』
『クルーゼぇ!? たかが短命を宿命づけられたぐらいで世界を恨んだ男の怨念と、
 人でなくなるという闇の中で生きている僕の怨念、一緒にしないで欲しいですねぇ・・・ッ!』
『クッ・・・・!』

ガシャン、ガシャン、ガシャァァン!

ブリッツのビームサーベルは、ニコルの狂気に呼応するかのように、どんどん激しさを増していく
最新鋭機アビスに乗るアスランだったが、かろうじてスピアでそれを防ぐという無様さだった

『コーディネーターとか、ナチュラルとか、そういう差別がどれほど些細なものだったのか、
 この姿になってようやく理解できましたよ・・・・
 コーディネーターとナチュラルは同じ人間ですけど・・・化け物を人間は・・・・
 その姿だけで恐れ! 忌み! 嫌いますからねぇぇぇぇッ!』
『ニコル・・・やめろ! ニコルがそんなことを言うんじゃないッ!』
『裏切って殺して築いた平和、化け物から護ってみせてくださいよアスラァァンッ!!』


106:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:44:29

DXはどうにか攻撃の機会をうかがっていたが、かなりアビスとブリッツが接近しているので、
うかつに手を出せない。ましてや武器がなれないハンマーとあってはなおさらだ

『ガロード! ブリッツは俺が抑える! おまえは破砕作業を行え! 工作隊はほとんど壊滅してるんだ!』
「アスラン・・・・でも、あんたやられそうじゃねぇか!」
『ここは年上の意見に従えッ! ユニウスセブンをこのまま地球に落とす気かッ!!』
「―――ッ! わかったよッ!」

激戦を行うブリッツとアビスを無視して、ガロードは一番手近に設置してある大型ドリル、『メテオブレイカー』の横に向かう
「こいつは・・・・よし、電源を入れるだけでいいみたいだな」
DXを操作して、メテオブレイカーを起動させる。

ぎゅぉぉぉぉぉん・・・・

ドリルが起動し、地面を掘り進んでいった。しかしそれではまだ、ユニウスセブンにたいした変化は起きない 
作業がブリッツのおかげでほとんど進められておらず、
工作隊のMSはほとんど、『メテオブレイカー』のかたわらで無残な姿をさらしていた

「工作隊はほとんどやられたのかよ・・・・」
幸い、メテオブレイカーはいくつか生きている 
DXで全部それを操作するつもりで、やった方がいいとガロードは考えた
「邪魔だぁ!」

ガシャン! バキッ、ドカッ!!

不安定な岩場をGハンマーで砕き、
傾いたりしてきちんと設置されていない『メテオブレイカー』を安定させ、起動させる

(この武器も意外に悪くねぇや)

最初はバスターライフルなどに比べ、原始的な上に扱いづらい印象があったが、
セーフティを解除してブースターと鉄球のビームを展開させると、なかなかの使い勝手を見せてくれていた
二機目の『メテオブレイカー』を起動させ、次に行こうとしたとき、不意に物音が止んだ

ガロードが見上げると、アビスがその動きを止めていたのだった

==========================


107:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:45:34

==========================

「うかつだったな・・・・」
アビスの中でアスランは歯噛みした。両腕はホールドアップの体勢を取っており、
こめかみには銃が突きつけられている
「かっこいいやり方じゃないけどね。ハッ、これでバスの時間には間に合うかな!」
「潜入してたのか、アビスのパイロット。いつの間に脱走を・・・・」
アスランが横目で見る。そこには水色の髪の、少し容姿のおかしな少年がいた
オルバがいなければ、アビスのパイロットをやっているはずの男、アウルだった
「無茶な任務をやる以上、体に爆薬ぐらい埋め込んでおくもんさ。いろいろおまえらんとこも、
 混乱してたみたいだったし、アビスに隠れるのも難しくなかったぜ」
「普通の人間に耐えられることじゃないぞ、それは。体になにかされているな、おまえ」
「うるさい! さぁ、とっととコクピットから出てけよ、英雄さん!」
「・・・・・・。」
アスランは少しコクピットを確認した。通信はオンになっている
外部のMSには、今の状況が漏れているはずだ

『ククク、なにやら騒がしいみたいですけどねぇ・・・・。
 僕の知ったことではないのでね、とりあえず死んでもらいましょうか、アスランッ!』
心まで化け物となったニコルが、ブリッツのサーベルで一直線にコクピットを狙ってくる
「ちぃっ!」
アスランはアウルに構わず操縦桿をとった。
アビスは急制動し、コクピットへのサーベル直撃は避けられたものの、

ドジュウウ・・・・・

わき腹の部分を焼かれてしまう
「これぐらいの損害!」
「おい、動くなと言ってんだろうが!」
「なら、コクピットで一緒に死ねばよかったのか! うかつな動きを見せれば、ニコルにやられるぞ!
 おまえの要求は後だ! 今は静かにしていろ!」
アスランは叫んだものの、わき腹への一撃は動力系に損害を及ぼしているようで、
どんどんアビスの出力が下がっていっていく
『ひゃははははは、なぶり殺しもいいんですけどね!』

108:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:46:22
ブリッツがレーザーを放つ

ドゥン、ドゥン、ドゥン!

「うぁ・・・!」
そのすべてがアビスに命中し、ダメージはかなり深刻なものとなった
コクピットはぱちぱちとショートを始め、いくらかのモニタが死んでいく
『スケジュールがつかえているので、ここで終わってもらいましょう! 僕が助けたアナタの命を、
 僕が奪うというのも・・・・・・・!』

どごっ! ブリッツの左腕から、ワイヤーつきのクローが放たれ、アビスの肩に命中した

『乙というものでしょう!』

クローによって動けなくなったアビスに、ブリッツのビームサーベルが迫る!

ドドドドドドドドッ!

瞬間、ブリッツめがけてビームガトリングの嵐が飛んできた。
『アスラン、なにをやっているこのキョシヌケがぁ!』
「イザークッ!?」
弾丸の主は、両足を失っているイザークのザクから放たれたものだった
機動性を失ったザクは地面に転がり、かろうじて体勢を保っている状態で、両肩のガトリング砲を乱射している

『イザーク・・・・僕の楽しみを邪魔しないでくださいよぉぉぉッ!』
ブリッツが方向を転換し盾を展開すると、弾丸の雨の中をザクへ向かって突っ切っていく
「イザーク!」
アスランが叫んだ。イザークの死は必定と思われた

ドォォォォンッ!

