06/09/29 19:57:15
新月 スレ日
いつの間にかアタシの日記も5冊目。
皆と過ごす楽しい日々を、また綴っていこうと思う。
前スレ
アスカの日記 4冊目
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過去スレ
アスカの日記 3冊目
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アスカの日記 2冊目
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アスカの日記
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2:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 19:58:03
関連スレ
【LAS】アスカの日記 8冊目【LAS】
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綾波レイの日記 3冊目
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碇シンジの日記 2冊目
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葛城ミサトの日記 2冊目
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霧島マナの日記
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渚カヲルの日記
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ダミー氏の保管庫
URLリンク(www.geocities.jp)
3:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 19:58:51
>>1俺乙
4:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 20:01:43
職人さんまち
5:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 00:33:19
otsu
6:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 06:13:00
即死回避
7:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 13:22:07
おつ
8:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 19:38:41
のんびり投下待ち
9:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 03:10:21
職人さんお待ちしております
10:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 09:39:36
10!
11:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 23:58:16
稲荷町
12:前スレ960
06/10/03 03:34:19
某月某日弐
kissを持ち掛けたのはアタシの方だ。暇つぶしだった。
鼻をつまんでkissしてやると、ヤツめ舌まで入れてきやがった。
アタシのfirst kissは、壮絶な歯と歯のぶつかり合いだったのに。
おかげで、アタシががとろけそうになった。
kissの後、ヤツはアタシを抱きしめて、こう言った。
「・・・ボクだって男なんだよ・・・これ以上は・・・ガマンできなくなるよ・・・」
アタシの耳元でボソボソとささやく。
華奢な体のどこにこんな力があるのか、強い力で。
加持さんがミサトを連れて帰ってくるまで。
たまには暇つぶしも悪くないと思った。
おやすみなさい。
(原文:独語 訳960)
>1 スレ立てお疲れさまです。早速使わせていただきました。
13:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 09:21:59
おつ
14:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 08:09:25
がんがれ
15:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/06 01:37:16
職人まち
16:前スレ960
06/10/06 04:20:43
某月某日参
同居人は物静かなヤツだ。
リビングに居ても、目を瞑り、SDATで音楽を聴いて独りの世界に入っていることが多い。
以前、何となくその憂いを含んだ横顔が気になり、何を聴いているのか聞いたことがある。
「…無伴奏チェロ組曲第1番ト長調…」
このアタシが、わざわざ聞いてやってるのに、
こっちも向かず、ボソッと無愛想な答えが返ってきた。迷惑そうに。
その時はビンタで勘弁してやった。我ながら寛大になったと思う。
∴続けて良いですか>all
17:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/06 21:20:56
オッテュ
18:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/07 04:57:33
おつ
19:前スレ960
06/10/07 06:04:39
某月某日参の壱
今日も、いつもの様にリビングで何かを聴いていた。
ただ、表情が妙だった。嬉しそうに、微笑を浮かべて。
手にはCD、…なんで今さらCD?なのだろうと思った。
前の無愛想な返事を思い出し、一瞬、躊躇したが興味のほうが上回った。
ヤツの後ろにそっと廻り、手に持つCDを奪った。
「へぇー、シンジこんなのも聴くんだー」
でも、CDのジャケットを見た瞬間、アタシは引いてしまった。
「あ、あんた・・・オタぁ?」
セカンドインパクト前の遺物、20年近く前のアニメのサントラ。
「こんなもん聴いて、嬉しいの?」
ヤツは、慌てた様にアタシの手からCDをひったくると、ボソボソと弁明し始めた。
∴>17、>18 「ボクはここに居ていいんだ!ありがとう。」な気持ちです。
∴読み返すと、日記になってないような気がします。すみません。精進します。
20:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/08 16:33:18
某月某日参の弐
ヤツの弁明はこうだった。
「ネットで曲を探していた」
「『Fly me to the moon』という曲があった」
「気に入ったので、検索するとスタンダードで、いろんな人が歌っていることを知った」
「何気に『ASUKA』と入れたら、ASUKAが歌っているバージョンがあった」
「どうしても聴きたくて、探しまくって手に入れた、高かった」
何気にって・・・どういうことよ。
どうしても聴きたくてって、どういうことよ?
確かに、ASUKA Bossa Techno TV.Size Version、とあった。
どきっと、心拍数がちょっと上がった。
21:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 04:49:47
某月某日参の参
「じゃあ、聴いてみてよ」
ヤツからヘッドホンの左半分を受け取り、聴いた。
「・・・アタシ、こんなに甘ったるい声してないわよ、もっと低いし」
それだけを言うのが、精一杯だった。
これって・・・この歌詞って・・・何を言いたいのよ・・・アンタは・・・。
「いや、そっくりだよ、本当に。あ、自分の声って自分では低く聞こえるんだって、
だからじゃない?」
邪気の無い瞳で、さらりと答えられた。
会話がぷつり、と途絶え、ヘッドホンからの歌声だけが聴こえていた。
沈黙を破ったのはヤツの方だった。
「じゃあ、アスカ、歌ってみてよ」
更に心拍数が上がる。
アイツ、歌詞のイミを知ってて言ってる?
アタシに、これを歌ってってことは・・・?。
22:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 04:50:41
某月某日参の四
つい、おだってやった。今は反省している。
リビングの電気を消し、カーテンを開け放ち、満月の光の下でワタシは歌った。
「Fly me to the moon and let me…」
最後のフレーズは、ヤツにしなだれかかり、首に手を廻して耳元で囁いた。
・・・言ってしまった。
ぱちぱちと一人分の拍手。
「アスカ、歌うまいね。やっぱりCDとそっくりだよ」
その後、
「英語得意でしょ?これ、何て言っているの?」
もう、何度、期待を裏切られたか。
わかっていたけど、この鈍感男!
「・・・自分で訳せ!!!」
とりあえず、暴力に訴えた。
あんなバカもう知らない。
寝る。
23:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 04:51:27
その参の五
追記
翌朝、目を真っ赤に腫らしたヤツが起きてきた。
どうやら、徹夜してたらしい。
アタシの顔を見るやいなや、目をそらして俯いた。
何も言わないってことは、どっちなの?
追記その2
また例によって、嬉しそうにSDATを聴いていたので、ヘッドホンを片方奪ってやった。
持っていたCDのジャケットが、アタシ似の可愛い女の子だったので油断していた。
アタシ(に似た声)ではなく、ファースト(に似た)の声が『I Love You』と囁いていた。
SDATごと握りつぶした。
以上。
24:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 07:20:51
スーパーGJ
25:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 14:44:06
オッテュ
26:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 19:07:28
オッテュ
27:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 07:40:07
乙
28:960
06/10/11 20:03:40
某月某日四の壱
太った・・・2キロも太った・・・2、2キロも太った・・・。
何度、体重計に乗り直しても、数字は非情なままだった。
『**.*kg』
頭と体を巻いているバスタオルが重いわけないし・・・これって・・・。
急にめまいがした。このアタシの美しいボディに2キロもお肉が・・・あぁ・・・。
「太った・・・2キロ・・・太った・・・」独りごちっていたらしい。
「どうしたの?」
いつの間にか、同居人がSDATのカタログを持ってアタシの後ろにいた。
そして、肩越しに体重計の数字を見て、こう言った。
「だって、この間、使徒受け止めたじゃない。その時、アスカが『エネルギーは質量と光速の二乗に比例する』って言ってたでしょ?
アスカの元気ハツラツ!のエネルギーがそこから来てるなら、いいんじゃない?」
そうかな・・・そうなのかな・・・アタシこれでいいのかな・・・。
一瞬、納得しそうになった。
が、次の瞬間、アタシの明晰な頭脳は、現在の状況をはっきり認識した。
「・・・んな訳ないでしょ!大体なんでアンタがここに居るのよ!エッチスケベ変態ゾウリムシ!」
同居人は、アタシの連続往復ビンタを受けつつ、言い訳していた。
どうやら、脱衣所でいつまでもぶつぶつ言っているアタシを心配して来たらしい。
そこのところはちょっと嬉しかった。でも、体重を見たのは許さない。
29:960
06/10/11 20:24:51
某月某日四の弐
とにかく、2キロ増の原因究明に努める。
「・・・牛乳ラッパ飲み?、スイカバー?、とんこつラーメン?、ハンバーグ・・・ハンバーグ?」
色々と考えた。そして、その時、天から啓示が舞い降りてきた。
「!!!!!!」
ドイツにいた時は全然問題なかった。日本に来てからだ。
・・・同居人の作るごはんが美味しいからだ!
昨日だって、美味しくて、ついついご飯をおかわりさせられたし!
同居人に対し、責任の所在を問いつめる。
「『おかわり!』って言ったのアスカでしょ?ミサトさんの分まで食べちゃうんだから。
あれから大変だったんだよ」と真面目な顔で正論を言われた。
確かにそのとおりです。はい。
ココロはそう思った。けど、ここで素直に引けるアタシではない。
アイツの頬を思いっきりつねりながら、責任を取って次の休日にダイエットに付き合う約束をさせた。
ふふん。何着ていこうかな。
30:960
06/10/11 20:25:44
某月某日四の参
「・・・ねえ、アスカ。今日はダイエットするって言ってたよね?」
アタシの格好を見るや否や、同居人が言った。
「そう。ダイエットよ。歩くのだって立派なダイエットなんだから」
お気に入りのノースリーブの白いワンピース。日焼け対策の麦わら帽子。細身のサンダル。
我ながら、すごい言い訳だと思う。でも、いいじゃない。
ぶつぶつ言ってる同居人を引っ張り、街へと繰り出した。
さんざんデパートの売り場を巡り、試着に付き合わせた。
陽も傾き始めたころ、「ちょっ、ちょっと休もうよ」と同居人がのたまった。
アタシも、丁度休みたいと思っていたところだったので、素直に賛成した。
「美味しいパフェの店知ってるの!行こう!」
この時、頭の中は既にパフェ一色だった。
「パフェ食べたい!」「ダイエットは?」「でも食べたいの!」「ダイエット・・・は?」
幾度かの応酬の後、同居人にパフェをおごらせることに成功した。
31:960
06/10/11 20:26:31
某月某日四の四
注文したパフェを待ってる間、窓の外にふと見つけた。
「ちょっと待ってて」
パフェ来たら溶けちゃうよ、と言う同居人を置き去りにして、アタシは猛ダッシュで喫茶店を出た。
使徒を受け止めた時よりも速く。
たぶん、タイムを計っていたら、誰もが驚いただろう。
息を切らせて、喫茶店に戻る。こんなに走ったのは久しぶり。
子犬のように待っている同居人の前で、パフェは溶けかかっていた。
「はい、これ。これでパフェの借りはなしね!逆に貸しね!」
同居人に紙袋を渡す。ヤツは最初、何かわからなかったらしい。
「・・・え、これ・・・?」
がさごそラッピングを開けて、新製品のSDATとわかった瞬間、とても嬉しそうな笑顔になった。
この笑顔が見たかった。ただ、それだけ。
アタシはパフェを貪っていた。
「でも、貸しって・・・それじゃ、パフェを何回おごらなきゃならないの?」
「アタシの一生分よ」「・・・アスカの一生分!?」「そう、アタシの一生分」
アタシの想いをアタシなりに言葉にしたつもりだった。
頬が熱くなるのがわかる。パフェ冷たくておいしい。
32:960
06/10/11 20:27:21
某月某日四の五
つい、勢いで言ってしまった。今は反省している。
一生で何回パフェ食べるんだろ、と目の前で真剣に計算している同居人を見て、
アタシの言ったことのイミが通じてないことがわかった。
このうるとら鈍感にぶちんが!
溶けたパフェをアイツの頭にかぶせて、アタシは店を飛び出した。
夕焼けに染まった帰り道。
喫茶店に置き去ってきたはずの同居人が、息を切らせてアタシに追いついた。
「・・・ゴメン。・・・ありがとう」
ゴメンって、どういうこと?ねえ、どういうこと?ダメってこと?
ありがとうって?どういうイミ?ねえ?
一瞬、目の前が真っ暗になった。アタシはその場で凍りついた。
33:960
06/10/11 20:28:08
某月某日四の六
でも、凍り付いたアタシはすぐ解凍された。
「アスカに一生、パフェおごるから、ね」
・・・涙腺が勝手に緩んだ。周囲の目がアタシ達に集まるのがわかる。
同居人は最初、おろおろしていたが、挙げ句にアタシの手を握って走りだした。
家に着いた時には、二人とも汗だくだった。
「やっと、ダイエットらしくなったね」息を切らせながら、笑顔で同居人に言う。
「いや、まだわかんないよ」同居人も笑顔で返してくれる。
しかし、体重計の数字は、やはり非情だった。
「増えてる・・・」
やっぱり、パフェかな?一生おごってもらえるのに、もったいないな・・・。
でも、体重が増えた分、幸せも増えたような気がする。
今日は良い日だった。おやすみなさい。
(原文:独語 訳:960)
34:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/11 21:16:42
オッテュ
35:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/11 22:52:34
乙
アスカ、かあいいよ、アスカ
36:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 03:37:36
とんこつラーメンとハンバーグとはネタが細かいなw
37:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 07:31:30
乙
38:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 21:08:55
Great job!
