♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 9at EVA
♂倒錯シンジきゅんハァハァスレ♀ 9 - 暇つぶし2ch500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/22 17:21:27
いや、この職人のことだからなんか仕掛けかがあるんだって

501:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/22 21:49:57
wktk

502:621の続きで
06/09/22 22:15:16
「そして、死んで終わらせるにしろ、何処か道を見つけて進むにしろ、
 君は君がしたことの結果を見届けてからにするんだな」
…私。
「君は君が傷つけた者の傷を見たことがあるかい?」
……私は。
「血を流し、膿んだその傷口は君が付けたものだ。もう二度と治らない」
目の前で血を流し戦っている彼女達。
もう二度と戻らない彼の命。
私が傷つけたその存在。
「君は本当に、そのまま何もなかったようにこのまま生きていけるのかい?」
でもついさっき、空を見上げながら思った。
きっと大丈夫。私は生きていける。
そうだ、生きていける。
ここから逃げたって、何もしなくたって、私は平気。
涙も出ない。胸も痛まない。…ほら、大丈夫。
「全部一人で抱え込んで。そんなにも、苦しんでいるのに」
その言葉に私は俯いていた顔を上げた。
「前も言っただろう?君は辛いことを無意識に頭から忘れようとしてるだけだ」
何を…?
私が、何を?
私は大丈夫。
大丈夫…なのに…。

「その涙は誰の為だい?自分だけのものじゃないだろう?」

トウジの、考える権利や笑う権利を奪ったのは誰だ?
彼に確かにあった筈の、夢だとか希望だと未来だとか、そんなものを全部奪ったのは…。

青々と茂るスイカ畑に塩辛い水滴が落ちる。
幾つも幾つも。雨のように。
指摘されて初めて私は自分が泣いていることに気が付いた。


503:621の続きで
06/09/22 22:18:18

ずっと考えないようにしていた。
ずっと見ない振りをしていた。


私はずるい。


本当自分が何をしたか理解している。
それなのに、あれは不可抗力だとかしょうがない事だったとか考えてる。
殺したくないのに人を殺してしまった自分を可愛そうだと思っている。
彼の死を言い訳にして私がいなくなった後の、あの二人の事も考えないようにしていた。
彼が全てが終わったら私に何を言おうとしてたのかは知らない。わからない。
私は本当はトウジをどう思っていたのか、どうして欲しかったのか。
もう知るすべはない。
わかったところで、どうしようもない。
だって彼はもういないんだから。
私のせいで死んだ。
私が殺した。
だけど一体私に何ができた?
やかましく泣き喚く他に何ができた?
14の子供に、他に何ができた?
助けられたかもしれない。でも助けられなかったかもしれない。
私の所為じゃない。
父さんの。父さんが…。

――違う。そんなんじゃない。そんなこと今更自覚するために泣いたわけじゃない。

こんなに胸が痛むのは。
一番私が汚いところは。


504:621の続きで
06/09/22 22:20:41
考えようとすらしなかったこと。
言い訳にして利用しようとしたこと。
忘れようとしたこと。

アスカも綾波も戦っているのに。
あんな風に傷ついているのに。それを見ないふりをして。全て忘れて。
そう、彼のことも全て。
忘れた。忘れてしまった。きっと忘れたかった。
でも本当は全部覚えている。
トウジの笑った顔。怒った顔。照れた顔。
私に縋って泣いた君の少し冷たい体温。
あの日君と見た夕日。
全部。全部。全部。
だけどもう彼の思いも、私の思いも知る術はない。

それでもたった一つだけ思い出した。
いつか学校の保健室で委員長に言ったことを思い出した。
今更のように。

「君には君にしか出来ない、君になら出来ることがあるはずだ。
 誰も君に強要はしない。自分で考え、自分で決めろ」

気が付くと、私は私の足元を見ていた。
この足で私は何処にだって行ける。
あぁ、だけどトウジはもう何処へも行けないんだ。
私がトウジを食べてしまったから。
私の中に取り込んでしまったから。

君の髪も、指も、声も、視線も。

――心以外きっと全部。


505:621の続きで
06/09/22 22:25:32

   私はただ、君に。



   君になりたかった。


だけど、欲しかったのは、望んだのはこんな結果じゃない。

踏み付けてなんて、進めない。
私はきっと、私を許せない。

本当は君が太陽みたいに笑う暖かい人だって、とっくの昔に知っていたのに。


「加地さん、一つだけいいですか?」
「なんだい?」
それでも聞いておきたいことが一つだけあった。
どこか私と同じ目をしている彼に。

「もしあなたが、自分のせいで大切な人が死んでしまったとしたら?」

加持さんは、一瞬不意を付かれたような顔をしたけど
すぐにいつもの優しいはっきりした声で答えた。
「……そりゃあ、必死になって気を付けるだろうな」
「…気を付ける?」


「次はもう殺さないようにさ」


506:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/22 23:10:57
gj

507:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/22 23:11:56
加持gj。
EoEでただ自虐に走らない伏線になりえるかな。

508:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/22 23:18:02
伏線の使い方がうまいんですけど

509:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/22 23:39:17
うまー
乙です


510:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 00:09:34
乙。GJ。
何かもうテレビ版の学園エヴァでいいからトウジとシンジ幸せにして欲しい

511:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 02:13:35
すげー
職人は本当になんとかしてくれた

512:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 02:57:34
うまいなぁ

513:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 03:10:34
すみません。ぶっちゃけ女シンジとトウジの組み合わせって正直微妙でした。

君になりたかった。
で涙腺爆発になったけど俺はただ涙脆いんだ。
きっとそうだ。







゚・゚(ノД`)ウワァァァン



すまんかった。超すまんかった。

514:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 07:18:53
この加持さんは貞本版だから、話さなかったけどやっぱり弟や仲間が
自分のせいで死んでるんだろうな。だからシンジの問いに一瞬動揺したと。

このやりとりで加持側にも何か心境の変化があれば、生き延びるまでは無理でも
アスカが壊れるのを防ぐような予防線やケアをして「気をつけて」から逝ってくれるかな・・・
ドイツからのつきあいだったくせに、漫画やテレビじゃあアスカのことは
ほぼ放りっぱなしで勝手に死んだからな。

515:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 07:58:31
もう殺さないために戦ったのに、アスカは精神崩壊だわ綾波は自爆するわ
とどめにカヲル首チョンパでシンジは欝になるわけか

516:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 10:16:09
>>510
学園エヴァとなると、役柄としては
朝起こしに来る幼馴染ですか?それとも転校生ですか?
どっちが美味しいだろうか。

517:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 12:24:34
>>515
加持の台詞だけで劇的に変わるとは思えないが、
少なくとも少しは気をつけておくんじゃないだろうか。
ただ原作どおりに欝ってアヒャって首絞めるだけじゃ、何の芸もないし。

518:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 12:58:06
シンジきゅんを毎朝起こす、もしくは
シンジきゅんが毎朝起こしに来てくれるなら、朝立ち見られて殴られても本望だ

519:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 13:06:38
>>514
マンガの方だと、加持のアスカに対するフォローっぽいのが一応あったけどね。

520:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 16:44:24
>>518
シンジきゅんは殴るなんてひどい事はしませんよ

521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 17:28:36
>>510
こんなん?

「起きろ!起きんか!」
「はっ!?」
「ようやくお目覚めかい」
「なんだ。トウジか」
「何だとは何や。このワシが毎日起こしにきてやってるんやで」
「うん。ありがと…。だからもう少し寝かせて…」
「だー!!起きろ!寝るなーー!!」

あー、ただのラブコメだ…。
トウジは死ぬからいいんだな。

522:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 17:36:21
加持が良いトコ取り役得だな
死ぬけど

523:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 19:46:23
まぁ一見わかりやすいハッピーエンドはテレビ版だよな?
庵野曰くEOEはハッピーエンドらしいけど、自分としてはどうもハッピーエンドに思えない

524:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 20:25:45
確かに庵野の主観であって大多数から見たらはぁ!?って感じだよな

525:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 20:44:20
あくまで庵野の中のハッピーエンドなんだよな。
説明されなきゃわからない。かと言って説明されても、ハァ?だからな。
普通に見たら明らかにバッドエンドだ。
でもテレビ版ラストはダメだ。たぶん幼なじみ役であろうトウジが羨ましすぎwww

526:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 21:13:43
>>521
逆じゃないかな?

シンジ「おーきーろっ!!トウジっ、もうっ起きろってば!!」
トウジ「んぁぁ・・・なんや・・・シンジかいな・・・」
シンジ「はぁ、やっと起きた?もう早くしてよ、また遅刻しちゃうよ・・・」
トウジ「おおきにぃ・・・分かったから、もうっちょっとだけ寝かせてぇや・・・」
シンジ「あー!!もう!!トウジっ、いい加減にしてよねっ」

ばさぁっ

シンジ「・・・・・・あっ」
トウジ「うわっ寒ぅっ。何すんねんアホゥ!!・・・・ん?なんやシンジ、顔まっかっかにして」
シンジ「えっ・・・あっ・・・、は、早く服きてね。外で待ってるから!!!」
トウジ「??まぁええわ。えっとジャージジャージ・・・」



トウジ「あ、朝立ちしとる」

527:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 22:16:39
何か可愛いな。
今投下してる職人さんおまけで書いてくれないかな
とか言ってみる

528:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 23:20:57
トウジだったら妹が起こすんじゃないかと思ってしまった。

529:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 23:24:11
妹公認のGFならいいんジャマイカ

530:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 23:28:30
>>528-529
1)シンジ、トウジを起こしに来る
2)優しく起こすも起きないトウジ
3)「このアホ兄貴、碇さんまで遅刻させる気かいな!」妹激怒
4)はぎとられる布団
5)「キャーーーッ!」「このドあほう!」

531:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 23:31:03
…トウジってなにかとおいしいとこ持って行くな

532:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 23:59:11
>>529
…ガンダムファイト?

533:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 00:03:41 NkMUUwQZ
キモチワルイ

534:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 00:06:29
別にいいじゃん。
まぁ今日も今日とて職人待ち

535:621の続きで
06/09/24 01:05:24
私は走り出していた。
考えるよりも先に身体が動いていた。
息が苦しい。足がもつれる。
それでもただ走った。

「乗せてください!!」

辿り着いたケージで、私は叫んでいた。

「私を初号機に、乗せてください!!」

出せる限りの大きな声を上げた。
今度こそ、父さんに届くように。

「シンジ、何故お前がここにいる」

『使徒がネルフの地下に眠るアダムと接触すればサード・インパクトが
 起こると言われている。今度は人類の命の全てが奪われるだろう』

『それを止められるのは、使徒と同じ力を持つ。―エヴァンゲリオンだけだ』

私には、人類の未来とか、夢だとか、願いだとか、そんなものはわからない。
真実なんていらない。私には重過ぎる。
だけど、たった一つだけ言える事があった。

「私は、エヴァンゲリオン初号機パイロット…碇シンジです!!」


536:621の続きで
06/09/24 01:06:11
「うあぁあぁあぁあぁあぁあぁぁぁぁあ!!!」
発令所を襲おうとしていた使徒に拳を奮う。
本部施設は飴細工のように簡単に壊れていった。
とうとうこんなところにまで!
ちくしょう。
ちくしょう!
もう一度拳を叩きつけようとしたその瞬間、
不気味な顔をした使徒の真っ暗に穿たれた目から光が走った。
「あぁああぁああぁあぁぁあ!!」
閃光と同時に千切られた初号機の左腕。
痛みは感じなかった。ただ私にあったのは…。
この存在を消し去ってしまいたい。きっと、それだけ。
そのまま残された右腕で使徒を殴りつけ、射出口の壁に叩き付けた。
「ミサトさん!!」
「…ッ!!五番射出、急いで!!」
発射された勢いを利用して敵を壁に押さえ込んだ。
摩擦で起きる火花が眩しい。
耳障りな音を立ててそのまま地上に昇ってゆく。
地上に飛び上がったところでその勢いを利用し、使徒に馬乗りになった。
「…はぁ…はぁ…ッ…………ッ…!!」
荒く息を吐き、鼓動を落ち着かせる。
そして辺りを見渡したそのとき、目に飛び込んできたのは――。


537:621の続きで
06/09/24 01:07:49



『君は君が傷つけた者の傷を見たことがあるかい?』



無残に切り刻まれた、弐号機と零号機。
辺りの木々はどす黒い血の色に染まっていた。
私が傷つけた。
私が流させた。
その…色。
アスカ。綾波。
私…私は……。

「わぁあぁあぁあああぁぁぁあぁ!!」

ありったけの力を込めて殴りつけた。
何度も何度も何度も。
あの時と同じ。今の私はきっと、憎しみと悲しみだけで出来ている。
どうして。どうして、この存在はこんなにも許し難い?
私の大切なもの全部。全部。全部!!

