04/07/12 01:19 cg6E9l+D
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ほんま、しんどかった・・・」
あたしがフライさんを使うと、ケロちゃんはようやく、えりから口を離してぜぇぜぇしていた。
「ありがとう、ケロちゃん」
「・・・ほんま、気ぃつけえやぁ。さくらのとちごうて、すみれのフライは杖に羽を生やすタイプ
なんやから、いきなり空中で封印なんてしよったら、落ちてまうんやで」
「ごめん、ごめん。これから気をつけるよ」
「すみれちゃん、上を見て!」
そのとき、ママがあたしに言った。
「上って、何?」
見上げると、何かがゆっくりと落ちてくる。あたしは、手を伸ばして、それを取った。
「ママ、これって・・・」
「スルーがスルーした絵よ。よかった、戻ってきて」
それは、けさ、ママが見つめていた『微笑み』という絵だった。
「まだかすかにサイレントの気配が残っとる。そやから、スルーのやつ、仲間やと思って
あないに強引にスルーさせたんやな」
「じゃ、スルーさんって、悪いカードってわけじゃないんだね」
「そういうこっちゃ。次は、どうにかして、この絵を返さなあかんな。
それには、まず、地上に降りて考えよか」
「うん」
あたしたちは、絵が風に飛ばされないように、ゆっくりと地上に降りていった。
それまで気がつかなかったけれど、あたしたちがいたのは友枝小学校の上空だった。
「あれは・・・龍平と知美ちゃん?」