カードキャプターすみれ さくらと小狼の子供たち 2at SAKURA
カードキャプターすみれ さくらと小狼の子供たち 2 - 暇つぶし2ch347:126
05/03/31 23:12:13 ihVFa9Dj0
「だだいまーっ」
「ただいまじゃないでしょ、ふたりとも!もう暗くなっているのよ!」
「はーい」
母親におこられて、それでもあまり悪びれてない様子で、ふたりが家に入ってくる。
「おなかすいたぁ。晩ご飯まだぁ」
「はい、はい。もうすぐですよ」
姉に少し遅れてくつを脱ぐ弟に向かって
「龍くんもこんなに遅くまで・・・今日はどこに行ってたの?」
「桃矢おじさんのとこ」
「今日も?」
「うん」
さくらは不思議に思った。ここ数日、この姉弟の帰りが遅くなっている。
どこで遊んでいたのかと聞くと、帰ってくる答えは決まって兄の家。
心配になって、ケータイでふたりの位置を確認したことがある。確かにふたりはうそをついていなかった。
けれど・・・
(歴史が好きな龍くんがおにいちゃんの家で遊ぶのはわかるけど、お外で遊ぶのが好きなすみれちゃんが
ずーっと家の中で遊ぶなんてね・・・あ、そうだ)
「すみれちゃん!」
さくらは、部屋に戻ろうとするすみれに声をかけた。
「なーに、ママ?」
「最近、お部屋のおかたづけしてないでしょ」
「ほぇ」
「今日、ママがかたづけてあげたんだけど」
「ほぇっ」
「キーボードがなかったみたい」
「ほぇほぇほぇっ」


348:126
05/03/31 23:13:08 ihVFa9Dj0
さくらの言うキーボードは、以前、すみれにせがまれて買ってあげたものだった。
けれど、活発なすみれは部屋の中でより外で遊ぶことを好んだ。
買うときから予想はしていたが、そのキーボードは、やっぱり買ってまもなくあきられてしまったのだ。

「ど、どこにしまったのかな。今度、お部屋をおかたづけするときにちゃんとしておくよ」
ばつが悪そうに答えるすみれ。そこに龍平が
「ママ、今日の晩ご飯は?」
「今日は、エビフライよ」
「「わーい!」」
子どもたちの顔が明るくなる。エビフライはさくらだけでなく、子どもたちも好物なのだ。
「ふたりとも、手を洗いなさい。すぐに晩ご飯だから」
「「はーい!」」

もうすぐ桜の花が咲こうとする、ある日の夕方の出来事だった。

**********************************************************************************

その数日後。町中に桜の花が咲く中、さくらは誕生日を迎えた。
今年は、友枝町にある小さなレストランを借りてバースディパーティが開かれた。

「誕生日おめでとう、さくら」
「おめでとう、さくらさん」
「おめでとう、怪獣」
「さくら、怪獣じゃないもん!」

みんなの祝福をうけて、バースディパーティが始まった。

349:126
05/03/31 23:14:41 ihVFa9Dj0
さくらは、花束やプレゼントを受け取りながら、あることに気がついた。
(あれ、すみれちゃんのキーボードじゃない?なんで、ここにあるの?)

そこに、すみれと龍平が並んだ。
「ママ、お誕生日おめでとう」
「ぼくたちは、ママへのバースディプレゼントに曲を演奏しようと思います」
「曲は、桃矢おじさんに教わったんだよ」
(おにいちゃんから?)
さくらは兄の顔を見た。
(最近、ふたりの帰りが遅かったのはこのせいだったのね)
さくらに見られていることに気づいた桃矢は、こっくりとうなずいた。

ブーッ
「龍平、落ち着いて」
間違えて音を出してしまった弟に、すみれが言う。ふたりで片手ずつ弾くようだ。
「練習どおりにね。じゃ、始めるよ」

まもなく、オルガンの音がキーボードから流れ出した。その曲は・・・

(・・・この曲、おかあさんの曲だ)
(ママ、お誕生日おめでとう。あたしたち、ママのこと大好きだよ)
(ありがとう。すみれちゃん、龍くん)

ぎこちないけれども暖かい曲がふたりによって奏でられていった。


350:CC名無したん
05/04/01 00:08:20 itsv7PPO0
おめでとうさくらたん

351:CC名無したん
皇紀2665/04/01(金) 00:37:27 Nca74zzM0
さくらたん。誕生日オメ!!

352:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
さくらたん生誕暦 07/04/01(金) 11:54:24 1rvhL+6l0
126たん、乙です。
さくらたん、Happy Birthday!

353:126
05/04/04 02:18:22 HioUsICu0
あたしがあわてていると、寺田先生はクスっと笑って
「親子ねぇ」
「ほぇ?なんのことですか?」
「ほんと、親子だと思ったの。龍平くんの作文ね、さくらちゃん・・・木之本さんのおかあさんが書いた
作文がとても似ていて・・・龍平くんの作文を読んでいて、思い出したの」
「そんなことがあったんですか?」
寺田先生は、小学生の時、ママと同じクラスだったんだ。
「そう。あのとき、碧先生・・・って、そのときの国語の先生なんだけど、宿題で『動物といっしょに
暮らすこと』っていうのがあってね、木之本さんのおかあさんは『しゃべれるオレンジ色のぬいぐるみ
さんと暮らしたい』っていう作文を書いていたの」
(ケロちゃんのことだ!)
「それが、ぬいぐるみが大阪弁でしゃべったらいいなという、とてもかわいいらしい作文だったんだ。
想像で書いているはずなのに、すごく細かいところまで描写してあって、まるでほんとうにぬいぐるみ
さんと暮らしているみたいだって、碧先生が、とってもほめていたし、先生もよく覚えているのよ」
(そりゃ、想像じゃなくて実際だったんだもん)
先生はもう一度龍平の作文を見ると
「龍平くんのは想像じゃなくて、実際のロボットペットのことだけど、本当によく似てる。
まるでさくらちゃんがいっしょに暮らしたかったぬいぐるみさんが、ロボットペットになって
やってきたみたい」
(やってきたんじゃなくて、そのときのぬいぐるみさんが今もいるんだけど・・・)
けれども、あたしはそんなことは言えなくて、
「そ、そうなんですか。あは、あはははは・・・」
とごまかしていた。寺田先生は
「プリント持ってきてありがとう。ふたりとも戻っていいわよ。先生は、みんなの作文のコピーを
とらなくちゃいけないから」
「わかりました。じゃ、先生、さようなら」
「さようなら」
「!」
そのとき、あたしは気配を感じた。

354:126
05/04/04 02:20:10 HioUsICu0
「木之本さん!」
衛(ウェイ)くんの声だ。思わず、声の方を見ると

バスッ!

「おねえちゃん、だいじょうぶ!?」
「うん」
あたしは、サッカーボールを受け止めていた。窓から職員室に飛び込んで来たんだ。
「だいじょうぶ、木之本さん?」
窓からのぞきこむ、衛くんの顔は心配そうだ。あたしは、窓のところまで行って衛くんにボールを渡す。
「ありがとう。だいじょうぶだった?」
「だいじょうぶだよ。あまり強いボールじゃなかったから。でも、気をつけてよ」
「うん」

すみれからボールを受け取ったエドワードは、
(カードのこと、すみれさんたちにうまくごまかせたみたいだ)
とつぶやくと、走り出した。

そして、すみれたちが職員室を出た後、寺田はちょっとしたことに気がついた。
「あら?作文のコピーがとってあるわ。誰がコピーしてくれたのかしら?」


355:CC名無したん
05/04/05 09:29:42 swGmF5XB0
うほっ

356:CC名無したん
05/04/21 23:29:50 c3DjVZzR0
保守

357:126
05/04/24 23:25:34 YzuT9+r40
「はい、お嬢ちゃん、合い挽き肉だよ。おつかいかい?えらいねぇー」
「い、いえ、そんな、たいしたことないです」
あたしは、ちょっとはにかんでお肉を受け取る。
「サラダにするお野菜も買ったし、あとは・・・」
メモを見直していると、着メロが鳴った。おうちの電話番号だ。今日はママがいないから、これは
ケロちゃんからだ。
「もしもし、ケロちゃん?」
「すみれ、お買い物はどうや?」
「今、お肉を買ったところ」
「ということは、まだ友枝商店街におるんやな」
「うん、でもこれでお買い物は終わりだよ」
「せっかくなんやけど、まだ終わりやない。買うもんはまだあるでぇ」
「ほぇ?どういうこと」
「食後のデザートを買ってきてほしいんや」
「ほぇ?デザートって、冷蔵庫にこぐまやのプリンが」
あるよ、と言いかけて、あたしはあることに気がついた。ひょっとして・・・!
「ひょっとして、ケロちゃん、プリン、食べちゃったの?!」
「・・・」
しばしの沈黙。思わず、あたしはケータイを握りなおして
「ケロちゃん!」
「・・・まぁ、そのひょっとしてやな」
「じゃ、あたしや龍平の分まで食べちゃったの?!」
「いやぁ~。食べ出したら、つい、止まらなくなってな」
「ひどい~!」
こぐまやのプリンは、ケロちゃんもなんだけど、あたしも大好物なんだ。
「そ、そやから、こうして電話しとるやないか。晩ご飯食べ終わってから気づいても遅すぎるし、
今から買ってくればええと思うてな」
「そんな問題じゃない!!」
あたしの声は大きくなった。

358:126
05/04/24 23:27:37 YzuT9+r40
「こぐまやさんって、友枝遊園地の近くなんだよ!これから行ったら暗くなるまでにおうちに帰れないよ」
「そやったら、ぴよのチーズケーキはどうや?」
ケーキ屋さんのぴよだったら、確かにここから近い。
「すみれは、ぴよのチーズケーキも好物なんやろ?」
それはそうだけど・・・
「わかった。ぴよに寄ってから帰るよ」
「ほんまか」
「デザートがないのは、やっぱりさみしいからね」
「わーい。じゃ、わいの分も忘れんといてや」
ぴよのチーズケーキを買ってくるとわかったとたん、ケロちゃんの声が明るくなった。
ほんとにもう、と思いながら、あたしは通話を切る。そして
「龍平、次はぴよに行くよ・・・って、龍平?」
あたしの後ろで待っているはずの龍平がいなかった。

「はい、毎度あり」
見ると、龍平もお肉屋さんから何かを買っている。
「龍平、何を買ったの?」
「ステーキ用のハムだよ」
「なんでそんなの買うの?今夜はハンバーグなのに?」
「パパの夜食用に買っておいてって、ママから電話があったんだ」
「いつそんな電話があったの?」
「たった今。おねえちゃんが通話中だったから、ぼくのケータイにかかってきた」
「そっか」


359:CC名無したん
05/04/25 00:22:58 ygxZPva80
夜食にハムステーキか( ;・∀・)

360:CC名無したん
05/04/28 14:12:49 Fn2iXwnk0
ぴよって小狼が覗いてたケーキ屋なんだね
アニメ見てちょっと感動した

361:CC名無したん
05/05/03 14:36:53 7t1/a41L0
>>360
あぁっ、それか。
言われて納得
126たんは細かいなぁ(´∀`)

362:126
05/05/06 01:51:30 HllSjgd80
トン、トン、トン・・・

「あや。タマネギ、つながったままだよ。やり直さなくちゃ」
あたしは、キッチンで晩ご飯の準備を始めていた。
食材がそろったのを確認して、パン粉をミルクに浸して、タマネギをみじん切りにする。
今、てこずっているのは、そのみじん切りだ。
「やっぱり、ママみたいにきれいに切れないよぉ」
ママがハンバーグを作るのを何度かお手伝いしたことがあるけど、タマネギのみじん切りはまだ
やったことがなかったんだ。
うまく切れなくてつながったままのタマネギを、そろえて切りなおす。
いつかは、ママみたいにトントントン、って感じでみじん切りができるようになりたいな・・・
と思いながら、包丁を動かしていると

「お姉ちゃん、ケロちゃんなんだけど」
龍平だ。
「もう、いいかな?ケロちゃんも、もう反省したと思うんだけど」
「だめ。あたしがいいって言うまで、龍平はお風呂場に戻って、見張ってて!」
あたしがそう言うと
「・・・うん、わかったよ」
龍平は、お風呂場に戻っていった。


363:126
05/05/06 01:52:19 HllSjgd80
→すみれの回想モード

「ただいまぁ!」
「おかえり。思ったより早かったなぁ」
ケロちゃんが出迎える。
「ところで、ぴよに寄ってきてくれたんか?」
「うん。やっぱり、デザートがないのはいやだから、チーズケーキを買ってきたよ」
「わーい!チーズケーキやぁ!」
ケロちゃんの背景に花が咲き誇る。
「ほんまぁ、わいはしあわせやなぁ。きょうは、こぐまやのプリンも食べれて、ぴよのチーズケーキも
食べれるんやからぁ~」
最高にしあわせ~って、感じでケロちゃんが宙を舞う。
「・・・もう。あたしたちのプリンを食べちゃったくせに」
「すまん、すまん。あんまり、プリンがおいしかったせいで、つい、止まらなかったんや」
ケロちゃんが、テヘって感じで言う。あんまり、反省していないみたいだ。
「とにかく、晩ご飯の材料を冷蔵庫に入れておこう、龍平」
あたしは、龍平から晩ご飯の材料が入ったバッグを受け取ると、キッチンに向かった。

それから、しばらくして。
宿題をしていたあたしは、のどがかわいて、飲み物を取りにキッチンに降りた。
そこであたしが見たものは・・・

「あ~っ!ケロちゃん!!!」
「す、すみれっ!」


364:126
05/05/06 01:54:17 HllSjgd80
あたしが見たのは、ぴよのケーキボックスをあけようとしているケロちゃんだった。
「ケロちゃん、なにしてるのよ!」
「いやぁ、チーズケーキがどのぐらいおいしそうか、見たい思うてな」
言いながら、ケロちゃんがあとずさりした。
「ほんと?」
「ほんまや、見たい思うただけや」
ケロちゃんは、さらにあとずさりした。あたしは、そんなケロちゃんをにらみつける。
「そんなこと言って、ほんとはもうがまんできなくなって、つまみ食いするところだったんでしょ?」
「まぁ・・・そんな気持ちも・・・ちぃ~とはあったかなぁ」
ケロちゃんの顔がひきつってきた。
「ケロちゃんっ!」
あたしは、ケロちゃんのからだをつかむとお風呂場に向かった。
「なにをするつもりや?すみれ・・・いや、すみれさま」

お風呂場に入って、入り口を閉める。そして、あたしは呪文を唱えだした。

「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
あたしが封印の杖を手にすると、ケロちゃんはひきつった声で
「風呂場で杖を封印解除(レリーズ)するとは・・・ひょっとして・・・!」
「その、ひょっとしてだよ」
あたしは、カードさんを取り出した。

「バブル!」

←すみれの回想モード終わり

365:CC名無したん
05/05/06 23:07:17 23vyleUI0
126氏乙~(´∀`)
食い意地はったケロちゃんも乙(;´∀`)

366:CC名無したん
05/05/08 19:03:10 ynZ5NG+v0
126さん乙です。
すっげえ面白いです。
ケロちゃん萌えー

367:あの~。
05/05/09 16:25:02 GL5XoiWA0
あたし、すみれっていうんですけど・・・・

368:CC名無したん
05/05/14 22:37:29 TJguTkEF0
きたかな?