しかし無力化したザクを破壊せんとしたブリッツの前方に、巨大な鉄球が叩き込まれる
地面をえぐったそれは、もうもうと土煙をあげていた

一機のMSが立ちふさがる。ガンダムダブルエックスだった


        つづく

==========================


109:X運命 『もう戦争は終わったんだ!』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/09 13:53:33
※訂正

>>104-105の間にこれを

ガシュン、ガシィィィ!

ブリッツのサーベルと、アビスのビームランスが何度も何度もぶつかり合う



110:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 13:56:21
乙!
しかしなるほど、ニコルが生き残ったのはそんな訳だったのか。
でもあの状態で生き残れるならトールやアイシャも生きてても不思議じゃないな。
そしてアスランのこれはまさか拉致られフラグ!?

111:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 15:14:57
ニコルの惨状にアスランはかなり動揺・自省させられそうだが、
キラクスのつがいにゃどうせ蛙のツラにションベンなんだろうなあ。

112:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 16:02:58
細かいツッコミだが
コーディネーターじゃなくてコーディネイターだぞ

113:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 16:21:31
>このキョシヌケがぁ!

間違いなくハードでシリアスな話なはずなのに、その中に一服の清涼剤代わりの笑いがあってよかったw
ストーリー展開も面白いので続きを楽しみにしてるよノシ

114:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 17:38:19
>>110
つうか、アイシャって小説版ASTRAYだと普通に虎と一緒に生きてんだけど
なぜか本編では死んだことにされていた

115:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 18:00:45
まぁ、嫁だし

116:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 18:09:04
>>114
嘘はよくない
小説版ASTRAYに虎は出てこないぞ

117:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 18:21:17
>>116
つ角川小説版ASTRAY≠小説版ASTRAY全体
電ホとかMSVのもASTRAY小説に入れる奴だっている。

118:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 18:22:02
ちょっとばかり遅れたが乙

さりげにキラの名前は初出かな?
情報の少ないガロードだから、キラ=ニコルの惨状の原因とインプットされちゃうかもしれん。

119:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 18:27:03
>>117
それ込みでもアイシャがちゃんと生きてるなんて描写はない
漫画版でロウがダコスタを助けた時に守ってたカプセルが2つあり、
その一つに虎が入ってたってのはあるけど

120:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 18:29:03
後、エースの無印アストレイ漫画の後ろにあったコラムで
プロフェッサーがアイシャ生きてるって明言しとったよな。

121:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 19:50:05
まあどっちでもよいわさ、
ここの職人諸氏なら生存説採ろうが死亡説採ろうが腐災のゴミより
納得のいく噺に仕上げてくれらぁね。

122:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 20:07:47
あ~あ、オナスレに堕ちたか・・・

123:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 20:21:33
嫁乙。
死ね

124:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 20:52:21
しかしスペック比べたら、ブリッツカスタムはアビスに大きく劣るんだろ?

ニコルつえぇぇな

125:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 21:03:58
出力とかミラコロ改造したって言っているだろ・・・

126:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 21:22:57
ブリッツガンダムの本編ではロクに使われてなかった特性をフルに活かした戦法・戦術で
アビスという最新鋭機を撹乱する事が出来たニコルの使い方がいいんだよ。

……っつうか、死にかけてようやくブリッツの本当の使い方がわかったのね、、、、、
でも、強化ブリッツって、まるでNダガーNみてぇ。

127:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 21:23:05
ふと気になったんだけど、GXは公式設定で、
サテライトシステムに収納してのライフルの携行が可能だけどさ、

DXは専用バスターライフルの携行可能なんかな?


128:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 21:28:03
分からん
漫画では最初から持っていたし
アニメはキッドが調達したものだし

129:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 22:25:24
そうだよなあ、ニコルからすれば凸って最高に許せん奴だよなあ
なにせ凸を守るためにキラにやられたのに、当の凸本人はそのキラと何事もなかったようにヨロシクやってんだからな
よしいいぞニコル徹底的にやれ!

130: ◆AWGx990A9U
06/07/09 22:25:44
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)

彡 サッ

131:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 22:34:15
>>129
>キラとヨロシク

アッー!!

132:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 22:40:50
このニコルには、ムネオに代わって仮面かぶってもらいたいぐらいだw
種には馬鹿や電波は山ほどいるが、怨念や狂気を感じさせるキャラが全然いない

133:通常の名無しさんの3倍
06/07/09 23:41:39
ゾンビニコル…
なんかこのネタと台詞、覚えがあるな。
気のせい?

134:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 00:15:35
案外scout00XXとかいうニコルとしての名前と記憶を与えられだ別人じゃないかと思うのだが…

135:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 01:51:14
◆AWGx990A9U氏も乙!
で、それ見てて思ったんだが、
とばされた時点の状況を考えるとDXがライフル持っててもおかしくない、
というかむしろ持ってないとおかしいはずなんだが・・・
まあアシュタロンやDXのデータから作れないこともないと思うからあまり気にすることでもないのかも試練。

136:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 02:42:09
DX専用ライフルはキッドが0から作ったものかDXのデータからおこしたものか不明なので
後者ということにすれば同じようなものは作れる

137:機動新世紀ガンダムX DESTINY 第六話
06/07/10 16:21:46

第六話 『嵐が、来るのですね』

==========================

DXからのほとんど一方的とも言える通信が打ち切られたとき、
にわかにミネルバのブリッジは騒然となった

ガロードの要求はそれほど無茶で、異様で、そのくせどこかこっけいだった

「艦長、どうしますか?」
通信士メイリンが切羽詰った顔で、艦長のタリアを見つめる
モニタに映ったユニウスセブンは大気圏への突入が近い
MSの活動も限界に差し掛かるころだった

