♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 9at EVA
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 9 - 暇つぶし2ch650:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:25:52
トウジが激しく羨ましい件について
カヲルがトウジよりも先にシンジきゅんと間接キスしてる件について

651:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:35:20
カヲルめー

トウジのやつ幸せだなぁ…(ノд-。)
でも…トウジはもう…

652:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:44:44
>また別のお話
ではその別のお話を待とうではないかwww


>>651
補完前に死んだミサトやリツコまでLCLに溶けたんだから
ひょっとしたら奴や加持だってLCLの海から戻ってくるかもしれん…
とかありえないことを言ってみる

653:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:50:05
もう焼かれちゃってるんじゃね?
器がなけりゃ戻れない…orz

654:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 03:03:20
ど、土葬だ!それかサンプル保存だ!でもミサトは真っ二つになってたんだけどな。
まぁ、 あ り え な い から

しかし青春ラブ※だな…
毛色は違うが>>594の願いがちょびっと叶ってるなw

655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 02:39:32
これを読み終えると、おそらく体を引きちぎられる予定の本編カヲルが不憫でならない。
それとも貞元版毒舌カヲルなんだろうか。

656:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 03:17:05
前に庵カヲ予定とか言ってなかったか…?
すでに死んでいるトウジも中々不憫だがなwww
もう誰か続き書いてくれよ

657:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 10:12:22
やはりここはアスカvsカヲルかなw
その二人の争いに巻き込まれるトウジカワイソス
漁夫の利を得るのはお姉ちゃん大好きリナレイで

658:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 11:49:45
ここはお約束で、カヲルが碇家に同居生活だろう
トウジがやきもきすればいいよwww

659:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 14:19:56
トウシンラブコメもいいが
アラエル戦も待ってます。

660:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 16:25:50
>>657
>>658
そこまで考えてるなら続き書いてよw

661:621の続きで
06/10/03 00:44:22

あの丘を越えたら。
あの丘を越えれば。


あの丘のずっと向こうには――





あたし、何だってするわ
どんなものにだってなれるわ



貴女が望むのなら







世界は要らないものが多すぎるけれど
貴女だけは綺麗


662:621の続きで
06/10/03 00:45:46

だけどあたしはもう、そんなものに頼らなくても生きていけるの
誰もいらない。一人で生きていけるの。
あたしはもう大人なんだから。

だからあたしに優しくしなくてもいい。
あたしの頬に優しくキスをしてくれなくてもいい。
あたしに触れないで。
あたしを抱きしめないで。
あたしを見ないで。



「アスカ、聞こえる?いつも通り余計なことは考えないで」



あたしを殺さないで。




「……ッ…やってるわよ!」


ママ



世界で一番貴女が綺麗
世界で一番大事な人


663:621の続きで
06/10/03 00:46:35
何日かは平穏無事に過ぎていった。
使徒はまだ襲って来はしない。私のシンクロ率も順調。
だけど、私はあれから一度も学校には行っていなかった。
昼間はネルフへ行く日以外は、ずっと自分の部屋に閉じこもっていた。
だってどうしたらいいのかわからない。
どんな顔して委員長やケンスケに話をすればいいのか。
いや、どんな風に二人の顔を見ればいいのか。
私は、トウジを殺したのに。
彼が眠っているであろうあの共同墓地にすら、一回も行っていなかった。
そこに本当に彼がいるかどうかはわからないけれど。
自分なりのけじめは何一つつけてはいない。
それでも、守りたいものができた。
エヴァに乗る理由ができた。前に進むと誓った。
たとえ薄皮一枚ごしに元通りに戻った日常でも。
すぐにでも打ち壊れるような脆さで保っていても。
そう、今の私達みたいに。

最近の私達はいつもぎこちない。
今日もせっかく三人そろっての久々の食事なのに、会話は一切ない。
無理もないかもしれない。二人ともそれぞれ加持さんの事を背負っている。
それでも私は何も言えなかった。何も出来なかった。
それが歯がゆいと思っていても、本当に何も出来なかった。
気まずい雰囲気を打ち消すかのように、電話の着信音が鳴り響いた。

「あら、無敵のシンジ様にこのような雑務をさせて申し訳ないですわね」
「何それ…」


664:621の続きで
06/10/03 00:47:44
アスカは皮肉とも揶揄ともつかない言葉を私に投げかけると、奪うように受話器を受け取った。
知らない国の知らない言葉でアスカは電話越しの相手に語りかけている。
その姿は、まるで私が知らない別人のようだった。
電話の相手はアスカの母親のようだった。
母親…。本当の母親は死んだみたいだから義理のお母さんか…。
でも私は、義理のお母さんでもあんな風に家族の会話ができるアスカが羨ましかった。
「ずいぶん長電話だったね」
「別に、好きでニコニコしてるわけじゃないわよ。義務よ、義務。上っ面だけ」
話し終えたアスカは面倒くさそうに髪をかきあげた。
「でも…別に嫌いってわけじゃないのよ」
そう言う彼女の横顔は、まるで私じゃなくて別の誰かに語りかけているようで。
「ちょっと苦手なだけで…」
その俯いた淋しそうな横顔を私は見つめるだけしか出来なかった。
その言葉が終わるか終わらないか、アスカはハッと何かに気づいたように顔を上げた。
「何であんたにこんなこと話さなきゃいけないのよ!」
「…ご、ごめん」
「あんたなんかに同情されたら、このあたしも御仕舞だわ!」
同情なんて…。そんなこと思っていないのに。
「うるさいわね!触らないで!あたしもう寝るわ!」
そう言い残してアスカは自分の部屋の扉を閉めた。私は何もできなかった。何も言えなかった。


私はそのとき何も気付いていなかった。

前に進むことに精一杯で。



本当に、何も。


665:621の続きで
06/10/03 00:50:45
アラエル戦、アルミサエル戦に入ると
アスカ視点とかレイ視点が多くなってしまうので申し訳ありません。

ラブ米、色々端折ったんですがそれでもあんなに長いものになってしまいました。
反応が怖かったんですが、お優しい言葉ありがとうございました。

666:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 01:58:38
前スレで読んだとき、ここまで長編になるとは思わなかった
そして女シンジとトウジのカプOKな人がこんなにいるとは思わなかったwww
いや元が男同士だからさ…OTL

667:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 02:19:27
だって女シンジきゅんならシンジきゅん女だし。
性転換なら百合がいいけど。

668:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 02:23:38
後転TSなら
アスカを男にしてしまいたくなるな。
シンジがなったのと同じ方法でさせちゃう。
アスカとくっつければLASだし、綾波とくっつければ百合が実現できる。
結局のところ、カップリングすると話が進め安いんだな・・・。
甘いのは嫌いだけど。
つーか、倒錯アスカって少なくねぇ?
使徒擬人化のなんかで一回読んだぐらいだ。

669:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 03:21:26
誰か書いて投下してくれよ

670:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 03:30:29
倒錯アスカって…スレチだろそれwww読みたいけど。
長編投下な職人いると他の職人が投下しにくいという弊害が生まれますな

671:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 04:39:30
女シンジが誰とくっつくと幸せになれるか考えると、トウジが一番無難なんだよな
カヲルは何か違うような気がする
だが百合だと誰とくっついても結構幸せになれるから不思議

672:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 04:57:30
加持さんとか父さんとか冬月とかケンスケとか青葉とか

幸せにしようとすればいくらでも。
しかし801じゃないんだが801っぽくなる罠

673:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 07:34:38
トウシンでもLASでもLRSでも、そろそろオリジナルな話が読みたいんだが
別職人待ち

674:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 08:24:26
もう…駄目なのね…

675:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 09:57:50
>>672
日向さんを忘れないでくださいw

676:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 10:11:44
>>671
レズは嫌いだな。例え精神的にはホモに近くても、男女のカップルのほうがいい。

677:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 10:42:21
>>655
逆にホモくさくなるなら男女のカップルもいらんw


678:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 11:38:49
カヲルと出来上がるくらいなら、トウジとくっついてほすぃ

679:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 11:43:43
>>676-677
そういう差異のある趣味を一緒くたに入れてるスレなんだから、
文句を言うのは筋違い、ってな。

680:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 11:55:49
誰か何か投下してよ

681:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:19:26
他力本願乙。無意味な書き込みをするくらいなら、自分で投下するんだな。
文才があればの話だが。

682:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:24:42
定期的にこういう書き込みがあるね
今のだけじゃ駄目か?

683:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:34:43
今ので十分じゃね?学園エヴァも良かったし。
本編と話が変わっていくとしたら、ここらへんくらいからだろうけどね。
何も変わらなかったとしても、それもまた一興かと。

684:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:59:03
まぁそろそろオリジナルも読みたいのも事実なワケで

685:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 15:25:06
いや、君がそう思っていたとしてもまだ続きが見たいっていう人もいるんだし
何より職人が投下しにくくなるのはイクナイよ…

686:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 21:49:43
女シンジということで、シンジが某○メロード姫で召喚される○法騎士三人、○ガー○がゲンドウという図が浮んでしまった

687:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 22:32:20
はぁ?

688:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 22:39:13
こりゃまた微妙な空気になってきましたね

689:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 00:37:04
エメロード姫の緒方ボイスはびっくらした

690:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 00:38:29
ときメモでも凄かったけど菜>緒方

691:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 00:44:38
>>690
出てたっけ?

692:621の続きで
06/10/04 00:46:32
あたし、貴女が望んだとおりの子になったわ。
貴女が望んだ特別な子に。
だから、もう他人の言葉や視線なんて気にしないで生きていけるの。
そんな卑屈な目をしないで。

きっと貴女が言っていた「あの女の子供」にも負けないわ。

だからそんな目であたしを見ないで。
あたしのこと全部見透かしたような目であたしを見ないで。
そのくせ、何も見ていないその瞳で。

あたしを見て。
あたしを抱きしめて。
あたしに触れて。


ママ


ママがいればいいの。


他にはなにもいらないから。

だから、あんな子はいらない。




あれはあたしに必要じゃない。

693:621の続きで
06/10/04 00:49:49
いつものシンクロテストを終えた、血の匂いのする身体にシャワーを浴びる。
熱い湯が心地よかった。血の匂いが消えていくのが気持ちよかった。
だけど、身体の中から溢れる血の匂いは消せなかった。
自分が女であるとそのたび思い知らされる生理現象。
『あー、もう!何で女だからって毎月こんな目に合わなきゃいけないわけ!?』
『しょうがないよ。これがなきゃ子供産めないし』
『ふん!子供なんて絶対いらないわよ!いいわよね~、あんたは軽くて』
アスカは、そんなことを言っていたっけ。
そんな風にアスカと普通に話をしたのはどれくらい前だっけ…。
湯気で真っ白なシャワールームでそんなことを考えた。

見慣れたネルフ本部の廊下を一人で歩く。
無機質な同じ並びの廊下は相変わらず冷たい感じがした。
前はこの廊下を三人で歩いた。アスカと綾波と、そして私と。
そんな日常はいつのことだったか、気が付くと――思い出せない。
たとえ薄皮一枚で保っている日常でも、すぐ壊れてしまうようなものでも
守りたくて。やっと見つけた大切なものを失いたくなくて。
それでも、確実に日々は深く傷が穿たれてゆく。私の掌では、塞ぐことができないほど。
「やっぱり人形じゃない!あんたって、昔から人形みたいで…」
エレベーターの前を通りかかったとき、ちょうどその扉が開かれた。
「本当に、大ッ嫌いなのよ!!」
アスカが飛び出してきた。そんな叫ぶような声を上げながら。
そして、閉まっていく扉の向こうに見たものは、頬を赤く腫らした綾波だった。
「アスカ…?何を」
「うるさいわね!あんただって…同じよ!何にもわかってないくせに…!」
アスカはエレベーター前にいた私を睨みつけて呟いた。
「嫌い!嫌い!皆、大ッ嫌い!!」
呪うように、アスカは言葉を吐き出す。
「犬に餌やるみたいに、そんな簡単に言わないでよ!あたしに触らないでよ!」