369:126
05/05/16 00:31:22 8LBAXXol0
・・・トン、トン、トン!

「やったぁーっ!」
やっと、みじん切りが終わった。
「じゃ、次に行く前にケロちゃんを許してあげよう」
あたしは、手を洗うとお風呂場に向かった。

「あひゃひゃひゃ~。こ、こそばゆい~っ!」

ケロちゃんの声が聞こえてくる。ケロちゃんは、あたしのバブルさんとは相性が悪くて
あたしのバブルさんで洗うと、くすぐったくてたまらないんだ。
「どう?ケロちゃんのようすは?」
あたしは入り口で見張っていた龍平に聞いた。
「さっきからずぅーっとあの調子だよ。お姉ちゃん、そろそろ許してあげようよ」
「そうね、もう懲りただろうし」
あたしはお風呂場の中に入って、バブルのカードさんを戻した。

  M
_| ̄|○ ゼイゼイゼイ・・・

「・・・ほんま、きつかったわ・・・すみれを怒らしたら、クロウより怖いわ・・・」
「誰が怖いですって?」
「だ、誰でもありません!」
「ケロちゃん、もう2度とつまみ食いしないって、誓う?」
「誓います、誓います」
「ほんと?」
「ほんまや。もう、2度としません、すみれさま」
「じゃ、もうすぐ晩ご飯だから、それまでおとなしく待ってなさい」
「はい、すみれさま」


370:126
05/05/16 00:32:37 8LBAXXol0
あたしはキッチンに戻った。
「ほぇ?タマネギが増えているよ?」
みじん切りになったタマネギが、2つの山になっていた。
「おかしいなぁ。1つにまとめておいたんだけど・・・誰かが分けたのかな?」
でも、そんなことをする人がいるわけがない。

「ま、いっか」

あたしはボールに合いびき肉を入れた。ママが教えてくれたとおりに、お肉屋さんに牛肉の赤身7、
豚肉の赤身2、豚の脂身1の割合にしてもらったものだ。お塩とナツメグを加えてこねる。

よーくこねる。100回こねる。

「そろそろかな」

次に卵、みじん切りにしたタマネギ、ミルクに浸しておいたパン粉を加えて混ぜる。

「じゃ、型を作ろう」

サラダオイルを手につけて、材料を3等分にする。そのうちの1つを手にして、両手で軽くたたいて
空気を抜く。真ん中にくぼみを作って、中まで火が通るようにする。ママが教えてくれたように。

「これでよし」

残りの2つも同じようにして、型を作る。

「龍平、そろそろサラダとスープを作って」
「うん」
サラダとスープは龍平の担当なんだ。スープはレトルトをあたためるだけだけど。


371:126
05/05/16 00:34:04 8LBAXXol0
あたしは、フライパンをあたためてから、サラダオイルをひいた。よくなじんだところで、
ハンバーグを置く。最初は強火で両面に焼け目をつけて肉汁が出ないようにする。
それから弱火にして・・・

「肉汁が透明になった。これなら、焼き上がりだね」

くぼみを軽く押して、焼き上がりを確かめた。
「龍平、サラダは?」
「もう、できてるよ」
龍平がサラダを盛り付けたお皿に、ハンバーグも載せていく。
「お姉ちゃん、じょうずに焼けた?」
「もちろん!」
あたしは、フライパンに残った肉汁に赤ワインとケチャップ、ウスターソースを加えて軽くあたためる。
「ソースもできたよ」
フライパンから、お皿に載せたハンバーグにソースをかける。
「おっ!うまそーやなぁ」
テーブルの上から、ケロちゃんの声が聞こえた。
「もう少しだから、待ってね」
あたしと龍平はテーブルにハンバーグやサラダ、スープにパンを置いていく。
それを見ているケロちゃんは、しっぽを振って、とってもうれしそうだ。
あたしはエプロンをはずして、いすにすわった。龍平もだ。
「わ~い、ハンバーグや!」
ケロちゃんがいきなり食べようとしたので、
「ケロちゃん、『いただきます』は?」
「そうや、そうや。いただきま~す」
「いただきま~す」

あたしたちは晩ご飯を食べ出した。そして、

「※#диЯ★!」

372:CC名無したん
05/05/20 20:03:31 IQGvVJnn0
さくら「私はお前の母親だ」
すみれ「うそだぁ~~~~~っ!!」

373:おい!
05/05/20 20:38:49 VVsxBrC1O
トイストーリー2?

374:CC名無したん
05/05/20 22:42:54 pQIiQt2p0
いいですねぇ。丁寧な描写、転がる物語、魅力的な新参キャラクターたち。
ネットで公開されているファンアートとは思えないクオリティです。
ゆっくりみんなで楽しんでいきましょう。

375:126
05/05/22 23:14:15 wD9HjaJL0
「※#диЯ★!」

あたしたちは、口に入れたハンバーグをお皿に戻した。
「お姉ちゃん、これ・・・」
「・・・」
あたしは、何も言えなかった。このハンバーグは・・・
「ハンバーグがしゃりしゃりしてるよ・・・」
「・・・うん、そうだね」
龍平の言うとおりだった。おいしくできたはずのハンバーグがしゃりしゃりしてる。
「すみれ・・・」
次にケロちゃんが口を開いた。
「・・・わいは思うんやが、ひょっとして、タマネギ、炒めなかったとちゃうんか?」
「あっ!」
そうだ。確かにタマネギのみじん切りを、炒めないでそのまま混ぜたんだ。
「タマネギを炒めるんは、甘みを出すというのもあるんやが、ひき肉と同じ時間で火を通すっちゅう
こともあるんや。肉にはちょうどよく火が通ってるけど、タマネギは半生や。それに、このタマネギ、
分量がミョーに多くないか?いつもの倍ぐらい入っとるし」
「そんなことないよ。タマネギを炒めなかったのは確かだけど、分量はちゃんと計ったよ」
「けどな・・・すみれがせっかく作ってくれたハンバーグやけど、これを食べるのはちょっとキツイでぇ」
「いま、焼き直すよ」
「あかん。そないことしても、タマネギに火が通るころには、肉がこげてしまうさかい」
「そっか。でも、どうしよう」

このままでは、晩ご飯にならない。そのとき、龍平がいすを立って、冷蔵庫のドアを開けた。
「龍平、何するの?」
見ると、龍平は、パパの夜食用のハムを冷蔵庫から取り出している。
「これを晩ご飯にするんだ」
「ダメだよ!それ、パパのお夜食なんだから!」
あたしは、あわてて龍平を止めた。

376:126
05/05/22 23:15:09 wD9HjaJL0
あたしは、龍平からハムステーキの包みを取り上げようとした。すると、龍平は
「お姉ちゃん、これ、実はパパの夜食じゃないんだよ」
「ほぇ?それって、どーゆーこと?」
「お肉屋さんの前で、お姉ちゃんがケロちゃんと電話してるときに、ママからケータイがかかってきて、
ハンバーグがうまくできなかった時用に、買っておいてって、言われたんだ」
「え?」
あたしが驚いていると、龍平はケータイを取り出して、音声メモを再生した。

『・・・すみれちゃん』
ママの声だ。
『すみれちゃんが、これを聞いているということは、ハンバーグ、うまくいかなかったのかな?
もしそうだとしたら、龍くんに買ってもらったハムステーキを、晩ご飯にしてね。
・・・がっかりしないで。元気を出して。すみれちゃんなら、次からはきっとじょうずにできるから。
そのときには、ママにも食べさせてね・・・』

「・・・ごめんなさい、ママ・・・」
ママの伝言を聞きながら、あたしは手で涙をぬぐっていた。
「すみれ、そないに落ち込まんでええ」
「ケロちゃん」
「誰でも最初からじょうずにできるわけやない。さくらかて、すみれぐらいのころには
さんざん料理に失敗して、わいにとんでもない食いもんを食べさせよったで」
「ほんとう?」
「ほんとうや!」
ケロちゃんが笑った。
「そやから、せっかく、さくらが気ぃきかせてくれたんや。スープがさめないうちに、ちゃっちゃと
ハムを焼いてしまおうやないか」
「うん!」


377:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
05/05/23 19:10:53 Tf5lsf6U0
126氏乙です。

378:CC名無したん
05/05/23 23:03:20 0nhxjxHR0
ほのぼのします

379:CC名無したん
05/05/24 14:44:22 NMk6zH1T0
ええわぁ。
たまねぎいため忘れは経験がありますw

380:CC名無したん
05/05/25 18:01:16 7dh/w/wO0
てか、ハンバーグの玉ねぎって炒めるの?
今まで炒めずにひき肉の中にぶっこんでた・・・。

381:CC名無したん
05/05/26 10:54:32 fU3V8l5/0
>>380
俺弱火でじっくりいためてから入れるけどな。
そういう調理法もあるんじゃない?

382:355 ◆MFV5elHKgs
05/05/27 02:24:19 Z4/b3oB50
ここは本当に落ちつくよ・・


383:CC名無したん
05/05/27 22:37:41 24Kwq5e50
さすがさくらたんやぁ。・゚・(ノД`)・゚・。
さくらたんの愛にほのぼのとしました。
126氏乙であります!

384:CC名無したん
05/05/28 03:02:39 EFjjhOVT0
俺も炒めず入れてたけど大丈夫だよ
まあ肉は弱火でじっくり焼いてるけど

385:CC名無したん
05/05/28 11:08:03 CEeXfEyb0
>>384
それだ!
おれ強火でがーっと焼いて中のジューシー感を味わうタイプだから。
弱く焼くと締まりすぎる気がしてだめなんだ

386:126
05/05/30 01:05:24 5AgH3I+c0
「ごちそうさまぁ」

「あ~、食った。食った」
ケロちゃんは、大きくふくらんだお腹をぽんぽんとたたく。
「きょうのハムステーキは、とくにうまかったでぇ。隠し包丁を入れるなんて、すみれもなかなかやな」
「ありがとう。ママが教えてくれたんだ」
「ほんま、さくらといい、すみれといい、うまいもんを作ってくれて、わいはしあわせやなぁ。
ところですみれ」
「なに?ケロちゃん?」
「おいしい晩ご飯も食べたことやし、食後のデザートは?」
「ちょっと待って。おかたづけをしてからね」

あたしはキッチンにトレイを取りに行った。

「・・・これは?」

ほんの少しだけど、魔力の気配を感じる。

(気のせいかな?キッチンで魔力なんて・・・?)

あたしがとまどっていると、テーブルからお皿なんかをを持ってきた龍平が
「お姉ちゃん、魔力の気配がするみたいだけど・・・」
「龍平も感じる?」
あたしたちは、精神を集中した。
「ここだ!」
「うん!」


387:126
05/05/30 01:06:59 5AgH3I+c0
ケロちゃんも飛んできた。
「魔力の気配がするんやて?」
「うん、ここ。ディスポーザーの中から」
あたしと龍平は指を指した。
「ディスポーザーの中からやて?中になんかヘンなもんが入ってんのか?」
「見てみる」
あたしは、ディスポーザーのふたを開けた。
「変なものはないよ。さっき失敗したハンバーグぐらいかな・・・でも、このハンバーグ、
確かに魔力の気配がする!」
「なんやて!」

そのとき、

キャッキャッ・・・

窓の外から笑い声が聞こえた。
「なに?」
声の方を見ると、お庭にふたりの小人さんがいた。
「あれは?」
「あれは、ツインのカードやないか!」
「クロウ・カードなの?」
「ああ、なんでも2つにしてしまうカードや!」
「なんでも2つに・・・あっ!ひょっとして?!」
「どうしたんや、すみれ?」
「うん、ハンバーグを作っているときに・・・」


388:126
05/05/30 01:12:30 5AgH3I+c0
→すみれの回想モード

あたしはキッチンに戻った。
「ほぇ?タマネギが増えているよ?」
みじん切りになったタマネギが、2つの山になっていた。
「おかしいなぁ。1つにまとめておいたんだけど・・・誰かが分けたのかな?」
でも、そんなことをする人がいるわけがない。

「ま、いっか」

←すみれの回想モード終わり

「そうか!それで、すみれのハンバーグにタマネギがいつもの倍ぐらい入ってたんや!」
「それって、ツインのカードのせい?」
「きっとそうや。でなければ、いくらタマネギが半生やとしても、あんなにしゃりしゃりにならへん!」
「・・・でも、どうして、あのとき、魔力に気づかなかったんだろう・・・」
「それは、すみれがバブルのカードを使うんで、一生懸命だったからや」
「・・・そっか」

そのとき、ツインのふたりが、とつぜん光に包まれた。

「お姉ちゃんっ!」
「龍平!」


389:CC名無したん
05/05/30 11:53:33 CxdD0geb0
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
いいすねー話がきちんと組み立てられてる。
ほかの二次制作とは一線を画してる

390:CC名無したん
05/06/01 07:44:32 4x0jrGbE0
保守

391:CC名無したん
05/06/02 20:56:08 +Ltq2Ytj0
>>389
はあ?何言ってんだおまえ。馬鹿か?
最強は最近文章が一線を越えた
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これだろ。

392:CC名無したん
05/06/04 10:16:47 NHOrhe5F0
126氏キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
ハンバーグ失敗をちゃんとカードのせいにしているというところがいいですね。(´∀`)
次回も期待したいと思います(´∀`)

393:126
05/06/06 02:28:02 8Oy9qkQs0
ガッシャーン!