タリアは少し頭を押さえた。すでに破砕作業は無理になってきている
謎のジン部隊だけならまだしも、ブリッツの出現で工作隊はほとんど壊滅
自由に動けるのがDX一機だけとあっては、破砕作業は失敗したも同然だ
「議長・・・・。説明はいただけるんでしょうね?」
タリアは振り返り、後方で悠然と待機しているデュランダルを見つめた
この男の狼狽するところを、タリアは見たことが無い
「説明、とはどういうことだね?」
「DXとアシュタロンは私ですらよく知らない、きわめて特殊なMSです
 しかしこの二機が議長の直属である以上、議長はこのMSについて
 情報をお持ちなのでしょう? ガロード・ランの言葉、どういうことでしょうか?」
「ふむ・・・・。タリア、今はなにも言わず、ガロードの言うとおりにしてくれないか?」
「しかしエネルギーを・・・・それも艦隊を動かせるほどの、莫大なエネルギーを、
 急にDXに用意しろと言われても、できるものではありません」
「わずかずつでもいい。周辺のザフト艦にも要請して、とにかくかき集めるだけかき集めよう
 それにユニウスセブン内にも、生きたエネルギーが残ってるかもしれない」
「わかりました・・・・・」


138:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:22:53

タリアは憂い顔のまま、メイリンに視線を移す
「ありったけのバッテリーを出せって、ジュール隊に支援を要請して頂戴
 それから、ルナマリア機とレイ機にユニウスセブンの動力炉を調査させ、
 エネルギーが残っていたらDXにまわさせるのよ。後、シンのインパルスをDXに合流させなさい
 活動限界高度まで時間が無いわ、急いで」
「はい!」
メイリンが緊急回線を開き、支援を要請する。

それを見届けるとタリアは、デュランダルとその隣に座っているカガリとを交互に見た
「議長、なんであれこの作戦は緊急のもので、時間もほとんどありません
 おそらく、大気圏ぎりぎりまで行われるでしょう。そうなればMSは地球の引力に負け、危険な状態となります
 ミネルバは所属のMSを回収するため、このまま大気圏へ突入します」

ざわっ・・・・。
ブリッジがまたざわついた。アーモリーワンから緊急発進して、
いきなり実戦をやっていることだけでも大変なことなのに、この上地球に降りるとまでは
考えていない人間が大半だったのだ。それに大気圏突入をからめた作戦は、危険がつきまとうのが常だった
「それゆえこんな状況下に申し訳ありませんが、
 議長方はボルテールにお移りし、この艦より脱出していただけませんか?」
「タリア・・・・」
「なんであれ、四機のガンダムを失うわけにはいきません。それに・・・これでも私は運の強い女です
 お任せください」
「わかった、すまないタリア。ありがとう」
「いえ。デュランダル議長もお急ぎ下さい」
「ではカガリ代表も・・・・・」
デュランダルが席を立ち、カガリに同行をうながした

「私はここに残る」
「「え?」」
カガリのその声に、デュランダルもタリアも驚いた
「アスランがまだ戻らない。それに、ユニウスセブンの結末を、私もこの眼で見届けねばらない!」
「代表がそうお望みでしたらお止めはしませんよ。頼む、タリア」
「はぁ・・・・。わかりました議長」
タリアは少しあいまいにうなづいた。それを見届けたデュランダルはは、ブリッジを降りていく

==========================

139:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:23:57

==========================

謎のジン部隊をあらかた撃破したルナマリアとレイのザクは、
地球へ徐々に引かれていくユニウスセブンの大地を飛んでいた

「ったく! 生きてるエネルギーを見つけろって言われたって・・・!」
コクピットの中でルナマリアが苛立ちを言葉にする
『仕方ない。ぎりぎりまで探すぞ』
なだめるようなレイの声が、通信で入った
「レイ、仮にエネルギー見つけたとしても、バッテリーはどうすんのよ」
『ジュール隊もこちらにありったけのバッテリーを持って急行している。それにまわせば問題ない
 それより破砕作業をどうするか、それが気になる』
「工作隊がほとんどやられたって本当なの?」
『・・・・・・確認はしてないが、急な命令変更を考えると、事実だろうな』
「まったく、ガンダム四機も投入して・・・・なんて無様!」
『よせ。新型のザクに乗っていながら、ジンに苦戦した俺たちも悪い』

そんなやり取りをしながら、
二機のザクはかつてユニウスセブンへエネルギー供給を行っていた場所にたどり着く
操作パネルの存在を確認すると、ルナマリアだけが地上に降り立ち、
パネルを叩いて反応を調べた

「あ・・・・・、これ、ちょっとだけど生きてるみたい。レイ、ジュール隊に連絡とってよ!」
『わかった。それにしてもこれだけのエネルギー、なんに使うのだろうな』

==========================


140:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:25:02

==========================

時間を稼ぐとか、援軍を期待するとか、そういう半端な気持ちで勝てる相手ではないことは、
対峙した瞬間にわかった

ガロード・ランは十五才であるが、
くぐり抜けてきた修羅場の凄まじさは並の軍人と比べられるレベルではない
その経験が、目の前のブリッツを尋常ではない強敵と認めていた

『ガロード、なぜ戻ってきた! ガロード!』
アスランから通信が入ってくる。アビスはすでに半壊状態だが、通信は生きているようだ
「だからって、ほっとけねぇだろうが!」
『ユニウスセブンをそのまま落とす気か!』
「心配いらねぇ、なんとかならぁ!!」
『なッ・・・・真面目に答え・・・・』
「あんたちょっと黙ってろ!」
ガロードは一方的に通信を打ち切ると、ブリッツを見据えた

『やれやれ、確認しただけで合計6機の新型ガンダムとは、ザフトも相変わらず戦争が好きですねぇ』
また、耳障りなミイラ男の声が、通信で入ってくる
「ザフトだかアフロだか知らねぇ・・・・あんたに昔、なにがあったかも興味はねぇ・・・・
 でもこれだけは確かだ。無敵のガンダムDXは負けねぇ! さぁ、妖怪退治だこの野郎ッ!」

フィン・・・・・また、ブリッツが姿を消す。ガロードはすぐさまDXの胸部にある、ブレストランチャーを開放した

ドドドドドドドッ!

