06/12/10 22:16:47
イアリング。サファイア。それも蒼色のスターサファイアだ。
「え?これって?」、戸惑いながらアスカはプレゼントを受け取る。
「結婚記念日じゃないか」、とシンジは笑顔で言った。
そーいえば。このアタシが忘れていたのに、コイツってば。
シンジの方が憶えていた事に嬉しさと、自分に対する若干の憤りを感じる。
「忘れていたみたいだね?ふふ」
「ち、違うのよ。ちょっと度忘れしただけよ!そうよ、このアタシが忘れるわけないじゃん」
慌てて取り繕うとするが、シンジは気にした様子は無い。
「最近忙しかったでしょ、二人の子守で?」
そう。昨年アスカが苦労して生んだ双子。
自分達そっくりの男の子と女の子の二卵性双生児。
子供が二人もいれば世話も大変だ。
さっきやっと寝かしつけたばかりの可愛い子供達。
「ここの所忙しくて手伝えなくてゴメン。でも今日仕事が終わったから、また明日から夕飯とかは僕がやるよ」
昔と少し変わった凛々しい顔でシンジはそう言った。
突然目から込み上げて来るものがあった。
ポタポタと床に水滴が落ち、思わず顔を伏せてしまう。
耐え切れずに嗚咽を漏らしてしまう。
慌てるシンジに一言だけ言ってやる。
「アンタ、バカァ!?結婚記念日に泣かせるんじゃないわよっ!」
そしてシンジの胸に飛び込む。
今夜だけは母から妻に戻らせてもらおうと思った。