【俺の息子に】地獄司令官ゲンドウ【手を出すな】at EVA
【俺の息子に】地獄司令官ゲンドウ【手を出すな】 - 暇つぶし2ch350:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/04 14:56:52
いや、よかれと思ってやったら、えぇえぇぇぇ!?って事態になるのがいい。

シンジも、パイロットとして順調にやっている。しかし、他のパイロットは全て女子だ。
シンジもやはり、同い年の男の子と一緒にいた方が楽しいだろう。
ん?リツコ君。フォースが決まった?誰だね?
え!?その子はシンジと同じクラスの子じゃないか。
何でもシンジと殴り合いの末、友情が芽生えたらしい。
熱い男に育ったな、シンジ…。父さんは嬉しいよ。
よし、シンジも友達が同じパイロットになって喜ぶだろう。至急処理したまえ!



え?松代で事故?エヴァ参号機が乗っ取られたっぽい?

えぇえぇぇぇぇえええぇえ!?うそぉおぉぉおおおおおぉ!!

みたいな。

351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/04 15:51:04
よかったー(´∀`)=З俺だけじゃなかった。
みんなで仲良く職人さんまってよーな

352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/04 23:30:44 49E+YdLn
>>350

GJ!!!!!!


相変わらずゲンドウかむくわれないなw

何となくここのゲンドウだったら、シンジと仲良くやれたかもなー
と思う俺がいる

353:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/05 17:11:07 MOlXMY72
碇「いつまでも待ってる。シンジ・・・!」

354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/05 17:12:31
ごめんageちゃった( ´Д`)ノ

355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/05 17:38:14
>>350
GJ!!!!!!!!

>>351
俺も待ってるよ。
職人の描く可愛いゲンドウを!

356:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/05 17:42:54
職人の書くゲンドウ可愛すぎるw
良いパパだお(´・ω・`)

357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/05 22:02:29
パパン!そして職人さん!まってるぞ!

358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 11:58:12
職人さん!いつまでも残テ聞きながら待ってる!(ノ∀`)

359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 13:01:46
落ち着け…落ち着け、俺。
そうだ、まだ乗っ取られたとは決まってない。救出すればいいのだ!
フォースは、友達が少なかったシンジに初めてできた親友らしい。なんとしても助けなければ!
そして、私の夢…。四号機はなくなってしまったが、ゴレンジャーの夢を実現するためにも!
とりあえずプラグの排出だ!

「ダメです!信号受け付けません!」

ダメかよ!つぅか、お前「ダメ」しか言わねえな!
言ったことないな!
反応は?反応はあるのか?

「呼吸、心拍ともに確認できますが、おそらく…」

おそらくって!おそらくって!
畜生!この眼鏡め!私も眼鏡だがな!!



やばい、混乱してきた…どうしよう…。

360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 13:55:09
いつの間にか、新作できてるしGJ!


361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 19:16:31
ゴレンジャーワロスwww
そーいやパパンの年代ってそういうの見て育ったんかな?
もしそーだったらエヴァつくるとき
内心かなりワクテカなパパンだったら萌える(*´Д`)

362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 19:47:34
ばかもん!リーダーは赤だろう!
リーダーは勿論可愛い我が息子シンジだ!

と、初号機と弐号機の色を塗り替えようとするパパン。

363:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 19:56:25
そして初号機(ユイ)に職権濫用だと正座で説教されるパパン。

364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 23:16:27
赤くて角のある初号機を三倍速くしようと技術部に無理を言うパパン。

365:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/06 23:34:26
参号機が黒だったため、ブラックはやっぱりそういうミステリアスな所がなきゃね!
と、バルディエルに乗っ取られても楽観視するパパン。

366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/07 19:21:48
パパン可愛いなパパン

367:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 21:57:15
なんでパパンはこんなに可愛いんだ…?!

368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/08 23:32:22
パパンだからさ(´∀` )

369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/13 09:01:18 Sibn93eG
パパンだからさ(´∀`♯)

370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/14 15:36:50 vr5IJ/mC
(´゜γ゜)パパン可愛いもふぁー

371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/14 15:40:29
「最高だ」が口癖のパパン

372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/14 16:08:35 Sn93r8Y4
初号機の事しか考えないパパン(´゜д゜`)

373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/14 16:23:51
ばっか!シンジの事しか考えないパパンだ!

374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/14 16:46:25 Sn93r8Y4
∑(゚ロ゚ノ)ノ シンジを忘れてた!

375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/14 20:23:37
すまなかったな、シンジ。
いや、マジで。
ごめんね、シンちゃん。
お前を忘れてしまった父さんを許してくれ。

376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/15 20:52:19
圧縮来そうなので保守

377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/15 21:42:39
349 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/08/13(日) 20:11:19 ID:???
暑いな。シンジ、夏バテはしていないか?
お前は泳ぎが苦手だそうだが、友達がいるだろう。
鈴原君や相田君に教わればいい。お前ならすぐだ。
そして、安心しろ。父さんも……泳げない…。
あぁ、こんな会話を早くシンジとできるようになりたいものだ。



ん、なんだ?冬月。今年こそ泳げるようになれだと?
無理だ。無理無理。絶対無理!
私は自転車にも乗れないんだぞ。
え、関係ない?でもさすがにこの年で自転車に乗れないのはやばい?

シンジに笑われたらどうしよう…。

378:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/15 22:19:28
うはwwwパパン泳げないのかwww
そのうえ自転車にも乗れないのかwww
可愛いよパパン そんな不器用なとこが激かわさ

379:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/15 22:20:49
誤爆か?だったらより可愛い派パパン。

380:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/15 22:36:45
泳ぎは諦めた。
シンジはフォース達とプールで練習に行ってしまったらしい。
こうなったら、シンジと一緒にサイクリングで親子仲を取り戻そう。
それにはまず私が自転車に乗れるようにならなくては。

冬月、後ろ押さえてろよ?
ちゃんと押さえてるな?
押さえてるよな!?
よし、行くぞ!

お、お、お。
の、乗れてるのか!?

なぁ、冬月?

…………………あ。

やめろ!冬月!こんなのやめろよ!
止まれ止まれ止まれ止まれぇえ!

うわぁあぁあぁあぁああ!!


ガシャン!ドゴォ!カランカラン……

押さえてろって言ったじゃないか!
裏切ったな!私の気持ちを裏切ったな!
何!?私のためだと!?この方が早く上達するだと!?
冬月、お前が何を言ってるのか私にはわからん。
くそう、しかしこれでは今日風呂に入る時しみるな…。

381:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/16 10:55:46
何だ冬月。私は今シンジを影ながら見守ってるのだ。邪魔をするなと言っておいたじゃ…

何?
シンジがセカンドと言い合いしてたら、フォース候補に夫婦喧嘩とからかわれた?

