06/12/02 12:44:46
飛ばされた機体を制御しつつ、レーダーに一瞬目を落とす。その時、ムゥは全身が凍り
ついた。
二つの光点が自らに張り付いているといわんばかりの距離に位置している。
「しまっ……」
アカツキの前と後ろ。挟み込むように位置したドラグーン……それに光が入り……放た
れる。
僅かな空間に瞬いた光は、その装甲の力によって行き場を失って来た道を辿り……それ
を生み出した主を霧散させる。
「ぐあああああああああああああっ!」
二つの爆発が機体を巻き込み、ムゥの体は激しく前後に揺さぶられる。
ビームそのものは効きはしなくても、その爆発の強さは、機体に損傷を与えるのに十分
であった。
爆煙に包み込まれ、機体の制御が一瞬失われる。だが、これによって生み出された僅か
な隙が、何を意味するのかは、彼には十分理解できた。
敗因は、ビームを返すその装甲に、ドラグーンの刃が刺さりはしないと考えていたこと。
「……化け物めっ」
包み込んでいた煙幕が少しずつ薄れ、その裂け目から、真紅の機体の姿が見える。その
手から伸びたビームサーベルの光が、やけに眩しく見えた。
「すまない……マ……」
その謝罪が最後まで紡がれることはなかった。上段から振り下ろされたビームサーベル
が、アカツキを中央から真っ二つに切り裂いていく。
「さようなら、ムゥ・ラ・フラガ」
セイバーの背後に巻き起こる、一際大きな爆発。それを一瞥しながら、カズイは別れの
言葉を告げた。