『総員第一種戦闘配置!対空迎撃戦用意!』

694:621の続きで
06/10/04 00:53:33
アスカがそう叫んだとき、スピーカーから施設内に警報が響いた。
「使徒!?まだ来るの?」
その放送を耳に入れると同時に、駆け出そうとしたアスカは
糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。
「アスカ!!」
「離して。自分で歩けるわ」
でもアスカの顔色は青白く、まるで人形のようだった。
「触らないで!あんたなんかに触られたくない!」
アスカは私の手を払って立ち上がる。
「あんたなんかに…、こんな事くらいで…負けちゃいられないのよ。あたしは…」
「アスカ…」
私は何も言えなかった。いつだってそうだ。
でも私はきっとそのとき彼女に何か言うべきだったんだ。

たとえそれが、アスカを傷つけるだけだとしても。
傷つけることしか出来なくても。

ねえ、でも――


私は何も気付いていなかったんだ。
私が何よりアスカを傷つけていたことも。
私がいなかったら、アスカは楽になっていたかもしれないことも。

私は本当に何も気付いていなかったんだ。





君が私を疎み、嫌いながらも、私のことを呼んでいたことも。

695:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 01:34:16
URLリンク(www.youtube.com)
このスレのトウジのためにこれを奉げようww
改めて見るとエヴァ全話の中で一番グロいんじゃないかってくらいグロい…

696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 02:35:33
よく見たら、頭部殴られたときに目ん玉飛び出てるんだな…
これで生きてるアニメの方がおかしくね?
3バカなあの頃は良かったなぁ…

697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 02:49:29
別に乗っ取られた後も3号機とトウジがシンクロしてるわけでないし。
仮にシンクロしてたって、痛みは擬似的なもので肉体にはフィードバックしないし。

698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 02:59:44
でもエントリープラグぐしゃっとなったとき「あ。中の人逝った」と思った

699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 03:07:12
>>697
シンクロ率低そうなのが幸いかなぁ<トウジ

精神と肉体は一つ。
外傷はなくとも痛みを感じてショック死することだってありますぜ

700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 03:14:38
直接的な死因はエントリープラグ握り潰されたことによる内臓破裂で圧死と左足切断時による出血死だろう
つか、グロい…。目の前で友達乗ってるものがこんなんなったらそりゃ欝になるわ

701:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 03:28:04
このスレも700まで来たか…

702:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 13:56:43
URLリンク(cream.ath.cx)
これって映画のどのあたりで見られる映像かわかる?

703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 15:31:19
>>693
乙。少しはアニメの鬱々シンジじゃないほうがいいな。

704:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 16:37:03
URLリンク(www.youtube.com)

3馬鹿がいた昔は良かった…

705:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 19:23:52
シンジきゅん…かわいいよ、シンジきゅん…

706:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 19:28:04
なんかケンスケがやたら目立ってる

707:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 20:21:28
エロいの読みたい

708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 21:41:06
エロか…
百合?男女カプ?

709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 21:46:24
職人さんかえ?
ぬしの得意なほうで・・・

710:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 22:18:02
百合じゃないのがいいなぁ
レズ物はちょっと…

711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:00:07
職人たくさん増えて、スレが活性化するといいね

712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:14:42
今のスレが活性化してないとでも?

713:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:20:56
何故そういう風にしか取れない

714:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:33:29
>>710
まあ好みは好き好き。職人さんだって自分の好きなものを書くだけだし。
言い方が悪くなるが、嫌なら見なければいいだけだよ。

715:621の続きで
06/10/05 01:20:35
「目標は衛星軌道上に停滞中。映像で確認しました」
「最大望遠にします」
「これは…」
モニターに映った敵は、真っ白なまるで翼を広げた鳥のようだった。
「衛星軌道上から離れませんね」
「降下接近の機会をうかがっているのかしら…?」
「ミサトさん…!どうして私だけ出撃じゃなくて待機なんですか?」
納得がいかない。アスカも綾波も戦闘配置についているのに
私はエヴァに乗ることも許されずに発令所で待機のままだ。
「碇司令の絶対命令なのよ。あんな事のあとじゃしょうがないわ」
あんな事…。この前の戦闘で暴走した初号機。
私の意識はなかったけれど、またあんなことがあっては守るものも守れない。
頭では理解できても、その奥底ではどうしても納得がいかない。
だって、エヴァに乗らなきゃ私には意味がない。
守るということが出来なければ、どこに進めばいいのかわからなくなる。
「そんな…」
震える手で青いスカートを握り締めた。
せっかくエヴァに乗る理由を見つけたのに。
理由を見つけた今でも、何も無かった昔でも何も変わりがなかった。

そのとき、モニターに眩い光が映し出された。
真っ白な光の中に照らされる真紅の弐号機。
「アスカ!?」
敵はまだ衛星軌道上で停滞してるはずなのに、これは一体!?
「敵の指向性攻撃なの!?」
「いえ、熱エネルギーは反応ありません!」
アスカの心理グラフに異常なまでにノイズが入る。
「まさか…使徒の心理攻撃?人間の心を探るつもりなの!?」
「アスカ…」

716:621の続きで
06/10/05 01:22:02

『くぅうぅ……ッ…ちくしょぉおぉおおぉ!!』

叫びと共に狂ったようにライフルを撃ち放す弐号機。
しかしやがて残弾も尽き果て、残されたのはアスカの悲鳴だけ。

『いやぁあぁああぁあぁあぁあぁぁぁ!!!』

「精神汚染Yに突入しました」
モニターから響く耳を塞ぎたくなるほどの悲鳴。
「私が…私が初号機で出ます!」
「だめだ。目標は精神を侵食するタイプだ。同じ目に合うだけだ」

「だったらアスカを見殺しにしろって言うの!?」

アスカのあんな悲痛な声は聞いたことがなかった。
目の前で彼女が苦しんでいるっていうのに、何もしないの?
私は何もできないの?
これじゃあ前と何も変わりがないじゃない。
アスカに何が起きているの?

717:621の続きで
06/10/05 01:23:25
「ママ!」

広い広い、見渡す限りの草原。
赤みかかった金の髪の少女が丘を目指して走っていた。

アレは誰?

「ママ!聞いてママ!あたし、選ばれたの!」

あの丘を越えたら

「人類を守るエリートパイロットなのよ!大勢の中からあたしが選ばれたの!」

あの丘を越えれば

「あたし、特別なの!ママが望んだ通りになったのよ!」

あの丘を越えれば、いつものように優しく温かく迎えてくれる

「だからママ!こっちを向いて!」

あの丘を越えれば

「ママ!」


あの丘を越えたら
あの丘を越えれば


あの丘の向こうには何があるというの?

718:621の続きで
06/10/05 01:24:23
何かオリジナル展開なくてごめんなさい
つまらなかったらやめるから…

719:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 02:07:28
>>670
いや、アスカの倒錯じゃなくて
シンジが好転的に女になったら
カップリングはーって話なんだけどね。
以前、シンジがグレて女になって泣くとか読みてぇとか落とした者だけど。
生理で子供なんていらないのにーとか言ってたから
男にしてやったらどうなるかなと・・・。

720:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 02:19:24
>>718
乙!!
やめんといてくれ…

オリジ展開というか、
女シンジというイレギュラーによる変化もちっとは期待したいのも本音だけど、毎回楽しみにしてるんで…

721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 02:24:39
後天的TSでセックル依存症になってしまうシンジきゅん
相手が男でも女でもセックルセックル

722:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 03:11:01
とりあえずこの職人のが完結する日を待つよ

723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 03:34:24
いつくらいに終わるかねぇ?ラストはEOE?テレビ?

724:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 16:26:26
エロが見たいのも事実だ

725:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 20:58:09
>>718
毎日乙GJ

毎日楽しみにしているのでやめないでください。
それにあなたがいなくなったら職人がいなくなってしまう。


726:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 21:00:09
書きたかったら書く
やめたいならやめる
商売じゃないんだから好きにしなされ

727:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 22:14:28
でも完結まで書いて欲しい読み人の我侭

728:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/06 03:05:17
>>718

(´・ω・`)

729:621の続きで
06/10/07 00:02:37

あの人がああなってしまう前から

「あなたは特別な子よ。特別に作られた特別な子なの」

あの人が時折見せるあの瞳が嫌だった

「私の可愛い子。だからママの期待を裏切らないでね」

他人の視線と言葉を気にするような


「あの女の子供だけには…負けないでね」



卑屈なその瞳



『アスカちゃん。ママ今日あなたの大好物を作ったの』
『好き嫌いしてるとあそこのお姉ちゃんに笑われますよ』

あの人がああなってしまった今では、その瞳は向けられることはなかった。

だけどその代わりに向けられるのは

何もかも見透かしたようで、何も見ていない空っぽの視線

730:621の続きで
06/10/07 00:04:06
だけど、あたしはそれでも良かったの
ママがそこにいるならそれで良かったの
ママがママを止めてくれなければそれで良かったの
だからそんな人形なんて見ないで
その人形があなたの子供なら、あたしは誰なの?
だからねぇ、ママ
お願いだからママをやめないで

いらない物が多すぎる世界で必要なのは貴女だけ
世界で一番貴女が綺麗
世界で一番大事な人

あの丘を越えれば
あの丘を越えたら

あの丘の向こうには

あの丘の向こうには



あの丘のそのずっと向こうには――





    ははっ!シンちゃんお母さんみたいだな



731:621の続きで
06/10/07 00:05:54
本当は最初から気に入らなかった。
あのいつだってこちらの機嫌を伺うような目をした少女。
時折何もかも見透かしたような目をするくせに、その実何も見ていない瞳。


短く切り揃えられた卑屈な目をした黒髪の少女


     痛い


――なんであんたがそこにいるのよ!――

  痛い

――ママみたいにあたしを助けてくれない!――

   痛い
 痛い

――ママみたいにあたしを見てくれない!――


痛い

   痛い

――ママみたいにあたしに触れてもくれないくせに!!――


   痛い


732:621の続きで
06/10/07 00:08:04

あの丘を越えれば

あの丘の向こうにさえ辿り着けば



あの丘の向こうには――




   じゃあほんとうのままはあなたになにをしてくれたの?



ゆっくりとあの人の綺麗な顔が振り向いて
やっとあたしに触れてくれた、その指はあたしの首筋に絡みつく
力を込めるあの人の肩越しには、あの黒髪の卑屈な目をした少女。
あたしをただ見つめるだけで、何もしてくれない。

その少女が背負う闇の奥。
真っ暗な闇のそのずっと向こうには――

引き裂かれたあの人形

そしてその頭上には

吊るされた――

733:621の続きで
06/10/07 00:10:13
愛してくれるんじゃなかったの?
あたしはただ、あなたが好きなだけなのに
違う。違う。
こんなものいらない。あたしには必要ない。
違う。あたしは愛されたいの。
あたしを見て欲しかったの。
違う。いらない。
あたしは一人で生きていくの。
だからこんなものいらない。

いらないのよ。こんなもの。



   ほんとうに?