538:621の続きで
06/09/24 01:09:53
不気味な顔をしたそれは、苦痛に悲鳴を上げた
スカッとした。
私を苦しめる全ての枷が外れたような気がした。
こんな状況なのに、口元には笑みが浮ぶ。
醜い化け物が苦痛に歪んでいる。
その事実に体が、心が歓喜を感じる。
私は狂っているのかもしれない。
でもいい。
それでもいい。
仮面の部分を掴み、ギリギリと抉るように引き絞る。
限界に達した肉と肉が千切れる不快な音が心地好い。
悲鳴がより強いものになる。

死ね。
死ね。
死ね。
死ね。
死ね。
死んでしまえばいい。

この、傷つけるしか、壊すことしかできない存在。



 まるで――



 私みたいな―――


539:621の続きで
06/09/24 01:13:42
>>527
今日で今週投下分くらいまでは作ったから
書けるっちゃ書けるけど、トウジと女シンジのラブコメ(?)なんて
読みたい人いるの?

540:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 01:25:56
自分は別にいいです
今のだけで十分さ

541:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 01:43:03
乙~
あーいいなぁ狂気のシンジきゅん
ぬははー

>>539
書いていただけるなら喜んで読みます
けど、大変ならいいよ

トウジの夢、叶うことのなかった現実
みたいに最後に夢オチラブコメ……だったらどうしよ

542:621の続きで
06/09/24 01:55:09
いや、アラエル戦を纏めるのに行き詰っていて何か息抜きしたい気分だったから…
自分は大抵のカプは平気ですが、苦手な人もいると思うのでどうしましょう?

543:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 01:59:31
そーだなー
うちもカプは何でもイケるクチですが、
中には苦手な人もおるしなあ
で、個人的にはすごく読みたいわけです……

あらかじめ注意して、苦手な人はNG登録出来るようにしてから投稿されたら大丈夫じゃないかな?と思うんですが
他の人の意見も聞いてからにしてみまひょ

544:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 02:25:34
すまん、苦手だorz
ただ、ラブ※までで済むならOKです。
完全カプ成立しなければ楽しめると思う。

545:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 02:59:00
NGワード設定で良いんじゃないの?
投下作品の幅を狭めるようなことがあってはならんよ

546:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 08:48:21
自分はパスだけど、他にはいるかも。

NGワードとかあるから問題ないんじゃ?

547:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 10:11:07
NGワードを指定してくれればスルーできるからいいんじゃないの。

俺は621氏の作風が好きなので読んでしまうと思います。w
もちろん自分に合わなくても文句をつけるつもりはないので
気楽にやってください。

548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 15:02:01
てか、アラエル戦に手ぇかけてるってのが凄くね?

549:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 17:59:36
そろそろサルベージか。
エヴァの中で女シンジは素っ裸か

550:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 20:24:11
スク水シンジきゅんに見える
URLリンク(shinjikyun.hp.infoseek.co.jp)
そういえば、前スレのスク水シンジきゅんなくだりに萌えたなぁ…

551:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 20:35:38
おお、シンジきゅんだ
でも、すらりと育ったけど風が吹いたら折れそうな貞的貧弱さが欲しいのう

552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 21:07:17
カヲルとくっつかれるよりはトウシンになったほうがいいんで、ひっそりとラブ米を待ってます

>>550
これシンジきゅんなのか?違うキャラ?

553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 21:16:47
これは苺ましまろの千佳ちゃんだな

554:621の続きで
06/09/24 23:32:05
それでも時は無情に終りを告げた。
――エネルギー切れ。
電源が落ちたエヴァの中は闇に染まった。
「くそ…ッ…!!」
真っ暗なエントリープラグ。
いつか同じ体験をした。
また私は何も出来ないの?
何も…守れないの?

「嫌だ…」

いやだ!!

「動け!動け!動いてよ!今動かなきゃ何にもならないの!!」

他には何もいらない。
何も望まない。
何だって構わない。
私にみんなを守れる力があったら

「動け!動けよ!」

固い金属がぶつかり合う耳障りな音がうるさい。
エントリープラグにヒビが入る不快な音が大きくなる。
鉄の板一枚向こうにはあの使徒の鋭い触手。
変わらず沈黙を保つエヴァの中で叫ぶ。
狂ったようにレバーを動かした。

「今動かなきゃ、今やらなきゃみんな死んじゃうんだ!!」

555:621の続きで
06/09/24 23:33:24
奇跡なんてきっと起きない。
でも、その代わりになんでもする。
なんでもするから。
私の大切なもの全部、守るためなら。
もう誰かが死ぬのは。
誰かが私のために何かをするのは。
そんなのは…。


他には何もいらない。

何も望まない。



「そんなのもう嫌なんだよ!」


壊すことしかできない敵にも。


「だから…ッ…!」


傷つけるしかできない私にも。


「だから、動いてよぉッ…!」



心なんか失くなったって構わないから。

556:621の続きで
06/09/24 23:35:03

  ド…クン


「………ッ!?」


  ドクン


匂いがする。


  ドクン


誰かがいる。


  ドクン


私はこの匂いを知っている。

ずっと待っていた匂い。
懐かしい匂い。

私の他に誰かがここにいる。


その時感じたのは、恐怖と…そして懇願。

557:621の続きで
06/09/24 23:36:23



――神様は、どこにいるの?


 神様なんて、いない。




だから、何だって構わない。


他には何もいらない。

何も望まない。



この存在を消し去るだけの力だけを、私に下さい。



558:621の続きで
06/09/24 23:37:24

さめないゆめをみていた
おわらないゆめをみていた

ような

きがする

ここがきっとげんじつなのかもしれない

だってゆめがいちばんこわいから

すくなくともここはあたたかいから



「………まだ生きてる」
開かれた自分の赤い瞳に映るのは、真っ白な天井。
いつか見たのと同じ天井。
この目が再び何かを映しているという事は、自分は死なずにすんだらしい。
それも特に意味を持たないことかもしれないが。
それでも、目が覚めたとき思ったのは。
天井の白さよりも先に受け止めたのは。
「…碇さん?」

559:621の続きで
06/09/24 23:40:00
「あの女が無事だっていうのはわかったわよ!ミサトもいちいちあたしにそんなこと連絡してこないで!!」
耳障りな言葉を並べる携帯の電源を切ると、壁に叩き付けた。
散らかった部屋に不快な音が響いたが、もう気にはならなかった。
ただ一つ、心をこんなにも乱すのは…。
「何も、何もできなかったなんて…!!」
情けなく地に這い蹲るしかなかった。無残に切り刻まれ、立ち竦むしかなかった。
そして、結局敵を倒したのは。あの卑屈な目をした黒髪の少女。
「あのバカシンジに助けられたなんて…!!」
もう何も聞きたくない。何も見たくない。ベッドに横たわると、枕に顔を埋め、耳を塞いだ。
心の中にある感情は一つだけ。

「くやしい…ッ…!!」


「シンちゃんのサルベージ計画?」
「彼女の肉体は自我境界線を失って量子状態のままエントリープラグを漂っていると推測されます」
「そう、彼女の精神――魂と呼ぶべきものと一緒にね」 
素体に白い包帯を巻いただけの痛々しい姿の初号機。
活動は停止したはずのそれは、それでも目だけは爛々と輝き
歯をむき出しにしたその口は嘲笑っているかのように見えた。
そんな場所で告げられたのは思ってもいなかったこと。
暴走した初号機のエントリープラグは排出されなかった。そう、彼女はもうそこにはいなかった。
代わりに残されたのは、彼女がいつも着ていた青と白を基調にした
プラグスーツだけ。彼女は消えてしまった。いや、取り込まれてしまった。あの初号機に。
「シンちゃんの肉体を再構成して定着させるわ」
「そんなことができるの?」
「マギのサポートがあればね」
「理論上は…でしょ」
でも今はその理論に縋ってやってみるしかないのだ。
昔の自分の姿を重ねてしまう、あの黒髪の彼女を取り戻すために。

560:621の続きで
06/09/24 23:46:17
トウジと女シンジのラブコメですが、オリジナルで話考えてみたら物凄い
イチャイチャしたラブコメになりました。こりゃだめだwwww
苦手な方もいらっしゃると思うので、
TV版最終話の学園エヴァ設定で、トウジ片思いみたいな感じで行こうかと。
でもそうなると割りと長めになりそうです。

サルベージ編終了後には、ご意見なければ投下しようかと思います。
本当は他の職人さんが書いたのを見てみたいんですがwww

561:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 23:53:39

待ってる

562:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 06:13:18
おっつ

期待してます

563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 07:56:11
むしろオリジナル話のイチャイチャラブ米の方が気になるワケで
どんなんだwwwww

564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 08:27:10
まあシンジトウジが気にいらねって奴もいるだろうし。
人の趣味に文句はつけないのが一番。
それこそトウジとバカップルだろうが、格闘家だろうが書きたいものを書いてうpしたいものをうpすればいい。

565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 08:48:18
サルベージ中のシンジきゅんはすっぽんぽんなんだよな…?
誰か描いてくれ

566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 15:33:29
女シンジトウジケンスケで飛べ!イサミを思いだした

567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 17:37:30
あとカヲルも加わればドラえもんみたいになるね

568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 17:49:57
カヲルは出来杉君だと思うよ

569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 20:21:14
>>560
何でも読みたいっす。

570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 20:40:13
ありがとう、621氏。
ヘタレな僕の願いを聞き入れてくれて。

キス以上の恋愛交渉が無ければ、トウシン平気なんですけどねつД`)
原作男性キャラ同士のイチャイチャエロエロが受け付けなくて……。

でも個人的嗜好なので、もしイチャイチャを投下される時はNGワードを設けて頂けるとありがたいです。
そのときは、できましたら普通のラブ※も書いていただけると嬉しいなあ。

571:621の続きで
06/09/25 23:44:08
ここはただおそろしくここちよいゆめのようなところ
わたしをただやわらかくつつみこむばしょ

でもわたしはどこにいるの?

遠くで泣き声が聞こえる。
誰が泣いているの?
その泣き声を止めてあげたくて、耳を傾けた。

「お父さん。行かないで!お父さん。あたしをおいて行かないで!」
「我侭を言うな。先生のところでいい子にしてろ」
「お母さんは!?お母さんはどこにいるの?」

泣きながら小さな手を伸ばす幼い女の子。
あれは…私?

「母さんは死んだ」

「嘘よ!」

「お前も知っているだろう?そしてもう会っている」

不気味に居心地の良いエントリープラグ。
それでも、生まれ堕ちた赤子を再び母親の胎の中に戻すような
そんなおぞましい違和感は抜けない。
その瞬間迫り来る鼻をつくような嫌な匂い。
溢れ出したLCL。
血の匂いで吐きそうだ。
血。血。血。
血の匂い。
誰の流した命の欠片?
誰が流させた命の残骸?

572:621の続きで
06/09/25 23:48:15
何故いまさら?父さんは私が要らないんじゃなかったの?