諜報部に、詳しく調べて報告書を提出する様指示を出せ。


シンジ…
まさかお前は、あのセカンドを気に入ってるのでは…

いかん!許さんぞ!あんなじゃじゃ馬と結婚した日には、心優しいお前がどんな酷い目にあわされるか!
家事も育児も、何もかも全部!お前に任せっきりになるのが私の、私の目に見える様だ!

…ユイ…
そういえばお前も、私の支度が遅れていると、フライパン持って追いかけて来たな…




382:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/16 13:49:52
乙!パパンカワユスwww

383:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/16 17:10:16
そうか、報告書が仕上がったか。
では早速読ま………


シンジ……

やはりあの時私と住む様に、冬月かリツコ君に進言して貰うべきだったか…

当番の筈なのに、何故お前が全部家事をやっているんだシンジ!!
いかん!そんなズボラで図々しい女共の所に、優しくてお人好しのお前を置いておけるか!
意地でもお前をあの二人から引き離して…


何だリツコ君?
フォースが決定?

! シンジとセカンドを夫婦等と宣ったあの子か!

…しかし、あの子は確かシンジと仲良くしてくれていて、親友と言っても過言では無い…

何?シンジを殴った事がある?


そうか…



かまわん。
シンクロテスト及び、模擬訓練等、徹底的に鍛えてやってくれたまえ、リツコ君。



384:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/16 18:17:57
さて…
今日はいよいよ参号機の起動実験か。

リツコ君には、スパルタ中の超スパルタで訓練しろと言ってあるし…

これで、目の中に入れても痛くない位可愛い私のシンジを、力任せにぶん殴ったと言う大罪を、少しは許してやってもいいと思ってやらなくも無い。


リツコ君とあのズボラ女はもう到着しているのか。

…待て。
ズボラ女が出張?
ではあの家にはシンジとセカンドしかいないのか???


いかん!断じて許さん!!若い男女が2人きり等、純情なシンジがあのじゃじゃ馬に唆されて間違いがあったらどうするんだ!!!!

シンジ!私が今すぐ助けに行…


何だ冬月?
加持が泊まるから安心しろ、お前は起動実験の事を考えろ?


大丈夫だ、リツコ君がちゃんとやってくれ…

何だこの警報は?



385:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/16 21:54:22
松代の発令所が緊急事態発生?
どうせ又、リツコ君が起動実験中に電源でも吹っ飛ばしたんだろう。
いつもの事だ。適当に処理をしておいてくれ冬月。
私はちょっとシンジを見守りに行こ…

何?事故?発令所が跡形も無く吹っ飛んだ?爆心地に高エネルギー体出現??

エヴァ参号機が使徒に乗っ取られただと!?
そんな…どうしよう、困った事になったぞ。パイロットは無事だと良いのだが…どうだメガネ?
反応が微弱…orz

仕方無い。シンジが、まだフォースの正体を知らないうちに、零号機と弐号機でプラグ&パイロットを回収後、参号機のみを全機で袋叩きにしてしまおう

……っておい!!もう零号機も弐号機もやられたのか!?

ああああああどうしよう、残ってるのは初号機しか無いじゃないか!
シンジ!何故戦わないんだ!このままではお前が!お前が死んでしまうんだそ!?



386:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/16 23:40:04
だがシンジの親友を…シンジ自身の手で殲滅させる訳にもいかん…
畜生、レイはともかくセカンドは私のシンジを誑かそうとするだけで、何の役にも立ってないじゃないか!

…シンジ!!
私は…ユイだけでなく、お前まで失ってしまうのは、お前に憎まれる事より耐えられん…
…回路をダミーシステムに切り換えろ。
かまわん。システム開放、攻撃開始!!

…一抹の不安はあるが、ダミーシステムの元はレイの意思だ。
フォースを傷付けずに何とかするかも知れな…
…ちょっ…ちょっと待て!レイ!お前は私やリツコ君の命令に忠実過ぎるぞ!!
いやあの何も腕を引きちぎれとか、頭潰せとか装甲板引っ剥がして臓物引き摺り出せとか、そんな命令した覚えは無い!!!

…あっ!プラグを引っこ抜いた!!
良かった…じゃあそれを取り敢えず戦闘の邪魔にならない所に優しく置きに行くんだ…

こ、こら待て!
何故掴んだまま放さない!?頼む止めてくれ止めてくれ止めてくれ
ぃやめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
…シンジ…シンジ…
まさか…こんな事になるなんて…
わ…私は…お前を助けたくて…
…ユイ…又私はシンジを傷付けてしまったよ…私は…どうすれば良かったんだ…


387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/17 02:41:19
>>386
全米が泣いた

388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/17 02:59:19
(碇)氏はいつ帰ってきてくれるのかな?

389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/17 08:08:28
これって26話までやるの?

390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/17 09:15:42
テレビ版と劇場版もやってくれるかな?

碇氏の凄く面白いSSに触発されて、書いてみたけど…やっぱり巧くいかなかった

皆お目汚しスマソorz
(碇)氏の復帰を心から待ち望んでおります。


391:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/17 13:38:55
gj

392:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/17 20:11:08
知らない間に良作が出てるな、これならはまめに見よう

393:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/17 20:13:13
誤爆しorz
これからはまめに見よう

394:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/18 00:46:18
幸いにもフォースは命を取り留めた。だがシンジが、私への怒りに任せて本部を破壊しようとしている。
シンジ。
お前が怒るのはよく分かる。私をいくらでも憎め。だがこのまま暴れさせる訳にはいかないのだ。

LCL圧縮濃度を限界まで上げろ!!

…これで、直接シンジと話が出来る。殴られても構わん。それでシンジの気が済むのなら…
でも…ちょっとだけ。ちょっとだけ、顔を見に行きたい…

冬月やスタッフの目を盗んでシンジの病室へ直行しようとしたのだが…

だから何故レイはともかくセカンド!
お前が病室の前にいるのだ!
お前がそこにいたら、私はシンジの容態を見に行けないじゃないか!
何だ冬月!
何?初号機が本部を破壊した件について、ゼーレの老人共が説明しろと?

そんなのお前に任せる!私はシンジの顔が見たいん…

…あああお願い待って、待ってくれ冬月!首根っこ掴んで、引き摺って行くのはちょっと待ってくれええええぇぇぇ…(←エコー)

その後シンジに会う事も儘ならず、老人共に囲まれて小学生並みのイジメを受ける…
泣きっ面に蜂とは…この事を言うのか…?


395:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/18 07:15:56
老いぼれ共に、真逆の意味で歓待を受けて、精神的にボロボロになりつつネルフに戻る

さて、ジジイ共の嫌味を忘れる為にも、シンジの顔を見に行くか。
何?もう気が付いて今はもう別室に隔離中?
ではシンジを司令室へ連れて来てくれ。

とは言ったものの…シンジと会う…心の準備がまだ出来て無いんだ!!

