落ち着いてLRS小説を投下するスレ3at EVA
落ち着いてLRS小説を投下するスレ3 - 暇つぶし2ch695:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 17:06:59
>>692 って、>>675 について言ってるの?
アンカー無しじゃ話がわからん。

696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 17:32:04
>>695
いや、角さん、批評と呼べるものにはちゃんとレスを返してると思うし、ただの叩きや煽りをスルーすんのは基本。いちいち煽りを相手してたらグダグダになるからな。
なので>>675の言うスルー職人ってのは褒め言葉だろ。
というか、これは俺もだが>>692みたいのはスルー推奨

>>691

レイにゲップをさせたのはLRS史上あんたが初めてだ多分w

697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 18:25:25
疾風の名無し名人て前LASスレでエロ小説書いてなかった?

698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 20:40:06
全然スルーできてませんね馬鹿w

角は自分の都合の悪いレスはシカトですか?






答えろやハゲ!
てめえみてえなやつはくたばれやボケ!

699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 20:41:19

>>696
> レイにゲップをさせたのはLRS史上あんたが初めてだ多分w

more love, more happy ;v.Rei

なんてのが……

700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 20:44:57
うんこMAX

701:695
06/08/07 20:45:35
>>696

いや、マジで判断に困ったんだわ。別の文脈があったからさ。
なんかちゃんと言いたいことがある人なんじゃないかとか思っちゃって。

うん、もう困ってないけど。

702:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 20:49:11

==============冂=========冂=========冂===============
         ノ ̄ ̄ ̄.ノ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|
         ノ  Z  ノ  武  .ノ  食  |  堂  |
        -─-─-' '-─-─'└─-─└-─―-┘

               ┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
  らっしゃいなのさ~  |   | |   | | た | .|   |  |   | |   | .|   |
                | コ | | 手 | .| だ | .| 毒 |  | 乙 |  | カ | .| フ .|
                | ロ | | 羽 | | じ |  .|   |  | カ |  | タ | . | グ .|     
     ,-――-.    | コ | | 先 | .| ゃ |  | 丼 |  | レ |  | ワ |  | 刺 .|            
     /       |   . | ロ | |   | .| ス |  |   |  | |.|  | き |  | し .|           
    l"Z武食堂 l.    | ッ | |   |  | ル |  |  |  |  .|  | そ |  |   |            
     lー――l.    | ケ | |  .|  |

703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 20:54:52
Z武が武藤敬司に勝利


○Z武-武藤× (56秒 コロコロダイブ)
ドラゴンスクリューもシャイニングウイザードも効かないZ武に手も足も出ない武藤。
奥の手の毒霧も眼鏡をかけたZ武には効果ナシ。
対するZ武は悪徳レフェリー西田敏行の手助けを借りて序盤から一方的に攻め立てる。
最後はトップロープからのコロコロダイブ→超高速3カウントで完勝。
試合後武藤は「試合前の握手を拒否され、さらに試合中ずっと
『ちょっとまって、おいらを攻撃するの?ただじゃすまないよ』と言われ完全に足元をすくわれた。
腕を磨いてまた手合わせ願いたい」と語った。
Z武は「スポーツマンシップが、次のリーダーシップだ。」と言い残し足早に会場を後にした。

704:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/08 00:07:13
初めて投稿するです。よろしくです。

705:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/08 00:10:57
空。どこまでも青い、どこまでも澄んだ空。
―それはきっと、一点の曇りも、少しの迷いもない私のココロ。

雲。白い、綿のような柔らかい雲。
―それはきっと、あの人に向けた私の想い。あの人を、包み込むように。

白と青の向こうから射す、まぶしい光。太陽。
―それは、ヒトが恐れた暗闇を削り取るモノ。

私は、私のことがよくわからない。
私の心の奥底に、わら人形のようにぽっかりと穴の開いた部分があるから。
その暗闇が、怖かった。だから、それを埋めようとした。
前は、碇司令を想うことで。
でも、碇司令では埋められなかったのだと思う。
いつからか、碇司令のことを想っても、虚ろな不安が癒されることはなくなってしまった。

なのに今、日の光の暖かさが私の暗闇を溶かしていく。空っぽな私のココロを、満たしていく。
まるで―あの人みたいに。

706:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/08 00:14:01
気がつけば、両手をいっぱいに太陽に伸ばしていた。
その光の暖かさに、私のココロに水を差してくれたあの人を重ね合わせていたのかもしれない。

でも、いくら腕を伸ばして求めても、遥か空のてっぺんにある太陽には届かない。
私のココロも―あの人に届かないまま終わるのだろう。

最後のこんな瞬間に気づくなんて。

碇君。

私、もっと、あなたと―

太陽の輝きがひときわ強くなる。世界が光に満ちていく。

それを最後に、彼女の思考は四散した。

707:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/08 00:15:54
ごめん、今夜はここまで。

708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 00:26:45
>>707
乙。
次からもうちょっと書き溜めて投下してくれるとうれしい。
この分量だと、お話もなにも見えないから。

709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 02:28:06

==============冂=========冂=========冂===============
         ノ ̄ ̄ ̄.ノ ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄|
         ノ  Z  ノ  武  .ノ  食  |  堂  |
        -─-─-' '-─-─'└─-─└-─―-┘

               ┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
  らっしゃいなのさ~  |   | |   | | た | .|   |  |   | |   | .|   |
                | コ | | 手 | .| だ | .| 毒 |  | 乙 |  | カ | .| フ .|
                | ロ | | 羽 | | じ |  .|   |  | カ |  | タ | . | グ .|     
     ,-――-.    | コ | | 先 | .| ゃ |  | 丼 |  | レ |  | ワ |  | 刺 .|            
     /       |   . | ロ | |   | .| ス |  |   |  | |.|  | き |  | し .|           
    l"Z武食堂 l.    | ッ | |   |  | ル |  |  |  |  .|  | そ |  |   |            
     lー――l.    | ケ | |  .|  |

710:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/08 07:04:43
ところで、ここに書いたやつを何処かのLRSサイトに寄稿するってのは、
やってもいいの?

もともとは投稿を目論んで書いた話なんだけど、あることで悩んでいて
途中で行き詰ってしまってて、とりあえず出来てる分だけ見てもらって、
皆さんの判断を仰ごうと思ってるんですが。

711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 08:07:01
わからんが、俺は別にいいと思う。
これはあくまで一意見な

712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 08:27:39
>>699
ほんとだw

713:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:30:49
レイは食卓についたまま俯いているし、僕も似たような状況だ。
互いに話す事もなくて、時間だけが過ぎてゆく。こんなのがあと四日も続くのかな…

しばらくしてレイが立ち上がったが、足下がふらついてかなり危なっかしい。
テーブルに手をついて、身体を安定させている。

「だ、大丈夫…?」

「え…ええ…」

突然、何かに躓いたのか転びそうになる。

「危ないっ」

慌てて立ち上がってレイを受け止めた。
レイは完全に僕にもたれかかっている。まともに立ってさえいられないようだ。

「ごめんなさい…私、お酒に弱いの…」

本当に申し訳なさそうにレイが言った。
そういえば、顔がほのかなピンク色にに染まっている。

それくらいならやめときゃよかったのに…
第一、この状態はちょっと困る…僕も一応男なんだよ…え…?

「ちょ…ちょっと…こんなとこで寝ちゃ駄目だよ…レイ…?」

「…」

714:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:32:15
レイはもう眠りかけだ。自分の足で立とうともしていない。
仕方なく、力づくで僕のベッドまで引きずっていく。
彼女はベッドに横たわるが早いか、安らかな寝息を立てはじめた。

やれやれ。もう完全に酔っ払いだな…

ミサトさんと何年も同居していると、人間、随分と変わるものらしい。
少なくとも、今のレイはミサトさんが言うような「機械みたいな」女の子ではない。

めでたく謹慎仲間となったレイ。
彼女の無防備そうな寝顔を、そっと横目にみながら僕はそう思った。

715:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:34:47

正午前、インターホンが鳴った。

僕がドアを開けると…

「オッス、元気か碇!」「おじゃまするで!」

なんと、トウジとケンスケが訪ねてきた。
二人とも謹慎処分を痛いとも感じていないらしい。

トウジ曰く、「謹慎なんて学生の勲章や!」
ケンスケ曰く、「こんなの春休みの延長だって!」

ただ、気になることがある。
「でもさ、『自宅』謹慎だったはずじゃない?外出てきちゃっていいの?」

「ええねんええねん。担任の家で謹慎するんやから問題ないやろ。」

確かにそうだ。
でも、彼らにとっては、これは謹慎になってないと思うけれど…

とにかく、彼らは勝手に上がりこんできた。
ケンスケのリュックがやたら大きいけど、何が入ってるんだろ…
想像する事に難くは無いが…

「お、おい碇、なんで葛城が寝てるんだよ?」

ケンスケは僕の部屋を開けて驚いたらしい。
レイはすうすうと柔らかな寝息をたてている。

「それが…実は…」

716:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:44:53
僕は事情を説明すると、二人は驚きのあまり口をあんぐり開けてしまった。

「明日は雪やな…」と、トウジがぽつりと言った。
ケンスケなど、言葉も無いようだ。

「そ、そこまで驚くことは…?」

「碇。あの葛城が、だぞ?」「よりにもよって謹慎、やで?」

二人とも、ただごとではない、という顔をしている。

「でも…僕が来る前から、君達はレイを知ってたんじゃないの?」

「ああ、葛城が小学生の頃からな。」ケンスケが答えた。

「無口な奴だったよなあ、トウジ。」

「ああ。いっつも本ばっかし読んどったな。
 で…アレがあったんは…ワシが小学六年のころやったっけな…」
トウジが懐かしい事を思い出すように言った。

「そうそう、小六のちょうど今ごろだったよな…ひどかったよなあ…」
ケンスケが相槌を打つ。

「ふ、二人とも、なんの話してるの?」

「なあ、センセ。よう聞けよ。」
トウジが初めて真剣そうな表情をみせた。
 
「あ、うん。」

「葛城はあのころイジメられとったんや。」「それは、ひどく、ね。」

717:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:47:02

二人の記憶によると、始めは些細なものだったらしい。

誰かが「葛城の泣き顔を見てやろう。」と言い出したのだ。

いつも教室の隅でじっとしていた葛城レイ。
何にも興味を示すことが無い葛城レイ。
そして、誰も友達がいない葛城レイ。
葛城レイという少女は、いじめられっ子の条件を完全に満たしていた。

始めは授業中に消しカスを投げる程度。
消しカスは次第に大きくなり、紙屑や折れた鉛筆に変わった。
が、レイは当たってもみじろぎひとつしなかった。

次に靴を隠された。
レイは夕暮れ時まで下駄箱の前で立ちつづけていた。
用務員さんが落書きされ、泥だらけになった靴をみつけた。
レイはその靴を履いて帰った。

椅子に画鋲を仕掛けられた時…
その時に限ってレイの椅子に座って雑談しようとしたトウジが犠牲になった。

誰かに足を引っ掛けられた事もあった。
その場で派手に転んで、机が引っくり返る音が静かな教室に響いた。
レイは身体に異常が無いことを確認すると、何も無かったかのようにその場を立ち去った。

嫌がらせにも全く動揺しないレイに対して、苛立ちと、奇妙な好奇心が募っていった。
それにイジメっ子には、レイは決して誰にも告げ口をしない、という安全の保証があった。

どこまでやったら泣くんだろう。

718:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:53:12
そして、四月も終わりのある日の昼食時…

突然、レイの給食が引っくり返された。
落っこちた皿が金属質な音を立てならが床に散らばった。倒れたミルクが床に広がってゆく。

レイはゆっくりと目をあげた。

目の前にはクラス一の大柄が立ちはだかっていた。
これまでのイジメの主犯格であり、乱暴なことで有名だった。

さらに困った事に、先生は不在だった。
クラスの顔だったトウジも、給食当番をサボって屋上で寝ていた。
イジメっ子達にとっては絶好の状況だったのだ。

「葛城、てめえ、何で泣かねえんだ。」

大柄の少年は低い、凄んだ声で言った。

「…どいて。」

レイは大柄を押しのけると、落ちたコッペパンやハンバーグなどを皿に集めていく。

ドスン!という鈍い音がした。
わき腹を思いっきり蹴られたレイはそのまま床に倒れこんだ。
皿が空を飛び、集めた食材が再び勢いよく散らばる。

「無視るんじゃねえ!この人形野郎!」

719:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:54:20
さらに、レイの青い髪をひっつかむと勢いでロッカーに叩きつけた。
ガシャン、という鋭い音がする。

