06/07/01 17:30:17
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・・・あの包帯を巻いてくれたのは、ファーストだった気がする。
・・・ファースト。
頭の中をぐるぐる、ファーストの顔が回る。
最初に見た横顔、夢の話をしていた時の戸惑ったような横顔、私を責める珍しく厳しい顔・・・。
「ファースト」
腕に刺さった点滴の針を引っこ抜いて、私はこっそりと病室を後にした。
途中で運悪くリツコに見つかってしまったけど、頭を下げて懇願するとため息をひとつ、すぐ戻ってくるのよと言って、
渋々だけど外出許可をくれた。
「ダンケ、リツコ」
外に出ると、見上げた空は真っ赤に染まっていた。真昼間だというのにまんまるな月が浮かび、点々と星が散らばっている。
眠る前、最後に見た時のままだ。私の弐号機とプラグスーツの色みたい。血の色みたい。ファーストの、瞳の色みたい。
ファーストの・・・、
「ファースト」
すぐに目を反らして、目的の場所へと走る。途中何度も躓いて、転んだりもしたけど、身体の痛みに比べれば、この位何ともない。
ようやくそこへ着いた頃には、すっかり息が上がっていた。何度も深呼吸して、顔を上げる。
すっかり変わり果てた芦ノ湖の姿がそこにはあった。