頭の中で「碇ゲンドウピンチの歌」が流れるも、大したアイデアも浮かばず絶望。
冬月の知恵を借りようとしたが、こんな時に限って「ドキッ!夏の将棋大会!プールでポロリ!?2時間スペシャル!」を録画していないと大慌てでビデオと格闘しているorz

ああああああどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!
ユイ…!!
私は親子の縁を切られてしまうかも知れない…(半泣き)

396:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/18 09:45:01
パパ、がんばれ!すごくがんばれ!

397:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/18 15:29:18
豆腐吹いた。職人サンとパパンがんばれ!

398:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/18 17:20:42
ここまで書かれると碇氏が帰ってこれないんじゃないか、という一抹の不安がある

399:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/19 00:37:34
とにかく…シンジが来る前に、何がなんでも冬月に連絡を取って、対策を練らねばならん!
えっと…冬月のメールアドレスは…と、これか!!
早速送らねば!
《冬月、頼む知恵を貸してくれ!シンジに嫌われたくないのだ!》

シュイン!

あっ!シンジ!良かった、元気そうだ!…が、凄まじい怒りが眼に表れてるな…ユイに似過ぎで怖過ぎるorz


…そうか。
もうネルフに居たくないし、エヴァにも乗りたくないか…

どどどどうしよう!
何て言えば良いんだ?ああもう早く冬月返事を送ってこい!

あっ!返信が来た!
もう目を通す時間が無い、このまま言うぞ!!
そうか…ならば出て行け。
お前には失望した。
元居た場所に帰れ。
最早二度と会う事もあるまい。

…ふう!何とかトチらずに全部言えたぞ!!
ん?シンジ?何故そんなに睨み付けてるのに、顔色は真っ青になってるんだ?

…………………って…
……………………え?
私は今一体何を言ったんだ…ってこのメールは、冬月からのじゃないぞ!?

400:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/19 11:54:54
誰だこんなふざけたメール送って来たのは!?
…………ロン毛………
下にはこう付記がついていた。
《今度のバンドオーディションの曲に、このフレーズ使ってよ!ウチの一番おっかない司令の口癖でさぁ…云々》

401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/19 12:46:05
ちちち違うんだシンジ!待ってくれ、これには手違いがあって…!
シンジが私に背を向け、扉から出て行った…
…その後呆然としながらも諜報部に連絡をとる。
サードチルドレンは抹消…初号機専属のパイロットは…レイをベーシックにダミープラグをバックアップに回せ…
…終わってしまったのか、シンジ…
お前と仲良くなれると思ってたのに…
いや、もう無理か…

虚ろな目でディスプレイを見ると、冬月からの返信があった。

今更と思ったが…メールを見た。そこにはこう書かれていた。

《碇、遅くなってすまなかったな。今からでも役に立てば良いのだが。
シンジ。お前の親友を思う気持ちは、痛い程知っていた。だが、私にはああするしか無かった。人の命に重い軽いは無く、皆同じだ。…が、私はこの世界の全人類を見殺しにする訳にはいかなかった…
お前が戦わずに死ねば、参号機及び使徒は、地下のアダムと融合して、サードインパクトを引き起こしただろう。そうすれば、お前が命を以て庇ったフォースも、全人類も死ぬ。それだけは何としても避けたかったのだ…》

402:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/19 13:01:28
お前が私を殴りたいなら、いくらでも殴れ。それで少しでもシンジ、お前の気が済むのなら…
だが、お前が戦わないと言った以上、他に方法が無かったのだ…全人類を…そしてシンジ、お前を守る為にはそれしか無かったのだ…
お前の友人を、お前の気持ちを傷付けてしまって、すまなかったな、シンジ。
殴れ、気の済む迄…

こんな感じでどうだろうか?
頑張るんだぞ!
     冬月 》

…こう言えばよかったのか…

ありがとう、冬月。
だがお前の気持ちも私は無駄にしてしまったな…

ユイ…
やはり私は人を傷付けるしか出来ない男だな…
お前がここに居てくれたら…私よりずっと、シンジを包み込んでやれたのだろうな…

私は虚ろな目と空っぽの心で、ディスプレイを閉じた。


シンジを連れて来た加持が静かに出ていく。


両頬を伝うものが涙だと気付いたのは


それから数時間後の事だった




403:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/19 23:27:31
青葉シゲルに解雇フラグ通り越して抹殺フラグが立ったwww

404:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/19 23:29:20
GJ!!
ロン毛どうなるんだロン毛www

405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/19 23:58:35
待て!ロン毛とゲンドウはメアド交換してたのか!?ww

406:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 00:03:36
あ~、スマン。自己完結した。上のは忘れてくれ…orz

407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 14:25:15
それから何があったかは殆ど覚えていない。
只、たまに
「司令、本当に申し訳ありませんでした!!仕事中に私用メール等してしまった事、どんな処罰でもお受けします…。」
「…碇?碇!…全く、駄目だなこれは。暫くそっとしておくか。

青葉君、覚悟は出来ているな?懲罰として、減俸4ヶ月だ。
…碇がこんな調子で無かったら、君は即刻諜報部の露となって消え逝く身だ。よく覚えておきたまえ」
「…はい。本当に申し訳ありませんでした。失礼致しました」


「…碇?赤木博士も葛城君も怪我は酷いが、無事だそうだぞ。
…碇、しっかりしろ!お前はネルフの総責任者だそ!!碇!碇!!…全く…。」


「…司令?赤木リツコ、只今戻りました。
…? 副司令、何かあったのですか?」
「おお!体調は大丈夫か、赤木博士?…いや、それが…」

「全く葛城君も、あんなに酷い怪我をしているのに、もう退院するとは無茶をしおる…、まあ、碇がこんな状態なら無理も無いか…。碇?明日シンジ君が、先生の所に出発するそうだぞ?見送りに行ったらどうだ?」

…シンジが…そうか…もう、さよならか…。


408:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 14:50:07
でも、私は…もう親子の縁を切られてしまったのだ。
今更行っても、どうしたら良いのかわからない…
…ユイ…私は…駄目な父親だな…

シンジ…シンジ…


「…そんなにうだうだ悩んでる位なら、言いたい事を言ってこい!
全く、今日シンジ君が出発すると昨日言った筈だぞ?お前ずーっとそこで悩んでたのか??」

はっと気付く。

日付を見ると…あの日から二週間以上経っていた。

シンジが今日帰る!?