2015年未だにSDATってのもいいよw
39:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/13 13:10:03
おつ
40:960
06/10/13 20:08:51
某月某日五
普段から植物繊維を取らなかったのが、そもそも間違いだった。
そして、リツコを頼ったことが極めつけの間違いだった。
トイレから出られない。
もう、かれこれ**時間。
この日記もここで書いている。
下剤を自分で買うことも、同居人に頼むのも考えたけど、
うら若きオトメとしてはどちらも非常に恥ずかしい。
選んだ最終手段がリツコだった。
「あの、リツコ・・・」ごにょごにょと耳元で囁く。
「3日!それは大変ね」
「丁度良いわ。後輩の勤めている会社から試供品が来てたから・・・」
そう言って渡された錠剤の瓶。
何が、某有名製薬会社新製品の試供品よ!効き過ぎだわ!
同居人がさっきから催促のノックをしている。
「アスカぁ!早く!」
アンタは公園のトイレにでも行きなさい!
トイレから、携帯でリツコにメールした。帰ってきた返事はこうだった。
「渡すの間違えたみたい。ごめんなさいね。それ、試供品じゃなくて試作品だったわ。・・・ネコ用の」
なんでもいいから、早くトイレから脱出したい。
以上。
(原文:独語 訳:960)
41:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/14 14:40:07
おつ
42:960
06/10/14 20:22:25
某月某日六の壱
温泉、気持ち良かった。日本に来て2番目に良かったことだと思った。
帰り道、ズタボロになったアタシの弐号機と同居人の初号機を見て、思い出した。
飛び込んで来てくれて嬉しかったこと。素直にお礼を言えなかったこと。
同居人の行動は命令無視の独断専行だったらしい。
本部で司令直々のお話があると聞かされてから、いつも以上に小さくなって凹んでる。
シンジ、ありがとう。アンタがいなきゃ、この日記も書けなかった。
抱きしめたい気持ちを、言葉と一緒にぐっとこらえる。
これは、アタシのキャラじゃない。プライドが許さない。
でも、司令の呼び出しには、一緒に行ってあげるから。
43:960
06/10/14 20:23:11
某月某日六の弐
今日、通販で頼んだ材料がようやく来たので、ヨーグルトポムポムを試作してみた。
材料、分量、混練、温度、時間、全てレシピ通りにやった。
・・・はずなのに、似ても似つかぬモノが出来た。
なんでだろう。むぅ。これでは時間に間に合わない。
自分には料理の才能が無いことを痛感し、即座に作戦を変更した。
リビングで、うとうとしていた同居人をたたき起こす。
「これ、食べたい」アタシはレシピを渡した。
「・・・これ、『ネコでも作れる世界一のかんたんレシピ』って書いてあるよ」
眠そうに目をこすりながらレシピを見て、同居人が答える。
じゃあ、アタシはネコ以下か!
でも、ここで殴ったら全てが水の泡。殴りたい気持ちをぐっとこらえた。
「だって、食べたいんだもん!!!・・・ねぇ」
必殺の『両手を組んで上目遣いでお願いポーズ』で迫ってやった。
同居人は、やれやれといった表情で、むっくりと起きあがりキッチンへ向かう。
アタシは、ぺろんと舌を出して、てとてととその背中に付いていった。
44:960
06/10/14 20:23:57
某月某日六の参
「・・・アスカ・・・」キッチンの惨状と試作品を見て、絶句された。
そして、買い込んだ材料の量を見て、更に絶句された。
「・・・一体、何個作るの?」「んー。100個くらいかな」「100個!?」
驚いた奴の顔を見て、アタシはこう言い放った。
「アタシの大切なヒトにあげるんだから、これくらい無いとダメなの!」
「そのヒト、人間なの?」「さっき、自分が食べたいようなこと、言ってなかった?」
訝しげな瞳。これが嫉妬だったら嬉しいのに。
「むぅ・・・。いいから、さっさと作りなさいよ!」
同居人はしぶしぶと作り始めた。
アタシはひたすらリンゴの皮むき、皮むき、皮むき。
いつの間にか、同居人とリンゴの皮を切らないでどれだけ長くむけるか競争になっていた。
「アタシのほうが長い!新記録!」「いや、ボクのほうが勝ったね!」
なんだか、目的と手段が入れ替わっていた。楽しかった。
45:960
06/10/14 20:24:43
某月某日六の四
結局、最後の1枚が焼き上がった時には、午前2時をとうに過ぎていた。やばい。
「後片付けは明日やろ。・・・じゃあ、アスカ、おやすみ・・・」
アタシは、部屋へフェイドアウトしかかった同居人の首根っこを掴んだ。
「出かけるわよ」「え?こんな時間に?どこに?」
ぎりぎり間に合った。
本部技術開発部休憩室。午前3時の休憩時間。でも、全く昼間と変わらない風景。
いつ使徒が来るかわからない。修理は1分1秒でも早く。これがこのセクションの日常だ。
アタシたちが、エヴァを壊さなければ、普通の一日を過ごせるはずなのに。
タバコの煙とざわめきの中、多くの人がつかの間の休息を楽しんでいた。
アタシは大きく息を吸ってから、大声で言った。
「技術開発部のみなさぁーん!」
一瞬、皆の間にシンとした空気が流れる。視線がアタシと隣にいる同居人に集まる。
「わ・た・し、セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーと、このサードチルドレン 碇シンジが皆さんに差し入れに来ました!」
「いつも、エヴァを壊して、こんな時間まで修理してもらってごめんなさい!そのお詫びのしるしに、二人で作って来ました!」
皆のざわめきが戻る。
「えー。今回の戦いは・・・」アタシはコトの経緯を、講談師のごとく語り始めた。
46:960
06/10/14 20:26:23
某月某日六の五
皆、もぐもぐしながら静かに聞いていた。
「・・・そこであわや、弐号機と惣流・アスカ・ラングレーはマグマの中へ落ちる寸前!さあ、運命も尽きたか!
と思ったその時!この!碇シンジ操る初号機がD型装備も無しに勇猛果敢にもマグマに飛び込み、
見事、弐号機をがっちと掴み、そして弐号機と惣流・アスカ・ラングレーは救われたのでした!」
「それで、エヴァをあんなにしてしまいました。ごめんなさい!」
横でほけっとしている同居人の後頭部を掴み、無理矢理おじぎをさせ、一緒にアタシも深々とおじぎをした。
拍手、拍手、拍手の嵐だった。作業再開のチャイムが鳴るまで、それは続いた。
「坊主、よくやったな!」「助かって良かったな!」「うまかったよ。ありがとう」
ケージに向かう作業員たちが、次々と同居人とアタシに声を掛けてくれる。握手を求められる。
自分で仕掛けたことだけど、ちょっと照れくさかった。
最後の一人が、同居人と握手しながら、こう言っていた。
「俺らと家族を守ってくれてるんだから、謝ることは無いよ。逆にこっちがお礼を言いたいくらいだ。
いくらでも壊してくれ。その時は、俺たちが直してやるからな」
47:960
06/10/14 20:27:12
某月某日六の六
「知らなかった・・・。ボクのためにこんなに人が働いていることを・・・」
同居人の目が潤んでいた。
「・・・そして、みんなボクのことを褒めてくれた」
「ありがとう。アスカ・・・」
そんなこと言わないでよ。アタシにまでうるうるが感染するじゃない。
そうよ。アンタのおかげで救われてる人がたくさんいるんだから。
もっともっと、自分に自信を持っていいんだから。
本当はそう言ってやりたかった。でも、いつものフレーズしか出なかった。
ごめん、シンジ。
「でも、さっき『二人で』って言ってたよね」
「そうよ、発案者はアタシ、作業も共同、どう見ても二人で、でしょ?」
なんだか腑に落ちない顔をしている同居人。
ホントはアタシ一人でやって、アンタのやったことみんなに知らせようと思ってたんだけどね。
でも、それじゃタダのいい人になっちゃう。結果オーライでしょ?
「さ、次行くわよ、次」「次・・・って?」
48:960
06/10/14 20:28:43
某月某日六の七
「どうしたの?二人ともこんな時間に?」
丁度、保護者と話していたリツコは、驚いた表情でアタシ達を見た。
「明日学校でしょう?こんな時間まで夜遊びしてたらダメじゃない!」とミサト。
アタシが理由を説明しようとした次の瞬間、同居人が先に話し始めた。
「・・・で、これ、アスカが考えたことなんです。本当に、みんな、喜んでくれてました」
リツコとミサトは、呆れた表情でアタシ達を見ていた。
怒られるかと思ってた。
「これで現場の士気も上がるなら、良いことなんじゃないの?」ミサトを見つつ、さらりとリツコ。
「ま、今回は特別に許す!・・・で、それ、なんとかポムポム?」とミサト。しかし、目線が鋭い。
その先にはシンジの持つ最後の一つ。
「あ、それ、リツコのために作って来たんだけど・・・」アタシの言うことなんか聞いちゃいなかった。
もらって良いでしょ?の返事も待たずに奪い取り、素早く切り分けて一切れをあっという間に平らげる。さすが作戦部長。
「これで、ビールがあれば最高かも!」・・・前言撤回、悪食女め。
49:960
06/10/14 20:29:40
某月某日六の八
とりあえず、学校には遅刻せずに済んだ。
さすがに眠い。眠い授業がさらに眠い。
同居人を見ると、すでに眠っている。
なんとなく嬉しそうな表情は気のせいかな?
アタシも・・・おやすみなさい。
追記
リツコが、発令所のみんなにおすそ分けをしたのは誤算だった。
もちろん司令、副司令にも。
おかげで中枢機能が一時マヒする事態となったらしい。
携帯にメールが来た。リツコからだった。
「やったわね・・・」
ウチのトイレも保護者に占拠されている。
まさか、こんなことになるとは思ってなかった。今は反省している。
追記その2
ケージの中で、アタシの弐号機が、超ピカピカになっていた。
初号機も超ピカピカだ。零号機がくすんで見えるくらいに。
整備している人と目が合った。誇らしげに拳を突き出し、親指をあげてくれた。
もちろん、アタシも同じように親指をあげて返した。GJ!
