04/03/22 10:16 8GaTE7S7
ケロおまでキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
66:CC名無したん
04/03/22 11:38 7Ry98uRM
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67:CC名無したん
04/03/22 22:48 qyJChVHo
久々の更新キタ━━(゚∀゚)━━!!!!
126氏乙です。
68:CC名無したん
04/03/25 21:27 X8eBP1cD
久々の126氏キテタ━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━!!!!
>わいがせっかくはっておいた伏線
っていうのがひじょーに気になります。先のことになると思いますが、
どうなるのか今から期待してます。(*´Д`)
まずは次回、楽しみです!
69:126
04/04/01 22:52 rs+BEguv
「おうおう、よく食うなぁ。誕生日だっていうのに」
「おにいちゃん!」
「桃矢、だめだよ。せっかくのさくらちゃんの誕生パーティなんだから・・・
あ、ごめんね。ついさくら『ちゃん』って呼んじゃって」
「いいんです、気にしませんから」
雪兎おじさんの言葉に、ママがあわてて首をぷるぷると横に振る。
「まぁ、いくつになっても怪獣なんだからな」
「さくら、怪獣じゃないもん!」
みんなが、どっと笑う。今日は、ママのお誕生日。パパとあたしと龍平、それに藤隆おじいちゃんや
桃矢おじさん、雪兎おじさん・・・とにかくみんなが集まってパーティを開いている。
みんなにお祝いされて幸せそうなママ。そして、そんなママを見つめているパパも幸せそうだ。
「みなさん、ありがとうございます。お仕事や学校を終わってから来ていただいて」
「いや、平日でよかったよ」
桃矢おじさんが、意地悪そうに言う。
「もし、こんなパーティを日曜日にやっていたら、俺たちは料理作りで疲れ果てて
パーティどころじゃなかったぞ」
「ご、ごめんなさい!」
思わず、あたしはあやまった。今日の、ママの誕生パーティの料理、あたしと龍平とパパで
作るつもりだったんだけど、作り始めたら、材料が足りなかったり失敗したりで、
結局、藤隆おじいちゃんや桃矢おじさんに手伝ってもらったんだ。
というより、半分以上はふたりに作ってもらったぐらいだ。
(それにしても、木之本家って、どうして、みんな料理がじょうずなんだろう)
あたしがそんなことを考えていると、
70:126
04/04/01 22:53 rs+BEguv
「ほんとうにおめでとう、さくらさん」
藤隆おじいちゃんが口を開いた。
「これからも、小狼くんと、すみれさん、龍平くん、みんなと元気で仲良く暮らしてくださいね」
「ありがとう、おとうさん」
ママは、おじいちゃんにもらった花束とプレゼントを手に取りながらお礼を言った。
「残念なんですが、私たちは明日から発掘の準備がありますから、そんなにゆっくりできません。
そろそろ、桃矢くんたちと帰ろうと思うんですが」
「あ、じゃ、その前に、デザートを出しますから、それを食べていってください」
あたしは、あわてておじいちゃんに言った。
「デザートだけは、おねえちゃんが作ったんです」
龍平が余計なことを言う。
「『だけ』ってなによ!『だけ』って!他にも作ろうとしたけど、その、分量を間違えたり
焦がしたりで・・・」
「すみれさんは、がんばったんですね。じゃ、そのおいしいデザートをいただいてから
帰りましょうか」
「は、はい!今、持ってきます!」
あたしは、冷蔵庫の方に行った。
そして、フリーザのドアを開けると・・・
71:126
04/04/01 22:55 rs+BEguv
「・・・どうしよう。まだ、凍っていない・・・」
あたしが作ったジェラートはまだ凍っていなかった。時間が足りなかったんだ。
「・・・こんなの、食べてもらえないよ・・・!」
その時、あたしは魔力の気配を感じた。そして、小さな声を聞いた。
(フリーズ)
すると、ジェラートが見る見るうちに凍っていった。これなら、おじいちゃんたちに
食べてもらえそうだ。
「ありがとう、ママ。来年の誕生日パーティは、きっとおいしい料理やデザートを作れるように
なるからね」
あたしは、どこかに隠れているはずのママにそう言って、ジェラートの盛り付けを始めた。
<誕生日番外編:終劇>
今日は誕生日だということを思い出して、あわてて書きました。(ネタ切れ中の 126)
72:CC名無したん
04/04/01 23:24 FyvPXtC/
キナスッタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
ほのぼのいいのう
73:CC名無したん
04/04/03 02:23 g+Tt1GHU
126氏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
ネタ切れとのことで非常に苦しまれている中、こういうほのぼのネタありがと
うございます。
(就活でストレス貯まりっぱなしの私にはいいですわ~)
74:CC名無したん
04/04/04 22:55 RmwGsOX+
>>「さくら、怪獣じゃないもん!」
私も笑わせてもらいました。
このほのぼの感、良すぎです。情景が目に浮かぶわ・・・・。
ところで、前スレがdat落ちしてだいぶ経つけど、過去ログ倉庫にもまだないね。
いつhtml化するんだろう?
前スレで読めなかったところがあるから、ちょっと気になって・・・・。
75:CC名無したん
04/04/05 00:33 q7pJHRhj
126氏、乙です!
76:126
04/04/05 01:05 T39EncFn
「じゃあ今日のホームルームはこれで終わり。みんな、またあしたね」
神宮司先生のことばで1日の授業は終わった。今日はクラブもないし・・・と思っていると
あたしは声をかけられた。
「木之本さん」
「なに?衛(ウェイ)くん?」
「今度の日曜日、空いてる?」
いきなりそんなことを聞かれてあたしはちょっとあわててしまう。
ひょっとしたら顔が赤くなっているのかも・・・
「え? と、特に決まっていないけど・・・」
「これ、おばあちゃんからもらったんだけど」
差し出されたのは、1枚のチケット。
「・・・『友枝フィギュア・コンテスト』?衛くん、フィギュアって、そんなに詳しくないって
言ってたよね?どうして、こんなチケット持ってるの?」
「うん、ぼくはね。実はおばあちゃんがそのコンテストの審査員をしてるんだ」
「そ、そうなんだ」
あたしもフィギュアには詳しくないので、どう答えたらいいのかわからないくて困っていると
「それは、奇遇ですわ!」
知美ちゃんが目をキラキラさせて、話に入ってきた。
「わたくしも、すみれちゃんをお誘いしようと思っておりましたの」
見ると、知美ちゃんの手にも同じチケットがあった。
「知美ちゃん、どうしてそんなチケットを?」
「フィギュアを出品いたしましたの。出品者は2枚チケットをいただけますのよ!」
「出品って、まさか・・・あたしのフィギュアを出品したなんて・・」
「そのとおりですわ!」
77:126
04/04/05 01:07 T39EncFn
あたしと衛くんの頭におっきな汗が浮いた・・・
「大道寺さん、木之本さんのフィギュアを出品したの?」
「はい。すみれちゃんと龍くんのフィギュアを出品いたしました」
「???」
あたしと衛くんの目が点になる。
「ど、どうしてあたしだけじゃなく、龍平のフィギュアも?」
「この前、さくらさんといっしょに龍くんのデータもお取りしましたから」
「ママといっしょに?」
そう言えば、この前、龍平がコピーのカードさんをあたしに渡してくれたときに、
そんなことを言っていた。
衛くんが不思議そうに言う。
「でも、このコンテストって友枝美術館の主催だから、フィギュアの題材を美術品から
とらないとダメなんだよね。
木之本さんのフィギュアを出品するのって、無理があるんじゃないかな?」
「ええ、そのためか、参加賞しかいただけませんでしたわ~」
「「そ、そうなんだ・・・」」
意味のない知美ちゃんのテンションに、あたしと衛くんの頭におっきな汗がまた浮いた。
そして、あたしはあることに気がついた。
「でも、題材が美術品っていうと、あまり参加者がいないんじゃない?
フィギュアって、だいたいアニメやゲームのキャラを使うんだし・・・」
「そうなんだよ。それでチケットが余っていて、おばあちゃんが木之本さんにも、って
チケットをくれたんだ。来てくれたら、お礼にうちでアフタヌーンティーをしたいって
おばあちゃんが言っていたよ」
「そうなんだ」
78:126
04/04/05 01:08 T39EncFn
張(チャン)教授の入れてくれるお茶はとってもおいしいんだ。
お茶につられたってわけでもないけど、あたしは、衛くんのチケットをもらうことにした。
「では、このチケットは龍くんに渡してくださいな」
「え?龍平も?」
「ええ、わたくしはこれからクラブがありますから、すみれちゃんにお願いします」
その時、校庭から衛くんを呼ぶ、クラスの男の子たちの声がした。
「衛くん、そろそろサッカー始めるよ!」
「ああ、今行くよ!じゃ、木之本さん、チケットもらってくれてありがとう。
それにしても、おばあちゃんがフィギュアの審査をするなんて、思ってもみなかったよ」
そして教室を出て行く衛は、小さな声でつぶやいた。
(それに、あんなことも考えているなんて・・・ね)
79:CC名無したん
04/04/08 22:59 LEPJUIXc
おっと、もう更新されてる。
しかしすみれと龍平のフィギュアを出品するとは何考えてるんだ(w>知美
願わくば俺が一体欲しい(;´Д`)
今回の件でエドワード一派が何やらいろいろ企んでそうなヨカン。どうなることやら。
80:CC名無したん
04/04/11 15:30 EdqQrtHL
いまさらだけど、126さんの>>69-71に付け加えで一筆させてもらいます。
「すみれ。ちょっといいか?」
ママのお誕生パーティーもお開きとなり、帰り支度を始めたパパがあたしを呼んだ。
「何? パパ」
(いいから、ちょっと来い)
急に小声になったパパ。
あたしの視線の先にいるパパは、なんだか気まずそうな顔をしていた。
(悪いが、これをあとで、さくらに渡してくれ)
と、パパがあたしに差し出したのは、一通の手紙。
「ほえ? どうして?」
(・・・・俺の性格をわかってるなら、そんな事は聞くな)
パパは、顔が真っ赤になっていた。今のパパ、なんか可愛い。
「パパ。これってもしかして」
(シッ! とにかく、確かに渡したからな。頼むぞ、すみれ)
「はいはい」
81:CC名無したん
04/04/11 15:33 EdqQrtHL
パパが香港へ帰って行った後、あたしは自分の部屋で、パパがあたしに託していった
手紙をこっそり開いて見た。
短い文章の漢文だったけど、あたしでも読めた。
----------------------------------------------------------------------
さくら、誕生日おめでとう
こんな事を面当向かって言えないから、手紙に託す
俺は直接、おまえ達を助けてやる事ができないのはわかっていると思う
これからも、すみれや龍平の事を頼む
施先生にもよろしく言っておいてくれ
いつか、俺がおまえ達と毎日一緒に暮らせる日が来るといいな
我 愛 汝 これからも
李 小 狼
----------------------------------------------------------------------
読んでいて、あたしまでどきどきしてきた。
これって、完全にラブレターじゃない。
「すみれぇ? ちょっと降りてきて」
一階からママの声が聞こえた。
「あ、はぁい!」
あたしは手紙をまた封筒に入れ直すと、わたわたと一階に降りて行った。
ママに、いつ渡そうかな? ・・・・パパからの恋文。
82:CC名無したん
04/04/11 15:41 EdqQrtHL
以上です。
駄文乱筆スマソ
83:126
04/04/12 01:02 EgmzwYcf
「ただいまーっ」
「おかえりなさい、すみれちゃん」
「お腹すいたーっ。おやつ、おやつ」
あたしは冷蔵庫に直行する・・・と、
「ほぇ?」
ダイニングのテーブルに、見覚えのあるものを見つけた。
「ママ、これって?」
「『友枝フィギュア・コンテスト』のチケットよ」
「それはわかるけど・・・どうして?ママはフィギュアって興味ないでしょ?」
「おにいちゃんがくれたの」
「桃矢おじさんが?桃矢おじさんが来てたの?」
「うん。おばあちゃんのホログラムを直しに来てたの」
そして、ママはその時のことを話し出した。
84:126
04/04/12 01:03 EgmzwYcf
「よし・・・と。これでビデオドライバの更新が済んだぞ」
「ありがとう、おにいちゃん。わたし、こーゆーのは全然にがてだから」
まもなく、ふたりの目の前に母親の姿が浮かび上がった。
「こんにちは、おかあさん。わたしたちは、きょうも元気です」
さくらが、再び現れた母親のホログラムに語りかける。
2、3日前から、その機械の調子が悪くなった。原因は、父親の家にあるサーバーが
バージョンアップして、うまく同期が取れなくなったためだった。
ドライバの更新ボタンをクリックすればいいのだが、さくらはそういうのは
すべて桃矢にまかせていたのだ。
「うまくいったようだな」
「うん。ありがとう。今、お茶を出すから飲んでいかない?」
「ああ。たまには、怪獣の出すお茶でも飲んでみるか」
「えへ」
桃矢は不思議に思った。
「どーした?いつものリアクション(『さくら、怪獣じゃないもん!』のこと)がないじゃないか」
「今日はね、ちょっと違うの。張(チャン)教授に教わった方法で、お茶を入れたんだ。
飲んでみて。おいしいんだから」
「そっか。張教授か」
桃矢は近くにあったいすに腰をかける。
「張教授と言えば・・・さくら、今度の日曜日、空いているか?」
「特にないけど・・・なんで?」
お茶を用意しながら、さくらが答える。
「実は、頼み事があるんだ」
桃矢は胸ポケットから何かを出すと、テーブルに置いた。
85:126
04/04/12 01:05 EgmzwYcf
「『友枝フィギュア・コンテスト』のチケット?おにいちゃん、なんでこんなものを持ってるの?」
「いろいろあってな、審査員をやってるんだ」
「おにいちゃん、あんまりヲタクっぽいことしない人だと思っていたけど」
「このコンテストは、友枝美術館が主催なんだ。うちの大学から、俺と張教授が審査員という
かたちで参加してるんだ」
「審査員って、おにいちゃん、フィギュアわかるの?」
「あんまし。ただ、フィギュアのテーマがアニメやゲームじゃなくて、美術品なんだ。
俺たちの審査は、フィギュアの衣装やジオラマの時代考証がメインになる」
「ふーん」
アニメなどのヲタク産業が、マスコミの経済面で取り上げられたり、政府が補助金を出すように
なってからずいぶんになる。今度のコンテストもそういったものなんだろうな、とさくらは思った。
「それで頼み事って?」
「張教授が、俺にコンテストにはかすみといっしょに来てくれと言うんだ。教授も、あの
エドワードって子を連れてくるそうだし、終わったらいっしょにアフタヌーンティーをしたいんだと」
「それなら、行ってもいいわね」
「かもな」
桃矢が飲みかけのティーカップをテーブルに置きながら言った。
「・・・と、いうわけなの」
「そうなんだ。あたしもチケットをもらっているんだ」
あたしは、衛くんと知美ちゃんからもらったチケットをママに見せた。
「じゃあ、みんなでいっしょに行きましょう。おいしいお茶もいただけるし」
「うわーい!楽しみ!」
86:126
04/04/21 00:42 AGjCiT9G
そして、コンテストの日。
あたしたちは、友枝美術館にあるコンテスト会場に向かっていた。
会場になっているホールに行くには、いろいろな絵が展示されている廊下を通っていく。
「ママ・・・じゃなかった、かすみちゃん、こっちだよ」
龍平が、かすみちゃんになっているママに声をかけたとき、
「あや?」
ママが足を止めた。
「どうしたの?」
「この絵・・・」
ママが、1枚の絵を見つめている。窓の外から女の子が部屋の中を見て笑っている絵だ。
絵の説明には『微笑み 橘 天海 作』と書いてある。
「ママ、この絵、ほんの少しだけどカードの気配みたいなの感じるよ」
「よく気付いたわね。この絵には、サイレントのカードが付いていたのよ」
「そうなんだ」
ママは、ここでもカードさんを封印していたんだ。
あたしは、知美ちゃんのおうちで見たビデオを思い出した。
確か、シャドーのカードさんを使って封印したんだよね。
87:126
04/04/21 00:43 AGjCiT9G
『微笑み』の絵を過ぎて、会場に向かっていくと
「おねえちゃん、あれ、大道寺さんじゃない?」
「本当だ。知美ちゃん・・・」
あいさつをしようとすると、知美ちゃんはおとなの男の人と熱心に話をしている。
「・・・よく知っているね。そんなことを」
「では、もうひとつお聞きしたいのですが、御社では格闘技も楽しめるタイプのフィギュアを
開発中だとか・・・」
「ど、どうして、そんなことを!?」
男の人はちょっとパニックになっている。
「お~い、おがたぁ~」
突然、声がすると、その男の人はあわてだした。
「チ、チーフが呼んでる!ごめん、また、今度ね!」
男の人は会場に向かってダッシュしていった。
「おはよう、知美ちゃん」
「おはようございます、みなさん」
「知美ちゃん、今の人は?」
「コンテストを後援しているピフル社の方ですわ。フィギュアのことなどをお尋ねしてましたの」
「新製品とか、聞いていたの?」
「それもございますが・・・今、母とピフル社の買収を検討しておりますの」
「「「ほぇ?」」」
よくわからないけど、あたしたちの頭におっきな汗が浮いた。この親子って・・・
88:126
04/04/21 00:45 AGjCiT9G
「よっ!」
その時、あたしたちは声をかけられた。桃矢おじさんだ。
すぐそばには、張教授と衛くんもいる。
ママが、
「おはよう。久しぶりだよね、衛くん」
とあいさつすると、衛くんは顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。
「お、おはよう」
「ほぇ?」
ママは、そんな衛くんを見て、不思議そうだ。
(ほんとう、たいへんですわね)
知美ちゃんが、そっとあたしにささやいた。
(さくらさんは、ふんわりですから)
(知美ちゃん?)