「ちょっと…多田野…!それやり過ぎだって…!!」

慌てた女の子達が悲鳴を上げる。
さっきまでは囃し立てておきながら、現金なものだ。

「うるせえ!こいつは俺を馬鹿にしてやがる!」と、大柄は叫んだ。

レイはゆっくりと身を起こすと、大柄の視線を真っ向から受け止めた。

「おい…何を見てやがるんだ…」
大柄の声が初めて微かに震えた。

数瞬後、蹴り飛ばされたレイが後ろの机に叩きつけられた。机が倒れて中の教科書が床に次々と落ちる。

レイは再び身を起こした。額が切れて鮮血が滴っている。
血が、レイの制服を染めてゆく。女の子達が本物の悲鳴を上げた。

にもかかわらず、再び大柄の目をみつめる。依然と感情をもたない目で。覗き込むように。

「なんだよ…やめろよ…やめろって言ってんだろォ…!」

悲鳴に近い声をあげた大柄はレイを更に蹴りつけた。まるでレイを少しでも自分から遠ざけたいかのように。
だが、しばらくして再び顔を上げたレイの顔、半分ほど血だらけになったその顔にも、全く感情は存在していなかった。
ロッカーに寄りかかって立ち上がったレイはゆっくりと大柄のほうに近づいていった…

トウジが給食当番をサボりきって悠々と帰ってきたのと、大柄が絶叫しながら教室を駆け出していったのは、ほぼ同時だった。


720:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 08:55:16
#修羅場って申し訳ありません。
#残りはあとで投稿します。

721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 09:01:04
>>720
乙。
……ママン、つらいよぅ、くるしいよぅ、「大柄」に制裁を加えておくれよぅ。

722:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 09:02:12
>>719 最後のほう、読みにくくてスマン

723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 09:27:44
>>720
ちょww多田野てwww
狙ったのか?ワラタそして乙

724:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 16:26:54
>710
問題は、投稿者が2chに上げた本人だという証明をどうやってするかだな。

725:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 17:11:06
>>724
トリついてるし、なんとかなるんじゃね?

726:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 18:46:02
>>723

狙ってませんwww

今初めて多田野を知りました…名前だけは聞いたことはあるんですが…
いつの間にか脳内に刷り込まれてたみたいです…恐ろしい事ですね…

727:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 18:47:48
「そんなことがあったんだ…」
僕は力なく答えた。これは僕にとってかなりショックな話だ。

「ああ。それ以来、みんな葛城からは距離を置いているんだよ。怖くてな。」

「多田野やったっけ、あいつもあれから学校来んようなってもうたしな。」

「で、問題はこれからなんだよ。碇。」神妙な顔をしてケンスケが言う。

「朝起きて、学校来て、飯食って、家帰って、寝る。
 去年一年間も葛城は今まで通りやった。」と、トウジ。

「それなのにだな。今学期、葛城の様子が変なんだ。」「まだ新学期が始まって一週間しか経っとらんのに、やで?」

だから、いきなり変と言われても、なぁ…

「ど、どこが…?」

「オマエ、本当に鈍いやっちゃなあ。」「鈍いなあ、碇は。」

二人とも、ニヤニヤしている。
鈍いって…お前らに言われたくはないのだが…

「葛城はオマエを一日中、飽きずにみとるんや。休み時間も、授業中も、下校中も、やで?」
「昨日は特にヒドかったな。」

レイが…僕を…一日中?

「お、赤くなってきおったで?」「ほう、碇シンジ君もその気ありですかな?」

728:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 18:50:36
「な、何を…
 トウジだって委員長を…」

突然、頭をグー殴られた。

「ま…まあ今は許したろ。
 でや、それで挙句の果てに今日は飲酒で謹慎処分。
 今までの葛城と比べるとこんなん信じられへんことや。」

「ここは、絶対に何かあったな、と憶測されるのが自然な流れではないかな?
 どうだね碇シンジ君。」メガネをきらりと光らせながらケンスケが言った。

…僕…何かしたっけ…

「ぼ、僕は何もしてないよ…!」僕は思わず叫んだ。

「さ、吐いてまえ。な。」「楽になるぞ?碇。」二人が僕に詰め寄ってきた。

729:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 18:51:22
「鈴原君に相田君…何をしているの…?」

突然、後ろで声がした。
ケンスケとトウジが慌てて姿勢を正す。「おじゃましてまーすっ!」

レイが眠い目をこすりながら起きてきたのだ。
頭は寝癖でボサボサだ。

「ミサト先生の家のほうが落ち着いて反省できるんだよ。」と、ケンスケ。

「葛城、ビールって旨かったか?どんな味やった?」と、トウジ。

レイがぼそりと言った。
「麦茶にサイダーを混ぜたみたい…美味しくない…」

トウジと僕は顔を見合わせた。
確かにそれは美味しくなさそうだ…それなら、ミサトさんは味覚音痴なのだろうか。

「酔いはもう覚めたの?大丈夫?」

「ええ…でも…ごめんなさい…シンジの部屋を使ってしまって…」

「ええねん、コイツなんて別に気にせんで。」トウジが代わりに返事をした。

「そう…まだ眠いの…おやすみなさい…」

730:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 19:01:58
#また中途半端なとこで終わっちゃいます。
#ごめんなさい。


731:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 19:14:14
>>730


732:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 19:18:56
うんこMAX


ブリブリバチュバチュ

733:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 19:39:32
>>730
乙。
つづきwktk

734:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 21:06:18
ふらぁ
「綾波っ!」
急に目の前で倒れかけた綾波にかけよる三人。
「あかん、二日酔いってやつや。部屋まで送ったる。おい!ケンスケ手かしてくれ!碇はなんか薬持ってきてくれ!」
「うん、わかったよ!」 そして綾波をベッドにねかしつけ、二日酔いにどう対処していいかわからない二人は、とりあえず熱をはかってみる。
「はい、綾波口開いて」
「……」
「あかん、もう寝ちゃったわ。……仕方ないな、綾波すまん」
体温をはかる為に、パジャマの第二ボタンまでをはずす。パジャマの上からでも綾波の熱を感じとれる。

735:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 21:44:33
その日の夜遅く。
ベッドに入ってしばらく経っているが、いっこうに眠気は湧いてこない。

今日は結構疲れたとは思うんだけどな…

レイはミサトさんに大目玉を食らった。いや、食らっている。
現在、居間で謹慎処分のオマケとしての反省文1200文字を書いているのだ。
レイにとってこれは想定外の事態だったらしい。

居間から話し声が聞こえてくる。

「ハア、これで800文字かぁ…
 後400文字、何を書くゥ?レイ、あんたもちょっとくらい考えなさいよ!」

現在、レイに代わってミサトさんが反省文書いている。

「…午前8時20分頃、缶ビール350mlを冷やしたジョッキに注ぎ、飲用。
 午前9時00分頃、泥酔状態に陥り…」

「…アンタねェ、そんな事しか書かないからさっき200文字しか書けなかったんでしょ?」

「…ならどうするの。」と、レイ。
深夜まで起こされたからなのか、少し機嫌が悪そうだ。

「アタシならビールの味とかも書くわね。」

レイがぼそりと言った。
「炭酸水に麦茶を混入した様な味。ひどく不味く…」

736:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 21:45:25
しばらくしてミサトさんが小さな溜息をついてから、落ち着いた声で言った。

「レイ、アンタも変わったわね…」

「そう…」

しばらくの間、部屋は静まり返った。

「シンジ君でしょ?」と、ミサトさんが唐突に言った。
ミサトさんの思考回路ってトウジと同じなのかな…

レイの返事は聞こえなかった。

「無理して言わなくてもいいわよ。レイ。
 でもね…あなたはシンジ君と一緒にいる時、本当に嬉しそうに見えるの。」



737:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 21:46:18
「私が…嬉しそうに…?」
レイの声にはかすかな戸惑いが込められていた。

「あら、もうこんな時間ね。
 続きは私が書いておくから、あなたはもう寝なさい。」

ミサトさんが優しく言った。

「え…でも…」

「いいのよ。まだ謹慎は三日残っているわ。
 反省する体力くらい、残しておきなさい。
 それじゃお休みなさい。」

「…お休みなさい。」

ミサトさんがレイを寝室に押し込んだようだ。
襖が閉まる音がした。

居間の明かりはしばらく消えることはなかった。

738:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 21:47:12
「メガネ買えよボケ」

レイは冷たく言い放った。

「なめてんじゃないわよ!!!」

739:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/08 21:50:48
#やっぱし中途半端は嫌いなんで、キリのいいところまで書きました。
#ストック使いきりです。次の投稿は数日後になりそう。


740:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 22:17:24
改行多過ぎ
レスが無駄に増えるだけ
もう少し押さえろ

741:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 22:19:50
>>939


742:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 22:20:32
>>740
こんくらいで丁度よくね?w

743:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 23:38:47
>>739
乙。

>>740, >>742

この板だと(板ごとに違うんだよね?)1レスで最大 2KB or 32行 まで書けるらしい。
“改行”については「表現上の都合」とかあると思うし、
一行が長すぎるのは実際読みにくいけど、レスの過剰消費は抑えた方がいいんじゃあるまいか。

……というのも「小説投下スレなど、1レスの容量が大きいスレではスレ容量制限にかかって
レスが1000まで行かない場合もあります」なんてのをどっかで見たことがあって、
小説スレでそういうの、ちょっと見てみたい気がするのだ私は。

744:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 02:05:39
空行が多過ぎるんじゃないの
736とか内容カスカスの酷い有様だし
レスの水増しは勘弁して欲しい

745:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 03:14:57
>>744
> 空行が多過ぎるんじゃないの
 でも段落間、発話間で一空行って書式は結構普通に見かけるよな。横書日本語って
段落間で行頭字下げだけだと読みにくい。2chのレイアウトだと殊に。
 会話の発話間は俺も詰めちゃうけどね。実際「32行しか書けねぇのかよ!」って思
いとのせめぎあいだよね。

> 736とか内容カスカスの酷い有様だし
 3(4?)レスでワンセクションで、しかもそれさえ全体のホンの一部ってとこで、
1レスつだけ抜いて内容が無いようとか言ってもあんまり意味ない希瓦斯……。「そ
のセンテンスいらね」とかって指摘の方が実効性がありそう。角氏の場合とくに。
 まぁ、 >>736 の最後の改行は >>737 の頭にあった方がふいんき(ry 出るかなって
気はするかな。俺は専ブラで読んでるから、あんまし関係ないんだけど。

> レスの水増しは勘弁して欲しい
 水増しってよくわかんね。投下するときって、投下レス数が多い方が嬉しい?俺は
どっちかてぇと、レス数が多くなるのは心苦しい上にめんどくさい。

 と、以上は一行38文字・段落間空行無しのインデントのみ・センテンスごとの改
行無し。もっと長文の方がサンプルとしてはよかったかも知れんが、これ以上「言い
たいこと」の水増しは難しい。御参考まで。

746:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 06:30:35
角ってマジうんかす溜ってて汚ねえ、ケツ穴くらい掃除しろや

747:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 20:01:53
>結構普通に見かけるよな
2ch以外ではな。もし2chでこれ同様に空行入れてるのがあるなら紹介してくれ。
短編ならともかく、長編でこれをやってりゃ叩かれるだろ。

>1レスつだけ抜いて
1レスだけのはずがないだろ。全体的に内容が薄く、特に736は酷いから挙げただけ。

>水増しってよくわかんね
分からないなら黙っていたらどうかと。
怪文章を垂流して喜んでるヤツの考えることなど常人には理解できないだろうから。

748:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 21:04:04
>>747
お前は人を不愉快にさせない書き方ができんのか?
ガキ臭い反論なら他でやれ。

749:角 ◆uTN4HfUPlw
06/08/09 21:51:24

賞味期限6/4のところてん食べて腹壊しました。
病院行ったら感染性の胃腸炎だとか言われました。
すぐに治したければ入院が必要だそうな。

数日間は絶食&点滴生活。更に病院にはPC持ち込み禁止。

こうなる公算が非常に高いです。
もうおしまいだ。俺。

ということで、数日どころか当分はこのスレに来れそうにありません。
一応、それだけ伝えに来ました。


750:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 21:55:06
>>749

お大事に。

> 賞味期限6/4

あー……自戒の足しにはするが、同情は出来んなw

751:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 22:05:23
>>749
2カ月前のもんなんか普通やめとくだろww

まぁ頑張って治してまた来てな。待ってるわ

752:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/09 22:33:10
食ってから賞味期限に気づいたのか、
それとも知りながら食ったのか・・・どっちにしても無謀だよアンタw

753:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 00:33:52
>>747

> 2ch以外ではな。もし2chでこれ同様に空行入れてるのがあるなら紹介してくれ。
> 短編ならともかく、長編でこれをやってりゃ叩かれるだろ。

 そんなもんかね。キツ目のレイアウトをいじりようがない2chだからこそ、
スペースたくさん取りたい気がするけど……って思いながら改めていくつか覗いてみたら、
  1) 段落間で空行 : 普通
  2) センテンスごとに改行 : 普通
なんだけど、
  3) 発話間で空行 : そんなやつぁおらんやろ
って感じだった。 3) は“普通”じゃない。撤回するわ。
 ってなると、発話文だらけの >>735-737 は、いきおい空行が多くなるわな。
あとまぁ、この投下にはパラグラフの感覚は希薄かもしれん。

> 特に736は酷いから挙げただけ。
 うん、だから君はそこだけ拾って特筆してんじゃん?
 2KB or 32行 (>>743) なんて制限のある所で、レスの区切れには大した意味は無いと思う、って
言いたかったわけ。 >>736>>735>>737 に違いを見出して「特に」とか言っても虚しかろうと。

> 分からないなら黙っていたらどうかと。
 難しい書き方して御免な。
「レスの水増し」なんつう不毛な発想がどっから出て来るんだい?って言いたかったんだ。
レス数が多いからって誰も喜ばねぇのにわざわざ水増しするヤツが居るの?って。
 つまり俺によくワカンネェのは君の考え。暇だったら今度聞かせてくれよな。

>>748
 書き方なんざ瑣末な問題だろ。ここ2chだよ。
コワモテキャラなんかどこにでもいるじゃん。

754:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 03:24:54
つか、「」でいちいち空行入れるのもどうなのよ。
何でコイツはこんなに空行が好きなんだ?