どこからかファーストが近づいてきて、いつもの口調でこう言った。
「抜け駆け、ずるい。仲間はずれ、ダメ」
どこで聞いてきたんだろ?仕方ない、今度はファーストも誘ってやろう。
アタシって優しい。
以上。
(原文:独語 訳:960)
50:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/14 22:25:28
おいおい、漏れを萌え死なす気ですか
職人さんトンクス。
51:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/14 23:26:32
オッテュ&オッテュ
52:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 12:00:38
乙
53:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 21:37:32
ポムポムって何だか、とてもかわいらしいな。
54:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/17 07:29:16
おつ
55:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 00:44:04
gj
56:960
06/10/18 19:53:51
某月某日七の壱
「アスカ、今はエヴァのパイロットだけど、将来は何になりたいの?」
ヒカリとの他愛の無い会話から、それは始まった。
夕焼けに染まる、いつもの公園のベンチ。
「んー。何かなー。この、類い希な美貌と天才的頭脳を両立させる職業って。正直、まだ、そこまで考えてないわ」
「私は、お嫁さんがいいな」恋する乙女の顔をしてヒカリが言う。
「アスカみたいに何かに秀でてる訳でもないし、かといってなりたいコトも無いのよね」
「小さくても良いから、暖かい家庭を作りたいな。優しいダンナさまと可愛い子供と」
「そして、私は暖かい食事を作って待ってるの。みんなを」
ふーん。そんなものなのかな。
家庭ってものには、とんと縁のない生活だったので、アタシにはそんな憧れは無かった。
おやつに買った串団子にかぶりつきながら、夕日を見ていた。
「あのね、アスカには言っておきたいんだけど」「何?」もぐもぐ。
「移り気だと思われるけど、アスカには正直に言うわね。ワタシ、碇くんが気になるの・・・」
「・・・えっ?」耳が変になったのかと思った。
「・・・ちょおぉっと待ってよ!鈴原はどうしたのよ!?」
「鈴原のことは、もういいの。なんか疲れちゃった」
頭の中がパニックっていた。心臓がばくばく言ってる。
「でも、もしアスカが碇くんのこと・・・」
「んなわけないでしょ!あんな唐変木、何とも想ってないわよ!」脊髄反射で即答してしまった。やば。
「良かった・・・。アスカ、碇くんのことが好きなんじゃないかって思ってたから」
「いいな。これから碇くんと一つ屋根の下。羨ましいけどアスカならいいや。じゃ、また明日ね」
「ん。バイバイ」表面は平静を装ったまま、ヒカリと別れた。
でも、彼女の告白を聞いてから、ずっと足は地面から浮いていたような気がする。
57:960
06/10/18 19:54:55
某月某日七の壱(日記調)
今日は非常にショックな出来事があった。
ヒカリが朝からそわそわして、アタシに何か話をしたいようなそぶりを見せていたので、
帰り道に公園に誘った。
前の鈴原の時みたいに。夕日に染まる街を見下ろしながら。
今回も、鈴原の話かと思いきや、最初に切り出したのは『将来のこと』だった。
アタシは「この美貌と才能を生かせる職業をと思ってるけど、まだ良く考えていない」と答えた。
ヒカリは、お嫁さんだそうな。
「アタシの様に特に秀でている訳でもないし、かと言ってなりたい職業もないから」って。
小さくても暖かい家庭、優しいダンナ様と可愛い子供のために暖かい食事を作りたいんだそうな。
家庭って、アタシは正直良くわからない。そんなに良いものなんだろうか。
ここまでは特に問題無かった。
次に、ヒカリが話した内容がショックだった。
自分が移り気なことを認めつつ、同居人のことが気になると。
これをアタシに伝えたかったらしい。
鈴原のことを問いつめると、前にあれだけのろけられたのに、
「鈴原のことはいいの・・・もう、疲れちゃった」さらりと言われた。
やっぱり、理想と現実のギャップが激しかったらしい。恋は盲目とはよく言ったものだ。
で、アタシの想い人を取ることになるんじゃないかって心配だったらしい。
いつも、このネタでからかわれてるアタシは、ここで、脊髄反射的に否定してしまった。
別れ際、ヒカリはアタシと同居人との屋根一つの生活を羨み、アタシだったら許せるみたいなことを言って別れた。
58:960
06/10/18 19:59:37
>50 >51 >52 >53 >54 >55
ありがとうございます。素直に嬉しいです。
>56と>57、どちらで進めましょうか?>all
59:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 20:54:53
オッテュ
60:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 22:05:29
いつもGJな作品拝見させてもらってます
やっぱスレタイがアスカの日記なので57で進めて欲しいと思う
日記は書くのが難しいががんばってけれ
61:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 00:15:08
>>58
これは興味ある話題。
物語りを押し進めるには>>56みたいな形式がいいんだけど、
「日記」からはかけ離れてしまうもんね。
思うに本物の日記はその日の出来事を時系列を追って書き進めるものではなく、
ただ結論を書き留めるものなので、起承転結もなければ、伏線もない。
従って、エンタテイメントとして成立しにくい。
もし、本物の日記だったら、
「ヒカリはシンジに気があるらしい」という結論が先に来るはず。
そして、「ショックだ」という感想を述べて終わり。
ヒカリが朝からそわそわとか、夕日に染まる街といった、
人物ないし情景の描写が日記文に現れることは殆どない。
でも、それじゃ面白くないので苦心した末の文体が>>57なんだよね。
結局、何が言いたいかというと、
書きやすいように書いたらいいんじゃないか、と。
俺も他スレで>>56みたいな文体で日記書いてて、「でも、これ日記じゃないよな……」と、
自問自答してたところなんで、つい熱くなったw
62:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 22:29:41
>>61
朝は寒くてもお前は熱いぜw
>56みたいな形式で進めてもいいがそうすとスレタイと離れてるっていちゃもんつけて来るやつがいるんだよね
日記形式でお願いしたいがやりやすいほうで良いよ。無理しないでくれ、
63:960
06/10/20 05:16:57
>59 >60 >61 >62 ありがとうございます。
>61のとおり、日記調は正直、苦心しました。
先に>56を書き、それを>57へ反映させるのですが、どうしてもムリが出ますね。
とりあえず、今回は両方書き上げてからまとめて上げますね。
64:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 11:55:09
乙
65:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/21 12:36:51
gj
66:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 09:20:21
おつ
67:960
06/10/22 11:45:45
960です。
出来ました。連続投下します。
68:960
06/10/22 11:46:32
>>57続き
某月某日七の弐(日記調)
アタシには関係の無い話なのに、アタシは何故か悩んでいる。
悩む理由を考えたが、良くわからない。
胸が痛む。
病気かも。明日、リツコに診てもらおう。
とりあえず寝る。おやすみなさい。
69:960
06/10/22 11:47:18
某月某日七の参(日記調)
朝、同居人と顔を合わせたくなかったので、独りで学校へ行った。
登校はいつも一緒だったからか、奇妙な感じがした。
昨日の晩御飯と今朝の朝食をぶっちぎったので、育ちざかりのアタシにはきつかった。
だから、まさかお弁当を作って来てくれてるとは思わなかった。
お弁当を受け取る時、またいつもの調子でやってしまった。
ホントは嬉しかった。すまなかった、シンジ。
でも、そのお弁当はヒカリのお弁当と交換された。
ヒカリのお弁当、おいしかった。でも、何か物足りない気がする。
ヒカリは幸せそうだった。
70:960
06/10/22 11:48:17
某月某日七の四(日記調)
ここ数日、ヒカリとアタシのお弁当を交換していたが、
過程の無駄を省くため、同居人にお弁当を直接ヒカリに手渡すよう命じた。
照れながらお弁当を取り替えっこする二人を見て、ふと、寂しくなったのは事実だ。
定期診断の結果は異常無し、だった。
食欲不振と胸の痛みを訴えたのだが、データ上は健康そのものだった。
ただ、リツコが意味ありげな笑みを浮かべていたのは気になる。
もしかして、重病なのだろうか?
なんだか急に不安になってきた。
とりあえず、早めに寝ることにする。おやすみなさい。
71:960
06/10/22 11:49:13
某月某日七の五(日記調)
結局はヒカリと2バカの悪巧みだった。
アタシを追い込んで、楽しんでたらしい。
別にアタシは何の問題も無かったけど、さすがに駒扱いされるのは許し難い。
3バカには鉄槌を、ヒカリにはくすぐりの刑を科した。
ヒカリに睨まれたが、アタシは悪くない・・・はず。
でも、後で謝っておこう。
晩ご飯はアタシの好きなものばかりだった。
同居人は一応、悪かったとは思っているらしい。
胸の痛みもいつの間にか消えた。
世の中全て事も無し。おやすみなさい。
72:960
06/10/22 11:50:00
>>56続き
某月某日七の弐
マンションに着き、誰にも会わぬよう速攻で自分の部屋に入り、
制服のままベッドに俯せに倒れ込む。
悩む・・・。
胸が締め付けられる。痛い。
・・・大体、何をアタシは悩んでいるんだ?関係ないじゃん。
アタシの頭の片隅で、アタシ達がひそひそと話し始める。
複数の黒いモノリス。表面には紅い発光文字で『ASUKA 0* SOUND ONLY』
「早速議題に入るけど、主題は友情を取るか、恋を取るか、ね?」
へっ?恋?一体誰が?誰に?
「シナリオの大幅な修正を余儀なくされるわね・・・」
シナリオって?何?一体?
「でも、あのヒカリがねー。ちょっと意外かも」
確かにそれは言える。
「アイツ、今も昔も家庭に恵まれてないから、ひょっとしてころっと行ったりして」
そうかもしれないわね・・・って、どこに行くって!?
「前振りが『お嫁さん』だけに余計に、ね」
・・・おーい。どうしろってーの。
胸の痛みは定期診断で診てもらおう。
アタシ達の会話を遠くに聞きながら、いつの間にか眠っていた。
73:960
06/10/22 11:50:46
某月某日七の参
何となく、同居人と顔を合わせたくなかったので、今日は早めに独りで学校へ行った。
当然、朝食も抜き。昨晩から何も食べていない。おなかすいた。
机に突っ伏して、空腹に耐える。うぅ・・・。
ひさびさに購買の焼そばパンか。あれ、イマイチなのよね・・・。
そんなことを考えながら身を起こすと、目の前に同居人が居た。アタシのお弁当箱を持って。
晩御飯と朝食を連絡なしに食べなかったのに、お弁当を作って来てくれるなんて。
嬉しかった。
「・・・いつからいたのよ!?レディの寝姿をじっと見てるなんて悪趣味よ!」
「い、いや、起こしちゃまずいかな、と思って。これ、お弁当ね」
ぽふっと、お弁当を手渡される。怯えつつ、にこやかに。
「昨日の夜から食べてないんでしょ?具合悪いかと思って、消化の良いものにしておいたから。あ、食べきれなかったら残してもいいから」
丁度、チャイムが鳴る。お弁当をアタシに渡し、同居人はそそくさと自席へ戻っていった。
後ろから視線を感じる。振り向くと、ヒカリが何かを含みつつ微笑みを浮かべていた。
昼休み。いつもの屋上。さて、おべんとおべんと。メシだメシ。
「アスカ・・・」
先に座ったヒカリが話しかけてきた。陽を背にしたアタシの落とす影の中から。
「ん?」「それ、碇くんが作ったお弁当でしょう?」「うん」
「私、作ったおべんとと交換しない?・・・食べてみたいの、その・・・」
多分、アタシの表情は見られなかったと思う。
無言で、彼女の差し出すお弁当箱とアタシのお弁当箱を交換した。
ヒカリのお弁当はおいしかった。さすが主婦。
同居人と遜色ない、いや、それ以上の出来だった。
でも・・・おなかは満たされたけど、なんだか物足りない気がした。
74:960
06/10/22 11:51:40
某月某日七の四
ヒカリとのお弁当交換は、しばらく続いた。
毎夜のアタシ達の会談も堂々巡りを繰り返す。
晩ご飯もロクに食べられない。
こんな時は同居人をいたぶって、憂さ晴らしをするのが一番だけど、
親友の想い人じゃ、さすがのアタシもちょっと・・・ね。
いい加減、どうでも良くなってきた。
「アンタ、アタシの弁当、もう作らなくていいから」
へっ?という表情をして、同居人がアタシを見る。
「そのかわり、ヒカリのお弁当作りなさい!」
「なんで、委員長の?いつも自分でお弁当作って来てるじゃない」
「何でもいいから、アンタはアタシの言うとおりにすればいいの!」
「わかったよ・・・いつも勝手なんだから。少しはこっちのこ・・・」
「なんか文句ある?」「い、いや・・・その・・・別に」
昼休み。同居人が照れながらヒカリにお弁当を手渡すのを見て、
季節外れの、独りぼっちトンボの気持ちになった。なんで?
定期診断の結果は異常なし。
リツコに胸の痛みの原因を聞くが「そうね・・・。そう」と言ったきり、答えてくれなかった。
返ってきたのは、意味深な笑みだけ。
ああやって、リツコが笑む時は、ロクなことが無い。もしかして不治の病とか?
薄幸の美少女とはよく言ったものだ。アタシって幸薄い人生だったわ。
なんてことを考えつつ、布団に丸まった。おやすみ。
75:960
06/10/22 11:52:27
某月某日七の五
やばっ。学校にIDカード忘れた。
シンクロテストに遅れたら、何言われるかわかったもんじゃない。
気付いて良かった。大ダッシュで学校へ引き返す。
息を整えつつ、教室に向かう。
まだ、誰かが残っているのか、人の声が聞こえる。
「ねぇ、もうそろそろ止めようよ・・・大人しいアスカなんて気味悪いよ」同居人だ。
「さすがに、ここまで追い込むとやっぱり、な」メガネだ。
「でも、シナリオどおりだし、もう一息と思うんだけどな」ヒカリだ。
「・・・そや。ここで思いきりやらにゃあかん」鈴原だ。
何故か、3バカとヒカリが一緒にいる。
入り口で息を潜め、聞き耳を立てる。
「でも、ワシが弁当こそこそ食べるんもええ加減にしたいわ」
「アスカのためよ!スズハラちょっとはガマンしなさい!」
あれ?
「なんで、アスカの気持ちがボクのためになるの?・・・確かに最近は殴られなくなったけど」
あれれ?
「・・・アスカがいっつも怒ってるのもムリないわね・・・。碇くん、超ニブすぎ」
はあ?
シナリオ・・・?
「!」全てが繋がった。
76:960
06/10/22 11:53:34
某月某日七の六
つい、カッとなってやった。今は反省している。
やられた。アタシとしたことが、やられた。
3バカは瞬殺した。残るは・・・。
「ひぃーかぁーりぃー・・・」
「あ、あのねアスカ。こ、これはね、アスカの気持ちをはっきりさせてあげ・・・」
おっと、ヒカリ。それ以上は、親友のあなたもアタシも触れちゃいけない部分よ。
黙らせるのに、ヒカリを失禁寸前までくすぐり倒す。
ヒカリが涙目でこっちを睨んでいる。ごめん、やりすぎた。
帰り道、久々に同居人と一緒になる。
アタシが一歩ぶん先を歩く。同居人がついてくる。
「ボクは止めようって言ってたのに・・・なんで?」
「うるさい!じゃあ、なんでアタシに言わないのよ!」とりあえず、殴る。
「だって、アスカすぐ殴るじゃない。グーで」
「うるさい!うるさい!うるさい!」もう一回、とりあえず、殴る。
道行く人の視線が厳しい。逆DVよ、という声が聞こえる。
さすがに恥ずかしい。足早にその場を立ち去る。
晩ご飯はアタシの好物ばかりだった。これで許されると思っているの?