(母が申しておりました。さくらさんは、とってもふんわりなので小狼さんもたいへんでしたって)
(ママがふんわりって?)
あたしがそう聞くと、
(ほほほほほ・・・)
知美ちゃんは、楽しそうに笑っていた。
「それでは、みなさん、そろそろ時間なので会場に入りましょう。わたくしと木之本助教授は
審査員なので、あちらの方に参ります。みなさんは、そちらの受付からどうぞお入りください」
張教授がそう言うと、あたしたちは会場に入っていった。
89:CC名無したん
04/04/21 18:58 ekOtAO2T
乙!
おがた(w
90:CC名無したん
04/04/21 20:40 MiN5ZKYn
乙
いつもながらすばらしいですな
91:CC名無したん
04/04/22 01:37 6BM7DwOK
おがた(wキタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
126さんのはこういった所に遊び心があって、いつも楽しんでます。
ありがとうございます。
92:CC名無したん
04/04/23 22:21 SoYJ6Xai
乙。
おがたなにしてんだw
そして買収を考える親子ワラタ
93:CC名無したん
04/04/24 10:26 ghda38UA
チーフってことはやっぱりいっちゃんだよな・・・。
94:126
04/05/09 22:59 GnlAh5DM
「チケットをお見せください。座席をご案内します」
あたしたちは、受付で案内された。
(ラッキーかも・・・)
あたしの席は、衛(ウェイ)くんのとなりだった。
たぶん、衛くんからもらったチケットだから、続き番号だったんだろう。
そして、知美ちゃんと龍平が隣どうし、ママは入り口のそばの席になった。
「かすみさんの席とは離れちゃったね」
ママのほうを見ながら衛くんが言う。あたしはちょっとおもしろくなかったけど、
「仕方ないよ。チケットで席が決まっているみたいだし」
「そうか。それじゃ仕方ないね」
(それにあの席のほうが都合がいいし)
そのときのエドワードのつぶやきは、すみれには聞こえなかった。
95:126
04/05/09 23:01 GnlAh5DM
コンテストが始まった。
けれども・・・その、やっぱり、あたしにはつまらなかった。
興味のないおはなしをずーっと聞かされるのは、つらい。
桃矢おじさんや張教授も、つまらなそうだった。
ただ、審査員のひとりが、「にょろ~」としているのはおもしろかった。
あとで知美ちゃんから聞いたんだけど、にょろ~としていたおじさんは、
ピフル社で新製品の開発をしている、とてもすごい人だそうなんだ。
「では、最優秀賞の発表を行いたいと思います。発表は、友枝美術館長でもあり、本コンテストの
審査委員長でもある橘優希さんにお願いします」
やっと、コンテストも終わりだよ~、これでアフタヌーンティーが楽しめるよ~、と思ったその時、
(これは・・・クロウ・カードの気配だ!)
(ママ!)
あたしはママの方を見た。ママはあたしの方を見てうなずくと、席を立って会場を出ていった。
ママもカードの気配がわかったんだ。あたしも席を立とうとしたけど
「どうしたの、木之本さん?もうすぐ、発表だよ」
衛くんが、あたしの顔をのぞきこんだ。
「う、うん」
(どうしよう・・・クロウ・カードが現れるかもしれないのに・・・)
あたしは、席にすわりなおすしかなかった。
96:126
04/05/09 23:03 GnlAh5DM
「・・・誰も見ていないわね」
さくらは、まわりに誰もいないのを確かめた。そして、星のペンダントを取り出すと
「星の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、さくらが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
そして、カードを取り出した。
「我の姿を映し、もうひとりの我となれ、ミラー!」
現れたミラーに、さくらは言った。
「クロー・カードの気配がするの。わたしは外で見張るから、ミラーさんは会場に戻って。
すみれちゃんやおにいちゃんがいるから、何かあったら助けてあげて」
「はい」
ミラーが会場に戻るのを見届けると、さくらはもう1枚のカードを取り出した。
「フライ!」
「気配がだんだん強くなっている・・・」
友枝美術館の上空にさくらはいた。
「さくら~っ!」
「ケロちゃん!来てくれたのね!」
「なんや、このごっつい気配は・・・」
「わかんない。さっきからだんだん強くなってきているの」
「すみれは?」
「コンテストの会場よ。席が奥だから出てこられないのよ」
「こないな時に・・・」
97:CC名無したん
04/05/15 18:47 UAlbVzkk
更新キテタ
にょろ~(w
98:☆ INFOMATION ☆
04/05/16 07:37 KeQbn2ty
当スレの関連スレ「ミラーのお留守番」がcomic4鯖に移転しました。スレ番はそのままで、URLの頭をcomic4.2ch.netに書き替えれば閲覧できます。
99:126
04/05/17 00:57 pBfVmIr5
(あれは、ミラーさんだ)
会場に戻ってきたのは、ママではなくてミラーさんだった。
(ということは、ママは外にいるんだ)
その時、クロウ・カードの気配が一段と強くなった。
(来る!)
あたしが、そう思ったとき、館内に警報が鳴り響いた。
「なんなんだ!」
「なにが起こったんだ!」
会場がざわついた。
「落ち着いてください!みなさん、落ち着いて、席でお待ちください!」
司会者の人が一生懸命に会場のみんなを落ち着かせていた。
そのころ、友枝美術館の警備センターはパニックになっていた。
「何が起きたんだ?!」
「わかりません!美術品の防犯センサーが反応しています!誰かが美術品を展示場所から動かそうと
しています!」
「ほとんどすべてのセンサーが反応しています!」
「すべての作品に?!」
「防犯カメラには異常ありません!何も映っていません!」
「どういうことなんだ?!」
とにかく、異常事態だった。
100:126
04/05/17 00:57 pBfVmIr5
「さくら、これは?」
「スルーのカードだわ。友枝美術館にある、美術品をどこかに持ち去ろうとしているのよ!」
「そやけど、なんでや?」
「わからない。けど、なんとかしなくちゃ」
さくらは、カードを取り出した。
「シールド!」
友枝美術館全体が、シールドに包まれた。
(ママ、カードを使ったんだ)
あたしは、会場でいらいらしていた。クロウ・カードがなにかを起こそうとしているのは
わかるんだけど、隣には衛くんがいるし、入り口までの席にはいろいろな人がすわっているから、
出ていけない。龍平も、心配そうにあたしのほうを見つめている。
(何が起ころうとしているんだろう?)
あたしは、クロウ・カードの気配とママの魔力の気配が強くなっているのを感じながら、
ただすわっているしかなかった。
101:126
04/05/17 00:59 pBfVmIr5
「さくら、だいじょうぶか?!」
「だ、だいじょうぶ!」
友枝美術館の上空で、さくらたちは叫んでいた。
「主のいないスルーは、何かをスルーさせようとする。そのときの力は、ごっつう強いんやで!」
「わかってるよ!」
さくらは杖を握りなおした。
友枝美術館を守る、シールドがブルブルと震えている。スルーの魔力から美術品を守っているのだ。
「お願い、さくらといっしょにがんばって!」
さくらは、さらに魔力を集中させる。
だが、スルーの力もさらに強まった。
「負けるな、さくら、根性見せてみぃ!」
だが、さくらにケルベロスの声に応える余裕はない。その表情がさらに厳しくなった。
「ほぇ?」
ふっと、スルーの力が弱くなった。思わず、さくらの気も緩んでしまった。
「あかん!」
次の瞬間、スルーの力が戻った。そして、1枚の絵がシールドを突き破る。
「やられた!」
「あ、あの絵は!」
その絵は、あっという間に、スルーの持つ空間の中に消えていった。
102:126
04/05/24 01:34 Qf91EW8t
「・・・ったく。今日はさんざんだったな」
桃矢おじさんがぼそっと言った。
「仕方ないですよ。コンテスト中にあんな騒ぎになるんだもの」
龍平が桃矢おじさんに言った。
「確かに仕方ないけれど・・・アフタヌーンティーがお流れになったのは、残念だったな」
あたしも、そうつぶやいた。
もう夕方になろうとしている。
カードの気配とママの魔力の気配がして、そしてその気配がふっと消えたとき、友枝美術館では
1枚の絵が盗まれたということで大騒ぎになってしまった。
あたしは、ママにケータイで連絡をとろうとしたんだけど、だめだった。美術館って、
鑑賞のじゃまにならないように、ケータイが使えなくなる妨害電波が使われているんだ。
それで、コンテストの方はなんとか終わったんだけど、警察さんが来て、取調べが終わるまで、
あたしたちは会場で待つしかなかったんだ。
「残念ですが時間も時間ですし、アフタヌーンティーは次の機会にということにしませんか」
「そうですね。今日は、私がこの子たちを送りますから」
「わかりました。わたしは、この子(エドワード)と帰ります。木之本助教授は、みなさんを
よろしくお願いします」
そんな桃矢おじさんと張(チャン)教授の会話の後、あたしたちは公園の中を歩いている。
103:126
04/05/24 01:36 Qf91EW8t
(さっきの気配は確かにクロウ・カードの気配だった。
絵が盗まれたのも、きっとそのカードのせいなんだ)
あたしが考え込んでいると、桃矢おじさんが、ポンっとあたしの肩をたたいた。
「元気ないな」
「え・・・そんなこと・・・ないです」
「腹すいてるのか?」
「そ、そうですね」
考えてみたら、確かにお腹がぺこぺこだ。
「そっか。じゃ、今日はひさしぶりに、俺が晩飯でも作ってやるか」
「いいんですか?」
桃矢おじさんは、料理がとても上手なんだ。
「まぁな。せっかくの機会だ。すみれや龍平も、いつも怪獣の作る飯ばっかり食っていないで、
たまには、ちゃ~んとしたもんを食わないと・・・」
桃矢おじさんがそう言いかけたとき、
「な~んですってぇ~!」
「うゎっ!」
ママが突然現れた。
「だれが怪獣ですって!」
かすみちゃんの姿のままで、ママが桃矢おじさんにつめよる。
「おお!怪獣さくらのどん現る!」
「さくら、怪獣じゃないもん!」
ママと桃矢おじさんの、お約束の会話だった。
104:CC名無したん
04/05/24 13:43 jr+Mz0Eq
キタワァ━━━(n‘∀‘)η━━━ !!!!!