この頬を伝う生温い水が、涙だなんて認めたくなかった。
いつかのあの人の言葉を今更思い出す。
あたしに優しさをくれたあの人。優しさ以外はくれなかったあの人。


『何があってもお前はお前だ。それだけは忘れるなよ』


だめだよ…加持さん…


きっともう……手遅れだ……

734:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/07 00:20:11
うぉおおおGJ!!!!


アスカはシンジきゅんに母性愛を感じとったのかw
確かに葛城家のおかんみたいだった


相変わらず心情描写うまいなあ

735:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/07 03:54:15
毎日大量投下乙
何か漫画描きたい

736:621の続きで
06/10/07 23:49:02
あの丘を越えたら
あの丘を越えれば


あの丘の向こうには


「アスカ!!」

声が聞こえる。
それと同時に自分の身体全体が掴まれる感覚。
ずるりと引きずり出される感覚。
回収班の一人がエントリープラグからぐったりとした身体を救出した。

「アスカ、大丈夫?あんな目にあって…」

声が聞こえる。

「あれは綾波の零号機がやっつけたよ。無事で…良かった…」

無事?
そうね、確かに無事ね。
でも、あんたの言う『あれ』に汚されたあたしはなんなの?
あたしを汚した『あれ』に負けたあたしはなんなの?
あんな女に助けられたあたしはなんなの?
何もしてくれなかったあんたはなんなの?

どんなに洗っても、どんな言葉で取り繕っても
あたしは汚された存在なのよ



737:621の続きで
06/10/07 23:51:03

違う。
あんたの言葉なんていらない。
あんたなんていらない。
誰もいらない。


あの丘を越えたら――



あたしがこんな風に、考えてもしかたのないことを考えるようになったのはどうしてなの?
あたしがこんな風になったのはどうしてなの?

どうして何もわかってないくせに、そうやってあたしの傍に来るの?

「アスカ…?」

あたしは、ただ

あたしはただ



あの丘を越えれば―――


738:621の続きで
06/10/07 23:52:43


あの丘を越えれば



あの丘を越えたら、そこにはなにがあるの?





シンジ





 ――あの丘を越えたって、きっとそこには何も無い――




あたしはただ





心まで暗く染まった闇に身を委ねた



739:621の続きで
06/10/07 23:54:44
どうして私は、肝心なときに何もせず見ていることしかできないんだろう
どうしていつも、失ったあとに大切なものだと気づくのだろう。

アスカは虚ろに目を開いたまま空を見つめている。いつもの勝気な表情はそこにはない。
そう、何もない。
私はいつも口に出る言葉は言わなくてもいいことだけで
この身体が示すのはやらなくてもいいことだけで
傷つけるとわかっていても、それしかできないんだ。
いや、傷つけているとすら自覚していなかったのかもしれない。
でも私はそれしかできなかったんだ。だって、そうでもしないと私は何もできないから。
何かをすることが生きている証なら、何かをすることが私の道を見つける術なら
こうでもしないと私はただ立ち止まることしかできないじゃない。
「アスカ…」
いつものアスカはもうどこにもいない。精神に負担をかけ過ぎたらしい。
いつこの状態から元に戻るのか、それすらわからない。
「アスカ…」
もう何も掴むことのない君の手をそっと握った。
「ごめんね…」
何に対して謝っているのか。彼女に対してなのか、それとも私自身?


私は、気付いていなかった
きっと、気付きたくなかった。
何もできないただの子供だということに。

そして――

「ごめんね…」

だけど君のその手が握り返すことはなかった。

740:621の続きで
06/10/07 23:57:12
学校には相変わらず行っていない。
外に出るのはネルフ本部へ行くときだけ。
それ以外は薄暗い自分の部屋に閉じこもっている。
ミサトさんは仕事で帰ってこない。
アスカは退院できない。

ネルフ本部でシンクロテストをする。
終わったあとはシャワーを浴びる。
血に匂いの消えた身体でアスカのお見舞いに行く。
その繰り返し。
なるべく考えないようにしていた。

私はどうしてここにいるんだろう。

前に進むと決めたはずなのに。
こんな風にテストを重ねたって、実戦に出れなければなんの意味もないのに。
守ると決めたのに、せっかく決めたのに。
何も出来ないなんて…。

心を焦げ付かせる想いを消す代わりに、強くシャワーのコックをひねった。



741:621の続きで
06/10/07 23:58:07
「碇さん…」
小さく声をかけられた。
その言葉で、自分の世界に沈みきっていた私はやっと浮上した。
「綾波…。なに?」
隣のシャワー室から綾波が顔を覗かせる。
「今日も惣流さんのところへ寄るの?」
「ううん。今日は面会できないんだって」
「そう…」
綾波は何事も無かったかのように、自分のシャワー室に戻った。
人と話したり、人に触れたりするのは苦手かもしれない。
だけどここに来て色んな人に出会って、私は変わった。
変われると思った。けれど、そう思っただけに過ぎなかったのかもしれない。
前も考えた。

ここに来て変化した世界もまた、いずれ変わってしまうのだとしたら?
他者の手によって、簡単に壊れてしまうような脆弱な世界だとしたら?

そんな世界で、私は守ることができるのかな…。
もう殺さないようにすることなんてできるのかな…。

現に私はアスカを守れなかった。
考えないようにしてきた。認めたくなかった。気付きたくなかった。
私は――。


742:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/08 00:24:12 Yz4evImc
モツカレー

743:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/08 09:50:53
アスカ退場、今度はレイか。
こうやって文章で内面描写をされると、シンジが追い詰められていくのがよくわかるな。
何の主体的行動も起こせなかったのも分かる希ガス。職人多謝、乙。

744:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/08 11:52:04
あんた、誰でもいいんでしょ!具合が良くわかりますな

745:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 00:27:34
確かに誰でもいいというか、こうやって読むと、
ロボットアニメのパイロットがどれほど常人離れした神経を持ってるかがよくわかるな。

746:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 00:33:56
誰でもいいんでしょって感覚わかるけど
可能な限り理性的に考えてみれば
誰でもと言っても、生きているうちに偶然出会えた人間なわけだし
ある意味運命?

747:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 02:48:40
14のガキにそんな透徹した運命論が理解できるわけもない。
これがまだしも、お互い20がらみなら色々理性的に見れる余地も少しはあったんだろうけど。

748:621の続きで
06/10/09 04:25:53
制服のブラウスに袖を通す。
学校には行っていなくても、この制服はずっと着ていた。
何か繋がりが欲しかったのかもしれない。
あの楽しかった時間と。皆がいた夢のような時間と。
もうその時間は定かには思い出せないけど。
「碇さん」
着替え終わった私に綾波が声をかけた。
彼女は私より早く着替えが済んだはずなのに、まだロッカールームに残っていた。
「これから時間あるかしら」
「…え?大丈夫だけど…」
凛とした声が響く。
「彼女があんな事になって、私達だけこんな風に
 仲良くおしゃべりなんかできる感じじゃないのはわかっているのだけど」
彼女から私に話しかける事は珍しかった。
いや、そうでもないか。今更ながらその事実に気付いた。
「一緒に行きたい場所があるの。…行かない?」
そう言って、綾波は白く細い指を持った掌を私に差し出した。

いつからだろう?
私と綾波の距離は少しずつ縮まっていった。
あの一緒に戦った夜から。
あのエントリープラグの中で彼女の笑顔を見たときから。
あの学校の屋上で彼女と話したときから。
あの彼女の部屋で感謝の言葉を聞いたときから。
あの彼女の部屋で一緒に紅茶を飲んだときから。
でも、一定以上の距離を置いて私達は存在している。
これ以上彼女との距離が縮まることはあるのだろうか。
そんな事を思っていた。

749:621の続きで
06/10/09 04:27:19
この手を握ってもいいのかな。
私がこの手を取っても。
この距離を縮めても。


私もそっと掌を差し出した。
彼女は何も言わずその手をゆっくりと握った。

握り締められた掌はほのかに温かく、

私はきっと、嬉しいのだと思った。



子供のように綾波に手を引かれて連れてこられた場所は
ネルフの職員のための休憩所のようだった。
噴水から水が噴出して、光に照らされキラキラと輝いている。
「綺麗…。本部の庭にこんな所があったんだね」
「私も最近知ったの」
「…え?」
確か綾波は私がここに来る以前からネルフにいるのに。
こんな綺麗な場所を今まで知らなかっただなんて。
「必要のない所には、行ったことがなかったから…」
綾波は白く細い指先を水の中に入れながら言った。
「最近。そう、碇さんに会ってから少しずつ色んな所へ行くようになったのよ」
私と会ってから…?
「こんなの、私らしくないかしら?」
「…ううん。そんなことないよ」
「ありがとう…」
水に浸した指先はそのままに綾波は小さくお礼を言った。

750:621の続きで
06/10/09 04:28:49
「鈴原君があんなことになって、惣流さんもいつもとに戻るかわからなくなって…」
その小さな細い背中を見つめていると、綾波はおもむろに言い出した。
「あの時碇さんが言ってくれたことができるかどうかわからないけど」
あの時の…。思い出した。いつかのあの学校の屋上で二人で話したこと。
去りゆく小さな背中に私は声をかけた。

全部終わったら。そう、こんな戦いが全部終わったら。
皆でお祝いをしよう。
ミサトさんや、加持さんや、アスカや、みんなと…。

その言葉が果たせないだなんてその時は思ってもいなかった。
考えてはいたけれど現実のものになるだなんて予想もしてなかった。
もういない人がいる。もう私に笑いかけてはくれない人もいる。
もう、あの約束の日にはもう戻れないほど遠くへ来てしまった。

だけど――

「もし誰もいなくても。もし、全部終わったら…お祝いしない?」

綾波はゆっくりとこちらを振り返った。

「せめて、私達だけでも。私達二人だけでも…」

それは悲しいことかもしれない。
奪ったものが多すぎて、失ったものが多すぎて。
お祝いだなんて決して言えるものではないだろう。
生きてここにいる私達の自己満足かもしれない。
だけど。それでも。

751:621の続きで
06/10/09 04:30:00

「うん…。約束だよ」

それでも、綾波があの約束を覚えていてくれたことが酷く嬉しかった。
きっと、嬉しいとか喜びだとか幸せだとか。私がそんな事を考えてはいけないのかもしれない。
一瞬で、トウジの考える権利と笑う権利を奪った私が。
守ると決めたのに何も出来ずにただ見ているだけで、アスカを守れなかった私が。
「もう帰ろうか。日が沈んじゃう」
「そうね」
綾波の事を考えると、色んな想いが交差する。前も思った。
綾波は。何だか懐かしい感じがする。話していると心地よい感じがする。
遠く昔に引き裂かれた半身のような。
私にお姉さんがいたら。いや、姉というよりは、もっと近い…。
でも、ここにいる彼女は本当は違う。
私の半身でも、姉でも。

――母親、でもない。


私の大切な友達の一人。
何者でもない、かけがえのない一人。


「行こう、レイ」

彼女の名を呼んだ。精一杯の思いを込めて。

「ええ」

綾波は、レイは微笑んだ。
今度はそう見えたのではなくて、本当に。
いつかエントリープラグの中で見た、あの綺麗な笑顔で。

752:621の続きで
06/10/09 04:31:17
エヴァのエントリープラグの中。
その存在自体が苦痛でしかないというのに、変わらず不気味に居心地の良いその空間。
傷つけることしか教えてくれなかった。
肝心なときになにも出来なかった。
この血の匂いのする液体に浸り、敵と戦うことが前はあんなに嫌だったのに。
今はこうして何もせずに待つだけが辛くてたまらない。
ウインドウには敵の様子を伺いながら待機する零号機の姿。
その青い機体の中には彼女が乗っている。
もう失いたくない。

もしこれ以上何か失ったら。
綾波を、レイに何かあったら。
あったら、私は――


「レイ!」

『目標、零号機と物理的接触!!』

円形のらせん状に空中を漂っていた使徒は、
零号機を認識するとその線を断ち切り帯状に変化した。
そして零号機を認識するとまるで触手のように襲い掛かる。
ライフルでの攻撃は効かず、零号機の青い機体にそれは突き刺さった。

753:621の続きで
06/10/09 04:32:36
『零号機の生体部品が侵されています!すでに5%以上が融合されています!』

突き刺さった零号機の腹と、使徒を掴む腕。
使徒と繋がるそこから血管のような痕がどんどん広がっていく。
「父さん!私を出して!今すぐ私を出してよ!!」
意味が無いとわかっていても、必死にレバーを動かした。
苦しげに呻くレイの声が聞こえる。

「早く!父さん!レイが…!レイが!」

弐号機のときは、アスカのときは父さんは私を出さなかった。
また、守れないの?
あのときと同じように。
いやだ…そんなの嫌だ!!



