い、いいんちょ…そろそろ…い、入れるで…っ…at EVA
い、いいんちょ…そろそろ…い、入れるで…っ… - 暇つぶし2ch202: ◆A7RGAj24KE
06/03/18 14:12:09
隣に座る、それだけでも彼と彼女にとってはとんでもない行動だ。
ましてや彼女の部屋、二人きりで過ごす屋上や公園とはまた違い、
ひどく緊張は高まりもはや互いに鼓動しか聞こえない世界。

行動が先んじてしまえば会話など、いや言葉さえ生まれない沈黙の嵐。
それでも何かしら彼は彼女の彼女は彼の顔をちらりと見てはまた視線を泳がす、やるせないお互い。

しかし男はやはり男である、沈黙と切なさに身を委ねる事など耐えられなかったのか、
そしてこういう時に行動を先んじて導くのが男なればこそと覚悟を決めたのか、
ぎこちなくとも懸命に彼女の手にそっと自分の手を重ねてきたのだ。

突然の行為に彼女が驚かないはずがない、びくっと体を反応させつつ彼の顔を伺うと、
そこには恥ずかしげながらも決意を秘めた表情、瞬時に全てを理解した彼女はゆっくりうなずく、
重ねられただけの手はいつしか指の一つ一つが絡みあいしっかりとつながれていた。

普段から手をつなぐ事は珍しくない、むしろ何かを確かめる、あるいはその結論としての行為に近い。
しかし今は違う、何かの始まりを予感させる、二人で最初の段階を登ったような感覚、
その証拠に普段なら合わせるはずのない顔が合い、見つめあったまま決して背けようとはしない。

「…なあ…いいんちょ…」
「…なに…鈴原…」
「…わし、わしな、これからおかしゅうなってしまうかもしれん…」
「…お、おかしくって…どういうふうに…?」
「…罵ってくれてもかまわん、嫌ってもええんや…ただ…その…な?」
「…鈴原…何がしたいのか云って、ちゃんと云って、私嫌ったりしないから」
「…おおきに…せやけどそれを云うてしまったらせっかくのこないええ関係壊してまうかと思うと…」
「…わ、私だって、そ、それくらいの事、覚悟できてるわよ…心配しないで…いつかはこうなるって…」
「なんやわしなんにもまだ云うてへんで」
「え、そ、そうね、やだ、私何云ってるんだろ、ごめんね、忘れて」
「まあええわ、いやわしが云いたいんわな…」
「う、うん、なに…?」
「き、キスしても、え、ええか?」


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