06/12/27 21:53:48
懺悔 月 決別 日 (――もう恋なんてしない) その二
「成長した!」と胸を張ったアスカ。
強気な姿勢はそのままに、彼女は少し背も(胸も?)増して、少女らしく綺麗になっていた。
以前よりも流暢になった日本語は、私が居なくなった後、勉強したのだろうと思う。
それに、……他人に対し、僅かにでも触れてしまうこと全てを怖がっているような拒絶が見えなくなっていた。
子供は変わるし、変わっていける生き物なのだと五感全てで確認させられた。
けれど、【彼】は、変わっていない。
「昔」のままの物言いと、距離感を失わせる視線は健在だった。
私の気にしすぎなのかもしれない。
でも、意味ありげに目を向けられれば気にせずには居られない。どうしても。
アイツが、私の、【昔のオトコ】だったというだけのこと、――なのに。
――どんなつもりで付き合って、どんなつもりで別れたのか。
思い出せないのは、思い出じゃないからだ。
だって、………忘れられるはずも、ない。
忘れることさえ出来ないものを、「思い出す」も何もなくて。
考えようとしても未だ冷静にはいかないから、考えないようにしていただけなのだと突きつけられる。
彼に出会って言葉を交わせば、そんな無理を自分がしていたことを思い知らされる。
最初の接触が短い時間であったことに何よりも安堵したのは、私の方だった。
でもこんな未練がましい私にもわかっていることはある。
あれは【失敗だった】のだ。彼との関係は。
それだけは確かなこと。
554:La vie en rose
06/12/27 21:54:36
懺悔 月 決別 日 (――もう恋なんてしない) その三
あの頃は、相手に【溺れ】れば見たくないものから目を逸らすことが出来るかもしれないと錯覚していた。
溺れて、ただ溺れて、後は目を瞑っていれば、と。
……でも結局耐え切れなくなって、最後は、逃げたした。
きっと初めから無理していたのだと思う。上手くいくはずもないことだった。
相手に嵌って付き合っていると思っていた間でさえ、私は心の奥でずっと言い訳を繰り返していたのだから。
――バカバカしいのよ、こんなのは気のせい。この瞬間だけの気の迷い。
この男と付き合っているのは、得難い快楽の為だけ。
傍に居るのも離れたくないのも体の相性がいいから。気持ちいいから。
そんなことで自分を騙せるはずもないのに、殊更無軌道に振る舞って、自堕落ささえ演じてみせて。
そうして自分を偽って、限界まで我慢して、…………バカよね。
イヤだった。それを認めることを自分に許せなくて……。
――この感情、この関係が、【愛】や、【恋】だというものだと――
彼のことを掛け替えのない人間だと認めてしまったら、
失う怖さを抱えて生きていかなければならなくなる。
「愛した人」に……、「愛して欲しかった人」に似ている男。
思いが深くなれば深くなるほど、傍に居ることにさえ耐えられなくなっていった。
関係を持ったのも関係を切ったのも、私の責任で私のエゴ。
「加持君」に非はない。彼は、こんな我侭な私にはもったいないほど、やさしい、ひとだった。
――でもそんな人を手に入れてしまったら、後は【喪失に怯え続ける】ばかりではないの?
気付いてしまったら、彼との関係を維持できるほど当時の私は強くなかった。
555:La vie en rose
06/12/27 21:56:20
懺悔 月 決別 日 (――もう恋なんてしない) その四
愛も恋も諸刃の刃だ。
中途半端ならいっそない方がいい。
始まりの同情混じりの不純さを指摘されるまでもなく、私の心が恋愛に向いていなかったのだ。
父のこと。
過去のこと。
――セカンドインパクトを唯一人、生き残った子供――
そう呼ばれ続けた時間が私の半生だった。
呪縛となって絡みつくこの鎖が外れることなど想像もつかない。
学生時代。
未だ何も手にすることなく、唯やみくもに足掻いている中で縋ってしまった「加持君」
今の私は、ネルフと言う居場所を得て、戦闘指揮官という実質的な力も手にしている。
彼しかなかった昔の私とは違う。
目的も手段も、「幻」でも「夢」でもなく目の前に確かにあって。
あやふやな足元に不安だけを膨らませていた子供でも、もはやない。
………でも。
もう一度同じ過ちを繰り返さないと誰に保障できるだろう?
それに過去を引き摺って心動く自分も嫌だ。切れない鎖なんて一本で充分だとも思っている。
だから、彼がぜんぜん変わっていなくても、……もう恋なんてしない。したくない。
今、大事なのは――男より、仕事。
556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/27 21:57:29
本年度投下はこれで終わりです。
それでは皆様、良いお年を。
by 「La vie en rose みさと」
557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/27 22:06:51
乙~
558:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/27 22:37:44
オッテュ
559:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/29 01:28:04
GJ
560:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/31 18:48:30
ほ
561:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/01 18:39:14
ミサトさん、あけおめ
562:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/01 23:20:42
ミサトさんことよろー
563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/02 07:28:24
「昔馴染の旗艦艦長」と言う発想で、セリフの意味を大逆転。
感嘆しました。
GJ. GJ. GJ.
564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/08 08:06:59
等価襠
565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/09 14:45:15
おつ
566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/13 08:39:25
稲荷町
567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/14 10:43:05
十日町
568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/15 14:56:28
ミサトさんまち
569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/17 19:13:43
みさとさんまち
570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/18 21:20:34
投下待ち
571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/19 15:11:33
gj
572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/22 16:52:55
みさとさん
573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/24 09:37:26
みさとさんマダー