105:CC名無したん
04/05/28 21:32 8yqw/TCI
126氏、乙
106:CC名無したん
04/05/29 02:58 I9fvKosj
126氏キテタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
かすみちゃんに癒されました(*´Д`)
107:126
04/05/31 01:34 eGBYxUxe
「キィーッ!!!」
ママがキレて、桃矢おじさんに蹴りを入れようとする。これもお約束だ。
桃矢おじさんって運動神経はばつぐんなんだけど、なぜかママの蹴りだけは入っちゃうんだ。
そのとき、
「あの・・・さくらさん」
ミラーさんだ。
「おにいさまは、すみれさんを元気づけようとして、ああおっしゃったんだと思います」
ミラーさんのことばに、ママが固まった。
そして、蹴りを入れようとしていた足を下ろして、そろえなおした。
「そ、そうだよね」
ママは照れくさそうにミラーさんを見た。
桃矢おじさんは、そんなママとミラーさんを見比べたあと、ミラーさんに
「サンキュ」
「いえ、とんでもありません」
ミラーさんは、少しうつむいたけど、そのほおは赤くなっていた。
「すてきですわ」
「と、知美ちゃん!」
いつのまにか、知美ちゃんがそんなミラーさんたちを撮影していた。
「ミラーさんの優しさも、1秒たりとも見逃せませんわ!」
「きょうもビデオを持っていたの?」
「もちろんですわ」
知美ちゃんがビデオを持っているなんて、あたしは今の今まで気がつかなかった。
いったい、いつもどこに持っているんだろう。
108:126
04/05/31 01:37 eGBYxUxe
「みんなぁ~、ここにおったか~」
「ケロちゃん!」
そのとき、ケロちゃんがあたしたちの方にやって来た。
「ケロちゃん、来ていたの?」
「ああ、クロウ・カードの気配がしたときから来とった」
「ひょっとして、ママといっしょだったの?」
「そや。けど、騒ぎがあってから、美術館は立入禁止になってしもうたやろ?
ケータイも通じんし、わいら、すみれたちが出てくるまであっちの方で待っとったんや。
そしたら、突然さくらが『なんですって!おにいちゃん!』と叫んだかと思うと、
ごっついスピードで、わいのところからダッシュして行きよったんや」
「そ、そうなの・・・」
あたしは、ママが怪獣ということばにとっても敏感だということがよ~くわかった。
「とにかく、みんな無事だったようやな」
「うん。ところでケロちゃん、さっきの騒ぎって、やっぱりクロウ・カードなの?」
あたしが聞くと
「そうや。スルーのカードのしわざや」
「スルーって、通り抜けるって意味だよね?」
「その通りや。主のいないスルーは、何か気に入ったもんを見つけたら、それを自分の中に
通り抜けさせようとする。今回は、なんでか知らんけど、友枝美術館の展示品をねらったようやな」
「じゃ、さっき、あたしが感じた、ママとカードの気配は?」
「さくらが、スルーさせないようにシールドのカードで守ったんや。
そやけど、カードの方が1枚上手(うわて)やったな」
「そうね」
ママがうなずいた。
109:126
04/05/31 01:39 eGBYxUxe
「スルーの力は、ごっつう強力なんや。さくらでさえ、本気でかからんとだめやった。
けど、急に力が弱くなってな」
ケロちゃんが、ママの方を見る。
「思わず、ママも力を抜いてしまったの」
「そしたら、急に力が戻ってな、あっというまに1枚だけ絵がスルーしてしもうたんや。
フェイントをかけられたんやな」
「・・・そんな。ママの力でもダメだなんて・・・そんなカード、封印できるかな?」
あたしは心配になった。
ケロちゃんは、あたしの正面にまでやってきて、腕を組んだ。
「すみれの心配ももっともや。さくらがスルーを封印したときも、7日だか8日かかって
やっとの思いで封印したんや」
「そ、そうなんだ」
あたしは、ますます心配になった。
「けど、そないに心配せんでもええ。スルーのカードを封印する方法はわかっとるでぇ。
なぁ、さくら!」
「ママ、ほんとうなの?」
「そうよ。だから、ケロちゃんの言うとおり、よけいな心配をする必要はないわ」
そのとき、
「・・・この気配は?」
「スルーのカードの気配や!カードのやつ、1枚の絵しかスルーできんかったさかい、
がまんできずに出てきたんやな。すみれ、さくら、カードキャプターの出動やで!」
「「うん!」」
110:CC名無したん
04/06/02 03:56 GnVye4Lx
126氏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
毎回毎回、良作だと思います。
本当にお疲れさまです。(*´∀`)
それとありがとうございます。
111:126
04/06/07 01:39 P4IqDFqK
ママは星のペンダントを取り出した。足元に魔方陣が現れる。
「星の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、さくらが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
そしてあたしの足元にも魔方陣が現れる。ピアスが耳からはずれて、目の前に移動する。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
カードの気配がだんだん強くなっていく。
「カードはあっちの方や。すみれ、さくら、ちゃっちゃと行くでぇ!」
ケロちゃんが空へ飛んでいった。
「ケロちゃん、待ってったら・・・フライ!」
あたしとママはケロちゃんをフライのカードさんを使って、ケロちゃんを追いかけた。
「おふたりとも・・・りりしいですわ~」
空を行く親子を幸せそうに撮影する知美を見ながら、
(地上から撮っているはずなのに、後から見せてもらうと、なぜか上空からのアングルに
なっているんだよね)
そうは思いながらも、なぜかそのツッコミを口に出せない龍平だった。
112:126
04/06/07 01:41 P4IqDFqK
「ねぇ、ケロちゃん、スルーのカードさんって、どんなふうにして封印するの?」
ケロちゃんに追いつくと、あたしは聞いた。
「主(あるじ)のいないスルーは、何かを自分の中に通り抜けさせようとする。
スルーを封印するには、スルーの中に入って、通り抜けずに入り口に戻るんや。
そうすれば、スルーのカードは、入り口まで戻ったもんの力を認めるさかい、封印できるんや」
「そうなんだ。でも、どうしてママが封印するのに、長い時間がかかったの?」
「スルーの中に飛び込むってことは、スルーの世界に入るっちゅうことや。
そやから、そん中では、スルーの力がごっつう強うなるんや。
さくらがなかなか封印できんかったのも、フライやジャンプでは、ぜんぜん、入り口まで戻れなくて、
出口までスルーされてしまったんや」
「じゃ、どうやって封印したの?」
「ウッドや」
「ウッドさんで?」
「8日めやったかな、さくらが、スルーん中でウッドをめいっぱい繁らせよった。
そしたら、スルーのやつ、風邪ひいて、のどがいがらっぽくなったときみたいに、
わいらがじゃまになったんやな。スルーのやつ、思わずせき込みようにして、
わいらを入り口に戻しよったんや」
「そっか」
「すみれもウッドのカードを持ってるやろ?今回は、さくらとふたりでウッドのカードを使えば、
一発で封印や!」
「「うん!」」
113:126
04/06/07 01:42 P4IqDFqK
さくらさんたちの姿が見えなくなったころ、あの人が私に尋ねました。
「さくらたちが封印しに行ったのは、スルーとかいうカードだと言ったな」
「はい」
「通り抜ける、って意味のスルーだよな」
「はい」
「ひょっとして、星篠高校で、さくらが空中から抜け落ちて来たときのカードか?」
「はい」
私がそう答えると、あの人の表情が険しくなりました。
「あの時、君がいたからこそ、さくらは大丈夫だったんだ。今回は、大丈夫か?」
「さくらさんとすみれさんなら、きっと、大丈夫です」
私は笑顔を作って、答えました。けれども、やはりわかっていたのでしょうか、
あの人の表情は厳しいままでした。
「どうしたんですか?」
龍平さんと大道寺さんが心配そうに聞いてきました。
「さくらたちが心配だ。龍平、龍平はカードの気配はわかるか?」
「うん。学校の方向から感じるよ」
「よし、行こう」
私たちは友枝小学校へ向かいました。
114:CC名無したん
04/06/07 21:07 lPbAkA/V
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
>地上から撮っているはずなのになぜか上空からのアングルに
ワラタ
乙です!
115:CC名無したん
04/06/09 22:18 tUvnZhHi
ミラーと桃矢もキテル━━━(゚∀゚)━━━!!
アアアア続きが待ち遠しい…
116:126
04/06/14 01:55 boKNdDFf
「ケロちゃん、あれを見て!」
あたしは、魔力が強くなっているところを指差した。空に黒いうずまきのようなものが浮いている。
「あれが、スルーや。よっしゃ、中に飛び込むでぇー!」
「気をつけて、すみれちゃん。中に入ったら、ママといっしょにウッドを使うのよ」
「わかったよ、ママ」
「行くでぇー!!!」
あたしとママとケロちゃんはスルーのカードの中に飛び込んだ。
「す、すごい」
中はどうくつのようだった。スルーの魔力の流れがとても強い。
「いいわね、すみれちゃん」
「うん」
ママの声にあわせて、あたしはウッドのカードさんを取り出した。
「「木々よ、緑に繁り、我の助けとなれ!ウッド!」」
あたしのママのウッドさんから、木の枝がもうれつな勢いで伸びていく。
「そうや、その調子や!スルーの中いっぱいにウッドを繁らせるんや!」
117:126
04/06/14 01:56 boKNdDFf
「ここだよ。カードの魔力を1番強く感じるのは」
私たちは、友枝小学校の校庭にいました。日曜日ですから、私たちの他には誰もいません。
龍平さんも、カードの気配を感じる力は持っているようでした。
「はい、さくらさんたちは、この近くに現れると思います」
「ところで、さくらさんがスルーのカードを封印するときに、ミラーさんが何かされたのですか?」
大道寺さんが、あの人に聞きます。
「一瞬のことでよくわからなかったが・・・ミラー、説明してくれないか」
「はい。おそらく、さくらさんたちは、今、スルーのカードの中にいると思います。
スルーのカードを封印するためには、その中に一度入って、スルーしないで入り口に戻らなければ
ならないからです・・・ですが、スルーの中では、スルーの力が一番強いのです。
さくらさんとすみれさんの魔力では、入り口に戻れないでしょう」
「じゃ、あの時、君がしたのは・・・」
「あの時、私は鏡に戻りました。そして、スルーから抜けてきた、さくらさんたちを
同じ力で反射したのです。ですから・・・」
「そうか、それで・・・」
あの人は、ようやく納得したようでした。
「では、今回も、ミラーさんのお力で、すみれちゃんたちを入り口に戻せば、封印できる、
というわけですね。すばらしいですわ~」
そうおっしゃる、大道寺さんのとなりで、龍平さんが難しい顔をしていました。
「だめだよ、ミラーさん、そんなことをしちゃ!」
「・・・えっ」
118:126
04/06/14 01:58 boKNdDFf
「ぼくには、わかる。今度はだめだよ、ミラーさん」
「・・・」
私は、ことばを返すことができませんでした。
「どういうことだ、龍平?」
あの人の質問に、龍平さんが答えました。
「今度、そんなことをしたら、ミラーさんが割れてしまうんだ」
「なんだって?!」
「ママの時は、ミラーさんは、ママとケロちゃんだけをはね返せばよかったんだ。
けれど、今度は違う。ママとお姉ちゃんとケロちゃんをはね返さなくちゃいけないんだ。
お姉ちゃんの魔力も、ママと同じぐらい強いから、そんなに強い魔力をはね返そうとしたら、
ミラーさんがもたないよ!だから、だめだよ、ミラーさん!」
「・・・」
やはり、龍平さんにはわかってしまったようです。ですが、
「・・・ですが、このままでは、さくらさんたちが地面に激突してしまいます。
私がいれば、たとえ私になにかあっても、さくらさんたちは大丈夫です」
「だめだよ、ミラーさん!」
「やめろ、何か他の方法を考えるんだ」
「・・・ありがとうございます。カードの私をこんなに大切にしていただいて・・・
でも、私はカードですから・・・それに、もう、時間がありません。
ほんとうに、ありがとうございます・・・」
そして、私は真の姿である鏡に戻りました。
「ミラー!」
「・・・しっかり、私を支えてください・・・さくらさんたちを助けられるように・・・」
私は、真の姿のままで、あの人にお願いしました。
119:CC名無したん
04/06/19 19:39 hTN5IwFa
126氏キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
工エエェ(´д`)ェエエ工
ミラーたんが!ミラーたんが!
゚・(ノД`)・゚・( ノД)・゚・゚( ノ)・゚・( )・゚・(` )・゚・(Д` )・゚・( ノД`)・゚・
いや、126氏だったら最後はハッピーエンドで終わると思う!
いずれにせよ次回期待してます(;´Д`)
120:CC名無したん
04/06/20 11:49 kFgRd8Re
その意見に完全に同意です!
121:126
04/06/28 01:52 MpXWweEY
あたしとママのウッドさんから伸びた枝が、スルーの中全体に広がっていく。
「そうや、その調子や!カードキャプターの根性見せたれ!」
ケロちゃんのテンションが上がっていく。
「もっとや!枝が広がれば、スルーはわいらを押し流せんようになるんや!」
やがて、スルーの魔力の流れが弱くなってきた。
「うまくいった?」
「まだ、油断できないわ」
ママのことばに、あたしは杖を握りなおした。
「もう少しや!根性見せたれ!」
ケロちゃんのテンションが、さらに上がっていく。
そして、あたしたちはスルーの中で止まったようだった。
「止まった?」
「まだや。入り口まで戻れんと、スルーを封印できへん。油断しないで、もっと枝を繁らすんや!」
「「わかった!」」
あたしとママは、杖に力をこめる。
けれど、突然、スルーの魔力が強くなった。
「入り口に戻れるの?」
ママがケロちゃんに聞く。
「そのはずや」
次の瞬間、あたしたちはずんっ!とまた同じ方向に押し流され出した。
「ほ、ほぇ~っ!」
122:126
04/06/28 01:54 MpXWweEY
(ほ、ほぇ~っ!)
