06/07/01 17:31:29
「まるで海ね」
空と同じ真っ赤な色の湖面。ぷかぷかと浮かぶのは、コンクリートの破片やら錆び付いた標識やら、色々。
そして、ファーストの冗談みたいに大きな顔半分。開ききった目に、笑ってるような口元。
私の持つ彼女のイメージとだいぶかけ離れた表情だったけれど、それは確かにファーストなのだった。
そう、私はファーストの顔がもう一度見たかったんだ。だからわざわざこんな所まで走って来たんだ。
「ファースト…」
バカシンジ。どうしてあの時私を殺してくれなかったの?
あのまま死ねたなら、ファーストと同じ所へ行けたかも知れないのに。ばか、バカ、馬鹿。
馬鹿・・・・・・。
私の、馬鹿・・・・・・・・・。
「ファースト」
もう、今日何度目かもわからない。それだけ繰り返し口にした言葉。
どうして?今更気付くなんて・・・・・・。
「・・・私、ファーストのこと好きだったな」
潰れたはずの左目から、涙が一筋、頬を伝った。
End