>うん、だから君はそこだけ拾って特筆してんじゃん?
該当レスが複数ある。で、それら全てにアンカーをつけろと?
1レス例として挙げれば十分だろ。

>レスの水増し
その誰も喜ばないであろうことを延々と続けてるヤツがいるじゃん。
その本人に聞いてくれ。何であんなに空行入れてるんですか?ってさ。

755:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 04:21:35
^^;角キモイヨー

756:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 04:24:38
角はケツにウンコつけながら書いてるから臭い臭い

757:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 04:26:16
角はチンカス溜め放題だな

758:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 04:27:49
ウンコマン角

759:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 04:29:10
ウンコマン角

760:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 04:40:00
ウンコマン角

761:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 04:57:02
ウンコマン角

762:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 05:08:51
ウンコマン角

763:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 06:42:50
馬鹿、お前ら>>749は「しばらく名無しで反論させてもらいますよ」って意味だろ。察してやれよ。

764:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 07:42:55
ついでに最近沸いた他の作家を削除したいんじゃないの

765:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 09:08:36
>>749
恐ろしやwwww

766:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 14:14:20
>>754
その張本人は腹の中でレクイエム鳴り響いてるそうだから、多分お前の質問には答えられないぞ。
お前ももう少し落ち着けよ。

767:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 17:27:23
違うよ、角がいなくなる理由はそんなことじゃないよ

768:角さん(48)が緊急逮捕されました
06/08/10 17:41:04
今日未明、角容疑者(48)が街角で痴漢行為を働いているところを近くの住民が目撃、通報しました。
角容疑者は物陰に隠れ、通りかかった女性に対し「僕のウンコたべてー」「脇のにおいかげよ」などと声をかけ痴漢行為を働いた模様です。
その後駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。


角容疑者は警察の取り調べに対し
「腹壊したからウンコしただけで何が悪いんですか?女性とスカトロプレイは最高でしょう」
と供述しています。



↓逮捕送検される角容疑者(48)

769:角さん(48)が緊急逮捕されました
06/08/10 17:42:37

              λ
             ( ヽ
             (   )       
             (____)
           /     \      λ
    λ     /   / \ .\.    ( ヽ     ________
    ( ヽ    |    (゚) (゚)  |   .(   )    /
   (   )  |     )●(  .|  (____) <  女性とウンコは大好きです
  (____)  \     ▽   ノ   / つ      \
     ヽ__ \.  \__∪ /  ./ 丿        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       \  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ,/
  λ       ̄|       | ̄ ̄     λ
  ( ヽ   .   |       |       ( ヽ
 (   )  |⌒\|        |/⌒|   (   )
(____). |   |    |    |   |  (____)
       | \ (       ) / |
       |  |\___人____/|   |
       |  |           |  |

770:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 18:36:00
粘着ってすげーな

771:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/10 22:14:43
>>770
文章の性質、書き込み時間帯から察するに、粘着は多分二-三人くらい。
私怨粘着一匹と夏厨二匹と見た。

死にかけてたスレを生き返らせてくれた角 ◆uTN4HfUPlw がダウンしちまったのか。
これを機に新鋭作家を育成したいとこだな。

SeventySix ◆DTDSamiQ9U はどうなったんだ?
めっちゃ続き読みたいんだけど。

772:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 00:19:46
粘着がいる限り無理な希ガス

773:743, 745, 753
06/08/11 00:36:48
>>744>>754 は同じ人?
にしては同じことしか言ってない気もするけど……

とりあえず >>754
コメント付けてくれてありがと。 でもホントに>>753のレス、読んでくれてる?
# 文章が冗長なのは自覚してるけど、俺そんなに難読な悪文を書いてるのかな? > 第三者

>>うん、だから君はそこだけ拾って特筆してんじゃん?
> 該当レスが複数ある。で、それら全てにアンカーをつけろと?
1レス1パラグラフなどの方策を取らない限り、レス単位で語る意味は薄い。

あるいは、 「『そこだけ』じゃなくて『特筆』が論点なんだよ。アンカーなんざどうでもいい。」

>レスの水増し
> その誰も喜ばないであろうことを延々と続けてるヤツがいるじゃん。
> その本人に聞いてくれ。何であんなに空行入れてるんですか?ってさ。
君の主張においては「空行の挿入」と「レスの水増し」が同義に扱われている。
そのような“概念の混用”が主張から論理的整合性を奪っている。

あるいは、「空行入ってりゃ水増しかよ。短絡過ぎ。」


って今度は書いてみるよ。

重複投稿ですみません。 > all

774:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 01:31:50
>『そこだけ』じゃなくて『特筆』が論点なんだよ。アンカーなんざどうでもいい。
736は内容カスカスの酷い有様、というのが『特筆』だと言いたいの?
で、この場合の『特筆』というのはどういう意味で使っているの?

>空行入ってりゃ水増しかよ。短絡過ぎ。
前にアンタが自分で言ってたように、コイツは普通の人とは違う箇所にまで空行を挿入している。
その結果、レスが無駄に増えてる。それを指して水増しと言うのは短絡的か?
普通の空行とコイツの空行では意味が違うだろと。

775:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 01:49:54
自演乙。

まあ何だ、発話文間に空行はいれないでねっつーことでFA?

俺としては地の文をもう少し増やした方が良いように思う。
現状でも読めるけど、なんか軽いんだよね。

776:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 04:13:14


   ,/⌒\
⊂二二(´・_ゝ・`)二二⊃フーン
   |  /
    ( ヽノ
   ノ>ノ
 三 レレ



777:角は肝杉
06/08/11 04:22:40
ウンコマン角はびびって名無しになりました








バーカ

778:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 05:09:11
これ,いいかげん運営にアク禁要請できるレベルじゃないの?

779:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 05:16:18 G18BE4qw
↑は?

780:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 05:35:32
運営にアク禁要請できるレベルってどこからなんだ?よっぽどすごい荒らしじゃないとそこまでならんだろおそらく。

このスレの前の方でも、エヴァ板に通報された馬鹿が出たって話題でそういう話あったけどよくわからんな

781:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 06:17:55
そうだよな、角はアク禁になるべきだよな、キモイし

782:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 06:22:10
もぐレイスレのやつらはもっとひどい目にあってるってのにおまえらときたらこの程度でアク禁騒ぎか。

よっぽど耐性ないんだねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

783:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 06:25:38 BEGVjFJt
と、アク禁に怯える粘着

784:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 06:37:26
>>781
お前頭いいな

785:最下層 ◆1/VLK68q7c
06/08/11 07:27:25
おはようございます♪角さん、頑張ってくださいね。

786:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 07:44:19
消えて失せろ!

787:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 08:29:41
角はもぐレイで決定だな、ウンコ垂れ流しまくりだし

788:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 09:36:09
===この流れはここで断ち切ります===

さあ、まったりと投下を待とうではないか!
お前ら、専ブラは勿論使ってるよな。

789:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/11 09:40:38
たーらこー

たーらこー

たーっぷーりーたーらこー

790:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 02:55:07
角 ◆uTN4HfUPlw
   ↑
逃げ出したウンコw

791:773
06/08/12 14:20:38
>>774
> 736は内容カスカスの酷い有様、というのが『特筆』だと言いたいの?
言いたい、じゃなくてそれは俺の素朴な事実認識。
> で、この場合の『特筆』というのはどういう意味で使っているの?
【特筆】:
  特にとりたてて記すこと。殊に目立つように書くこと。多く、強調してほめる場合にいう。
# もちろん「君は736ほめてる」ってつもりはないけど。
言いたいのは“レス単位で語る意味は薄い (>>773)”の方。
付言・換言すれば「内容に言及するには参照が乱暴じゃねぇか」って。

> その結果、レスが無駄に増えてる。それを指して水増しと言うのは短絡的か?
【水増し】:
  実質を落しても見かけの量をふやすこと。実質・内容の貧弱なものを、見かけだけそれ以上のものにすること。
よって、
a) 増量を目的として空行を挿入するのは「水増し」
b) それ以外の目的で空行を挿入し、その結果レスが増えるのは「水増し」では無い
そんで、
> 普通の空行とコイツの空行では意味が違うだろと。
“地の文”と“発話の文”が密着してる所もあれば、一行中に発話文が連続してる所もある。
空行の意味を「増量目的」と即断するのは論理が短絡している。

付け加えて“誰も喜ばねぇのに云々(>>753)”は
「増量で見かけが『より良く』なるとは思えない。水増しとは言えない。」って意図から。
増量しても、むしろ『より悪く』なりがちじゃねぇか、と俺は思うよ。

空行が多くてがんがんレス区切りを跨いじゃうから、
文章自体の構成が見えにくい、って気はするけどね。 > 角 ◆uTN4HfUPlw

それにしても、「あるいはバージョン」は誤解しか生んでないね。ごめんなさい。

# >>775 FA踏みにじってゴメン。堪忍してぇ。

792:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 21:17:03 skvsR31q
暇だから自作を投下してみる
自信はないがな。
ちなみにいっておくが鬼畜系だ

793:792
06/08/12 21:17:54 skvsR31q
■asuka 序章

ある一室、何も無い殺風景な部屋で少女の卑猥な声、悲鳴が鳴り響く。
部屋にはうめき声をあげる少女と、そして人間とは到底思えない狂った嘲笑を浮かべる少年のふたりしかいない。

「うげぇぇっ…げええぇっ…おええぇぇっっ…!」

アスカは激しく嘔吐していた。少年が必要以上に腹部のみを殴打しているからだ。

794:792
06/08/12 21:18:49 skvsR31q
出るものはすでに胃液しかでてこない。アスカの幼くとも美しいその顔は
すでに自ら嘔吐した胃液と唾液そして涙によって醜くそして淫靡ものになっていた。

「はぁ…はぁ…ひいっ…どうして…嫌…もうやめて!」

アスカの切実な言葉は懇願というより恐怖そのものでしかなかった。これから自分がどうなるか頭の良いアスカには
理解できているのかもしれない。

795:792
06/08/12 21:19:41 skvsR31q
「…嫌?くくくっ…きひひ…あはははは…何言ってるんだアスカ。
楽しみはこれからだというのに。そうか、全力でしてほしいんだね」

少年は嫌らしく楽しみに満ちた表情でアスカに語りかけ体を近づける。

「ひっ!そうじゃない…違っ…ひぎぃぃぃぃぃ」

796:792
06/08/12 21:21:51 skvsR31q
時はさかのぼる


シンジはごく普通の少年だった。普通より頭が良く性格が内気なだけで他の人とはなんら変わりは無い。
違うといえば以前エヴァンゲリオン・サードチルドレンとして特殊機関NERVに所属していた。
人類の危機を救ったという点では有名人かもしれない。
3人の少年少女により使徒殲滅、人類のほぼ大半が生き残るという功績を残したのだから有名人なのかもしれない。


797:792
06/08/12 21:23:38 skvsR31q
現在、シンジの精神は醜く澱んでいた。無理もない。まだ中学生だというのにわけもわからず、
エヴァンゲリオンのパイロットとして選出され、初めてできた友達の一人を自らの手で葬り、
周りの大人たちにいいように利用されつづけてきたのだ。

「許せないっ。何がエヴァだ…何が「シンジ君!よくやってくれたわね!」だ。
僕がどんな思いでエヴァに乗っていたか!人の気も知らないで!」

誰も知ることのないシンジの醜くそして歪んだ感情は常に増加していくことしかできなかった。

798:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 21:25:40 skvsR31q
誰からも反応ないか
んじゃやめるか

799:最下層 ◆1/VLK68q7c
06/08/12 22:03:31
>>798さん、頑張って!

800:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:09:13
第三新東京市第七環状線。

大電力を注ぎこんだリニアの動力に相応しい快速で、モノレールの上をすべっていく11両編成の車体が、
夕日のオレンジ色をまぶしく跳ね返していた。
山並みの向こうに今まさに沈まんとする今日の夕日は、夕焼けなど嫌というほど見慣れているこの街の
住人さえ、息を呑ませてしまう程の艶やかさを見せている。

だがその車中の人である一人の少年は、車外のそんな光景など意にも介さない風情で、座席で力なく俯いていた。

少年の名を、碇シンジと言う。

形のいい耳に押し込まれたインナーイヤーのヘッドホンからカシャカシャと迷惑な音が漏れているが、
彼は気に留めていなかった。今の彼には何も聞こえていなかったのだから。
意識されることもないポップミュージックが、空しく充電池を消耗させながら垂れ流されていくだけ。

また、それを迷惑がる乗客も実のところ居はしない。騒音を撒き散らすシンジの周囲には誰もおらず、
彼一人が座席を占有している有様だから。

801:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:10:59
乗客はシンジのいる車両だけでも数人いるかどうかと言う有様。その誰もが、どっかりと真ん中に
座り座席を独占している。それでも尚、空いている座席のほうがすっと多いのだ。
赤字必至の悲惨な乗車率なのは明らかだ。この分では他の車両だって似たようなものだろう。
そしてもう二度と、昔のようなすし詰めの乗客で車内が満たされることは無いことを、乗っている誰もが知っているのだった。

「もう、いいや」

そう吐き捨てて、シンジはいらつきながら愛用のSDATの電源を切った。
ヘッドのドラムが止まる音と共に、ヘッドホンからの耳障りな騒音も止まる。

(くそ…)

忌々しそうに、シンジは胸で悪態をつく。
こうも電車の中でぶっ通してSDATを聞き続けたのは、この町に来てまだ間もない頃に家出した時以来だ。
あの時もずっと好きな音楽を聴いていたけど、それを苦痛とは感じなかった。音楽を聴いて心が晴れるわけでも、
当面の問題が解決するわけでもなかったけれど、少なくとも音楽に逃避することは出来ていたのだから。

それが、今日は違った。

何度も聞き慣れた曲なのに、気休めにも辛い現実から逸らしてくれていたはずの曲のはずなのに、
今は小さな胸をフラストレーションで掻き回すだけのノイズにしか聞こえない。

802:792
06/08/12 22:12:47 skvsR31q
サードインパクト後、シンジはミサトとアスカの三人で暮らしていた。
シンジにとってミサトも他の大人たちと同じ対象でしかなかった。
都合のよいときばかり家族面をして、
都合の悪いときはNERVの上司として命令する。

(ミサトさんも他の大人と一緒だ。
僕やアスカや綾波がどんな気持ちだったかなんて考えもしないで!
都合のいいときだけやさしいふりをして!…もううんざりなんだよ偽善者ぶりやがって!!!)

シンジの醜く澱んだ精神にはミサトのシンジに対するやさしさや感情等を
理解できる精神はすでに持ち合わせていなかった。
今のシンジのよりどころはアスカそのものだった。
共にエヴァパイロットであり共に使徒を殲滅した仲であり
シンジの気持ちを理解しているからだった。…いや、シンジがそう思っていた。

(アスカ、他の大人たちは僕たちを利用することしか考えていないんだ。早く二人だけで暮らそう)

803:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:13:05
なぜだろう―と浮かんだ疑問を、冷めた心のどこかがわざとらしいねと嘲笑する。

(わかってるくせに)

すっかり潤いと温もりをなくしてしまったその部分が、そう言っていた。

(冷たいんだね。そうやって『彼女』から逃げるんだ?)

なおも頭に響く声を、彼は頭を振って追い払おうとするが。

(もう『彼女』のことを忘れたいの?
ついこの間、ようやく気づいた本当の気持ちだったのに。
それを聞き飽きた音楽なんかで紛らわせられると、本気で思ってたの?
本当に馬鹿だね、君は……ううん、『僕』は!!)

それは、ほかならぬ彼自身の心の声。ここ数日、昼夜も場所も問わず少年を追い詰めてきた自責の念だった。

「く…!」

葛藤から逃げるようにヘッドホンをシートに叩きつけてから、シンジは夕日の色に染まる車内を見回す。
その車両には、彼以外の乗客など本当に片手で数えられるほどしかいなかった。毒々しいほどに鮮やかに
窓から差し込む斜陽の色が、殺伐とした雰囲気にかえって拍車をかけている。

804:792w
06/08/12 22:14:08 skvsR31q
■asuka 一章

「ただいまっー」

シンジは部屋に帰ってきた。
シンジにとって同居しているアスカと一緒にいれるこの時間が一番幸せだった。

「アスカ?帰ってきてるの?」

返事は無い。シンジは部屋に誰もいないことを確認すると
醜悪な笑みを浮かべつつミサトの部屋に入っていった。
醜く澱んだ精神は性欲へと姿を変えてきていた。
そう、誰にも向けることのできないシンジの感情はミサトに向けられていた。
おもむろにシンジはズボンをおろしていく。

(くくくっ…ミサトさん…いつも僕がミサトさんをどういうふうに見ているかわかりますか?
まさか家族の一員として、とか言いませんよねぇ?
…きひひひっそんなわけないじゃないですか?ミサトさんは都合のいいとき
ばかり家族面して実際には僕のこと家畜として見ていたんですよね?
あはっ!あはははは遠慮しなくていいですよ。実際僕は
家畜以下の惨めな存在ですから。
くくくっ僕はあなたのことを性欲処理の道具としてしか見ていませんよ。
他の大人と同じ偽善者のくせに犯しがいのある顔しやがって。)

805:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:15:31
この時間ならば、部活帰りの学生や帰宅の途につくサラリーマンでごった返しているはずなのだが、
シンジはそれを訝る様子も見せなかったし、それは数少ない他の乗客も同じだった。
その理由を、誰もが嫌というほど知っていたからだ。

少し前までなら、この路線はそれこそ座りきれないほどの人を運んでいたのだ。
それが、数日前突如として市街地の中心部で起きたこれまでにない大爆発によって死傷者多数、
市街の中核を丸ごと喪失した第3新東京市は、都市機能そのものに深刻な打撃を受けたのである。
避難先のシェルターで難を逃れた者も疎開を余儀なくされ、街の人口はここ数日で一気に減少したのだった。
こんな状況下では、この環状線で仕事や買い物に出かける人の多かろうはずもなく、それが今のガラガラの
乗車率となって現れている。
いつもなら混雑しているはずの車内が閑としている様は、誰の胸にも被害の大きさを改めて突きつけずには
おかないのだろう、どの顔も陰鬱として俯いていた。
シンジはチラリと車両の一番左端の座席に遠慮がちな視線を送る。
そこで、彼の小さな胸を乱してやまない対象が本を読んでいた。
夕日を照り返す空色のショートカットが印象的な、ルビーの瞳の少女。

シンジや他の乗客たちの重く沈み込んだ雰囲気を気に留めない風情で、ただ黙して読書にふけっている姿
はまるで一枚の絵になりそうだが、シンジの胸は締め付けられる。
一人静かに本を読むその少女の姿なら、シンジはこれまでに何度も見慣れていた。
見るたびに、何かほっとするような感じに癒されていたものだ。
でも今、それを目にするシンジの胸にはそんな安堵など微塵も去来しなかった。
あるのはただ、痛みを伴うほどに狂おしい懐かしさ。
こうして本を読む少女を前に見たのはいつだったかと、たわいない疑問が浮かぶ。

806:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 22:16:30
いちいちあげんな

807:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:16:51
ほんの一週間くらい前のことだ。

時間にすれば、たったそれだけの隔たりでしかない。
なのに、それをずいぶんと昔のことのように感じ始めている自分に、シンジは小さな驚きを覚える。

(3人目だもんな……僕の知ってた綾波とは、違うんだ……いくら似ていたって!)

残酷だが、それは厳然たる事実だった。
さっきのような幼稚な自問自答で、一度気付いた想いを忘れようとする行為をいくら卑下しても、
自嘲という名の逃避でしかない。
そして、いくらその偽善じみた行為で己の非を糾弾しても、それ以上に残酷な現実は何も変わらない。

そう、彼の目に映る彼女は、『3人目』なのだった。

808:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:18:03
1人目の彼女がどんな人間だったのか、少年は知らない。
2人目なら―知っている。と言うより、2人目だけがシンジの知り得る少女の全てである。
少年の初陣は、傷ついた彼女を見かねてのものであった。
その恩返しという訳でもないだろうが、後日の戦闘では彼女が少年を守る任を負った。

「あなたは死なないわ。私が守るもの。」

そう言い放った言葉に偽りは無く、少女は自らを盾とし、見事にそれを完遂した。
それ以来、二人の距離は大きく縮まった。

その後もいろんなことがあった。使徒と称される脅威との戦いは続いていたが、二人は戦友としてそれを切り抜け、
また級友としてつかの間の平穏な時間を共有した。

そんな日々に、突如残酷な終止符は打たれる。
先日、後にアルミサエルと呼称された使徒との一戦において、少女は自らの機体もろとも消滅したのである。
少年を巻き添えにすることを良しとせず、自ら選んでの自爆であった。

少年は、その瞬間を網膜に焼き付けていた―侵食され異形と化した機体が、ATフィールドの中で閃光と
共に砕け散っていくのを。

809:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:19:32
結果的にそれは、第3新東京市に壊滅的な痛手を与え、少年の命と引き換えに何人もの死者を
もたらすこととなる。それを知れば数多の死者の遺族は、友人は、皆例外なく少女を罵倒することだろう。
それを恐れたから、シンジは彼女の死を親しい級友さえにも口外せず、ただ自分の胸のみに秘めて
今日までの何日間かを耐えてきたのだ。

だが、それも限界に近いことをシンジは自覚せざるを得なかった。
『3人目』の彼女が現れたからである。

その生い立ちを知ったとき、シンジは震えた。
『3人目』の存在は、ある意味で『2人目』に対する最大級の侮辱であった。少なくともシンジにはそう思えた。

(『2人目』は死んだんだ。僕の知ってた綾波は本当に死んだんだ。)

そう思い知らされたとき、空っぽになったはずの胸に痛みが走った。尽きたと思っていた涙がこぼれた。
胸が痛くなるという言い方は比喩でなく真実だったのだと、そのとき彼は初めて知った。


810:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:21:50
2人目から受け継がれたという記憶のバックアップなど、彼にとっては何の意味があるだろうか。

2人目でも3人目でも、僕にとっては同じ綾波だよ―そんな台詞は、とても吐けなかった。

口にすれば、よく知っていた2人目を侮辱しそうな気がして。
自然、彼と3人目の間には距離が出来始める。
最低限必要なとき以外、口も利かなくなった。同じ電車に乗るにしても、こうして離れた席に座る。
―2人目といたときは、有り得なかった二人の距離。

これから先、これ以上縮むことは無いだろうし、縮めようと努力することも無いだろう―そんな諦観を感じながら、
シンジは読書を続ける少女から意識して視線を逸らした。

不意に、疲れが襲ってきた。
着くまでにはまだ時間がある。少しウトウトするくらいの時間の余裕はありそうだ。
寝すぎて乗り過ごしても、どうせ環状線だ。最終まで乗っていたとしても、タクシーでも使えば帰宅は出来る。
もちろん、ミサトさんには絞られるだろうけど。

(いっそ、このままどこか遠くに消えてしまいたい……)

そう弱音を吐いたら、強烈な眠気が襲ってくる。自分がひどく疲れていたのだと、シンジは今更のように気がついた。

811:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:23:57
(眠い……)

瞼を閉じる寸前、環状線の進行方向の空が視界に入る。
ちょうど、沈む夕日の方向だ。

はじめて見る夕焼けの空の色だった。光の加減でこんな色に見えることもあるのかなと、ぼんやり少年は思った。

夕焼けの空が裂けている。
夕焼けのオレンジ一色の中で、青空の覗くその一角だけが異を唱えていた。
裂けた雲の間から、真昼と見間違いそうなくらいに眩しく真っ白な光が降り注いでいる。
シンジを乗せた車両は、まさにその真下に向けて風を巻いて走っていく。

(夢の中だけでも、『二人目』の君に会えるといいな……)

空しい願いだと、自分でもわかっていた。夢で会えても、現実の『二人目』はもういない。
閉じた瞼に涙を滲ませたその思考を最後に、シンジは眠りに落ちていった。

812:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 22:34:36
やぁ。

君たちには3日後の同じ時刻にチンコがもげてしまう強力な呪いをかけた。
もし呪いを解きたければ、以下のスレに「おっぱい」と「おまんこ」のどっちが好きかをageで書くことだ。
スレリンク(rail板)l5

呪いを信じる、信じないは君たち自身に任せる。
なお、「どっちも嫌い」「どっちも好き」は神への冒涜として更なる災難が降りかかることだろう。

813:最下層 ◆1/VLK68q7c
06/08/12 22:37:03
凄い投下スピードだね!

814:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/12 22:45:21
今日はここまでで勘弁。今日は他にも作家さんいるようだし。

あと、上のほうでちょっと出ていた空行etcの話ですが、話を書いてUPする側の立場に
すると結構頭の痛い問題かも。私自身、今まで投下してそう感じました。
何というか、テキストエディタで書いてるときのイメージと、2ちゃんに投下したときの
イメージが全然違うんで、投下する前に改行や空行をいろいろいじらないといけないです。
エディタで書いてるときは、セリフとセリフの間の微妙な時間の空きを視覚的に表現する
ため計算して入れた空行が、2ちゃんに投稿すると間抜けに見えたり。

815:最下層 ◆1/VLK68q7c
06/08/12 22:56:26
>>814さん、間の表現は難しいよね。
その人のクセはしょうがないよ。荒らしさんに負けず、頑張ってください♪

816:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 23:31:36
>>814
(*^ー゚)b グッジョブ!!
空行で間を表現する手法は2chでは余り向かないのかも。
数行開けてオチで笑いをとるタイプのものは別だけどね。

>>792
「sage」でやってくれないかな。
それとLRSメインでないSSなら他所に投下してね。
もっとも俺がイタガリータなだけなんだけどね。

817:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 23:33:36
最下層の悲しき自演

818:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/12 23:58:12
>>814
おお、GJ
待ってたよ

819:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 01:12:08
あ~続きが読みたいな

820:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 01:27:16
>言いたいのは“レス単位で語る意味は薄い (>>773)”の方。
1レス単位で語ることに意味はあると思うが。具体例があると問題点が明確になる。
>>736を無かったことにしたいが為に、そんなことを言ってるようにしか思えないんだが。

>「内容に言及するには参照が乱暴じゃねぇか」
アンカーが乱暴かな?
そもそも、レス単位で語る云々も違うだろと。
>>736があるから空行云々言ってるんじゃない。空行の弊害の一例として736を挙げてる。
736がなければ他のレスを挙げてただろうし。

>水増し
>3) 発話間で空行 : そんなやつぁおらんやろ
>って感じだった。 3) は“普通”じゃない。撤回するわ。
アンタ自身が普通じゃないと認めてる。
コレが水増しでないのなら、ヤツは異常者だということか?

>空行の意味を「増量目的」と即断するのは論理が短絡している。
そうだね、即断すれば短絡だね。けど、これは即断じゃないよね。

>増量しても、むしろ『より悪く』なりがちじゃねぇか、と俺は思うよ。
アンタはアイツじゃないからな。
だから、アイツに聞けと言ってるんだが。

821:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 03:06:09
最終的に本人に対して行なわないと意味無いよな>批評・批判
んで、その本人がリアルで片足魔界に突っ込んでいる現状では平行線を辿るだけだろうし、
このまま不毛な罵り合いに発展して荒れるのははた迷惑だしなあ。

横槍になるが第三者の俺の意見を述べると
この作者の投下パターンは

ある程度書き溜めた作品を適当な長さに区切ってスレに連投

のようだから、”レス単位で云々”事態が意味が無い。
大本のレス>>744も別に辺じゃないと思うが。
>>744にしてみれば分けて投下された中では特に>>736が酷く見えただけなんだろうし。
>>736が無くても「空行が変に多くてウザイ」事実に違いはないしね。
まして>>735-736はそのままでも2レスで済む量だから尚更。
作者はおそらく水増すつもりで空行を入れてはいないだろうけど、
客観的には充分「水増し(見かけの量を実質よりも増やす)」になるね。

発話文間の空行といい、地の文の少なさ(今回だけかもしれんが)といい
明らかに作者の力量不足なんだから
批判スレのつまらん細かい所をつつく事に何の意味があるのかと(r



822:821
06/08/13 03:09:05
>>821
のなかの>>735-736は>>735-737の間違い

823:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 03:37:31
っつーかさ、野球部と思えばいい。野球部。

もし、野球部で補欠にもなれない奴が、
レギュラーに「お前のバッティングフォーム、根本から間違ってるよ」とか逝ったらお笑い種だろ。
一方、素人が、プロ野球選手のプレーを批判するのは何の問題もない。
自分のことは棚に上げて「あいつ、守備下手だな~」とか言っても、全然OK。

何が言いたいかっていうと、批判は本来自由だけど、一定の「場」では立場をわきまえろってこと。
空行云々で叩いてる奴は、角氏よりちっとはマシなFF投下しろよ、と。
少なくとも「小説を投下するスレ」という「場」では空行より叩きの方がよっぽどウザイ。
もしかすると、叩いてる奴は素晴らしいFF作家なのかも知れんが、
そうだとすれば、名無しで他の作家叩く行為は余計タチ悪いだろ。

824:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 04:48:04
例えが野球ではちょっと判りにくいな。

このスレッドを映画館だと思えばいい。
映画(SS投下スレ)は本来静かに見るものだが
きにならない程度なら私語もある程度は許容できるだろう。
だが、館内に響き渡るぐらい大きな声で映画の画質について議論しているとしたらどうだ?
傍の人間には至極迷惑である事この上ないではないか。

要するにだ、批判をしても結構だが度をわきまえろという事だ。
罵り合いの揚げ足取りなぞウザイだけだ。
そんなもん投下するよりSSの一つでも投下しろと自分に(r

825:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 04:54:40
いや、野球部のが分かりやすい。

補欠にもなれないやつがレギュラーを叩くからイタいんだよ。
レギュラーがレギュラーを叩くんなら問題ない。

要するに角よりマシなFF投下してくれりゃ、角叩いても誰一人文句言わない。

826:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 04:57:55
叩かれるのが嫌なら2chに投稿すんなよ。
文句言ってる823=824こそ「場」をわきまえたらどうよ。

つか、投稿したはいいが袋叩きあうなんて、そっちの方が笑い種だっつうの。

827:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 05:01:05
批判内容に反論できなくなってきたからって、
今度は批判自体を否定し始めたのか。

828:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 05:01:31
>>826
頭悪そうだね、君。

829:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 05:41:57
ぶっちゃけ、ファビョって即レスしてくると思ったのに案外頭いいみたいねw
つーか、角の改行は多すぎるとは俺も思うけどね。

一般論として、「叩くよりマシなFF投下しろ」は正しいだろ。やっぱり。
ま、ほどほどに叩けよ。

830:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 05:42:00
>>828
お前ほどじゃないよ。

831:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 05:46:14
>>814
GJ!
シンジ×三人目は適度にイタくて凄まじく萌える

832:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 05:50:16
>>829
一般論として「袋叩きに合うような糞FF投下すんな」が正しい。

833:―道行―
06/08/13 09:46:22

碇シンジには、どこに行く当てもなかった。
彼は俯き、ただ機械的に出す足先を見つめ進んでいた。
シンジがふらふらと彷徨う様子はまるで亡霊のようだった。
けれどその心許無い足取りで、いつの間にかある方向へと向かっていた。

そこは、エヴァ零号機によって失われた都市を抱いて生まれた湖。

彼、碇シンジが初めて「渚カヲル」という少年に出会った場所であり、
時を得られればシンジにとって最も大切になったであろう少女が、若くして散った場所でもあった。


シンジは湖の水際に近寄ると砂浜に腰を下ろし、ゆっくりと息を吐きだした。

空も水面も何もかもが宵闇に蔽われ、今は墨を流したように暗かった。
幾つかあったはずの壊れかけたオブジェすら、シンジの目には影にしか見えない。
その場所で動かずに微かな波音だけに意識を傾ければ、自分の存在すら見失えそうな孤独に包まれる。
瓦礫をくぐる風と水音に呑まれ、このまま全てを綺麗に洗い流し消えてしまえたら…。
シンジは涙も出ない乾いた瞳を湖に据えて、そこにただじっと座りつづけた。

しばらくして、その静寂を破り砂の軋む音をシンジは背中越しに聞いた。
やがて傍らにまで寄った人影が、足元に座るシンジを見ることなく湖のほうを向き立ち止まる。
シンジもまた視線を上げることはない。
しかし、彼は自分の隣に立った人影、長い髪を背に垂らしたその女性が何者か知っていた。
彼女はシンジに言いたいことがあって彼を追いかけてきたのだろうと思われた。
けれどシンジの保護者であり上司でもあるその人は、座り込む彼に直接声を掛けるようなことはしなかった。
何も言われないことが、シンジを僅かに安堵させた。

834:―道行―
06/08/13 09:47:20

「………カヲル君は、好きだって言ってくれたんだ。……僕のこと」

その沈黙を先に破ったのはシンジのほうだった。
塞ぐ心を奮い立たせるように、シンジは小さく吐き出したため息に混ぜて言葉をつないでいった。

「初めて、初めて人から、好きだって言われた」

それは彼が心を寄せた少女に、告げることなく終わった言葉でもあった。
少女は長く彼の傍らにいたのに、臆病なシンジが声に出すことを恐れたために、
伝わることなく失われてしまった言葉だった。

「僕に似てたんだ。………綾波にも」

――彼らのあの透明な笑顔はどこから来たのだろう。
シンジの記憶の中で、幾度か目にすることができたレイが向けてくれた微笑みはカヲルのそれと重なる。

「好きだったんだ………。
 …………生き残るなら、カヲル君のほうだったんだ。
 僕なんかよりずっと彼のほうがいい人だったのに。
 カヲル君が、生き残るべきだったんだ」 ――あるいは、綾波のほうが。

自分を守って死んだ少女。
たとえ彼女が人ならざるものだったとしても。
その命が造られたものだったとしても。

レイがシンジにくれた気持ちは、今もシンジの中に変わらずに存在している。

カヲルが「使徒」でありながらも、確かにシンジの「友」だったように。

835:―道行―
06/08/13 09:49:02
シンジは抱えた膝の上に顔を乗せ、目を閉じた。
彼は外界の一切を拒絶し、胸の痛みだけを感じ取ろうとしていた。
シンジにとって今はそれだけが、二人の残してくれたものに思えたから。

背中を丸めたシンジの上を、湖を渡った風が優しく撫でていく。

シンジの言葉を黙って聞いていた女性は、彼に触れることなく距離を置いたまま静かに言葉を返した。

「違うわ。生き残るのは、生きる意志を持った者だけよ。
 彼は死を望んだ。生きる意志を放棄して、見せ掛けの希望に縋ったのよ。
 ………シンジ君は、悪くないわ」

――なら、綾波は?

シンジの閉じた目の奥は、燃えるように熱い。
痛みに耐えるようにいっそう体を小さくしたシンジは、けれど泣けなかった。
ただ胸のうちで荒れ狂う叫びに耐えていた。

――彼女は死にたくなんてなかったはずだ。
彼女は僕を守ろうとしただけだ。
それでも、彼女は死んでしまった。

僕のせいだ。僕がいたからだ。
僕が(初号機が)、彼女の(零号機の)そばにいたから。
綾波は使徒から僕を守るために…。

あの時。僕は使徒を倒せなかった。有効な攻撃が出来なかった。

だから、綾波は…!

だから、今度こそ、僕は絶対に「使徒」を倒すと………。

836:―道行―
06/08/13 09:49:53
でもそれで、どうなった?

絶対に、「使徒」を倒す。
必ず、「使徒」を殺す。
次は、躊躇ったりしない!!  

………そう、誓った挙句、僕は次に誰を殺めた?

綾波は死んでしまった。
カヲル君を僕は殺した。

みんな、みんな僕のせいじゃないのか?

僕がいたから、僕が殺した、僕のせいだ、全部僕の、ぼくのせいで!!

