玉依シイナがミサトそっくりな件についてat EVA
玉依シイナがミサトそっくりな件について - 暇つぶし2ch85:log.23 涙
06/11/21 12:14:54
急転する空間相
使徒の外部侵食が止まり、零号機への全面反転が始まる
 伊吹「零号機、ATフィールド反転! 一気に侵食されます!」
  リツコ「使徒を押さえ込むつもり?!」
変転する零号機の機内表示を読み取り、悲壮な顔になるミサト

身を起こしているレイ
操縦席後方の緊急用直結制御装置が手動で起動される
  ミサト『…レイ! 機体は捨てて逃げて!』
全ての安全装置を解除し制御環を引き出すレイ
作動モードが切り替わる
表情の消えた顔
  レイ「だめ。わたしがいなくなったら、ATフィールドが消えてしまう。
    だから、だめ」
プラグ内動作音が変化する

明転する主画面を前に立ちつくすミサト
  ミサト「…レイ、死ぬ気」
目を逸らすリツコ

86:log.23 涙
06/11/21 12:17:07
強制逆流
悲鳴に酷似した電磁叫喚とともに零号機へ引きずり込まれていく使徒樹形と光条
大質量を呑み込んだ機体が不気味に軋む 複数の内破音
内部の超高圧に押しやられるように宙へ立ち上がる零号機
長躯が反る
解放されがくりと上体を落とす初号機

 アスカ「…あんの馬鹿たちッ!」
銃を捨て両機に向かって全速で飛び出す弐号機 機体動作が目に見えて力強さを増す
視野中央、痙攣的に上方を仰ぐ零号機

  .ミサト『…アスカッ! アスカ何してるの、戻りなさい!
     機体制御を発令所に強制移行、ただちに弐号機を緊急退避させて!』
 日向『駄目です! とても間に合いません!』
 青葉『零号機、限界です! これ以上は機体構造が保ちません!』
 伊吹『…コアが潰れます! 臨界突破!』
一瞬の主観的静寂
周囲全方位に満ちていく光
突然、視覚情報が激しく明滅して消える 断絶する各種知覚表示
黒変した目を見開くレイ
破孔
知覚されなかった大衝撃とともにプラグ上面が破壊されている
瀑出する気化LCL 大穴の開いた零号機胸郭ごしに見えるまばゆい外景
正面、距離数mの位置にハッチ開放した初号機のエントリープラグ
変わり果てた容貌で眼前の霧亥を見るレイ
烈光の下伸ばされた手が上腕を掴み、身体ごと一気に引きずり上げて初号機プラグ内に投げ出す
回る視界 衝撃 重く複雑な金属音
離断
白融する灼熱

87:log.23 涙
06/11/21 12:18:28
全観測器を貫く光と衝撃
真っ白になった主画面
やがて電磁波量がピークを過ぎ漸減していく
計器群が回復し始める
沈黙に覆われた発令所
熔融した風景 巨大な爆発孔 膨大な熱量に揺らめく大気
動かない人々
 青葉「……も…目標、完全に消失。
    …エヴァ初号機、および弐号機、先と同座標にて確認」
主画面中央に映し出される両機の遠影
かすかなどよめきが広がる
息をこらえているようなミサト
  .ミサト「各機の状況は?」
 伊吹「弐号機パイロットの生存を確認。
     初号機、および零号機、…プラグ内回線、断絶。…信号を確認できません」
  リツコ「…爆発の瞬間、両機のエントリープラグは」
信じがたいという表情で振り返るミサト が、すぐに憤激の標的を失う
口元を震わせる伊吹
 伊吹「…爆発時の電波擾乱のため確認はできませんが、…開放状態だったと…思われます」
  リツコ「…そう」
無人の司令階
  .ミサト「…作戦を終了します。ただちに戦闘配置を解除。第一種警戒態勢へ移行」
 日向「りょ、了解。状況イエローへ速やかに移行」
  .ミサト「初号機と弐号機を回収。生存者の救出、急いで」
  リツコ「…もしいたらの話ね」
何も言わないミサト
顔をそむけているリツコ
常態へ戻る発令所