・・・でも、食べ終えた後は、許してもいいかなって思った。満腹だと平和だ。
いつの間にか、胸の痛みも消えていた。
なんだったのだろう。ま、いっか。
とりあえず寝る。おやすみなさい。
(原文:独語 訳:960)
77:960
06/10/22 11:54:26
すみません。長々と書いてしまいました。>>all
今回、同時進行で書いたせいでしょうか、日記調は維持出来ませんでした。
あえて日記に徹したら、台詞が一切出てこなくなりました。
改良の余地大ですね。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
78:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 19:17:25
オッテュ
79:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 19:47:30
乙
80:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 00:48:56
乙
81:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/25 04:38:42
スレッド情報局から宅急便です。
つ●
82:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/25 22:14:35
先に日記調を見て、次にモノローグ風小説を見るのも新鮮でつね。
GJ! 乙でした。
>あえて日記に徹したら、台詞が一切出てこなくなりました。
いや、日記って普通そうだし。w)
83:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/26 01:09:02
乙
84:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/27 00:19:08
おつ
85:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/28 02:26:53
GJ
86:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/30 16:06:46
gj
87:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/01 04:30:11
(・∀・)ほしゅ
88:960
06/11/01 21:06:59
ありがとうございます。>all
日記じゃなかったので,別スレに違うのを書いてました。
前段はこちらです。
スレリンク(eva板:296-310番)
89:960
06/11/01 21:07:45
はい,とマネージャから日記帳を手渡される。日記帳?
日記を付ける習慣は無いんですが,え,仕事ですか?
とどのつまり,アタシ本人の日記ではなく,
劇中の『惣流・アスカ・ラングレー』の日記を書けって。いうコトらしい。
あのー。普通,そういうヤツって,駆け出しのライターとかが書くんじゃないんですか?
マネージャ曰く,『映画が売れて,しかも出演者本人が書いた日記であれば,
相乗効果で売れて売れて印税生活も夢じゃない!』そうな。
はぁ。そんなもんですかねぇ。
と,いうコトで日記を付けることになった。
タダでさえ,実生活と劇中がごっちゃになりかかっているのに,日記なんか付けられるんだろうか。
ちょっと不安。
90:960
06/11/01 21:08:41
今日,マネージャからノートPCをもらった。わーい,Let's Noteだ。11時間駆動だ。
なんでまた,モバイルなの?
『楽屋でも日記が付けられるように』とのお言葉。
でも,日記帳ありますよ。書いてないけど。
ひょっとして,ブログですか?で,それを本にまとめるんですか?
ブログ女王になんてなったらどうしよう・・・。
テレビで見た,夢のような芸能人生活が,現実に・・・?
一瞬見えた幸せの絶頂はここまでだった。
え,違う?
カントクが,『人気をあおるため,某匿名巨大掲示板へ日記を定期的にこっそりUPしろ』だって。
確かに,劇場版公開まで結構時間はありますけど・・・タダ働きですよね?コレ?
アタシ,ギャラだけじゃなく,印税生活もぜひ体験してみたいのですが。
え,契約事項に書いてあるって?そんなバカな。
あった。
・・・あのー。カントク。アタシの印税生活は一体何処にいったのでしょうか?
あ,忘れるところだった。CMCMっと。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
・・・コレでいいですか。カントク?
91:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/03 02:09:17
乙です
アスカさん含む出演者の皆さん
良い映画期待してます……
92:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/03 02:21:03
おつ
93:960
06/11/03 22:07:17
今日,ケータイくらいの大きさのモノリスを渡された。
これを常に身につけておくように,とのコト。何?これ?
あまりにも役のイメージとかけ離れると困るので,一言一句チェックするそうな。
なんでもアタシのこれは,劇中のアスカ禁止用語に触れると警報が鳴るらしい。
早速やってみた。
「碇さん」「ぴー」TVでおなじみの警報音が鳴る。
「碇くん」「ぴー」
「シンジくん」「ぴー」
「・・・シンジ」「・・・」
「・・・バカシンジ」「・・・」なるほど,科学万能の時代だわ。
碇さんも同じものを渡された。
「惣流さん」「ぴー」
「アスカさん」「ぴー」
「・・・アスカ」「・・・」
お互い,名前で呼ぶのも呼ばれるのも初めて。
二人で顔を見合わせて,ちょっと照れた。頬があったかくなる。
何だか碇さんとの距離が縮まったみたいで,ちょっと嬉しい。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
・・・ってこれ,撮影日記じゃん。カントク,ごめんなさい。
94:960
06/11/03 22:08:38
綾波さんもモノリスをもらっていた。
「シーンジっ!」「ぴー」
「シンジくん」「ぴー」
「碇くん」「ぴー」
「えーっ,なんでぇー?」ちょっと驚く,綾波さん。
「あぁ,綾波さん。普段の声だと明るすぎるんじゃない?」と碇さん。
「そっか」綾波さんは納得したよう。
ぼそっと平坦なレイの声で,呼んでみる。
「碇君・・・」
「・・・」
警報が鳴らない。このモノリスくん,微妙に絶妙かも。よしよし。
綾波さん,悔しそうに今度はアタシの名前で試している。
「アスカ」「ぴー」
「惣流さん」「ぴー」
「セカンドチルドレン」「・・・」
「赤毛サル」「・・・」
ちょっと待ってよ。何よ,その赤毛サルって。
しかも,綾波コードには引っかからんのかい。きぃっ!
95:960
06/11/03 22:09:25
悔しいので,逆襲してみた。
「レイ」「・・・」
「ファースト」「・・・」
「人形」「・・・」
「優等生」「・・・」
「司令のひいき」「・・・」
逆襲になってないじゃん。もっと悔しくなった。きぃっ!
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
・・・って,アタシ達こんなことやってて,間に合うのかな?
96:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/04 08:00:08
オツ
97:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/05 11:35:45
乙
98:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/05 18:33:35
オッテュ
99:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/07 05:56:48
GJ
100:960
06/11/07 22:02:44
最近,撮影の待ち時間はマネージャが持ってくるマンガにハマっている。
マンガっていいですねぇ。ニッポンの生み出した文化の極みですよ。
この間,読んだのは・・・二珠最高!クマー最高っっす!
映画化するんなら,二珠役でぜひ出たい。ドローンはイヤよ。
帰国して仕事無かったら,マンガの独語翻訳やれば?とマネージャ。
確かに,結構良いショーバイになりそう。
今のうちにいっぱい読んでおこうっと。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
・・・また,撮影ウラ話になっちゃった。ごめんなさい,カントク。
101:960
06/11/07 22:03:29
今日は,初めて私達が攻勢に出た記念すべき日となった。
もちろん,アタシが使徒殲滅の役を担った。
マグマの中に入るのは,さすがに緊張した。
D型装備と言えど,耐熱耐圧装甲が軋む音は気分的に良いものではなかった。
一度は当初予定通り使徒を捕獲したが,急に羽化を始めて電磁柵を破られたため,
殲滅へと作戦は変更された。
使徒も相当硬く,プログナイフでは歯が立たなかったが,
午前中に同居人と話していた熱膨張を思いつき,冷却液パイプを自ら切断し,
使徒の口へ突っ込んでやった。大正解だった。
完全な勝利だったが,最後の最後で弐号機を吊っているパイプが使徒に切断された時は,
さすがのアタシも観念した。
まさか,同居人がB型装備のまま,マグマに飛び込んでくるとは思わなかった。
礼をすべきだったが,アタシのプライドが許さなかった。
本当は,同居人に感謝している。ありがとう。
102:960
06/11/07 22:04:30
明日はロケに出るから,早めに準備しておいてね。とマネージャに言われた。
何処に行くのか聞くと,こともなげに「浅間山」と言葉が返ってきた。
浅間山って・・・まさか?
「大丈夫。科学万能の時代だから」
えっ?
マジっすか,マグマダイブ。ジョークですよね?
「温泉もあるし」「保険もばっちりだから」
・・・って,ちょっと待ってよ。アタシの身の上はどうなるのよ。
圧倒的リアリティ・・・ね。
ええ。結局やらされましたよ。マグマダイブ。
嫌がるアタシを無理矢理,弐号機のセットに押し込み,
そのまま,とぷん,とマグマにひたひたまで漬けられました。
ホント,熱かったです。
「OK出るまで,そのままだからね」ってちょっと待ってよ・・・。
ご丁寧に,吊ってるワイヤーを順番にちょんちょんと切断されましたし。
死ぬのはイヤ。死ぬのはイヤ。死ぬのはイヤ。死ぬのはイヤ。死ぬのはイヤ。
半狂乱でした。
こんなに焦ったのは,14年間生きていて初めてですよ。全く。
103:960
06/11/07 22:05:16
「素晴らしい」
あのシーン,カントクに褒めていただきましたが,演技じゃなくて素ですから。
・・・って,マグマダイブのシーンにならないじゃないですか。これじゃ。
あれ?温泉寄らないの?
聞いたら,
「小学生も見られる映画にするために,RとかXとか引っかかりそうなシーンは全部削る」
だって。
「あるとは言ったが,入るとは言ってない」
得意の司令ポーズで,カントクがのたまう。
あのー。カントク。確かにそうですけど,撮影しなければいいハナシじゃないですか。
・・・楽しみにしてたのに。ぶぅ。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
104:960
06/11/07 22:06:03
設定どおりの,3人での奇妙な共同生活。
ご飯できたよ,と碇さんの声が聞こえる。
わーい。ご飯だご飯だ。
碇さんのご飯はとっても美味しい。
葛城さんも同じくらい料理上手。
アタシは・・・食べられればいい程度の自己流なんで,これ以上訊かないで。
ヒトの作った料理を皆でわいわい食べるのが,
こんなに美味しい,こんなに楽しいこととは思いもしなかった。
「美味しい!」とアタシ。
「惣硫さんの口に合って,嬉しい限りですよ」と碇さん。
「あら,私も美味しいと思ってますよ?」と葛城さん。
「それ,思ってるだけじゃなくて,ちゃんと言ってくださいよ」
暖かくて,笑いの絶えない食卓。
家族,ってこんな感じなのかな。
両親を早くに亡くしたアタシにとっては,
同じ家の中に,自分以外の他の人がいるという感覚がとても新鮮だった。
105:960
06/11/07 22:07:18
え?今まで,どうしてたかって?
子役で稼いで生活して,学校はスキップにスキップを重ねて,
この歳で大学院まで出ましたよ。奨学金もらってね。
Dに進めば?って話もあったのですが,
こっちの世界の方が性に合っているようで,やめました。
その間,ずっと独り暮らしでした。
一応,法的な義理の両親はいますが,ちょっと色々ありまして,
今まで一緒に住んだこと無いんです。
・・・あ,同情するなら,カネください。
14歳ってだけで,まっとうな職業に就職出来ないんですから,アタシ。
そのせいなのか元がそうなのか,この歳にしては醒めてるね,って良く言われます。
ホントは,年相応にしたい時もあるんですけどね。人前では絶対に出しませんが。
だからこの間,碇さんの目前で泣いてしまったのは,惣流 アスカ ラングレー,一生の不覚でした。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
・・・なんで,身の上話になったんだ?日記じゃないじゃん。
106:960
06/11/07 22:08:04
今日は1日オフ。葛城さんの休肝日でもある。
普段からうるさいモノリスくんには,布団の下で鳴っててもらおう。
「惣流さんって,普段と撮影の時とでは全然違うんだね」
リビングで一緒にお茶を飲みながら,碇さんがアタシに話す。
へっ?そんなに違います?
改めて,自分の格好を見回す。
最近,この生活に慣れてきたせいか,
人前ではコンタクト必須だったのに,いつの間にかここでは眼鏡だし。
化粧もせずすっぴんで,ぱさぱさな髪の毛もゴムで一つにまとめてるだけ。
おまけに,下はジャージで上はTシャツ。
「その格好だったら,惣流さんってわかんない人多いんじゃない?」
「・・・それ,ひょっとして地味ってコトですか?」
「地味と言うか,撮影の時はあんなに華があるヒトなのに,普段は飾らないんだなって」
「ボクは,撮影の時の惣流さんがカッコいいなって思うけど」
・・・って,今はカコワルイってこと?
がーん。ショック。碇さん,そんなこと思ってたなんて。
まじいかも。これって。
107:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/07 22:09:40
オッテュ
108:960
06/11/07 22:09:45
今日,怖いことを聞いてしまった。
冗談のつもりで,何人目なの?と綾波さんに聞いたのだが,
しばらくの沈黙の後,真面目な顔で「・・・多分二人目だと思うわ」とぼそっと言われた。
「現実と役とのキャラクターがあまりにも違うと,容赦なく即,降板って噂よ」
「あなたがダメでも,代わりは沢山いるのよ」
その台詞が,アタシのショックに追い打ちをかける。
冗談じゃない。
アタシは,これからも独りで生きて行かなきゃならないんだから。
もともと仕事の少ない中,やっと入ってきたこの仕事。
何とかこの役を最後までやらなきゃ,収入が途絶える。
それよりも何よりも,あの2人との共同生活を手放したくない。
アタシは,一大決心をした。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
109:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/07 23:24:43
ずぼらな格好で眼鏡をかけてるアスカを
想像して思わずにやけてしまった訳だが
110:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/08 17:34:01
乙
111:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/08 22:56:39
>>109
同意。アスカには意外と似合いそうである。
112:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/09 02:55:16
投下スレからこっちに移ったのかー。
期待してます。頑張って下さい。
113:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/09 03:06:24
馬鹿な事聞くけどさ、【LAS】が付いてるアスカの日記とここのアスカの日記ってどう違うの?
114:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/09 05:58:30
あっちはLAS限定、こっちはアスカならおk、ってことじゃないのか
LAS日記はアスカの日記から派生したんじゃなかったっけ
115:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/10 09:19:50
おつ
116:960
06/11/10 19:11:34
※以下,『好評撮影中!』の続きではないです。
※この曲を聴いてからどうしても書きたくなって,
※勢いでやってしまいました。すみません。
117:960
06/11/10 19:12:19
「もう,アンタと一緒の生活はごめんだわ。出て行ってやる!」
思い切りよくタンカを切ってやったが,
まさか,本当に出て行く羽目になろうとは思わなかった。
レイのヤツ,土壇場で折れると思っていたのに。
いまさら,こっちから謝るなんて出来ない。引っ込みが付かない。
ダンボールに荷物を詰めながら,うじうじと考えていた。
引っ越し当日。
引っ越し屋さんが,アタシの荷物をどんどん運び出す。
レイは姿すら見せない。当たり前だよね。
青空がまぶしい。雲が高い。
こんなにいい天気なのに,気分はとってもブルー。
頭の中でドナドナがエンドレスで流れてる。
「お客さん,行き先ここでいいんですよね?」
引っ越し屋さんの声で,我に返る。示したメモには,ヒカリの住所。
ヒカリには,数日前に事情を説明した。
その時にアタシの受入を頼んだら「いいよ,いつでも」って快諾してくれた。
本当にありがたい。持つべきものは友人だ。
・・・でも,ひょっとして,ひょっとしたら,いい口実になるかも。
優柔不断なアイツを,振り向かせることが出来るかも。
そうだ。
「あ,そっちじゃなくて,こっちの住所にしてください」
118:960
06/11/10 19:13:05
シンジの部屋は久しぶりだ。
いつも整理整頓してあって,とっても気持ちがいい。
さて,引っ越しひっこし。
唖然と立ちつくすアイツを尻目に,アタシの荷物を運び込む。
とりあえず,荷物は全部入った。ダンボールの山だけど。
疲れておなかのすいたアタシは,その隙間でポテチを食べていた。
「アスカ・・・」
「ん・・・?,あ,ポテチ?いる?」とりあえず,しらばっくれてみる。
「そうじゃなくて・・・」
「ワタシ,ニッポンゴ,ワカリマセーン」更にボケてみた。
「アスカっ!」語気が強くなる。ちっ,冗談の通じないヤツ。
「あ,コレね。急に決まったんで。ゴメンね」確信犯だけどね。
一応,コトの顛末は教えた。
119:960
06/11/10 19:13:51
「でも,それならウチの前に洞木さんのところとか,あるんじゃない?」
「んー,ぱっと思いついたのがココしかなくって。そうだね,ヒカリの家でも良かったんだ」
わざとらしく,初めて聞いたように手のひらを拳でたたく。
「あのね,ボクだって一応男なんだよ」
「でも,シンジはシンジでしょ?」真っ直ぐにアイツの目を見返してやる。
今までの付き合いから,こうすれば大抵大人しくなることはわかっている。
「・・・」
シンジはYesの返事の代わりに,深いため息をついた。
勝った。
こうして始まった同棲から,半年が過ぎようとした時に,事件は起こった。
120:960
06/11/10 19:16:13
きっかけは,1本の電話からだった。
その時,アタシは勝負下着を選ぶのに夢中になっていて,その電話には気付かなかった。
ふと見ると,シンジがやけにあたふたしている。
アタシのものを片っ端からクローゼットに放り込んでいる。
「どうしたの?」
「母さんが来るんだよ・・・父さんも一緒に。で,一晩ここに泊まるって」
「えっ?ユイさん来るの?ゲンドウおじさんも?」
「すっごい久しぶりかも。ちゃんとご挨拶しなきゃ」
Reference from DCT Wonder3 'KUWABARA KUWABARA'
121:960
06/11/10 19:17:32
アイツは自分の両手を目の前で合わせ,平謝りしながら言った。
「アスカ,とにかく一晩,どこかに行ってて。このとおりお願いだから!」
なにぃ?
自分の耳を疑った。何よ,それ?
「なんで,このアタシがココに居ちゃダメなのよ!バカシンジ!」
でも,アイツは聞いちゃいなかった。
アタシのお泊まりセットを用意し,素早くカバンに放り込むと,
それをアタシの胸に押しつけた。
そして,アタシの背を押し,玄関でサンダルを履かされると,
挙げ句の果てに家から追い出された。
かしゃん,と鍵とロックがかけられる。
「バカシンジ!!!なんでよ!!!きぃっ!!!」
玄関ドアをサンダルで蹴り続ける。・・・足,痛くなった。
でも,ここまでされるってことは・・・。
多分,これ以上,シンジも頑として譲らないだろう。
だてに付き合いが長いわけではない。
黒ゴムで1つにまとめただけの,ぱさぱさな髪
部屋着のよれたノースリーブのシャツ,そしてホットパンツ。
しかも,ぐりぐり眼鏡ですっぴん。おまけにサンダル。
この格好で,アタシに一体どこへ行けと?
そして,アタシは途方に暮れる。
Reference from DCT Wonder3 'KUWABARA KUWABARA'
122:960
06/11/10 19:19:02
「大丈夫よ,アスカ。うちにおいでよ」
電話の向こうのヒカリの頼もしいコトバに,思わずうるうるしてしまった。
さて,どうやって行こうか。歩ける距離じゃないし,電車はパスしたい。
こんな格好で公衆の面前に晒されるのは,オトメゴコロ的には絶対NG。
カバンの中には,アタシの財布がちゃんと入っていた。
でも,中身はそのままだった。タクシー乗れないじゃん,バカシンジ。
なるべく知り合いに会わないよう,こそこそと駅へ向かった。
「ア,アスカ,どうしたのその格好ぉ?」
ヒカリの肩が揺れている。必死に笑いを堪えている。
「それ以上言わないで,ヒカリ」
アタシは,ヒカリを手のひらで制する。
「自分でも,へっぽこだと思ってるんだから」
123:960
06/11/10 19:19:48
「さ,今日は飲もっか」一升瓶が目の前に置かれる。
飲みながら,一晩中ぐだぐだとお互いのレンアイを語った。
「そうよねぇ,オトコってそういうところずるいよね」
「でも,ヒカリそういう目に遭ったコト無いでしょ?」
「ま,そりゃそうだけど・・・ね」
「・・・のろけかい?それは?」
最後のほうには『アイとはなんぞや?』なんて,
訳のわからんハナシをしていたような気がする。
目が覚めると,もうお昼をとっくに過ぎていた。
「アスカ,おふろ入っているよ」
さすがヒカリ。お風呂の温度までアタシの好みを憶えてくれているとは。
「着替え,ある?」湯船に鼻までつかるアタシに,ヒカリが声をかけてくる。
「ん,たぶん大丈夫だと思う」
アイツのことだ。多分ブラもショーツもカバンに入ってるはずだ。
あのヘンタイめ。
「アスカ,もう帰っちゃうの?」人差し指をくわえるヒカリ。
「ん・・・一晩って言ってたから。心配すると思うし」
「電話すればいいのに」
「それはダメ,はっきりケリつけなきゃ」
ヒカリに見送られ,洞木家を後にする。
124:960
06/11/10 19:20:47
でも,本当は不安だった。押しかけたのはアタシのほうだ。
出て行け,と言われたらどうしよう。
まだ,何もされていないし,してもいないのに。
人間,おなかが空くと不安になる,と何かで読んだことがある。
途中,点心が美味しそうだった。肉まんを2個買う。
いよいよ,ウチの玄関前まで来た。
おなかが空いたので,とりあえず肉まんにかじりつく。うん,んまい!
そして,一回深呼吸をしてから,インターホンを鳴らす。
なかなか,アイツが出ない。ひょっとして,アタシだから?
ポケットの中の合い鍵を探す。このままで終わらせてやるもんか。
Reference from DCT Wonder3 'KUWABARA KUWABARA'
125:960
06/11/10 19:21:37
「ふぁふぁいま,ふぉれほみやへ」
おみやげの肉まんをシンジに渡して,何事も無かったようにソファに座る。
「暖かいうちに食べたほうが,美味しいよ」
もぐもぐしながら,あさっての方を向いてアイツに話しかける。
心臓がバクハツしそうになりながら。
「アスカ・・・ごめんね」
ソファの背をはさみ,アイツがアタシを後ろから抱きしめる。
「ちょ,ちょっとシンジ,何すんのよ!」
予想外の行動に,驚く。初めて抱きしめてくれた。
不安のどきどきが,別のどきどきに変わる。
ココにいていいの?ねぇ?
「家に電話するから,そばに居てくれる?」
「何で?」
「アスカと一緒に居ること,話すよ」
「・・・アタシが出て行ったイミないじゃん」
そう言いながら,自然に頬がゆるむ。
いいのね,ココにいて。
・・・ずっと,そばにいたい。これからも。
Reference from DCT Wonder3 'KUWABARA KUWABARA'
126:960
06/11/10 19:34:40
別視点で同時展開してみました。
リンク先のスレをお借りしています。
参考:
スレリンク(eva板:952-958番)
127:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/11 15:10:31
>>126
おーつ、もう少しだけ日記っぽくしてくれると嬉しいかも。
同時展開は読んでるこっちも楽しいんですが、向こうはLASで荒れる人が居るらしいことをお知り置きを。
128:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/11 15:22:27
正直面白いがシンジの方は向こうでも言われてる様にシンジの心情変化が急過ぎるw
129:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/12 21:33:52
>>126
ドリカムですな。この曲をエヴァに結びつけるとわ、すげえです。
130:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/14 01:00:48
おつ
131:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/15 22:37:51
乙
132:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/16 20:50:00
GJ
133:960
06/11/17 21:41:31
>>108
先日,日記に一大決心をしたとは書いたものの,
実は,未だそこまで踏み切れていない。
もう少し,もう少しだけ,この居心地のいい空気を吸っていたい。
14年間,人様から見れば,あんまりいいコトなかったのだから,
これくらいだったら,神様も許してくれると思っていた。
でも,カントクは許しちゃくれなかった。
最近,確かに,アタシのシーンでの撮り直しがとっても多い。
台詞をとちったとか,ボケたとかじゃなくて。
カントクと副カントクが撮ったフィルムを見て,
「これは,ツンが足りないんじゃ?」とか,
「デレ過ぎじゃないか?」とごそごそハナシを始めると,
大抵,撮り直しを食らう羽目になる。
他の出演者の視線が痛い。うぅ。ごめんなさい。
っにしても,ツンって?デレ?・・・って何?
誰かアタシに教えて欲しい。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
134:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/18 10:50:46
乙
135:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/18 11:28:15 cHJ2Fupf
オッテュ
136:960
06/11/18 19:32:08
>>133
「惣流君。君には失望した」
「わざわざ条件の合うチルドレンを世界中から選別したのに,この程度とは,な」
「君には『ツンデレ』が無い。これは,この役を演ずるには,必要不可欠なものだ」
「君には猶予を与えよう。さもなければ・・・代わりを探すまでだ」
今までの人生に無いくらい,深い深い溜息をつく。
カントクから直々の呼び出しを食らったと思えば,いきなりこんなことを言われた。
アタマの中には「ツンデレ」と「降板」の文字がぐるぐる廻ってる。
わかってますよ,カントク。
イメージが違いすぎるのは,自分でも十分承知していますから。
でもアタシは,ただ単にもっと強気で意地っ張りでプライドの高い,
『アスカ』になれば良いと思っていたのだけど,どうもそれは違うらしい。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
アタシ,役降ろされそうだけど・・・。
137:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/19 03:18:27
シンジの日記スレがなくなってるな
138:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/19 03:36:17
乙
139:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/19 17:17:48
オッテュ
140:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/21 07:58:20
おつ
141:960
06/11/24 19:03:15
>>136
今日,初めて学校へ行った。
今まで,アタシは『学校』という場所でロクな目にあったことが無い。
この契約上,どうしても学校には行かなければならなかったけど,今まで延ばし延ばしにしていた。
でも,降板のコトバさえ告げられたアタシには,もう選択の余地は無かった。
昨晩,明日から学校へ行くことを碇さんと葛城さんに伝えると,二人ともとても心配してくれた。
普段の会話から,なんとなくアタシが学校へ行きたくないことを悟ってくれていたようだ。
ネイティブじゃないアタシには,二人の機微がとても助かる。
「『アスカ』,大丈夫?」 朝食の席でも心配された。
「ええ,大丈夫ですよ。・・・たぶん」
「登下校は一緒にいるし,クラスも一緒だから,何かあったらすぐ言ってね」
碇さんって,ホントに優しい。
「・・・ま,綾波さんも一緒のクラスだし,心配ないよ」
げ。それ,一番心配かも。
「そ,そうなんですか,安心しました」 動揺が顔に出ないよう,相づちを打つ。
142:960
06/11/24 19:04:23
さて,戦闘準備だ。
今までの経験から,極力地味に目立たぬよう学校行きの支度を整える。
頭の中心線から髪をクシでぴしっと分け,2本にまとめて付け根から三つ編みにする。
本当は周囲と溶け込むよう黒く染めたかったけど,役柄上,それはダメって言われた。
せめて,格好だけは地味にジミに・・・。
コンタクトは外し,地味専用の無難なメガネに替える。
制服を着るのは初めて。だけど,皆と一緒なら目立つことはないだろう。
姿見の前でくるり,と一回転する。
スカートの丈をチェック。短すぎもなく長すぎも無く,OK。
どこからどう見ても,『普通の』14歳,中学生に見える。
鏡に映った自分を見て,無理に背伸びしていた昔を思い出し,ちょっと暗い気持ちになった。
143:960
06/11/24 19:07:36
フスマをノックする音がする。
「『アスカ』,そろそろ時間だよ」 碇さんだ。
鞄を持ち,自室を出る。
リビングには,朝食を終えた葛城さんもいた。
制服に着替えたアタシを見た途端,目が点になっていた。
「『アスカ』,ど,どうしたの?」 二人がハモる。
えっ?アタシ,何かヘン?
