06/05/06 03:53:09
>>163
どうやって帰ってきたのか、気づくといつの間にかマンションへとたどり着いていた。
駆け出したくなる衝動を抑えていつものように重たいドアをくぐる。
バフッ…
まだ現実を受け入れられない…嘘だ…あんなの…嘘だ…!
必死に否定しようとしてもトウジの怒ったような顔、あれが本気だということは明らかだった。
天井の暗い灯りを見つめる目から自然に涙が流れ出す。
「うっ…ぐっ…」
こらえようと枕をきつく抱きしめても、一度溢れた感情は押し止めることが出来ない。
(トウジ…!トウジ…!)
口に出してしまったら大声で叫んでしまいそうで、心の中で愛しい名前を呼び続ける。
(また捨てられただけじゃないか…)
長い長い感情の爆発の余韻の後は、冷たい思考だけが残される。
(そう、あの時と同じだ…父さん…トウジ…結局いつもそうなんだ、僕は…)
涙はもう出ないけれど、また胸がキュウッと締め付けられる。
「うっ…うぅっ…うっ…」
いけないと思いつつ再びトウジに慰めてもらう。
怒ったトウジの顔を思い出し、怒りに満ちた激しい責めで自分を犯す姿を想像する。
(これで最後だから…お願い…!もっと…!)
出してしまえば残るものは何もないことなんか分かっている…それでも、手を止めることはできなかった…。