88:log.23 涙
06/11/21 12:21:44
爆心地
吹き飛んだ堆積物に半ば覆われて折り重なっている初号機と弐号機
エントリープラグ内のアスカ
空っぽの表情
引き寄せた両膝 肩を掴む手
内蔵電力が使い果たされ暗いプラグ内
 アスカ「…あの馬鹿。
    せっかく、この私が行ってやったのに。…自分から零号機のATフィールドをこじ開けて、
    おまけにプラグが露出してちゃ、…意味、ないじゃない」
長い待ち時間の後、プラグを手動排出するアスカ
荒れ果てた環景
えぐられた街の残骸 溶けた装甲を吹き抜ける風の中に立つアスカ
再び長い時間の後、眼下を見下ろす
まだ熱い堆積物に頭部をめり込ませ横向きに倒れている初号機
装甲外に突き出ているエントリープラグ
瞬間的に損傷程度を理解するアスカ
ふと目を凝らす
吹き飛んで半分なくなったハッチ LCLが揮発し焼けただれた内部が覗いている
見開かれていくアスカの両目
動き
操縦装置の陰から身を起こす霧亥 深くかがみ込んで何かをかつぎ上げる
プラグスーツ姿でぐったりと目を閉じているレイ
劣化したスーツは分析不能な黒い粘液にまみれ、プラグ内にも同じ不活性物質が飛散している
小さく息を吸い込み、声を放つアスカ
 アスカ「…キリイ!」
レイを肩に立ち上がる霧亥 アスカを見上げる
かすかに身じろぎするレイ

89:log.23 涙
06/11/21 12:24:17
後刻 ミサトの個人居住区画
ダイニングの定席についているミサトとアスカ TVの前に寝そべっているペンペン
 アスカ「…で、結局二人とも検査入院だけなの?」
  ミサト「そう。あの爆発の中で、二人とも奇跡的に無傷に近かったそうよ。
    …アスカのおかげね。弐号機のATフィールドが、最後の瞬間に二人を守ってくれたのよ」
黙ってカップを傾けるアスカ
  ミサト「それと、もう一つアスカのお手柄があるわ」
気のない視線をよこすアスカ
  ミサト「久々に、シンクロ率の最大値更新よ。
    霧亥君とレイの記録を一気に抜いて、過去最高値。リツコが驚いてたわ。たった0.2秒で
    倍近くまで数値が跳ね上がるなんて信じられないって」
目をみはり、小さく口を開きかけたまましばらく黙っているアスカ
にっこりしてみせるミサト
  ミサト「よくやったわ、アスカ」
一瞬崩れそうな表情になるアスカ
ミサトを見つめ、やがて何かを飲み込んで自分を取り戻す
グワグワ言いながら椅子の足下に寄ってくるペンペン 優しい目になって抱き上げるミサト
ふと身をこわばらせるアスカ
 アスカ「…、ミサト?」
目を戻すミサト
 アスカ「二人の検査、そろそろ終わってる頃でしょ。
    キリイ、迎えに行った方がいいんじゃない? ちょうどお腹も空いてきたことだし」
  ミサト「ちょっと、…いくら検査だけって言っても、今日明日は様子見ないとマズイわよ。
    いきなり外食なんかに連れ出したら、あたしがリツコにどやされちゃうわ」
 アスカ「そんなの、あの痛覚ゼロ武骨頑丈男には関係ないでしょ。
    それにどうせ、あいつ、無理やりにでも引っ張ってこないとついてこないもの。
    ほら行きましょ、ミサト。問題あるならファーストも一緒に連れてけばいいのよ」
  ミサト「ええ? レイも? …ちょっと、待ちなさいアスカ! …」
あわただしく出ていく二人
小首をかしげて見送るペンペン