実弾の雨。フェイズシフトという存在を理解したガロードが、ダメージを与えるためにそれを発射したわけではない
位置特定のためだ

「そこっ・・・・!」

何も無い場所での、実弾の不自然な屈折確認。ハンマーを構え、投げる。手ごたえなし

『遅すぎますよ、DXとやらぁッ!』

ドゴォ! 

突如右側に出現したブリッツ。不意を突かれたDXはサーベルの一撃を側面から受け、思いっきり吹っ飛ぶ

「う・・・・ッ!」
ガロードは衝撃でコクピットシートに叩きつけられながら、ブリッツをにらんだ
(俺が宇宙に慣れてないこと差し引いても、速い・・・! でも・・・・・!)
即座に損害をチェックしたが、ビームサーベルを至近距離から受けたにしてはダメージが少ない
機動性とステルスに特化して攻撃力を削った機体であると、ガロードは考えた


141:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:25:55

ガロードは知らない。驚いたのはニコルの方である。今のは必殺だった

この世界の装甲は、純然たる装甲としては貧弱だった
だからVPSやフェイズシフトといった装甲の特殊技術が発達したのだ
ブリッツの攻撃力がないのではなく、DXの装甲『ルナ・チタニウム』が、
この世界では異端の能力を持っているがゆえに、
必殺の間合いにもかかわらず軽傷で済んだことを、まだガロードは理解できていなかった

ドカッ、ガキッ!

二撃、さらにまともにビームサーベルを受けた。軽傷だがブリッツがまた姿を消し、気配も消す
「クソッ、攻撃力が低いのはともかく、このまんまじゃなぶり殺しだぜ・・・・うっ!」

バキッ!

姿を消し、またも唐突に上空に現れたブリッツが、DXの顔をサーベルで打つ。
そしてまた、姿を消す。ハンマーを振り回すが、スカをくうだけだ

「こうなりゃ、これでどうだぁ!」

ぐぉん・・・・ぐぉんぐぉんぐぉんぐぉん・・・・

DXが頭上でGハンマーを振り回し、大きく回転させる
『ひひひひひひ、アホが乗ってるみたいですねぇ、この新型はッ!』
これによって確かにDXに頭上から攻撃はかけられないが、当然、側面はがらあきになった

『なぶり殺しだぁアアハハハハハ!』

ドゥン、ドゥン!

姿を見せたブリッツが、ぎりぎりの距離からレーザーを二発見舞った
直撃したが、DXの装甲は持ちこたえている
そしてまたブリッツは姿を消す


142:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:27:00

「DX! 俺、おまえを信じてるぜ! Gハンマー、オート追尾機能停止! バーニア最大出力!」

DXの頭上で回転するGハンマーが、バーニアを噴射し、まるで竜巻でも作り上げんばかりにうなりをあげる

ぎゅぅぅぅぅぅぉおおおおおおおおお!!

その回転が人の目に映らなくなるほどになった瞬間!

「おらぁぁぁッ!! ビーム全開ッ! いっけぇぇーーーッ」

DXは、ビームで包んだ鉄球を地面にたたきつけた。

ドゴォ! バゴォ! ドガッ!

凄まじい勢いでバーニアを吹かしているせいで、鉄球は叩きつけても勢いを失うことなく回転を止めない
そのまま何度もハンマーを床に叩きつける。ゆえに、DXの周辺はたちまち土くれや岩が凄い勢いで崩れ、
とびあがり、霧のようにたちこめ、目の前さえ満足に見えないほどになった

そこで、岩の雨とと土煙の中、不自然にゆがむ空間が見える

「そこだッ! 食らえ! 大回転Gハンマぁぁぁーッ!」
回転の勢いを止めず、DXは跳ね、凄まじい勢いのハンマーを空間へと叩き込んだッ!

バキィッ!

空間の歪みが消える。同時に、胴から離れるブリッツの頭部、姿を見せる黒い機体
見事にGハンマーは、ブリッツの顔面を吹っ飛ばしていた
「これでメインカメラはもう使えねぇ! チェックメイトだ、ミイラ野郎!」
『うぐっ・・・・こんな戦い方にぃ・・・・ッ! ・・・・フッ、まぁいいでしょう・・・・
 ユニウスセブンの破砕を阻止したことで、ひとまず僕の役目は果たしてますからね』
「へっ・・・負け惜しみィ!」
『ガロードとか呼ばれてましたね。覚えておきますよォ・・・その名前・・・・・」

フッ・・・・ブリッツがその姿を消した。
「あっ、くそ! 逃げたぁ!?」
うかつだった。どうやら頭部を失っても、姿は消せるようだ

(さて、大仕事だぜ・・・・)

ガロードは乾いた唇をちろりとなめた

==========================

143:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:27:58

==========================

アスランは開いた口がふさがらなかった。ガロードの戦法はそれほど無茶苦茶だった
(本当にコーディネイターなのか、あの少年?)
思わずそう思ったほどだ
(そういえば最初に会ったとき、おかしなことを言ってたな・・・・ザフトではないと・・・・)

コーディネイターはその優秀さゆえに、戦い方はほとんど正攻法だった
正攻法が一番強く、効果的とはよく言われる言葉である
コーディネイターはそれを体現し、それゆえ先の大戦では数に勝る連合相手に、
正攻法の強さで互角以上の戦いを行うことができたのだ

そしてキラ・ヤマトもアスラン・ザラも、単純な正攻法で戦い、
そのやり方は連合やザフトを圧倒するほど、極端に強かった

だがガロードのやり方は明らかに違う
勝つために考え、工夫し、新たな戦法をその場で生み出すという戦い方である
それは到底、コーディネイターのやり方ではなかった

「戦いは終わったが・・・・機体の出力は低下し、危険な状態だ。それでもおまえは、アビスが欲しいのか?」
「うるせぇ・・・・! さっさと出ろよ!」
アスランの後ろで、アウルがわめく。銃はこめかみに突きつけたままだ。
コクピットはショートを繰り返し、煙がかすかに吹き出ている。かなり危険な状態だった
「で、なぜ俺を撃たない?」
「はぁ? 死にたいのかよ、アンタ」
「単純にアビスのコクピットを奪いたいのなら、俺を脅すよりも、さっさと死体にした方が効果的だ
 なのにおまえは、俺を脅すだけ・・・・・大方、脱走したとき手に入れた銃が、弾なしだったんだろう?」
「う・・・・・・ッ!」
アウルがひるんだ。そう思った瞬間、アスランは肘撃ちを腹へと叩き込む!