「お姉ちゃん!」
「龍くん、どうなさいました?」
「今、お姉ちゃんの声が」
「まぁ、わたしには何も聞こえませんが」
不思議がる大道寺さんに、私が答えました。
「私にも聞こえました。今のは、すみれさんの声です。スルーのカードの中から魔力の媒体を
伝わったものですから、魔力がない人には聞こえません」
「さくらとすみれは大丈夫なのか?」
あの人が聞きました。
「今は大丈夫です。・・・もうすぐ、おふたりはこの近くの空間から押し出されてきます。
おふたりを私の力ではねかえすことができれば・・・」
「だから、だめだよ、ミラーさん!そんなことをしたら、ミラーさんが割れちゃう!」
「どうにかならないのか?」
「・・・私がはね返さなければ、おふたりはきっとけがをしてしまいます。ですから」
「ですからって・・・それじゃ、だめなんだよ!」
龍平さんの声がうわずります。こんな龍平さんを見るのは初めてです。
「あれを・・・黒いうずまきが・・・」
大道寺さんが空を指差しました。
「・・・あそこから、さくらさんたちが現れます。もう、本当に時間がありません。
さくらさんたちを助けられるように、しっかりと私を支えてください」
「・・・ミラー・・・」
「お姉ちゃん、ミラーさんを助けて!」
123:126
04/06/28 01:55 MpXWweEY
(お姉ちゃん!)
「ほぇ?今のは龍平の声?」
あたしは、突然、龍平の声が聞こえたのでびっくりした。
「ケロちゃん、今、龍平の・・・」
あたしが、そう言い終わらないうちに魔力の流れがまた激しくなった。
「ほえ~っ!」
もう、ママとケロちゃんがどこにいるのかわからない。
ウッドさんでは、うまくいかないんだ。
このままでは、あたしたちはどこかに流されてしまう。それじゃ、だめなんだ。
「そうだ!」
あたしは、別のカードさんを取り出した。
「ロープ!」
あたしの杖から、ロープが伸びていく。
スルーの中にはロープをひっかけるようなところはなかった。
入り口まで、ロープを伸ばさなければいけないんだ。
(お願い。入り口まで伸びて!早く!)
けれども、あたしを押し流す、魔力のスピードはますます上がっていった。
「ほぇ~っ!間に合わないよぉ!」
124:126
04/07/12 01:16 cg6E9l+D
「うずの流れが速くなった!お姉ちゃんたちが、出てくるんだ!」
龍平が、空を指差す。
「来ます!」
ミラーの声と同時に、空間から魔力の流れが噴き出してきた。
「流れが、ふたつに分かれてる!」
スルーの中で、すみれがロープのカードを使ったため、すみれのスルーされるタイミングが
変わってしまったのだ。ひとつの流れはミラーへ、もうひとつの流れは龍平へと向かっていく。
(これは、お姉ちゃんだ!)
自分に向かってくる魔力の流れを見て、龍平は思った。
(逃げちゃいけないんだ。ここでぼくが逃げたら、お姉ちゃんが地面にぶつかっちゃう!)
龍平は、両手を伸ばして姉を受け止めようとした。
「龍くん!」
知美の叫びが響き渡った。
その次の瞬間、
「すみれ、だいじょうぶか!?」
125:126
04/07/12 01:17 cg6E9l+D
「すみれ、だいじょうぶか!?」
「ケロちゃん!」
あたしは、ケロちゃんの声で気がついた。気を失っていたようだ。
「なんとか・・・だいじょうぶみたい・・・ママは?」
「さくらもだいじょうぶや。少し先を飛んでおるでぇ!」
ロープを使った後、スルーの魔力の流れが急に速くなったのは覚えている。
「どうなったの?」
「さくらの時とおんなじや。スルーのやつ、わいらを入り口に戻しとる。
ウッドを繁らせたんが、今回もうまくいったんや。この流れが弱まらんうちに、入り口に急行やで!」
「うん!」
あたしは、フライのカードさんを取り出した。
「フライ!」
フライで飛んでいくと、ママの背中が見えてきた。
「ママ!」
「もう少しで入り口よ。すみれちゃんもがんばって!」
「うん!」
「そうや、その調子や。カードキャプターの根性見せたれ!」
あたしは、杖を握りなおした。
そして、あたしたちはスルーの入り口から抜けることができた。
振り向くと、空間がうずを巻いている。封印するなら、今だ。
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
あたしは、封印の杖を振りおろした。
126:126
04/07/12 01:18 cg6E9l+D
まもなく封印されたスルーがカードになって、あたしの手にすべりこんできた。
「やったぁ!」
「よくやったわね、すみれちゃん」
ママもうれしそうだ。そして、ケロちゃんも・・・
「ほぇ?ケロちゃんは?」
あたしはケロちゃんの声が聞こえないので、まわりを見渡した。
「うぐうぐ」
あたしの頭の後ろから、ぐぐもった声が聞こえてくる。
「・・・なに?」
あたしはちょっとこわくなった。けれど、声がするのは頭のすぐ後ろだから見えない。
「ケロちゃんよ」
ママが、笑いをこらえながら言った。
「すみれちゃんは封印中にフライのカードを使えないから、すみれちゃんが落ちないように、
ケロちゃんが、口でえりをつかんでいるのよ」
「そっか」
「うぐうぐ」
ケロちゃんのうぐうぐが大きくなった。
「すみれちゃん、早く、フライのカードを使って。ケロちゃん、大変だから」
「ご、ごめんなさい」
あたしは、急いでカードを取り出した。
「フライ!」
127:126
04/07/12 01:19 cg6E9l+D
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ほんま、しんどかった・・・」
あたしがフライさんを使うと、ケロちゃんはようやく、えりから口を離してぜぇぜぇしていた。
「ありがとう、ケロちゃん」
「・・・ほんま、気ぃつけえやぁ。さくらのとちごうて、すみれのフライは杖に羽を生やすタイプ
なんやから、いきなり空中で封印なんてしよったら、落ちてまうんやで」
「ごめん、ごめん。これから気をつけるよ」
「すみれちゃん、上を見て!」
そのとき、ママがあたしに言った。
「上って、何?」
見上げると、何かがゆっくりと落ちてくる。あたしは、手を伸ばして、それを取った。
「ママ、これって・・・」
「スルーがスルーした絵よ。よかった、戻ってきて」
それは、けさ、ママが見つめていた『微笑み』という絵だった。
「まだかすかにサイレントの気配が残っとる。そやから、スルーのやつ、仲間やと思って
あないに強引にスルーさせたんやな」
「じゃ、スルーさんって、悪いカードってわけじゃないんだね」
「そういうこっちゃ。次は、どうにかして、この絵を返さなあかんな。
それには、まず、地上に降りて考えよか」
「うん」
あたしたちは、絵が風に飛ばされないように、ゆっくりと地上に降りていった。
それまで気がつかなかったけれど、あたしたちがいたのは友枝小学校の上空だった。
「あれは・・・龍平と知美ちゃん?」
128:CC名無したん
04/07/12 08:51 nlvAiki8
126氏乙
129:CC名無したん
04/07/13 17:58 xA5SYS8T
小狼君、誕生日おめでとう!
130:126
04/07/26 00:34 Q+NRr3zg
「ママ、お姉ちゃん、だいじょうぶ?」
あたしたちが地面に降りると、龍平が心配そうに聞いてきた。
「だいじょうぶよ。でも、どうして龍くんと知美ちゃんが、ここにいるの?」
ママが聞き返すと、知美ちゃんが
「龍くんがカードの気配を追いかけて、ここに来たのですわ。すみれちゃん、ご無事でしたか?」
「うん、なんとか、スルーのカードを封印できたよ。スルーされた絵も戻ったし」
あたしは、龍平と知美ちゃんに絵を見せた。
「すばらしいですわ~。でも・・・」
知美ちゃんが、ため息をついた。
「すみれちゃんがカードを封印するところを撮影できませんでした・・・」
知美ちゃんがブルーになると、ややこしくなりそうなので、あわてて、あたしは話題を変えた。
「ところで、桃矢おじさんとミラーさんは?」
「ミラーさんがお疲れなので、桃矢おじさまとふたりで、先にすみれちゃんのお家に戻られました」
「ミラーさんが?」
ミラーさんが何かしたのかな?と思って、あたしがそう聞くと、龍平がなにか言おうとしたけど
「それは・・・あとでお話しますわ」
「「ほぇ?」」
あたしとママは、顔を見合わせた。
131:126
04/07/26 00:35 Q+NRr3zg
ここで、時間が少しさかのぼります。
「龍くん!」
大道寺さんの声を聞いたその時、私の身体は強烈な衝撃を受けました。
鏡である私が、さくらさんとケルベロスさんを包んだ魔力の流れをはね返したのです。
次の瞬間、私はさくらさんの姿に戻ろうとしました。
「お、おい、だいじょうぶか?」
あの人の声が聞こえてきます。ほんの一瞬のはずなのに、とても長い時間のようでした。
すっかり魔力を消耗してしまった私を、立てなくなるほどの眠気が襲ってきます。
(あれは・・・?)
薄れていく意識の中で、私は龍平さんを見ました。
「お、おい、しっかりしろ!」
あの人の声が遠くなっていきます。
「・・・だ・・・い・・・じょ・・・ぶ・・・さ・・・く・・・ら・・・さ・・・ん・・・も・・・
す・・・み・・・れ・・・さ・・・ん・・・も・・・」
私の意識は、そこで途切れたようでした。
「ミラー!」
132:126
04/07/26 00:36 Q+NRr3zg
(今のは・・・?)
その時龍平は、自分の両手を呆然と見つめていた
「ミラー!」
桃矢は、意識を失ったミラーを力いっぱい抱きしめた。桃矢の声を聞いて龍平は我に返った。
「ミラーさん!」
ミラーと桃矢のところに、龍平と知美がかけよった。
「・・・馬鹿野郎・・・」
そんな声にならない桃矢の声を聞きながら、龍平はミラーのひたいに手をあてる。
「まだ、魔力を感じる。おじさん、ミラーさんはだいじょうぶだよ」
「・・・ほんとうか?・・・」
「うん。まだ魔力が残っている。ママの魔力が途切れなければ、時間がたてば回復するよ」
「・・・そうか・・・」
3人は、ミラーの顔をのぞきこんだ。
「とても、お優しい寝顔ですわね」
「ああ」
知美のことばに、桃矢はうなずいた。
133:126
04/07/26 00:37 Q+NRr3zg
「さくらもすみれも無事なようだ。この子が言っていた」
「では、ミラーさんがさくらさんたちをはね返すことができたのですね?」
「ううん。ミラーさんが反射したのは、ママとケロちゃんだけだ」
「「え?」」
龍平のことばに、桃矢と知美は驚いた。
「お姉ちゃんは、ぼくがはね返したみたいだけど・・・」
「はね返したみたいって?」
「よくわからないんだ」
龍平は自分の両手を見ながら、答えた。
「さくらさんとすみれちゃんは、まだカードを封印しているはずです。おじさまはミラーさんを
連れて、先に戻られてはいかがでしょうか?」
知美の提案に、桃矢は答えた。
「いいのか?」
「ええ。さくらさんたちが戻られるまで、もう少しかかると思いますわ。
車を呼びますから、それをお使いください」
「ありがとう」
知美はケータイを取り出した。
30秒もたたないうちに、黒塗りの車が見えてきた。
134:CC名無したん
04/07/26 17:31 b9vCra28
ひっさびさにキタ━━━━━━━━━
━━━━━━(゚∀゚)━━━━━
━━━━━━━━━━━!!!!
龍平に何があった━━━━(゚∀゚)━━━━━!!??