私は私。
誰でもない、誰にもなれない。
私は私。

私の中に入ってくる。
何かが入ってくる。

誰?
エヴァの中の私。
いいえ、違う。
私じゃない。
私に似ていても私じゃない。

754:621の続きで
06/10/09 04:33:44

誰?


私は私
私はひとり
私はたくさん



「レイ、あなた最近変わったわね。何だかあなたらしくないわ」



私らしいって何?



いつかのあの時の光景を思い出す。
薄く汚れた白い壁に包まれた部屋。
嫌な感じのにおい。
嫌な感じのする部屋。
いつ来ても慣れない。

「表情が人間らしくなってきたわ。どういう影響かしら」


755:621の続きで
06/10/09 04:36:31

私は私。


私らしいって何?


今存在する私が全て。
私の後の私のことは、わからない。

私は私。


でも私はたくさん。


「ただの人形かと思っていたら、あの人の娘に取り入るなんて」

私は私。

人形じゃないわ。

「でもね、レイ。あなたがどんなに変わってもそれは意味のないことなのよ」




  わかっているでしょう?





756:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 12:05:55
朝早くから乙

757:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 14:44:53
このスレの住人に合いそうな・・・
vipだけど。
スレリンク(news4vip板)

758:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 19:54:37
小公子セーラが女シンジきゅんに前から思ってたわ

759:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 21:05:27
でもあれって、今読み直せばあまりにマゾっぽくて少し萎えるかも。
もっと男らしく、燃えと熱血と不屈の勇気で逆境を乗り越えるセーラが見たいような。

760:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 21:08:00
毎回よかった探しをするセーラ。

761:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 01:16:45
社交界の花となり、やがてロシアに渡って啓蒙専制君主として名を馳せるセーラ。

762:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 01:39:21
見た目がさ、ロングの女シンジきゅんみたいだなあと

763:621の続きで
06/10/10 02:17:56
血管の様な痕はみるみる零号機を包み込む。
やがてその青い機体の背中が盛り上がり、肉の塊となって膨れ上がった。
あれは…今まで倒した使徒?こんなの尋常じゃない。
「―初号機の凍結を、現時刻をもって解除。ただちに出撃させろ」
低い声が発令所に響く。
「…はい。シンちゃん。聞こえたわね?」
聞こえた。ずっと待っていた言葉。
「はい!」



――私と一つにならない――


いいえ、私は私

あなたじゃないわ




――そう、そうね――


――あなたが一つになりたい人は――

――あなたがなりたい人は私じゃないのかもしれないわね――





764:621の続きで
06/10/10 02:19:43

わからないわ


――でも、もう遅いわ――



――痛いででしょ?――

――心がが痛いでしょ?――




私は私
私はひとり
私はたくさん




――私達はたくさんいるのに、一人でいるのが嫌なんでしょ?――



サミシイ?


サミシイノ?



765:621の続きで
06/10/10 02:20:37



――それはあなたの心よ――




――鈴原君のことでここを出て行ってしまった碇さんを見てどう思った?――
――毎日惣流さんの病室へ行く碇さんをみてどう思った?――



――鈴原君を自分の命に取り込んでしまった彼女を見てどう思った?――
――毎日目を覚ますことのない惣流さんの手を握る彼女を見てどう思った?――



――羨ましかったでしょう?――


――彼女になってしまった鈴原君が羨ましかったでしょう?――

――彼女が見て、触れられる惣流さんが羨ましかったでしょう――





766:621の続きで
06/10/10 02:21:42

痛いって何?
寂しいって何?


私らしいって何?


好きってどういうこと?


そんなこと今までわからなかった。


けれどあの人は微笑んでくれた。
彼女は私の手を握ってくれた。

彼女は私と約束してくれた。


私が死んでも変わりはいるもの。


私が死んだらその思いも消えてしまうの?





――それがあなたの心よ――



767:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 02:22:51
GJ!!

レズだあ

768:621の続きで
06/10/10 02:23:02
『シンちゃん!ATフィールド全開!目標と接触しないように気をつけて!』

初号機が射出されると同時に、こちらに気付いたのか膨れ上がった肉塊から
触手を伸ばし、襲い掛かる。
ライフルも効かない。迫り来る敵の一部を握り締め動きを止める。
そしてナイフを突き立てようとしたその時
「………ッ…!?」
真っ白な光の触手は徐々に形を作り始めた。
誰でもない、たった一人の存在。
私の友達。
私が握った白い掌。

…レイ?

「く…ッ…あっ……!!」
握り締めた初号機の腕から何かが私の中に入り込んでくる。
先ほど見た零号機の姿と同じ。血管状の痕が私の腕から広がってゆく。
そのときは私の脳裏に、身体に、心を支配した激しい奔流。
「何…?」
痛みと同時に流れ込んでくる他のもの。
抑えきれない衝動。


涙…?


私は泣いていた。




769:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 02:24:21 XCsSl4yX

「何……?これ…?」


生温かくて、どろっとしてて、ゆっくり胸を締め付けられるような――



「あ…っ…く…くぅ……!」

血管状の痕は体中に広がっていく。
痛い。でも痛みなんて関係ない。

助けなきゃ。

今度誰かを失ったら。
今度君を失ったら。

「あ…綾…波…」


私は――



「…ッ…レイ!!」




770:621の続きで
06/10/10 02:25:08
あれ?何かあげちゃった…。すみませんorz

771:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 02:26:58
ごめん、途中邪魔しちゃいました
乙です

シンジきゅんの喘ぎハァハァ

772:621の続きで
06/10/10 02:28:04
>>767
ごめん。限りなく百合に見えても百合じゃないんだ…

773:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 02:49:54
バル戦といい、あんたわざとシンジきゅんの喘ぎ声エロくしてるだろwww
カヲル登場が近づいてきたな

774:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 08:09:28
エロ声ハァハァ。
これが映像で当時流れてたら、確実にこれで抜いてたな。

775:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 14:13:15
綾波にも死亡フラグ成立しちゃってるからなぁ・・・
やっぱり死んじゃうのかな(´・ω・`)

776:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 16:41:24
貞版準拠でここまできたけど、貞版追い越した後は?

777:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 16:50:47
アスカの精神崩壊とか徐々にアニメ版になってるから
EOEで終わるんじゃね?
カヲルも庵カヲらしいし

778:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 20:24:13
アニメ版か…。カヲルと風呂入るのかなぁ…

779:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 21:45:48
一緒に風呂入るとしたらカヲルが女湯に乱入だろうな。
洗面器をカヲルに投げ付けるシンジが見たいかも・・・

780:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 22:13:45
シンジきゅんと風呂なんぞ入ったらトウジが化けて出ます
っていうか、庵カヲだよな?
この欝展開で貞カヲだったらシンジきゅんマジでぶっ壊れるぞ

781:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/11 01:53:07
>>748-751
とてもいいね
漫画版の台詞のアレンジが入ってたり
レイをレイとして受け入れる下地ができてたり

782:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/11 16:53:16
貞カヲじゃなく庵カヲなの?
庵カヲに傷心のシンジきゅんがときめくのか…


783:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/11 19:33:15
貞カヲにときめかれた方が嫌じゃね?

784:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 00:43:57
>>779
変態くさいカヲルだなあ。

785:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 07:35:53
アスカいわく、ナルシス変態ホモだそうだからw

786:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 17:40:09
とりあえずホモじゃなくなるな

787:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 21:26:51
そういえば、落ち込んでる女の子に言い寄る男ってごく普通のシチュエーションじゃないか。

788:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 22:21:15
相手がトウジなら許せるんだが
カヲルだと許せない心の狭い俺

789:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 22:30:22
安心しろ
お前の心は広い
俺なんか両方許せん

790:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 22:49:07
よう、俺。

791:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 23:06:42
>>789>>790
俺もだ。

792:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 23:14:05
俺がいっぱいだ

793:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/12 23:24:01
シンジきゅんの幸せを考えると相手がトウジでもいいかな…と
嘘です。本音は同じです。俺が何人いるんだよ?
こう…なんか娘を嫁に出す気分だ。

794:621の続きで
06/10/13 00:15:41



本当に羨ましかったのはきっとあなたの存在。



他人を嫌い怯えながらも、それでも繋がろうとしたあなた。








帯状の真っ白な光、私の形を象って初号機に襲い掛かる。
紫の機体に広がっていく使徒。


あれは私の心
碇さんと一緒になりたい私の心


このまま何もせず見届けていればあなたになれる

このまま見届ければ全てが手に入る





795:621の続きで
06/10/13 00:16:33



このままあなたと一つになってしまえたら





あなたになれたら













なんて幸せ









796:621の続きで
06/10/13 00:18:47



火傷した指先は少し痛んで
白い湯気を立てる紅茶は僅かに苦くて

私を見て彼女が笑って

鈴原君を見て彼女が笑って
惣流さんを見て彼女が笑って
葛城三佐を見て彼女が笑って

碇司令を見て少し悲しそうな顔をして


繋いだ手はとても温かくて

私の指先とあなたの指先が触れ合って



触れ合って―――



「…………ッ……!」





797:621の続きで
06/10/13 00:21:24


あなたになれたら


それは夢のように幸せ









覚めない悪夢のような幸せ









このまま見届ければ全てが手に入る

このまま見届ければ全てが終わる



798:621の続きで
06/10/13 00:24:27


「……ダメ」



彼女の命に取り込まれた彼は、最後に何を思ったのだろうか?




幸せだった?








いいえ



あなたになってしまえばあなたにはもう触れられない



「だから……だめ…」



799:621の続きで
06/10/13 00:26:53
痛みと共に広がる思念の奔流。
痛い。痛い。痛い。
身体が?
それとも心が?