「こっ・・・!」
「ふんっ! せいっ!」

バキ、ズッ!

続いて裏拳を鼻に、手刀を喉へ。鼻血を噴き出し、アウルは気を失った


144:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:29:36

「さて・・・」アスランは気絶したアウルをそのままに、コクピットハッチを開ける「議長には
 恩を仇で返すことになるかな・・・。この新型は、もうダメだ」
ブリッツによるアビスのダメージは深刻で、このままでは爆発の可能性が大きい
仮に爆発しなくても、地球へと落下するユニウスセブンに放置しては、回収することもできない

「ニコル・・・・。おまえは、俺を助けてくれたのに・・・・・あんな・・・・。
 ・・・・・・・俺のせいなんだろうか・・・俺が・・・・・でも生きていた・・・。生きていたんだ、ニコルは」

アスランが見回すと、一機の赤いザクがこちらに向かって来た
アスランは非常灯で円を描き、存在を知らせる

アビスの前でザクのコクピットが開き、ルナマリアがこちらに来るよう手招きしている

「アビスをダメにしちゃったんですか?
 久しぶりの実戦なのに、いいとこナシでしたね。ミネルバに帰艦します」
コクピットにある非常用の椅子に座ったアスランへ、ルナマリアがからかうように声をかけてくる
「言い訳はしないさ・・・・・。いろんな人に、合わせる顔がないけどな」
「まぁ、かなり強いMS相手でしたから、それほどとがめられはしないと思いますけど・・・・
 ジュール隊も生存者はほとんど救出されました。ディアッカ、イザーク、両名も無事です
 アスランさんの戦友・・・・・でしたよね?」
「ああ、かけがえの無い戦友だ。でも戦場を生き延びた人間は、
 生きていればそれでいいって、思えるものでもないのかもな」
「はい?」
「いや、なんでもない。それより、ユニウスセブンはどうなる? 
 こうなれば地球からのミサイル攻撃で破砕するしか手段はないと思うんだが」
「それがですね・・・・・。なんか、ガロードがおかしなこと言い出して・・・・」

==========================


145:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:30:44

==========================

ザザーン・・・・・ザザーン・・・・・

静かな海だった。夕焼けに染まるその海は、砂浜に寄せては返し、
落ち着いた景色を作り出している

遠くには子供たちの声
世界が終わろうとしていることなどしるよしもない

そして、青年は海を見つめている
恋人はその姿を見つめている

ラジオはユニウスセブンの落下が近づいていることを報せ、
しきりにシェルターへの避難を勧めていた

「キラ・・・・・嵐が、来るのですね」
「うん、わかってる。ラクス・・・・」

また、静かな時が流れていく
砂浜は平穏そのもので、迫り来る危機とは無縁のように思えた

「キラ、ラクス、ここにいたのか・・・・」
足音が近づいてきて、やがて長身の男性が二人の前に姿を見せた
「もう動き回ってよろしいのですか? 傷は?」
ラクスが男性に声をかける
「もともと傷はたいしたことなかった。MSの中で記憶を失って、名前ぐらいしか思い出せないのが不安だが・・・
 いや、そんなことはいい。早く二人ともシェルターに入れ
 特にラクスに万一のことがあったら、私が困るのだ。
 ラクスのはげましや優しさは、なにも知らぬ私に、生きる希望をくれたのだからな」
「そんなこと、大げさに考えることはありませんわ。苦しんでいる人を助けるのは当然です、シャギア・フロスト」


        つづく

==========================


146:X運命 『嵐が、来るのですね』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/10 16:33:39
>>130
乙です

修正もしてくれて、助かりましたです、ハイ

147:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 16:57:42
シャギアがキテタアァァァァッ!!!
展開スゴッ!!

148:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 17:39:00
GJ!!
しかし疑問だが何でオルバとシャギアはシンクロ能力を使わないのかな?
使えば生きてると分かるのに・・・

149:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 17:48:34
記憶を失ってるからじゃない?
電話だって相手がとらないとつながらないし

150:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 17:52:35
>「だからって、ほっとけねぇだろうが!」
>「心配いらねぇ、なんとかならぁ!!」
>「あんたちょっと黙ってろ!」
>「ザフトだかアフロだか知らねぇ・・・・あんたに昔、なにがあったかも興味はねぇ・・・・
 でもこれだけは確かだ。無敵のガンダムDXは負けねぇ! さぁ、妖怪退治だこの野郎ッ!」

種ではありえんセリフだなw

151:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 18:06:54
シャギアがラクスの手にあるとは・・・・

まさに「なんとかに刃物」状態?
あるいは、とんでもない「どんでん返し」があるのか!?
目が離せませんね

152:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 18:17:58
乙っ!

兄さんキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!

念の入った演技か、本当に記憶喪失か。
どっちにしろ……恐ろしいことになりそうだな。

153:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 18:20:56
>>149
ツインズシンクロは感応能力だから
記憶があろうがなかろうがお互いの存在は感じられるけどな
シャギアがオルバ庇って意識失った時も痛みは伝わってたし

154:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 18:24:32
まぁ、超能力どうこうはともかく、少し前にオルバが、
兄さんが返事してくれないって泣いてた

155:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 18:25:23
これは・・・ひょっとすると、兄弟対決が実現するのか・・・?

156:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 18:46:07
乙です
アウル…(ノ∀`)

157:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 19:08:40
>>151
>まさに「なんとかに刃物」状態

お前は俺かwww

158:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 19:12:49
乙、それでは感想をば。
ルナにあっさり無視されたアウルテラカワイソス・・・
せっかく戻ってきた乗機を自分の与り知らぬところでスクラップにされたマーレオメガカワイソスww

159:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 20:16:01
スクラップどころか、このままだとアウル共々大気圏突入で燃え尽きちまうぞwww

160:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/07/10 22:46:21
今後少しペース上げないとX運命に飲まれるな…

第二十三話『”Lorelei”の海』

 海は穏やかだった。真夏の日差しが燦々と降り注ぐ中、一隻の艦のクルーたちは各自午後の休息を楽しむ。
自室で昼寝をする者、甲板に出てバレーボールを楽しむ者、甲板の脇でビーチパラソルを広げ読書をする者…。
そんな穏やかな午後のひと時を轟音が打ち壊した。艦底からの激しい衝撃に皆の間に緊張が走る。艦橋ではブリッジクルーの面々が必死に状況把握をしようとクルーからの報告を受けている。
「艦長!! 下からの襲撃です!!」
「オルクか…、な、なにぃ!!?」
艦長が顔を向けた先にはガラス越しに茶色いカラーリングのMSが黄色いモノアイを向けていた。そのMSは右手を艦橋にかざし、内蔵されたビーム砲で艦橋を吹き飛ばす。
 艦の脇からはさらに3機の茶色いMSが艦によじ登り、艦の倉庫らしき場所から多数のコンテナを奪っていった。

 オルクの中には潜水艦を母艦とし活動を続けるものがいる。オルクの総数からすればその数はごくわずかであるが、その少数はオルクの中でも屈指の知名度を誇っていた。
「…まずまずだな。」
潜水艦オルクの艦長マーカス・ガイは自分の乗る黄色い潜水艦を浮上させ、自ら船外に出て今回の略奪収集品の状態を確認した。
外の気温は30度以上あるにもかかわらず黒い長袖の上着に帽子をかぶっている。赤茶けたひげが覆う顔は色白で日焼けとはまったく無縁の生活をしていることをうかがわせた。
 彼が今回略奪行為に使ったMSは”ドーシートⅢ”と呼ばれる機体で、水中用に開発されたドーシートⅠの後継機に当たる。
基本的な構造は変わらないが手のひらに装備されていたビーム砲は1門から2門に、背中のスクリューは小型化された。
「さて、今回のお宝を売りさばいて、と…。」
マーカスが部下たちの強奪している物資を遠目にざっと計算を始めた瞬間、彼の目の前にいきなり巨大な水柱が出現した。海中から巨大な物体が浮上してきたのである。
立ち上った水柱の水が瞬く間に引き、海中から浮上してきた物体の姿があらわになるとほぼ同時にその物体は巨大なはさみで彼を両側からつまんだ。
「せ、船長!!」
物資の強奪を行っていた彼の仲間は突然海中から出現した物体、紫色のMSに砲門を向けるも、マーカスがそれを制した。
現状でこいつに攻撃すれば彼をつまんでいるはさみの付け根に装備されているビーム砲が彼を蒸発させるのは明らかだったからだ。
『賢明な判断です、Mr.マーカス。』
紫色のMSのパイロットが外部スピーカーを通じて話しかけてくる。声の感じからすると青年だろうか、落ち着きの感じられる若い声が海の上に響く。
「ど、どうして俺の名を?」
『仕事を頼みたくて、あなたを探していたんですよ。』
「仕事?」
両手を挙げ、降参のポーズをとったままマーカスは目を丸くした。ただ仕事をするだけであれば探して依頼をすればいいだけの話である。よほどの用件か、それとも単なるこちらの力試しか。
「僕の名前はオルバ・フロスト、普段は丘で商売をしているフリーのMS乗りです。」
 紫色のMSのコックピットで青年は続けた。
細い眉に同じようにすらりと伸びた目じり、眉から流れるようなラインの鼻、よくできた彫像のような顔が彼の不思議な雰囲気をさらに際立たせている。
「仕事とは一体なんだ?」
『端的にいればサルベージ。その海域は…。』
マーカスの問いにオルバの声が一瞬止まる。コックピットにいるオルバを直視することはできないマーカスだが、なぜだが彼にはオルバがにやりと悪意を秘めた笑みを浮かべたように思えた。
「…”Lorelei”の海。」


161:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/07/10 22:49:48
第二十三話『”Lorelei”の海』 (中編)

「何? その”Lorelei”の海って?」
フリーデンの談話室でトニヤは疑問符を浮かべた。仕事も終わり夕食を済ませたクルーの面々は艦内で唯一遊具のあるこの談話室に集まることが多い。
サラとトニヤ、カガリはバーに置いてあるようなカウンターの前に座りカクテルやらジュースやらを飲んでいた。ガロードとティファはその反対側に位置する丸いすに腰掛け、
シンは1人でソファーを占領している。ビリヤード台ではウイッツとロアビィが球を突き合い、居場所が無いのかテクスは壁際に立って本に目を落としていた。
「女の幽霊の出る海域をそう呼んでるんだそうですよ、ここいらを縄張りにするオルクでさえ絶対に近づかないって話です。」
へーっと興味有りげにトニヤはシンの話に耳を傾ける。逆にその話に水をさしたのはビリヤード台で球を突いているウイッツとロアビィだった。
「へ! 幽霊なんているわけねぇだろ…。」
「そうそう、だってあの戦争の後だもん。ホントに幽霊なんかいたら生きてる奴よか数多くなっちゃうんじゃない?」
「まったくだ、俺は興味ねぇや。」
 15年前の戦争で100億をほこった人口のほとんどが死んだ。もし幽霊がいるのならば100億近い数の幽霊が存在することになるのだから、彼らの意見ももっともだ。
「でも、声を聞いたって人はたくさんいるらしいですよ? まるで歌うような女の人の声だったって言ってましたし…。」
「なるほどな、それで”Lorelei”か。」
『え?』
1人納得したカガリにシンたちの視線が向かう。ある種の答えが浮かんでいるのかサラが口を開いた。
「あの”Lorelei”の伝説のことよね? ライン川のほとりにたたずむ美貌の妖女ローレライが美しい歌声で船乗りたちを惑わせて船を沈めてしまうと言う…?」
「たぶんな、19世紀の詩人が詩を残していたはずだ。確か名前は…。」
「…ハインリッヒ・ハイネ。」
 壁に背を預け、本を読んでいたテクスが口を挟む。こと詩や伝説と言った文学系統の知識においてこの艦でテクスに勝てるものはいない。
パタン、と手に持っていた本を閉じてさらに続けた。
「ドイツの有名な詩人だ。”Lorelei”は彼の代表作で、有名な音楽家であるリストやシューマンがこの詩に曲を当てたほどのものだ。昔は空で言えたが…。」
少し考え込んだ後、浪々と詩の朗読が始まった。

古よりの伝説が 何ゆえこんなに悲しいか

風は冷たくたそがれて ラインは静かに流れゆく

かなたに見ゆる山々は 夕日の色に輝き染まる

小高き岩に怪しく座る 夢麗しき少女の姿

金の飾りに彩られ 金の櫛をば手にもちて

少女は髪をくしけずる 黄金の髪をくしけずる


ブツッ!!