90:log.23 涙
06/11/21 12:28:49
格納廠内に固定された初号機
整備橋上には機体破損度診断を行う技術局担当整備員たちの姿
天井近くの耐衝窓から作業を見下ろす碇、冬月、リツコ
  リツコ「初号機のエントリープラグは構成部品の約四割が溶解、残りは重度の熱劣化全面破棄処分です。
     物理装具の一部は資源として回収できる可能性もありますが」
 冬月「鋳潰して再利用かね? どうであれもう使い物になるまい。プラグに搭載された全記録装置と、
     その中の、今回の初号機の戦闘記録もだな」
   碇「今回は作為の入り込む余地はない。委員会も異議は唱えまい」
軽く息をつく冬月
 冬月「その委員会から出頭命令が出ているよ。先のロンギヌスの槍の使用、そして今回の零号機の
     損失に関してだろう」
   碇「定例の訓告会だな」
咎めるような目で碇を見やり、やがて苦笑いする冬月
一瞬二人を凝視するリツコ
 冬月「自分の立場を考えろ。…度重なる独断、情報の隠蔽、ネルフの統制権強化。これらは全て
     委員会への明白な背信行為と見なされ得る。今回の両議事だけでもお前の解任理由としては
     充分すぎるぞ。おまけにサード、ファースト両名の件がある。とうとう進退窮まったな」
内容とは裏腹な語調の冬月
   碇「彼らも事態と状況は把握している。結果の知れた制裁劇などただの無駄手間だよ。
     サードとファーストについても、稀少な適格者が失われなかったこと自体に不満はあるまい」
 冬月「だからと言って、あの状況下から事実上無傷で生還では苦しいだろう。委員会にまであれを
     弐号機の発揮で通すつもりか?」
  リツコ「…失礼ですが、この場に私が同席している理由はそれでしょうか」
視線を向ける碇と冬月
決然と佇んでいるリツコ

91:log.23 涙
06/11/21 12:31:03
  リツコ「弐号機のATフィールド展開が、厳密には間に合わなかったこと。物理的状況から言って、
     ファースト、サード両名ともに生存の可能性はゼロだったこと。…人間ならば、ですが」
   碇「そうだ」
どの問いへの回答かはかりかねて表情を硬くするリツコ
軽く口元を引き締める
  リツコ「弐号機には目標との接触を禁じたのに対して、初号機…いえ、あのサードチルドレンには
     今回一切の行動制限を課さなかった。本人も、自分がどう行動すべきかを知っていた形跡が
     ある。プラグの機器は破損しても、発令所でモニターしていた通信記録は残っていますから。
     そして救出後のレイの医療記録は、全て極秘として技術局の閲覧まで禁止している」
無言の碇、冬月
  リツコ「葛城三佐やセカンドチルドレンも気づいています。彼ら、そしてエヴァには、自分たちの
     自分たちの知り得る以上のものが隠されていることを。かつての加持一尉、…そして、私も。
     …あなたは、一体何をご存知なのですか。碇司令」
碇を正視して言い切るリツコ
長い沈黙
一歩出て碇に並ぶ冬月 口を開く碇
   碇「…そうだ。我々は知っている」
 冬月「これまでは隠されなければならなかった。だが、その段階は終わろうとしている」
わずかにひるむリツコ
無表情のまま正対し、見たことのない真摯な目でリツコを直視する碇
身内でひそかに息を呑むリツコ
   碇「我々の時間は残り少ない。まもなく階層の閉塞が終わる。我々はその庇護なしで生きて
     いかなければならなくなるだろう。そのために、我々にはエヴァが必要だ」
 冬月「エヴァを動かせる人間。そして、事実を知る者が」