お皿の音が、キッチンに鳴り響いた。
龍平が、半分落とすようにして、持っていたお皿をシンクに置いたんだ。

「だいじょうぶ、龍平?」
「うん。でも、驚いたよ。急にお皿が2倍になるもんだから、重くて、落とすところだった」
「・・・もう!」
あたしは、窓の外のツインをにらみつけて、叫んだ。

「どうしてくれるのよ!おかたづけが、2倍大変になっちゃったじゃない!」

ズザーッ(←龍平とケルベロスがコケる音)

「・・・お姉ちゃん・・・こんなときにボケなくても・・・」
「龍平の言うとおりや。ツインが騒ぎを起こしたら、そんなもんやないんやで」

そして、ケロちゃんもツインをにらみつけて、叫んだ。

「どないしてくれるんや!どーせなら、皿やなくて、今日のデザートを2倍にしてくれへんか~!」

ズザーッ(←すみれと龍平とツインがコケる音)

「どうや?わいのボケの方が、強力やろ?」
「そんな問題じゃない!」
「そうか?」
「そんなこと言っているうちに、ツインのカードがどっかに飛んで行っちゃったんじゃないの!」
「あかん!すみれ、追いかけるんや!」


394:126
05/06/06 02:30:19 8Oy9qkQs0
「龍平、おうちのことはお願い」

玄関に出たあたしは、呪文を唱えだした。

「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」

封印の杖を手にすると、あたしはフライのカードさんを取り出した。

「クロウの創りしカードよ。我が鍵に力を貸せ。
カードに宿りし魔力を、この鍵に移し、我に力を!フライ!」

「行くよ、ケロちゃん」
「おう!」

あたしとケロちゃんは、友枝町の上空を飛んで行く。
「見て、ケロちゃん。あそこの郵便ポスト、2つになってるよ!」
「こりゃあ、はようツインを捕まえんと、おおごとになるでぇ」
「カードの気配を感じるよ。ペンギン公園のほう」
「ほんまや。すみれ、はよう行こう」
「うん!」


395:CC名無したん
05/06/10 23:28:30 aLvkId7m0
ハァハァ

396:CC名無したん
05/06/12 09:51:01 WqOznlam0
 ('A`) ヌルポクセ

397:CC名無したん
05/06/12 11:02:20 HvKhJjOMO
>>396
(*-_-)つ ≡ ●☆)゚3゚) ガッ!!!!

398:126
05/06/12 22:58:05 uOWezLH+0
「いたっ!」

ツインのカードは、ペンギン大王のまわりをダンスするようにして回っていた。
ちょっと、楽しそうだけど
「あいつら、ペンギン大王を2つにしようとしとるで!」
「たいへん!すぐに止めなくちゃ!」
フライのカードさんで飛んでいると、ほかのカードが使えない。あたしは、ペンギン公園に急降下した。
大急ぎで、フライさんを解く。そして

「風よ、いましめの鎖となれ!ウィンディ!」

ウィンディさんが、ツインのひとりを捕まえた!

「汝のあるべき姿に戻れ、クロウ・カード!」

「あかん、すみれ!」
「えっ!?」

ずばばーん!

「きゃっ!」

ツインのひとりは、カードの形にならずに、あたしは封印の杖ごとはじかれた。

「どうして?」
「ツインは、かたっぽだけ捕まえてもあかんのや!」
「え~っ!?」
「両方同時に動かれへんようにせなあかん!」
「同時にって!?」


399:126
05/06/12 22:59:00 uOWezLH+0
そのとき、ペンギン大王のてっぺんにいたツインが、あたしの方に飛んできた。
あたしが、2人にされちゃう!

「・・・あわわわ・・・ジャンプ!」

あたしは、ツインから逃げ回った。

「すみれ、知世のビデオ、見てなかったんか!?」

ツインの後ろから追いかけてくる、ケロちゃんの声を聞いて、あたしは思い出した。
ママのときは、パパと苺鈴おばさんが協力してツインの動きを止めたんだ。
けど、あたしは2人を同時に止められるカードなんて、持っていない。

「2人同時なんて、無理だよ~っ!」

そのとき、ツインの気配がもうれつに強くなってきた。

「あかん、やられる!」

「ほぇ~っ!!!」


400:CC名無したん
05/06/13 00:09:44 0jm6e4sV0
400糞スレげっと

401:CC名無したん
05/06/18 01:23:25 ERf8qOGz0
保守

402:CC名無したん
05/06/18 01:25:47 ERf8qOGz0
保守

403:CC名無したん
05/06/18 01:30:29 ERf8qOGz0
hosyu

404:CC名無したん
05/06/18 01:34:23 ERf8qOGz0
保守

405:CC名無したん
05/06/18 17:11:40 MCWIPOhz0
すみれはルーク・スカイウォーカー

406:CC名無したん
05/06/20 23:51:16 t7VGeXyAO

さくらタソをダークサイドに堕とす気か?www

407:126
05/07/04 01:11:59 8dcRIsmU0
「シールド!」

そのとき、あたしの目の前にシールドが現れて、ツインの魔力を防いでくれた。このシールドは

「ママっ!」
「だいじょうぶ、すみれちゃん?」
「うん。だいじょうぶだよ。ありがとう、ママ」
ママは、あたしたちのそばに降りてきた。
「さくら、来てくれたんか」
「カードの気配がしたから、フライのカードで飛んできたの。こんどは、ツインのカードみたいね」
「うん。でも、ひとりじゃうまく封印できなくて」
「じゃ、いっしょに封印しよう」
そうか、ママといっしょなら封印できるかもしれない。
「よっしゃ、わいがカードを追い込むさかい、さくらとすみれで封印や」
そう言うと、ケロちゃんのからだが羽につつまれ、まもなく、真の姿になったケロちゃんが現れた。
「よっしゃ、いくでぇ」
ケロちゃんは、羽をはばたかせると、ツインのカードに向かって行った。

「来るよ、すみれちゃん!」
「うん!」
まもなく、ケロちゃんに追い立てられたツインのカードが、こちらの方に飛んできた。
あたしとママはカードを取り出す。
あたしは、ママを見る。
そして、ママの目で合図。

「「サンダーッ!!」」


408:126
05/07/04 01:13:53 8dcRIsmU0
「・・・あっ」

タイミングがずれた。ほんの少し、サンダーさんがツインを捕まえた後、

ずばばーん!

ツインは、サンダーさんを解いてしまう。

「あかん。タイミングがずれよった」
あたしは、ママを見た。
「もう一度だよ、すみれちゃん!」
「うん、ケロちゃんもお願い!」
「よっしゃ!」

ケロちゃんが、もう一度、ツインをおいかける。

そして
「来るわ!」
「うん!」
あたしとママは、タイミングを合わせた。

「「サンダーッ!!」」


409:CC名無したん
05/07/13 00:18:30 0HN4ciuP0
(;゚∀゚)=3

410:CC名無したん
05/07/15 16:42:20 UrvSm7a60
日本人なんかと結婚しなかったから幸せそう

411:CC名無したん
05/07/15 21:56:18 dVqWBikB0
おもろい

412:126
05/07/17 00:07:01 uAEnc+yM0
ずばばーん!

「あかん、今度もタイミングがずれよった!」

今度も、サンダーさんを解かれてしまった。

「・・・そんな、もう一度やろうよ!」
あたしは、ママを見た。
「・・・」
ママは、ペンギン大王の上に降り立った、ツインを見つめている。
「すみれ、このままやと、何度やっても封印できん」
「ほぇ?」
「ツインはわいの動きに慣れてきとる。もう一度やっても、すみれたちの前にうまく追い込めるか・・・」
「そんな・・・けど、ツインをそのままにしておけないよ。だから、もう一度やろうよ。
ね、ママも」
「わかったわ。あきらめずにもう一度やりましょう」
「そうやな。すみれの言うとおりや」

ケロちゃんはそう言うと、羽を広げて、再びツインに向かって飛び立った。


413:126
05/07/17 00:08:34 uAEnc+yM0
「・・・ケロちゃん、がんばって!」

けれども、ケロちゃんの言うとおりだった。ツインのカードは、もうケロちゃんの動きを読めるみたいだ。
さっきまでと違って、ケロちゃんがツインを追いかけているというよりも、ケロちゃんのほうが
逃げることが多くなっている。

「くそっ!」

ケロちゃんの声があたしにまで聞こえてくる。

「わいをなめるなよ!」

ケロちゃんが空中で急転回して、ツインに向けて火炎を吐いた。
ツインはぎりぎりのところでその炎をかわして、ケロちゃんの上をすりぬける。
そして、そのまままっすぐあたしのところに突っこんできた。
「すみれちゃん!」
「ジャ、ジャ・・・」
あたしは、ジャンプのカードさんを使って逃げようとしたけど、サンダーさんを持っていたので
すぐにカードさんを取り出せない。

「あぶない!」

「ほぇ~っ!!!」


414:CC名無したん
05/07/17 00:11:10 WzDsl0Cb0
おもろねえ('A`)

415:CC名無したん
05/07/17 07:36:49 z71xj3ql0
保守

416:保守
05/07/24 22:21:25 M0T4u6PI0
                _                           Λ_Λ
               ̄   ̄                         <;;;)`Д。>←>>414
        . '            ヽ
       /                                    //
      /                                  //
           ,-( ヽ         i               /
    /       メ、ヽ ヽ          |               /
          /  ヽl  |        |            /
        /    // /        !          ,
       /Λ_Λ// /
     / ( ´∀/ /
    /   γ    /         /
  θ     ヘ    |        /
         )   |       ,
         /     |
         /  ヘ   |   /
        i  / |  |  /  /   , '    _/  |l
       /  /   |  |    し'   /      / ̄/
      /  /.  /  |       (   _   /  /   〃,
     (  /   /  l  と と )  て ̄          /
     し'   /__) (_(_,レ



417:CC名無したん
05/07/27 15:54:28 coAesvN70
保守

418:126
05/08/01 01:09:37 SUTUDVrD0
「風華招来!」

とつぜん、あたしのからだが、風に包まれた。

「これは・・・?」

そのまま、どこかに運ばれたかと思うと、まもなく、あたしのまわりの風が消えた。
そして、目の前に現れたのは、剣を構えた影・・・

「だいじょうぶか、すみれ?」
「パパ!」
あたしは、パパに抱きついた。
「ありがとう、パパ!もう少しで、ふたりにされちゃうとこだったよ!」
「ふたりに?じゃ、ツインのカードが現れたのか?」
「うん」
「さくらは?」

そのとき、
「小狼くーん!」
ママがあたしたちのところに飛んできた。
「さくら」
「よかったぁ。すみれちゃん、無事だったのね」
「うん。パパが助けてくれたんだ」
「ありがとう、小狼くん」
「すみれは、俺たちの子だ。助けて当然だ」

パパの顔が、ほんの少し赤くなった。


419:126
05/08/01 01:10:51 SUTUDVrD0
「すみれ、無事やったんか」

すぐにケロちゃんもやってきた。

「うん、パパが助けたくれたんだ」
「ほぉ、小僧もたまにはやるもんやな」
「誰が小僧だ?」
「小僧で十分や」

また、お約束の掛け合いが始まった。

「ふたりとも、やめて。今は、ツインの封印が先よ」
「ママの言うとおりだよ。早く封印しないと、ご町内が大変なことになっちゃう!」
「そうだな」

ママとあたしのことばに、ふたりは掛け合いをやめた。

「・・・それで、封印はうまくいかなかったのか?」
「わいの動きも読まれとるし」
「すみれちゃんとでは、どうしてもタイミングがずれてしまうの」
「だから、あたしとママよりも息がぴったり合わないと・・・そうだ!」


420:CC名無したん
05/08/01 01:39:49 IRlXVZX30
(゚∀゚ *)ホェー

421:CC名無したん
05/08/01 08:53:13 cnrYzwnm0
うぉ、ここで小狼くん登場ですか!

422:CC名無したん
05/08/01 21:37:54 KYpX3lDG0
(´・∀・`)y-~~

423:CC名無したん
05/08/06 20:14:53 4mGZJfED0
ふんふん

424:CC名無したん
05/08/06 21:03:32 bKBnsTDIO
すみれ懐かしいなぁ。今まで忘れてたよorz

>>126
相変わらずGJ!!期待してるぜ!

425:CC名無したん
05/08/09 02:16:31 zKGjEZ6p0
ここ何人ぐらいの人がみてるかな

426:CC名無したん
05/08/10 00:03:21 rdz2bdVt0
そりゃあもう世間の人は大抵見てるでしょ。

427:CC名無したん
05/08/10 00:37:38 pfknU4Pd0
ノシ
すくなくとも自分は見てます。

428:CC名無したん
05/08/10 15:46:05 7RSFKpZ10
漏れも見てますよ。ほぼ毎日見に来てます。

429:CC名無したん
05/08/12 21:24:57 wyoH3Uw30
点呼とかいらん

430:CC名無したん
05/08/14 21:06:26 Z0c+xjFH0
静熱燃とはこの事さ

431:126
05/08/15 02:28:29 Qh+FGaGO0
「ええか、すみれ。落ちんように気ぃつけや」
「うん」
ケロちゃんの背中に乗って、あたしは答えた。
「行くでぇ!」

ケロちゃんの羽がぶぁっと開いて、あたしたちは飛び立った。
地上のママとパパの姿が小さくなる。そして、目指すのは、ツインのふたり。

「いたっ!」

ツインのカードは、相変わらずペンギン大王の近くにいた。
「なんや、のんびりしとるなぁ」
「きっと、あたしたちでは封印できないと思って油断してるんだよ」
「ようし、今度こそ封印や、すみれ!」
「うん!」
あたしは、カードさんを取り出した。

「今度こそ容赦せぇへんでぇ!」
ケロちゃんは、息をためると火炎を吐き出した。
それと同時にあたしは、
「ファイアリー!」
ケロちゃんの口と、ファイアリーからの2連の火炎が、ツインのカードを追いかけた。
さっきまでと違って、大あわてだ。

「うまいよ、ケロちゃん!」

ケロちゃんがちょっとうなずくと、口からの火炎がさらに強くなった。

432:126
05/08/15 02:31:27 Qh+FGaGO0
「ケロちゃん、右の方に!」
あたしは杖をふって、ファイアリーを誘導する。

焼けそうになったツインのふたりは、夢中で逃げ出していく。そして、その先にはママとパパがいた。

「来るよ、小狼くん!」
カードを取り出したさくらを見て、小狼も護符を取り出した。

「サンダー!」
「雷帝招来!」

ふたりから伸びた雷撃が、ツインを襲う。

「やったか?」

「うん、やったよ、ケロちゃん!」

雷撃に捕まったツインのふたりが、空中でじたばたする。

「今や!」
「汝のあるべき姿に戻れ、クロウ・カード!」

ピンっ!

