06/07/31 15:18:54
第二新東京市国際空港の特別搭乗口前に僕は立っていた。
窓の向こうには翼をきらめかせながら政府専用X-33超高高度飛行艇が待機している。
流れるような流線型で矢じりのような形のその特異なフォルムは否応でも人目を引く。
詳しいことは知らないけれど高度110kmをマッハ十いくつで飛行可能なのだそうだ。
科学も進んだものだとつくづく思う。
「おっまたせ!シンジ。ずっと待ってくれてたの?」
山吹色の髪の少女が荷物を転がしながらこちらに駆けてくる。
息がかなり上がっているようだ。
「うん。でも時間ギリギリだね。
もう飛行機出ちゃうよ?」
「大丈夫よ、私たちが乗らないと意味ないんだから。
あ、シンジのお父さん達なら後から来るよ!
シンジのお父さん、荷物検査で引っかかっちゃってね。」
「え、なんで?」
「金属探知で反応が出てね、係員に呼び止められちゃったの。
そしたらポケットから文鎮が出てきちゃったのよ、信じられる?」
目の前のアスカは腹を捩じらせて大笑いしている。
いい年して何やってるんだ父さん…
「それで質問の嵐に遭っちゃったんだけど、『ぶ…文鎮って英語で何ていうんだ…?ユイ?』だって!
お父さん、しどろもどろしちゃってさあ、アハハハハハハハ…ヒイヒイ…」