92:log.23 涙
06/11/21 12:31:52
碇と冬月を前に立っている自分に気づくリツコ
やや自嘲気味に視線が下がる
  リツコ「…あなた方に必要なのは、レイや、あのサードチルドレンではないのですか」
   碇「彼らは人ではない」
目を上げるリツコ
何か読み取れない感情を湛えている碇の両目
そこに己の望みを読み取ろうとするリツコ
   碇「まもなく最後の使者が訪れる。それを倒せば定められた終局が始まる。
     …エヴァシリーズ開発の功労者、ネルフ主任科学者、赤木リツコ博士。君が必要だ」
おののきながら碇を見つめるリツコ
定まる表情
視線を外している冬月
   碇「明日より技術局は通常業務に戻す。ファーストチルドレンは現状維持。セカンド、サードに
     ついても同様だ。これまでと同じく座標追跡と監視は継続する」
  リツコ「はい」
わずかな沈黙の間
ためらい、ほんの少し前に踏み出しかけるリツコの片足
   碇「…では、報告は次回の定例会議に」
目を見開くリツコ
眼前で逸れる碇の視線
歩み去っていく後ろ姿 一瞬気遣わしげな目でリツコを見つめ、続く冬月
立ちつくすリツコの白い顔

93:log.23 涙
06/11/21 12:35:27
本部最上層 総司令執務室
デスク隅の専用装置に告示灯がともる
組んだ両手をほどき、ごく静かに席を立つ碇
視線を送る冬月
 冬月「…何を考えている、碇」
無言の碇
 冬月「委員会が要求してきたのはレイ当人の喚問だろう。それを拒否、さらに代理人を通じての
     間接尋問も拒絶。その代償が、接触実験以来初の、お前自身の脳の直挿解析か。
     …いいのか。そのまま処刑にすり替わるかもしれん措置なんだぞ」
   碇「彼らは既に既知階層居住圏の全居住者の人格情報記録を電積した。残るエヴァシリーズ九機は
     現在集積蔵跡で最終調整中だ。あれが動き出したら止めるすべはない。だがネルフの役目は
     まだ一つ残っている。差し出すにはこれが最後で最良のタイミングだ」
溜め息をつく冬月
 冬月「使いどころか。…なあ、本当にお前の脳の中に、空白を埋める情報が見つかるのか?」
外した眼鏡を机面に置く碇
   碇「わからない。問題なのは、老人たちがそう信じているということだ」
執務室に隣接する遠隔直信房に向かう碇
その背中に向き直る冬月
 冬月「…碇。なぜ要請通りに赤木博士の代理召喚に応じなかった」
振り返らない碇
 冬月「それで彼女を庇ったつもりか。…それはただの傲慢、思い上がりというものだ。
     お前は結局、誰のことも受け入れる気がないのだろう。ならば何をしても無意味だよ」
疲れた顔をしている冬月
 冬月「表面的行動だけでは、人の心は変えられないよ。いや、余計に悪い結果を招くだけだ。
     わかっているんだろう、碇」
直信房の扉が閉められる

94:log.23 涙
06/11/21 12:36:51
薄暗い自室の中央に佇むレイ
次々に床の上に落ちる治療帯と各種誘導装置
鏡に映る顔を見つめるレイ
がらんとした室内を振り返る 澱んだ空気を旧式の清浄設備が撹拌している
天井隅の煤の痕 建造材剥き出しの床と壁 戸口の向こうに狭いキッチンと浴室
窓全体に引き下げられた複節偏光膜の隙間から洩れる外の光
収納台の上に光る実験容器の水 医学関係の古いハードコピー
壊れた眼鏡
 アスカ(あんたは、ちゃんと自分の部屋に帰ってるの?)
寝台に腰を下ろし、両腕を後ろについて深く息を吐き出すレイ
目を開いて軽く唇を噛みしめる
  レイ「…ええ」