封印の杖を振り下ろすと、金属のような音がして、ツインのカードが封印の杖から伸びた光に包まれた。


433:126
05/08/15 02:34:40 Qh+FGaGO0
まもなく、ふたつの光がひとつになると、あたしの手にすべりこんで来た。
そして、光が消えていくと、あたしの手にツインのカードがあった。

「やったぁっ!」
「やったな、すみれ!」
「うん。やっぱり、ママとパパなら息がぴったりなんだ!」

→小狼がすみれを助けたときの回想シーン
「・・・それで、封印はうまくいかなかったのか?」
「わいの動きも読まれとるし」
「すみれちゃんとでは、どうしてもタイミングがずれてしまうの」
「だから、あたしとママよりも息がぴったり合わないと・・・そうだ!」
「何か、思いついたんか、すみれ?」
「うん。ママとパパにツインを捕まえてもらうの」
「ほぇ?」
「ママとパパなら、きっとぴったりのタイミングでツインを捕まえられるよ」
「だが、俺の護符はクロウ・カードじゃない。魔力の種類が違うから、同じタイミングで使うのは無理だ」
「けどけど、ママとパパは、あたしが生まれる前からずーっといっしょだったんでしょ。
だから、きっとあたしとママよりもタイミングが合うと思うんだ」
「・・・」
ママとパパは、お互いの顔を見た。
「・・・小狼くん」
パパは、ママの顔をしばらく見つめていた。そして、
「・・・ああ」
ほんの少し微笑むと、うなずいた。
←回想シーン終わり

434:126
05/08/15 02:40:58 Qh+FGaGO0
ケロちゃんの背中から降りたあたしは、ママたちの方に向かって走り出した。
「ママ!パパ!やったよ!」

ふっ。

「ほぇ?」
あたしの目の前から、ママが消えた。

「やったよ!小狼くぅーん!」

そのとき、ママはパパの胸に飛び込んでいた。

「おい、よせっ、さくら」
パパの顔は真っ赤だ。
「よせ、すみれが見てるじゃないか」
「やだぁ」

パパはあたしの方を気にしながら、じたばたしている。
「・・・ケロちゃん」
あたしは、カードを手に立ちつくしていた。そんなあたしに、
「まぁ、ええんやないか?
さくらも久しぶりに小僧に会えたんやし、すみれもツインを封印できたことやし」
「そ、それもそうだね」
あたしの頭におっきな汗が浮いた。

<すみれのしゃりしゃりハンバーグ:終劇>


435:126
05/08/15 02:41:59 Qh+FGaGO0


















「・・・おい、さくら、やめろって・・・」
「やぁだ!」


436:CC名無したん
05/08/15 02:49:19 ObbcBp0U0
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
やっぱりCCさくらの小狼とさくらはいいな
ツバサは・・・

437:CC名無したん
05/08/15 17:59:11 ppaQTj2I0
読みながらニヤニヤしてしまった。

438:CC名無したん
05/08/16 22:31:31 cTOPwfAI0
久々に来たら更新キタ━━━≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!!!!!
ほんまに上手いですね。
437にハゲドーな自分でした!
また二人の甘いの待ってますww

439:CC名無したん
05/08/16 22:39:01 85b3Ojm20
上手い?
ど下手だろ

440:CC名無したん
05/08/17 01:32:50 lv/qLVqn0
>>439
> 上手い?
> ど下手だろ
酷いこというね、ど下手はあんまりだと思う。まああんまりこなれてないけど、
この板の今のノリはこういうのが受け入れられるんだから、ニーズに合致している
ということなんじゃないかな。
スレリンク(sakura板)l50
スレリンク(sakura板)l50

続きを書くでもなく、自作自演で誉めそやすこの辺のスレと比べればよほどましかと思うよ。

441:CC名無したん
05/08/19 10:15:20 J+LL5lkB0
描写が下手だろ
せめてこの程度のレベルにしてみろ
スレリンク(sakura板)l50

442:CC名無したん
05/08/19 11:24:27 k8Bd2LrMP
早く夏終わんないかな

443:126
05/08/20 01:58:18 Wq15CfNG0
マジレスしますと、126 は描写のていねいな文章を「重く、めんどくさい」と感じることが多く、
たとえそれが上手であっても好きではありません。自分で好きでないタイプの文章を書き続けることが
できる人は、世の中では少数派だと思います。

それに、このSSは原作に大幅に依存しています。原作と同じセリフを書けば、その前後の描写は、
原作からの類推で脳内補完が可能なので、書く方は細かく描写しなくてもすみますし、
読む方にとっても、その補完作業がSSを読むときの楽しみだったりします。

要は、普通の文章として評価するのがもともと間違いなのでしょう。



・・・とか書いてみましたが、本音も書きますと、

「もう3年書いてるから、これ以上文章は上達しないだろうし、だからといってここでやめるとしたら
悪魔将軍や前スレ >>14 氏、そのほかたぶん実在するであろう読んでくれている人に申しわけない気も
するので、sage 進行で地味に続けさせていただきます。お気に召さなければスルーしてください」

ということです。


444:妄想 ◆GqVfLUITBY
05/08/20 02:22:24 70F+yvoD0
>マジレスしますと、126 は描写のていねいな文章を「重く、めんどくさい」と感じることが多く、
たとえそれが上手であっても好きではありません。

おい、描写を丁寧に書くことがそんなに悪いのか?

445:126
05/08/20 02:38:00 Wq15CfNG0
>>444
良し悪しでいえば、ていねいな描写は「良い」ことだと思います。
ただ「良くても嫌い」「悪いけど好き」というのもあるでしょう?

126 の中では善悪と好き嫌いは一致しておりません。独立してます。


446:CC名無したん
05/08/20 04:00:48 VLKVRiHX0
個人的に言わせてもらえばこれはこれでいいと思うよ。
個人の嗜好だし、俺は想像の余地があっていい会話劇として見させてもらってるよ。
まあ正直言えば思ってたのと違う意味で書かれたシーンが多くて迷うこともあるけど。
それはそれで十分作者の意思としてありだと思います。

447:CC名無したん
05/08/20 12:03:55 T/sCZWBv0
こういう文章だから逆に必要以上に持ち上げる奴が少なくて
アンチを生まずに長い間書き続けられた、とも思うよ。
「こっちむいてよスレ」のアレは本当に可哀相、としか言いようがない。

448:CC名無したん
05/08/20 14:11:33 Hrpys4M70
なんだってすぐ355の話にするかな
その話はそっちのスレでやってくれ
荒れるだろ

449:126
05/08/22 00:44:41 7pJGeYU20
次回予告
ほぇ~っ!
あたしと衛くんが、イベントで中国拳法の表演をすることに
なったんだ。それも、パパのお仕事の関係で・・・
それから、あたしは衛くんは、パパに教えてもらって猛特訓!
表演は無事にできたんだけど・・・

その帰りの公園で、衛くんに戦いを挑んできた人がいるの。

衛くん、負けないで!

でもでも、この相手は・・・クロウ・カード!!
どうしよう。衛くんがいるから封印できないよ!

カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれと封印できないカード

次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!

450:CC名無したん
05/08/22 01:00:36 Dlfk4SJ00
くだらねえ。文書だな~

451:CC名無したん
05/08/22 16:54:33 ZoATrBAr0
次回予告キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

ガンガってください。応援してます

452:CC名無したん
05/08/23 02:40:19 x9ETJpOS0
文句のある奴は見なければいい、それだけのこと。
それにしてももう始まってから3年も経っているのか、
126氏、あんまり気にせずこれからも頑張ってくれ。

453:CC名無したん
05/08/23 04:55:25 ys2vJdrM0
すみれたんのビジュアルってどんな感じ?

454:126
05/08/29 02:32:53 QOXrjiFN0
「おそよ~!朝だよ~!起きなさ~い!」
「むにゃ、むにゃ・・・おはよう、お姉ちゃん」

その日、あたしはいつものように龍平を起こしていた。
ほんとに、わが弟はもうれつに朝が弱い。

「早く起きないと、学校に遅れちゃうよ」

そう言いながら、龍平が起きるの待つ。

「ほぇ?」

ふと、あたしは、龍平の机の上に見慣れないものを見つけた。

「龍平、これなに?」
「本だよ」
「それくらい、わかるよ。なんの本?こんな分厚い本、龍平持ってたっけ?」
「パパが、香港から持ってきてくれたんだ。クロウさんが書いた本なんだよ」
「クロウさんの?」
香港の夜蘭(イエラン)おばあちゃんちに、クロウさんが書いた本が何冊かあるって聞いたことがある。
あたしは、本の表紙をめくった。中は見たこともない文字でいっぱいだった。
「ほぇ~!龍平、こんなの読めるの?」
「いま、パパに教えてもらってる。文字はクロウさんが作った文字だけど、中は中国語と英語だよ」
「そうなんだ」

でも、どうして、とつぜんこんな本をパパが持ってきたんだろう。


455:126
05/08/29 02:34:33 QOXrjiFN0
「おはよう、パパ」
「ああ、おはよう」
「おはよう、ママ」
「おはよう、すみれちゃん、龍くん。おばあちゃんにごあいさつは?」
そして、あたしと龍平は、撫子おばあちゃんのホログラムに
「おはようございます、おばあちゃん」

そして、テーブルにつく。テーブルの上には、おかゆと油条(ヨウテャオ。お粥といっしょに食べる
揚げパン)、中国風のオムレツなんかが並んでいる。

「おっ、きょうもうまそうやな」
すぐに飛びつきそうなケロちゃんに、ママがひとこと。
「ケロちゃん、『いただきます』は?」
「そうやったな。みんな、『いただきます』や。『いただきます』とちゃんと言うんやで!」
ケロちゃんのことばに、あたしたちは少し笑いながら

「いただきまーす」

朝ごはんを食べながら、あたしは気になっていることを、パパに聞いてみた。


456:126
05/08/29 02:36:07 QOXrjiFN0
「あのね、パパ。クロウさんの本のことなんだけど・・・」
あたしの質問が終わる前に、答えたのは龍平だった。
「前から、ぼくがパパに頼んでいたんだ。クロウさんの本を読みたいって」
「前からって、いつごろ?」
「お姉ちゃんが、カードを集めだしたころ」
「どうして?」
「うん・・・魔法のことが知りたいんだ。ママもお姉ちゃんもカードを使えるし、パパも魔法を使える。
ぼくは魔力はあるみたいだけど、みんなと違ってカードを使ったりはできない。
それなら、せめて、魔法がどんなものなのか知りたいんだ」

あたしは、ふと、龍平のことばを思い出した。あれは、あたしがサンドのカードを封印しようと
ホテルからサルベージ船まで行こうとしたときのことだ。

→回想シーンの始まり
「大丈夫だよ。カードを使えば、あのぐらいの距離なんて、すぐだよ」
「でも、ぼくは何もできない」
あたしは、龍平の顔を見た。もう少しで泣きそうな顔をしている。
「ちょ、ちょっと、どうしたの。龍平らしくないよ」
「だって、ぼくはお姉ちゃんと違って、封印の杖なんて持っていないし
カードも使えないし、ここで見てるしかできないじゃないか」
←回想シーンの終わり

・・・あたしは、龍平の顔を見つめていた。

「どうしたの、お姉ちゃん?」
「う、ううん、なんでもないよ」

457:126
05/08/29 02:47:35 QOXrjiFN0
そのあと、あたしは龍平にこう言ったんだ。

「龍平は、カードの気配がわかるんだよ。気配がわかれば、なんとかできるじゃない。
龍平は、龍平にできることを、せいいっぱいやればいいんだよ」

『龍平にできること』

カードが使えない龍平は、きっと、それをずっと探していて、そして、クロウさんの本を読むことが
それを見つけるきっかけになると思っているんだろう。

「でも、お義母さまは、クロウさんの本を香港から持ち出すのは禁止してたはずだけど?」
ママの疑問に、こんどはパパが答えた。
「ああ、そのとおりだ。これまで、龍平の頼みを何回か母上に伝えたが、だめだった。
それが、今回日本に来るときに、とつぜん、母上の方からあの本を渡されて、龍平に読ませるようにと
言われたんだ」
「ほぇ?」
「それはどういうことや?」
ケロちゃんも、食べるのをやめて聞く。
「わからない。ただ、龍平がその気なら、そろそろクロウの本を読んでもいいと思う。
俺も、龍平の年齢のころには、全部読んでいたし」
「パパはそのころからクロウさんの文字を読めたの?」
「ああ。母上や偉(ウェイ)に教えてもらった。読めるようになるまで時間がかかったけどな」
「じゃ、こんどはパパが龍平に教える番なんだね」
「そういうことだ」
そして、パパはことばを続けた。
「基金の仕事の関係で、こんどの日本滞在は長くなりそうだ。だから龍平にはしっかり教えてやるぞ」
「ほんとう?!やったーっ!!!」

パパのことばを聞いて喜んだのは、龍平よりもママだった。


458:126
05/08/29 02:48:41 QOXrjiFN0
「もうすぐ、友枝町で日中友好のイベントがあるんだ。基金が主催しているから、俺もいろいろとな」

基金っていうのは、日中親善基金のこと(注:架空の団体です)。
パパは李家の代表ということで、いろいろなお仕事をしているけど、日本にいるときのお仕事は、
そこの理事をしているんだ。

「いろいろって、たとえば、どんなお仕事?」
あたしが聞くと、
「たとえば、イベントで中国拳法の表演があるんだが、その表演者の人選とかな。
実は、お願いしていた人が、急にケガをしてしまって、きょうはその代わりを決める予定なんだ。
なんでも、早朝の鍛錬中に勝負をいどまれたらしい」
そこに、ケロちゃんが割りこんできた。
「小僧、そんなことより、イベントなんやろ?なんか、うまいもんが出るんか?出るんやろな?
飲茶トライアスロンとか、満漢全席マラソンとかあったら、わいも出るでぇ!」

ぴきーん!