 テクスが静かに詩の朗読をしている中、いきなり談話室が真っ暗な闇に染まる。
ローレライの幽霊の話から派生して場の雰囲気は怪談話をやっているようなノリだったためか皆が皆一様に叫び声を上げ慌てふためいた。


162:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 22:51:48
もしやガロードサテキャを使うか!?
…シャギアが正気を戻した時が楽しみだな…フフフ…

163:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/07/10 22:53:58
第二十三話『”Lorelei”の海』 (後編)

 テクスはなんでいきなり暗くなったのか不明なので唖然としていると、いきなり光が戻った。明かりが戻るとほぼ同時に、いきなり電気を消した張本人である少年がニヤニヤしながら部屋に入ってきた。
「へへっ、驚いた?」
キッドは悪戯大成功っと言った満足げな顔を浮かべ、皆を見回す。カガリとトニヤは真ん中にいたサラに抱きつき、ウイッツはロアビィに抱きついている。シンはただ呆然とソファーに腰掛けたままだった。
「バッ! バカヤロ!! 脅かすんじゃねぇ!!」
普段から強気の発言が多いウイッツだが、ロアビィに抱きついたまま文句を口にするその姿はあまりにみっともなかった。トニヤに以外に臆病なんだ、などと茶化される始末だ。
逆に抱きつかれた方のロアビィは女性人の隣にいなかったことを悔やむ。フリーデンに乗っている間は艦の規則や風紀と言ったものもあるため抱きつかれるなんてことはめったにないのだ。
「おかげで助かったよ。」
「え?」
 テクスはキッドの肩にポン、と手を置きながら安堵の表情を浮かべる。対するキッドはただ単に悪戯をするつもりだったためかあまり状況が飲み込めていない。
「詩の続き、覚えてなかったんだ。」
いきなりの出来事でド忘れをしただけかもしれないが、テクスは詩の続きを思い出す事ができなかった。


「あ、あの…。」
今まであまり口を開かず皆の話に耳を傾けていたティファが口を開く。声をかけた相手は彼女の目の前にいるガロードだ。
「へ?」
 キッドが登場してからキッドの方に目を向けていたガロードは、その時初めて自分がティファに抱きついていることに気がついた。
彼らの顔の距離は10cm弱、自分がとんでもない事をしていることに気づくと顔を真っ赤にしながら手を離し彼女に背を向ける。
「い! イヤあのえとアとソの…、ご、ゴメン…。」
「…いえ…。」
 ガロードは混乱しながらも謝る。ティファも普段の同じように見えるが、胸の奥ではドキドキとしているようでそれだけいうとうつむいてしまう。
そんな傍から見ると初々しくむず痒い姿を見せたガロードの横腹をシンはニヤニヤしながら小突いた。
「このラッキースケベ!」
「ら、ラッキーはともかくスケベはないだろスケベは!!」

 そんな年下組みの姿を見ながらトニヤはふと呟いた。
「これも若さよね…。」
「おまえ、そんなこと言っていると老けてるように取られるぞ。」
サラを挟んで彼女と反対側の席に座るカガリが言った言葉はトニヤの心にぐさりと刺さったようで体をビクッと震わせるのだった。


164:通常の名無しさんの3倍
06/07/10 23:00:58
GJ

ところで細かい事言うようで悪いんだが
朗読じゃなくて暗唱じゃないか?

165:通常の名無しさんの3倍
06/07/11 00:10:09
ガロードが「ラッキースケベ2号」に!?

・・・でもその命名者は・・・・・

166:通常の名無しさんの3倍
06/07/11 00:19:35
>>GX氏
ご苦労さまです。
シン、カガリもかなりフリーデンに馴染んできたみたいで、違和感ないのが一読み手として気持ちいい。
ゆっくりでもいいのでこれからも頑張ってください。


ついでにお土産
URLリンク(img137.auctions.yahoo.co.jp)

167:通常の名無しさんの3倍
06/07/11 01:06:14 0JH3eGrD
いいねぇ・・・
ティファもカワイイが
ガロードがカッコイイねぇ

168:機動新世紀ガンダムX DESTINY 第七話
06/07/11 17:46:43

第七話 『あんな地球はもうたくさんだ』

==========================

フォースインパルスの機動力は、少なくともガイア、アビス、カオスを上回るものだった
それでもガイアを振り切るのになかなかてこずってしまう

「やっと振り切ったか・・・・」

シンはレーダーで、ガイアのロストを確認した。数分前まで激戦を繰り広げていたのだが、
ミネルバから緊急指令が来て、DXと合流するように命じられたのだ
そのため戦闘を放棄してスラスターを吹かしたが、かなりガイアはしつこく、さっきまで追いすがってきていた

「にしてもオルバのヤロー・・・・!」

シンは苦虫を噛み潰した顔になって、アシュタロンの動きを思い出す
アシュタロンはカオスをいともたやすくあしらっていたが、それはどこかとどめをささずに遊んでいるようで、
必死にガイアと戦っていたシンにしてみれば腹の立つこと極まりない動きだった

「とにかく任務だ任務! ほとんどのザフト軍はユニウスセブンから退避してて・・・
 DXの位置は・・・・ユニウスセブンからだいぶ離れてるな・・・・
 なんだこりゃ? ユニウスセブンの進路上で、しかも地球までギリギリの位置じゃないか!
 下手すりゃ引力に飲まれるぞ・・・・」

自殺行為としか思えない布陣だった。DXは、ユニウスセブンと地球の中間地点にいるのである

シンは出撃前、ガロードとの休憩室でのやり取りを思い出す。腹の立つ話だった

(地球で家族を失ったやつの気持ちがわかるかよ! オーブの理想に付き合って、俺の家族は死んだんだッ!
 理想だけの綺麗事は人を殺すんだぞ! なんでそれがわからないッ!)