シンジの中の嵐は静まることを忘れたようだった。
慙愧が、後悔が、シンジ中で膨れるだけ膨れて彼の心を押し潰そうとしていた。
出口を求めるように暴れるのは、感情の波。
けれど、飲み下せない悲しみという塊が喉を塞ぐ。
悲鳴にも似た彼のその叫びを押し留め外に出すことを許さない。
ほんの僅かに漏れたのは、シンジが口を膝頭に押し付け殺した嗚咽を混ぜた空気だけ。

「・・……冷たいね、ミサトさん」

――いっそ責めてくれる方が苦しくないのに。

病に伏せる者のように、細く掠れたシンジの声は風にまぎれてしまうほど儚い。
半分ほどしか音にならなかったその彼の言を、ミサトが聞き取れたのかどうかは判らなかった。
しかしミサトはそれ以上は何も言わなかった。
シンジもまた口を閉ざし、他者を拒絶する気配をまとわせたまま顔を伏せた。

837:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 09:49:59
「はっ!?」

眠りから覚めて、シンジは飛び起きた。
どれだけの時間が経過したものか、夕焼けの色に染まっていた車内の空気は、深い海を思わせる色に変わっている。

いったい何時だよと覗き見た腕時計は、秒針が凍りついたまま微動だにしない。
針は眠りに落ちたときよりだいぶ進んでいたが、止まっているのだから無意味だ。

「電池切れ? この前替えたばっかりだよ?」

ならば故障かと諦めて、シンジは窓の外を見た。
見慣れた外の風景を見れば、今どの辺りを走っているのか、降りる駅までどの位なのか見当がつく。

「良かったぁ、次の駅だよ……」

思わず安堵する。車窓の外を流れる馴染みのビル群の光景は、シンジがいつも降りる駅の直前辺りの、
見慣れたものだった。
とは言え、乗り過ごさずに済んだのではなさそうだ。
時計が使い物にならないので断言は出来ないが、外の暗さを見る限り結構時間が経ってしまってるようなので、
たぶん環状線を一周してしまったのだろう。

(綾波、もう降りたかな)

よく知っていた少女に生き写しの姿を見れば、自分の胸が痛むと判っていたが、左端の座席に視線を飛ばす。
さっき確かに座っていたはずの場所に、少女―綾波レイは居なかった。

自分が寝てる間にどこかで降りたのかとも一瞬考えたが、ある物を目にしてシンジはレイの居た席に歩み寄る。

838:―道行―
06/08/13 09:50:52

彼女は蹲るシンジを見ることもなく来た時と同じ姿勢で立ち続け、やがて踵を返した。
すれ違う時シンジの背に向かい、「あまり遅くならないように」とだけ声をかけるだけで、
彼を連れ帰ろうとはしなかった。
彼女の足音が離れていく。

シンジはミサトが遠ざかるとそこから意識を切り離すように、再び湖を見つめた。

水面は、まだ暗い。



それからどのくらい経った頃だろうか。

シンジの視界の隅に、ぼんやりと白い影が映った。

白い影はまだ遠く朧げながらも人の形をしているようだった。
興味なさ気にぼんやりと、頭を動かす気力すら失ったかのように動かないシンジに、
それはだんだんと近づいてくる。

水面をすべるように。

漣に触れることなく。

やがてシンジの正面で静かに止まったその影は、少女の形をしていた。
月すらない闇の中に佇みながら、その肌は自ら燐光を発するように仄かに白かった。
薄青の髪の下、覗く瞳は赤。
シンジもよく知る造詣を持つその者の名は、綾波レイ。
それは、………『エヴァから創り出された、唯一つの魂を入れるための器』

839:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 09:51:55
文庫本が、レイの代わりに席の上に置かれていた。

(綾波、忘れたのかな?)

忘れ物なんて彼女らしくないと、つかの間考えてしまったシンジの顔は、次の瞬間こわばった。

忘れ物などしないはずと一瞬思った、彼の知るレイは『二人目』。
だがこの本を読んでいた綾波レイは、『三人目』なのだ。
ならば『二人目』とは裏腹に、『三人目』が忘れ物しやすい性分であったとしてもおかしなことではないかも知れない。

(やっぱり『二人目』とは違うのかな)

新たに胸を刺す痛みに耐えつつ、シンジはその文庫本を手に取る。
表紙を見れば、生物学の最先端研究をテーマにした、いわゆる教養本であった。
中学生の女の子が読むような本には思えないけど、綾波レイらしいといえばらしい。
こんなところは、『二人目』も『三人目』もあまり変わらないのだろう。

(明日にでも、綾波に返そう)

他の考えを散らそうとするように、ただそれだけを思う。

やがて、手の中の本にじっと視線を注ぐシンジを乗せた車両が止まる。
降りる予定の仙石原駅に着いたのだ。

「……あれ?」

立ち上がったシンジは、そこで小首を傾げた。
いつもなら車内に流れるはずの、到着を告げるアナウンスが無かったことに今になって気がついたのである。
訝しく思いながらもドアまで歩いて、少年は今度こそ立ちすくんだ。

840:―道行―
06/08/13 09:52:00
湖の上、シンジの手が届くほどの近さで、綾波レイは無音に佇む。
シンジの目はただ虚ろに水面に立つレイを映す。

それ以上の動きは、ない。

動かないシンジには、彼なりの理由があった。
彼にとってのレイはただ一人だけだった。
言葉を交わし、時に助け合い、僅かながらも触れ合うことの出来た、ただ一人の、少女だけ。

それ以外の『綾波たち』が、同じ形をし、…もしかしたら同じ魂を宿しているのだとしても。

三人目との最初の邂逅の時。
『綾波レイ』は、シンジをまるで見知らぬ人でも見たかのようにその瞳に映した。
形ばかりはどんなに同じでも。
それが、彼にとっての「レイ」、幾度も彼が「綾波」と呼びかけた少女と同一の存在だとはとても思えなかった。

それに、その後に起こった幾つかの出来事も、新たな『綾波レイ』をシンジに関わり付けたりはしなかった。

新たに知った事実により、『彼女達』の成り立ちを不憫だと思う気持ちはシンジにもある。
だがその時も、悲しいほどに心が痛んだのは彼の「綾波」に向かってだけだった。

いつかシンジが彼の父を詰った時、レイは怒りに手を振り上げた。
彼女はあの時どんな思いで怒ったのか。
思い起こせば自分の不用意な発言の多くがレイを傷つけたかもしれない。
今の『綾波レイ』を見ても、シンジの頭に浮かぶのは記憶の中の「彼女」のことばかりだった。

リツコに壊された『綾波レイ』達を見て感じた恐怖さえ…。
それの齎すグロテスクさへの嫌悪よりも強く感じた痛みは、
壊れ失われていくその『カタチ』に零号機とともに散っていった「彼女」の最後を重ね、
その苦痛を共感したが故のものだった。


841:―道行―
06/08/13 09:52:53

「レイ」の『形代』を見るのは辛い。

どんな形であれ『綾波レイ』なのだ、それでいいじゃないか、と、シンジの中の悪魔は囁く。
絆を求め、不器用ながらもシンジに向かって手を差し出していたあの少女とどこが違う?と。
記憶喪失だとでも思えばいいじゃないか、もう一度最初からやり直すだけ、それだけのこと。
そんな風に………、後悔に疲れ果てたシンジの心は揺さぶられる。

けれど。

違うのだ。

同じではない。彼女とは違う。
その瞳が。 その声が。
同じ色、同じ音であっても、そこに映る感情の揺れが、その音に乗せられた想いの彩が…。
…シンジに錯覚を許さない。

『綾波レイ』と関わることはシンジをさらに深く傷つける。
見れば辛さが増す。
だからシンジは『綾波』を避けた。
『綾波』に心揺れる自分も嫌だった。
同じ辛く苦しいことでも、シンジは出来るなら「彼の知る綾波」のことで苦しみたかった。

だから目の前にいる存在から、目をそらす。

シンジはその衝動に沿って、『綾波』を無視しようとしていた。

842:―道行―
06/08/13 09:53:44

「…碇君」

声は、夜を震わせる。

「碇君」

震えるのは、夜ばかりか?

「碇君」

それは懐かしい、響き。

「碇君」

どうして?

「…碇君。
 ……………ごめんなさい。
 泣かないで」

失われた、彩。
心を伝える音。
抑えられた抑揚の中に確かに感じられる、情(こころ)。

頭で考えるよりも先に体は反応した。
シンジの見開かれた目から、涙が溢れていく。

その涙を映し揺れるのは、赤い瞳。

そこには確かにシンジを想う気持ちが映っていた。

843:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 09:53:47
彼の全身を、強烈な違和感が捕らえる。

(おかしい。何かいつもと変だ。)

目の前のホームに人影は無かった。レイの自爆が原因で利用客が減ってるのだから当たり前―ではない。
乗客ばかりか駅員の姿さえ見えず、文字通り人っ子ひとり居ないのだった。
いくら人が減ったとは言え、こんなことはありえない。

(違う。僕は何か、もっとおかしな事に気づきかけてた気がする。)

胸の奥で、鼓動の早鐘が警報のように鳴り始める。
シンジはゆっくりと後ろを、車内を振り返った。
そこには誰も居ない。
床あるいは座席の上に点々と、持ち主に忘れ去られたままのステッキ、読みかけの新聞、
ハンドバッグその他諸々が残されているだけ。
数少ない乗客たちが座っていた、まさにその場所に。

(何のことは無いさ、忘れ物が残されてるだけじゃないか……数が少し、多すぎるけど。)

忘れ物なんて、誰にでもあることだ。シンジは止めていた息をついた。
心配が杞憂に終わりそうなことに安堵しつつ、シンジはそれらに視線を飛ばしていった。

(そうだね、綾波の本じゃないけど、忘れ物が多すぎるかな。なんか、忘れて困りそうなものまであるよ。
眼鏡に、指輪に……って、普通指輪なんか忘れるかな?)

面食らいながらも、いささかの好奇心も手伝ってかシンジは観察を続ける。
不意に、視線がある座席の一点で止まった。少年の全身も凍りつく。

844:―道行―
06/08/13 09:55:50
「………どうして……」

聞きたいのはそんなことではないのに。
これが夢なら覚めるなと、シンジは怯えながら願う。
夢でもいい。
幻でも。
レイの声に震えた心がシンジを急き立てていた。
混乱した頭は、「今」を繋ぎ止めようと必死になる。
消えるな、消えないでと祈りながら、触れようと無意識に伸ばされるシンジの手。

しかし、その手はレイに触れる寸前、………力なく落ちた。
苦しげに細められたシンジの目に宿ったものは、深い慙愧。

――レイに触れていいはずがない。
何故一瞬でもそれを忘れたのか。

シンジは罪に塗れた自分の手を握り締めた。
汚れてしまった自分の手は、永久に彼女に届くはずもない。

黒い嵐が再びシンジを覆っていた。
二つの命を手にかけた、失わせてしまった罪の意識は強くシンジを縛っている。
シンジにとってレイは誰よりも大切にしたい大事な少女だ。
たとえ今ここにいるレイがシンジの夢の住人なのだとしても、彼女を汚すことなど出来ない。
触れればきっと汚してしまう。
手を伸ばすことすら許されぬこと。
自分はもうとうにその資格を失ってしまったのだ、と。


再会の喜びに輝いたシンジの目が、僅かな時も許さず絶望と諦念に染められていくのをレイは見ていた。

------------------つづく


845:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 09:58:11
「あ……え?……」

言葉にならない声が搾り出されるまで、数秒。

そこにあったのは、今度こそは有り得るはずのない忘れ物。
それは、シンジのすぐ左の座席の上で規則正しく脈を打っていた。

医療機器の知識など無いシンジだが、それが何かくらいは直感できる。
―人工心臓、ペースメーカーと呼ばれる物が、持ち主に忘れ去られたまま作動を続けていたのだった。

残された眼鏡、指輪に入れ歯。そして、ペースメーカー。
それらだけを残し、まるで有機物―人体だけが煙のように消失したかのような異様な光景。

どのくらい微動だにせず立ち尽くしていたのか、そのときの事をシンジ自身も思い出せない。
両側からドアの閉まり始める音がするや、悲鳴だけ残してシンジは脱兎のように走り出していた。

人気の無いホームを全速力で駆けて、階段を何段も飛ばして転がるように駆け下りる。
今自分がどこに向かおうとしているのかなんて、彼自身にも分からないに違いない。

シンジが駅舎を飛び出したとき、彼を運んできた環状線はドアを閉め、ゆっくりと走り出す―何処へ?

846:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 10:02:03
よ、読みにくー(;´Д`)

847:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 10:32:09
書き込む前にリロードすればいいとおもう
横入り二度目だよ

848:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 16:07:29
>>844>>845
GJ!