「それって・・・」 碇さんがアタシを指さしたまま,絶句する。
唖然とする葛城さん。
そういや,この姿を見せるのは初めてかも。
「あ,向こうの学校に通っていたときは,このスタイルだったんです」
アタシはこの時,二人の反応の原因を大きく勘違いしていた。
もっとも,このことは後々になって気づいたのだが。
144:960
06/11/24 19:09:09
登校途中,周囲の人たちがアタシの方を見てる気がする。
いや,気がする,ではない。
見てる。
見て見ぬふりをしているだけだ。
こそこそと囁く声が,セミの鳴き声に混じり聞こてくえる。
「あの人,碇さんと一緒の女の子,アスカ役の・・・」
「え,全然違うじゃない,あれで・・・」
「単にクォーターってだけで,役もらええたんじゃ・・・」
周囲からの興味と妬みの入り交じる視線。
でも,こんなことは今までも幾度となくあったことだ。
もう慣れっこだ。いちいち,気にしちゃいられない。
145:960
06/11/24 19:10:07
教室にいたのは,当然,同級生役の人ばかりだった。
殆ど,初めての人ばかりだ。一応,全員の前で挨拶をする。
「『惣流・アスカ・ラングレー』役の惣流です。よろしくお願いします」
ぺこり,と日本風におじぎをする。
良かった。昨晩の練習どおりに出来た。
一瞬の沈黙の後,教室にざわめきが走る。
碇さんに至っては,やれやれといった表情をしている。
へっ?何か,おかしなコトした?アタシ?
窓際の席に,包帯ぐるぐる巻きの綾波さんを見つける。
「どうしたんですか?そのケガ?」 一応,心配しているように話しかける。
「・・・あんたバカ?」
はぁっ?
・・・って,ソレ,アタシの決め台詞じゃん。
「なんで,バカ呼ばわりされなきゃならないんですか!」
「バカだからよ」 ぼそぼそと答える綾波さん。
チャイムが鳴る。先生が教室に入ってくる。
席に戻っても,アタシには納得いかなかった。
146:960
06/11/24 19:10:56
ツンデレ・・・カントクの望むもの・・・それは永遠の謎・・・。
なんて考えながら,撮り待ちでセットに寄りかかっているアタシに,綾波さんが近づいてくる。
学校での事もあって,今はちょっとお話ししたくない気分。
アタシは目線が合わないよう,顔を伏せて自分の足先を見ていた。
綾波さんはそんなことに構うこと無く,微妙に距離を取り,同じようにセットに寄りかかった。
アタシの隣で目線を宙に泳がせながら。
「ねぇ?アナタ,降板ってハナシ,本当?」
綾波さんが,ボソリと独り言のように話す。
一瞬,息をのむ。
「・・・どこで聞いてきたんですか,そんな話」
アタシは驚いて,綾波さんの方を見た。
でも,アタシの反応に綾波さんは特に驚くこともなく,そのまま何も無い空間を見ていた。
「ハナシも何も,あちこちでウワサになってるわよ」
帰って来た返答に更に驚く。アタシは声すら出ない。
何よ,それ。
「・・・私から見ても『アスカ』に見えないもの,惣流さんって」
無言のアタシの頭に横殴りされたような衝撃が走る。がんっ,と。
「・・・綾波さんみたいに出来れば良いんでしょうけどね」
それだけを言うのが,精一杯だった。
綾波さんは,無視しているのか無関心なのか,アタシの嫌味なんて気にも留めていなかった。
「ほら,素がすぐに出るでしょ?そこが違うのよ,アナタは」
「私も3人目にならないよう,努力してるもの」
綾波さんはボソボソと続ける。
確かに,今の綾波さんは会話の中身を除けば,万人のイメージする『綾波レイ』そのものだ。
147:960
06/11/24 19:11:43
「お互いに本名も明かさず,私生活まで役になりきる。このことがあってこそ,この映画は成立するの」
「私はそう信じている,そう・・・カントクを」
「カントクに死ねと言われたら,今なら本当に死ねるかもしれない。私は」
「惣流さん,シンジのことを考えるとアナタには代わって欲しいけど,
このまま最後までいて欲しい気持ちもあるのよ・・・二律相反ね」
「じゃあね,・・・また会えたらだけど」
・・・きいっっっっっっっっっ!悔しいっ!
けど,図星だ。何も言い返せないくらいに。
アタシも,自分では役者の端くれだと思っていたけど,綾波さんのような覚悟までは無かった。
昔,自分なりにベストを尽くそうとしたことがある。
でも,結果はさんざんだった。特に,人間関係は最悪の結末となった。
それ以来,アタシは『他人が期待する自分』というものを適当に演じることで今まで生きてきた。
処世術と言えばそれまでだけど,14歳が独りで生きていくためには仕方無かった。
今回はそんな半端なことじゃダメってこと・・・か。
148:960
06/11/24 19:12:36
「ただいま・・・」
ジオフロントからの帰り道,足取りは重かった。やっと家に着いた。
「おかえり・・・って何か疲れてない?惣流さん,じゃなくって『アスカ』?」
碇さんが,アタシの顔を心配そうに覗き込む。
リビングのソファに,埋もれるように座る。ふぅ,疲れた。
「ダージリンでいい?」
「あ,はい。すみません」
碇さんが暖かい紅茶を入れてくれる。一口飲み,少し落ち着いた。
降板なんて,この業界じゃ割と普通なことなのに,いざ自分のコトになるとどうしても顔に出てしまう。
碇さんに心配かけさせてしまった。アタシの莫迦。
「ねぇ,碇さ・・・シンジ,ツンデレって何?」
シチューをことこと煮込んでいる碇さんの後ろ姿に,話しかける。
すると,碇さんは一瞬硬直した後,だんっと振り向いた。
目はどんぐり目,口をぱくぱくさせて。
どっしぇっー,って表現が一番正しいと思う。うん。
「そ,惣流さん,そんなことも知らないで演っていたの?」
え・・・?
え?ニッポンでは,そんなに当たり前のことなの?
ひょっとして,アタシだけ?知らないの?
碇さんのリアクションに,アタシは奈落の底に突き落とされた気持ちになった。
「ツンデレ・・・でも,ここで説明するとボクが酷い目に・・・」
碇さんが難しそうな顔をして,ぶつぶつ独り言を言ってる。
「い,碇さ・・・ん?」
ほんのちょっと,ショックから立ち直ったアタシが話しかけるが全く聞いちゃいない。
そんなに難しいことなのか。ツンデレとは。
149:960
06/11/24 19:13:45
頭の中があっちへ行った碇さんを後に,自室にこもる。
ホントはこちらから連絡しちゃいけないんだけど,こっそりマネージャに電話してみた。
「ツンデレって,何?」
電話の向こうで,呆れた空気が流れるのが解る。でも,怒っちゃダメ。
「・・・ググってみれば?」 ほう,なるほど。その手があったか。
で,実際にやってみた。
『ツンデレ の検索結果 約 4,330,000 件』
げっ。思いのほか多い。
仕方ないので,片っ端から読んでいく。ふむふむ。
全てを読み終わった時には,空が既に白んでいた。
徹夜明けで身体はぼろぼろだけど,頭の中は妙に冴えていた。
ナチュラルハイってヤツね。
で,
結論その1「ツンデレとは(以下略)」
結論その2「アスカはツンデレに分類されていない(Wikipedia上ではね)」
・・・ってことは。
どうりで皆,変な顔をするわけだ。納得した。
わかったわ!カントク!ツンデレの意味!
いつもアタシを護ってくれている!いつもアタシを見ていてくれている!
・・・かな?
間違ってないわよね・・・どきどき。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
・・・ところでアタシの日記,何人のヒトが読んでるの?CMになってるの?
150:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/24 20:02:52
GJ!!!
かなり面白いです
楽しみにしてます
151:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/24 20:58:22
いちご100%の東城スタイルのアスカ見てえ
152:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/24 21:15:57
三人目ノシ
イイヨー(・∀・)
153:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/25 01:43:26
オッテュ
154:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/30 00:00:08
おもろい。
ワクテカ
ぐっじょぶ。
155:960
06/12/01 19:32:01
>>149
今日,カントクに直訴した。
「ツンデレは理解した,もし,出来なければ役を降ろしてもらって構わない」
「ただ,1週間だけ時間が欲しい」 と。
訝しげな表情で,カントクはアタシに何故かと尋ねてきたが,
理由を話すと,こちらの心情を汲んでか一応は了承してくれた。
「では,レートはツン50:デレ50ってことで」 アタシはそう言いつつ,席を立とうとした。
「・・・譲って,ツン90:デレ10だな」 例のポーズのまま,カントクが曰う。
「そんなっっ!」 慌てて,席に座り直す。
「ツン60のデレ40では,どうです?」
「・・・惣流君,もう,ドイツの家も引き払って来たのだろう,帰る場所はあるのか?」
ぐっ,痛いところを突かれる。
「・・・じゃあ,ツン80:デレ20では?」 アタシの最大限の譲歩だった。
「プラス・・・脱衣だな」 表情も変えず曰う。
「えぇっ!脱衣ぃぃ!?脱ぐんですかぁぁ!?」
「それがイヤなら,今晩発のドイツ行きの便を早急に手配させよう」 有無を言わさぬ雰囲気が漂う。
「・・・」 「・・・」
アタシとカントク,二人の間を沈黙がしばらく流れる。
156:960
06/12/01 19:32:51
「・・・わかりました」
葛藤の末,頭を垂れる。負けた。負けてしまった。
どうしよう・・・困った・・脱衣なんて・・・。
惣流家の家訓に従い,困ったときはとりあえず寝ることにしている。
現実逃避と言われようがなんだろうが,家訓だから仕方ない(コトにしている)。
おやすみなさい。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
でも,ひょっとしたら,R-18になるかも・・・。
157:960
06/12/01 19:38:47
>>all
960です。
まとめてで申し訳ありませんが,この場を借りてお礼申し上げます。
お読みいただき,ありがとうございます。
158:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/02 00:28:03
(・∀・)イイネー
159:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/02 03:20:31
オッテュ
160:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/03 20:46:37
うむ。アスカの中の人はなかなかカワイイ性格ですな。
今一番期待してますので、ぜひ続きよろしこです>>960氏
161:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/03 20:57:45
今はじめて言おう・・・
監督乙!
162:960
06/12/04 18:13:55
>>156
今日は,アタシの誕生日。
さっき,某巨大掲示板を覗いたら,「アスカ,お誕生日おめでとう!」とたくさん書き込まれていた。
板の看板まで,お祝いしてくれてる。
どうして,みんなアタシの誕生日を知っているの?なんで?
疑問がいっぱいだったけど,その時はホントに嬉しかった。その時は。
・・・けど,調べると,たまたま10年前のアニメでの設定が今日だっただけで,
単に偶然の一致だったことに気づいてしまった。
アタシじゃない「惣流・アスカ・ラングレー」が祝福されているコトに,ちょっと複雑な気持ちになった。
おそらく碇さんも葛城さんも,アタシの誕生日が今日だってコトを知らないだろうし。
やっぱり,今年も独りか。
でも,大丈夫。
実は,アタシには『足長おじさん』がいる。
事務所を通してだけど,節目節目には必ず何らかのお祝いが届く。
それだけじゃない。
奨学金で足りない部分の学費や,仕事の少ない時の生活費など,少なからず援助を受けた。
そして,金銭の面だけじゃない。アタシが窮地に立つと,その見えざる手で必ず助けてくれた。
一度も会ったこと無いのに。
お礼をしたくて,いつも事務所に連絡先を聞くけど,本人の希望でそれは出来ないって,教えてくれない。
ただ,こちらからのメッセージは届けてくれてるみたいだけど。
今年はニッポンにいるけど,届くかな。
163:960
06/12/04 18:14:43
お祝いが届いた。
さっきマネージャが来て,手渡してくれた。ちゃんと届いた。ちょっと驚いた。
中に入っていたのは,上品な感じのブラウスとちょっとクラシックな丈の長いスカート。
毎回,良い趣味だとつくづく思う。サイズもぴったり。
ありがとう,アタシの『足長おじさん』
これだけで十分幸せよ。
多くを望むと,無かった時の落胆も大きいことは身を持って知っている。
もう,あんな思いをするくらいなら望みはしない,期待もしない。
「ただいま」「ただいま」
碇さんが帰ってきた。葛城さんも。二人一緒とは珍しい。
「おかえり・・・って,何?その大荷物?」
二人とも両手にいっぱいの食材,そして大きな紙袋。
「だって,今日,誕生日でしょ?『アスカ』」
「今晩はごちそうよ,期待してちょうだい,ね」
え?