…話が出来なくてもいい。只、最後に一目、一目だけでもいいから…シンジの姿を見たい…会いたい。

「冬月…」
「気にするな。暫くなら私一人でも大丈夫だ。構わないから、行ってこい!」

…本当に、ありがとう冬月。じゃあ早速行って…

無情にも鳴り響く警報。

それは最強の使徒が襲来し

ジオフロント及びネルフ本部、そしてエヴァ零、弐号機が過去最大級の被害を受ける……

最悪の一日の始まりを告げる警報だった。


409:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 15:15:35
お、シリアスな展開になってきましたね

410:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 19:47:47
「駒ヶ岳、及び強羅防衛線突破!」
冬月、ズボラ女は?…ああ、シンジを見送りに…

私は行けないのに…
何か理不尽な物を感じつつも命令を出そうとすると

!! 凄まじい衝撃音が炸裂した
「装甲板1~18番まで融解!!…何て奴だ、たった一撃で18枚も…!!」
ウィーン 
ズボラ女、帰って来たのか…やはりシンジの説得は無理だったみたいだな…

「…エヴァの地上迎撃は間に合わないわ!弐号機をジオフロント内に配置!本部施設の直援に回して。
レイは?」
「左腕の再生がまだなのよ…」
「実戦は、まだ無理か…」

…仕方無い。ユイ。済まないが、レイを乗せてやってくれ。
「レイは初号機で出せ。ダミープラグをバックアップとして用意。」
「…はい」
レイ、ユイ、頼んだぞ!…あ、セカンドを忘れてたな。
…まあ、とにかく…頑張れ、セカンド。

気の無い応援が祟ったか、弐号機は全く歯が立たない。それどころか両腕をもがれてしまった!
自棄になったセカンドが使徒に体当たりしようと走った瞬間…!

ドシュッ!!
使徒のきしめんの様な手(?)が弐号機の首を切断!!
「弐号機、大破!!」


411:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 20:12:37
スカの扱いがひでぇwww。

412:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 20:18:07
「アスカは!?」
「無事です、生きてます!」

「初号機、ダミープラグを搭載完了!」
「コンタクト、スタート!」

エラー音が辺りに鳴り響く。
「駄目です!初号機、ダミーを拒絶!起動しません!」

「ダミーを、レイを、受け付けないのか…」
「…構わん、レイは零号機で出せ。冬月…、少し頼む」。
ズボラ女の驚愕の顔を目の当たりにしたが、何の感情も湧かず只初号機の、ユイの所へ行かなくてはとしか考えられなかった。

ユイ…シンジの友人を、シンジを傷付けた私を怒っているのか…?だから、私を拒絶するのか…?
シンジを傷付けた私や世界等滅びてしまえと、そうお前は言うのか…?
その時、初号機の感情素子を表すディスプレイが乱れ始め、治まった時には

一人の少年の顔が映っていた…シンジ。

「…これが、お前の答えだと言うのか…?」
ユイ。お前はシンジでなくては嫌だと、守りたくないと言うのか?
初号機を振り返った途端、私の頭の中には
《…違うわよ。少しだけ待って。大丈夫。あの子は、シンジは必ず戻って来るわ。皆を、世界を、そして貴方を守る為に…》

ユイが立って、微笑みながらそう言っている光景が見えていた。


413:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/20 20:38:23
ユイ…!!
思わず手を伸ばす。だがそんな私の行動を困ったかの様に笑い、ユイは消えて行った。

今のは…幻か?
感情の整理がつかず困惑していると

「乗せて下さい!!…僕を、僕を初号機に乗せて下さい!!」

…この声は…シンジ!?
振り返ると初号機の前に、きっと全速力で走って来たのであろう…息を切らし、汗だくでシンジが立っていた。
「…父さん…」

「…何故、ここにいる」
…あああああだからどうして私はこんな言い方しか出来ないんだ!!もし会えて話が出来るなら、私のした事を謝って、もっときちんと話がしたいと思っていたのに…!!

…きっと、又私を軽蔑して今度こそネルフを出て行ってしまうな。…そうだな、お前を傷付ける世界等、滅びてしまえはいいのかもな…
だがそんな私の気持ちを払拭するかの様に、シンジはこう言った

「僕は、僕は、エヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです!!!!!!」

…シンジ…!!お前は、戦う為に戻って来たのか?
ユイが言っていた様に…皆を、世界を守る為に戻って来てくれたのか?

シンジと遠く離れた、この位置にいて本当に良かったと思った

何故なら私も後で気付いたのだが、又、両頬から涙が流れていたからだった。

414:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/21 00:42:54
シンジを初号機に乗せる時、私も初号機の側に行った。

シンジは、私の両頬についていた涙の後を見て(実はこの時に泣いたと気付いた)物問いたげな顔をしていたが、冷や汗だと言うと納得した模様。
…本当は、お前が戻って来てくれたのが、嬉しかったんだよ、シンジ。
嬉しくて泣いたのは、お前が産まれた時が最後だったかな…大きくなったな、シンジ。

感慨深げに、プラグ内部に入ろうとするシンジの背中を見つめた。
唐突にシンジがくるりと振り返り、私の顔をじっと見つめる。

頑張れ。一度だけ頷く
シンジも一度だけ頷く
シンジは初号機に乗り、ユイと共に戦いに行った。
どうやら使徒はマギの目の前迄来たらしい。
シンジが心配で射出口迄来た時、シンジの咆哮と同時に使徒と初号機が転がり込んで来た。
初号機が、何とか使徒をジオフロントから外へ出そうとした瞬間、使徒の目から光が出て初号機の左腕を引き裂く。

シンジ!!!!!!

だがシンジは激痛に耐え、咆哮しながら5番射出口に使徒を押し付けた。

「ミサトさんっ!!」
「5番射出!急いで!!」


415:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/21 01:03:57
凄まじい勢いで初号機と使徒が上がって行った。
急いで見晴らしの良い所を探して、初号機を、シンジを見守る。
片手しか使えないながらも、必死で使徒を殲滅しようとするシンジ。
ハラハラしながら見ていた私は、ある事に気が付いた。
アンビリカルケーブルがついていない!!
まずい!そろそろ…
突然がくりと止まり、身動きしなくなる初号機。
活動限界か…!!シンジ、シンジ!もういい、逃げてくれ!
使徒の猛攻が始まるがなす術も無く、蹂躙される初号機を只見つめるしか出来ない私やネルフスタッフ。

シンジの悲痛な叫び声が聞こえた
「動いてよ!今やらなきゃ、皆死んじゃうんだ!そんなのもう嫌なんだよ!…だから…動いてよ!!!!!!!!」

その血を吐く様な台詞に、胸を抉られたと同じ位の痛みを感じた途端、初号機の鼓動が聞こえた気がした。

まさか…と思って初号機を見ると、目に光が宿っていた。

…ユイ。とうとうお前がシンジと同化する気になったか。じゃあ、もう勝利は決まったも同然だな…。

逆襲が始まり、使徒に食らいついた初号機。使徒は最後の力を振り絞って抵抗したが、S2機関を初号機に食われ、その活動を永遠に止めた。

416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/21 01:32:13
これで初号機は時間の制限から解き放たれ、真の意味での覚醒を果たしたな…と感慨深げに見ていると

「碇、ユイ君はキレると怖いな。そういえば夫婦喧嘩した次の日は、お前大抵半死半生だったし、入院もしてたものな…」

そうだよ、冬月。
一度本当に死ぬかと思った喧嘩の理由は…家族サービスの約束を忘れて、ゼーレのジジイ共に呼び出されて徹夜で討論→朝帰りの時だった…本気で死を覚悟した日だったよ。

そんな話をしている間にも初号機は使徒迎撃システムを破壊し、更に暴走しようとしている。

ネルフの全精力を尽くし、やっとユイ…いや、初号機が第7ゲージに戻ったのは明け方だった。

が、初号機がプラグを排出しようとしない。まるでシンジを独り占めするかの様に…
理由を突き止めてくれと指示し、初号機を凍結する
《初号機パイロットはシンクロ率400%を超え、初号機に取り込まれている》
そんな報告が来た。
ユイと全く同じだな。ユイ、久しぶりにシンジに会えたかい?
お前が少しでもシンジの心を癒してくれる事を願っているよ。
母子水入らずで話したい事もあるだろう、ゆっくり話してくれ。
そして終わったら、シンジをこっちの世界へ戻してくれ…。

誰もいなくなった真夜中、凍結された初号機の前に行き、そうユイに伝えた…


417:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/21 01:40:45
GJ!
パパンかわいいよパパン

418:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/21 01:44:20
GJ!!!

419:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/21 16:59:04
GJ!!!!!!!!!!!!!!
あまりのクオリティの高さに言葉も出ないな。

420:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/22 21:08:04
「シンジ君は今、肉体がLCLと同化し、プラグ内部で生命のスープになっています。プラグスーツを具現化している為、魂と呼ばれる物もプラグ内にあります。
彼の肉体を再構成後、魂を固定させるサルベージ計画を発動させたいのですが、宜しいでしょうか?」

リツコ君が何故か片頬を赤くして、私に報告をしに来た。
大方ズボラ女にはたかれたに違いない
「成功の確率は、何%になるんだ?」
「副司令。今、過去のデータを全てマギに移植しています。
…過去の実例では…その…成功しなかった…ので、成功の確率を少しでも上げる為、これから実験→データ収集を繰り返し、サルベージ計画を完璧に近い状態に仕上げる為、時間が掛かります…申し訳ありません」
リツコ君が深々と頭を下げた。

気にしなくていい。時間が掛かっても構わない。期待している、頑張ってくれたまえ。

「ありがとうございます。それと同時に零・弐号機の修理も進めますので。」
「その間に使徒が攻めて来なければ良いな、頑張ってくれ。赤木博士」
「はい、副司令。全力を尽くします」

…成功しなかった、か…
………………ユイ…。

421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/25 21:01:08

続きが楽しみ

422:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/26 21:06:37
このゲンドウは親バカと言うかみんなに優しいなw

423:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/26 21:46:20
なるほど。それでなんかしっくりこなかったんだ

424:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/27 00:20:00
ユイ。私だけが知っている第一次サルベージ計画の失敗の理由…もう、お前はシンジに伝えたか…?
私はあの時、お前を引き止めるべきだったのだろうか。もし、全力で引き止めたら…お前は初号機に乗らなかっただろうか…

着々と進む修復工事内容の報告をディスプレイにて確認中、つい深々と考え込んでいたらしい。
「碇。シンジ君が心配なのは分かるが…何があったのか報告しに行かないと、ゼーレのご老体共が痺れを切らすぞ。あれから一週間経つし、そろそろまずいのではないか?」
冬月が私の肩を軽く叩いた後、諭す様に言った
…確かに。
初号機を凍結した次の日から、ジジイ共の矢の様な召集を、まだ後始末が終わってないからと引き延ばしていたのだが…限界が来た様だ。仕方無い。又、嫌味を言われて来るか。
「冬月、後を頼む」
「ああ、わかった」


…その後3日間今回の事を審議され、又嫌味や愚痴、そして無理難題をこれでもかと押し付けて来るゼーレのジジイ共を…ここだけの話、正直に言うと撲殺したくなった。
よく、我慢したな私。凄いぞ偉いぞ、私。

自分で自分を誉め讃えつつネルフに戻った私を待ち受けていたのは

周辺施設及び零・弐号機の修復、サルベージ計画は順調に進んでいる事。
レイの意識が戻った事。
良い報告を聞けた事で、少し心が和んだ。

425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/27 00:46:24
ちょっと優しいゲンドウの伝記っぽくなってきたな

426:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/27 02:00:32
壊れてないゲンドウはつまらん

427:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/27 07:54:19
そして。
一月が経とうとした日の午後に、サルベージ計画の理論が完成したとの報告が来た。

やっとシンジに会える。私の前では引きつった表情しかしないが、級友や仲間の前で見せる、あのはにかんだ笑顔をやっと見れると思うと心も体も足取りも軽い。
食堂から司令室に戻る時、全く意識していなかったが軽やかなステップを踏み、鼻歌まで歌っていた…それを…
リツコ君に見られた。何故か彼女は顔面神経痛にでもなったかの様に、引きつりまくっていた。


428:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/27 18:05:40
>>426
貴様!(碇)氏は壊れていたという意味かw

429:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/28 19:12:47
まぁ(碇)氏の方が可愛いかな?

430:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/08/31 20:46:54
保守

431:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/01 00:56:14
スレリンク(eva板)
※地獄先生ぬ~べ
ぬ~べ=加持
律子先生=ミサト
稲葉郷子=ヒカリ
栗田まこと=シンジ
立野広=トウジ
山口晶=ケンスケ
細川美樹=アスカ
ゆきめ=レイ(青髪で)
中島法子=マヤ
校長=冬月
玉藻京介=貞カヲル
美奈子先生=ユイ
青葉=克也
木下あゆみ=マユミ

432:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/02 23:41:11
>>431
そのスレ流行ってるのか?
やたらコピペ見かけるんだが

433:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/07 21:05:33
そのコピペ意味わかんないよね

434:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/10 18:45:19
保守

435:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/15 00:24:00
保守

436:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 03:45:02
今日か~ら~一~番~か~っこいい~のだ~♪

437:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 18:36:35
サルベージ当日。
「…いよいよね」
「ええ」
「大丈夫なの?」
「理論的には完璧よ」
「実験は成功したの?」
「マウスでの実験は100%成功したわ」
…マウス?
今マウスって聞こえた気がしたのだが
「じゃあウサギは?」
「70%の成功率よ」
…そんなに成功率が下がるのか!?
って言うかマウスとウサギの次がシンジって、おい!!!!!?それは行き当たりばったりと言うんじゃないのか!!!?
「じゃあ大丈夫ね♪」

何を根拠に大丈夫だとお前は言うんだ、こらズボラビール腹女!!!!
お前は大体私の可愛い可愛いシンジを何だと思っ…
「碇」
何だ冬月!!私は一度あの女に厳しく言っておかなけれ…
「ほら、少し体を屈めろ」
? 何をする気だ?
「これで下からお前は見えんな。じゃ、その態勢で少し待ってろ」
こんな四つん這いで待たせて何を…?
はっΣまさか…わ、私にそんな趣味は無いぞ!?何だ冬月!!そのいかにも怪しげなゴム製品は!!
「動くんじゃないぞ」
冬つ…!!!!
思わず目をつぶる私の耳に聞こえたのは…