いやなんかいきなり良職人が2人も降臨してwktkなわけですが

849:773
06/08/13 16:45:42
>>820
> 具体例があると問題点が明確になる。
では、あくまで例示として極端に。

[レス番で参照した批評]:
 「>>736はスカスカ、イラネ」
これは無意味だよね。削除しちゃうと文章がつながらなくなる。必要なことは自明。

[レス番を補助として具体的文言により参照した批評]:
 「『ミサトさんの思考回路ってトウジと同じなのかな…(>>736)』って、イラネ」
だと、一考に値するコメントとなりうる。レスとしてこれだけを書いても実際には無意味だけど。
# 例示の極論とはいえ失礼。 >> 角 ◆uTN4HfUPlw

……って訳で、自分のマヌケさに気づいた所さ。
> 空行の弊害の一例として736を挙げてる。
「内容」って、君は物理的内容量のことを言ってるんだね。改めて読んでみりゃそうだよね orz
俺はすっかり「小説的内容」のつもりで、噛みあわんことをぐだぐだと述べてた訳だ。
「小説的内容」について(まさにその辺に)個人的に思う所があるもんで、思い込みからの脱出がますます遅れました。
申し訳ない。

> そうだね、即断すれば短絡だね。けど、これは即断じゃないよね。
「“地の文”と“発話の文”が密着してる所もあれば、一行中に発話文が連続してる所もある。(>>791)」
って状況下で、論拠を示さずに「この空行は増量目的だ」ってのは即断だよ、やっぱり。
# それとも「普通じゃない」ってのが君の論拠なのかな?
# 小説の批評で「普通じゃない」なんて、特徴の指摘以上の意味はないと思うけど。
# おまけに「なにが普通か」のコンセンサスも貧弱な現状だし。
むしろ
> まして>>735-737はそのままでも2レスで済む量 (>>821,>>822
って指摘なら一考の価値があるけど(レス区切れ間に空行が無いと仮定すれば)、
それでも >>814 みたいな視点もある訳で。

空気読まなくて悪いけど、せっかく有意義な話が出来てるから大事にしたいんだ。御免ね > all, esp. 作家

850:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 20:58:21
盆と正月がいっぺんに来たな とにかく御二方GJ!

851:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:01:28
>>846-847
こ、これは失礼(汗・・・
確かに、リロードして確かめずに連投した自分の落ち度なんですが、
偶然にも同じ時間帯に集中して投下してる御仁がいたとは・・・
それも前日に続いて二度までも・・・

852:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:03:03
シンジは公園のベンチに座り込んでいた。駅を飛び出してからずいぶん時間も経ってしている。
あれから、人恋しさにあちこちを歩き回った。
ミサトのマンション、彼の通う中学校、そしてNerv本部まで。
そのどれにも、異常は無かった。
今日シンジが電車に乗る前までに目にしたままの姿で、ちゃんと存在していたのである。

ただひとつ―いずれも人影がまるで見えない事を除いては。

そう、彼の良く知る人々の姿はそのどこにも見当たらなかったのだ。
駅で降りてから、誰にも会っていない。

シンジは頭を抱えた。
何がどうなっているのか、さっぱりわからない。
いったい、アスカやミサト、Nervの皆はどこへ行ったのか。
なぜ姿を見せないのか。

そこまで考えて、あの電車の中の不可思議な光景が脳裏に浮かんだ。
まるで、人間の体だけが煙のように消失したとしか思えないような怪異。

(まさか、アスカも、ミサトさんも、Nervのみんなも……)

シンジの体に身震いが走る。
有り得ないとは思ってみても、考えは悪い方向に向かうばかりだ。

街の人々も電車の乗客同様、消えてしまったのだろうか?
ならば、なぜ同じ電車に乗っていた自分だけが無事なのか?

そして、3人目のレイのいた座席に唯一残されていた本。
3人目の彼女も、他の乗客と同じように消滅してしまったのだろうか。

853:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:05:00
やりきれない思いで、シンジは空を見上げた。
空は電車から見たのと依然変わらぬ青い光を湛えている。それ自体が既に異常でもある。
シンジが電車を降りてからもう3時間が経過していて、本当なら空に星が見えておかしくない時間なのだ。

実のところ自分は、夢でも見ているのではないかと何度も少年は思った。
本当の自分は環状線の中で今も眠っていて、ここはまだ夢の世界なのではないか、と。

けれども直感が答えを告げている。ノーと。
今まで何度か見た夢では有り得なかった、リアルな生々しい五感は明らかに現実のものだ。

「もう一度、人を探してみようかな」

そう一人ごちてから、シンジは立ち上がった。
今度は誰かと会える保証でもあるのか?
もちろん、そんなものは無い。ただ、他にすることが何も無いだけだ。

今度は自分の知ってる所だけでなく、第3新東京市全部を探してみよう。
知ってる人でなくても、誰かに会えるかもしれない。
もし第3新東京市に誰もいなければ、市外に出て日本中を、日本で駄目なら他の国へだって……

854:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:08:09
唐突な出会いだった。

シンジが公園を出て最初の角を曲がったとき、向こうからやってきた人物とぶつかりそうになったのだ。
電車を降りてから、初めて会った他人だった。
その人影を見て、彼は思わず立ちすくんでしまう―見慣れたジャンパースカートの制服を着た、彼の良く知る空色のショートカットの少女。

「あ、綾波……」

「碇君?」

呆然の二文字を顔に貼り付けて名前を呼んだシンジと同じく、少女もまた、ちょっと驚いたような表情ででシンジを凝視していた。

なじみ薄い三人目のレイだと知りつつも、人に会えた嬉しさのほうが先立ってシンジは破顔する。

「よかった……綾波、無事だったんだね」

「ええ……碇君はどうしてここに?」

笑いかけるシンジを、レイは少し怪訝そうな面持ちで見つめる。
かつての二人目を思い出させるその人間らしい表情に、シンジの胸は針で刺されたように一瞬痛んだが―

「あ、うん……さっき仙石原で電車を降りて……あちこち歩いてここに来たんだ」

「電車で、ここに?」

ありのままを話しただけなのに、どこかレイの口調は訝しげだった。
微妙な違和感とでも言うのか、胸の奥に立ち始めたさざ波のような揺らぎを、このときシンジは自覚
した気がした。

855:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:09:12
「綾波こそ、僕が寝てる間にどこで降りたの?
僕、綾波がどこかに消えてしまったのかと思ったよ」

「……」

しゃべり続けるシンジを凝視しているレイからの返事は、しばしの間無く。

「……綾波?」「碇君」

耐え切れなくなったシンジの呼びかけを遮って、レイは言葉を続ける。

「……私、あなたと同じ電車に乗っていたの?」

あくまで静かなレイの言葉に、しかしシンジは一瞬、二の句が継げなかった。

「そうだよ? もしかして……憶えて、ないの?」

「いえ、知らないの」

そっけなく言い放ったレイの言葉が、シンジの胸の奥をかき乱す。
三人目に初めて会った時、そっくり同じ言葉を返されたのを思い出したから。

さっき感じたように思った小さな疑惑の波紋は、これだったのか―

シンジに胸の中で途方もない、けれど、凄絶なリアリティを持った仮説が徐々に形を取っていく。
その真偽を確かめる手立てが、少年の手元に1つだけあった。
ゴクリと唾を飲み込んで、シンジはあの文庫本を差し出す。

「これ、綾波のだよね? 見覚え、ある?」

856:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:24:51
それを手に取り、ぺらぺらとめくって検めたレイの返事は短かった。

「……ないわ。私の持っていない本だもの。でも―」

「でも?」

「でも、私の持ち物なのは、間違いないわ」

なんだか矛盾することを言いながら、レイはシンジに本の表紙裏を見せる。

Rei Ayanami

綺麗な筆記体のサインがしたためられている。

「私の字だもの」

シンジは全てを理解した。あまりに残酷な真実だったが。

レイの言葉を信じれば、この本は彼女のものであって彼女のものでなし、ということになる。
まさに矛盾そのものだが、目の前にいる少女に限って言えばそれは矛盾しえない事を、既に彼は知っていた。
綾波レイという少女は、無数ともいえる肉体のスペアを用意されたクローンである。

つまり目の前のレイは、電車にいた三人目とは別の綾波レイであるということ。
すなわち四人目以外に有り得まい。

LCLの水槽の中で、粘土細工のように崩れていくレイの形をしたモノ達の断末魔をシンジは思い出していた。
あの時三人目の肉体だけを残して、残りはすべて惨殺―リツコに言わせればただの『破壊』だそうだが、彼はそこまで
割り切る事の出来る人間ではない―されたものだと思っていたが、自分の知らない所で四人目がひそかに
用意されたのだろう。

857:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:27:03
二人目とも、三人目とも寸分違わない姿を視界に納めながら、なんだか空しさばかりが胸を埋めていく。
おそらく三人目のレイは、あの電車の中で他の乗客同様に消滅したのだろう。

「じゃあ君は……四人目なのか」

虚ろにつぶやいた言葉に、レイの瞳が微かに動いたようだった。

「碇君……こっちで少し、休みましょ」

言い終わるが早いか、唐突にレイはシンジの手を取り、公園に引っ張っていく。
握り締めるレイの手が、心なしか―熱い。

「ち、ちょっと、綾波?」

柔らかい手の感触に、少し狼狽するシンジの顔も見ずに歩き続けたレイが足を止めたのは、さっきシンジ
が座ったのとは別の、脇にジュースの自販機のあるベンチである。

「碇君、座って」

立ったままそう呼びかけるレイに、けれどシンジは動かない。

「……? 先に座って。碇君」

訝しげに促すレイに、

「あ、あのさ……あの……」

顔をわずかに紅潮させたシンジは、目を泳がせながら無様にどもるばかりだ。

858:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:29:20
「?」

「座るから、手、離してくれないかな……」

言われてレイが視線を落とせば、シンジの右手を握って放さない、自分の手。
これでは、シンジが先に座れるはずもない。彼女には珍しく、なぜか少し慌てて手を放す。

シンジが座るのを待って、レイもその傍らにちょこんと腰を下ろす。
チラッとシンジを伺うが、残念ながら彼の視線はレイを見てはおらず、視線に気づいていない。
腰を下ろしたシンジは、その右手をじっと見つめていた。
今さっきレイが握った感触を頭の中で反芻しているのだとは、レイ本人には知りようもない。


ソレは、シンジの手の中にまだ確かに残っていた。
握り締めた、柔らかく暖かな体温と、絹のような肌の感触。記憶と何も変わっていなかった。
4人目になっても、その手の感触はなにも変わっていない―あの2人目と、なにも。

じっと見つめていた右手が不意に揺らいで、少年は自分が泣いていることに気付く。
一度溢れ出してしまうと、涙は堰を切ったように止まらない。

シンジはただただ泣いた。

二人目のレイが本当に死んだと実感したときにあれだけ泣いて、もう涸れたと思っていた涙を、シンジは手の甲で拭い続ける。
そんな彼に、レイは問う。いつかとそっくり同じ、あの言葉で。

「何泣いてるの?」

と。

859:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:33:05
その懐かしい口調までが、殊更にあの時を思い出させた。

「あ、綾波、綾波ぃ……」

顔をくしゃくしゃにしてその名を呼びながら、シンジは止まらない涙を手の甲で拭った。胸の奥に秘めていた気持ちがそのまま素直に言葉になり、シンジの唇から漏れてゆく。

「僕は…二人目の君と…ずっと一緒に…いたかったんだ…」

それを四人目の彼女に語りかけても詮無いことだとわかってはいるが、さっき手に感じた温もりの懐かしさが、そんな冷静さを押し流していた。

「約束したんだ。二人目だったときの君と、一緒に生きようって」

「……」

「二人目の君と、ずっと一緒にいたかった……いつまでもそばにいて欲しかった……」

目の前の地面の一点を濡れた目で見たまま涙声で語るシンジを、傍らで四人目は静かに見守っている。

二人の間にしばしの沈黙が流れ。

「……ごめん」

それだけ、シンジは笑い混じりにぽつりと漏らした。
「ほんとに、ごめん。なんだか僕ばっかり勝手にしゃべっちゃって。
その…今の綾波には全然関係ない話なんだよね、ははは……」

自分でもなんて空しい笑いだろうと、自分の笑いを聞きながら痛いほどに思う。

好きだった綾波レイという少女が、いま傍らにいる。
けれど、その彼女はやっぱり彼が知っている『あの』綾波レイではなくて、同じ姿をしただけの別の人格なのだ。

860:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:37:09
確かに、性格は良く似ているのかもしれない。時間がかかっても『あの』彼女と同じように接していけば、
いつかは同じように心を開いてくれるかもしれない。
しかしそれでも、二人目と完全にイコールには決してなり得ないのだろう。
四人目はあくまで四人目、二人目の代用品では決してないのである。
だから今のシンジの告白も、四人目にはさして興味もない思い出話でしかないだろう。