緊張が走り、パパがケロちゃんをにらみつける。

「ほんと、食い意地がはってるな」
「なんやと?!もういっぺん言ってみぃ!わいは、食いもんに対していつも真剣勝負なんや!」

また、お約束の掛け合いが始まった。そして、

「「いってきまーす」」
「ふたりとも、忘れ物はないわね?」
「「はーい!」」

・・・結局、パパとケロちゃんの掛け合いは、あたしと龍平が学校に向かうまで続いていた。


459:CC名無したん
05/08/29 23:42:12 XqrGQ8pB0
126さま 乙です。そういや、以前どなたかが「すみれたちの画像」を公開してたね。
漏れのHDDにも探したらあると思うんだけど・・・_| ̄|○モハヤナニガナンダカ

460:CC名無したん
05/08/30 11:55:18 eWIgfMZ50
>>459
うpキボン

461:CC名無したん
05/08/30 19:50:14 1VXAuf8XP
126氏乙です いいっすね読んでて癒されました

462:CC名無したん
05/09/01 23:09:09 HPwrj6PV0
このスレがさくら板中一番おもしろいのは決定済み

463:CC名無したん
05/09/02 00:52:05 Fx6HZR3S0
CCさくら板がつまらんとは言わんが、ここはかなり良スレだな。
126氏カンガレ!!応援してまつ。

464:CC名無したん
05/09/02 15:16:51 7Fv4G+p50
もうわかったから他スレ荒らしに来ないでほしい

465:CC名無したん
05/09/02 19:05:42 PHD6NZG90
ここまでひどい文章を書けるなど、ある意味尊敬する。

466:CC名無したん
05/09/03 01:01:46 YRk7wUOs0
ハァ?355降臨ですか?
126さんに嫉妬するのもいい加減にしてくれないか?


467:CC名無したん
05/09/03 08:57:48 KQ1ZYk8z0
また355かよ

468:CC名無したん
05/09/03 10:58:24 dVJYIuhh0
355しつこいな。

469:CC名無したん
05/09/03 13:00:09 5Ht91JYcO
ハイハイ他の所でやってくださいねぇ~荒らしは

470:CC名無したん
05/09/03 14:40:27 YOHcEqMh0
355キテタァ♪

471:CC名無したん
05/09/03 16:28:10 h5eq0nKn0
荒らしはスルーが一番

472:CC名無したん
05/09/03 16:43:43 SOWbImYS0
126さん、カスの355なんか気にせず書いてくださいね

473:CC名無したん
05/09/07 13:54:49 BE85FWhhO
チクショー前スレが見たい~

474:CC名無したん
05/09/07 20:16:16 29IoY+v90
前スレあるんじゃないの?

475:CC名無したん
05/09/07 20:22:40 BE85FWhhO
携帯からは見れない…

476:CC名無したん
05/09/07 20:25:58 0wYoQzwH0
携帯からみれないときは、パソでみればいいじゃろ

477:CC名無したん
05/09/07 20:29:58 BE85FWhhO
壊れちゃった…

478:CC名無したん
05/09/07 22:02:05 8PFkjnvV0
残念

479:126
05/09/08 16:13:41 YmUNvO+b0
126さんがんばって

480:CC名無したん
05/09/08 16:15:05 YmUNvO+b0
126さんがんばってってかくときに間違えて名前のところにもかいてしまった

481:CC名無したん
05/09/08 19:11:04 85WvNIGJ0
>>480
自演のいいわけかw

482:CC名無したん
05/09/09 02:38:06 lylcJ8270
あーあ・・・

483:CC名無したん
05/09/09 03:12:05 8C1u+3V60
自演に見せかけた嵐

484:126 ◆wW0v52XwNw
05/09/09 11:36:11 NtcKXkQc0
トリップつくりました

485:CC名無したん
05/09/09 16:46:19 L61sf4gg0
>>484
こんな時間にですか?

486:CC名無したん
05/09/09 16:56:02 GZVIVaR/0
>>484
やっぱりそうするのが一番でつね。

487:CC名無したん
05/09/10 09:03:48 IxE0IpCS0
中華の自演まででてはねー。
126さんがんばれ

488:126
05/09/12 02:00:00 dQ1wnCrR0
「おはようございます、すみれちゃん」
「おはよう、知美ちゃん」
あたしたちは朝の教室でいつものように、ごあいさつ。すると
「はぁ~」
「ど、どうしたの、知美ちゃん?とつぜん、大きなため息なんかついて」
「しばらく、すみれちゃんの活躍を撮影できていませんわ~」
「ほぇ?」
「着ていただきたいコスチュームはまだまだありますのに・・・」
「・・・」
「ご町内の平和を守る、カードキャプター。そのすみれちゃんの活躍を余すところなく撮影するのが
私の使命・・・」
「・・・使命って・・・」
あたしの頭におっきな汗が浮く。
「なのに、なのに、この前のツインのカードのときも撮影を逃してしまうなんて、悔やんでも悔やんでも
悔やみくれませんわ」
「・・・知美ちゃん」
あたしが、知美ちゃんをどうなぐさめようかと考えていると、

「おはよう、木之本さん」
「お、おはよう!」
衛(ウェイ)くんの声だ。とつぜん、声をかけられて、あたしはドキドキしてしまう。
「きょ、きょうは衛くん、日直なんだよね」
あたしは、衛くんがプリントをかかえているのを見て、言った。
「うん。それで、さっきこのプリントを取りに職員室に行ったんだけど、そのとき、先生たちが話を
しているのを聞いたんだ」
「話って、なんの?」
「小見(おみ)先生が入院したらしい。だから、しばらくクラブは中止になるんだって」
「えーっ!?」


489:126
05/09/12 02:01:55 dQ1wnCrR0
話はさかのぼり、その日の早朝のこと。
まだ空が薄暗いころ、公園の中を走る人影があった。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・」
朝のトレーニングに励む小見であった。超人プロレス界を退き、今は友枝小学校の教師となった
小見であるが、日々の鍛錬は怠ってはいない。

「!」

小見の足が止まった。

(・・・この気配・・・この闘気・・・!)

ファイティングポーズをとり、気配を察知しようとする。

まもなく気配の方角から、ひとりの女とおぼしき人物が現れた。その気配から、かなりの腕を持つ
格闘家であることを、小見はすぐに理解した。
「何者だ?」
小見の声に、その人物の足が止まる。ゆっくりと顔を上げ、小見に冷たい視線を投げかけた。
(刺客か?)
警戒しつつ、小見は言葉を続けた。
「かつて悪魔将軍と呼ばれ、スレまで立てた俺に、何か用か?」
女は答えない。そのかわり、両手を前で合わせ、合掌礼をする。

「なに?!」

次の瞬間、その女の姿が消えた。いや、消えたのではなく、一瞬のうちに間合いを詰められ、拳を
打ち込まれたのだ。見事な縮地だった。まったく反撃できず、薄れていく意識の中で小見は思った。

(ひょっとして、俺って、やられキャラ?)


490:126
05/09/12 11:57:08 NUD4tj440
小見は死んだ
みんな悲しんだ

491:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
05/09/12 20:43:19 /qf2+oa80
>>488-490
……偽者乙

492:CC名無したん
05/09/12 22:43:29 +TIMMxdo0
355か?

493:CC名無したん
05/09/13 06:39:44 MOicXsT90
>>492
> 355か?
いいかげんにしろよ。
355さんになんのうらみがあるのかしらないけど・・。


494:CC名無したん
05/09/13 15:10:10 /Rpnfd4o0
493=126

495:CC名無したん
05/09/13 15:38:37 Ipbs3cWr0
494=若ハゲ

496:CC名無したん
05/09/13 18:10:03 HXk2G4wrO
パワーの話と思った…

497:CC名無したん
05/09/13 18:36:26 T3MgTAGZ0
('A`)

498:CC名無したん
05/09/16 20:00:46 gtO1KYl40


499:CC名無したん
05/09/16 22:37:45 wTrCtDZt0
i

500:CC名無したん
05/09/18 00:19:06 CehLbrkb0


501:炉板通信 ◆mwhG4Chris
05/09/18 18:07:51 zLZk6qOg0
>>491
IDと書き込み時刻参照

502:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
05/09/19 11:00:15 5L42/ant0
>>501
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

あ、最後の書き込みがとってつけたような感じは否めないな。

503:126 ◆GUY03yKpmQ
05/09/20 02:35:14 s6bXS/8e0
「ただいまーっ」
「おかえりなさい、すみれちゃ」
ママはそう言いかけて、
「あら、早いのね。きょうはクラブのある日じゃないの?」
「うん、それが」
あたしは、顧問の小見先生が入院して、クラブが休みになったことを話した。
ママは心配して、
「それで、小見先生はだいじょうぶなの?」
「神宮寺先生のお話だと、命に別状はないって。退院する日は決まっていないから
クラブがいつから始まるかは、まだわかんないけど」
「そう。でも、よかったわ。命に別状がなくて」
「うん。それで、こんど、神宮寺先生とお見舞いに行こうってお話をしているの」
「それはいいわね。きっと、小見先生も喜ぶわ」

あたしはランドセルを背中からおろして、
「おなかすいたーっ。おやつ、おやつ・・・あや?」
と、ダイニングに入ろうとしたとき、ケロちゃんがテーブルの上にすわりこんでいるのが見えた。
こちらからは背中しか見えないけれど、なにかに夢中になっているようだ。
「ママ、ケロちゃんがテーブルの上にいるよ」
「あれはね、クロウさんの本を読んでいるのよ」
「クロウさんの本?龍平が読んでいる本のこと?」
「そう。昼間は龍くんは学校だから、そのあいだはケロちゃんが借りるって。ケロちゃん、
おやつも食べないで、ずーっと、あの本を読んでいるのよ」
「ほぇーっ」

ちょっとイメージに合わないよ。ケロちゃんが魔法の呪文や儀式の本をいっしょうけんめい読むなんて。

「ケロちゃんも魔法の本とか読むんだ・・・」
あたしがつぶやくと、ママは意外なことを言った。

504:126 ◆GUY03yKpmQ
05/09/20 02:37:08 s6bXS/8e0
「違うわ。あの本は、魔法の本じゃないの」
「ほぇ?じゃ、なんの本なの?」
「魔法のことも少し書いてあるけど、あの本は、クロウさんの自伝なのよ」
「自伝?」
「ずーっと後から書いた日記、といっていいのかな。あの本は、クロウさんが、まだ魔法の勉強を
していたころのことを、後から思い出して書いた本なの」
「それで・・・」
あたしは納得した。それで、ケロちゃんがあんなに夢中になって読んでいるんだ。
「でもでも、どうして夜蘭(イエラン)おばあちゃんは、そんな本を龍平に読ませようとしたのかな?
龍平は魔法のことを知りたくて、それでクロウさんの本を読みたいってお願いしたんでしょ?」
「ママにもわからないわ。小狼くんのはなしだと、最初は読みやすいからじゃないかって。
龍くんが、最初から呪文や儀式のことでいっぱいな本を読むのはたいへんだから、あの本を選んだのかも
しれないって言ってわ。でもね、ママは思うの」
「ほぇ?」
「ひょっとしたら、龍くんだけじゃなくて、ケロちゃんのことも考えて、お義母さまはあの本を
選んでくれたんじゃないのかなって」
「きっとそうだよ。だって、ケロちゃん、あんなに夢中になって読んでいるんだもん。
ケロちゃんって、クロウさんのことがほんとうに大好きなんだね」
あたしのことばに、ママはにっこりと微笑んだ。
「もう少し、ケロちゃんをあのままにしておいてあげてね。すみれちゃんのおやつなら、もうお部屋に
置いてあるから」
「うん」
あたしは、自分の部屋に行く前に、もういちどダイニングをそっとのぞきこんだ。
やっぱり、ケロちゃんの背中しか見えない。けれど、

(ケロちゃん、とっても楽しそう・・・)

ケロちゃんのしっぽが、ゆらゆらとゆれていた。

505:CC名無したん
05/09/20 10:14:00 F1QJF4MS0
ケロちゃん…(*´Д`)

506:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
05/09/20 19:25:47 9/T+9OXw0
>>501
>>490=484
>>488-489=503-504
でつね。

126 ◆GUY03yKpmQ たん、ゴメン。そして毎度乙。
自分のペースでマターリ書いてくださいね。


507:CC名無したん
05/09/22 13:41:35 Ctd4JUfc0
S.A Studio ◆Sastuvj1Pg=126 ◆GUY03yKpmQ

508:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
05/09/22 19:42:39 otkNRpz+0
>>507
ものはぐぐってから言いましょうね……。

509:126 ◆GUY03yKpmQ
05/09/26 01:38:07 u5RsnY1D0
その日の晩ご飯は、エビフライだった。
「いや~、ほんまうまいなぁ、このエビフライ」
ケロちゃんがもぐもぐとエビフライをほおばっている。
「さくらの作るエビフライは絶品や」
「ありがとう、ケロちゃん」
ママがにっこりと笑う。
「それに・・・」
ケロちゃんは2つめのエビフライをかかえあげると、

ペトっ

「このタルタルソースもなかなかや」
「それはね、すみれちゃんが作ったのよ」
「ほんまか?すみれの腕前もなかなかやな」
「たいしたことないよ。ママに教わったとおりに、マヨネーズにいろいろ混ぜただけなんだから」
「そうかもしれへんけど、うまいでぇ」

パクッ

ケロちゃんが、2つめのエビフライをほおばった。
「きょうのケロちゃんは、ほんとうにおいしそうに食べてるなぁ」
龍平のすなおな感想に、あたしは
「当たり前だよ。ママのエビフライはおいしいし、それにきょうのケロちゃん、おやつを食べて
いないんだよ」