「嫌だ…!」
フラッシュバックするあの光景。
「嫌だ!!」
何の感情も理由もなく振り下ろされる拳。
「やめて…!!」
腕の中で消えてゆくたった一つの命。
「やめてよ!父さん!」
もう何も映すことはない黒い瞳。
「やめて―――!!」
沈んでしまった太陽。

気が付けば、一人。
でも目の前には父さんがいる。
でも、私の心は一人だった。

憎い。

「よくも…よくもトウジを殺したな…!」

憎い。

「よくも…母さんを殺したな…!」

憎い。

「よくも…!私を裏切ったな!!」

感触は、驚くほど軽かった。
まるで、柔らかな羽毛に突き立てたみたいな。
ずるりと濡れた感触と共に、真っ赤な血に濡れた―――父さん。

573:621の続きで
06/09/25 23:50:50

ああ、なにもかもまっかにそまったせかい

ながれるちのいろはただただあかい

それなのに

ああ

なにもかも



――まっしろだ




『現在LCL濃度36を維持。酸素密度に問題なし』
『放射電子パルス異常なし』

修理は完全に済み、初号機の素体はもうすっかり元通りになっていた。
そう、見た目だけは。しかし彼女はまだあの中に取り込まれたままだ。
「まさか一生あのままってわけじゃないわよね…」
柵に肘を付き、ぼんやりと考えた。そしてはっと気づいた。
「別にあんな奴どうなったっていいじゃない…」
そうだ、別にシンジなんかいなくたって。
あのまま好きなだけぷかぷか浮いてればいいんだ。
「何よ…。あたしはどうせ負けたわよ。あんたなんかに…。」
本当は最初から気に入らなかった。あのいつだってこちらの機嫌を伺うような目をした少女。
時折何もかも見透かしたような目をするくせに、その実何も見ていない瞳。
あんな子なんてあたしにはいらない。必要じゃない。

574:621の続きで
06/09/25 23:52:05
「シンちゃんが心配か?アスカ」
「加持さん!」
そっと肩に置かれた掌の主は、あの優しげな瞳をした彼だった。
「残念でした。これであたしの活躍の機会が増えるって喜んでいたのよ」
「またまたそんな意地張って。シンちゃんにはお世話になってたんだろう?
 掃除から炊事まで全部やってたって話じゃないか」
「あれはシンジが好きでやってたの!あたしに何もやらせてくれなかっただけよ!」
「ははっ!シンちゃんお母さんみたいだな」
「なにそれー!気色悪ーい!」
からかうように笑う加持さんの逞しい胸を軽く叩いた。
加持さんは派手に咳き込むような振りをして、冗談だよと笑っていた。
ああ、あたしは加持さんのこんなところが凄く好きだと思う。
胸に置かれたあたしの手を加持さんの大きくて暖かい手が包み込んだ。
「その意気だ。アスカ」
「…え?」
「きっと彼女も必死で戦ってる。だからお前もお前で頑張れ」
いつもの優しい瞳。優しげな声。
でも何を言ってるのかよくわからなかった。

「加持さん?」
「じゃあな」

加持さんはいつだって男らしくて優しくて。
そう、あたしにも優しくて。
でも、あたしが欲しかったのは優しさだけじゃなくて――。
だから。

「何があってもお前はお前だ。それだけは忘れるなよ」

だから彼の最後の言葉は、いつまでもあたしの耳にこびり付いていた。


575:621の続きで
06/09/25 23:59:46
>>570
同じく、キス以上の恋愛交渉は苦手です。って言うか、書けません。
オリジナルの方はイチャはあってもエロはなく、ましてやキスもないんですが
描写がどうしようもなく少女マンガみたいになったので中断いたしました。
TV版学園エヴァ風には、ご指摘通りNGワード設定推奨と注意文を
添えさせていただきます。では、名無しに戻ります。

576:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 02:35:10
乙です

サルベージかぁ
シンジきゅん真っ裸だな


577:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 08:34:22
ああ…裸神だな

578:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/27 01:31:08
まちまち

579:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/27 14:25:29
裸だな・・・
ちょっと、期待してる俺がいる

580:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/27 14:31:33
>>579不覚ながら漏れもだ

581:621の続きで
06/09/28 00:36:46
あそこからこえがする
わたしをよぶこえがする

ここはあたたかい

ただゆめのようなばしょ




生まれたままの姿で眠るようにまどろむ。
「…母さん?」
根拠もなく呼んでしまった。
言ってしまってから、それに気が付いたけれど
だけどそれは間違いじゃなかった。
『そうよ…あなたを待っていたの』
私を…待っていた。そう、私だって待っていた。
突然目の前から消えてなくなった母さんを。
今でも覚えている、母さんの優しい手の温もり。
『シンジ……』
母さんは私を優く抱きしめた。
暖かい。母さんだ。これは母さんだ。
ずっと待っていた。ずっと望んでいた。
でも――。
「母さん。でも、私。行かなくちゃ」
『どこへ?』
何処へ?
何処へだろう。
わからない。
だけど、誰かに、何かに誓ったような気がする。
「わからないけど…。私、前に進まなくちゃいけないんだ。
 前に…。エヴァに乗って、守らなくちゃ。戦わなくちゃいけないの」

582:621の続きで
06/09/28 00:38:40
ああ、意識が白く白く遠のいていく。
何か大切なものがあったはずなのに、この白さで思い出せない。
この暖かな温度は、私を酷く安心させる。

『いいえ、あなたはよくやったわ。だからもうお休みなさい』

そうなのかな――


そうなのかもしれない――


母さんの手が私の頬に触れる。
裸で触れる肌と肌が心地よい。
母さんの柔らかな胸。
優しい体温。
ああ、ああ。

―――私は。


『いままでのことは夢だったのよ。いいのよ、ずっとここにいて――』



意識が遠のいていく。
ああ、ここは暖かい。
懐かしい良い匂いがする。
安心する。

夢?
そう、夢。

583:621の続きで
06/09/28 00:39:49

ああ、夢って本当に怖い。
あれが夢で良かった。
あんな恐ろしいものと私が戦うなんて。
あんなに簡単に、私が人の命を奪えるなんて。



わたしはここにいてもいいんだ

ずっとここにいよう

ここはわたしをこばまないから



すくなくともここはあたたかいから





だけど重い目蓋を閉じた瞬間、胸がつきんと痛んだ気がした。







そんな気がした。

584:621の続きで
06/09/28 00:43:33
ああ、ここはなんてあたたかい
それはゆめのようなせかい

あくむのようにおそろしくいごこちのよいばしょ


サルベージは着々と進んでいく。
その様子をミサトは釈然としない思いで見ていた。
胸がもやもやする。どろどろした思いが心を焦がす。
それでも今は、この「科学の力」とやらに頼るしかない。
「第一信号送信します」
「エヴァ信号を受信。拒絶反応なし」

あそこからこえがする

「続けて第二第三信号送信開始!」
「対象カテクシス異常なし」


わたしをよぶこえがする


『シンちゃん』


おこさないで


『シンちゃん!』


わたしはここにいる

585:621の続きで
06/09/28 00:46:32
「全波形域を全方位で照射してみて!」
異常はすぐに起きた。
「発信信号がクライン空間に捕らわれている!?」
大仰な機械類が立てる甲高い音とオペレーターの緊迫した声が
辺りを包む。空気が酷く硬く感じた。胸がもやもやする。先ほど感じた嫌な予感。
「どういうことよ!」
「つまり………。失敗」
青ざめたリツコの口から告げられたのは、そんな言葉。そしてたった一つの疑問。
「これは…何故?帰りたくないの?」


ここはあたたかい
なつかしいいいにおいがする

あんしんする

こわいゆめなどみないから
ゆめがいちばんこわいから

もうどれくらいここにいるのかわからない

おそろしくいごこちのよいゆめのようなばしょ
さめないあくむのようなばしょ


おこさないで

わたしはここにいる


「作業中止!電源を落として!」
「ダメです!プラグが排出されます!」

586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 01:05:20
え、え?
シンジきゅん帰らないの?
ずっと裸?

587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 03:26:36
>>588もちつけ

588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 03:34:32
よし、もちついたぞ。

589:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 04:21:53
この職人さんの女シンジきゅんが逆行して
トウジや加地やアスカ助ける話ってどうか?
自分の気持ち押し殺してトウジを助けてヒカリとくっつけたり
アスカが精神崩壊しないように頑張ったり
いや、思いついただけ…

590:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 07:22:10
シンジきゅんはそんな万能じゃない

591:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 07:44:11
それは他の職人さんに期待しよう
俺はこのままの路線でいってもらいたい

592:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 11:05:57
>>589
このシンジきゅんは、まず現時点では自分を助けることが第一だろう。

593:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 16:02:25
トウジ助けたら、そのまま参戦しちゃうかもしれないじゃないか
加地にいたってはどうやって助けるんだww

594:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 17:28:54
>>589
トウジvsカヲルをみてみたいなw

595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 17:36:02
前にシンジきゅん描いてくれた絵師また投下してくれないかな
あのシンジきゅんは、シンジきゅんなのにちゃんと女の子って感じで良かった

596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 17:53:49
URLリンク(www.evangelion-armageddon.com)
三バカ女シンジきゅん

597:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 18:06:16
このシンジきゅん、隠れ巨乳だなwwww

598:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 18:11:30
>>596
あ、あの神のシンジきゅん!!!
懐かしい

599:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 18:12:09
>>596なんかキモイナ。オカマみたいだ…

600:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 18:32:38
前スレで、ショートカットとロングヘアのシンジきゅん投下してくれた絵師さんが理想だった
あれのショートの方のイメージで読んでる

601:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 18:33:24
URLリンク(www.evangelion-armageddon.com)
これは

602:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 19:05:59
元々が女っぽいからな・・・。
女にしても男に見えてしまう・・・。
全てはこれでいい

603:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 19:17:02
いや、これは女の子っぽくて可愛いと思う

604:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 19:17:54
>>601
596と同一神のだ!!データ消えちゃってたんでもらっとく。あんがと

>>602
元々少女っぽい容姿だから、女にした時に容姿で変えるところがあまりないんだよ。
髪型変えれば、いいんだけどさ。


605:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 20:18:01
>>600ああいうのを本物の神っていうんだよな。

606:621の続きで
06/09/28 20:46:18


あそこからこえがする



『本当に怖いのは現実でしょう?』




あそこからこえがする



『もう戻らないつもりなの?』


『そこにいてはダメ』


『戻ってきて』



あそこからこえがする





607:621の続きで
06/09/28 20:47:17


―――それは何処にあるの?―――


―――そしてここは何処?―――



『戻ってきて』


わたしをよぶこえがする



誰の声?




その瞬間、世界は砂の城の様に崩れ落ちた。
「いやあぁあぁあぁ!!」
目の前にいたのは、母さんではない得体の知れない化け物。
掴まれた腕は暖かい優しい腕ではなく、痛いほど冷たい感触。

「助けて…!」

608:621の続きで
06/09/28 20:48:01


いやだ


いやだ


嫌だ!!


ここは嫌だ!!


「助けて!!母さん!!」



覚めない夢をみているみたい。

白く白く、ただ真っ白な世界。




母さん。





609:621の続きで
06/09/28 20:49:23


『あら、生きていこうと思えばどこだって天国になるわ。
 だって生きているんですもの。幸せになるチャンスは、どこにでもあるわ』

『そうか、そうだったな』





―――母さん?



生まれたばかりの赤子を抱いて、慈愛の表情を浮かべる女の人。
その傍らで、優しく見守る男の人。


私が望んでいた「幸せ」の姿。




ここは暖かい。
懐かしい良い匂いがする。
安心する。

起こさないで。

私はここにいたい。

610:621の続きで
06/09/28 20:52:05
でも――。


『でも、ここにいたくなかったら…。いいのよ。前に進みなさい。
 自分の進む道は、あなたが自分で決めるのよ』


あそこから声がする。
私を呼ぶ声がする、

匂い。
人の匂い。

綾波?

ミサトさん?



『もういいの?』











『そう、良かったわね』

611:621の続きで
06/09/28 20:53:16
夢を見ていた。
夢を見ていた。

目が覚めれば忘れてしまう。


そんな、壊れそうに儚い夢。




特に聞きたいわけでもないけれど、ウォークマンのスィッチを入れる。
いつもの音楽。退屈な音楽。それでも、これを聞いているときは、
流れる音楽と同じ速度で時間が流れるから。
そのはずなのに、時間は一定の速度でたゆたったままだ。
私の思考が止まらないから。

夢から覚めたとき、一番最初に目に入ったのは。
真っ白な、真っ白な世界。
夢の続きのような気がした。
だけれど、白いだけだと思っていた世界は
よくみると、陽の光に照らされた見慣れた天井だった。
会いたかった。
お礼を言いたかった。
どうしてそう思ったのかはわからないけれど
どうしてその人に会いたくなったのかはわからないけれど。
あの、青い髪の淋しげな目をした少女の顔が見たかった。

612:621の続きで
06/09/28 20:54:26

前に…進まなくちゃ。

夢から覚めたときからずっと心の中で呟き続けている。
道が何処に辿り着くのかわからないけれど、ただ前に。
生きている限り道は続く。
だったら、自分の行きたい道を選んだほうがいい。
行きたいところはどこかわからないけれど。
でも、ああ、でも。
続いてゆく道の真ん中で、立ち止まった時
その時は――どうなるんだろう?
立ち止まってしまったら、どうなるのだろう?