95:log.23 涙
06/11/21 12:37:58
久しぶりの自室の寝台で仰向けに天井を見上げている霧亥
廊下を抜けた先ではリビングでアスカが雑誌片手に寝転んでいる
ダイニングの共有端末から通話着信音
アスカが動く気配がないので立ち上がって出ていく霧亥
頁に指をかけ、誌面に視線を落としたまま知らんぷりしているアスカ
通話器を取る霧亥
  リツコ『霧亥君ね』
 霧亥「…赤木博士」
  リツコ『そのまま聞いて。あなたの追跡機構を解除したわ。今なら外に出られるわよ』
窓の外へ目をやる霧亥
  リツコ『静かに家を出て、これから送る経路通りに本部へ来てちょうだい。
     見せたいものがあるの』
通話が切れる
振り返り、すぐ前に立つアスカを見る霧亥
 .アスカ「…行くの?」
 霧亥「ああ」
まだ立ちふさがっているアスカ
傍らを通りすぎようとして、ふいに立ち止まる霧亥
アスカを振り返る
 霧亥「来るか」
少し目を見開くアスカ すぐきつい表情に戻る
 .アスカ「…行くわ」

96:log.23 涙
06/11/21 12:40:24
セントラルドグマ大深度地下
超構造体半内部空洞を埋める堆積層の奥深くに貫造された施設群 大半は使用者もいない
古い壁上に色褪せた『人工進化研究所 第三分区』なる文字を見つける霧亥
張りつめた足取りで前を行くリツコ
極端に照明の少ない通廊が闇の奥へ続く
少し足早になるアスカ
全員無言
通廊が終わる
厳重に磁鎖された扉の脇にもたれているミサト 無造作にその手に提げられた拳銃
目を上げる
  .ミサト「…やっぱり来たわね。リツコ」
  リツコ「よくここまで来られたわね、ミサト。…加持君のしわざかしら」
  .ミサト「ここの秘密、この目で見せてもらうわ」
  リツコ「いいわ。でも、この子たちも一緒よ」
一瞬アスカの顔に視線を留めるミサト
  .ミサト「…構わないわ」
網膜認証を済ませ、カードリーダにIDを通すリツコ
電鋼錠と重磁遮蔽が解除される

97:log.23 涙
06/11/21 12:44:10
長い潜降茎洞を抜けやや広い部屋に出る一行
壁際に据えられた医療用寝台の周囲に雑多な配線や装置類が放置されている
見覚えのある配置を見回す霧亥
天井隅に張られたくすんだ被覆材 医薬品や容器の置場と化している大型装置の上面
眼鏡だけがない
 霧亥「…綾波の部屋」
信じられない顔で振り向くアスカ
 .アスカ「嘘でしょ、あの子の部屋って、…こんななの」
不可解な微笑を浮かべているリツコ
  リツコ「綾波レイの部屋よ。彼女が人になることを覚えたところ。
     レイの情報構造に底在する光と水のイメージは、ここの影響が強く残ってるようね」
押し黙っていたミサトが口を開く
  .ミサト「赤木博士。あたしはこれを見にきたわけじゃないのよ」
  リツコ「わかってるわ」

堆積層の埋蔵物をじかに掘り抜いて確保された広大な空間
手前の狭い範囲だけを染める照明の輪
長期の電力供給中断を示す静寂 真っ暗な遠景にぼんやりと浮かぶ巨大設備群とその動力系統
深く長い溝 かすかな光が内部に積み上げられた大量の物体を照らしている
息を呑むアスカ
 .アスカ「…エヴァ?」
全身に大容量端子を繋がれ、設備内の旧型の集積処理塔に接続された巨大な骨格の群れ
全て零号機と同型 ふとそこにMAGIを通じて生成された使徒行動体の面影を瞥見するミサト
  リツコ「そう、最初のね。十年前に破棄されたわ。今はただのゴミ捨て場よ」
何も見ていないリツコ
  リツコ「でも思い出深い場所だわ。私はね、ずっとここでエヴァを造ろうとしていたの。
     失われた古代の技術の再現。復元された総体情報の補完と再物理化。
     …あなたの備えているような力を、別の形で人の手にもたらすためにね。霧亥君」
きっとリツコを見据えるミサト
無言の霧亥
明らかな笑いを洩らしてきびすを返すリツコ