だけどそれは一瞬のことで、次の瞬間消えうせた。

『レイ。………死ぬ気!?』

我に返った私の耳に届いたのは、モニターから流れるミサトさんの声。
蹲った零号機は使徒を押さえ込み、その肉塊を潰していく。
「レイ!?」
潰れた肉を抱きしめる零号機の元へ走り出す。


最初は君が苦手だった。
どうしたらいいのかわからなかった。

だけど、君と話して
君に触れて
君は私の大切な友達になった



たった一人の大切な友達



君を失ってしまったら
君までいなくなってしまったら
また、守れなかったら


800:621の続きで
06/10/13 00:28:18


私は――


肉塊はほとんど潰れてしまって、零号機はまるで自分自身を抱きしめてるみたいだった。
その腕の中が徐々に眩い光を放ち始める。

手を伸ばす。
伸ばした手は、いつだって届かない。

それでも必死に伸ばした。


君の手を握ったこの手を。






――伸ばした手は、いつだって届かない






爆音と閃光が辺りを包んだ

801:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/13 22:14:44
嗚呼GJ

802:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/14 02:00:03 5oefwt4A
展開は本編と同じはずなのに…あれ?おかしいな?
泣いてるのは俺?

803:執行者
06/10/14 02:06:04 YGfpFC2g
URLリンク(atura.jp)

804:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 01:20:41
人いないな…

805:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 02:10:12
もともと過疎スレだし語りつくした感もあるんで、ネタが無ければこんなもんだ

806:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 02:47:36
最近目覚めた俺はどうしたらいい

807:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 02:53:13
>>806
入門編に新性記エヴァンゲリオンG読んで来い。
泉のシンリ物はまだ読めたっけ?

808:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 02:55:34
>>806
過去ログに一通り目を通してどんな話題があったかだけでもつかんでおいてくれ

809:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 03:02:10
ありがとう。
とりあえず過去ログから手を付けはじめるよ。

810:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 03:06:50
>>809
過去ログ倉庫の「女シンジきゅんに萌えるスレ」が実質初代スレな

811:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 03:11:06
今日は寝ないで読むよ
ここ読んで女シンジとトウジがくっつくのもいいなって思った
まぁくっつかなかったけどさorz

812:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 03:50:21
>>807
入門編にしてはキツすぎないか、あれ?w
シンジの性格も違うし、無数のパロディが突っ込んであるし
たとえば本編シンジきゅんが女になっただけのような女シンジが好きな人はかえって嫌悪感を覚えるかもしれないな。

813:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 03:52:11
仕方がない。
それでは[僕の部屋]から『YOU ARE MY PET』だな。

814:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 03:54:39
>>811
女シンジとトウジがくっついてるのが見たいなら家族スレ行け

815:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 03:58:44
新規が増えると活性化するな

816:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 07:52:39
どうせ女になるなら
格好いい女になってくれ派


新性器は個人的にダメだけど。
鬱々としながらも、やることはやる。
ギリギリでって感じ。

817:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 09:14:05
恥じらいを持った女シンジが好きな俺はあのね氏のSSが好きだ、個人的に

818:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 10:47:20
>>817
シンジの性格が違うような気がするけど、俺も大好き。

819:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 23:43:59
やっと追いついた

820:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 00:52:46
>>816
何気に同意。元のシンジがあまり積極的にカコイイというタイプじゃないし
拒否反応持つ人がいても当然の気が駿河。
俺は逆に新性記は結構好きだけれど。今川ノリが好きだから。

821:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 01:09:43
影があったり、悩むならとことん悩みまくるキャラが男女問わず格好いいと思う俺は少数派。
まあその中で女体化萌えまで行き着いたのはシンジしかいなかったわけだが

822:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 02:59:46
やっぱシンジきゅんを超えるいい女はエヴァキャラにはいないな。

823:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 08:01:13
>>821
それはただの中二病なんでわ

824:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 08:23:21
でも厨房らしいかっこよさもヤダ
スパロボのバンプレストオリジナルキャラみたいな

825:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 08:52:33
>>823
中二病患者は悩む自分が格好いいのであって、二次元だと美形や天才設定キャラが好みなことが多いものさ

826:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 09:47:16
カヲルスキーとか

827:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/17 16:35:40
>>813
あの女シンジは俺も一押しだな。
難点は何年も更新されてないことと、途中からアスカやレイに関する話が多くなって
女シンジの影が薄くなっていってるとこか。

828:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/17 16:54:05
あれはシンジきゅんらしい女シンジきゅんだったな
むしろ男シンジのほうがシンジらしくない、と

829:621の続きで
06/10/18 03:07:26

ああ、私は嬉しかったのね




私の無事をあなたが喜んで泣いてくれたとき
あなたが一緒に生きようと言ってくれたとき
全てが終わったら皆で過ごそうと言ってくれたとき
私とあなたが姉妹の様だと言われたとき
あなたが私を母親の様だと言ったとき



あなたと手を繋いだとき
あなたと約束をしたとき


あなたが私の名前を呼んでくれたとき


私を、ただ一人の私を、





――友達だと思ってくれたとき




830:621の続きで
06/10/18 03:08:57


私は嬉しかったのね




最後のこんな瞬間に気づくなんて







碇さん



ねぇ








私はね―――



831:621の続きで
06/10/18 03:10:16


私は多分酷いことをしている。


あれからもう何日経ったかわからない。
この前のときとは違う。
ATフィールドの内側で吹っ飛んだ。


死んだのかな?レイは…。


涙は出なかった。

泣いてしまえば彼女が死んでしまったことを認めてしまうようで嫌だった。


変わらず学校には行っていない。家にも帰れなかった。
家に帰ればミサトさんはきっと私を慰めるだろうから。
そんなことをされてもレイの死をありありと実感してしまうから嫌だった。


832:621の続きで
06/10/18 03:11:54
私は多分、酷いことをしている。
あの事件が起きてからずっと私はアスカの病室で彼女に寄り添っていた。
アスカは目を覚まさない。私を拒絶しているかのように。
レイがいたころはそれが嫌だった。
だけど、今はそれが心地よい。
ここには誰もいないから。
レイの死を悲しむ人がいないから。
アスカはきっと、レイがあんな目にあってもそんなに悲しみはしないと思うから。
守れなかったくせに、今更そんな風にアスカに頼るなんて。
利用するなんて。

アスカが起きて私を見たら何て言うだろう?



私はきっと、酷いことをしている。



だけど





きっともうそれしかできない。




携帯のバイブレーターが小さく響いた。

833:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 17:56:32
乙!
百合に見えるが百合じゃないのか・・・

834:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 18:11:16
そんなギリギリラインに萌える俺

835:621の続きで
06/10/19 00:31:24


―――いらっしゃい、真実を見せてあげる―――



君の笑顔を覚えている。
君と交わした約束を覚えている。
君の手の温もりを覚えている。
君の言葉を覚えている。


君の無事を聞かされて嬉しかった。
君と初めて一緒に戦ったとき
エントリープラグの中で目を開けた君を見たとき以上に。


だから平気。



「私は多分、三人目だから」



初めて会ったときの様な何も無い瞳。

だけど私はちゃんと覚えている。


836:621の続きで
06/10/19 00:33:25

君が何者であっても平気。
君は君だから。
君はたった一人の私の友達。



たった一人の




それだけはたった一つの真実


そう、真実





「これが、真実よ」






――真実



837:621の続きで
06/10/19 00:35:42
真っ暗な部屋の中に響く音は低い機械音だけ。
足元の小さなランプが部屋を薄暗く照らしている。
オレンジ色のぼんやりとした光と共に露わになる水槽。

その中には。



――君は




『もし誰もいなくても。もし、全部終わったら…お祝いしない?』




――君は一人




『せめて、私達だけでも。私達二人だけでも…』




――だけど君はたくさん




838:621の続きで
06/10/19 00:37:42
透明なオレンジ色の光を放つ水槽の中には、私と約束をした彼女。
私の手を握ってくれた、私がその手を握った彼女。


綾波…レイ。



いくつも、いくつも。



それはそこに「在った」



「在った」




真実。

これが真実?


「そう、これが真実よ。こんな物のために私は今まで苦しんできたの」

抑揚の無いリツコさんの声。

「だけど、その苦しみもこれで終わるわ」


839:621の続きで
06/10/19 00:39:06
細く形の良い指先がリモコンのボタンを押した。
小さな電子音と同時に響く破壊音。
オレンジ色の世界は瞬く間に薄暗い闇に染まっていく。


私は世界は汚れていて、綺麗なものなんてこの世には存在しないとか、
世界の全てを見てきたような、何もかもわかったような口を効く気はない。
でも、特別綺麗なものもないと思っていた。
単調な世界。モノクロの世界。
それがたった一人の私の世界だった。

だけど私の単調な灰色の世界で、君は私に色をくれた。
あの時見た君の笑顔はとても綺麗だった。

「………レイッ!!」

君が壊れていく。
あの時見た綺麗な笑顔と共に。
ちぎれて、崩れて、形を失くしていく。
私はまた見ているだけで何もできなくて。

それでも何かしたくて、水槽に手を伸ばそうとした。

「安心していいのよ。これはあなたの知ってるレイとは違うものだから」

こちらを見ずに背中越しにリツコさんは語る。

「ここにあるレイはただの入れ物。あなたの知ってるレイとは違うものよ
 あの日会ったレイもね。あなたの知ってるレイはもうどこにもいないの」

840:621の続きで
06/10/19 00:40:48

「リツコ!!」

その言葉が全て終わる前にミサトさんが叫んだ。
だけどその制止も私の耳には届いていなかった。


君が壊れていく。
微笑みながら千切れていく。

「そんな…だって、それでも…!レイは私の…」


私の友達。
たった一人の存在。


だけど


これはまるで―――


「物よ」


残酷に言い放たれた真実。



「人の形をしたただの物よ」


841:621の続きで
06/10/19 00:42:46

君は一人。

君はたくさん。


これが、真実。
逃げては行けなかった真実。



レイ……いや、綾波


母さん






―――父さん





「ただ『物』が壊れただけなのに、どうしてあなたはそんなに悲しそうな顔をするの?」



壊れていく『物』を背に、ゆっくりと振り返って微笑んだ彼女は泣いているみたいに見えた。

842:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 15:10:25
リツコがすごく残酷に見える件について。

思えば、ユイそっくりのレイをあれだけ敵視したんだから
ユイの息子ではなく娘のシンジなら、余計ムカついてたとしても不思議はないな。

843:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 17:07:00
>>842
あれはゲンドウがレイに執着していたからじゃないのか?
放任されてたシンジなら逆に同情されても不思議じゃないと思う。


844:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 17:11:07
いよいよカヲル登場か…

845:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 17:13:26
大ッ嫌いなレイと、愛する男の娘が仲良かったら複雑な気分になると思う

846:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 19:34:13
レイたんカワイソス
シンジきゅんもカワイソス

847:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 19:42:47
カヲルに手籠めにされてまう

848:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 20:25:06
リツコさんにとってレイは作られたモノでしかないから
これほど残酷になれるんだろう

849:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 21:43:12
このままカヲルの野郎に、シンジきゅんを盗られてしまいそうだ

850:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 22:41:33
>>843
シンジがどれほど母親似なのかにもよると思う。

851:621の続きで
06/10/19 22:54:20


縋る小さな身体は酷く痩せていて。
いつまでも鳴き続けていた。

私だけを映し出す澄んだ瞳。




私はどうすれば良かったんだろう?















―――あの小さな身体は今頃どうしているのだろうか?