135:CC名無したん
04/07/26 20:12 o5y0n9dE
ミラーたん(;´Д`)ハァハァ
136:CC名無したん
04/08/06 12:49 XvJEDedK
ageとくか。おもろいし。
137:126
04/08/09 01:32 yNyOUf6D
話は戻ります。
「この絵は見たことがありますわ」
「知美ちゃんも知ってるの?」
「ええ、母の撮ったビデオにありましたわ。さくらさんがサイレントを封印した時の絵ですわ。
そのとき、絵を元に戻そうとしていた橘さんが、今の美術館の館長ですのよ」
「ほぇ?あの優希ちゃんが?」
知美ちゃんの話を聞いて、ママがびっくりしていると
「それより、この絵、どうするの?返さなくちゃいけないんだよ」
龍平が心配そうに言った。
「カードのことは信じてもらえないだろうし・・・」
龍平の言うとおりだ。
「このまま返しに行ったら、ぼくらが泥棒にされちゃうよ」
「泥棒!」
ママの頭の上に、電球が点いた。ずいぶん昔風だ。
「龍くん、それだよ!」
「ママ?何か思いついたの?」
ママはあたしの質問に答えないで、知美ちゃんに言った。
「知美ちゃん、お願いがあるの」
138:126
04/08/09 01:34 yNyOUf6D
その夜のこと。
「では館長、私はお先に失礼します・・・あの、明日も早くなると思いますので、館長も早く・・・」
「ありがとう。私も、もう少ししたら帰ります」
秘書の気遣いに感謝しながら、橘は答えた。
「では、お先に失礼します」
ドアが閉じられると、橘は椅子にすわりこんだ。
「・・・・・」
今日は長い1日だった。友枝フィギュア・コンテストの開催中に鳴り響いた警報。
そして警報が鳴り止んだときには、最も貴重な絵が館内から消えていたのだ。
そして、その騒ぎを受けて深夜まで続いた、館内の調査、警察の捜査、マスコミへの対応。
今、やっとそれらが途切れたのだ。
「・・・パパ」
その絵は、美術品として貴重なだけではない。彼女の父が彼女のために描いてくれた絵でもあるのだ。
幼いころに、この世を去った父。彼女は、大好きだった父と同じ画家になろうとした。
しかし、彼女は画家としての才能には恵まれなかった。それでも美術史と経営学を修めて、
大好きな父の絵のある、友枝美術館の館長となることができたのだ。
そのときだった。
「ひさしぶりやなぁ~」
突然、館長室に声が響き渡った。
139:126
04/08/09 01:36 yNyOUf6D
「覚えとるかぁ~わいはここの守り神やぁ~」
「な、なに?」
驚いていると、壁に影絵が浮かび上がった。
「こ、これは・・・」
この影絵には見覚えがあった。
「思い出してくれた、腹話術?」
もうひとり、聞き覚えがある女の子の声がした。
「あ、あなたは?」
いつのまにか人影があった。手に、ぬいぐるみと杖を持っている。
「おひさしぶり、優希ちゃん、あ、橘さんって呼ばなきゃいけないかな?」
「う、うそ?あのときの怪盗?」
思い出した。誰かにいたずらされていた父の絵が元に戻ったときにいた怪盗が、そこにいたのだ。
「で、でも、どうやってここへ?」
驚くのも無理はない。館長室に来るには、セキュリティシステムを突破しなければならないのだ。
だが、さくらたちはスルーを使ってここまで来ていた。
「わたしたちは華麗なる怪盗ですもの」
となりに、もうひとりの女の子がいた。知美だ。
「あなたたちは・・・」
信じられなかった。父の絵が元に戻ったのは、もう何十年も前のことだ。
それなのに、目の前に現れたふたりは、あのときのままだった。服装も年齢も・・・
140:126
04/08/09 01:38 yNyOUf6D
驚いている橘に、さくらは言った。
「ごめんなさい。きょうの騒ぎは、わたしたちの仲間が引き起こしたの」
「あなたたちの仲間って・・・」
さくらは振り向いて
「来て」
さくらの後ろから、もうひとりの怪盗が現れた。さくらと同じ服装を着ている。すみれだった。
「ほんとうにごめんなさい。絵はお返しします」
すみれは、絵を差し出すとペコリと頭を下げた。
「あ、ありがとう」
思わず、橘も絵を受け取る。
「確かに・・・これはパパの『微笑み』・・・」
「じゃあ、橘さん、確かに絵はお返ししました。わたしたちはこれで帰ります。いつまでも元気でね」
「あ、あの」
「わたしたちは華麗なる怪盗ですもの。ぐずぐずしていて捕まるわけにはまいりませんの」
「お父さんの絵、大切にしてください」
すみれが最後のことばをかけると同時に、さくらとすみれは再びスルーを使った。
「どうやら今回の事件は、これでおさまりそうですわね」
「ああ、現場をいくら調べても何も出てこないし、橘さんも、さくらさんたちのことを話すわけには
いかないし、捜査は迷宮入りだろうけど、絵が戻ったから、それで終わりになるだろうね」
「ところでエドワード、すみれさんを反射したのは?」
「発動が間に合ってよかった。また騒ぎになるんだろうけど」
「楽しそうですわね」
「ああ」
141:126
04/08/09 01:40 yNyOUf6D
そのふたりの影が消えたころ、さくらたちの姿が公園に現れた。
「楽しかったですわ。さくらさんとご一緒していた、母の気持ちがわかりますわ」
知世おばさんの服を着た、知美ちゃんはほんとうに楽しそうだ。
「それにしても、あの時と同じコスチュームで絵を返しに行くなんて、さくらも、
おもろいことを考えつくもんやな」
「うん、龍くんが『ぼくらが泥棒にされちゃうよ・・・』って言ったから、思いついたんだ。
それに知世ちゃんがバトルコスチュームを全部とってあるのを知ってたから。
知美ちゃん、すみれちゃんのコスチュームを用意してくれてありがとう」
「そんなことなら、おやすい御用ですわ」
そのとき、あたしのケータイの着メロが鳴った。龍平からだ。
「龍くんから、なに?」
「ミラーさんが目を覚ましたって。それに、桃矢おじさんがおやつを作って待っているそうだよ」
「わ~い、おやつやぁ!」
ケロちゃんが喜ぶ。
「それでは、ミッション・コンプリートですわね、すみれちゃん」
「うん!」
<すみれの怪盗初挑戦!?:終劇>
142:CC名無したん
04/08/09 03:39 Fy0UOXcM
126さん乙です。
143:CC名無したん
04/08/09 03:43 Fy0UOXcM
ついでに、1の過去ログが読めない人のために。
URLリンク(makimo.to)
144:CC名無したん
04/08/09 09:43 nyOi+9Mo
>>126
乙です
145:CC名無したん
04/08/12 12:11 lFpc+lyO
>>143も乙。
146:126
04/08/15 23:07 vxTot53J
次回予告
いつもの時間に目が覚めた、日曜日の朝。
寝ぼけた頭でクローゼットに行くと、お気に入りの服がなかったの。
おかしいなぁ?お洗濯に出したのかな?と思いながら
朝ごはんを食べに1階におりて行くと
ほぇ~!あなたは?
カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれともうひとりのすみれ
次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
147:126
04/08/15 23:09 vxTot53J
ということで、次回のお話は前スレ 561 氏のお話の続きです。
148:前スレ561
04/08/15 23:11 vxTot53J
「…」
金曜日の夜、あたしはのんびりとテレビを見ていた。
そして後ろに貼りつくように座っているのは
「すみれちゃ~ん…怖いよ~、他の番組にしようよ~。」
「ママ、そんなに怖いならあっちの部屋に行っていればいいのに。」
そう、この番組は色んな「怪談」をドラマにして放送しているのだ。
「だって…一人になった途端、このお化けが出てきそうで…。」
「ケロちゃんに一緒に居てもらえば大丈夫でしょ。」
「それは…そうだけど…。」
そんな事を言っている番組が進行し、別のお話になる。そのタイトルは…
「「二人の自分」?なんだろう」
「やっぱり…また怖いのだよね~。」
話が進行するうちにタイトルの意味が分かってきた。
「ドッペル・ゲンガーやな、これならさくらも怖ないやろ」
何時の間にか部屋に入ってきていたケルベロスが解説する。
そういえばママの座っている位置が少し遠くなっている。
「なんせさくらは身をもって体験したからなぁ」
「ほえ?」
ママは不思議がるあたしを見て微笑むと、いきなり星の杖の封印を解く。
「ミラー!」
「鏡」の名前を持つ精霊が召喚される、その姿が一瞬歪み…
…次の瞬間さくらは二人になっていた。
「さくらがカードを封印してた時にコイツがさくらに化けてな
で、それをさくらがドッペルゲンガーと勘違いして…あの時の怖がり方は笑えたなぁ…」
「ケロちゃん!」
「ヒッヒッヒ…ん?そういえばあの時さくらに占いの方法を教えたんやったな」
「占い?」
「そや、クロウカードを使った占いや、予知のできるクロウ本人が考えた方法や、
良っく当たるんやで~。…なんせアイツはそれで怨みをかったほどの…ブツブツ」
149:前スレ561
04/08/15 23:12 vxTot53J
なにやら過去の良くない思い出にぶつかってしまったケルベロスをそのままに
さくらはカードを取り出すと
「…すみれちゃんにも教えてあげる、これをこうして…」
カードの配置がきまる。
「…あれ?これって…」
「どうしたんや?なんやロクでもない結果がでたんか?ん~?」
一瞬さくらとケルベロスが硬直する。
「どうしたの?二人とも…」
「同じ」「同じや」
「ほえ?」
「これが意味するのは「すみれにそっくり」…つまり…」
「もうすぐ「ミラー」があらわれる…。」
「不思議なもんやなぁ、こういうのを因縁って言うんや」
「まぁ…先に分かって良かった、という事かな」
―次の朝
「ほえ~…」
日曜の朝だと分かっていても相当早く起きてしまった。
あたしは寝ぼけた頭のままお気に入りの服に着替える。
階段をおりてゆくと朝ごはんの匂いがする。
「ママ、おはよ」
「早いわね、すみれちゃん、ごはんはちょっとまっててね」
「はーい。」
窓の外はいい天気、散歩にでも…と思ったところで弟の事が思い当たる。
「ママ、龍平起こしてくるね。」
龍平の部屋のドアを空け中に入る。
起きていても寝ているような龍平を起こすのは一仕事だ
150:前スレ561
04/08/15 23:12 vxTot53J
「ほえ~」
日曜の朝、でも起きるのはいつも通りの時間
あたしは寝ぼけた頭のままお気に入りの服に…
「ほえ?」
寝ぼけた頭をぶんぶんと振って目を覚ます。
「…おかしいな…洗濯してるんだっけ」
仕方なく別の服に着替える。と
「ふわぁ…なんや、すみれ、さっき起きたんやなかったんかいな」
「ケロちゃんまで寝ぼけてる…変なカードでもいるのかな?」
階段を降りてゆくと朝ごはんの匂いがする。
「ママ、おはよ」「おはよう、さくら」
「あれ?龍くんを起こしてくれるんじゃなかったっけ
それに…服着替えた?…???」
「ママまで…やっぱりクロウカードのしわざかな?」
「カードの気配は無いで?」
テーブルについた時、階段を誰かが降りてくる。
「龍平~、お…
思わず言葉を飲みこむ。なぜなら
「お姉ちゃんが…」「すみれちゃんが…」「すみれが…」「「あたしが…」」
次の言葉はみんな同じ
「「「「「二人!?」」」」」
151:126
04/08/15 23:15 vxTot53J
あたしたちがしばらく固まった後、
「あ~、もうあかんな」
龍平のそばにいた、もうひとりのあたしがぺロリと舌を出した。
「気配も消しとったし、もうすこしすみれちゃんになりきりたかったんやけどな」
「お、大阪弁?」
あたしたちの頭に大きな汗が浮いた。
そしてあたしは、あの占いを思い出した。
「あなたは、ミラーね」
「そうや」
にっこり笑って、もうひとりのあたしが答えた。
「すみれ、封印や!」
「うん!」
あたしは呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
封印の杖の手にしたあたしに、もうひとりのあたしは
「イカスやないか~。それが、魔法少女の決めポーズなんやなぁ~」
「・・・」
なんか、とってもやりにくい。
「すみれ、なにやっとる!ちゃちゃっと封印や!」
ケロちゃんに言われたあたしは、
「わかってる。汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
もうひとりのあたしに向かって封印の杖を振りおろした。
152:CC名無したん
04/08/16 01:36 1O0dL3pF
キタ━━━━(゚∀゚)━━━!!
か、関西弁のミラーたんキタ━━━(゚∀゚)━━━━!?
153:CC名無したん
04/08/16 12:01 R7bnxeRj
大阪弁ワロタw
154:CC名無したん
04/08/16 20:18 bcuNFf33
もしやショタっ子か!?
(;´Д`)ハァハァ
155:126
04/08/23 01:16 YvfUS4DC
ピン!という音がして、封印の杖の先にカードの形が浮かび上がった。
そして、もうひとりのあたしが封印される・・・と思ったとき
シュボッ!
聞きなれない音がして、あたしははね返されて
「キャッ!」
思わず床にしりもちをついてしまった。
「すみれちゃん!」
みんながかけよってくる。
「だいじょうぶ?」
最初にあたしに手を差し出したのは、もうひとりのあたしだった。
「あ、ありがとう」
その手を取って、あたしは立ち上がった。
「うちを封印するには、まだまだ修行が足りんようやな」
「んな、あほな。すみれは、ちゃんとミラーのカードやと言ったで」
ケロちゃんが興奮して言った。
「うちは特殊カードやからな」
「そやから、すみれはお前の正体を・・・ひょっとして?!」
「そうや。そのひょっとしてや。うちは確かにクロウ・カードやけど、うちを封印するには
妹とは別の方法が必要なんや」
「なんやて?!」
156:126
04/08/23 01:17 YvfUS4DC
「じゃ、あなたを封印するにはどうすればいいの?」
あたしの質問に
「さぁ~なぁ~。それを教えたら、番組にならないやろ」
ズザーッ(←すみれたちがコケる音)
「た、確かにそうね」
あたしは、いつのまにかほっぺについていた、ばんそうこうをはがしながら答えた。
「そうや。うちの主(あるじ)になるんには、そのぐらい当ててもらわんとな」
もうひとりのあたしは、にっこりと笑った。そして
「みんな、朝ごはん、まだやろ。うちは逃げも隠れもせんから、朝ごはんにしようやないか」
「そ、そうね」
勢いに押されて、あたしたちは答えた。
「さくらはん」
「はい?」
突然名前を呼ばれて、ママはあわてている。
「せっかくやからお手伝いします。すみれちゃんに封印してもらうまで居候させてもらうわけやし」
「そうね。じゃ、お願いするわ」
・・・ちょっとヘンな感じだけど、悪いカードさんじゃなさそうだし、まぁ、いいか。
157:126
04/08/23 01:20 YvfUS4DC
「いただきまぁーす」
あたしたちは、朝ごはんを食べ始めた。
「これ、あなたがつくったの?」
「そうや」
あたしは、ちょっぴり驚いた。オムレツがとってもふんわりとできあがっている。
「ママも見てて、びっくりしちゃった。とってもじょうずなんだもん」
「まぁな」
そう答えて、もうひとりのあたしはトーストにジャムをぬっている。
「あなたも食べるの?」
「あかんか?」
「そうじゃないけど、カードなんでしょ?」
「そうや。けど、食べたら、少しは足しになる」
「足しになるって?」
「うちは、主(あるじ)がいない状態やろ?つまり、魔力をくれる人がおらんわけや。
クロウはんにもらった魔力が残っているうちはいいけど、このままやといつか魔力が途切れて
うちは消えてしまうんや」
「・・・」
「そないな景気悪い顔すんな」
もうひとりのあたしは、だまりこんだあたしをみて、すこしあわてて言った。
「クロウはんの魔力はまだ残っておるし、たくさん食べれば、少しは足しになる。
すみれちゃんは、あせらず、うちを封印すればいいんや」
「うん、がんばる」
そう答えると、あたしはジュースを飲みほした。
158:CC名無したん
04/08/23 03:11 YgE4rI0S
126氏乙です。最近ペースいい感じですね。
159:CC名無したん
04/08/23 23:00 WLApDcXA
姉妹ミラーたんキタ━━━━(゚∀゚)━━━!!