「なんだって!」

あたしのことばにびっくりしたのは、パパだった。


510:126 ◆GUY03yKpmQ
05/09/26 01:39:19 u5RsnY1D0
「なにがあったんだ、ケルベロス?お前がおやつを食べないなんて、ただごとじゃないぞ」
パパの追及に
「ほんほほんれいらんら(本を読んでいたんや)」
ケロちゃんが、エビフライをほおばりながら答えた。
「本?なんの本だ?」
「ひま、りゅうへえはほんほる、ふろおおほんら(いま、龍平が読んどる、クロウの本や)」
「そうか」
パパは納得したようだった。すごい。ケロちゃんが食べながらしゃべっても、パパには何を
言っているのかわかるんだ。

「ケロちゃん、クロウさんの本って、おもしろい?」
と、あたしが聞くと
「まぁな」
2つめのエビフライを食べ終わった、ケロちゃんが答えた。
「やっぱりクロウはクロウや。若いうちから根性曲がっとったことがようわかるで」
悪口を言っているのに、なぜか悪口に聞こえない。
「それって、どういうこと?」
あたしの質問にパパが答えた。
「あの本は、クロウ・リードがまだ魔法を勉強していたころのことを書いた本だ」
「うん、それはママに聞いたよ」
「クロウ・リードはゴールデンドーンというところで魔法の勉強をしていたんだが、あまり
すなおな生徒じゃなかったんだ。たとえば、魔法の儀式に失敗して、借りてきた大切な壷を
割ってしまったことがあるんだ」
「それって聞いたことがある・・・ひょっとして、グルー(膠)のカードを作ったときのお話?」
「知っているのか?」
「わいがすみれに話したんや。グルーのカードに聞いてな」


511:126 ◆GUY03yKpmQ
05/09/26 01:41:03 u5RsnY1D0
「壷を割ったとき、クロウさんは謝らなかったの?」
「そうは考えなかったらしい。割れた壷のかけらを見て、クロウがまず考えたのは、これを魔法で
直せないかってことだったんだ。そう思うと、自分の力を試したくなったそうだ」
「それでクロウは、グルーのカードを作ったんや。これはすごいことやったんで」
「ケルベロスの言うとおりだ。そのころのクロウにとって、カードを作るのはまだまだ大変だった
はずだったからな」
「そうなの?」
「そうや。たとえて言うとな、クロウの考えっちゅうんは、マラソンで近道してズルしたい思うたら
ほんとうに近道してしまう。けど、その近道用にその場で橋やトンネルまで作ってしまうようなもんや。
ちょっとラクしよう思うたら、ほんとうにラクしてしまうんやが、そのラクをするために、
すなおにやる場合の何倍ものことをやってしまうんが、クロウの根性が曲がっとるとこでもあるし、
すごいとこでもあるんや」
「まぁ、そのおかげで、ゴールデンドーンではいろいろ問題を起こしたようだが、先生にあたる人には
可愛がられたようだ。ウェイト(Waite)とかな。グルーで直した壷も、すぐにウェイトに
見破られたが、結局、たいして怒られなかったようだ」
「ほぇ~」
パパとケロちゃんのお話を聞いて、あたしは、クロウさんのすごさがよくわからなくなってきた。

「そうや、小僧、本はいったん返すわ。晩ご飯終わったら、龍平に読み方を教えるんやろ?
龍平が使わんときだけ、わいが読めるという約束やったからな」
「ああ。だが、きょうは龍平に教える前にはすることがある。すみれ、食事が終わったら、
話したいことがあるんだ。ちょっといいか」
「いいけど・・・なんなの、パパ?」


512:CC名無したん
05/09/26 18:05:03 9ew1UC+t0
面白

513:CC名無したん
05/09/26 22:10:32 Ny3A+xpy0
('A`)

514:CC名無したん
05/09/28 22:20:28 y/JRTiq8O
ワクワク…

515:↑
05/09/30 22:58:23 CEsGxWX/O
脱線しそうだ…

516:CC名無したん
05/10/08 11:37:04 +3YfWim10
  ,、_  __,....,_  _,...、
  ,} {`i;:r,;'ニ (;;;;、` , r'
. {i'  i:.'ー<.・)}:ム ヾi,  く わ っ!!
  ノ // -r /:::ミ ('ーヽ
 i゙ i:/ /二./ /',=、__ノi/
. ヽ ヽ! {:::} //::::''´`'7!/  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ヽ、__ヽ!l::i:::::ii;;;;;;;|,ノ  < 乱夢想タイガーバームや!!!
   _ヽ、`ー""ヽ _  \_________
   ミ \`'ー-'''"/ 彡
      ̄ |    つ ̄
      ∪  |
       | _ |
.      ノ| | | | .
.    〆 ∪∪

517:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/11 02:36:18 NHrGWGds0
そして、晩ご飯が終わったあと。
「ありがとう、すみれちゃん。もう後片付けは終わりだから、パパのお話を聞いてあげて」
「はーい」
あたしはエプロンをはずしながら、パパのいるリビングに入った。
「手伝いは終わったのか?」
あたしに気がついたパパが聞く。
「うん。で、話したいことってなに?」
パパの正面にすわる。
「朝ご飯のとき、俺が、友枝町で行う日中友好のイベントで中国拳法の表演を頼んでいた人が
出られなくなった、という話をしたことは覚えているか?」
「うん。きょうはその代わりの人を決める予定だったんでしょ?それで誰に決まったの?」
パパはあたしの質問に直接答えないで、
「きょうの会議で、李家刀法をやろうじゃないか、という話になったんだ」
「ほぇ?」

李家刀法。パパのおうちに伝わる中国武術のひとつ。『刀法』って名前がついているけど、
刀器と呼ばれる、日本で言うなぎなたみたいな武器を使う。パパは剣術も達人なんだけど、
刀器はあまり使わないみたいだ。

「会議のメンバーに、たまたま刀法を知っている人がいて、今から代わりの拳法家を探すのも大変だし、
太極拳のような拳法よりも、なにか武器を使った表演のほうがイベントらしくていいだろう、
というように話が進んでいったんだ」
「それじゃ、パパが表演するの?すごーい!あたし、見に行くよ!」
「というわけにはいかないんだ」
「ほぇ?」
「李家刀法の表演というのは、ふたりが基本なんだ。俺だけではできない」
「それって・・・ひょっとして、あたしがパパと表演するってこと?」
「半分あたりで半分はずれだ」
パパは難しい顔をして話を続けた。

518:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/11 02:38:10 NHrGWGds0
「俺とすみれでは、背の高さが違いすぎる。すみれといっしょに表演は無理だ」
「じゃ、パパが誰かと表演するの?」
「それも今からでは見つからないだろう。会議でそのことを話したら、今度はメンバーに、
子どもを友枝小学校に通わせている人がいて、

<回想モード>
『そういえば、友枝小学校に中国拳法部がありますよ。その中から表演する子を探したら?』
『それはいいかも。子どものほうがイベントも華やかになるし』
『確か、李さんのお子さんも友枝小学校に通われているんでしたわね』
『ええ、そうですが』
『知っていますよ。お嬢さんが中国拳法をなさっているとか』
『ええ、まぁ』
『それはちょうどよかった。ひとりは李さんのお嬢さんにお願いして、あともうひとりは
学校のクラブから選べば』
『ちょ、ちょっと、そんなに急に・・・』
</以下、話がどんどん進んでしまう流れで回想モード終了>

・・・というわけなんだ」
そこまで言うと、パパは肩をすくめた。
「すみれなら、これから練習しても基本的な表演ならなんとかなると思う。やってみるか?」
「うん!」
あたしは、すぐに答えた。だって、前から拳法だけでなくて剣術なんかもやってみたかったんだ。
けど、パパにそれを言っても、まだ早いとか、危ないから、とか言って武器を使う武術は教えて
くれなかった。
「そうか。じゃ、あとひとりだな。クラブで、いっしょに表演できそうな子はいるのか?」

あたしは、名前を言おうとして、けれども、言えなかった。


519:CC名無したん
05/10/11 04:49:04 m3pX93s+0
次の展開が楽しみだ。(*^ー゚)b グッジョブ!!

520:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
05/10/11 17:28:32 4SYd/Mps0
久しぶりに126たん降臨キタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!!


521:CC名無したん
05/10/11 20:58:00 7MUQiAac0
スレリンク(sakura板:985番)

相互リンク
しかしどうなんだろうね、実際

522:CC名無したん
05/10/15 17:01:10 PjCRphH+0
>>521
クソスレ貼るなヴォケ

523:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/17 01:45:54 HUIaYv2s0
「どうしたんだ、すみれ?顔が赤いぞ?」
「ほぇ?」
あたしは思わず両手でほおを押さえて、うつむいてしまった。
(やだ・・・ほおが熱くなっている)
どうしたんだろう。衛(ウェイ)くんの名前を言おうとしただけなのに。
「?」
パパは、不思議そうにあたしを見つめている。
「あ、あのね、パパ」
あたしはうつむいたままで衛くんの名前を言おうとした。
そのとき、
「それだったら」
ママの声がした。ママは、テーブルにお茶が入ったマグカップを置きながら
「衛くんがいいんじゃない?すみれちゃんと同じクラスだし、クラブもいっしょだし」
「う、うん。あたしも衛くんのことを言おうと思っていたんだ」
ママに続けて、あたしもあわてて言った。するとパパは、
「衛って、あの、コスプレ結婚式をしたときの子か?」
「うん」
パパは顔をしかめた。
「どうしたの、パパ?」
なんか、パパの機嫌が悪くなったみたいだ。
「いや。それで、その子は中国拳法は強いのか?」
「うん、クラブでいちばんだよ。顧問の小見(おみ)先生よりも絶対強い。
クラブで、あたしとちゃんと組み手ができる子は衛くんだけだもん」
「・・・そうか」
パパは少し考えていた。


524:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/17 01:47:13 HUIaYv2s0
しばらくして、
「・・・わかった。じゃ、あすの放課後、学校でその子の腕前を見よう」
「学校で?パパが学校に来るの?」
「実は、もう、校長先生には話が行っているんだ。基金のメンバーに気の早い人がいてな。
問い合わせたら、練習場はしばらく空いているし、校長先生はその基金のメンバーとは昔からの
友人でもあるので、イベントまで練習場を使わせてもらえることになったんだ」
「ほぇ~」
確かに、中国拳法のクラブはしばらくお休みだから、練習場を使うのは問題がない。
それにしても、話が早すぎるような気もする。

「よかったわね、すみれちゃん」
ママにそう言われて、あたしは少しあわててしまった。
「よ、よかったって、なにが?」
「だって、衛くんといっしょでしょ?」
「う、うん。で、でもそんなこと関係ないよ」
「なに、あわてているの?すみれちゃんと衛くんなら、きっとじょうずにできるわ。
表演は、ぜったい見に行くから、がんばってね」
「う、うん」
ママは、なぜかとてもうれしそうだった。


525:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/17 01:48:19 HUIaYv2s0
それからしばらくして、すみれが部屋に戻ったあと、さくらと小狼はリビングでお茶を飲んでいた。

「・・・エビフライ・・・か」
「エビフライがどうしたんだ」
さくらの唐突なことばに、小狼が尋ねた。
「うん、あの日もエビフライだったんだ」
いたずらっぽい表情でひとりうなずくさくらに、小狼はさらに尋ねた。
「あの日って、何の日だ?」
「あの衛くんって子が転校してきた日。あの日の晩ご飯もエビフライだったんだ」
「なんで、そんなことを覚えているんだ?」
小狼のもっともな質問が続く。さくらはくすっと笑って
「あの日は、すみれちゃんとエビフライの下ごしらえをしていたの。そしたら、すみれちゃんが
その日、転校してきた男の子の話を始めたんだ・・・」

<回想モード:「すみれもさくらも知らないカード」から>
「で、先生とその子、どちらが勝ったの?」
「先生。最後には、あたしがカウントをとっちゃった」
「カウントって、中国拳法でしょう?」
「だって、小見先生、興奮しちゃって
『木之本、カウントとってくれ!』って言うんだもの。
でも、あれは衛くんの方が、わざと負けてあげたんだと思う。
衛くん、パパや苺鈴おばさんと同じぐらい強いんだもん」
「初めてだよね」
「何が?」
「すみれちゃんが、クラスの男の子の話をしてくれること」
「そ、そっかなぁ」
</回想モード終了>


526:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/17 01:49:50 HUIaYv2s0
「ね、小狼くん?」
「なんだ、さくら?」
答えながら、小狼は気づいた。さくらの目が、いたずらっぽく、それでいて楽しそうな、幸せそうな
目をしている。
「わたしたちが初めて出会ったのはいつだったかしら?」
「友枝小学校の・・・4年生のときだ」
「うん、うん」
さくらは2回うなずいた。
「では、次の問題です。すみれちゃんは、いま何年生?」
「小学・・・5年生だ」
「あったりー!ということは、わたしたちが出会ったときよりもひとつ上、というわけね」
「さくら、なにが言いたいんだ?」
小狼の少しあわてた質問にさくらは、
「なーんにも」
と言って、笑った。そして、手元のマグカップに目を落として
「でもね、ひょっとしたら・・・って思ったりするんだ」


527:CC名無したん
05/10/17 20:33:18 c5X09/CB0
待ってたヨン♪

528:CC名無したん
05/10/17 20:39:22 VvH7p2B80
やばい・・・
さくらちゃんがかなり可愛い・・・・。

529:CC名無したん
05/10/18 15:54:48 zUcc0C61O
アゲテヤル

530:CC名無したん
05/10/21 03:04:29 cV54mEHy0
保守

531:CC名無したん
05/10/21 03:08:34 cV54mEHy0
そういやこのスレ最初に立てた悪魔将軍はいずこに行かれたのか

532:CC名無したん
05/10/21 23:34:09 71GdStTX0
悪魔将軍 ファイトのパンチ一発で再起不能(リタイヤ)。

533:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/24 01:51:37 BQkXMoLu0
「はぅーっ」