『貴方はこれで良かったの?』

目が覚めたとき、初めて会った人は
望んでいたあの少女だった。
これで良かったのかは正直わからない。
けれど、私は彼女に会えて嬉しかった。
みんなに会えて嬉しかった。
それだけは、本当のこと。

それでも、あの恐ろしい程居心地の良い真っ白な世界。
全ては覚えていないけれど、あの空間に囚われていた時は
たとえ幻でも、ほんの少しの間でも

確かに幸せだった。

あのままずっとあのおぞましい幸せにたゆたっていたら――

613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 14:20:14


614:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 19:42:44
今日は俺くらいしかいないんだな

615:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 19:45:01
そんなkとは無いぜ
倒錯野郎

616:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 20:06:10
シンジきゅん素っ裸で出てきたのか。
ところで、女シンジきゅんはひんぬーが好みなんだが、他の意見はどうか

617:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 20:56:46
ポン貴の描くようなちょい巨乳な女シンジきゅんでも萌える。
ま、一番心をくすぐるのは貧乳だが

618:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 20:57:27
微乳で美乳なんだよ

619:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 23:50:53
つーか14歳で巨乳つったらデブの類ではなかろうかと。
綾波・アスカの胸が異常なのは漫画的表現ですよ。本当は鶏がらで当たり前。

620:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 23:57:24
胸ある奴ってのは、同時にいらん肉も付いてるからな

621:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 00:29:11
13歳のアスカは肥満体系でバストが既に80を超えていた。
しかし、加持と出会った事でダイエットを決断。
持ち前の負けん気と努力で見事なダイエットを成功させるとともに
バストサイズの減少も最小限にとどめる事ができた。





よく考えたら成長期にダイエットはいかんだろ。orn

622:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 00:41:38
貧乳がいいな
シンジきゅんの胸うっかり触ってしまって、
真っ赤になってるシンジきゅんに「え!?今の背中じゃないの!?」
とか口走って殴られたい


623:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 00:51:28
本当の女子にやったら
ナにこいつきも・・・
だってことをわs(ry

624:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 01:51:47
そんなこと言ったら、このスレ自体がキモ(ry

625:621の続きで
06/09/30 01:56:58
「ただいま。…アスカ?…ミサトさん?」
ウォークマンのスイッチを切り、玄関のドアを開けた。
久しぶりに帰ってきた私の「帰る家」
もう仕事に行ってしまったのだろうか?
人がいる気配は酷く薄かった。

リビングまでの廊下を抜け、部屋に入ろうとしたその時聞こえたのは
電話越しの男の人の声と、声を押し殺した女の人の嗚咽。


あのままずっと、あのおぞましい程の幸せにたゆたっていられたら――



「今の留守電なに?何で泣いてるの」



道の真ん中で立ち止まってしまえたら――



「ねぇ、何で黙ってるのよ!加持さんがどうかしたの!?ミサト!」






加持さん―――



626:621の続きで
06/09/30 01:58:07
ずるずると膝の力が抜け、私はその場にしゃがみこんだ。
ウォークマンのスイッチを入れ、その上からさらに掌で耳を塞ぐ。
この数歩向こうにある現実が見たくなくて
ミサトさんの泣き声も、アスカの叫びも聞きたくなくて。
必死で耳を塞ぎ、目を閉じた。
「……シンジ?」
「……………」
たとえそれが無駄だとわかっていても。
部屋の空気が耐え切れず、外に出ようとしたのかアスカは玄関に蹲る私に気が付いた。
「…あんた、いつからそこにいたのよ!?まさか、さっきの全部聞いてたの?何か知ってるの!?」
「……ッ…ら…ない…」
「答えなさいよ!ねぇっ!!加持さんがどうかしたの!?」
「…知らない。私、何も知らない!」
ウォークマンの音量は最大なはずなのに、何も聞こえないはずなのに
ミサトさんの嗚咽もアスカの糾弾も全て耳に入っていた。

きっと、加持さんにはもう二度と会えない。

ふと、ただそれだけ頭に浮かんだ。
わかってる。加持さんがやってきたのはそういうことだ。
彼にだって覚悟があったのだろう。いつかこんな結果になるとわかっていたはずだ。
でも、そんなことアスカに言えるわけがない。
それに私がその時思っていたのは、アスカに対する思いやりではなかった。

『真実から逃げてはいけない』
『君は前に進まなくちゃいけない』


627:621の続きで
06/09/30 01:59:34
私の心をかき乱し、そして励まし勇気付けた加持さんの言葉。
私はただ、酷く加持さんが羨ましかった。
世界の終わりで加持さんは何を見たのだろうか?
もう彼は真実なんか背負わなくて済む。
前に進まずに済む。
遣り残した全てを悔やみながら、それでも
あのおぞましい程の幸せの中で眠ることができるのだろう。


それでも、私は――



『君は本当に、そのまま何もなかったようにこのまま生きていけるのかい?』


そんな風にいまさら生きられない。
私はきっと、私を許せない。


守りたいものができた。
彼のように真実を背負う覚悟はなくても、
神様なんていなくても生きて行くって誓った。


628:621の続きで
06/09/30 02:00:39


だから、私は――



あの時の加持さんの言葉をふと思い出す。

私も同じことを思った。



前に、進まなくちゃ――



ここはまだ、世界の終わりではないのだから。



『次はもう殺さないようにさ』










そんなことが本当にできるのかどうかは、まだわからないけれど。

629:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 02:01:54
シンジあれだけで気付いたのか。スゲー

630:621の続きで
06/09/30 02:05:31
>>560で言ってた26話の学園エヴァパロのラブ米(?)が出来たんですけど。
ラブ米って言ってもたいしたことないけど、元ネタ色々弄ったら
かなり長いものになりました。NGワード登録で投下してもいいですか?
それとも、このままアラエル戦行ったほうがいいですかね?

631:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 02:07:24
おっつん

投下!投下!!!

632:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 02:47:14
起きててよかった!
ラブ※お待ちしてます

633:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 09:58:37
>>630
何でもイイから早く読ませろ!!










読ませてくださいお願いします。

634:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 23:45:20
ちょっと本編・漫画のシンジきゅんとズレてきたか?
これがつもりつもって、最後は少年漫画風の熱血アグレッシブシンジになってほしいよ。

635:621の続きで
06/10/01 01:01:45
TV版26話の学園エヴァパロのラブ米投下いたします。
最初に言っておきます。すみません…。
ラブ米苦手な方もいらっしゃると思うので、極力表現控えてみました。
たいしたことないと思いますが、一応注意文を。

・一応ラブ米
・女シンジの幼馴染トウジが片思い。ひたすら片思い。
・転校生が貞カヲ
・リナレイがシンジの妹
・無駄に長い

以上の点が含まれますので、耐えられない方はNGワード設定推奨です。

636:NGワード設定推奨
06/10/01 01:04:19

恋より怖いものは無し



「起きんかい!ゴラァ!!」
見事な巻き舌と共に先ほどまで夢の世界にいたシンジの頭に衝撃が走る。
いつもの朝の風物詩。こんな乱暴な風物詩、はっきり言っていらないんだけれど。
「ようやくお目覚めかい!」
いつもの、少し低めの良く通る声。
「………なんだ、トウジか」
「何だとは何や!お前が遅刻しないよう毎朝起こしに来てやっとるんやないか!」
でもそんな風物詩がなくなってしまえば困るのは確実にシンジだった。
「うん…。ありがと…。持つべきものは幼馴染で親友だね…」
そう言うとトウジは納得しないような不満そうな顔をした。
最近トウジはおかしい。そんな変な表情が多い。
本当はかなり以前からおかしくなっているのには気が付かないシンジだった。
「何やお前今日はいつもよりぐっすり寝とったな?疲れてたんか?」
「そんなに…?そういえば何かたくさん夢見たかも…」
忘れてしまったけれど。
ああ、でもこの布団の温もりに身を委ねたら思い出せるかも…。
シンジはそう考えながら人肌に温まった布団に逆戻りした。
「って!!何もう一度寝ようとしとんのや!!」
「お願い…。…あと…………………五時間………むにゃ…」
「ほうか。五時間か。しゃあない。それくらいやったら
 …って!学校終わってまうわボケ!!」
軽快な乗り突っ込みが入ったところで勢い良く布団を捲られた。
布団の中でぬくぬくと過ごしていたシンジの身体に冷たい外気が襲う。
「お、お、お、お、お、おまっ!!」
「……ん~、なに?」

637:NGワード設定推奨
06/10/01 01:07:24
中を舞っていた毛布が音も立てずに床に落ちる。
それと同時に普段は顔色の変化がわかりにくい
トウジの日焼けした褐色の肌が、見てわかる程真っ赤に染まっていく。
それでも視線はシンジから離れない。
その様子をシンジはベッドに横たわり薄目で不思議そうに見ていた。
「お、お、お、お前はなんちゅー格好しとるんやぁあぁあ!!」
そして気づく。シンジの寝巻きはキャミソールに下着一枚という何とも目のやり場に困る格好だった。

「きゃあぁあぁあぁあぁあ!!なに勝手に見てるんだよぉおおぉお!!」
「わあぁあぁあぁあああぁ!!そんな格好しとるお前が悪いんじゃあぁあぁ!!」

爽やかな朝に不具合な二つの悲鳴と小気味の良い音が響いた。


「シンジ、ちゃんとトウジ君に謝りなさい」
「………ごめん」
「………いや、もうええわ」
驚きのあまりつい手が出てしまった。トウジの左頬は見事なもみじがプリントされていた。
でも人のパンツを見ておいてこれで済んだんだから、安い物だろう。
口に出しては決して言わないが、シンジはそう思った。
「さ、二人とも学校に行く時間よ。そうそうシンジ、レイのお弁当届けてくれる?
 あの子朝練で朝早く学校出たんだけど、持っていくの忘れてたのよ」
「いいよ。でもあのレイがお弁当忘れるなんて珍しいね」
シンジじゃユイから少し大きめのお弁当を受け取った。
「じゃあ、行って来ます~」
仲良く登校する二人をユイは微笑ましく見送ったが、気が付くと背後に気配を感じた。
「あなた…」
「ユイ…一ついいか?」
「何ですか?」
「シンジはトウジ君と。……………付き合っているのか?」

638:NGワード設定推奨
06/10/01 01:08:42
見た目は強面な上に酷く無口な彼は、その実娘を溺愛していた。
その愛情がイマイチ伝わってはいない部分もあるが。
「さぁ?でもいいじゃありませんの。トウジ君なら安心だわ」
「………………私は男女交際はまだ認めないぞ」
表情は一切崩さずにゲンドウは言うが瞳は不安げに揺らいでいた。
ユイは彼のそんなところが可愛らしくて好きだった。


「トウジ、ちょっと早いよ」
「アホ!お前がもっと早う起きれば走らんでもすむんじゃ!」
朝の通学路を走る。歩幅が違うためか体力の差か。
シンジは口に朝ご飯のトーストを咥えながら少し距離を置いて着いてきた。
「酷いな。今日は、その…たまたまだよ!別に何か目的があったら私だって早く起きれるもん。
 母さんがいないとき、レイと父さんのお弁当作らなきゃいけないときとか…」
「たまたまがいつまで続くんや!学校行くのは目的やないんかい!」
「って言うか、トウジも昔は朝苦手だったのにどうして平気になったの?」
「…………まぁ…人間色々あんねん…」
言えない。毎朝妹に叩き起こされるからとは。もともと朝は苦手だ。
できれば少しでも長く眠っていたい。人間人生の3分の1を眠って過ごすと言うが、
トウジはできれば人生の半分を眠って過ごしたいとすら思っていた。
それでも、そんな睡眠時間を削ってまで朝シンジを起こしに行くのは――。
「トウジ!早いってば!」
「情けないやっちゃなぁ!」
その瞬間、トウジはついやってしまった。

「うわぁあぁああぁ!す、すまん」
「へ?何が?」

遅れて走るシンジの手を握ってしまった。何のことはない。
自分の後ろをついて回る妹の手をとるのと同じ行為を無意識のうちにやってしまったのだ。
しかし、この手は妹の手ではない。トウジは慌ててその手を振り払った。