160:CC名無したん
04/08/24 17:36 dPTtOAP6
126氏キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
ミラー(姉?兄?)たんが番組のことを考えているのが笑えました。
次回も楽しみです。
161:CC名無したん
04/08/26 19:06 nBHnAnYq
>>126氏のミラー編が一段落したら漏れが今書いてる
番外編「知世の回想 ダスティン=ホフマンさんにはなれませんでしたわ。」
を投下しようと思ってまつが、OKでつか?
162:CC名無したん
04/08/26 19:47 TnejKWGb
別に聞く必要はないと思うが
163:CC名無したん
04/08/26 20:31 nBHnAnYq
>>162
こっち向いてよ小狼くんスレが
急なネタ投下とかから寂れてしまってるから
このスレをそんな風にしたくないんで。
自分の周りだけ時の流れが遅すぎると
泣いてる知世様に(*´Д`)ハァハァ
164:CC名無したん
04/08/26 21:44 V2RwPCBm
知世関係なら「知世ちゃんが最高」スレッド
スレリンク(sakura板)
に今すぐ落とそう。
~~~~~~
165:CC名無したん
04/08/26 22:23 nBHnAnYq
>>126さんの話の
番外編みたいにして書いてみたいんでつ。
知世様もさくらたんも子供を持つようになっても
知世様のさくらたんの思いは昔と変わらないことに
自分の周りだけ時の流れが遅すぎるって嘆くみたいな感じで。
166:165
04/08/26 22:24 nBHnAnYq
間違えて書き込みボタンを押してしまいました
>>165は
>>164さんに対してです
167:126
04/08/26 23:29 hhG7FSfj
ケロちゃんにおまかせ!
こにゃにゃちわー!
みんな、夏休み楽しんどるかあ?
そろそろ宿題始めとかんと、今週のさくらみたいに地獄みるでぇ!
きょうは、>>161 さんのことを >>126 に聞いてきたでぇ。
メモをここにもらってきておる。なになに・・・
『今のお話が終わるのは10月になると思います』
なんやと。
てなわけで、>>161 さん、書くんやったらちゃっちゃと書いたほうがええと思うでぇ。
なにしろ、今の話はうちが主人公の大スペクタクルやから、ちょっとやそっとじゃ終わらん・・・
うあ、あ、なにをあqwせdrftgy!
「だまらんかい、大阪弁のミラー!すみれに封印してもらう前に、わいの姿になるやなんて、
ええ根性しとるやないけ!」
「うわ~、ばれたかぁ~!」
「当たり前や!お前は≒л☆㊦なんやからな!」
「か、堪忍や!それだけは言わんといて!それがばれたら、うちが主役はれんやないかぁ!」
・・・てなわけで、これからますます盛り上がる
『カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち』
みなも楽しみにしててぇな。ほななぁ~。
168:161
04/08/26 23:49 nBHnAnYq
>>126=167
10月に完結されるのですか。
それならもっと即席で作ったネタをおもしろくして
161の考える126さんの作品の私なりの解釈として126さんが新作を書かれている間の
繋ぎとして準備しておきます。
妙なところで割り込んだら、こっち向いてよ小狼くんスレみたい
になってしまいますから
169:CC名無したん
04/08/27 05:34 eZl6Ys2w
>>161=165=166=168
読者としては、投下してくれるのはありがたいがここはsage進行なんだから、sageてくれ。
良スレなのに>>65-66のようになってはかなわん。
170:161 ◆B.qU2.hSgA
04/08/27 12:02 uh+VSGht
>>169
スマソ
あとトリップつけてみた。野球実況のホークス戦のスレにも
このトリップでたまに来てるからよろしくw
171:CC名無したん
04/08/28 14:54 qECVJCLK
マジレスするが
下手に気を回すの逆効果だから
馴れ合わない方がおまえの、
それとスレのためだ
172:126
04/08/30 00:24 IIBZZxaO
「ごちそうさまぁ」
ママともうひとりのあたしは、キッチンで後片付けを始めている。
「いいのよ、そんなに手伝わなくても。あとは食器洗い機がやってくれるから」
「そやかて、うち、居候やし。あ、そやったら食後のお茶を入れましょうか?」
「じゃ、お願いしていいかしら」
なんか、昔のホームドラマみたいな会話だ。
「そうや、さくら」
「なに、ケロちゃん?」
「さっきから考えとったんやが、すみれの格好しとるミラーの名前、考えようやないか?
ミラーはミラーなんやけど、さくらのミラーとまぎらわしいさかい」
「気ぃつこうてくれて、ありがとな」
もうひとりのあたしが、ポットを持ってやってきた。
そのあとから、ママがカップやスプーンをトレイで運んでくる。
「じゃ、みんなで名前を決めててくれない?ママは、これからお洗濯だから」
あたしは窓の外を見た。きょうはとってもいい天気だ。これなら、ママじゃなくても
洗濯してみたくなる。
「うん、わかったよ」
「それじゃ、決まったら教えてね」
そう言って、ママはリビングを出て行った。
173:126
04/08/30 00:25 IIBZZxaO
「・・・さぁてと」
ケロちゃんは、スプーンをカップの中でかき混ぜながら言った。
「おまいさんの名前だが・・・ミラーじゃないとしたら、なんがいい?」
「そうやなぁ・・・うちはかわいいし、性格もいいし、おしとやかやし、アイドルデビューを
ねらえる名前がええな」
「・・・」
あたしたちの頭におっきな汗が浮いた。
「それはおいおい考えるとして・・・鏡にちなんだ名前がええやろな」
ケロちゃんがつぶやくと、もうひとりのミラーさんの顔がぱっと輝いた。
「そやったら、フランス語なんかどうや?ミラーのフランス語。
カトリーヌとか、きっとうちのイメージにぴったしや!」
「・・・今、調べてみるよ」
龍平がケータイを取り出した。こういう調べものは、龍平が得意なんだ。
「フランス語で『鏡』っていうと・・・『ミルワール(miroir)』って言うみたいだけど」
「なかなかやないか、ミルフィーユみたいで。これで、うちのアニメ化も決まりやな!」
勝ち誇ったミルワールさんのバックで花火が上がっている。
けれども、龍平はケータイの画面を見て
「・・・でも、これ m ってついている。ミルワールって、男性名詞だよ」
「なんやってぇぇぇっ!」
場面急展開だ。
「いやや、そんなん最低や!フランス語はよう知らんけど、こんなにかわいいうちに、男性名詞
なんて付けたらあかん!」
ミルワールさんは龍平に詰め寄ると
「他を探せぇ!うちにぴったりの名前を探すんや!」
174:126
04/08/30 00:27 IIBZZxaO
「じゃ・・・ドイツ語だと・・・『シュピーゲル(Spiegel)』・・・だけど・・・」
「おちょくっとんのか、おのれは!」
シュピーゲルさんの顔が10倍ぐらい大きくなった。
「そないな怪獣みたいな名前、お断りや!」
「・・・だね・・・それに・・・これも・・・男性名詞」
龍平のひとことで、シュピーゲルさんのバックで炎が燃え上がった。
次の瞬間、
「そうや!ヨーロッパがあかんなら、ラテンはどうや?ブラジルなら、きっと陽気で
みんなを幸せにするうちにぴったりな名前になるはずや!」
シュピーゲルさんって、気持ちの切り替えが早いらしい。
「うん、ブラジルだと・・・ポルトガル語だよね」
龍平がケータイを操作する。そして・・・
「鏡のことは『エスペーリョ(espelho)』って言うんだけど・・・」
「なんやとぅ!」
エスペーリョさんの顔が、また10倍ぐらい大きくなった。
「そないなへらへらした名前、付けられる身になってみぃ!うちはかわいくて、性格良くて、
おしとやかなんや!」
自分の姿で、こんなせりふを何回も言われると複雑な感じだ。
そして、エスペーリョさんの気持ちはまた切り替わった。
「じゃ、アジアの言葉はどうや?たとえば中国語なんかは?」
そう言われて、あたしと龍平は思わず顔を見合わせた。
「どうしたん?ケータイで調べんのか?」
「中国語なら調べなくてもわかるから・・・」
あたしと龍平は、もう一度顔を見合わせた。
175:126
04/08/30 00:30 IIBZZxaO
「中国語だと『ジンズ(鏡子、jing-zi)』になるけど」
「なんやて?」
ガーンって感じでジンズさんは固まった。やっぱり、気に入らないようだ。
「じゃ、お隣の韓国はどうや?」
ジンズさんがこりずに聞くと
「コウル、だね」
龍平がケータイを見ながら言った。コウルさんは脱力した。
そしてしばらくして、
「かわいいのがあったよ。チュルミン(cermin)って、インドネシア語」
「あたしもかわいいと思うけどな、チュルミン」
けれどもチュルミンさんは
「チュルミンやったら、うちよりも、このぬいぐるみの方がぴったりや。なぁ、チュルミン」
「何がチュルミンや!わいは、封印の獣、ケルベロスやで!」
こうしてあたしたちの間では、チュルミンさんの名前がなかなか決まらなかった。
決まったのは、お洗濯がひと段落ついて、ママが戻ってきてからだった。
「どう?ミラーさんの名前決まった?」
「それが・・・」
ママは、あたしたちの話を聞いて、
「それなら、『かがみさん』でどうかな?」
「それ、いただきや!」
最後はとてもあっけなかった。
こうして、もうひとりのミラーさんのことを『かがみさん』って呼ぶことになったんだ。
176:CC名無したん
04/08/30 12:01 YyCEXbly
かがみんかがみん(;´Д`)ハァハァ
177:161 ◆B.qU2.hSgA
04/08/30 12:51 mYbSMzM9
>>126さん、乙です
今日は鷹-公戦が中止なので
繋ぎとして>>127-130みたいに間が空いたときに読めるような
回想形式の話を書けます。(プロ野球関係の板見ている時間の方がさくら板より長いんで)
178:CC名無したん
04/08/30 18:48 YStZ0NVz
チュルミンワラタ
かがみさんでときメモ思い出した。
もう何年前だ…。
179:126
04/09/05 22:34 +BWfFl7E
「ほんま、いい名前付けてくれて、ありがとうな、さくらさん」
さっきまでと違って、かがみさんは上機嫌だ。
「そうや、もう10時やけど、さくらさん、きょうのお昼ご飯、メニュー決まってます?」
突然、かがみさんはママに話をふった。
「そうね、まだ考えてないけど」
「そやったら、お好み焼きはどうやろ?居候させてもらうんやし、お昼ぐらいは、うちが作ります」
「おお!ええ心がけや!」
ケロちゃんが飛びついた。
「お好み焼きやったら、モダン焼きはどうや?お好み焼きは、やっぱモダンやで!」
「モダン焼きやったら、うちの十八番(おはこ)や!うちは大阪が長かったよって、まかせてぇな!」
「おぅ!まかせたでぇ!」
ケロちゃんとかがみさんが、意気投合してる。
「モダン焼きって?」
あたしがママに聞くと、
「お好み焼きの具を、おそばにしたものよ。大阪の方では、よく作るの」
「おいしそうだね」
「そう。ケロちゃんの大好物なの。でも、モダン焼きを作るとなると、材料を買ってこないと
いけないわね。今、うちにおそばはなかったはずだし・・・」
ママがそう言うと、
「そやったら、うちが材料買うてきます!」
かがみさんが、学校の授業みたいに、手を挙げた。
180:126
04/09/05 22:35 +BWfFl7E
「だけど、かがみさん、お店わかるの?友枝町に来たばっかりでしょ?」
ママが少し心配して言うと、
「それもそうや。じゃ、すみれちゃん、うちの買いもんつきあってくれない?」
「うん、いいけど・・・」
あたしはちょっと迷った。かがみさんと一緒にいるところをクラスの子に見られたら、めんどうな
ことになる。
「そやったら、緑町のマーケットはどうや?あのへんには、クラスの子が住んでおらんって
すみれ、前に言うとったやないか」
「それはいいけど・・・あのマーケットはちょっと遠いよ。お昼までに戻って来れないよ」
あたしがケロちゃんにそう答えると、ママが
「じゃ、セグウェイで行けばいいじゃない」
あたしは、ちょっと驚いた。
「でも、かがみさんとふたりだよ。セグウェイの二人乗りはいけませんって、ママ、いつも
言ってたじゃない」
「・・・うーん」
ママの頭に小さな汗が浮いた。
「しかたないわね。今日は特別よ」
「おおきに!」
「やったぁ!じゃ、今、準備するね。リュック持ってくるから、待っててね、かがみさん」
あたしは、2階の自分の部屋に上がっていった。
181:126
04/09/05 22:36 +BWfFl7E
「「いってきまぁす!」」
「車に気をつけるのよ」
「「はぁい!」」
すみれとかがみの乗ったセグウェイが、窓の下を通っていく。
「行ったわね」
「ああ」
ケルベロスが、カップのスプーンをゆっくりとかきまぜた。
「よっぽど、すみれと一緒にいたいんやな、あのミラー」
「そうね。もう時間は、そんなにないわ」
「やっはり?ママやケロちゃんもそう思っていたの?」
龍平が身を乗り出した。
「龍平も気が付いとったか。あのカードの魔力が、もうそんなにないって」
「うん。初めての時より、ずいぶん魔力が弱っていたもん」
「初めて?龍くん、かがみさんに会っていたの?」
さくらが驚いて聞く。
「うん。スルーのカードの時・・・」
182:126
04/09/05 22:37 +BWfFl7E
→回想シーン始まり
「さくらもすみれも無事なようだ。この子が言っていた」
「では、ミラーさんがさくらさんたちをはね返すことができたのですね?」
「ううん。ミラーさんが反射したのは、ママとケロちゃんだけだ」
「「え?」」
龍平のことばに、桃矢と知美は驚いた。