―だが。

「話して」

四人目は静かに、けれどもはっきりと言い放ったのだ。

「聞かせて。あなたの知ってる、二人目の私のこと。」

「え?」

一瞬言われた意味がわからず呆気にとられるシンジに、

「あなたと二人目の間にあったこと、二人目へのあなたの気持ち、聞かせて」

突然何を言い出すのかと思った。シンジが次の句を継ぐまでに数秒を要したのも致し方ないだろう。

「……どうして?」

「知りたいの。あなたが知ってた、私のこと。」

「……わかったよ」

シンジは観念したように彼の記憶の中の二人目のことを話して聞かせた。
―ベッドに寝せられた痛々しい姿の彼女と、初めて会ったときのこと。
―二人して第五使徒に勝利したときのこと。そして、その後に交わした言葉。
―彼女の部屋でいっしょに紅茶を飲んだこと。

861:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:47:46
二人目と共にあった思い出を語るほどに、思い出すほどに、シンジの心は裂けて真っ赤な血を流した。
ほろ苦いけれどもちょっぴり幸せだったのかもしれない日々を思い出すほど、あの最期の瞬間を
思い出してしまう―そのギャップが辛い。

いつしか、あの子宮の名を持つ使徒との激戦にまで話は進んでいた。これを話し終れば、彼の話はすべて終わりだ。

「僕は…何も出来なかった…零号機が爆発するのをただ見てただけだった」

あまりに悲しい思い出だったけれど、それに耐えつつシンジはすべてを話した。
二人目の凄絶な最期と、失った後でようやく気づいた彼女への想いまでも。

「みんな手遅れになってから、やっと気づいたんだ……僕は二人目の君を…失いたくなかったんだって!」

最後にそう叫んで、今度こそシンジは声を上げて号泣した。

「何もかも手遅れになってから、ようやく気づいて……」

身を折って泣き続けるシンジの背中を、暖かい感触が何度も何度も優しくさする。
見て確かめはしなかったが、そうするまでもなく、それが四人目の手だとシンジにもわかっていた。

「僕は…馬鹿だ…」

かつてのように親しいわけでもなく、まだ会って間もない四人目だったが、そんな心遣いが嬉しくて、
けれど二人目を思い出させるその手の暖かさがやっぱり辛くて、シンジは尽きることのない涙を流し続けた。

862:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:49:50
どの位経っただろう。

「碇君」

まだしゃくりあげるシンジの頬に、その声と共に冷たい感触が押し付けられる。
驚いて見上げれば、四人目がジュースを差し出していた。そばの販売機で買ったものだろう。
その二人目の生き写しの姿に堪えようも無く湧き上がる、腕の中に抱きしめたい衝動をシンジは
どうにか抑え込んだ。
彼の想い人と同じ容姿を持ってはいても、所詮この四人目は別の人格、別の綾波レイなのだから。
二人目を彼女に重ねることは、二人目への侮辱だと彼は思っているのだった。

そう考えを至ってしまえば、今度は新たな後悔もわく。
自分のさっきの独白を、一方的にぶちまけた二人目への想いを、この四人目はどんな気持ちで
聞いたのだろう。

自分は所詮疎外者なのだと、四人目なりに傷つきはしなかっただろうか……

ばつの悪そうな顔をしながらも、シンジはありがとうと礼だけ言って、ジュースを受け取る。
缶を見れば、好きで良く飲んでいる銘柄だ。まさか四人目が彼の好みまで知っていたとは思えないが、
どちらにしてもありがたい。
偶然でもこれを選んでくれた四人目に感謝しつつ、シンジは中身を喉に流し込む。

863:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:51:28
「碇君。この公園、覚えてる?」

シンジが飲み始めるのを待っていたのか、周りを見回しながらレイが語りかける。
それがどこか嬉しげな声に聞こえたのは気のせいかなと、シンジは思った。

「え?」

言われて見回せば、確かに前にも一度、ここに来たことを思い出す。

(あれは確か―)

胸の痛みと共に、甘くてほろ苦い記憶のプレイバック。

(そうだ、あの時の……)

はっきりと思い出した。
この街に来てまだ日も浅い頃、渡すように頼まれた更新カードをレイの部屋に持っていった事があった。
あのときはシャワーから裸で上がってきたレイに動転して、逃げるように部屋を飛び出したのだったが。
部屋を飛び出した後、確かにこの公園で、綾波に絶対嫌われただろうなと悔いながら苦虫を噛み潰す思いで
ジュースを流し込んでいた自分を思い出す。

綾波レイという無口な少女に惹かれながらも、どう接していいかわからなかった、あの頃。
あれから、いろいろあってふたりの間の距離はずいぶん縮まったけれど―そんな僕は、あの頃に比べて
成長したのだろうか?

(したと思う。たぶん)

根拠は特にあるわけではないが、それなりに確信を持ってそう思うし、実際そうなのだろう。
でも、でもやっぱりまだきっと、自分はどこか幼いんだろう。子供なのだ。
ずいぶんと縮まったはずのレイとの距離を、それ以上詰めることは結局、叶わなかったのだから。

864:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 23:53:57
>>849
自分の間抜けさに気付いたのなら前半部分は消しとけよ。
無駄に長くなるだけだろ。

>「“地の文”と~ある。」
規則性が無いのが逆に問題なんだよ。
規則性があるのなら勘違いで分かるんだが、それが無いから別の理由で挿入してることになる。
で、散々言われてるように、アイツの空行の挿入は表現としては見苦しいものにしかなっていない。
あれが表現の為だとするのなら相当の馬鹿ということになるが、流石にそれは無いと思って除外してる。
他に考えられる理由があるのなら提示してから言って欲しい。

>>814は2ch投稿前提の作品には当てはまらんだろ。
2~3レスなら分かるが、それを延々と続けてるし。

865:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:54:35
(どうして?)

その答えはわかっている。わかっていると、思う。

正直な自分の気持ちに、気づくことが出来なかったからだ。
胸の奥に秘めたレイへの想いに気づけないほど、自分はやはり子供だったのだ。
それを素直に認める事が、幼い少年にはまだ照れ臭かったのかもしれない。

そんな自分だから、レイを失ってからようやくその想いに気付いたのだろう。もし彼女を失わなければ、この先も
一生気付く事もなかったのかもしれない。

ならば。ならば、今の自分ならば、臆することなくその想いを伝えることができるのだろうか?

もし今、目の前に二人目の彼女が現れたなら?

(出来ると思う。ううん、出来なくちゃ駄目なんだ。)

これといって根拠はなかったけれど、少年は自分にそう言い聞かせる。

(だって、そうじゃなければ、二人目の綾波に申し訳ないから)

青臭い決意ではあるが、それも彼がまだ子供なりに一歩だけ成長した証なのかも知れない。

だとしたら、それはきっと喜ぶべきことなんだ。
……ただ一つ、二人目の彼女がもう二度と還ってこないことを除けば。

自問自答の末に、当然のように辿り着いた悲しい結論。
ひとときだけ体の奥底に燃え上がりかけた情熱は、容赦ない現実の前にあっけなくかき消されて、
意識を現実に戻したシンジは、失意のままぼんやりと視線を回りに走らせた。

866:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:58:27
そういえば、あのとき座っていたのは、このベンチじゃなかったっけ?
もしかして、あのとき飲んでいたのも、このジュースじゃなかったっけ?

ジュースを口に含みながら、そんなことを脈絡もなく考え始めた自分を白々しいと心底思う。
こういうのを、世間では現実逃避と言うんだろうか?

なのに、今浮かんだ思考は不思議にシンジの心を捉えて離さなかった。
失った二人目の思い出のもたらす胸の痛みとは別に、もやもやとした何かが胸の奥底で疼きだしたのを
シンジは自覚する。

不思議に嫌な感じではなく、むしろ好ましい。出来ることなら、その何かに溺れていたい。
ただ、それを直視する事は何故か躊躇われる―怖いのだ。

求めているのに怯え、怯えているのに求める矛盾したココロ。

初めて感じる矛盾した感情に幼い心は困惑し、そして震える。
言葉でそれを形容し尽くそうとするなら、この言い方以上に相応しいものは恐らくないだろう。
―すなわち、『怪しい歓喜』。

無意識に救いを求めようとしたのか、シンジは傍らに座るレイを見た。
その視線を紅い瞳でしっかりと受け止めて、レイは言葉を紡ぐ。

「覚えてる? 私に新しいカードを持ってきてくれた後のこと。
碇君、ここに座ってそのジュースを飲んでた」

その言葉にシンジは驚く。
レイの言う通りだったから。
綾波は四人目になっても、あのときの記憶を憶えていてくれたのだと知る。
例えそれが、二人目から移植されたに過ぎない偽りの体験であったとしても。

867:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 23:59:53
そういえば、あのとき座っていたのは、このベンチじゃなかったっけ?
もしかして、あのとき飲んでいたのも、このジュースじゃなかったっけ?

ジュースを口に含みながら、そんなことを脈絡もなく考え始めた自分を白々しいと心底思う。
こういうのを、世間では現実逃避と言うんだろうか?

なのに、今浮かんだ思考は不思議にシンジの心を捉えて離さなかった。
失った二人目の思い出のもたらす胸の痛みとは別に、もやもやとした何かが胸の奥底で疼きだしたのを
シンジは自覚する。

不思議に嫌な感じではなく、むしろ好ましい。出来ることなら、その何かに溺れていたい。
ただ、それを直視する事は何故か躊躇われる―怖いのだ。

求めているのに怯え、怯えているのに求める矛盾したココロ。

初めて感じる矛盾した感情に幼い心は困惑し、そして震える。
言葉でそれを形容し尽くそうとするなら、この言い方以上に相応しいものは恐らくないだろう。
―すなわち、『怪しい歓喜』。

無意識に救いを求めようとしたのか、シンジは傍らに座るレイを見た。
その視線を紅い瞳でしっかりと受け止めて、レイは言葉を紡ぐ。

「覚えてる? 私に新しいカードを持ってきてくれた後のこと。
碇君、ここに座ってそのジュースを飲んでた」

その言葉にシンジは驚く。
レイの言う通りだったから。
綾波は四人目になっても、あのときの記憶を憶えていてくれたのだと知る。
例えそれが、二人目から移植されたに過ぎない偽りの体験であったとしても。

868:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/13 23:59:59
「はは……僕はたったいま思い出したよ。よく覚えてたね、綾波は」

嬉しさのほうが先立ったけれど、シンジの笑いにはどこか空しさのようなものも混じっていた。

「ちゃんと覚えているわ、碇君の手も」

レイの口調がどこか嬉しげに聞こえたのは気のせいだろうか。
そう思った胸の奥底で、何かが大きな脈を打った気がした。

「……え?」

シンジがそう問い返すまで、数瞬の間。
さっきからの胸の疼きが、いっそう強くなっている事にシンジは気づいただろうか。
そんなシンジを置き去りに、更にレイは続ける。
ただし今度は、少しだけいたずらっぽく。

「碇君の手……二度目に触れたあの時は、少しだけ気持ち悪かったわね」

惚けた顔で自分を凝視するシンジを傍らに、レイの言葉は続く。

「三度目は、今でも覚えてる。とても暖かかった」

間違いない。これと同じ言葉を自分は聞いたことがある。
二人目とそっくり同じ言葉を、目の前でテープレコーダーのように繰り返す四人目。
それが意味するところは何なのか?
その疑問を意識したシンジの胸の奥が、また大きく波立った。

869:SeventySix ◆DTDSamiQ9U
06/08/14 00:09:48
「四度目は、嬉しかった……私のことを心配してくれる、碇君の手が」

微かに頬を染めて伏し目がちにそう言うレイに、それ以上は堪らず、シンジは息せき切って尋ねる。

「……ね、ねえ綾波、どうしてそんな細かいことまで覚えてるの?」

言ってから、そんなことを聞いてどうしたいんだろうと自分でも思う。
なぜ、そんなことを聞いてみたいと思ったのだろう、と。

四人目の綾波が、想像以上に細かいところまで覚えているから?
それが意外だったから?

一体、それがどうしたというのか。
自分がが思っていたよりも、ずっと緻密な記憶のバックアップが取られていた―それだけで説明
できてしまう疑問ではないのか。

(そうかも知れない。でもなんかこう、上手く言えないけど……違う理由のような……)

特に根拠があるわけでもなく、シンジはそう思う。

(何だか……話してる綾波の感じが昔みたい……だから?)

胸がまたざわめきだしていた。それは、予感に似ていた。
しかも、何かとんでもなく嬉しいことが起きてしまいそうな時の。


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