639:NGワード設定推奨
06/10/01 01:09:55
「何で?いいよ。小さいときはよく手を繋いだじゃない」
シンジは不思議そうな顔で微笑みながら、ひらひらとその手をもう一度差し出した。
あぁ、笑顔が眩しい…。っていうか、人の気も知らんと。
トウジは一人ごちた。毎朝起こしに行くのも、手を握って動揺してしまうのも、
引いては全て自分の恋心のためだった。自覚したのは最近だ。
自覚しただけで、本当はもっと昔から惚れていたのかもしれないが、それは置いておく。
先程握った自分とは違う細くしなやかな掌。とてもじゃないが、繋いでなんていられない。
一日の幸せがメーターで計れるなら、この登校時間の間にぶっちぎりで消費されてるのがわかるだろう。
「ええんや!男には色々あんねん!」
「変なの…。じゃあ先行くよ?」
そう言ってシンジはトーストを食みつつ走りだした。

ああ、ワシはヘタレや。

こんなんだからいつまでたっても幼なじみの親友止まりなのだ。
あげく幼い妹にまで
『早よ告れアホ!何のためにウチが毎朝お兄を起こしとると思っとんのや!』
と急かされ馬鹿にされるのだ。
でも、あのド鈍の天然なお子様に何をどう伝えればいいというのだろう…。
好かれてはいると思う。…多分、幼馴染の親友レベルには。
いいとこお兄ちゃんだったらいいのに…レベルだ。


――どっちも恋愛要素皆無やんけ…。


盛大に肺からため息が吐き出された。


640:NGワード設定推奨
06/10/01 01:12:16
「きゃあぁあ!」
気が付くと少し先を言ったシンジが悲鳴を上げているのが聞こえた。
「シンジ!?」
トウジは慌てて駆け出し、角を曲がった。その時目に入ったものは…。
「いたたた…」
真っ赤になり制服のスカートを押さえるシンジと、尻餅を付き座り込んだ見慣れない男子生徒だった。
「お前!何しとんねん!痴漢か!?」
そう、その位置だと確実にシンジのスカートの中が丸見えだった。
まぁ自分も朝見たが。やっぱ早起きは三文の得ってホンマやなぁ…
って今はそんなことを考えてる場合じゃなくて。
少年は埃を払いながら立ち上がると、きょとんとした顔で二人を見つめた。
「なんだい?君は。チカンって何?」
「痴漢は痴漢や!じゃなきゃ変態や!」
全く悪怯れた様子もないその少年の肩を掴もうするのをシンジが止めた。
「ストップ!ストップ!トウジ!私がぶつかったんだってば!」
「…その制服。第一中学のだね」
「…え?あ…うん」
「連れてって」
「…え?」
騒動の張本人は何食わぬ顔で瞳を向けた。
「道に迷った。こんな所にくるはずじゃなかったのに」
少年はシンジににっこりと笑いかける。
透けるように輝く銀髪。燃えるような赤い瞳。白い肌。
トウジの男臭い容姿とは対極な女のように綺麗な顔。
「君…転校生?」
「まぁね。それより早く連れてってよ」
シンジの肩に手をかけつつ、彼は微笑みを浮かべながら言った。
やけにシンジに異常接近するのが気にいらないが、とりあえずトウジも聞きたいことがあった。

「お前、さっきから何食っとるんや?」
「あ、これ?さっき落ちてるの拾ったんだ」
「………私のパン」

641:NGワード設定推奨
06/10/01 01:14:48
「何ですってぇ!それで、パンツ見られちゃったわけ!?その変態に!」
「わかんないけど…。パンツより私のパン…。朝ご飯…」
「甘い!シンジ、男の子ってのは皆馬鹿でスケベで信じらんないのよ!
 そんな奴がクラスメイトになるかもしれないなんて!一発殴っとくべきよ!」
「アスカ、何もそこまで…。大人っぽかったらしいからきっと三年生よ。
 でも珍しいわね、こんな時期に。碇さん、名前は聞かなかったの?」
シンジに激しく巻くしたてるアスカにヒカリが助け船を出した。
「聞こうと思ったんだけど、急いでたし。それに職員玄関にその子案内してすぐ
 トウジが私を教室に引っ張っちゃったから聞きそびれちゃった」
「あー、なるほど…」
「何か私凄く気に入られちゃったみたいでさ…。振り回されっ放しで凄く疲れた…。
 いったい何考えてたんだろう…?あの子…」
「大変ね、鈴原も…」
「へ?何でトウジが?」
ヒカリは何処となく複雑な表情で微笑み、気の毒そうな目でトウジを見た。
「シンジもヒカリも甘いわ!男はみんな野良犬よ!」
「アスカ、それを言うなら狼…」
「とにかく!まともな男は一人だけよ!」
「………誰?」
ヒカリに指摘された点はスルーしてアスカは断言した。
大体予想は付くが形式としてシンジは聞いた。
「加地先生よ!そして噂をすれば!いやーん!加地せんせーい!」
アスカは登校してきた加地に窓から身を乗り出し、激しく愛想を振りまいている。
まだ恋心が理解できないシンジはその様子をぼんやりと眺めた。
「アスカ、本当に加持先生が好きなんだね…」
「青春だねぇ…。乙女の恋心ってやつだな」
「あいつの場合は行動力だけは人一倍やからな」
「そういうお前はどうなんだ?」
「ややややややかましいわ!!」
ケンスケとトウジがアスカにそんなコメントを出していた。
途中から矛先は違う存在になったようだが、シンジは気が付かなかった。

642:NGワード設定推奨
06/10/01 01:15:42
「でも本当に綺麗で大人っぽい男の子だったんだよ。私のパン勝手に食べちゃったけど」
「幾ら綺麗でも男じゃなぁ…。でもシンジがそんなに他人の事を気にするなんて珍しいな」
「そう…かな?不思議な子だったからかな?何かやけにくっついてきたし」
「そうそう。絶対そう。な、トウジ?」
「…………」
面白そうに語りかけるケンスケとは対照的に、トウジはむっつりと不機嫌な顔をしたままだった。
「青春だねぇ…」
ケンスケがそう呟いたとき、教室の入り口で物静かな声が響いた。
「碇シンジさんは…いるかしら…?」
「何や?どないした?」
「鈴原くん………、と」
青い髪の物静かな少女は、最初にトウジを見た。
そして次に隣のシンジを認識した瞬間、教室に甲高い叫びが響いた。
「シンジお姉ちゃぁあぁあぁあぁあん!!」
「レ、レイ!?」
教室の引き戸から飛び出してきたのは、肌の白さこそ同じだが、シンジの黒髪と対照的な
色素の薄い青い髪と紅瞳をしたシンジの妹、レイだった。
「もーサイテー!お弁当忘れてきちゃったぁ!!今日部活の朝練あって、
 しかもお昼前にプール授業あるのにかなりやばいって感じだよ!どうしよう!どうしよう!」
「レ、レイ!落ち着いて!ほら、お弁当!」
「わー!わー!お姉ちゃんサイコー!大好きー!」
レイはシンジを抱き締めぐりぐりと頬擦りをした。
一つ年下の妹。人見知りをする少し内気なシンジと違って元気で可愛い女の子だった。

可愛いんだけど…………。

「シンジお姉ちゃん大好きー!!」

シンジはクラスメイトの視線が痛かった。
黙っていれば美少女なのに。なすがままに頬擦りを受け入れていると、
その行為がピタリと止んだ。レイがじっと何かを見つめているようだった。

643:NGワード設定推奨
06/10/01 01:17:26
「……どうしたの?」
「鈴原くん、それおいしそうだね!」
見ていたのはトウジが食べてる朝ご飯。
朝シンジを起こしにくる前にコンビニで買った菓子パンだった。
レイが何を言いたいか、トウジはわかりきっていた。
わかりきっていたが、わかりたくはなかった。

「いや、うまいけど」
「おいしそうだね!」
「いや、もうこれしかあらへんし」
「おいしそうだね!!」
「いや」
「すっごくおいしそうだね!!」
「…………」

レイはトウジの返事を待っている。
激しく期待を寄せて待っている。
ワクワクしながら待っている。
瞳をキラキラ輝かせて待っている。

ジャージの少年は…………負けた。

「………………食うか?」
「うん!!!」

あぁ、自分はいつになったらこの姉妹に勝てるのだろう…。

「わーい。鈴原くん大好き!持つべきものは幼なじみ。そして姉の親友だね!
 もう鈴原君がお兄ちゃんだったらいいのにー!」
「そうだね。ナツミちゃんが羨ましいよね」
「あ、やっぱりお姉ちゃんもそう思う!?そう思う!?」


644:NGワード設定推奨
06/10/01 01:18:58
…妹はともかく本人すらこの認識らしい。ばれていないだけ有り難いと思えということか。
しかし、いい加減本気で改めた方がいいかもしれないと今度はトウジが頭を抱えた。
それにしても、彼女のように気軽に好きとも言えない。自分はそういう奴だから仕方がない。
そう思っていると、レイはとんでもないことを提案していた。
「ほらほら。お姉ちゃんにも半分あげるー。じゃ、私自分の教室帰るねー!」
「って!それはワシが口付けた…」
「ありがと。朝ご飯食べそびれてお腹空いてたんだ」
シンジは礼を言いながらメロンパンを齧りだした。
それはだからワシが口を付けた…。
口を…。

口…を…。

「間接チュー?いやーんな感じ」

隣で何か言ってるケンスケの頭をトウジは裏拳で叩いた。

…あぁ、たぶんここ数日分のワシの幸せ、音を立てて消費されてってるわ。
うわぁ…、メーターぶっちぎりや。

「平和だねぇ…」

お花畑と化した頭の中で、ケンスケがそんなことを言ってるのが頭の隅で聞こえた。

「おーい。席付け、席」
本鈴と同時に加地が入ってきた。その姿に今までボーッと夢見心地なトウジがやっと気が付く。
「今日は女子のみんなに良いお知らせだ。転校生を紹介するぞ。彼氏候補にどうだ?」
「えぇー!いい知らせじゃないわよ!加地先生以外の彼氏なんていらないわ!」
アスカはそんなことを言っていたが、耳が認識したのは違う言葉。……転校生?


645:NGワード設定推奨
06/10/01 01:21:14

「僕は、渚カヲル。よろしくね」

そこにいたのは何処かで見たことのある、銀髪、紅い瞳、白い肌の細身の男子生徒。

「……朝のパン泥棒?」
「やぁ、君か。また会ったね」

驚きに目を見開いたシンジに、カヲルと名乗った少年は小さく微笑む。
その様子に、シンジと同じく目の前の現実に驚愕していたトウジが立ち上がった。
「ちゃうやろ!朝のパンツ覗き魔や!ただの痴漢や!」
「パンツならトウジだって朝私の見たじゃん…」
「みみみみみみ見てへんわ!水色のレースなんて見てへん!」
「な、な、な、な!やっぱり見たんじゃないか!嘘つきー!」
ぎゃあぎゃあ喚き立てる二人を物ともせずに、カヲルは冷静に言った。
「痴漢って何さ。っていうか、何だい?君たち出来てるの?」
「『出来る』知ってて何で痴漢を知らんのや!」
「あのさ、なんで君はそんなに必死なの?」
噛みあわない二人の会話に終止符を打つかのようにヒカリは声を上げた。
「もう!やめなさいよ二人とも!もう授業中よ!」
「そうだよ。それに渚君…だっけ?」
「なんだい?」
シンジはすうっと息を吸うと声高らかに宣言した。

「『出来る』なんてそんな日は、一生こない!!」

「ふーん。そうなんだ」
「って、うぉおおぉおぉぉーおい!マジかい!!」

そう広くもない教室にトウジの怒号が響いた。
「…何で怒ってるの?」
トウジはきょとんとした顔で尋ねるシンジが憎らしかった。

646:NGワード設定推奨
06/10/01 01:22:44
そんなクラス中に、見知らぬ綺麗な顔をした転校生に
堂々と『一生友達宣言』をしなくてもいいではないか!
なので、うっかり。本当にうっかりだった。



「当たり前やろ!ワシはお前が好きなんやから!!」




騒がしかったはずの教室は一瞬で静寂につつまれた。



ああ、コイツはド鈍のお子様やからな。
ちゃんと段階踏んで告らんとあかんやろ。
勢いに任せて告白なんて思いのほかや。
そうや。きっとそうや。


「………は?」


そのはず…なのに。


目の前のシンジの頬が薄っすらと、そして徐々に耳まで赤く染まっていくのを見た。
ああ、コイツ色白いなぁ…。そんな恐ろしくどうでもいいことを考えているうちに
自分が何を口走ったのかトウジはやっと自覚した。