次の日のお休み時間、あたしは知美ちゃんの前で思いっきり大きなため息をついた。
「すみれちゃん、どうなさいましたの?」
知美ちゃんが、あたしに聞く。あたしは、ろうかに出て行く衛(ウェイ)くんの後ろ姿を見ながら、
「また、衛くんに言えなかったよー」
「愛の告白には勇気がいりますから、無理もありませんわ」
「違う!知美ちゃんまで、チュルミンみたいなこと言わないで!放課後の話だよー。
衛くんと練習場に行けないと、パパに刀法を教えてもらえなくなっちゃう」
「きょうのすみれちゃん、お休み時間になるたびに、衛くんに話しかけようとして固まってましたから」
「そうなんだ。ただ、放課後に李家刀法の練習をするから、練習場に行こうって、それだけなのに・・・」
それだけなのに、ドキドキしてことばが出てこない。衛くんが話かけてくれるのなら、きっとふつうに
お話ができるんだけど、なぜか、あたしからはお話できなくて、その間に衛くんは他の子と話したり、
どこかに行ってしまう。
「うーん」
どうしたらいいんだろう。あたしがうんうんうなっていると、
「でも、そんな悩んでいるすみれちゃんも」
かすかな機械の音が聞こえる。ひょっとして、と思ってあたしが顔を上げると、
「超絶かわいいですわー!」
「知美ちゃん!」
知美ちゃんが、あたしにビデオカメラを向けていた。
「・・・」
あたしの頭に思いっきり大きな汗が浮く。
「いつものすみれちゃんですわ」
「ほぇ?」
「もう、いつもどおりのすみれちゃんですわ。意識しないで、リラックスすれば、きっと衛くんに
話しかけることができますわ」
「うん・・・ありがとう、知美ちゃん」


534:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/24 01:53:16 BQkXMoLu0
「・・・以上で、きょうのホームルームは終わりです」
「起立!先生、さようなら」
「はい、さようなら。みんなも、気を付けて帰るのよ」
「はーい」

神宮寺先生が教室を出ると、教室はざわざわし始めた。もう放課後だ。それなのに、知美ちゃんに、
リラックスって言われてのに、あたしはまだ衛くんに話しかけられないでいた。
衛くんを見ると、帰りじたくを始めている。それも、いつもより急いでいるみたいだ。
(だめ、急いで言わないと、衛くんが帰っちゃう!)
あたしは、思わず、いすから立ち上がった。
「あ、あの」
そこまで言って、あたしは固まってしまった。なぜなら、衛くんと目線が合ってしまったから。
「あ、あの」
あたしは、同じことばを繰り返して、続きが出てこない。
「あ、あの・・・」
そのときの時間が、あたしにはとても長く思えた。
「どうしたの、木之本さん?」
そして、衛くんの次のことば。
「木之本さんは練習場に行かないの?」
「ほ、ほぇ?・・・練習場って・・・?」
「きのう、なんとか基金ってところから、おばあちゃんに電話が来て、ぼくと木之本さんがイベントで
武術の表演をするからって話・・・ひょっとして、木之本さんは聞いていなかったの?」

ズザーッ(←すみれが思いっきりコケる音)

「木之本さん、どうしたの?」
「う、うん、なんでもない。そ、そうだね。あ、あたしもいっしょに練習場に行くんだ」

・・・もう!きょうのあたしのどきどきは、なんだったのよ!


535:126 ◆GUY03yKpmQ
05/10/24 01:54:34 BQkXMoLu0
練習服に着替えて練習場に入ると、パパはもう来ていた。
「ふたりとも、よく来たな」
刀器を持ち、練習服を着たパパは、いつもと違って見えた。練習服の胸のところには、李家のマークが
入っている。
(パパ、ちょっとかっこいいかも)
あたしがそう思ってパパを見ていると、
「おひさしぶりです。衛エドワードです」
衛くんが、パパにあいさつをする。
「すみれから聞いているが、君は中国拳法をやっているそうだな」
「はい。たいしたことはありませんけど」
「流派は?君の師匠は?」
「イギリスにいたころ、近所のおじいさんに教わっていたので、流派はよくわかりません。
正式な道場で習っていたわけもないので。ただ、老師は、若いころ、カンフー映画のスタントを
よくしていたそうです」
「・・・そうか」
パパはがっかりしているように見えた。
「張(チャン)教授から聞いていると思うが、今度のイベントで、ふたりで李家刀法の表演をして
もらいたい。だが、それをするには、ある程度の武術ができなければならない。きょうは、まず、
君の腕がどの程度か確かめたいんだ。見せてくれないか」
「わかりました」

衛くんはそう言うと、練習場の中央に歩き出した。


536:CC名無したん
05/10/24 20:23:52 zJKIMupEO


537:S.A Studio ◆Sastuvj1Pg
05/10/24 20:42:11 qod+3R5m0
ささづk、じゃなかった、126氏GJ!

538:CC名無したん
05/10/24 23:59:50 n3T0qUa80
知美ちゃんやチュルミンの存在を少し忘れてました。

539:CC名無したん
05/10/25 06:47:58 W8pweYCQ0
知美 チュルミン 再起不能(リタイヤ)

540:CC名無したん
05/10/31 01:39:36 fEzE2X1g0
再起不能じゃなくて、完全消滅

541:CC名無したん
05/10/31 11:42:46 iotosMa/0
>>540
死ね

542:CC名無したん
05/11/03 01:36:42 DB9QSk+J0
あれ?2年前くらいからあるよな、まだやってたんか、
久々に見て面白そうだったから保守しとく。

543:CC名無したん
05/11/03 01:57:37 NtsdNtMX0
どんな感じで終わるんでしょうか
ネタバレきぼんぬ

544:CC名無したん
05/11/03 19:15:18 xD+Wf6pY0
殺人鬼を倒して終了。
美味しい所は全部さくらに持ってかれる。

545:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/04 02:21:17 VmibZQTu0
それから衛(ウェイ)くんが見せてくれた拳法は、とてもしなやかで、それでいて力強かった。

収式(終わりの型)をとる衛くんに向かって、パパはうれしそうに
「良い師匠に教わったようだな」
「ありがとうございます」
パパはうなずくと、あたしと衛くんに刀器を差し出した。
「これからイベントの日まで、李家刀法の練習を行う。だが、その前にふたりにひとつだけ約束して
ほしいことがあるんだ」
「なんでしょうか?」
「これから渡す刀器は、表演用で実戦で使うものではない。本物の刃はついていないんだ。
だが、君たちふたりなら、この表演用の刀器でも人を傷つけることはできるだろう。
だから、これだけは、絶対約束してくれ」
パパは、あたしと衛くんの顔を見ながら言った。
「俺が見ていないところでは、絶対に刀器を使わないこと」
「わかりました」
「わかったよ、パパ」
あたしたちの返事を確認すると、パパは刀器を渡してくれた。
持ってみると、刃が本物でないせいか意外に軽い。長さは、背の高さより少し長いぐらい。
「では、さっそく、李家刀法の基本から始めよう。基本の型には、四手の撥(はらい)と
三手の鈎(ひっかけ)がある。他に衝(つき)と分(ひらき)が一手ずつ。
そうだ、その前に、刀器の持ち方から始めなければいけないな」

こうして、あたしと衛くんの練習が始まった。


546:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/04 02:22:54 VmibZQTu0
練習が始まってから何日かたってからの、あたしと知美ちゃんの会話。

「いかがですか?衛くんとの練習は?」
「う、うん。なんとかうまくいってるよ。パパはていねいに教えてくれるし、衛くんも上達が早いから、
いろんなところをサポートしてくれるんだ」
「それはすばらしいですわ~。すみれちゃんも、これでお父様公認で衛くんとお付き合いできますし」
「そ、そんなこと関係ないよ。今度のことは、たまたま、あたしと衛くんがイベントの表演をすることに
なって、それで毎日練習しているんだから」
あたしが少しあわてて言うと、知美ちゃんはあたしの手をにぎった。
「ほぇ?」
知美ちゃんの目が輝いている。
「ところで、おふたりの表演服はもう作られましたの?もし、まだでしたら、ぜひぜひ、わたくしに
作らせてくださいな」
「ごめん。表演服は、もう注文してあるんだ。李家刀法の表演服って、いろいろお約束があって、
作るお店も決まっているから」
あたしがそう答えると、知美ちゃんの目から輝きが消えた。
「そうですの・・・それは残念ですわ」
そして、あたしの手をはなすと
「すみれちゃんと衛くんにおそろいの服を作るチャンス・・・こんなすばらしいチャンスを逃すなんて
・・・一生の不覚ですわ・・・!」
「不覚って・・・」
知美ちゃんは、あちらの世界に行ってしまっている。
「おふたりの服には、○×■なことや!、Σ≧ёなことをしようと思っていましたのに・・・!」

「・・・いったい、どんな表演服を作ろうとしてたんだろう・・・」

あたしの頭に、お約束のおっきな汗が浮いた。

547:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/04 02:23:54 VmibZQTu0
しばらくして、知美ちゃんはあたしの手をにぎりなおすと、
「イベントの日には、もちろん、わたくしも駆けつけますわ!すみれちゃんと衛くんの雄姿を
最新鋭の機材を駆使して撮影いたします!」
「う、うん。ありがとう」
あたしは、そう答えるしかなかった。
「これからも、練習、がんばってください」
「ありがとう。でも、きょうの練習はお休みなんだ」
「あら?どうしてですの?」
「小見(おみ)先生のお見舞い。神宮司先生とあたしと衛くんでお見舞いに行こうって、
前から決めていたんだ。パパに言ったら、そういうことならって。クラブのみんなの寄せ書きとかも
持って行くんだよ」
「まぁ。それはきっと小見先生喜びますわ~」


548:CC名無したん
05/11/04 20:53:25 opKD4l6B0
おお、更新されている!126 ◆GUY03yKpmQ氏、乙であります!

549:CC名無したん
05/11/04 21:52:18 xfNhtsuE0
(*^ー゚)b グッジョブ!!

550:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/07 02:03:53 f4yLLO2w0
「先生、早くよくなってください」
「・・・ああ・・・」
病室での小見(おみ)先生は元気がなかった。
「あ、あの、これ」
お花を渡したけれど、返事はない。
「これは、クラブのみんなからの寄せ書きです」
「・・・」
衛(ウェイ)くんが寄せ書きを渡しても、小見先生の反応はない。
こーゆーのを、魂が抜けたみたいっていうんだろうか。
神宮司先生が言うには
「お医者様は、もう小見先生の体には問題はない、とおっしゃっているんだけど・・・
ずぅーっとこんな様子なんですって。よっぽど負けたことがショックだったみたい」

「・・・俺が負けるなんて」

小見先生がぼそっとしゃべった。そんな小見先生に、神宮司先生は
「でも、先生は負けたわ」
「神宮司先生、そんな言い方をしなくても」
「木之本さんは黙っていて。小見先生、先生は朝の公園で見知らぬ女性に勝負を挑まれて、負けたんです」
「だが、俺はかつて悪魔将軍と呼ばれ、スレまで立てたんだぞ」
「いくら悪魔将軍でも弱ければ負けます」
「なんだと!」
「試してみましょうか?」
「上等だ!」
気色ばんだ小見先生に、神宮司先生はにっこりと笑った。


551:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/07 02:05:26 f4yLLO2w0
「秘技・華氏等(かしら)の舞!」

「・・・うっ」
次の瞬間、小見先生の目の前にハリセンが突きつけられていた。ハリセンの寸止めだ。
小見先生が汗ジトになって、神宮司先生を見る。
「やっぱり、なまっているわね」
神宮司先生が、いつのまにか持っていたハリセンを降ろした。
「小見先生の動き、防災センターの時(「すみれとドキドキマヨネーズ」参照)より遅くなっているわ」
「そ、そんなはずはない!今のは、ちょっと油断しただけだ」
「そうかしら?じゃ、もう一度、技をかけるわ。次の技をかわしたら、先生の言うことを認めてあげる」
「わかった」

あたしと衛くんは、突然の、まるで別のアニメのような展開を前にして、あわてて小声で会話をする。
(衛くん、あたしたち、どうしたらいいんだろう)
(そんな、ぼくにもわからないよ)
あたしたちは、ただ見ているしかなかった。
ふたりの間に闘気が高まっていく。そして、それが頂点に達したとき

「伊吹落し!」

神宮司先生のハリセンが、小見先生に向かって叩きつけられ、

「ハァアッ!」

小見先生の叫びが病室に響き渡った。


552:CC名無したん
05/11/07 03:59:47 Aw3LWjN30
>「だが、俺はかつて悪魔将軍と呼ばれ、スレまで立てたんだぞ」
吹きましたw

553:CC名無したん
05/11/07 06:53:37 h595cO+M0
ドス!
ドス!
ドス!
ドンッ!
神宮寺「なんなの、小見先生。 私、今そんなに強くやった?」
ドン! ドン!
小見「…なんですか、神宮寺先生ッ…!」
神宮寺「小見先生こそそんな強くドツくなんてェ―ッ」
ボ グ ォ ォ!
小見「野郎ッ!」
神宮寺「テメーッ!」
ドガッ! ガス! ボコ! バキッ!
小見「…うがっ」
神宮寺「ぐ」
小見「…わかった……!
やめよう…!やめよう、ストップ…!
あやまるから…ゴメン…
突っ込んだ事はあやまるから…ケンカはよくないぜ…
どうしたっていうんだ…落ちつけ…
…ムシの居所が悪かったのか?
同僚だろ…俺とお前は…」
ブヂャァアッ!
バグシャァア!

554:CC名無したん
05/11/07 06:54:42 h595cO+M0
神宮寺「いいパンチしてるわッ!この野郎ッ!」
小見「かかってきやがれッ!」
神宮寺「いくわよ、私の方が!!最強という事を証明してあげるッ!」
グワシャァアァ!バキバキバキバキバキ!
神宮寺「私が 最強だぁぁ―ッッ」
神宮寺「木之本、衛!
見てるだろォォォォォォ
おまえらあああああ
ファイトクラブよ!!
この学校の全員の生徒が
ここから見えるッ!
かかって来なさいッ!!」
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

555:CC名無したん
05/11/07 21:08:42 ukv+H26f0
>>553-554
偽者は巣に帰りなさい。

556:CC名無したん
05/11/08 16:22:44 d1KP7YvX0
>>555
ネタで書いたんだが・・・・・・。

557:CC名無したん
05/11/09 10:29:55 LlnVnL1t0
掲示板だし
かまわんとおもうんだが

558:CC名無したん
05/11/10 10:38:25 82FuRj2p0
ジョジョネタ?

559:CC名無したん
05/11/12 23:27:24 yscesU5GO
クランプの人ですか?

560:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/14 02:16:36 Ftgirv6t0
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

「ほぇ~っ!これって、ぜったい番組が違ってるよぉ!」

ハリセンを叩きつけられたベッドが、大きくへこんでいる。

「小見先生は、どこ?」

衛くんの声に

「俺は、ここだ!」

小見先生は、病室の窓のそばに立っていた。ベッドの上からジャンプしたんだ。決めポーズを決めて

「伊吹落し、敗れたり!」

そのことばを聞いた神宮司先生は、ベッドに叩きつけたハリセンをゆっくりと顔の前まで持ち上げた。

シューッ

摩擦熱のせいか、ハリセンに煙のようなものがまとわりついている。

ザッ

神宮司先生は、煙をはらうようにハリセンをふりはらった。

「それは・・・どうかしら」
「なんだと!?」


561:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/14 02:18:09 Ftgirv6t0
ぽた、ぽた・・・

「これは?」

小見先生のパジャマから、ボタンが足元に落ちていく。神宮司先生のハリセンのせいだ。

「以前の小見先生なら、秘技レベルの華氏等の舞はともかく、伊吹落しは見切れたはず。
やっぱり、動きがなまっているのよ」
「俺の・・・動きが・・・なまっている・・・」
小見先生は、自分の両手を見た。
「小見先生は、友枝小学校に赴任してから、格闘家としての自分をおろそかにしていたのよ」
「・・・そんな、そんなはずがない」
「事実よ。先生の足元にあるボタンが、その証拠」
「俺が、格闘家としての自分をおろそかにしていたのか」
小見先生は、両手を握りしめた。そして
「ならば、今一度、鍛えるのみ!俺はやるぞ!格闘家として、そして教師として、恥ずかしくない自分を
取り戻す!かつて悪魔将軍と呼ばれ、スレまで立てた自分を取り戻すんだ!」
そして、小見先生はあたしたちに向かって
「俺はたった今、退院する。しばらく闘技場に身を寄せ、自分を鍛え直してくる。トォッ!」
と言ったと思うと、病室の窓からパジャマのままで飛び降りた。
「先生!ここは4階です!」

あたしは、思わず窓に駆け寄った。


562:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/14 02:19:11 Ftgirv6t0
「あ、そうだ」

あたしが窓に駆け寄ると同時に、窓の外から小見先生の顔がにょん、とのぞいた。

「ほぇーっ!!!」

あたしは、思いっきりのけぞった。

「飛び降りたんじゃ・・・ないんですか・・・?」

そんなあたしをまったく無視して、小見先生は
「神宮寺先生、クラブの練習場はいつから使えるんだっけ?」
「確か、木之本さんたちの表演の次の週からよ」
「そっか。じゃ、その週から戻るから、教頭先生によろしく」
「わかりました。でも、休暇の申請は小見先生が自分でしてください」
「そりゃそうだな。じゃ」

事務処理を確認すると、窓からのぞいていた、小見先生の顔をひょい、と消えた。

「小見先生!」

今度は、衛くんが窓のそばに駆け寄った。

「木之本さん、あれ」

ぱら・・・

衛くんの指差す先で、小見先生のパジャマだけが宙を舞っていた。


563:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/14 02:21:40 Ftgirv6t0
あたしたちはあわてて、窓から下を見下ろすと、立っている小見先生が見えた。4階から無事に
飛び降りたんだ。いつのまにか、古代ローマの戦士のようなよろいに着替えている。

「いったい、いつ着替えたの?」
「まさか、パジャマの下にあのよろいを着ていたんじゃ・・・?」

そんな疑問を持つあたしたちに向かって、小見先生は

「木之本、衛、先生は自分を鍛え直して戻って来る。木之本たちも、表演、がんばれよ」
「はい!」
あたしと衛くんは、病室の窓から答えた。
「表演の次の週から、クラブは再開だ」
「はい!」
先生は、あたしたちの方に右手を突き出し
「練習場で、君たちと握手」

それだけ言うと、あたしたちにくるりと背を向けて、どこかに向かって走り出した。
地面は舗装されているのに、なぜかものすごい土煙を上げて走って行く。

「ほんと・・・なんでもアリなんだな」
「そ、そうだね」

あたしと衛くんの頭におっきな汗が浮く。けれども

「よかったじゃない。小見先生は立ち直ったんだから」

神宮司先生だけが、落ち着いていた。


564:CC名無したん
05/11/14 06:19:08 2ozhVF3M0
4階から飛び降りて無事だとッ!?
舞い違いねえッ!こんな事出来るのはスタンド使い以外にいねェ!!

565:CC名無したん
05/11/16 23:47:10 A9AdM0Z00
スタンドバトル

566:CC名無したん
05/11/17 04:15:49 43zgoa4d0
君たちと握手ワロタ

567:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/21 01:06:53 naB3IjTA0
そして、とうとう表演の日がやってきた。

「すてきですわ~!」

表演服に着替えたあたしを見て、知美ちゃんのテンションがもうれつに上がる。
「ほんと、よく似合っているわよ、すみれちゃん」
知美ちゃんの隣にいるのは、ママ。
「ね、小狼くんも、そう思うでしょ?」
ママに同意を求められたパパは、なぜか照れくさそうに
「ああ」

「あ、うちのエドワードも着替えが終わったようですよ」
張教授のことばに、男の子用の着替え室の方を見ると、ちょうど衛くんがドアを開けて出てくる
ところだった。
「おまたせしました」
衛くんは、そでの長さを気にしながら、こちらの方に歩いてくる。

「衛くんも、超絶すてきですわ~!」

知美ちゃんのテンションが、もっと、もうれつに上がった。


568:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/21 01:09:18 naB3IjTA0
「色違いなんだね」
龍平の感想だ。
「うん、李家刀法の表演服って、いろいろと決まっているから」
あたしの隣に並んだ、衛くんの表演服は、濃い紺色に黒いラインが入っている。
そしてあたしのは、白色に、すみれ色のライン。
ほかにも、いろいろとししゅうなんかが入っているけど、
「色だけでなく、胸のマークも違いますね」
張教授は、あたしたちの表演服を見比べて言った。
「すみれの表演服に入っているのは、李家の紋章です」
パパが説明した。
「そして衛君の表演服に使われているのは、客人用のものです。
李家の紋章は、一族の者しか使えませんから」
「それは・・・ちょっぴり残念ですわ・・・」
ため息をついたのは、知美ちゃんだった。
「ぜひぜひ、おふたりにはおそろいの紋章を付けた服で、表演なさってほしいですわ~。
そして、その姿を思う存分撮影する私・・・幸せですわ・・・」

幸せすぎる知美ちゃんの時間が止まる。次の瞬間、知美ちゃんは衛くんの手を両手に取って

「衛くん、すみれちゃんのご家庭に入りませんこと?」
「え?」
「衛くんがすみれちゃんと結婚なされば、李家の紋章を付けられますわ」
「え、え?」
「そうすれば、今回の表演は完ぺきです。このさい、思い切って・・・」
「え、え、え?」
「それはいい考えですわね」
「おばあちゃん!」

衛くんのあわてぶりに、みんながどっと笑う。・・・けれど、パパだけはぜんぜん笑っていなかった。


569:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/21 01:10:18 naB3IjTA0
ママは笑いながら、
「小狼くん、表演の前に、ふたりになにか言ってあげて。せっかく、知美ちゃんと張教授が
ふたりの緊張をほぐしてくれたんだから」
「そ、そうなのか?」

目をパチクリさせたパパは、しばらくして、コホン、とセキをすると
「ふたりとも、きょうまで、よく練習をがんばった。なにもあわてたり、あせったりすることはない。
練習でやったとおりに、確実にやればいいんだ。わかったな」
「はい!」
「じゃ、俺たちは先に席に戻っているから。基金の理事とかやっていると、長く席をはずせないからな。
がんばるんだぞ」
「はい」
そうか、パパにとっては、きょうもお仕事なんだ。
「では、すみれちゃん、私も撮影の指示を出さなければなりませんので・・・龍くん、行きましょう」
「うん」
そして、張教授も
「がんばってくださいね。私も、木之本さんのお父さまの近くの席で見てますから」
「はい、がんばります」

あたしと衛くんは、パパたちを見送った後、
「衛くん、あたしたちはどこで出番を待てばいいの?」
「あっちだよ。ぼくたちの出番は、早いほうだから、そんなに待たないはずだよ」
「そっか。じゃ、行こう」


570:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/21 01:11:28 naB3IjTA0
「次ですから、こちらでお待ちください」
「はい」

あたしと衛くんは、ステージの袖で待つ。
そぉーっと、ステージの方をのぞくと、
「ほぇ~っ!」
「どうしたの、木之本さん?」
「あんなにおおぜい・・」
「お客さんが?」
「そうじゃなくて・・・」
見えたのは黒服の女の人がいっぱい。間違いなく、知美ちゃんのおうちのガードレディさんたちだ。
3人1組で、カメラやマイクを持っている。そういえば、ガードレディさんたちって、みんな、
護身術なんかだけでなく、カメラやマイクの技術も一流の人ばかりだったんだ。

「知美ちゃん・・・て」
「大道寺さん・・・て」
「「本気なんだ・・・」」

あたしと衛くんの頭に、おっきな汗が浮いた。


571:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/21 01:12:25 naB3IjTA0
「次ですから、こちらでお待ちください」
「はい」

あたしと衛くんは、ステージの袖で待つ。
そぉーっと、ステージの方をのぞくと、
「ほぇ~っ!」
「どうしたの、木之本さん?」
「あんなにおおぜい・・」
「お客さんが?」
「そうじゃなくて・・・」
見えたのは黒服の女の人がいっぱい。間違いなく、知美ちゃんのおうちのガードレディさんたちだ。
3人1組で、カメラやマイクを持っている。そういえば、ガードレディさんたちって、みんな、
護身術なんかだけでなく、カメラやマイクの技術も一流の人ばかりだったんだ。

「知美ちゃん・・・て」
「大道寺さん・・・て」
「「本気なんだ・・・」」

あたしと衛くんの頭に、おっきな汗が浮いた。


572:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/21 01:15:08 naB3IjTA0
「次は、古くから伝わる、中国武術のひとつである、李家刀法。この李家刀法の表演を、
友枝小学校の中国拳法クラブのおふたりに披露していただきます。
表演を行うのは、木之本すみれさん、衛エドワードさんです。暖かい拍手でお迎えください!」

司会の声を聞いて、あたしと衛くんは、刀器を持って、拍手の中を駆け出して行く。

「きょうの表演は、中国の古い物語である水滸伝を題材にとったものです。会場のみなさま、
ゆっくりとおふたりの表演をお楽しみください」

あたしたちは、リハーサルどおり、起式(始まりのポーズ)をとって、心を落ち着かせる。

(衛くん、がんばろう)
(うん)

聞こえるはずのない、声が聞こえた気がした。

まもなく、ドラの音とともに、音楽が流れ出した。同時にあたしたちも、動き出す。

『四手の撥(はらい)と三手の鈎(ひっかけ) あわせて七手
 衝(つき)と分(ひらき)で神技九変
 二十四歩で前後をいなし
 十と六歩でくるりと一転・・・』 

(元ネタ:水滸伝第57回 駒田信二氏訳を元にしました)

>>570 エラーが出たところ、連投になってました。スマソ

573:CC名無したん
05/11/21 02:16:56 AOlVAZNZO
乙です

574:CC名無したん
05/11/21 19:38:32 iqwgrYGX0
烈しく乙です。

ちょっと質問ですが、以前この板にあった、「ミラーのお留守番」スレが1000を迎えました。
その後どうなったか知ってる人、いませんか?

575:炉板通信 ◆mwhG4Chris
05/11/21 21:48:16 8u0RrZWZ0
次スレも立たず、特にどうもなっていないようです

576:CC名無したん
05/11/26 22:49:26 N+/yYokQO
最悪

577:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/28 01:51:09 yM3eENoa0
表演は無事に終わったみたい。あたしと衛くんが拍手をあびながらステージから降りると、
最初にやってきたのは、知美ちゃんと龍平だった。

「すてきでしたわ~!」
「そ、そうかなぁ。あたし、夢中でよく覚えていない・・・」
収式(終わりのポーズ)をとるまで、あたしの頭の中は真っ白だっんだ。
「ちゃんと練習どおりだったよ」
衛くんがにっこりと笑って言った。
「ほんと?」
思わず、あたしも笑った。あたしと違って、衛くんは表演の間もちゃんと冷静だったみたい。
衛くんって、やっぱりすごいんだ。

そこに、パパとママに張教授もやって来た。
「ふたりとも、よくやったな」
「よくがんばったわね、すみれちゃん」
「よくやったわ、エドワード」

あたしと衛くんは照れまくりだった。


578:126 ◆GUY03yKpmQ
05/11/28 01:52:45 yM3eENoa0
そして、その日も夕方になった。
「もう、夕方だね」
あたしと衛くんは、刀器を持ちながら、ペンギン公園を通りかかった。

きょうのイベントがそろそろ終わりになるというとき、パパたちは
「俺は基金の理事だからな。さくらといっしょに打ち上げのパーティに出なければいけないんだ。
あまり遅くならないはずだが、すみれたちは先に帰ってくれないか?」
「うん、わかったよ。パパ」
張教授も
「私もそのパーティに招待されているから・・・エドワードも先に帰ってね」
「うん、おばあちゃん」

「じゃ、龍平もいっしょに帰ろうか」
あたしが龍平に向かって言うと、知美ちゃんが
「龍くんは、きょうのビデオの編集をお手伝いしていただくんです」
「えっ?」
龍平は、ちょっと驚いていた。そんなことは聞いていなかったようだ。すると、知美ちゃんは
龍平に小声で何か言って、
「ですから、龍くんは私といっしょに」
「う、うん」
龍平がぎこちなくうなずくと、知美ちゃんは、
「ですから、すみれちゃんと龍くんはおふたりで帰ってください」
と言って、にっこりと笑った。

(ひょっとしたら・・・知美ちゃん、気をきかせてくれたつもりなんだろうか・・・)

と、考えてみたけれど、ふたりで帰るからといって、急になにか特別なことが起こるわけでもない。
あたしと衛くんは、いつもと同じようなとりとめのない会話をしながらペンギン大王の前を
通り過ぎようとした。



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