852:621の続きで
06/10/19 22:56:29

「どうする?明日からの中間テスト」

空は相変わらす青い。蝉の声がうるさい中でケンスケの声が響いた。
「どうなるかわかってたら苦労せんわ…」
「私は…腹をくくるよ…。アスカは?」
「あたしは大学出てるから別に」
「ちょっと皆…。やる気だしましょうよ」
うんざりした声で返事を返すと、委員長は力なく励ましの言葉をくれた。
「シンジ!お前向こうの学校じゃ優等生やなかったんかい!?」
「しょうがないよ…。こっちに来てから勉強する暇なんてなかったもん…」
「だらしないわねぇ!」
「そう言うアスカだってこないだの小テスト散々だったくせに!」
「うるさいわね!何書いてるかわからなかっただけよ!!」
ああ、なるほど…。アスカは漢字がまだ駄目だったっけ…。
でもそれを口に出すときっと怒られるから言わないでおく。
「こうなったらシンジん家でテスト勉強や!」
「さんせー!!」
「何で私の家なの!?」
「ミサトさんに会えるから!!」
ああ、なるほど…。二人は寸分違わず一緒に返事をした。
「まぁいいや。ねぇ、委員長。私に数学教えてくれない?」
「いいけど…。私英語が駄目なのよね…」
「それだったらあたしが教えてあげるわ。その変わり国語教えてくれない?」
「じゃあ俺らは…」
「全部でしょ!!」
今度は私とアスカと委員長三人が一斉に同じ返事をした。
そんなたわいもない話をしながら歩いた帰り道。
いつもの帰り道。けれどそのときは少しだけ違っていた。

853:621の続きで
06/10/19 22:57:28
「たぶんミサトさん仕事でいないと思うよ?」
「それでもいい!!」
二人の若い男の子達は元気に返事をした。
「元気だね…」
「元気出さなやってられんわ…」
「中学って、留年が無くて良かったよな…」
「…………うん」
委員長はとても成績がいい。アスカは大学を出ている。
空はあんなに青いのに、私達三人の顔は曇り空だ。
立ち止まって、同時にため息を吐いた。
そのとき。
「うわっ!!」
「ど、どうしたの?碇さん」
「いや…何か足に変な感触が…」
足元に感じたふわふわした頼りない感触。恐る恐る目線を下に下げると。
「……ネコ?」
そこにいたのは真っ白な小さな子猫。抱き上げるとその身体はあばらが浮いていて酷く痩せていた。
「私に擦り寄っても何もいいことないよ…」
そう呟くと、白い子猫はわかっているのかいないのか、にゃあと小さく鳴いた。
「捨て猫かしら?」
「そうみたいだね。私とアスカじゃ飼えないし…」
「あったりまえでしょ。ヒカリは犬がいるから駄目だし…」
「俺も駄目。パパが多分許してくれない」
「ワシも無理や。うちのマンションペット禁止やし」
痩せた子猫の大きな瞳は私をだけを写していた。綺麗な澄んだ瞳で。
「…ごめんね」
だけど、私はその瞳を見ることができなかった。抱き上げた子猫を元居た場所に戻した。
「着いて来ちゃ駄目だよ。飼ってやれないんだから!」

854:621の続きで
06/10/19 22:58:16

縋るように子猫は鳴いていて。
酷く痩せた小さな身体で力いっぱい鳴いていて。

大きな瞳にたった一人だけ写して。


母親とはぐれたのか、一人ぼっちで鳴いていて。

鳴いていて。






泣いていて。




いつかの私みたいだった。


「トウジ、お菓子持ってたでしょ」
「あ?ああ。でも何するん?」
「ちょうだい」

手渡された少し残っていたスナック菓子を、白い子猫の前に置いた。


855:621の続きで
06/10/19 22:59:11
それがいいことかどうかはわからなかった。
何をすればあの子にとって一番いいのかわからなかった。


だけど、何かしたかったんだ。






楽しかったあの頃の思い出。

















あの痩せた白い子猫は今頃どうしているのだろうか?


856:621の続きで
06/10/19 23:00:46
ほんの少し前はあの教室で授業を受けていた。
あの屋上で弁当を食べた。
あそこに皆がいた。



私は笑っていた。





ほんの少し前は。



先日の避難勧告のあと、シェルターの外は酷い有様だった。
そして、ここも。
窓ガラスはほとんど割れて、透明な欠片が床に散らばっている。
机には砂がかぶっていた。
「委員長は先に疎開するんだっけ?」
「相田君は私のあとで行くのよね。また、会えるといいわね」
「そうだな…」
記憶の残骸が残る教室で、ケンスケとヒカリは話していた。
粉々になったガラスが靴底で小さく音を立てて更に割れた。
その音がやけに不快で、顔をしかめてしまう。
「ここにみんながいたなんて、信じられないわね」
そう言いながら、ヒカリは窓枠に肘をついた。
その背中は酷く小さく見えた。
彼女は知っているのだろうか。あれからトウジが学校に来なくなったわけを。

857:621の続きで
06/10/19 23:03:11
「あれ…?」
「どうしたの?」

ガラスが全て無くなった窓を覗き込む。けれど彼女の視線の先には何も無かった。
何かあったとしても、瓦礫の山に隠れてきっと見えなかっただろうけど。
「今、あそこに学校の制服を着た子がいたように見えたの」
「誰もいないけど…。俺達みたいに疎開前に最後に見にきたのかな?」
「女の子の…制服、だったわ」
彼女はそう小さく呟いた。


女子生徒。


その言葉で思い出したのは、きっと二人とも同じだっただろう。

淋しげな目をした短く切り揃えられた黒髪の少女。

「もし、そうだったとしても…良かった」
「………え?」
「彼女に会ってしまっても、元の通り、友達として普通に話したくても
 きっともう、あんな風に話すことなんてできないと思うから…」
ヒカリはそう呟くと、悲しそうに微笑んだ。



もう、戻れない。どんなに戻りたくても。




それをどんなに望んでいても。

858:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 23:47:50
GJ!!!!

TSカヲルの予感

859:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 23:52:50
TSカヲルはやだなぁ・・・

860:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 00:18:21
久しぶりのトウジが…三馬鹿が…委員長が…

・゚・(ノД`)・゚・


861:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 00:39:28
百合の花が作

862:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 01:17:20
もしTSカヲルなら他でやって
気持ち悪いから

863:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 01:18:52
>>862

864:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 01:45:02
>>862

865:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 01:51:10
普通にシンジが学校見に来たんじゃないの…?

866:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 02:08:20
そだろwwちゃんと嫁


ともあれGJ
回想の日常描写に涙がうるっと出た


867:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 16:43:40
>>862


868:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 17:02:17
>>862の人気に嫉妬

869:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 18:01:45
>>858>>859>>861>>862

870:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 18:08:06
はずれ

871:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 18:30:43
>女子生徒。


>その言葉で思い出したのは、きっと二人とも同じだっただろう。

>淋しげな目をした短く切り揃えられた黒髪の少女。

シンジを見たとは書いてない
TSカヲルの悪寒

872:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 18:38:28
TSカヲルはイラネ

873:621
06/10/20 18:55:56
何か物議をかましてるみたいだから、先に言っとく

カヲルは男
ヒカリが見た女子生徒はシンジ

874:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 19:09:17
みんなハズレだったな

875:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 20:45:02
俺は男でも女でも誰であろうとも
シンジきゅんといちゃいちゃされるのが嫌だ
俺と代われと言いたくなるのでw

>>873

投下を待ってる

876:621の続きで
06/10/20 23:16:58
走った。
途中で何度も転びそうになっても。それでも。
息を切らせて辿り着いた部屋で、私はすぐに身に着けていた物を脱ぎ去った。
青いベストもスカートも、ブラウスも、下着も全部。
そして、また着替えなおす。
あの頃の、先生のところに居たあの頃の私の服に。
白いシャツに、インナーにTシャツ。黒のパンツ。
そしてまた部屋を出た。

壊れた学校の教室を見上げた。
崩れかけた校舎。
あの教室に居た二人の生徒。

一瞬だけ私を見た瞳。


今更あのときに戻れるだなんて思っていない。



それでも、何処かで望んでいた。





何も出来なかったのに。



私は汚い。

877:621の続きで
06/10/20 23:19:03
私が男の子だったら、こんな想いをせずに済んだだろうか?
私が大人の女の人だったら、誰かに何かに頼って楽になれただろうか?

こんな男の子みたいな服を着たって、私は女だ。
どんなに背伸びをしたって、私は何も出来ない子供だ。
取り繕っても男の子にもなれない。
大人の女の人みたいに男の人に縋ることも怖くてできない。

守りたかった、守れなかった、大切なもの。


私の命に取り込んでしまったトウジは、まだ私の中にいてくれるのだろうか?

水槽の中で壊れて行ったレイの欠片は、一体何処で眠ればいいのだろうか?


君が


君が目を覚まして私を見たら、なんていうだろうか?










私はきっと、酷いことをしている。


878:621の続きで
06/10/20 23:20:15


「ねぇ。私、どうすれば良かったのかな…?」


気が付いたら、アスカの病室に居た。
心電図が定期的に軽い電子音を立てる。
それ以外の音も、アスカと私以外の人は存在しない白い空間。
何も言わずに眠り続けるアスカの前に立ちに話しかけた。


「ねぇ、学校壊れかけていたよ」


私はきっと酷いことをしている。


「あそこもあんな風になったんだから、きっとあの畑もなくなっちゃたよね」

もう跡形も無いだろう。
何かを生み出すことが出来ない男の人が一生懸命育てたスイカ畑。
私の心を揺さぶって、勝手な言葉を投げかけて、勝手に自由になったあの人。
あの人はもういないのに。

「ねぇ…、加持さんはもういないんだよ…?アスカ…」


私はきっと酷いことをしている。


「ねぇ…、私どうすれば良かったの?」


879:621の続きで
06/10/20 23:21:01

私はきっと酷いことをしている。




私はきっと。




いや、違う。






「ねぇ…どうすれば良かったのかなぁ…?」









私は酷いことをしている。

880:621の続きで
06/10/20 23:23:16

―――約束は何一つ守れていない





『ねぇ、全部終ったら。こんな戦いが全部終ったら。皆でお祝いしようよ。
 ミサトさんや、加地さんや、アスカや皆と…』


『きっと、楽しいよ。綾波も一緒にお祝いしよう。皆で一緒に笑おう』


『全部終ったら…、お前に言いたいことあんねん。聞いてくれるか?』


『じゃあ、碇さん。あとで教室でね』










―――何一つ守れてはいない


881:621の続きで
06/10/20 23:24:25


『もし誰もいなくても。もし、全部終わったら…お祝いしない?』


『せめて、私達だけでも。私達二人だけでも…』




―――取り返しの付かないくらい遠くに来てしまった





『次はもう殺さないようにさ』










―――あの日々さえも思い出せないほど


882:621の続きで
06/10/20 23:25:32

もう戻れないの?








歌が聞こえた。

















きみがうたったうた。


883:621の続きで
06/10/20 23:26:34


「歌はいいね」


幾分おかしなメロディだった気もしたけど、
低い声で奏でられた鼻歌は心地よかった。
夕日に照らされた湖に打ち上げられた像の上で歌う少年。


「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ」


オレンジ色に染まった横顔が振り返って私を見た。




綺麗な澄んだ瞳が









私を。



884:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/21 00:53:10
続きを!!

885:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/21 00:59:09


886:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/21 01:03:09
だけど音程はちょっとヤバめ・・(笑)
職人さん乙~

887:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/21 08:17:52
age

888:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/21 10:19:59
タバサ~♪

889:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 09:43:54
サバディ~♪

890:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 16:37:24
URLリンク(www.rei-ayanami.com)

891:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 19:31:37
上手い!!これはかなりイイ!


892:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 20:12:36
素敵ですのう

893:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 20:56:28
つかコレってあの絵師のじゃん

894:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/22 21:13:05
>>890
いやもう、たまりません。これこそ理想のシンジきゅんです。ハァハァ

895:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 00:56:02
>>893
前スレで色んな表情のシンジきゅん描いてくれた神のだな
893の神のブログも、女シンジきゅんのブロック崩しの神のブログも発見した俺は勝ち組

896:621の続きで
06/10/23 01:42:11
「そう感じないかい?碇シンジ君」

名前を呼ばれたことで我に返った。
それと、もう一つ気付いた事。
「あの…?」
「知らない者はいないさ。
 失礼だけど、君は自分の立場をもう少し知った方がいいと思うよ?」
「そう…かな…?」
ずっと昔、加持さんにも似たようなことを言われた様な気がした。
もうあの日々も、こうして似たような経験の上で
掘り出されるような記憶と化してしまったけれど…。
もう一つ気づいたことを言いたかったけれど、その前に聞きたいことがあった。
「あの…君は?」
恐る恐る口に出した質問に返ってきた返事は、予想もしないことだった。
「僕はカヲル。渚カヲル。君と同じ、仕組まれた子供達。
 ――フィフスチルドレンさ」
フィフスチルドレン?
アスカがあんな風になってしまって、新しく仲間が増えることは知っていたけど。
まさか、この男の子が…?
「じゃあ…、君が…渚くん?」
あの光景を見てしまってから、
アスカ以外の名前を言葉として口に出すのは本当に久しぶりだった。
声が震えてしまわないように、必死で名前を呼んだ。

「カヲルでいいよ。碇くん」


897:621の続きで
06/10/23 01:43:37
彼は微笑んで返事を返してくれた。
それがまるで、何か大切な贈り物を貰ったような
心が温まる感じがして、私は頬が熱くなってしまった。
だから私も彼の名前を呼んだ。
誰かの名前を呼ぶのは本当に久しぶりだ。

いや、違う。


人と話すのが久しぶりなんだ。


しばらく感じたことのない感情が蘇ってきた。


「あの、シンジでいいよ?………カヲル君」






嬉しい。




898:621の続きで
06/10/23 01:44:39
「あの…でも…」
「…なんだい?シンジ君」
小さく微笑む彼に、さっき気付いた事を漸く言った。
「私、こんな服と髪だけど…女の子なんだ…」
「ああ、ごめんね。名前と写真だけ知っていたから…」
申し訳なさそうにカヲル君は言った。
前にもこうして間違えられた事があったっけ…。
ミサトさんと、トウジと…。
彼の存在は私にしまいこんだはずの記憶を思い出させる。
けれど…。
「いいんだ。よく間違われるし。だから、そのままでいいよ」
「そうかい?じゃあ、シンジ君」
もう一度彼は私の名前を呼んでくれた。
そのことが、何だか本当に嬉しくて私は忘れそうになっていた表情を作った。

私が『笑う』と、彼も、カヲル君も微笑んだ。
透き通るような赤い瞳を細めて、嬉しそうに。
オレンジ色の光に照らされた銀髪は輝いていて
白い肌を一層引き立てていた。


なんて綺麗な人だろうと思った。

微笑みも、その姿も。






なんて綺麗な人だろう。


899:621の続きで
06/10/23 01:45:53


―――なんてきれいなひとだろう?



笑ったのは、人と話したのは久しぶりだった。
それでも、ネルフでシンクロテストを受けて
その受け答えや返事は返してはいたのだけれど。
『話した』のは久しぶりだった。
他人をからくり人形かなにかに見立てて、自分とは違うものだと
認識をしていたのかもしれない。
誰とも会いたくないと思っていたのに。
彼と接して、幾らか心が楽になったのは確かだった。
たとえ、まだ消えない闇が私の中で燻っていても。

それが消えることは許されなくても。

「やあ、僕を待っていてくれたのかい?」

シンクロテストが終わって、シャワーも浴びずにぼんやりと考え事をしていた。
いつもは結果を聞かされるのに今日に限っては何故かそれはなかった。
でもそれもどうでもいいことだった。
もう誰もいなくなってしまったのだ。
私がアレに乗る理由は何一つなくなってしまった。


900:621の続きで
06/10/23 01:47:45


「え?あの…そんなわけじゃ…」

すでに暇つぶしにかけているだけで、
耳には届いてはいなかったウォークマンのスイッチを切った。
微笑みながら彼は話す。

「今日は?」
「これからシャワーを浴びて家に帰るだけだよ」

穏やかな口調で話す彼に、私の口は勝手に話し出していた。
カヲル君に話しても仕方の無い事を。

「本当は、あんまり帰りたくないんだけど…」

アスカもいなくなってしまった。
もう彼女は私を見ないだろう。
ミサトさんともどう接していいのかわからなかった。
私を昔の自分と重ねる彼女。
私はあんな風な大人の女の人はなれはしないだろうから。
ずっと願っていた。
手を伸ばせばすぐそこに誰かがいる生活を。
私を必要としてくれる人を。
少しずつでもいいから歩み寄ってくれる人を。
ここに来て漸く手に入れたと思っていたのに。
それは、一瞬で泡のように消えてしまった。


901:621の続きで
06/10/23 01:48:35

「帰る家。ホームがあるという事実は幸せに繋がる」

カヲル君は中腰になって、座っている私の目線に合わせて言葉を紡いだ。


「良いことだよ」



ああ、まただ。



「僕は君ともっと話をしたいな」



私だけを見つめる澄んだ綺麗な瞳。





壁にかけられた時計をちらりと見ると、彼は言った。

「まだ間に合うね。見せたいものがあるんだ。一緒に行かないかい?」


902:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 01:56:28
さすがに一緒に風呂には入らないか

続きwktk

903:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 02:07:59
おつ

あー奴がきてしまったよ
トウジの霊がたぶん守ってくれる

904:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 03:05:10
二人目綾波も守ってくれる

905:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 03:34:58
追いついた!
続きwktk

あとこの長編オワタら自分も書いていい?

906:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 05:38:16
反対する理由はない。存分にやりたまえ

907:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 07:04:59
age

908:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 13:53:09
腐女子とキモヲタが集まるスレはここですか?

909:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 14:08:14
職人はトウシン腐女子?カヲシン腐女子?

910:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 15:53:09
馬鹿がageるからこうなる
age厨死ね
氏ねじゃなくて死ね

911:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 16:49:08
風呂はないけど、二人で夜の新芦ノ湖遊泳だろw

912:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 17:46:49
>>908
腐女子に会いたいならカヲルスレへお行き

913:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 18:17:26
最近トウシン腐女子の方が幅を効かせているじゃないwwwww

914:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 18:27:07
はいはいスルー。

915:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 19:06:06
これEOEまで行くのかな…?
やっぱりカヲルが迎えにくるのかな?
リビングで女シンジきゅんとアスカのキャットファイト
全裸で綾波に膝枕される女シンジきゅん
オナニーはさすがにないな…

916:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 19:43:18
>>915
シンジきゅんのオナヌー
(; ´д`)ハァハァ

917:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 19:57:34
カヲルが迎えにこなきゃ青葉みたいに恐怖のあまりパシャか?
つぅかあのシーンなかったらカヲルに他に出番は
あと全裸綾波に膝枕される全裸シンジきゅんを眺めるシーンくらいしかないぞw

918:621の続きで
06/10/23 23:14:30
目の前には赤い夕日。
何処までも伸びる影。
雲も空も景色さえもオレンジ色に染まっていく。
空と同じ色に染まった水面に瓦礫の破片が落ちて波紋が広がった。


「綺麗だろう?」


オレンジ色の世界の中で彼は笑った。
白い頬を同じ色に染めて。
彼が連れてきたのは、彼と初めて会った場所だった。
あの時と同じように、目も眩むような大きな夕日。

「ひょっとして。あのときも夕日を見にここにいたの?」
「そうだよ。…君は夕日が嫌いかい?」
「うん…。私はあんまり」

赤い夕日。
夕日は好きじゃない。

多分、あれは私の中の別れのイメージだ。

子供のころ、逆光で何も見えない中で一人で砂遊びをしていた。
母さんの墓参りをしたときも。
あの光は父さんの拒絶するような背中を染めていた。
トウジがもう私に笑いかけてくれなくなったときもそうだ。
陽が傾く中で、私は泣き喚くことしかできなかった。


919:621の続きで
06/10/23 23:15:43

昼と夜との一瞬の隙間。
ほんの一瞬交わるだけの瞬間。
決して一つにはなれないと思い知らされるから。
わかりあえることはないと、嫌でも思い知らされるから。


「昼と夜との一瞬の隙間。ほんの少しの間に見れるものだからこそ
 こんなにも綺麗に見えるのかもしれないね」

だけど、眩い光に目を細めてカヲル君は言った。

「ほんの一瞬交わるだけだからこそ、一層輝いて見えるのさ。
 人も同じ。どんなにわかりあえたと思っても、やっぱり人は一人なんだ」

人は何故か分かり合おうと努力をする。分かり合えたと思う。
だけどそれは違う。分かったと思っているだけ。
いつか父さんが言っていた言葉。
私と父さんは、もうわかりあえることはないのだろう。
そんなこともう嫌になるくらいわかってる。
わかってしまった。

彼は更に言葉を紡いだ。

「それでも、たとえそれが間違いだったとしても…。わかりあいたいと思い
 わかりあえたと感じることは、素晴らしいことだと思うよ」

920:621の続きで
06/10/23 23:17:29
そう言い終わると彼は私をみてもう一度笑い、また視線を夕日に向けた。
夕日に染まった横顔。
ずっと前にもこうして西日に照らされた誰かの顔を見た気がする。
私が、わかりあえたかもしれない、でもわかりあえなかった存在。
私が一度だけ夕日を好きになれた、あの帰り道を一緒に歩いた。
そのときの『彼』とは明らかに違うのにそんなことを思った。

私達は一定の距離を置いて沈み行く太陽を眺めていた。
それ以上の距離を縮めることは私には出来なかった。
オレンジ色の明るい光は、血のように赤い夕日に変わっていく。
赤に照らされた彼の横顔が振り返って私を見た。

「一次的接触を極端に避けるね。君は。怖いのかい?人と触れ合うのが」

血のように赤く染まった光に照らされた彼はそう口にした。
唐突に言われた言葉に、私は一瞬自分が何を言われたのかわからなかった。
でも、そんな風にまっすぐに私を見る瞳を見て必死で声を出した。
コワイ――
そうだ。
きっと怖いんだ。
私が誰かに触れることが。
誰かが私に触れてくれることが。
その温もりが消えてなくなることも、裏切られることも。

「そう…なんだと思う。でも、それはきっと皆同じことだと思うよ」

誰だって、好きじゃない人に触れられてもきっといい気分はしないだろう。


「好きじゃない…?」



921:621の続きで
06/10/23 23:18:26

だから私は誰にも触れない。
だから誰も私に触れない。

それでいいと思っていた。



それでいいのに。


「うん…。あ!でも…私は、カヲル君のことは嫌じゃないよ!?」


自分が何を言ってるのかよくわからなかった。

好き…とは言えなかった。
きっと怖かった。
そういえば、私は誰かに好きと言ったことも
好きと言われたこともなかった。
そんな風に思ってもらえる存在ではないとわかっているから。



彼は微笑んだ。
初めて会ったときのような綺麗な笑顔で。


私はその笑顔に見惚れるだけで、立ち尽くす以外何もできなかった。


922:621の続きで
06/10/23 23:19:47
太陽はもうほとんど沈んでしまっていて、水平線に小さく光を残すだけだった。
輝くような明るいオレンジ色の夕日はいつのまにか真っ赤に染まっていた。
血のように赤い夕日と、その赤に照らされた白い横顔。
その姿がまるで、そのまま何処かに消えてしまいそうで私は酷く怯えた。

「もう戻ろうか。もうすぐ沈んでしまうしね」
「そうだね。もう暗くなっちゃう」

そして、カヲル君は白い掌を私に差し出した。

「そこ、危ないだろう?掴まって」

少女のような白く細い指先。
まただ。いつか何処かで同じ体験をした。
彼は私にどうしようもないくらい懐かしい記憶を思い起こさせる。
もう戻れない。あの頃の思い出。


だけど、もう一度だけ

もう一度だけやり直せるとしたら?