647:NGワード設定推奨
06/10/01 01:25:04


「…………………ち」
「…………………ち?」


体中の血液が顔に集まってくるのをリアルに感じた。
真っ赤な顔できょとんと見つめるシンジの顔以上にトウジの顔は赤く染まり――


「ち、ち、ち、ち、違うんやぁあぁああぁあぁぁぁぁあぁ!!!!!」


気が付くと雄叫びと共にトウジは教室から走り出していた。


「……何だか、面白いことになってきたね」


クラスメイト達が呆然と見送る中、カヲルのどこか楽しげな声だけが
静まり返った教室に凛と響いた。


「な、な、な、なにが面白いことなんだよぉおおぉぉお!!」


教室にはシンジの叫びが、外にはトウジの奇声が響いていた。

二人が更なる紆余曲折の上、ちゃんと想いが重なるかどうかは――


また別のお話。

648:621の続きで
06/10/01 01:26:15
次の投下は普通にアラエル戦から投下します

649:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 01:58:50
乙。トウジ青春してるなあw

650:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:25:52
トウジが激しく羨ましい件について
カヲルがトウジよりも先にシンジきゅんと間接キスしてる件について

651:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:35:20
カヲルめー

トウジのやつ幸せだなぁ…(ノд-。)
でも…トウジはもう…

652:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:44:44
>また別のお話
ではその別のお話を待とうではないかwww


>>651
補完前に死んだミサトやリツコまでLCLに溶けたんだから
ひょっとしたら奴や加持だってLCLの海から戻ってくるかもしれん…
とかありえないことを言ってみる

653:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 02:50:05
もう焼かれちゃってるんじゃね?
器がなけりゃ戻れない…orz

654:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 03:03:20
ど、土葬だ!それかサンプル保存だ!でもミサトは真っ二つになってたんだけどな。
まぁ、 あ り え な い から

しかし青春ラブ※だな…
毛色は違うが>>594の願いがちょびっと叶ってるなw

655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 02:39:32
これを読み終えると、おそらく体を引きちぎられる予定の本編カヲルが不憫でならない。
それとも貞元版毒舌カヲルなんだろうか。

656:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 03:17:05
前に庵カヲ予定とか言ってなかったか…?
すでに死んでいるトウジも中々不憫だがなwww
もう誰か続き書いてくれよ

657:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 10:12:22
やはりここはアスカvsカヲルかなw
その二人の争いに巻き込まれるトウジカワイソス
漁夫の利を得るのはお姉ちゃん大好きリナレイで

658:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 11:49:45
ここはお約束で、カヲルが碇家に同居生活だろう
トウジがやきもきすればいいよwww

659:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 14:19:56
トウシンラブコメもいいが
アラエル戦も待ってます。

660:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 16:25:50
>>657
>>658
そこまで考えてるなら続き書いてよw

661:621の続きで
06/10/03 00:44:22

あの丘を越えたら。
あの丘を越えれば。


あの丘のずっと向こうには――





あたし、何だってするわ
どんなものにだってなれるわ



貴女が望むのなら







世界は要らないものが多すぎるけれど
貴女だけは綺麗


662:621の続きで
06/10/03 00:45:46

だけどあたしはもう、そんなものに頼らなくても生きていけるの
誰もいらない。一人で生きていけるの。
あたしはもう大人なんだから。

だからあたしに優しくしなくてもいい。
あたしの頬に優しくキスをしてくれなくてもいい。
あたしに触れないで。
あたしを抱きしめないで。
あたしを見ないで。



「アスカ、聞こえる?いつも通り余計なことは考えないで」



あたしを殺さないで。




「……ッ…やってるわよ!」


ママ



世界で一番貴女が綺麗
世界で一番大事な人


663:621の続きで
06/10/03 00:46:35
何日かは平穏無事に過ぎていった。
使徒はまだ襲って来はしない。私のシンクロ率も順調。
だけど、私はあれから一度も学校には行っていなかった。
昼間はネルフへ行く日以外は、ずっと自分の部屋に閉じこもっていた。
だってどうしたらいいのかわからない。
どんな顔して委員長やケンスケに話をすればいいのか。
いや、どんな風に二人の顔を見ればいいのか。
私は、トウジを殺したのに。
彼が眠っているであろうあの共同墓地にすら、一回も行っていなかった。
そこに本当に彼がいるかどうかはわからないけれど。
自分なりのけじめは何一つつけてはいない。
それでも、守りたいものができた。
エヴァに乗る理由ができた。前に進むと誓った。
たとえ薄皮一枚ごしに元通りに戻った日常でも。
すぐにでも打ち壊れるような脆さで保っていても。
そう、今の私達みたいに。

最近の私達はいつもぎこちない。
今日もせっかく三人そろっての久々の食事なのに、会話は一切ない。
無理もないかもしれない。二人ともそれぞれ加持さんの事を背負っている。
それでも私は何も言えなかった。何も出来なかった。
それが歯がゆいと思っていても、本当に何も出来なかった。
気まずい雰囲気を打ち消すかのように、電話の着信音が鳴り響いた。

「あら、無敵のシンジ様にこのような雑務をさせて申し訳ないですわね」
「何それ…」


664:621の続きで
06/10/03 00:47:44
アスカは皮肉とも揶揄ともつかない言葉を私に投げかけると、奪うように受話器を受け取った。
知らない国の知らない言葉でアスカは電話越しの相手に語りかけている。
その姿は、まるで私が知らない別人のようだった。
電話の相手はアスカの母親のようだった。
母親…。本当の母親は死んだみたいだから義理のお母さんか…。
でも私は、義理のお母さんでもあんな風に家族の会話ができるアスカが羨ましかった。
「ずいぶん長電話だったね」
「別に、好きでニコニコしてるわけじゃないわよ。義務よ、義務。上っ面だけ」
話し終えたアスカは面倒くさそうに髪をかきあげた。
「でも…別に嫌いってわけじゃないのよ」
そう言う彼女の横顔は、まるで私じゃなくて別の誰かに語りかけているようで。
「ちょっと苦手なだけで…」
その俯いた淋しそうな横顔を私は見つめるだけしか出来なかった。
その言葉が終わるか終わらないか、アスカはハッと何かに気づいたように顔を上げた。
「何であんたにこんなこと話さなきゃいけないのよ!」
「…ご、ごめん」
「あんたなんかに同情されたら、このあたしも御仕舞だわ!」
同情なんて…。そんなこと思っていないのに。
「うるさいわね!触らないで!あたしもう寝るわ!」
そう言い残してアスカは自分の部屋の扉を閉めた。私は何もできなかった。何も言えなかった。


私はそのとき何も気付いていなかった。

前に進むことに精一杯で。



本当に、何も。


665:621の続きで
06/10/03 00:50:45
アラエル戦、アルミサエル戦に入ると
アスカ視点とかレイ視点が多くなってしまうので申し訳ありません。

ラブ米、色々端折ったんですがそれでもあんなに長いものになってしまいました。
反応が怖かったんですが、お優しい言葉ありがとうございました。

666:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 01:58:38
前スレで読んだとき、ここまで長編になるとは思わなかった
そして女シンジとトウジのカプOKな人がこんなにいるとは思わなかったwww
いや元が男同士だからさ…OTL

667:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 02:19:27
だって女シンジきゅんならシンジきゅん女だし。
性転換なら百合がいいけど。

668:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 02:23:38
後転TSなら
アスカを男にしてしまいたくなるな。
シンジがなったのと同じ方法でさせちゃう。
アスカとくっつければLASだし、綾波とくっつければ百合が実現できる。
結局のところ、カップリングすると話が進め安いんだな・・・。
甘いのは嫌いだけど。
つーか、倒錯アスカって少なくねぇ?
使徒擬人化のなんかで一回読んだぐらいだ。

669:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 03:21:26
誰か書いて投下してくれよ

670:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 03:30:29
倒錯アスカって…スレチだろそれwww読みたいけど。
長編投下な職人いると他の職人が投下しにくいという弊害が生まれますな

671:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 04:39:30
女シンジが誰とくっつくと幸せになれるか考えると、トウジが一番無難なんだよな
カヲルは何か違うような気がする
だが百合だと誰とくっついても結構幸せになれるから不思議

672:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 04:57:30
加持さんとか父さんとか冬月とかケンスケとか青葉とか

幸せにしようとすればいくらでも。
しかし801じゃないんだが801っぽくなる罠

673:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 07:34:38
トウシンでもLASでもLRSでも、そろそろオリジナルな話が読みたいんだが
別職人待ち

674:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 08:24:26
もう…駄目なのね…

675:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 09:57:50
>>672
日向さんを忘れないでくださいw

676:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 10:11:44
>>671
レズは嫌いだな。例え精神的にはホモに近くても、男女のカップルのほうがいい。

677:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 10:42:21
>>655
逆にホモくさくなるなら男女のカップルもいらんw


678:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 11:38:49
カヲルと出来上がるくらいなら、トウジとくっついてほすぃ

679:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 11:43:43
>>676-677
そういう差異のある趣味を一緒くたに入れてるスレなんだから、
文句を言うのは筋違い、ってな。

680:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 11:55:49
誰か何か投下してよ

681:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:19:26
他力本願乙。無意味な書き込みをするくらいなら、自分で投下するんだな。
文才があればの話だが。

682:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:24:42
定期的にこういう書き込みがあるね
今のだけじゃ駄目か?

683:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:34:43
今ので十分じゃね?学園エヴァも良かったし。
本編と話が変わっていくとしたら、ここらへんくらいからだろうけどね。
何も変わらなかったとしても、それもまた一興かと。

684:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 12:59:03
まぁそろそろオリジナルも読みたいのも事実なワケで

685:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 15:25:06
いや、君がそう思っていたとしてもまだ続きが見たいっていう人もいるんだし
何より職人が投下しにくくなるのはイクナイよ…

686:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 21:49:43
女シンジということで、シンジが某○メロード姫で召喚される○法騎士三人、○ガー○がゲンドウという図が浮んでしまった

687:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 22:32:20
はぁ?

688:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 22:39:13
こりゃまた微妙な空気になってきましたね

689:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 00:37:04
エメロード姫の緒方ボイスはびっくらした

690:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 00:38:29
ときメモでも凄かったけど菜>緒方

691:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 00:44:38
>>690
出てたっけ?

692:621の続きで
06/10/04 00:46:32
あたし、貴女が望んだとおりの子になったわ。
貴女が望んだ特別な子に。
だから、もう他人の言葉や視線なんて気にしないで生きていけるの。
そんな卑屈な目をしないで。

きっと貴女が言っていた「あの女の子供」にも負けないわ。

だからそんな目であたしを見ないで。
あたしのこと全部見透かしたような目であたしを見ないで。
そのくせ、何も見ていないその瞳で。

あたしを見て。
あたしを抱きしめて。
あたしに触れて。


ママ


ママがいればいいの。


他にはなにもいらないから。

だから、あんな子はいらない。




あれはあたしに必要じゃない。

693:621の続きで
06/10/04 00:49:49
いつものシンクロテストを終えた、血の匂いのする身体にシャワーを浴びる。
熱い湯が心地よかった。血の匂いが消えていくのが気持ちよかった。
だけど、身体の中から溢れる血の匂いは消せなかった。
自分が女であるとそのたび思い知らされる生理現象。
『あー、もう!何で女だからって毎月こんな目に合わなきゃいけないわけ!?』
『しょうがないよ。これがなきゃ子供産めないし』
『ふん!子供なんて絶対いらないわよ!いいわよね~、あんたは軽くて』
アスカは、そんなことを言っていたっけ。
そんな風にアスカと普通に話をしたのはどれくらい前だっけ…。
湯気で真っ白なシャワールームでそんなことを考えた。