「お姉ちゃんは、ぼくがはね返したみたいだけど・・・」
「はね返したみたいって?」
「よくわからないんだ」
龍平は自分の両手を見ながら、答えた。
←回想シーン終わり
「あのとき、ぼくの手に一瞬、カードが宿った感じがしたんだ。ぼくはカードを使えないから
そんなはずはないと思ったんだけど・・・今日、かがみさんの気配を感じて、それが
あのとき、ぼくの手に感じた気配と同じだということがわかったんだ。だから、あのとき、
ぼくがおねえちゃんを反射できたのは、かがみさんのおかげだったんだ」
「・・・そうやったんか」
「スルーの時に比べると、今のかがみさんの魔力、ものすごく弱くなってるよ」
「そうやな。ミラーのカードにとって、姿を変えたり、何かを反射したりするんは、ごっつう
魔力を消費する。主(あるじ)のおらん、今のミラーにとっては、ほんまにしんどかったはずや」
ケルベロスは、スプーンを口に運んだ。
183:126
04/09/05 22:39 +BWfFl7E
「あのカード、よっぽど、すみれに主(あるじ)になってもらいたいやろな。けさみたいに
『うちは逃げも隠れもせん』なんてせりふ、主(あるじ)のおらんカードが言うもんやない。
それにスルーのカードの時の行動といい、ほんまにすみれのことが好きみたいや」
「じゃ、なんで、かがみさんは封印の仕方を教えてくれなかったんだろう」
龍平の疑問に、ケルベロスは答えた。
「仕方ないんや。あのカードを封印できるんは、封印する方法を自分で見つけたもんだけなんや。
もし、誰かがすみれに封印する方法を教えたら、すみれは永久にあのカードを封印できなくなる」
「そんな!」
「そやから、やっかいなんや」
ケルベロスは、スプーンを置くと、さくらの方を見て言った。
「さくら、あのミラーの魔力、どのぐらいもつと思う?」
「・・・すみれちゃんの姿でいるままなら、1週間ぐらい・・・」
「わいと同じ見立てやな」
「なら、その間に、おねえちゃんが封印する方法を見つければいいんだね?」
「そうや、龍平。ただし、1週間ちゅうんは、すみれの姿のままでいた場合や。
なんかあって、別の姿に変わったり、何かをはね返そうもんなら、一発で魔力を使いきってしまうで」
184:CC名無したん
04/09/06 01:31 kX3tcp4r
>>126氏新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
次回にあるであろう二人のお買い物が楽しみです(´∀`)
185:デニー・ユガミダニ ◆B.qU2.hSgA
04/09/06 01:50 SMr7RPIl
>>126さん
乙です。
186:CC名無したん
04/09/11 05:02:50 gxBiN5SH
ほしゅ
187:126
04/09/12 22:58:55 /clpeZd6
「テコの使い方にコツがあるんや。こう、テコの元を持って、人差し指を支えにして、手前に
ひっくり返すんやで」
「うまくできるかな?」
「練習すれば、できる。あとでいっしょにやろうな」
「うん」
セグウェイに乗って、緑町のマーケットに行く間、かがみさんはモダン焼きの作り方について
いろいろと教えてくれた。
「気ぃつけなあかんのは、手を手前に引かんことや。生地がばらばらになってしまうんや。
あ、車や。すみれちゃん、道の隅に寄ってぇな」
後ろから車があたしたちのセグウェイを追い抜いて行く。
「ここは公園の中やろ?なのに、さっきから車がびゅんびゅん通って行く。どういうことや?」
「仕方ないよ。この道を抜けた先がマーケットの駐車場だから」
「そやかて、公園の中を通ることはないやろ。子どもたちもぎょうさん遊んでいることやし、
今に事故が起こるで」
「本当は、別に道があるんだけど、今、工事中なんだ。工事が終われば、車は減るよ」
あたしは、工事中の道を指差そうとして、公園の外の方を見た。
「あや?」
「なんや?」
「クレープ屋さんだ。あそこに見える、黄色い車、おいしいクレープ屋さんなんだよ」
あたしは、セグウェイを止めた。
188:126
04/09/12 23:00:04 /clpeZd6
「どないした?急に止まって?」
「うん、あそこのクレープ食べようかなって思って」
「ほんまか?それやったら、うちの分も買うて来てくれるんか?」
「いいよ」
「おおきに。で、何がうまいんか?」
「あたしは、バナナチョコクリームが好き。かがみさんは?」
「クレープか・・・リンゴカスタードなんて、ある?」
「うん、あるよ。あのお店、ものすごく種類が多いんだ」
「そやったら、リンゴカスタードにシナモンがいいな」
「わかった。じゃ、行こう」
その時、あたしは、セグウェイでお店まで行けないことに気がついた。
クレープ屋さんのあるところまで、芝生だし、芝生の中には飛び石しかないから、セグウェイで
走ると芝生を痛めちゃう。
「そやったら、うちがここでセグウェイを見てるわ。そんなに遠いわけじゃないし、
すみれちゃん、行ってらっしゃい」
「うん。ありがとう」
「クレープ♪クレープ♪おいしいクレープ♪ジャムにチョコにカスタード♪」
ふたり分のクレープを持って、戻って来ると、セグウェイのそばにふたりの人影があるのに、
あたしは気がついた。ひとりはもちろんかがみさんで、もうひとりは・・・
「あれは・・・衛(ウェイ)くん!」
あたしは、急いで近くの木の陰に隠れた。
(かがみさんが、衛くんとお話してる!)
189:CC名無したん
04/09/14 17:28:14 gjmPTfK+
126氏新作キテタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
衛くんとかがみさんがどんな話をしているのかも気になりますが、
>今に事故が起こるで
このかがみさんの一言の方が気になります。
なんか起こらないか心配で心配で…(;´Д`)
無事にお使いを終えるのを祈りつつ、次回を待ちますです(;´Д`)
190:126
04/09/20 22:13:16 FbYKYLfo
ドキドキドキドキ・・・
(かがみさんと衛くん、何をお話してるんだろう・・・)
ドキドキドキドキ・・・
(かがみさん、大阪弁で話したりしないよね)
ドキドキドキドキ・・・
(もし、そうだったら、あたしのこと、へんな女の子って思われるかも)
ドキドキドキドキ・・・
(どうなんだろう・・・でもでも、出て行くわけに行かないよ!)
ドキドキドキドキ・・・
(ほぇ~。心臓が破裂しそうだよ・・・)
191:126
04/09/20 22:14:29 FbYKYLfo
「じゃあ、また」
そのとき、あたしの耳に聞こえてきた、衛くんの声。
あたしは振り返って、木の陰から、そっとふたりの方を見る。
かがみさんのそばから、衛くんの乗ったセグウェイが離れて行く。
(もう少し、もう少し・・・)
衛くんの姿が見えなくなったのを確認すると、あたしは
「かがみさん!」
かがみさんの所に、ダッシュした。
「おかえりなさい、すみれちゃん」
にっこりと笑って、なにもなかったように、かがみさんは言った。
「かがみさん、あの、今の、衛くんと・・・」
あたしがあわてて聞くと、かがみさんは
「安心してや。うまくいったで」
「うまくって、なにが?」
「もちろん、『あんたのこと、好きやねん。うちとつきおうてください』っちゅう、愛の告白や」
ほ、ほぇ~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!
192:CC名無したん
04/09/20 23:15:57 MTgYN9JO
告白キタ━━━━(゚∀゚)━━━!!
続きが気になる━━━━(゚∀゚)━━━!!
193:CC名無したん
04/09/21 00:16:31 VpfcJqEI
126氏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
告白キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
続き楽しみです(´∀`)
194:126
04/09/27 00:37:03 HYTIEkUd
「よかったやないか。うまくいって」
「よくない!」
あたしは、思わず言った。
「どうしてや?」
かがみさんは聞き返す。
「好きなんやろ?」
「・・・うっ」
あたしは、だまりこんだ。だって、そんなこと、衛くんのことを好きだなんて、これまではっきりと
ことばにしたことがなかったから。けれど、
「そう、あたしは衛くんのことが好き」
「なら、よかったやないか」
「よくない!」
「どうしてや?」
「だって、好きなんだもん。だから『好きです』って、自分で言いたい!自分の気持ちは、
自分で言いたいんだ!だから、だから、かがみさんに言ってもらうのは、違うと思う!」
あたしがそう言うと、かがみさんは少し驚いたようだった。
そして、あたしは次に言うことばが見つからなくて、ただ、クレープを持って立ち続けていた。
かがみさんは、にっこり笑うと
「合格や」
「ほぇ?」
そのことばは、いきなりだった。
195:126
04/09/27 00:38:12 HYTIEkUd
「合格って、なにに?」
「すみれちゃんが、うちの主(あるじ)にふさわしいかどうかのテストにや」
「ほぇ?」
突然、愛の告白からテストに話が飛んだので、あたしの目は点になった。
「ミラーのカードをしとるとな、しょうもないことのために召喚されることが多いんや。
自分ではやりとうないこと、やりたいんやけど自分ではできへんことを、うちにやらすために
うちを召喚する。そないなこと、もう、うちはごめんやから、すみれちゃんがそんな連中と
違うことを確かめとうて、それでテストさせてもろうたんや」
「じゃ、愛の告白なんて・・・」
「してへん!」
;≒;#;㊦fhsれおpぎゅひj!
あたしは、思いっきりコケてしまった。
「うまそうやな。それ、うちの分やろ?」
かがみさんは、思いっきりコケたはずなのに無事だったクレープを見て言った。
「う、うん」
リンゴカスタードのクレープを渡す。かがみさんはクレープを食べて、
「おいしいなぁ。こんなおいしいクレープを食べたんは、ひさしぶりや」
「でしょ?あたし、ここのクレープ、大好きなんだ」
あたしも、バナナとチョコクリームがたっぷり入った、クレープを食べだした。
196:126
04/09/27 00:39:42 HYTIEkUd
あたしたちが乗ったセグウェイは、マーケットに向かって進んで行く。
「かがみさん」
「なんや?」
「かがみさんは、友枝町に来る前はどこにいたの?」
「いろいろやな」
「それって、かがみさんの主(あるじ)が、いろいろいたってことだよね?」
「それは、ちょっと違うな」
「違うって?」
「うちは、クロウはんに作られた。うちがこうしてすみれちゃんと話できるのも、クロウはんの
魔力のおかげや」
「じゃ、ずーっと、クロウさんの魔力で動いているの?」
「そうや。うちは、ずーっとクロウはんの魔力だけでやってきたんや。そやから、うちの主(あるじ)
はクロウはんだけやと、うちは思うとる。けどな、うちを召喚する人は大勢いたんや」
「どういうこと?」
「クロウはんかて、最初からカードを作れたわけやない。最初は魔法使いのギルドみたいなとこに
入って、魔法を勉強してたんや。そんとき、ギルドで使うためにうちを作ったわけや。
つまり、うちはクロウはんの魔力で動いてるんやけど、ギルドにいた、いろいろな魔術師に
呼ばれてたんや」
「じゃ、ママのミラーさんとは違うんだね」
あたしは、ケロちゃんが話してくれた、ミラーさんのお話を思い出した。
197:CC名無したん
04/09/27 03:51:28 q5BbUCq7
126氏キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
>「じゃ、愛の告白なんて・・・」
>「してへん!」
工エエェ(´д`)ェエエ工
…とは言え、ちょっとほっとしたかんじ?です(*´Д`)
>あたしは衛くんのことが好き
おぉ…こんな所で告白とは…一瞬驚きました。(´∀`)
次回も楽しみにしています
198:CC名無したん
04/09/27 21:34:09 ExXLP0P9
キタ━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)━━!!!!
お疲れ様です。
すみれちゃんは衛くんのことが好きだったのか。
カードの試練も考えさせられました。
ほどほどにがんがってください
199:CC名無したん
04/09/30 00:01:24 xsyGCpue
126氏キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
正直、すみれの恋愛話に発展するとわ。(いつかはあると思ってましたが)
200:126
04/10/04 00:51:31 eX3hs31q
「かがみさん、ママのミラーさんと会ったことあるの?」
「ああ、何回か会っとる」
「いっしょに遊んだりしたの?」
「まぁな。けど、うちが妹に会えるんは、魔法の儀式の時が多かったん。そやから、あんまし
遊ばせてもらへんかったけどな」
「そうなんだ」
「同じカードでも、妹はクロウはんにだけ召喚されていた。うちと違って、おとなしい性格やから、
その方がよかったんやろな。うちは、いろんな魔法使いに召喚されたけど、クロウはんほどの
魔法使いは他におらんかった」
「クロウさんって、すごい人なんだね」
「そうや。ほんまに、クロウはんは何百年にひとりっちゅうほどのすごい魔法使いやったんや。
それが友枝に来てみたらどうや。クロウはんと同じぐらいすごい魔法使いがごろごろおるやないか。
さくらさんに、龍平くんに」
「龍平が?」
あたしはちょっと驚いた。確かに龍平に魔力はあるけど、カードは使えない。それとも、あたしが
知らないなにかすごい魔力を持っているんだろうか?