一発ぐらい、帰ったら殴り返してやろうか。そういう気分になったが、今は任務に集中すべきだった

とにかくミネルバ出航以後、気に入らないことばかりが続いている
活躍はほとんどオルバの独り占めだし、オーブの人間がアビスに乗ったりするし、
挙句の果てに自分より年下の人間が、新型ガンダム、DXのパイロットになったりしていた

「地球はふるさと、か・・・・・」

しかしその言葉が、なぜか苛立ちとともに思い出される

==========================


169:X運命 『あんな地球はもうたくさんだ』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/11 17:49:35
==========================

地球が大きく見える。ガロードはその蒼さに思わず息を呑んだ
「キレーだな・・・・・。あんなに綺麗だったんだ、地球って。まるで吸い込まれそうだ・・・・」
つぶやきつつ、DXの位置を大気圏ギリギリの地点に固定し、目前に迫る巨大なユニウスセブンを見た

『ジュール隊、バッテリーの配置完了しました。接続します!』
バッテリーを持ってきたジュール隊から通信が入る
バッテリーはだいたい五×五×五メートルほどの正方形で、それが連結して七個ある
「ありがとさん! 背中のシステム開くから、そこに繋げてくれ!」
言いつつ、ガロードはサテライトシステムを起動し、マイクロウェーブ受信操作のみをキャンセル、
DXは背中のリフレクターを展開し、両肩に二門のサテライトキャノンを背負った

ガシャン。背中に、バッテリー群とつながったの巨大ケーブルが接続される
ミネルバ乗艦の時に確認したが、ケーブルの接続や通信は、元いた世界とこの世界は規格の差が無かった

『しかしこんなものをなにに使うおつもりで? 量産機ならば、このバッテリー一つで、10体まで電源供給が可能ですが』
「ユニウスセブンをぶっ壊すんだよ。それに、これだけじゃまったく足りねぇ・・・」

バッテリーから供給される電源量を確認したが、通常のマイクロウェーブ受信の、10パーセント程度しかなかった

(サテライトキャノンをフルで撃つには、この世界のMS700機分のエネルギーが要るのか・・・・・)

途方も無い話だった。同時に、サテライトキャノンがどれだけふざけた兵器なのかを改めて感じてしまう


170:X運命 『あんな地球はもうたくさんだ』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/11 17:51:09

『ガロード・ラン。ユニウスセブンで生きていたエネルギーを、DXにまわす』
新たにバッテリーを引いてきた、白いザクから通信が入る。レイだ
「おう、頼むぜ。そのままバッテリーに連結してくれ」
『ああ。ガロード、すぐにシンも来る。インパルスの特性はわかってるか?」
「インパルスの特性?」
『デュートリオンビーム送電システムだ。詳しく説明している暇がないので、手短に言うが、
 インパルスはある程度離れた状態でも、戦艦ミネルバからエネルギーを直接受け取れる
 ミネルバから莫大なエネルギーが、インパルスを介してDXに送られるはずだ』
「へー、すげぇな」
『そこでこれはシンにも言っておくことだが、くれぐれも喧嘩はするなよ
 危険なミッションでそんなことをやれば、命取りになる』
「ちぇっ。そこまで子供じゃねぇよ、俺も。信用ねーな」
『念を押しただけだ・・・・・。では俺はミネルバに帰艦する。ミネルバは大気圏突入を行うので、
 時間の余裕も少しあるだろう。次に会うのは地球でだな、健闘を祈る』
「地球に降りるのか・・・・。わかった、了解だ」

レイのザクがバッテリーとの連結作業を終え、場を離れていく
ガロードは周辺のザフト軍に退避するようミネルバに伝えておいたので、ザフト艦も離脱していくのが見えた

(これだけ集めて、まだ32パーセントか・・・・)
エネルギーを確認する。フル状態なら跡形もなくユニウスセブンを消滅させられるが、
この状態で撃った場合どうなるのか、予想できなかった


==========================

171:X運命 『あんな地球はもうたくさんだ』 ◆UO9SM5XUx.
06/07/11 17:52:47

==========================

大気圏が近づいてきたので、ミネルバから帰艦命令が届いた
オルバは目前にある、右腕と左足を失い、半壊状態となったカオスを見て嘲笑する

「今、僕が目立ちすぎるのは得策じゃないんでね・・・・・。
 君を捕まえるのは簡単だけど、手柄は立てすぎないようにするよ
 じゃあね」

アシュタロンはけん制のビームを、一撃だけ放つと、MA形態に変形して反転。
そのままミネルバへ向かう。例えカオスが追ってきたくとも、半壊状態のMSでは
とうていMA形態アシュタロンの速度には追いつけないだろう

「ユニウスセブンはそのまま落下するみたいだね・・・。フン、ここの地球も壊滅か」

オルバがアシュタロンのコクピットから地球を見つめながら、つぶやく

ミネルバに戻り、誘導に従ってMSデッキに戻る 
アシュタロンをハンガーに固定すると、ハッチを開けて外に出た

「あ、オルバ。待ってたのよ」
先に帰艦していたルナマリアが、ノーマルスーツ姿で壁を蹴り、こちらにやってくる
「・・・・なんだい?」
いくらかそれをうとましく考えながらもオルバは、ルナマリアを見つめた
「オルバってさ、ガロードと同じデュランダル議長の直属でしょ? 
 DXについてわかる?」
「少しならね」
「じゃあ、ガロードがエネルギー集めてる理由、教えてよ」
「ガロードが・・・・・念を押してこれか!」
オルバが思わず吐き捨てる。エネルギーをDXに集めてやることは、もう一つしかない
サテライトキャノン発射である

(なにが起きるかわかっているのか、本当に!)

人がなにかに恐怖を感じたとき、反射的に考えるのはその対象を排除することである
ゆえに、恐怖と怒りはぴたりと鏡合わせになっているのだ
ユニウスセブンの破壊というこの上ない舞台で披露されるサテライトキャノンは、
人々から恐れ、忌まれるのにそう時間はかからないだろう



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