164:960
06/12/04 18:15:57
「あのー,ソレって役の上でのハナシですよね・・・」
アタシは冷めた声でぽそっと言った。
語尾がフェイドアウトするくらい小さな声で。
二人は顔を見合わせ,一瞬の後,二人とも大笑いした。
「違うわよ,『アスカ』。これは『惣流さん』あなたの誕生日のお祝いよ」
「碇くん,すごかったのよ。カントクに『アスカ』じゃなく『惣流さんの』誕生日をやらせろって。自分の降板まで懸けてね」
笑いすぎたのか,目尻の涙を拭う葛城さん。
「そんな,葛城さん,わざわざ言わないでくださいよ」 ちょっと照れ気味の碇さん。
えっ?今なんて?
「はい,これ,プレゼント」
リビングで,葛城さんはまだ茫然自失気味のアタシに,綺麗にラッピングした大きな箱を手渡した。
「碇くんと二人で見立てたの,気に入ってくれると嬉しいけど」
ラッピングをほどくと,中には・・・渋いチャコールグレイのカーディガンが入っていた。
しかも,有名どころのカシミア100%,一体いくらすんのよ!これって!
「・・・」 もう,コトバが出なかった。
葛城さんに目を合わせたまま,カーディガンを抱きしめる。
ぽろぽろと涙がこぼれた。最近,涙腺がとっても緩い。ハナをすする。
「・・・ありがとう・・・ございます」
それだけを言うのが,精一杯だった。
165:960
06/12/04 18:16:44
それから,続々と人が来た。綾波さんも,他の出演者の方もスタッフも。
料理も豪華豪華,そこんじょそこらのディナーなんてかなわないくらいに。
「今日が誕生日なら私のほうが先輩ね。これから私のことを『綾波さま』と呼びなさいね」
「あら,この世界じゃ,入った順番で先輩後輩が決まるんでしょ?アタシ,赤ちゃん時分からモデルやってるんですよ。綾波さんこそ,アタシのことを『惣流さま』とお呼びくださいね」
「・・・」 じとっと上目遣いで睨む綾波さん。
ふっ,勝ったな。へへん。
綾波さんの手でケーキにロウソクが立てられる。何故か5本。
「なんで5本なの?」
「あら,カズ数えられたの,この赤毛サル」
きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!
一触即発のアタシ達。火花が散る。
・・・見かねた碇さんが,あと9本足してくれた。
リビングの電気が消され,Happy Birth day to Asuka~と合唱が始まる。
ロウソクの明かりの前で,アタシは涙を堪えるのに必死だった。
皆の合唱が終わり,そして,14本のロウソクを一気に吹き消す。
「おめでとう!」「おめでとう!」「おめでとう!」
拍手,拍手とお祝いのコトバ,ことば。
何だか,補完された気持ちになった。
嬉しい,本当に嬉しい。
アタシは,今日のコトを一生忘れない,忘れられない。
みんな,ありがとう。
166:960
06/12/04 18:17:30
「なんで,赤城さんの誕生日はお祝いしなかったんですか?」 何気なく聞いた。
赤城さんは,ぴくっ,とこめかみを引きつらせて,煙草の煙を天井に向かって深く吐いた。ため息のように。
「・・・女は30過ぎたら,もう誕生日って無いのよ」
目がマジだった。やばっ!
触れちゃいけなかったのね。ソコは。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
みんな,本当にありがとう!
167:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 18:23:58
おつ
168:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 18:41:25
最高に面白い
がんばってください
169:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 21:26:15
こういう視点はおもしろいです
170:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 21:42:40
(・∀・)イイ!
171:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 22:59:10
作者さん乙&アスカさんおめ
>>155
によると今度の劇場版では2割もデレのあるアスカが見られるのか
超期待
172:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 23:26:18
ちょwwwなんかリッちゃんリアルでオモシロスwwwwww
173:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 23:29:37
オッテュ
174:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/07 00:25:15
おつ
175:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/07 07:21:54
はたして足長おじさんの正体は!?
…正解当てちまったら作者様が続き書くの困るだろうから、犯人探しはやめよう。
176:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/07 20:18:53
日記と名のつくスレ一覧(順不同)
アスカの日記って何か教えやがって下さい
スレリンク(eva板)
渚カヲルの日記
スレリンク(eva板)
葛城ミサトの日記 2冊目
スレリンク(eva板)
【LAS】アスカの日記 8冊目【LAS】
スレリンク(eva板)
綾波レイの日記 3冊目
スレリンク(eva板)
マナのまなまな夢日記 3冊目
スレリンク(eva板)
碇シンジの日記 3冊目
スレリンク(eva板)
エヴァ量産機の流浪日記
スレリンク(eva板)
霧島マナの日記
スレリンク(eva板)
177:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/08 01:34:28
>>175
われわれはただドロリと待っていればよい
178:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/08 03:25:57
>>166
リツコは赤木
179:960
06/12/08 18:56:56
960です。
ありがとうございます >>all
>>175 ご配慮,感謝します。
>>178 すみません。以後気をつけます。
それでは,続けます。
180:960
06/12/08 18:58:02
>>166
『明日のことは,明日考えよう』
先日,悩んだまま眠り,翌日早朝の冴えた頭で考えて,たどり着いた結論だった。
なんてポジティブなんだろう,アタシって。
自分で自分を褒めてあげたい。
さて,HoneyMoonならぬHoneyWeekだ。
悔いの残らぬよう『家族ごっこ』に全力を尽くそうと思う。
とりあえず,清楚な感じ,をイメージしながら支度をする。
誕生日プレゼントにもらった白のブラウス,長めのスカート,
そして,白いフリルの付いた可愛らしいエプロンを纏う。
言われないとわからないくらいの薄化粧。
髪も1つにまとめ,あっさりとした感じにする。
ちょっとお姉さん風に。
朝食の準備も万全。ちょっとドイツ風味だけど,大丈夫よね。
お弁当も作った。特別に大きいのを一つ。
181:960
06/12/08 18:58:48
そっとフスマを開け,碇さんの部屋に入る。
碇さんは・・・ベットの上でタオルケットにくるまり,真ん丸になって眠っていた。かわいい。
起こすのがもったいないくらい,安らかな寝顔。
そっと,耳元で囁く。
「シンジ,朝よ,起きて・・・」
そして,そのまま・・・耳の端を唇で軽く柔らかくはむっとした。きゃー,やっちゃった。
ぴくり,と目を覚ます碇さん。
「おはよ,シンジ」
「・・・」
目が半分しか開いてないまま,碇さんがベッドから起きあがる。
耳先がちょっと湿っているのを,指で気にしながら。
「おはよう,惣流さん・・・って『アスカ』なんでここにいるの!?」
焦る碇さん。時計を見て更に焦る。
「あっ,朝ご飯作らなきゃ!寝坊しちゃった。ごめんね」
「大丈夫よ,『シンジ』。アタシが全部作りましたから」
「えっ?」
「お弁当も,もう作りましたよ」 得意げなアタシ。へへん。
惚ける碇さん。
182:960
06/12/08 18:59:34
朝食。
「はい,『シンジ』あーんして」
アタシも一緒に大きく口を開けながら,碇さんにあーんするよう促す。
まるで,赤ちゃんにご飯をあげるときみたいに。
「・・・『アスカ』,ボクのこと馬鹿にしてるでしょ?」 むーたれる碇さん。
「それは一体,何・・・?『アスカ』」 呆れたように葛城さん。
「『家族ごっこ』」 アタシはさらりと答える。
葛城さんが指先でちょいちょい,とアタシを呼ぶ。
ダイニングテーブルを挟んでのこそこそ話。
「(惣流さん。降板の噂,聞いてるんでしょ?ヤバイんじゃないの?)」
「(大丈夫です。カントクの許可得てますから)」
「(えぇー,あのカントクが!? よくOK出したわね)」
「(・・・脱衣を条件に,なんとかOKしてもらいました)」
「(えぇっー!脱ぐって,惣流さんまだ未成年じゃない,どうすんのよ!)」
「(なんとかなりますよ,多分)」
葛城さんが左手を腰に当て,やおら立ち上がった。
「シンジ君,命令よ!口を開けなさい!」
右手人差し指でびしっ!と碇さんを指さし,葛城さんが命令する。ミサトになりきって。
「えっ・・・どうしたんですか?葛城さん?」 豹変した葛城さんにきょとん,とする碇さん。
「と・に・か・く,口を開けなさい!早く!」
さすが演技派女優,迫力満点。アルコールをも役者根性で克服しただけのことはある。
しぶしぶと,碇さんが口を開ける。
そこへ,アタシがちーゃんと飲み頃に冷ましたスープを口へ運ぶ。
碇さんが不満そうなまま,ずずっとスープをすする。
やりいっ!
183:960
06/12/08 19:00:23
一緒に登下校できるのはいいんだけど。
・・・前々から思っていたけど,ヒトから見たときに連れなのかそうでないのか,
判断のつきかねるこの微妙な距離って,一体何?
思い切って碇さんと腕を組む。そして,二の腕にきゅっとしがみつく。
コレなら,アタシの胸の感触も伝わるだろう。
いくら『家族ごっこ』とはいえ,こちらから積極的に仕掛けるのは結構恥ずかしいし,勇気もいる。
だけどアタシに与えられた期間は,たった1週間。存分に甘えなきゃ。
「ねぇ,『アスカ』,皆見てるんだけど・・・」 碇さんが恥ずかしげに言う。
「いいじゃないですか。それともアタシじゃ不満なんですか?」
ちょっと口を尖らせて,他意無く,可愛らしく答えてみる。
「いや,そ,そんなんじゃないけど・・・」 口ごもる碇さん。
「じゃ,いいですね」
ちょっと強引だけど,いいでしょ?碇さん?
184:960
06/12/08 19:01:52
さて,お昼だ,おべんとだ。おなかすいた。
「あれ,『アスカ』ボクの分のお弁当は?」
カバンからお弁当箱を取り出しているアタシに,碇さんが話しかけてくる。
特大のお弁当箱が碇さんの目に留まる。
「・・・まさか?」
ピンポン。正解よ,碇さん。
逃げだそうとする碇さんの襟首を速攻で掴まえる。そしてそのまま,えい!と持ち上げる。
首根っこをつままれた仔猫よろしく,てろーんと垂れ下がる碇さん。
また,例によって,じとん,とこちらを見ている。
「逃げちゃダメよ,いつも自分で言ってるじゃない,『シンジ』」
でも,さすがにあれを皆の前でやるのは,アタシも恥ずかしい。
仔猫状態の碇さんとお弁当を両手に持って,そのまま屋上へ連れ出す。
「はい,『シンジ』あーんして」
「・・・」
「好き嫌いしちゃ,めんめよ。はい,あーん」
「・・・」
最後には空腹に屈服したのか,文句も言わず食べてくれた。
185:960
06/12/08 19:03:24
碇さんがお風呂に入って,かれこれ数分。
そろそろかな。
髪をアップにして,いそいそと服を全て脱ぐ。そして裸身にバスタオルを巻く。
「『シンジ』,背中流すわね」 返事も聞かず,バスルームに入る。
トビラを開けると,ぎょっとする碇さんがいた。
「ちょ,ちょっと『アスカ』これは何か違う!ちがうよ!」 悲鳴を上げる碇さん。
「あ,このバスタオル邪魔ですか?・・・それじゃ,外しますね」 ちょっとボケてみる。
バスタオルを外しかけるアタシに,更に慌てる碇さん。
「そ,そ,そうじゃなくて」
「冗談ですよ,アタシが背中を流したいんです。・・・いいですよね?」
「・・・」 碇さんの無言の返事は肯定と受け取った。いや,降伏かな?