戻れるとしたら…。



923:621の続きで
06/10/23 23:20:32


私が誰かの手を自分から握るのは、きっとこれで四度目。



一度目はトウジ。
怯えるような震えを何とか止めてあげたくて大きな掌を握り締めた。

二度目はアスカ。
彼女がまたその目を開いて私を見てくれることを願って握った。

三度目はレイ。
君との距離をもう少しだけ縮めたくて、近づきたくて、私も掌を差し出した。



そして、四度目は――




「ありがとう…」



私もそっと掌を差し出した。
彼は何も言わずその手をゆっくりと握った。



優しく、微笑みながら。

924:621の続きで
06/10/23 23:21:56
血の匂いが消えていくのが心地よいと思った。
幾分冷えた身体が温まっていくのを感じた。

心が――

心が楽になって行くのを許されないことだと感じていても
それでもこの温かさは消えることが無かった。

湯船につかって暖かな温度のお湯を掌で掬った。
指の隙間を零れ落ちていく透明なそれ。
人を思う事に似ていると思った。

どんなに掬い上げても手の中を流れ落ちていく、透明なそれ。
いくらそれを残そうとしても水は手から零れ落ちてしまう。
その手には何も残らない。

けれど彼は言った。

わかりあいたいと思うことが大事だと


掌には何も残らなくても、指先には雫が残る。
たとえそれが一雫でも。


その雫の意味がなんなのかわからなくても



それでも―――



925:621の続きで
06/10/23 23:23:58
水滴の残る指先を見つめていると、こもった音だけが存在する
白い湯気の立つ浴場に声が響いた。
「シンジ君。いるかい?」
「か、カヲル君!?」
その声に膝を抱えてお湯に浸かっていた私はそのままの姿勢で飛び上がった。
実際は飛び上がるほど驚いただけだったけれど。
聞き慣れた声がどこから響くのか辺りを見渡してしまう。
「こっちだよ」
「………あ」
声は隣の男湯から聞こえてきた。
私はきっと、酷く間抜けな声を出してしまっただろう。
「どうかしたのかい?」
「な、なんでもないよ。どうしたの…?」
幾らなんでも女湯に入ってくる男の子はいないか…。
当たり前のことなのにきょろきょろしてしまった自分が恥ずかしくて
頬が熱くなってしまった。
「僕の石鹸小さくて使えないんだ。ほら。君のを貸してくれないかな?」
その言葉と共に、男湯と女湯を仕切る塀の上から小さな欠片が投げ込まれた。
慌ててそれをキャッチすると
それは消しゴムみたいな大きさになってしまった石鹸だった。
これじゃあ身体を洗うのは無理そうだ。
私が今まで使っていたロゴが少し擦り切れた
まだ新しい石鹸を同じように塀の向こうに投げ込んだ。

926:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/23 23:37:42
乙です!
続きwktk

927:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 01:45:24
ちょwwwwカヲルただの痴漢wwwww

928:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 01:45:47
>>919
ルシオラと横島を思い出した

乙です!!
どうなるのかwktk

929:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 01:48:44
>>927
女湯に乗り込んでないからまだ痴漢ではないw
それにしてもシンジきゅんの使った石鹸使うのか…

930:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:06:12
痴漢ではないな。
女湯にも平気で声をかける四谷さんや横島のようなもの。

931:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:08:41
カヲルはスケベってことか

932:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:10:31
今までトウジウラヤマシスと思ったけどカヲル…いいなぁ…
俺だったらシンジきゅんの使った石鹸持って帰る

933:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:14:24
何かまたage厨いるなぁ…
氏ねばいいのに

934:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:15:01
だってトウジは死んじゃうもんな
いや、カヲルも死ぬな


シンジきゅんに関わった男たちはみな死ぬのか…
魔性の女(((゜д゜;)))

935:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:20:40
加時も?

アニメ版トウジならオイシイかも
シンジきゅんに介護してもらう(;´Д`)

936:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:25:39
アニメは生きてたっけ。シンジきゅんに介護…。

身体を拭いてもらおう。
尿瓶を使ってもらおう。
あーんして食べさせてもらおう。

(*´Д`)

937:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:28:03
何故あげる?

938:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:28:53
萌えたから

939:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:30:59
いくら萌えたと言えどもage厨真っ盛りの時期にageるのはやめなされ
何なんだ?最近のageっぷり

940:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:39:51
何かこの前801スレに暇人どもが集まって荒らしの相談してたみたいだから
そのせいじゃないのか。
荒らし報告してアク禁にしてもらうか

941:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:40:43
職人さんGJ

942:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:43:46
別に腐女子もキモヲタも同じなんだから放っておいてくれればいいのに…


943:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 02:55:33
URLリンク(p.pita.st)

某スレから拾ってきた。
ひんぬーおっぱーい!!!

944:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 03:01:05
これはいい貧乳ですね

945:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 03:04:55
おおお!!やっぱシンジきゅんの基本は貧乳おっぱいだ!!


946:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 07:52:57
シンジきゅんが女の子だと
余計にカヲルの態度が変態っぽく見えてしまうw

947:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/24 11:40:17
>>890
!?
なんちゅー掲示板に貼られてるんだ・・・別にいいけど。
てか、これ多分前にもここに貼ったような気もしなくもない。

>>943
おっぱいおっぱい!!
貧乳おっぱいにパワーをもらった。

URLリンク(shinjikyun.hp.infoseek.co.jp)
URLリンク(shinjikyun.hp.infoseek.co.jp)
ちょいエロ注意。

>>621
乙です。
カヲルがどう見ても下心丸出しに見えます。

948:621の続きで
06/10/24 15:17:59
水が流れる音と、水滴が濡れた床に落ちる音だけが空間を満たしている。
白い湯気がゆっくりと立ち昇るように、時間も穏やかに流れていた。
この塀の向こうに彼がいる。そのことに酷く安心した。
それと同時に違う意味だ良かったと思った。
あの、私だけを見つめる澄んだ瞳。あれが今は無くて良かった。
彼は私に懐かしい記憶を呼び起こさせる。
あのまっすぐな瞳もいつか何処かで見た気がした。
あの瞳は何故か私を怯えさせる。それを何処で見たのかは思い出せなかったが。

「カヲル君。お湯、熱くない?」
「そうだね。ちょっと熱いかな。でもこの熱さは心地良いよ」
「ずっと前に一緒に入った子がいたんだけど、その子も熱いお湯苦手だったんだ。
 こんな熱いお湯によく入れるわねってよく言ってた…」

取り留めない話が幾つも口から出て行った。
彼はそんな話にも付き合ってくれた。
塀の向こうで顔は見えないけど、
きっと先ほど見たように微笑んでくれているのだろう。

どうしよう…。

何だか。



何だか、喉が痛い。

949:621の続きで
06/10/24 15:19:54



「ごめんね。私だけ勝手に話しちゃって…」


「…君は本当は何が話したいんだい?」




喉が。




「僕に何か言いたいことがあったんだろう?」





あのまっすぐな瞳が今は閉ざされていて本当に良かった。




ああ、喉が痛い。



950:621の続きで
06/10/24 15:22:15

「ここに来る前は、先生のところにいたの…。穏やかで何もない日々だった」

水の流れる音が響いている。
白い湯気は周りをぼんやりと白く染めている。
「でも、それでも私は良かったんだと思う。私には何もないから。
 なにも…することも、できることも無かったから…」
ポツポツと私は話し出した。
あの頃のことを思い出していた。
先生の望むとおりの私を演じていたあの頃の私。
「でも、ここに来ていろいろあったんだ。
 私がやらなくちゃいけないことも増えた。私はそれが凄く煩わしかった」

何をしたって私は変わらない。
私には何も無い。
一人ぼっちの灰色の世界。
それが私の世界だった。
だけど…。

「人が嫌いなのかい?」

水滴が滴る音だけの空間に心地よい低音が響く。

「わからない。きっと、どうでも良かったんだと思う」

ただ父さんは嫌いだった。

嫌いで良かった。

951:621の続きで
06/10/24 15:23:05


だけど―――


「だけど、ここで色んな人と出会って、話をして…」

一人ぼっちだった世界はここに来て出会った人達で増えていった。
灰色だった世界は出会った人の数だけ色が付いた。
私は彼に話をした。
ここに来て出会った人たちのこと。
たくさんたくさん。
守りたかった、守れなかった大切なもの。
彼は何も言わずにただ話を聞いてくれた。
そして、とうとう話すことが何も無くなった時、彼は言った。

「彼は君に好意を持っていたと思うよ」
「…コウイ?」


『彼』


太陽みたいに笑っていた少年。
もう会えない存在の一人。



952:621の続きで
06/10/24 15:24:54


銀髪の綺麗な少年は言う。



「好きってことさ」





私が一番欲しかった言葉。
でも誰もくれなかった言葉。


「そんなの…私にはわからないよ…」


もう、きっと誰もくれない言葉。



だってもうそんなものをくれる人はいない。
私は誰も守れなかった。


953:621の続きで
06/10/24 15:26:01


「君は人に触れるのが怖いと言ったね」


それでも彼は言った。

「他人を知らなければ互いに傷つけ合う事も裏切られることもない。
 でも同時に寂しさを忘れることもないよ。さっきも言っただろう?
 人は一人だと。いくら、わかりあいたいと…わかりあえると思っていてもね」

壁一枚向こうに存在する私に彼は語りかける。

「ただ、忘れることができるから――、人は生きていけるのさ」


忘れる――



そうだ、忘れたかった。
忘れてしまいたかった。
嫌なこと全部。
辛いことが多すぎた。

「でも、忘れることはできても消すことはできない。無くす事はできない。
 記憶や傷跡や感情や、何かしらその存在や経験が確かにあった、欠片が残ってしまう」

954:621の続きで
06/10/24 15:26:53


忘れることと無くすことは違う。




「人は無を作れない」



私は―――




「君は淋しいんだね」




サビシイ――?





「わからない」



955:621の続きで
06/10/24 15:28:16
一人でいることをサビシイと思ったことは無い。
今まで一人だったから。
自分が他人に好きになってもらえるような存在だとは思っていない。
人に触れてはいけない。
求めてはいけない。
どうしたらいいのかわからなくなる。


私は―――


「人は誰しも心に痛みを感じている」


喉が痛い。


「心が痛がりだから、生きるのも辛いと感じる」


痛い。


「ガラスのように繊細だね。特に君の心は」


956:621の続きで
06/10/24 15:29:18
この痛みには覚えがある。
いつか何処かで感じた痛み。

ああ。


ああ、私は。





どうして。






君はどうして…。

「どうしてカヲル君はそんなに優しいの?」


どうしよう。


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