見慣れたネルフ本部の廊下を一人で歩く。
無機質な同じ並びの廊下は相変わらず冷たい感じがした。
前はこの廊下を三人で歩いた。アスカと綾波と、そして私と。
そんな日常はいつのことだったか、気が付くと――思い出せない。
たとえ薄皮一枚で保っている日常でも、すぐ壊れてしまうようなものでも
守りたくて。やっと見つけた大切なものを失いたくなくて。
それでも、確実に日々は深く傷が穿たれてゆく。私の掌では、塞ぐことができないほど。
「やっぱり人形じゃない!あんたって、昔から人形みたいで…」
エレベーターの前を通りかかったとき、ちょうどその扉が開かれた。
「本当に、大ッ嫌いなのよ!!」
アスカが飛び出してきた。そんな叫ぶような声を上げながら。
そして、閉まっていく扉の向こうに見たものは、頬を赤く腫らした綾波だった。
「アスカ…?何を」
「うるさいわね!あんただって…同じよ!何にもわかってないくせに…!」
アスカはエレベーター前にいた私を睨みつけて呟いた。
「嫌い!嫌い!皆、大ッ嫌い!!」
呪うように、アスカは言葉を吐き出す。
「犬に餌やるみたいに、そんな簡単に言わないでよ!あたしに触らないでよ!」

『総員第一種戦闘配置!対空迎撃戦用意!』

694:621の続きで
06/10/04 00:53:33
アスカがそう叫んだとき、スピーカーから施設内に警報が響いた。
「使徒!?まだ来るの?」
その放送を耳に入れると同時に、駆け出そうとしたアスカは
糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。
「アスカ!!」
「離して。自分で歩けるわ」
でもアスカの顔色は青白く、まるで人形のようだった。
「触らないで!あんたなんかに触られたくない!」
アスカは私の手を払って立ち上がる。
「あんたなんかに…、こんな事くらいで…負けちゃいられないのよ。あたしは…」
「アスカ…」
私は何も言えなかった。いつだってそうだ。
でも私はきっとそのとき彼女に何か言うべきだったんだ。

たとえそれが、アスカを傷つけるだけだとしても。
傷つけることしか出来なくても。

ねえ、でも――


私は何も気付いていなかったんだ。
私が何よりアスカを傷つけていたことも。
私がいなかったら、アスカは楽になっていたかもしれないことも。

私は本当に何も気付いていなかったんだ。





君が私を疎み、嫌いながらも、私のことを呼んでいたことも。

695:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 01:34:16
URLリンク(www.youtube.com)
このスレのトウジのためにこれを奉げようww
改めて見るとエヴァ全話の中で一番グロいんじゃないかってくらいグロい…

696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 02:35:33
よく見たら、頭部殴られたときに目ん玉飛び出てるんだな…
これで生きてるアニメの方がおかしくね?
3バカなあの頃は良かったなぁ…

697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 02:49:29
別に乗っ取られた後も3号機とトウジがシンクロしてるわけでないし。
仮にシンクロしてたって、痛みは擬似的なもので肉体にはフィードバックしないし。

698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 02:59:44
でもエントリープラグぐしゃっとなったとき「あ。中の人逝った」と思った

699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 03:07:12
>>697
シンクロ率低そうなのが幸いかなぁ<トウジ

精神と肉体は一つ。
外傷はなくとも痛みを感じてショック死することだってありますぜ

700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 03:14:38
直接的な死因はエントリープラグ握り潰されたことによる内臓破裂で圧死と左足切断時による出血死だろう
つか、グロい…。目の前で友達乗ってるものがこんなんなったらそりゃ欝になるわ

701:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 03:28:04
このスレも700まで来たか…

702:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 13:56:43
URLリンク(cream.ath.cx)
これって映画のどのあたりで見られる映像かわかる?

703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 15:31:19
>>693
乙。少しはアニメの鬱々シンジじゃないほうがいいな。

704:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 16:37:03
URLリンク(www.youtube.com)

3馬鹿がいた昔は良かった…

705:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 19:23:52
シンジきゅん…かわいいよ、シンジきゅん…

706:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 19:28:04
なんかケンスケがやたら目立ってる

707:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 20:21:28
エロいの読みたい

708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 21:41:06
エロか…
百合?男女カプ?

709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 21:46:24
職人さんかえ?
ぬしの得意なほうで・・・

710:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 22:18:02
百合じゃないのがいいなぁ
レズ物はちょっと…

711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:00:07
職人たくさん増えて、スレが活性化するといいね

712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:14:42
今のスレが活性化してないとでも?

713:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:20:56
何故そういう風にしか取れない

714:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 00:33:29
>>710
まあ好みは好き好き。職人さんだって自分の好きなものを書くだけだし。
言い方が悪くなるが、嫌なら見なければいいだけだよ。

715:621の続きで
06/10/05 01:20:35
「目標は衛星軌道上に停滞中。映像で確認しました」
「最大望遠にします」
「これは…」
モニターに映った敵は、真っ白なまるで翼を広げた鳥のようだった。
「衛星軌道上から離れませんね」
「降下接近の機会をうかがっているのかしら…?」
「ミサトさん…!どうして私だけ出撃じゃなくて待機なんですか?」
納得がいかない。アスカも綾波も戦闘配置についているのに
私はエヴァに乗ることも許されずに発令所で待機のままだ。
「碇司令の絶対命令なのよ。あんな事のあとじゃしょうがないわ」
あんな事…。この前の戦闘で暴走した初号機。
私の意識はなかったけれど、またあんなことがあっては守るものも守れない。
頭では理解できても、その奥底ではどうしても納得がいかない。
だって、エヴァに乗らなきゃ私には意味がない。
守るということが出来なければ、どこに進めばいいのかわからなくなる。
「そんな…」
震える手で青いスカートを握り締めた。
せっかくエヴァに乗る理由を見つけたのに。
理由を見つけた今でも、何も無かった昔でも何も変わりがなかった。

そのとき、モニターに眩い光が映し出された。
真っ白な光の中に照らされる真紅の弐号機。
「アスカ!?」
敵はまだ衛星軌道上で停滞してるはずなのに、これは一体!?
「敵の指向性攻撃なの!?」
「いえ、熱エネルギーは反応ありません!」
アスカの心理グラフに異常なまでにノイズが入る。
「まさか…使徒の心理攻撃?人間の心を探るつもりなの!?」
「アスカ…」

716:621の続きで
06/10/05 01:22:02

『くぅうぅ……ッ…ちくしょぉおぉおおぉ!!』

叫びと共に狂ったようにライフルを撃ち放す弐号機。
しかしやがて残弾も尽き果て、残されたのはアスカの悲鳴だけ。

『いやぁあぁああぁあぁあぁあぁぁぁ!!!』

「精神汚染Yに突入しました」
モニターから響く耳を塞ぎたくなるほどの悲鳴。
「私が…私が初号機で出ます!」
「だめだ。目標は精神を侵食するタイプだ。同じ目に合うだけだ」

「だったらアスカを見殺しにしろって言うの!?」

アスカのあんな悲痛な声は聞いたことがなかった。
目の前で彼女が苦しんでいるっていうのに、何もしないの?
私は何もできないの?
これじゃあ前と何も変わりがないじゃない。
アスカに何が起きているの?

717:621の続きで
06/10/05 01:23:25
「ママ!」

広い広い、見渡す限りの草原。
赤みかかった金の髪の少女が丘を目指して走っていた。

アレは誰?

「ママ!聞いてママ!あたし、選ばれたの!」

あの丘を越えたら

「人類を守るエリートパイロットなのよ!大勢の中からあたしが選ばれたの!」

あの丘を越えれば

「あたし、特別なの!ママが望んだ通りになったのよ!」

あの丘を越えれば、いつものように優しく温かく迎えてくれる

「だからママ!こっちを向いて!」

あの丘を越えれば

「ママ!」


あの丘を越えたら
あの丘を越えれば


あの丘の向こうには何があるというの?

718:621の続きで
06/10/05 01:24:23
何かオリジナル展開なくてごめんなさい
つまらなかったらやめるから…

719:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 02:07:28
>>670
いや、アスカの倒錯じゃなくて
シンジが好転的に女になったら
カップリングはーって話なんだけどね。
以前、シンジがグレて女になって泣くとか読みてぇとか落とした者だけど。
生理で子供なんていらないのにーとか言ってたから
男にしてやったらどうなるかなと・・・。

720:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 02:19:24
>>718
乙!!
やめんといてくれ…

オリジ展開というか、
女シンジというイレギュラーによる変化もちっとは期待したいのも本音だけど、毎回楽しみにしてるんで…

721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 02:24:39
後天的TSでセックル依存症になってしまうシンジきゅん
相手が男でも女でもセックルセックル

722:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 03:11:01
とりあえずこの職人のが完結する日を待つよ

723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 03:34:24
いつくらいに終わるかねぇ?ラストはEOE?テレビ?

724:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 16:26:26
エロが見たいのも事実だ

725:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 20:58:09
>>718
毎日乙GJ

毎日楽しみにしているのでやめないでください。
それにあなたがいなくなったら職人がいなくなってしまう。


726:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 21:00:09
書きたかったら書く
やめたいならやめる
商売じゃないんだから好きにしなされ

727:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/05 22:14:28
でも完結まで書いて欲しい読み人の我侭

728:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/06 03:05:17
>>718

(´・ω・`)

729:621の続きで
06/10/07 00:02:37

あの人がああなってしまう前から

「あなたは特別な子よ。特別に作られた特別な子なの」

あの人が時折見せるあの瞳が嫌だった

「私の可愛い子。だからママの期待を裏切らないでね」

他人の視線と言葉を気にするような


「あの女の子供だけには…負けないでね」



卑屈なその瞳



『アスカちゃん。ママ今日あなたの大好物を作ったの』
『好き嫌いしてるとあそこのお姉ちゃんに笑われますよ』

あの人がああなってしまった今では、その瞳は向けられることはなかった。

だけどその代わりに向けられるのは

何もかも見透かしたようで、何も見ていない空っぽの視線

730:621の続きで
06/10/07 00:04:06
だけど、あたしはそれでも良かったの
ママがそこにいるならそれで良かったの
ママがママを止めてくれなければそれで良かったの
だからそんな人形なんて見ないで
その人形があなたの子供なら、あたしは誰なの?
だからねぇ、ママ
お願いだからママをやめないで

いらない物が多すぎる世界で必要なのは貴女だけ
世界で一番貴女が綺麗
世界で一番大事な人

あの丘を越えれば
あの丘を越えたら

あの丘の向こうには

あの丘の向こうには



あの丘のそのずっと向こうには――





    ははっ!シンちゃんお母さんみたいだな



731:621の続きで
06/10/07 00:05:54
本当は最初から気に入らなかった。
あのいつだってこちらの機嫌を伺うような目をした少女。
時折何もかも見透かしたような目をするくせに、その実何も見ていない瞳。


短く切り揃えられた卑屈な目をした黒髪の少女


     痛い


――なんであんたがそこにいるのよ!――

  痛い

――ママみたいにあたしを助けてくれない!――

   痛い
 痛い

――ママみたいにあたしを見てくれない!――


痛い

   痛い

――ママみたいにあたしに触れてもくれないくせに!!――


   痛い


732:621の続きで
06/10/07 00:08:04

あの丘を越えれば

あの丘の向こうにさえ辿り着けば



あの丘の向こうには――




   じゃあほんとうのままはあなたになにをしてくれたの?



ゆっくりとあの人の綺麗な顔が振り向いて
やっとあたしに触れてくれた、その指はあたしの首筋に絡みつく
力を込めるあの人の肩越しには、あの黒髪の卑屈な目をした少女。
あたしをただ見つめるだけで、何もしてくれない。

その少女が背負う闇の奥。
真っ暗な闇のそのずっと向こうには――

引き裂かれたあの人形

そしてその頭上には

吊るされた――

733:621の続きで
06/10/07 00:10:13
愛してくれるんじゃなかったの?
あたしはただ、あなたが好きなだけなのに
違う。違う。
こんなものいらない。あたしには必要ない。
違う。あたしは愛されたいの。
あたしを見て欲しかったの。
違う。いらない。
あたしは一人で生きていくの。
だからこんなものいらない。

いらないのよ。こんなもの。



   ほんとうに?



この頬を伝う生温い水が、涙だなんて認めたくなかった。
いつかのあの人の言葉を今更思い出す。
あたしに優しさをくれたあの人。優しさ以外はくれなかったあの人。


『何があってもお前はお前だ。それだけは忘れるなよ』


だめだよ…加持さん…


きっともう……手遅れだ……

734:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/07 00:20:11
うぉおおおGJ!!!!


