06/05/06 00:47:40
「待ってください」
しかし、離れようとするミサトをシンジが抱きとめる。
身長差のせいで、胸に飛び込むような形になり、胸の中で呟く。
「た……ただいま」
―ケリをつけたら必ずもどって来るのよ
―約束よ
―いってらっしゃい
ミサトは一瞬シンジの思わぬ言動に混乱するが、すぐにあの時のやり取りを思い出す。
シンジの言葉と精一杯の抱擁が冷めかけていたミサトの心に火をつける。
胸が高鳴り、苦しくて落ちつかない。でも、今はそれが嬉しい。
心を落ち着かせ、全てを委ねたくなるような暖かさに満ちていた加持の抱擁をふと思い出す。
同じ行為なのにこれほどまでに違う物かと、だんだん痺れた様になる頭の片隅で思う。
―大人のキスよ……帰ってきたら続きをしましょう
シンジは自分の勝手な思いを受け入れ、約束を守ってくれたのだ。
今度は自分が約束を守らないといけない。
「顔を上げて」
シンジの耳元で囁く。
シンジはピクリと身を震わせると、おずおずと顔をあげる。
ミサトと目をあわせると、どんな顔をして良いのかわからなかったのだろう、
あの困ったような笑みをうかべると瞳を閉じた。