98:log.23 涙
06/11/21 12:49:14
広大な円形の一室
天井部全体を占める物理脳を思わせる巨大構造物
何度となく補修と増設を重ねた形跡 素材表面には長期間に多くの人の手が残した幾層もの痕跡
低響する深い呼吸音と重い拍動
構造物深奥から床中央に届く直立型液槽 淡く発光するLCL
LCL槽内径に嵌められた複数の環状装置から大量の接続生端子が伸び出している
漠然とその用途を察して顔をこわばらせるアスカ
入り口から進んだまま、三人に背を向けて立っているリツコ
やや明るい室央と闇に沈んだ周壁
輝度の低い埋設照明が床上に靄を作っている
  .ミサト「ここは?」
広波長帯に渡って見通しの悪い室内を見回しているミサトとアスカ
動かない霧亥
  リツコ「今見せるわ」
手の中の小型端末に指を添えるリツコ
  リツコ「…真実を」
空間内の明暗が逆転する

99:log.23 涙
06/11/21 12:51:19
溢れるLCLの微光
照らし出される全周の環状液槽
揺曳する光の中に浮かぶ、人になりそこなった人型の動かぬ群れ
黒光りする骨格と珪基構造を覆う超硬外殻を備えたものから、皮膚と内臓の類似物を発達させたもの、
人形の無貌の周囲に髪を揺らめかすものまで、さまざまな躯体が形成の諸段階で活動停止している
人間部分は明らかにレイの特徴を備えている
声もなく立ちすくむミサト
両目を見開いて凍りついたアスカ
無言の霧亥
環槽天井部からLCL中に突き出した数十基の古い電極腕 電力の切られた尖端
出力端子腕は暗い上方で室内の巨大脳構造から分岐している
  .ミサト「…これは…まさか、エヴァのダミープラグは」
  リツコ「そう、ダミーシステムのコアとなる、搭乗者の心を真似た擬似思考構造。その形成施設よ」
端末を手に床面だけを見ているリツコ
淡い光の中の後ろ姿
  リツコ「ここにあるのはレイの情報的実体。その不完全な外部記録装置に過ぎないわ。
     人は世界への手がかりを見つけたので喜んで使おうとした。だから排除機能が発動した。
     それが十五年前。せっかく発掘した接続手段も堆積層と一緒に失われてしまったわ。
     それで今度は自分たちの手でそれを再現しようとした。それがアダム。そしてアダムから、
     残されたログを元に新たな接続装置を造った。それがエヴァ」

100:log.23 涙
06/11/21 12:53:10
引きつった顔に笑いらしきものを浮かべるアスカ
 .アスカ「接続…ネット端末遺伝子だっていうの? あの人形が?」
仮面めいた笑顔のリツコ
  リツコ「不完全な合成物よ。あんなに大きな人型を造っても、階層閉鎖時点で既に、本物の機能には
     到底及ばない、出来そこないでしかなかったもの。
     だけどそのエヴァは私たちには使えなかった。生き残る過程において多くを忘れてきた人は、
     この閉鎖階層に定住することで、さらに多くを失ってたの。私たちはエヴァのための適格者も
     造らなければならなかったのよ。例えば、幼い頃に電装移植を行うことで、身体改造全盛期の
     電子的器能を再現し、補佐構造として後脳内に別の人間の個性を分植することでね」
ぴくりと肩を震わせるアスカ
 .アスカ「…どういう…意味…?」
  .ミサト「リツコッ!」
今や大きく歪んだ笑いを浮かべているリツコ
  リツコ「人はエヴァを使えないの。例外は初号機だけよ。そしてレイだけ。今はそこの来訪者もね」
  .ミサト「…レイ…霧亥君…?! …リツコ、一体何を言ってるのよ!」
  リツコ「ダミーとはここから複製されたレイの思考構造の劣化物よ。だからエヴァに接続できる。
     個性の生じたユニットはレイ、一人だけだったの。ガフの部屋は空っぽになってたのよ。
     そこに浮かぶ物体は、レイができる前の、ただの堆積層の誤出力の産物。私の無力の証拠。
     …だから今こうするの。哀れだから」
端末の別のキーを押すリツコの指