アスカはシンジきゅんに母性愛を感じとったのかw
確かに葛城家のおかんみたいだった


相変わらず心情描写うまいなあ

735:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/07 03:54:15
毎日大量投下乙
何か漫画描きたい

736:621の続きで
06/10/07 23:49:02
あの丘を越えたら
あの丘を越えれば


あの丘の向こうには


「アスカ!!」

声が聞こえる。
それと同時に自分の身体全体が掴まれる感覚。
ずるりと引きずり出される感覚。
回収班の一人がエントリープラグからぐったりとした身体を救出した。

「アスカ、大丈夫?あんな目にあって…」

声が聞こえる。

「あれは綾波の零号機がやっつけたよ。無事で…良かった…」

無事?
そうね、確かに無事ね。
でも、あんたの言う『あれ』に汚されたあたしはなんなの?
あたしを汚した『あれ』に負けたあたしはなんなの?
あんな女に助けられたあたしはなんなの?
何もしてくれなかったあんたはなんなの?

どんなに洗っても、どんな言葉で取り繕っても
あたしは汚された存在なのよ



737:621の続きで
06/10/07 23:51:03

違う。
あんたの言葉なんていらない。
あんたなんていらない。
誰もいらない。


あの丘を越えたら――



あたしがこんな風に、考えてもしかたのないことを考えるようになったのはどうしてなの?
あたしがこんな風になったのはどうしてなの?

どうして何もわかってないくせに、そうやってあたしの傍に来るの?

「アスカ…?」

あたしは、ただ

あたしはただ



あの丘を越えれば―――


738:621の続きで
06/10/07 23:52:43


あの丘を越えれば



あの丘を越えたら、そこにはなにがあるの?





シンジ





 ――あの丘を越えたって、きっとそこには何も無い――




あたしはただ





心まで暗く染まった闇に身を委ねた



739:621の続きで
06/10/07 23:54:44
どうして私は、肝心なときに何もせず見ていることしかできないんだろう
どうしていつも、失ったあとに大切なものだと気づくのだろう。

アスカは虚ろに目を開いたまま空を見つめている。いつもの勝気な表情はそこにはない。
そう、何もない。
私はいつも口に出る言葉は言わなくてもいいことだけで
この身体が示すのはやらなくてもいいことだけで
傷つけるとわかっていても、それしかできないんだ。
いや、傷つけているとすら自覚していなかったのかもしれない。
でも私はそれしかできなかったんだ。だって、そうでもしないと私は何もできないから。
何かをすることが生きている証なら、何かをすることが私の道を見つける術なら
こうでもしないと私はただ立ち止まることしかできないじゃない。
「アスカ…」
いつものアスカはもうどこにもいない。精神に負担をかけ過ぎたらしい。
いつこの状態から元に戻るのか、それすらわからない。
「アスカ…」
もう何も掴むことのない君の手をそっと握った。
「ごめんね…」
何に対して謝っているのか。彼女に対してなのか、それとも私自身?


私は、気付いていなかった
きっと、気付きたくなかった。
何もできないただの子供だということに。

そして――

「ごめんね…」

だけど君のその手が握り返すことはなかった。

740:621の続きで
06/10/07 23:57:12
学校には相変わらず行っていない。
外に出るのはネルフ本部へ行くときだけ。
それ以外は薄暗い自分の部屋に閉じこもっている。
ミサトさんは仕事で帰ってこない。
アスカは退院できない。

ネルフ本部でシンクロテストをする。
終わったあとはシャワーを浴びる。
血に匂いの消えた身体でアスカのお見舞いに行く。
その繰り返し。
なるべく考えないようにしていた。

私はどうしてここにいるんだろう。

前に進むと決めたはずなのに。
こんな風にテストを重ねたって、実戦に出れなければなんの意味もないのに。
守ると決めたのに、せっかく決めたのに。
何も出来ないなんて…。

心を焦げ付かせる想いを消す代わりに、強くシャワーのコックをひねった。



741:621の続きで
06/10/07 23:58:07
「碇さん…」
小さく声をかけられた。
その言葉で、自分の世界に沈みきっていた私はやっと浮上した。
「綾波…。なに?」
隣のシャワー室から綾波が顔を覗かせる。
「今日も惣流さんのところへ寄るの?」
「ううん。今日は面会できないんだって」
「そう…」
綾波は何事も無かったかのように、自分のシャワー室に戻った。
人と話したり、人に触れたりするのは苦手かもしれない。
だけどここに来て色んな人に出会って、私は変わった。
変われると思った。けれど、そう思っただけに過ぎなかったのかもしれない。
前も考えた。

ここに来て変化した世界もまた、いずれ変わってしまうのだとしたら?
他者の手によって、簡単に壊れてしまうような脆弱な世界だとしたら?

そんな世界で、私は守ることができるのかな…。
もう殺さないようにすることなんてできるのかな…。

現に私はアスカを守れなかった。
考えないようにしてきた。認めたくなかった。気付きたくなかった。
私は――。


742:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/08 00:24:12 Yz4evImc
モツカレー

743:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/08 09:50:53
アスカ退場、今度はレイか。
こうやって文章で内面描写をされると、シンジが追い詰められていくのがよくわかるな。
何の主体的行動も起こせなかったのも分かる希ガス。職人多謝、乙。

744:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/08 11:52:04
あんた、誰でもいいんでしょ!具合が良くわかりますな

745:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 00:27:34
確かに誰でもいいというか、こうやって読むと、
ロボットアニメのパイロットがどれほど常人離れした神経を持ってるかがよくわかるな。

746:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 00:33:56
誰でもいいんでしょって感覚わかるけど
可能な限り理性的に考えてみれば
誰でもと言っても、生きているうちに偶然出会えた人間なわけだし
ある意味運命?

747:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 02:48:40
14のガキにそんな透徹した運命論が理解できるわけもない。
これがまだしも、お互い20がらみなら色々理性的に見れる余地も少しはあったんだろうけど。

748:621の続きで
06/10/09 04:25:53
制服のブラウスに袖を通す。
学校には行っていなくても、この制服はずっと着ていた。
何か繋がりが欲しかったのかもしれない。
あの楽しかった時間と。皆がいた夢のような時間と。
もうその時間は定かには思い出せないけど。
「碇さん」
着替え終わった私に綾波が声をかけた。
彼女は私より早く着替えが済んだはずなのに、まだロッカールームに残っていた。
「これから時間あるかしら」
「…え?大丈夫だけど…」
凛とした声が響く。
「彼女があんな事になって、私達だけこんな風に
 仲良くおしゃべりなんかできる感じじゃないのはわかっているのだけど」
彼女から私に話しかける事は珍しかった。
いや、そうでもないか。今更ながらその事実に気付いた。
「一緒に行きたい場所があるの。…行かない?」
そう言って、綾波は白く細い指を持った掌を私に差し出した。

いつからだろう?
私と綾波の距離は少しずつ縮まっていった。
あの一緒に戦った夜から。
あのエントリープラグの中で彼女の笑顔を見たときから。
あの学校の屋上で彼女と話したときから。
あの彼女の部屋で感謝の言葉を聞いたときから。
あの彼女の部屋で一緒に紅茶を飲んだときから。
でも、一定以上の距離を置いて私達は存在している。
これ以上彼女との距離が縮まることはあるのだろうか。
そんな事を思っていた。

749:621の続きで
06/10/09 04:27:19
この手を握ってもいいのかな。
私がこの手を取っても。
この距離を縮めても。


私もそっと掌を差し出した。
彼女は何も言わずその手をゆっくりと握った。

握り締められた掌はほのかに温かく、

私はきっと、嬉しいのだと思った。



子供のように綾波に手を引かれて連れてこられた場所は
ネルフの職員のための休憩所のようだった。
噴水から水が噴出して、光に照らされキラキラと輝いている。
「綺麗…。本部の庭にこんな所があったんだね」
「私も最近知ったの」
「…え?」
確か綾波は私がここに来る以前からネルフにいるのに。
こんな綺麗な場所を今まで知らなかっただなんて。
「必要のない所には、行ったことがなかったから…」
綾波は白く細い指先を水の中に入れながら言った。
「最近。そう、碇さんに会ってから少しずつ色んな所へ行くようになったのよ」
私と会ってから…?
「こんなの、私らしくないかしら?」
「…ううん。そんなことないよ」
「ありがとう…」
水に浸した指先はそのままに綾波は小さくお礼を言った。

750:621の続きで
06/10/09 04:28:49
「鈴原君があんなことになって、惣流さんもいつもとに戻るかわからなくなって…」
その小さな細い背中を見つめていると、綾波はおもむろに言い出した。
「あの時碇さんが言ってくれたことができるかどうかわからないけど」
あの時の…。思い出した。いつかのあの学校の屋上で二人で話したこと。
去りゆく小さな背中に私は声をかけた。

全部終わったら。そう、こんな戦いが全部終わったら。
皆でお祝いをしよう。
ミサトさんや、加持さんや、アスカや、みんなと…。

その言葉が果たせないだなんてその時は思ってもいなかった。
考えてはいたけれど現実のものになるだなんて予想もしてなかった。
もういない人がいる。もう私に笑いかけてはくれない人もいる。
もう、あの約束の日にはもう戻れないほど遠くへ来てしまった。

だけど――

「もし誰もいなくても。もし、全部終わったら…お祝いしない?」

綾波はゆっくりとこちらを振り返った。

「せめて、私達だけでも。私達二人だけでも…」

それは悲しいことかもしれない。
奪ったものが多すぎて、失ったものが多すぎて。
お祝いだなんて決して言えるものではないだろう。
生きてここにいる私達の自己満足かもしれない。
だけど。それでも。

751:621の続きで
06/10/09 04:30:00

「うん…。約束だよ」

それでも、綾波があの約束を覚えていてくれたことが酷く嬉しかった。
きっと、嬉しいとか喜びだとか幸せだとか。私がそんな事を考えてはいけないのかもしれない。
一瞬で、トウジの考える権利と笑う権利を奪った私が。
守ると決めたのに何も出来ずにただ見ているだけで、アスカを守れなかった私が。
「もう帰ろうか。日が沈んじゃう」
「そうね」
綾波の事を考えると、色んな想いが交差する。前も思った。
綾波は。何だか懐かしい感じがする。話していると心地よい感じがする。
遠く昔に引き裂かれた半身のような。
私にお姉さんがいたら。いや、姉というよりは、もっと近い…。
でも、ここにいる彼女は本当は違う。
私の半身でも、姉でも。

――母親、でもない。


私の大切な友達の一人。
何者でもない、かけがえのない一人。


「行こう、レイ」

彼女の名を呼んだ。精一杯の思いを込めて。

「ええ」

綾波は、レイは微笑んだ。
今度はそう見えたのではなくて、本当に。
いつかエントリープラグの中で見た、あの綺麗な笑顔で。

752:621の続きで
06/10/09 04:31:17
エヴァのエントリープラグの中。
その存在自体が苦痛でしかないというのに、変わらず不気味に居心地の良いその空間。
傷つけることしか教えてくれなかった。
肝心なときになにも出来なかった。
この血の匂いのする液体に浸り、敵と戦うことが前はあんなに嫌だったのに。
今はこうして何もせずに待つだけが辛くてたまらない。
ウインドウには敵の様子を伺いながら待機する零号機の姿。
その青い機体の中には彼女が乗っている。
もう失いたくない。

もしこれ以上何か失ったら。
綾波を、レイに何かあったら。
あったら、私は――


「レイ!」

『目標、零号機と物理的接触!!』

円形のらせん状に空中を漂っていた使徒は、
零号機を認識するとその線を断ち切り帯状に変化した。
そして零号機を認識するとまるで触手のように襲い掛かる。
ライフルでの攻撃は効かず、零号機の青い機体にそれは突き刺さった。

753:621の続きで
06/10/09 04:32:36
『零号機の生体部品が侵されています!すでに5%以上が融合されています!』

突き刺さった零号機の腹と、使徒を掴む腕。
使徒と繋がるそこから血管のような痕がどんどん広がっていく。
「父さん!私を出して!今すぐ私を出してよ!!」
意味が無いとわかっていても、必死にレバーを動かした。
苦しげに呻くレイの声が聞こえる。

「早く!父さん!レイが…!レイが!」

弐号機のときは、アスカのときは父さんは私を出さなかった。
また、守れないの?
あのときと同じように。
いやだ…そんなの嫌だ!!



私は私。
誰でもない、誰にもなれない。
私は私。

私の中に入ってくる。
何かが入ってくる。

誰?
エヴァの中の私。
いいえ、違う。
私じゃない。
私に似ていても私じゃない。


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