かしかし,と碇さんの背中を洗う。服を着てる時と大分印象が違う。
やっぱり,華奢に見えても男の子よね。背中が広い。ちょっと猫背だけど。
「じゃあ,『シンジ』今度は前向いて」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「嘘ですよ」 くすくすと笑いながら答える。
碇さんの一つ一つの仕草が,かわいくて仕方無い。
186:960
06/12/08 19:04:15
「さ,『シーンジ』,こーこ」
寝ころんでる碇さんの隣で,アタシは正座をして自分の膝をぽんぽんと叩く。
「・・・『アスカ』今度は何なの?」 疑いのまなこ。
アタシの『家族ごっこ』に付き合わされて,散々な目に合っている碇さんには,当然の反応。
「世の定番,耳かきに決まってるでしょ,ほら」
無理矢理,寝ころんでる碇さんの頭を膝に乗せる。その重さに何とも言えない幸せを感じる。
「ほりゃ,こちょこちょこちょ・・・」 耳かきで,かきかきとほじる。
「・・・」
最初は嫌がってむーたれてた碇さんも,だんだん気持ち良くなってきたのか,静かに目を閉じた。
そして,次第に表情が柔らかくなり,とうとう最後には眠りに落ちてしまった。
う,動けない。あ,足が・・・。
でも・・・『家族』ってホントにいいな。
187:960
06/12/08 19:05:02
「はい,『シンジ』あーんして」
「あーん」
碇さんも,この生活に大分慣れてくれたようだ。
一時は諦めた表情でいたけど,今ではごく普通に赤ちゃんのように口を開けて待ってる。
いつ見ても,かわいい。
「ねえ『アスカ』?寝る前にまた本読んで欲しいな」
「うん。どの本がいい?『シンジ』」
ベットに入った碇さんの横で,アタシがしばらく本を読み聞かせる。
碇さんはそのうち,うとうととし始める。
そして,碇さんが眠った後,アタシは部屋の電気を消し,
そっとフスマを閉めて,碇さんの部屋を後にする。
このまま,時が止まってくれればいいな,と思った。
でも,約束の日は,間違いなく近付いてきていた。
188:960
06/12/08 19:05:48
「『セカンド』,アナタ最近やけに,碇君にべたべたしてるわね。もう決定なの?降板は?最後の悪あがき?」
綾波さんが,傍目には判らないくらいの,薄く微笑んだ口元で話しかけてくる。口調はレイだけど。
「いいんですよ。カントクのお許しを戴いてますから」 得意げなアタシ。
「えっ,それって,アリなの?」
「期間限定ですけどね」
「・・・フェアじゃないわ」
フェアって?・・・アタシ達,何か勝負してましたっけ?
その後,綾波さんはカントクに直訴したそうだが,ダメだったらしい。
だって,一緒に住んでないから『家族ごっこ』にならないじゃん,綾波さん。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
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2007年初夏ロードショー予定!
189:960
06/12/08 19:06:35
今日,綾波さんのうちにこっそり遊びに行った。
・・・何?この殺風景な部屋?
血の付いた包帯とクスリとビーカー。ゴミが散乱している。
と,言うかヒトが住めるの?こんなところで。
靴下の裏,まっくろになった。
綾波さんも「もうこんな生活イヤ!」と嘆いていたけど,仕方ないもんね。
あなたがイヤなら,代わりは沢山いるって自分で言ってたじゃない。
お互いさまよ。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
190:960
06/12/08 19:07:21
いつも思うのだが,初号機に見られてる気がしてならない。
綾波さんも「うん。あるある。時々背筋がざわっとするのよね」って。
ある日,碇さんに何気に同じことを聞いてみた。
「あ,それ母さんじゃないかな。・・・今日,寄らなきゃならない用事があるから一緒に行ってみる?」
へ?
碇さんに連れられ,ケージにある初号機に向かう。
丁度,頭部の側面に取って付けた様な玄関ドアがある。横には『碇』の表札。そしてインターホン。
チャイムを鳴らす碇さん。
「母さん,シンジだよ,開けて」
かしゃん,と鍵が外れ,ドアが開く。中から出てきたのは・・・碇ユイさんだった。
「シンジ,待っていたわよ」 ユイさんが碇さんを抱きしめる。柔和な瞳で,きつく。
ここの『家族』は皆,会うたびに抱きしめるのがデフォルトなのか・・・。
なんて考えていたアタシに,ユイさんがいきなり話しかけてくる。
「あなたが,惣流さんね?」
「はい。初めまして。惣流です。碇さんにはいつも大変お世話になっています」
当たり障りのない返事をして,ニッポン風に深々とお辞儀をする。
「いえいえ,こちらこそ息子がいつもお世話になりまして・・・」
と言いつつ,ユイさんの瞳が急に鋭くなる。
アタシのことをつま先から頭のてっぺんまで,値踏みするように見ている。
あれ?この感じどこかで・・・。
191:960
06/12/08 19:08:08
「ま,こんなところで立ち話も何だから,入って入って」
一転して柔和な瞳に戻ったユイさんが,アタシ達二人を招き入れる。
中は・・・畳敷きの4畳半に小さめのキッチン,奥のほうにユニットバスかな。
丁度,初号機の目の部分が窓になっている。
あとは,壁の一方にスイッチやらボタンやらいっぱい付いている制御卓のようなものがあるのと,
遠くから聞こえる機械の低い駆動音を除けば,普通のアパートと何の変わりもない。
「あ,それは絶対触らないでね」
アタシが制御卓をしげしげと眺めていると,お茶を持ってきたユイさんが言う。
「あのー,これ,何ですか?」
「あ,それ,初号機の動作をコントロールするのよ」
ユイさんが,制御卓から生えているレバーの一つをちょん,と動かした。
急激に機械の駆動音が高まる。大量の水しぶきと共に,初号機の左手が水面上に現れる。
「ね,すごいでしょ? これで,私のシンちゃんに悪い虫が付いたら,叩き潰すの」
にっこりとユイさん。
あれ?・・・ひょっとして?
「!?」
目線の正体に気づいたアタシは,どう返事をすればいいのか判らなかった。
こんな時は・・・笑えばいいのかな?
192:960
06/12/08 19:08:55
ちゃぶ台を囲んで,嫁姑の間に似た緊迫した空気が流れる。表面上はにこにこしながら。
碇さんだけがそんな空気の中,ホントににこにこしている。
猫舌のアタシは,ユイさんの入れてくれた,超熱いお茶を一気に飲み干すと,
碇さんを促し,そそくさとユイさんちを後にした。
可愛い可愛い1人息子がガールフレンドを,ましてや,同居までしている女の子を連れてきたら,
・・・普通,面白く無いわよね。取られたみたいで。
そして,ふと,思いついた。
「・・・!?」
ひょっとして,ひょっとしたら?
193:960
06/12/08 19:09:42
ケージにある弐号機の正面に立つ。
そして,周囲に誰も居ないことを確認し,意を決して声をかける。
「ママ・・・」
普通の声で呼んだつもりだったが,消え入るような,か細いつぶやきにしかならなかった。
何年ぶりだろう?ママって呼んだのは。
でも,何も返事は帰ってこなかった。当たり前のことだけど。
ちょっとだけ期待していた分,ちょっとだけ悲しくなった。
落胆したアタシがケージを離れようときびすを返したその時,
背後で巨大な機械が急激に動くような音がした。
振り返ると,拘束具の隙間から弐号機の双眸が2組,鋭く光っているのが見えた,ような気がした。
が,次の瞬間にはもう弐号機は何事も無かったように佇んでいた。
・・・まぼろし,か。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
194:960
06/12/08 19:10:29
今日の撮りはプラグスーツ姿。
実は結構,恥ずかしい。
殆どの部分が肌に密着しているので,体のラインが丸わかりしちゃう。
胸の部分は設定どおりなのか,以前,さばを読んで事務所に出したプロフィールを参考にしたからか,
パットの部分だけ"ちょっと"すかすかしてる。
ホントに"ちょっと"よ。
でも,外から見る限りは,美しいボディラインだと自分でも思う。ふふん。
結局,これってスキンスーツなのよね,なーんて,ほけらっと考えていたら,
綾波さんが,つかつかとアタシの目の前に来て,人差し指でつんっとアタシの胸を突っついた。
アタシの赤いプラグスーツの胸パッドが,ぽこんっ!と大きく凹む。
「ちょっと!綾波さん!いきなり何するんですか!」
凹んだ胸を腕でとっさにかばい,後へ身を引く。
「中身無いじゃない,・・・貧乳,うそつき」
くすくすっと小悪魔のような笑みを浮かべて,彼女はアタシが文句をいう間も無く去って行った。
・・・きぃっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっぃ!
これは,設定どおりなの!好きこのんでやってんじゃないのよっ!
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
・・・熱膨張,やってみようかな。マジで。
195:960
06/12/08 19:11:16
さて,今日は・・・この間の復讐だ。
こっそり,綾波さんに近づき,いきなり後ろから両胸をわしっと掴んでやる。
げっ・・・ま,負けた。
ちゃんと中身入ってる・・・それにアタシよりでかいじゃん。きぃっ!
冷ややかな瞳で,肩越しにアタシを見下す綾波さん。
てっきり,ぶたれるかと思った。
でも,綾波さんはそのまま,つい,と視線を戻し,
「あんっ!やめてっ・・・もう,セカンドったらこんなところで・・・」と悶えた。
大きく,アノときの声で。
へっ?
そっちの気は全く無いですよ。別に揉んでもつまんでもいませんし,アタシ。
綾波さんは,アタシなんて見ちゃいなかった。
その目線の先には・・・碇さんが居た。
しばし,空気が凍り付いた後,当の碇さんは何も見なかったように,
ぎくしゃくとその場をフェイドアウトしていった。
それを無言で見送るアタシと綾波さん。アタシが胸を揉みしだいた姿勢のまま。
196:960
06/12/08 19:12:04
「・・・さてと」
いつもの口調に戻った綾波さんが,アタシに言う。
「ちょっと,セカンド。いつまでワタシの胸つかんでいるのよ」
綾波さんが語気を強め,アタシの手を汚いもののように振りほどく。
えっ?
「あれ,絶対誤解してるわよね,碇くん」 くすくすっと口の端で綾波さんが微笑む。
「碇くん,潔癖症気味だからね。取り返しつかないかもよ」
はめられた,と気づいた。が,時すでに遅し。
・・・碇さんに見られた。もう,生きていけない。
197:960
06/12/08 19:12:50
撮影所のでのこともあり,家に帰ってからも,
碇さんとアタシの間に会話はなく,気まずい雰囲気が流れていた。
・・・沈黙を先に破ったのは碇さんだった。
意を決した様にアタシに話しかける。
「・・・あのっ,『アスカ』,人の性癖には口出すつもりは無いんだけど
・・・アレは人のいないところでやった方がいいと思うよ」
・・・あぁ,やっぱり誤解されてる。
とりあえず,言い訳を考えた。
「あ,あれはね,スキンシップなの,割と向こうじゃ普通よ,こんな風に」
そう言ってから,アタシは碇さんをハグして頬と頬をくっつけた。
向こうではこんなこと無かったのに,全身が心臓になったようにドキドキした。
あれ?なんでだろ?
でも,碇さんに悟らせないよう,平然を装う。
「そ,そうなの?」 碇さんも緊張しているのが伝わってくる。
前,碇さんに抱きしめてもらった時と同じように,どれくらいそのままだったか憶えていない。
「はーい,カットぉー,そこまでー,はい,お疲れさまぁー」
いつの間にか帰宅した葛城さんに,この心地良い時間を引き裂かれる。うーしくしく。
198:960
06/12/08 19:13:37
「ところで,アスカ,綾波さんと付き合ってるって本当?」
冷蔵庫をお尻で閉め,ビールを開けながら葛城さんが言う。
あの上品だった葛城さんが・・・人間変われば変わるもんだなぁ,感心感心。
・・・じゃなくって,今なんて言いました?誰と誰が付き合ってるって?
「だって,今日,撮影所で乳繰ってたって聞いたわよ」
げ,何それ?何で知ってるの?
「だ,誰から・・・聞いたんですか?」
「綾波さん」
「は?」 アタシは二の句が継げなかった。
こっちが甘かった。捨て身の攻撃に出やがった。あのアマ。
いつの間にかアタシの腕の中から,碇さんは逃げ去っていた。
部屋のスミで体育座り,疑惑のまなこ,白い目でアタシを見ている。
「・・・ボクの気持ちを裏切ったな」
・・・って,ボクの気持ちって?えっ?裏切ったって?
ちょ,ちょっと待ってよ・・・。
あ,引きこもっちゃった。
・・・これ書き終えたら,回線切ってちょっと吊ってきますね。アタシ。
さよなら。
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
アタシが氏んでも日記スレは残るもの・・・。
199:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/08 20:54:59
オッテュ
200:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/08 21:50:49
(・∀・)オツ!
201:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/08 22:45:43
貧乳・・・
ボクの気持ちを裏切ったな>>960
202:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/09 03:54:26
見切った!
貴様の正体はだぶだぶだ!
203:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/09 15:58:40
GJ!
204:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/10 16:10:59
おつ
205:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/11 16:48:29
超乙
206:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/12 20:19:56
乙
207:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/13 22:39:51
960氏に多謝!
208:960
06/12/14 17:53:09
>>198
ニュースが流れる。
「今朝,第三新東京市**区のマンションの一室で,
そこに住む中学2年生の女子生徒(14)が自室で首を吊っているのを,
同じ中学2年生の男子生徒(14)が発見し,警察に通報しました」
「女子生徒は既に氏亡しており,氏因は頸部圧迫による窒息氏でした。
遺書などは無く,第三新東京市警察本部では,いじめや虐待などの事実が無かったかどうか,
同居している男子生徒及び同じく同居の女性(29),また学校関係者から詳しく事情を聞くと共に,
自殺の背景について詳しく調べる予定です」
「次のニュースです・・・」
『エヴァンゲリオン新劇場版 前編 REBUILD OF EVANGERION:01』(仮題)
好調撮影中!
2007年初夏ロードショー予定!
209:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/14 20:30:22
あ、アスカああああああああ
210:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/14 23:10:00
>>208
偽者にしては手が込んでるな
211:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/14 23:26:13
オッテュ
212:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/14 23:41:14
縊死ってのは窒息より頚骨の骨折(脱臼)によるケースの方が圧倒的に多いはずだけどね。