101:log.23 涙
06/11/21 12:56:05
立ち昇る気泡
LCL環状槽の中で電極腕が通電し、中断されていた形成工程が再開する
渦巻く液流 LCLを材料に自らを不器用に成形していく未完成躯体群
弾かれたようにリツコへ拳銃を向けるミサト
  .ミサト「…あんた、自分が何やってるかわかってんの!」
  リツコ「ええ。創造の真似事よ。
     真正の階層システムじゃないもの。それを真似ただけのただの再現物だもの。
     でもそんなものしか私には造れなかった。レイに勝てるはずなかったのよ」
ふいにリツコの声が乱れる
  リツコ「あの人のことを思うだけで、どんな、どんなことだってできた。
     私の手なんかいくら汚れたって良かったのよ。でもあの人は…あの人は、…あの人は、
     …私のことも、母さんのことも、一度も見なかった」
拳銃を下ろすミサト
  リツコ「…馬鹿なのよ、私は。…親子揃って大馬鹿者だわ」
大粒の涙の流れるリツコの顔
  リツコ「…ミサト、この出来損ないたちがそうする前に、私を殺して。
     いえ、そうしてくれると嬉しいわ」
低い囁き声
かぶさる打撃音 円形の部屋の全周で無制御に環状槽壁を叩き始める躯体群
全身をすくませているアスカ
彼女を見、瞬時に戦闘指揮官の顔を取り戻して拳銃を構えるミサト

102:log.23 涙
06/11/21 12:58:12
  .ミサト「…それこそ、馬鹿よ。
     今のあなたがしなきゃならないのは、こいつらを止めることの方でしょう! 
     造ったのなら制御できるはずよ。今までだって必ず成功してくれたじゃない!」
リツコの肩を掴むミサト
うつむいて揺さぶられるままになるリツコ
きつく目を細めるミサト すばやく周囲を一瞥し、アスカと霧亥を引き寄せる
激しさを増す乱打 硬化隔壁に走り始める亀裂
と、ミサトの手をすり抜ける感触
かろうじて顔を上げるミサト
三人を背に真上に銃を構えている霧亥
短い充填ノイズ
閃光
中央を撃ち抜かれる巨大脳構造
一瞬おいて構造が跡形もなく吹き飛び、余波が槽壁と内部の躯体群を巻き込む
溢れ出たLCLの大波が一行を呑み、致命的な衝撃を遮る
壁を抜いて終息する爆発
流失していくLCLの中から立ち上がるミサト 周りを見回す
膝下辺りまで水位の下がった床に座り込んでいるアスカ
助け起こそうと伸ばしたミサトの手の先で、別の手がアスカを掴んで引っぱり上げる
思わず問うミサト
  .ミサト「…どうして、あの記録装置まで」

103:log.23 涙
06/11/21 12:59:16
ミサトを見ない霧亥
 霧亥「あれは使徒だ」
立ち上がらされて呆然と見つめ返し、恐怖の表情でその手を振りほどくアスカ
何も言わず銃をしまう霧亥
躯体の破片が浮かぶ液面を分けてリツコに歩み寄るミサト
動かない背中
手の中でLCLを滴らせる拳銃
かける言葉を持たず、立ちつくすミサト


log.23 終
ああ長かった
保守してくれた方々本当にありがとうございました

104:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/26 11:32:42
sate

105:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/30 12:33:19
人のいないスレ。


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