そのとき、
「ボールぅ!」
と、いう声がした。セグウェイの前をボールがコロコロと転がっていく。
そのボールを追っかけて、小さな女の子が夢中で駆けてくる。
「危ないよ!」
あたしがそう声をかけるのと同時に、車のクラクションが鳴り、急ブレーキをかける音が聞こえた。
「あかん、ぶつかる!」
かがみさんが、セグウェイを飛び降りた。
201:126
04/10/04 00:53:27 eX3hs31q
「かがみさん!」
あたしもあわててセグウェイを降りた。
女の子をかばっているかがみさんの50センチぐらい手前で車が止まっている。
「だいじょうぶかい?」
その車を運転していた人も降りてきた。
「だいじょうぶです」
かがみさんはそう答えると、足元に転がっていたボールをその女の子に手渡した。
「これからは、気をつけて遊ぶんやで」
「ありがとう、おねえちゃん」
女の子と車が去るのを確かめて、あたしはかがみさんに聞いた。
「だいじょうぶ?!」
「・・・だいじょうぶや」
「だいじょうぶじゃないでしょう!」
一瞬のことだけど、あたしには見えていた。かがみさんは鏡に戻って、女の子にぶつかるはずの車を
はね返していたんだ。そして、また、あたしの姿に戻っている。だから、かがみさんはものすごく
魔力を使ったはずだ。
「・・・そうやな」
かがみさんは気を失って、あたしにもたれかかった。
「かがみさん!」
かがみさんのからだのところどころが透明になっている。衛くんとの結婚式のときのミラーさん
みたいに魔力が無くなりかけているんだ。
「かがみさん、しっかりして!」
202:CC名無したん
04/10/04 08:01:59 xTe0eHyj
126氏キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
お疲れさまです。
>>189で書いた不安が的中してしまった…_| ̄|○
すみれちゃんが一刻も早く封印してくれることを祈りつつも、次回も期待します。
203:126
04/10/11 23:41:41 cCOp5LQ8
「すみれちゃん?!すみれちゃんなの?!」
そのとき、あたしたちのそばに車が止まった。運転していたのは
「しぃ先生!どうしてここに?」
「マーケットでお買い物していたら、魔力の気配を感じて、あわてて来たの。
もしかして、となりの子は・・・カード?」
「そうなんです。かがみさん、魔力がほとんど無くなってしまって消えそうなんです」
「とにかく、その子を車に乗せてあげて。私の病院に行きましょう」
「はい!」
あたしは、かがみさんを車に乗せた。しぃ先生は、セグウェイをトランクに積んでいる。
「急ぎましょう」
先生は車を発進させた。
「かがみさん・・・」
かがみさんのからだのあちこちが透明になっている。
「もう少しで、病院だからがんばって・・・」
病院に急ぐ施の車が、衛のセグウェイを追い抜いたことを、施もすみれも気がつかなかった。
「すみれさん、早く気付いてください」
衛は、セグウェイを止めて、過ぎ去って行く車を見つめていた。
204:126
04/10/11 23:43:32 cCOp5LQ8
「先生、かがみさんの様態は?」
病院に駆けつけたママが、心配そうにしぃ先生に聞く。
「魔力が尽きかけています。このままでは、あのカードは消えてしまいます」
「そんな。魔力の回復剤とか、使えないんですか?」
しぃ先生は首を振った。
「回復剤は、魔術師に使うものです。魔術師の魔力を元に動く精霊や氏神に使う薬はないのです」
「・・・」
あたしは、ママと先生を会話を聞いて、ベッドに横たわるかがみさんの手を握りしめた。
「ごめんなさい。あたしがかがみさんを封印していれば、こんなことにはならなかったのに」
「お姉さん・・・」
あたしのとなりにすわったミラーさんが、語りかける。
ふっと、かがみさんの目が開いた。
「・・・」
「お姉さん!」
「ひさしぶりやな。元気そうやないか」
「はい」
かがみさんはベッドのまわりを弱々しく見渡して
「さくらさんに、龍平くん、すみれちゃんに、みんな、うちのことを心配して来よったんか。
それに、チュルミンまで来よって、うちはほんまに人気もんなんやな」
「あほ。そないな笑えん冗談言っとる場合か」
ケロちゃんも、さすがにこんなときは突っ込みを入れられない。
「かがみさん、しっかりして!」
あたしは、かがみさんに呼びかけた。
205:126
04/10/11 23:46:04 cCOp5LQ8
「しっかりするどころやないみたいやな」
「あたし、まだかがみさんにモダン焼きの作り方、教わってないんだよ!教えてくれるって
約束してくれたじゃない!」
「堪忍な。今度ばかりはだめみたいや。もう、からだに力が入らへん」
かがみさんのからだの透明な部分が広がっていく。
かがみさんはミラーさんを見て、
「あんたも達者でな。さくらさんに可愛がってもらい。さくらさんは素敵な人やさかい」
「はい」
ミラーさんの目から、涙がこぼれ落ちた。
「すみれちゃん、こんなことになってしもうたけど、うちはすみれちゃんに出会えて、
ほんまによかったと思うとる。元気でな」
「だめだよ、そんなこと言っちゃ!」
あたしは、かがみさんを抱きしめた。
「!」
かがみさんのからだは、ほとんど重さがなかった。本当に消えかけているんだ。
ごめんなさい、かがみさん。
あたしがしっかりしていないから、だめなんだ。
あたしが封印する方法を見つけていれば、こんなことにはならなかったんだ。
ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・
「・・・かがみさん?」
206:CC名無したん
04/10/12 20:23:59 64knfaPh
126さま いつも読んでます。乙彼です。
207:CC名無したん
04/10/19 00:36:41 1/J0sJyI
126氏キテタ━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━!!!!
>それに、チュルミンまで来よって、うちはほんまに人気もんなんやな
こんな時でもボケるというかがみさんにはすごいものを感じますが、
やせ我慢を見せようとしつつも最期を悟っている姿に。・゚・(ノД`)・゚・。
無事すみれちゃんが封印してくれれば良いのですが…
次回も期待しています。
208:126
04/10/25 01:52:56 rDX/LETw
「・・・かがみさん?」
あたしは、おかしなことに気がついた。かがみさんは、あたしの姿を映しているはずなのに
「ピアスをつけていない?」
耳にピアスがなかった。
そのとき、病室中にまぶしい光が広がった。
「・・・ほぇ?」
目をこらすと、目の前にいるのはかがみさんの真の姿だった。
アラビアンナイトに出てくるような女の子の服を着て、両手で鏡を持っている。
「すみれちゃん、ようやっと気がついてくれたんやな」
「ど、どういうこと?」
「うちを封印する方法や」
「ほぇ?」
「うちはな、誰かの姿を映すときに、どこか1か所だけ本人と違うように映るんや。
その違うたところを見つけるんが、うちを封印する方法なんやで」
「そ、そうだったんだ」
あたしは、手で涙をぬぐった。さっきから、涙が止まらない。
「さぁ、はよううちを封印してや。おなかペコペコなんやで」
「うん!」
209:126
04/10/25 01:55:49 rDX/LETw
あたしは呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
あたしは、封印の杖を握りしめた。
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
ピン!という音がして、かがみさんから、封印の杖に魔力が流れていく。
「ほんまに、間におうてよかったわ。これから苦労をかけると思うけど、よろしくな、龍平くん」
かがみさんは、龍平にそう言うとカードの形になった。
「かがみさん、龍平に苦労をかけるって?」
あたしの手にすべりこんだかがみさんのカードは、
「あ、うちはクロウ・カードやから苦労をかけるって、その、寒いギャグやったな。すまん」
「すみれちゃん、がんばったわね」
「すみれ、ようやったな」
ママやケロちゃんたちがあたしのそばに来た。
「そうでもないよ。偶然だったんだよ」
あたしは、かがみさんのカードを抱きしめた。
「でも、封印できて、こんなにうれしかったことははじめてだよ。
かがみさん、もう絶対に消えたりなんかしないでね。約束だよ」
「ああ。約束と言えば、モダン焼きの作り方教えたるさかい、4時には召喚してや。
その頃にはうちも元気になってるさかい、晩ごはんはモダン焼きにしようや」
「うん!」
210:126
04/10/25 01:58:33 rDX/LETw
「今や、ひっくり返すんや」
「えい!」
かがみさんの声にあわせて、あたしは、テコをひっくり返した。
「うまい、うまい。次はおそばと生地がなじむように、テコで押さえといてな」
「すみれ、そばはカリカリにな」
ケロちゃんが注文をつける。
「ケロちゃん、もう食べちゃったの?お皿、からっぽじゃない」
「すみれの作るモダン焼きがあんまりうまいさかい、あっというまにな」
「もう、そんなに食べたら、みんなの分、なくなっちゃうよ」
すると、ママがキャベツを切る手を休めて
「だいじょうぶよ。ケロちゃんの分も考えて、おそばやキャベツ、いっぱい買ってきたから」
「さすが、さくらさまや!」
ケロちゃんはごきげんだ。
「もう作り始めてるんだ」
龍平が2階から降りてきた。かがみさんを封印したあと、急に眠いって言って今まで寝ていたんだ。
「龍くん、ミラーさんがお味噌汁を作っているから手伝ってあげて」
「うん」
「えい!」
あたしは、もう一度、モダン焼きをひっくり返した。
今日の晩ごはんは、最高においしくなりそうだ。
<すみれともうひとりのすみれ:終劇>
211:126
04/10/25 02:00:19 rDX/LETw
次回予告
いつもの時間に目が覚めた、月曜日の朝。
寝ぼけた頭でクローゼットに行くと、いつものところに制服がない。
おかしいなぁ?クリーニングに出したのかな?と思いながら
朝ごはんを食べに1階におりて行くと
ほぇ~!かがみさん、どうして!?
カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれとかがみの迷コンビ?
次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
212:CC名無したん
04/10/26 00:13:52 8Oq8yM4E
126氏キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
いつもいつもありがとうございます。
あー…それが封印する方法ですか…なるほど…
>これから苦労をかけると思うけど、よろしくな、龍平くん
と
>かがみさんを封印したあと、急に眠いって言って今まで寝ていたんだ。
が気になります…
(´-`).。oO(いずれは分かることでしょうけど…)
次回もかがみさんですか。かがみさんが何をしてくれるのか楽しみです(´∀`)
213:126
04/10/31 23:20:37 47b3N0q1
「あれ?」
あたしはまっしろな部屋にいる。部屋にはベッドがひとつ。
「龍平?」
ベッドに寝ているのは龍平だった。
肩で息をしている。苦しいはずなんだけど、龍平の表情は不思議に安らかだ。
「どうしたの龍平?どこか悪いの?」
龍平の口元が動く。え?聞こえないよ?
なにか言っているようだ。でも、でも・・・
「龍平、龍平ったら。ママ、このまま龍平が」
「・・・すみれちゃん」
あたしはママの顔を見た。
「・・・すみれ」
声の方を向くと、そこにはパパがいた。
「・・・すみれさん」
別の声の方を向くと、そこにいたのは、エリオルおじさんだった。
214:126
04/10/31 23:22:29 47b3N0q1
ピピピピピ・・・
「あふぅ。もう朝かぁ」
あたしは、もそもそっとベッドから起き出した。
制服に着替えようとして、クローゼットを開けると
「ほぇ?」
いつものところに制服がない。
「おかしいなあ。ママがクリーニングに出したのかな?」
あたしは別の制服に着替えると、カードさんたちにあいさつをして、おそよー君を起こしに行く。
「おそよー!ほぇ?」
ベッドの中に、龍平の姿がない。
「・・・おかしいよ。龍平がひとりで起きられるわけないし・・・『ひとりで』?!そうだ!」
あたしは、あわてて1階のダイニングに降りた。
「・・・やっぱり」
「お、おねえちゃん?」
あたしの姿を見て、龍平が少し驚いた。
「すみれ?」
ケロちゃんも驚いている。
「と、いうことは、さくらんのとなりにおるんは・・・」
「かがみさんでーす!」
キッチンで、ママといっしょに朝ごはんのしたくをしている、もうひとりのあたしが
ミョーに明るく答えた。
215:CC名無したん
04/11/01 13:45:22 62cOJcXi
, _ ノ)
γ∞γ~ \
| / 从从) )
ヽ | | l l |〃
`从ハ~ ワノ) ワクワク
/\></
( ∪ ∪
と__)__)
216:CC名無したん
04/11/02 18:47:01 b4dBxvwm
あげ
217:CC名無したん
04/11/02 19:02:27 HfPFI1Ym
126さま、ごくろうさまです。
218:126
04/11/07 22:25:28 c1nlsMlr
「ママは、かがみさんだと気づかなかったの?」
「うん、ぜんぜん」
「さすが、うちや。さくらさんにも気づかれないぐらい完ぺきに気配を消しとる」
たしかに、かがみさんは気配を完全に隠せるみたいだ。
「けど、ママ」
「なに?」
「あたし、かがみさんほどお料理じょうずじゃないよ。いっしょにお料理していれば、あたしか
かがみさんかすぐにわかると思うけど」
「すみれ、おとりこみ中、悪いんやけど」
そこに、ケロちゃんのツッコミが入った。
「自分のほうが料理がヘタなんて、せりふ、えらそうに言うことか?」
「そ、それもそうね」
あたしたちの頭に、おっきな汗が浮いた。
「いただきまーす」
あたしたちは食べ始めた。きのうもそうだったけど、かがみさんの作るオムレツはとってもおいしい。
「ほんとう、かがみさんが手伝ってくれて助かるわ。すみれちゃん、朝からかがみさんを召還
してくれて、ありがとう」
「あたし、かがみさんを呼び出してないよ」
「ほぇ?」
ママの手が止まる。
「なんやて?すみれが呼び出していないのに、カードが実体化したっちゅうのか?」
ケロちゃんの表情もきびしくなった。
219:126
04/11/07 22:27:27 c1nlsMlr
「ど、どういうことなの、かがみさん?」
みんなの質問に、かがみさんはソーセージをパクッと食べて
「さぁ~なぁ~。それを教えたら、番組にならないやろ」
ズザーッ(←すみれたちがコケる音)
「た、確かにそうね・・・ってわけないでしょ!」
あたしは、いつのまにかおでこについていた、ばんそうこうをはがしながら答えた。
「そうや。すみれは、おまいさんを封印しよった。封印されたカードがあるじの知らんところで
実体化するなんぞ、もってのほかや!なにがあったんや!?」
「それが、うちにもよくわからんのや」
「わからない?」
「そうや。カードに戻ってから、うちは、もういっぺん、すみれちゃんの姿になれへんのかと
考えとった。本人になりきって、トラブルを起こすっちゅうんがミラーのカードのお約束みたいな
もんやからな。そうしたら、明け方ごろにすみれちゃんの魔力がふぅーっと弱まってきて、気が
付いたら、うちは実体化していたんや」
「あたしの魔力が弱まってた?」
「そうや。弱まっていたんやなかったら、すみれちゃんがなんかに魔力を使うていて、カードを
制御する余裕がなかったのかもしれんな」
「でも、あたし、寝ていたんだよ。魔力を使ってなんていないよ」