シューーーッ
何かに空気を入れる音だった


438:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 19:22:10
…???
目を開けると、そこには等身大の私のゴム人形がぽよんぽよんと蠢いていた。
冬月はそれを椅子に座らせた後、
「これでお前は、皆に内緒で自由に動けるだろう。初号機の背中側なら、皆にバレずに側に行ってシンジ君に呼び掛ける事も出来るぞ。さあ、行ってこい」
と言ってくれた。

…ありがとう、冬月。では申し出に甘えて行ってくるよ。

(冬月…ホ〇かと疑ってしまってすまなかった)と心の中で謝り、初号機の背中側に回る。
「サルベージ、スタート!!」
私は初号機の背中の装甲板に触れ、ユイ…もう充分話し合ったろう?さあ。シンジを戻してくれ、と語りかけた途端

「…ダメです!パルスがループ状に固定されています!!」
「…!? 発信信号がクライン空間に捕われてる…!!」
「どういう事よ!!??」
「…つまり、失敗…」
「!!!?」

ユイ…!?
まさかこのままシンジを独り占めする気か?私はまだシンジに何一つ謝って無いんだ、そしてこれからの事を、何一つ話…!!??

突如初号機に触れていた手が熱くなったかと思うと、吸い込まれる様に私の意識は遠くなっていった。

439:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 20:14:55

…どこだ…ここは…

…初号機の中か…?

!! シンジ!!
シンジ、どこだ!?
呼び掛けて辺りを見回しても、シンジは見当たらず、さてこれからどうしたものか…と途方に暮れて、しゃがみ込み頭を抱えた時に


「…こっちよ、あなた…」

…ユイ?
頭を上げると、薄靄のかかった様な視界の先に、かすかな光が見えた。
幻聴かとも思ったが、このままここに居ても何の解決にもならないと思い直し、仕方無く光の方へ歩き始めた。
とぼとぼと歩きながら、シンジと会ったら何を話そうか考える。
と言うか…話し合えるのか?また拗れてしまうのかも…ならこのまま誤解させた方が、まだシンジを傷付けずに済むのではないか…?
と考えた途端、窘めつつも微笑みを含んだ様な声が聞こえた
「…本当に変わらないわね、あなた」


…ユイ?ユイなのか?もしそうなら姿を見せてくれ、私の前に現れてくれ…!!

そう叫んだ瞬間、光が私に覆い被さって来た。って言うかいつの間にここ迄来たんだおい!!先刻見た時は1kmは軽くあったのに、また私は吸い込まれるのかいいいぃぃぃ…
また、意識を失った。

440:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 21:20:49
おおお!投稿乙!!!

441:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 22:21:43
…水?何だこの風景は…
「…決めてくれた?この子の名前」
「ああ。男の子ならシンジ、女の子ならレイと名付けよう」
「シンジ、レイ…良い名前ね」

「…父さんが、僕の名前を決めてくれたんだ…」
!! シンジ、これはシンジが見た過去の風景なのか?

「…セカンドインパクトの後に生きて行くのか、この子は…この、地獄に」
…あれは…昔の私だ!!そして、あの椅子に座って子供を抱いて居るのは…
「いいえ?生きてさえいれば、どこだって天国になるわ…だって、生きているんですもの。幸せになるチャンスは、どこにだってあるわ。」
ユイとシンジだ!!
「そうか、そうだな…」
「…シンジ。今日の晩ご飯は何が良い?」
「お父さんが食べたい物がいい!」
「お、お父さんは…シンジが食べたい物でいい(照れるな…)」
「僕、ハンバーグ!」
「お母さんに頼んでおこう」
「わぁーい!」
「お帰りなさい。あなた、シンジのお迎えありがとう。」
「構わん、それより…」
「はい、晩ご飯出来てますよ」
「わぁい、ハンバーグだ!いただきまーす!」
「沢山食べてね。はい、あなた」
「ああ…」

442:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 22:59:28
「お父さん、これ何?」
「これはマンボウだ」
「じゃあ、これは?」
「これは、ハンマーシャーク。サメだ」
「この前、テレビでやったやつ?」
「(テレビ?…ああ、ジョーズか)…そうだな、そのサメの仲間だ」
「こわいね」
「ああ、怖いな」
「大丈夫よ、お父さんが守ってくれるわ」
「ほんとう?」
「ああ」

帰り道

「ふふ…シンジ、寝てしまったわ」
「私がおんぶして行こう」
「いいえ、私が。あなた、疲れてるでしょう?」
「お前の方が疲れただろう、私なら平気だ。さあ」
「すみません」
「構わんさ」


「…おおきくなったら…ぼくが…お父さんと…お母さんを…まもるんだ…ぼくが…」
「あら…」
「…(照)」


「…父さんが、僕の名前を決めてくれて、僕に色々な事を教えてくれた…なのに僕は、逃げ出したんだ。あの日、全てから…」

シンジ、違う!それは…
「…シンジ、貴方が来たいのは私の所?…違うのね、貴方を必要としている所へ還りたいのね。いいのよ、それで。貴方の未来は、貴方が自分で決めるのよ…私はいつでも、貴方の側に居て、貴方を見ているわ…」


443:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 23:20:06
乙!

444:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/20 23:32:23
ユイ!待ってくれ!私を置いて行かないでくれ!せめて顔を見せてくれ…!


又もや意識が急速に薄れて行く
…最後に脳裏に響いたのは、ユイの
「…あなた…シンジをお願いします…」
この言葉だった。

はっと気が付く。
泣き声がするのでそっちへ目をやると、ズボラ女がシンジのプラグスーツを抱え号泣していた。
「…人一人救えなくて…何が科学よ……シンジ君を返してぇ……っ返してよぉっ!!!!!!!!」
ズボラ女の絶叫が第7ゲージ内に響く。


……だからそれは私の役であって、何故お前がやるんだと小一時間(ry
って…おや?何故プラグスーツが外に出て…?
!!!!うわあああああああああ!!!!!!LCL大放出じゃないかあああああああああ!!!!!!!!

あああああどうしようシンジが、シンジが流れ出してる!!
…待てよ。あのLCLを集めて、も一度プラグの中に入れてみるってのはどうだろうか。
何、多少ゴミが入っていても何とかなるだろう………ん?
ドシャッッッ…
…あ!!シン…
「…シンジ君!!」
ズボラ女がシンジを抱き締めて泣き出す…

…だからそれは私の役なのに…くそう今日は冬月を無理やり道連れにして自棄酒飲んでやる…!!


445:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/21 00:28:15
パパン。・゜゜・(≧д≦)・゜゜・。エーン!!

446:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/21 07:46:01
一気に厨臭くなったな

447:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/21 16:38:29
>>446

スマソ。話を大きくし過ぎて、何もかもに収集がつかなくなってしまった…orz

こんなだから俺は、小中高と…国語の成績が2の壁を突き破れなかったに違いないorz

皆、お目汚し本当にスマソorz




448:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/21 18:00:00
>>447
泣きそうになった
また書いてくれ

449:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/21 18:16:06
え?凄く良かったんだけど。厨臭いのはレスの絵文字のことじゃないの?

450:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/21 19:48:58
>>445
これだろ。これ。

451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/22 20:36:20
親馬鹿ゲンドウの話は凄くいいのに>>445のせいで一気に感動の気持ちが萎えた

452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 00:36:29
そうなのか・・・
じゃあこれで感動できない俺は心が重傷なんだな・・・

453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/23 12:29:28
>>452

同じ物を読んでも、感じ方は人夫々だから、別に気にする事は無い。

只、疲れてるなら、少し息抜きとか、休んでおいた方がいい。

全く持って長々と書き綴ってスマソ。

やっぱり碇氏の様にはなかなかなれないな…


454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 00:01:37
>>453
ありがとう
疲れてるつもりは無いんだけど最近皆と騒いでても冷めてる自分ガイル
病んでるのかもしれないね

ネタ投下するだけ偉い。乙です


455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 11:33:23
病んでるのでは無く、大人になったんだよ。きっと。


心に風邪を引いたなら、ゆっくり休んた方がいいよ。


と、いい加減大人になってくれと周囲の人達から懇願されまくっている俺が言ってみる。



456:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 12:03:53
ユイ。
シンジを帰してくれて、ありがとう。
シンジも、お前に逢えて私がつけた傷が少しは癒えただろう…
シンジにとっては情けない父親で、こんな姿になって迄お前に世話を焼かせるなんて、全く持って私は夫失格だな…

初号機を見つめながらユイに語りかけていると、諜報部の野郎共が息急き切って駆け寄って来た。

どうした、騒がしい…何!冬月が拉致されただと!?このネルフ内部でか?誰が何で何の理由でそんな事…


何?加持が首謀者?じゃあゼーレのご老体共だろう。
全く、将棋がやりたいなら何も拉致等と手間を掛けずとも「来い、将棋をやるぞ」の電話1本で済む話だろうに。
とかくご老体共は話を大きくするのが大好きだからな…あの加齢臭共め。
まあ、死体になって帰って来る事もあるまい。万が一無言で帰って来たら、その時はその時だ。


探すふりだけしておけ。形だけでも心配している素振りをせねば、又冬月が拗ねるからな。あ、そういえば加持とズボラ女は、昔恋人同士だったと聞いた気がする…


後、作戦部長を隔離しておけ。
何、形だけだ。形だけ。

457:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 16:58:06
諜報部の野郎共が走り出そうとしたので…廊下は走るな!右側を歩け!とつい叱る。

入れ違いにリツコ君が姿を現わした。

冬月の事か?大丈夫だ。拉致を命じたのは加齢臭共だからな。心配せずに、零・弐号機の修理を頼む。

リツコ君は納得いかない顔をしていたが、一つ溜め息を吐くと又、仕事に戻って行った。

誰もいなくなったので、又初号機いや…ユイと心の中での対話に戻る

ユイ。
お前と初めて出会ったのは…確か…大学での飲み会の時だったか…
ギギギ…

凍結してある筈の初号機から、何らかの音がした。
顔を上げると、何故か俯いていた初号機が私を見つめている気がする。

? あれ、違ったか?じゃあ、大学内の研究室でだったっけ?

ウウゥ…

今度は唸り声の様な音迄聞こえた。

…ちょっと待て!まさかユイ、怒ってるのか!?

初号機の顔に青筋が浮き出て来た。

って言うか装甲板で覆われている筈なのに、何故青筋が見えるんだ!?

ちょっ…ちょっと待て!今ちゃんと思い出すから…確か…ええと、ええと…

458:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 19:04:55
ちょwww

459:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 21:02:44
わかった!!
大学前のコンビニで、私とお前がコーヒーを取り合って、結局お前に譲ってその後お前にお礼にと食事…


初号機の目が光り始め、顔が真っ赤に染まり、体が小刻みに震え、涙目になって来た様に見えた…


ウウゥ…(…あなた…)
や、やばい!ユイは凄く嫉妬深かったんだっけ!今のは冗談だ、ちゃんと思い出すか…

ウオオオオオオオー―――ン!!!!!!!!(誰と間違ってんのよおおおおおー―!!!!!!!!!)

初号機の咆哮がネルフどころかジオフロント全体に響き渡った。

思い出した!ユイ、お前が大学の図書館で資料が見付からなくて、しょげてる時に私が通り掛かって、一番上の棚にあったからそれを取ってやったんだよな?そうだよな!?


耳を塞ぎながらそう叫ぶと、初号機がうんうん頷く

「司令!?どうしたのですか??」
リツコ君が飛ぶ勢いで走って来た。
いや、何でもない。
「何でも無くないでしょう!!初号機が吠えたのに!!」
いや、本当に何でも無いんだ。
初号機を振り返ると、先程迄の咆哮が嘘かの様に静まり返っていた。
ユイ…久しぶりで怖さ倍増だったよ…

460:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/24 21:41:46
ユイ…、リッちゃんについてはお咎めは無しなんですか?

461:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 00:14:55
いつも楽しみにしていまーすニャハハ!(≧∇≦ )人( ≧∇≦)ニャハハ!

462:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 01:34:06
張り付いているみたいだな・・・

463:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 07:49:50
>>461
そういう顔文字は使わないほうがいいよ

464:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 16:07:32
皆やさしいんだな
俺ならこう言うね












>>431
半 年 R O M れ

465:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 16:10:03
461だったorz

逝ってくるノシ

466:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 17:38:12
>>461
ぶっちゃけ、お前も461と同類にしか見えん。

467:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 17:39:04
あれ、なにしてんだ俺・・・
なんか変なこと書き込んじゃった。

468:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 19:17:11
>>464-467
どうした?w

469:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 19:28:50
兎にも角にも殴られずに済んだので、ほっとしつつ執務室に戻る。
ユイ、今のお前に殴られたら…きっと私は倒れてしまうな。

苦笑しつつ、思い出す。あの、束の間の幸せの時を…





「…あれ?資料が無い!?どうしよう、早く取りに行かなくちゃ!!」
たたたと走って行く後ろ姿を私は見つめた。彼女の名は碇ユイ。
入学式の時に彼女が入って来た途端、会場の空気が騒がしくなった。
大学入試を過去最高全科目満点で合格する程の頭脳明晰、教授を負かす利発&聡明さ…それでいて気取った所等一つも無く、皆に慕われ尚且つ擦れ違う人達が振り返って凝視しまくる美貌の持ち主…

私とは真逆の人間。
関わり合いになる事は絶対に無いと思っていた…あの日迄。


「…ユイさん掲示板見てないのか?今日休講だぜ」
「俺、図書館に行って来ようかなあ」
「お前抜け駆けすんなよ!!俺だって狙ってんだぜ!?」


馬鹿な男共だ。自分達が彼女に釣り合うと思ってるなんて。彼女には相応しい婚約者かいるかも位の事を何故思い付かないのか。
その時の私は、そう考えていた。


470:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 20:09:27
(゚∀゚)イイ!

471:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 20:14:16
しかし困ったな。私も返却期限の本を返そうと向かっていた最中だったのに。彼女の後を追った等と言われるのは非常に不本意だが…仕方が無い、行くか。
図書館迄歩いて行き、ドアに手を掛けた途端、中から図書館員が出て来た。
「おや六分儀君。丁度良かった…済まないが私の代わりに中に居てくれないか?今は誰も居ないから、ゆっくりサボれるぞ」

知り合いの図書館員がにこにこと笑う。

構いませんよ、ごゆっくりどうぞ。
そう言って中に入った。…私は本が大好きで、食事や風呂、トイレや寝る寸前迄本が無いと落ち着かない位だ。
これでしばらくは誰にも邪魔されずゆっくり本が読める。内心ウキウキしていた。
いたのだが。

窓際の暖かい陽射しの中で本を読み耽って居ると
「…んもう!どこにあるの…?時間無いのに…」
半泣きの声が小さく聞こえた。
「?」
声のした方へ向かうと「!?」
碇ユイが床にへたりこんで涙目で何かを探して居た。

驚愕して声も出ず、只立ち尽くして居る私に彼女が気付いた
「…あ!えっと…六分儀君?だよね」
涙が浮かんだ目尻を拭きながら彼女が言った「…ああ。どうか、したのか?」



472:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 20:42:45
「…無いの…」
「…何が?」
「…が、無いの…」
「? だから何が?」
「資料…次の講義で使うのに…無くて…探したのに…無くて…時間無いのに…どうしようって…」
どうやら資料が見付からなくて途方に暮れてたらしい。彼女の側に落ちていたメモを拾って見ると資料の名前が書いてあった。
一つ、溜め息をついて
「…一緒に探してみよう。ある筈なんだろう?」
「え、でも…」
「手間を掛けさせて申し訳無いとか思うな。早くしないと、講義に間に合わないだろう?二人で探せば、それだけ早く見付かるからな」
本当の事を言うと、手伝ったのは…早く彼女には出て行って貰い、静かに本を読みたかったからだった。
「…ありがとう」
「構わない。君はそっちの棚を見ろ。俺は上の棚を見る」
見る事数分。
「…!これか?」
手を伸ばして資料を取り、彼女に渡す。
「!! そう!これ!ありがとう、六分儀君…ごめ…」
「そんな呑気な事言ってて良いのか?時間無いぞ」
「え?あっ!?時間…!!」
「早く行かないと遅刻だぞ」
「あ、ありがとう!本当にありがとう!このお礼はきっと後で…」
これで終わった筈だった。

473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 21:06:30
おお、過去話か。
いいね。

474:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 21:10:08
戸口まで彼女が走って行くのを何気に見ていると、突如彼女が振り返った
何の迷いも無い全開の笑顔で
「本当にありがとう!」
と私に向かって言う。
気にするな、と言う意味で手を振った。
ドアが閉まり、外のドアが開く頃…


バアアー―ン!!!!!!
何かが景気良くドアにぶつかった音がした。
びっくりして外のドアに向かうと…
「あ痛たたた…」
床に資料が散乱する中、彼女が鼻を押さえて座り込んでいた。
「あ、六分儀君…」
「…君は、天然か?」
「? どういう意味?」
「いや、何でも無い。大丈夫か?」
「うん…」


その後資料を集めて渡し、戸口に立ち…鼻を赤くしながら、とてとて走って行く彼女の後ろ姿を見送る。

いつも教室で講義の度に教授をやり込め、隙が全く無いと思ってた彼女のギャップの違いに唖然とした一日だった。


今思えば…この日から私はユイに魅かれていたのかも知れない。


だが、あの頃の私は…ユイの事を好きになるつもり等無く、又、疎まれるばかりの自分が、人に愛されるなんて有り得ないと思っていた。



475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 22:19:15
一月後
さて、講義はもう終わったし…図書館に寄って、少し本を読んで帰ろうか。
そう思いながら歩いていた時
「…あの…」
…ん?辺りを見回すが誰も居ない。
首を傾げ、又歩き始めようとしたら…
「待って…待って…あの…」
いきなり袖を引っ張られた。
「!?」
振り返ると、俯いて息を切らせている女が、私の袖を掴んでいた。
女が顔を上げる。
「…!? 君は…」
碇ユイだった。
「…やっと、見付けた…」
はあはあと息を切らせながらも、嬉しそうな笑顔を見せた。
「…どうして…」
戸惑いながら言うと、
「お礼を、お礼を言いたくて」
…お礼?
「資料の…」
…!?…あんな何でも無い事で、ずっと探してくれていたのか…?
「お礼はあの時に言ってくれた筈だ。気にしなくて良い。」
「私の気が済まないの!」
その勢いにたじたじとなる。
「これから、暇ですか?」
「…帰ろうと思っていたが」
「じゃあ、暇ですね!」と、いきなり私と腕を組んだ。
「!!!???」
「私に付き合って下さい!ほら、行きましょう!」
「!!!!!!!!????????」
…大パニックに陥っていた。

476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 23:21:18
その後は、映画を見、食事をし、軽く居酒屋で飲んだ後、彼女をマンション迄送り届けた。
今迄女とデート等した事が無い私は、何を話せば良いのか分からず、彼女が話しかける事に一言二言返した後は終始無言と言う、全く持って情けない状態だった。
もう…これで二度とこんな事は有るまい。
ちょっぴり残念に思っている自分に気付き、動揺した。
「…ありがとう!楽しかったわ」
にこにこと笑って彼女が言う。
…社交辞令だろう、無理しなくて良いのに。苦笑しながら
「…ああ、そうか」
だが、次の台詞は近年稀な程に驚愕した言葉だった
「…六分儀君。彼女、いるの?」
!!?? 何を言い出すんだいきなり!!
「いや、居ないが」
「そう、皆見る目無いのね…でも良かった。」
「?…何故だ?」
「…私が立候補しようと思っ…!!!?」
たたたと私に駆け寄り、抱き付こうとしたのかも知れない…が!いきなりつまづいて、倒れかかったのを慌てて支える。
「…ありがとう」
「…全く…足下を良く見ろ」
「でも、さっき言った事…」
「…冗談だろ?止めてくれよ」
頼むから…これ以上からかうのは止めてくれ、どうせすぐ捨てるのに、何で期待させるんだ…。

477:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/25 23:49:19
うなだれた私の顔を、覗き込もうと彼女が動くが、私は彼女が眩し過ぎて目を合わせる事が出来なかった。
「…六分儀君?」
俯き、目を伏せる私。
「…ちょっと来て」
ぐいぐい引っ張られて着いた先は彼女の部屋だった。
「入って」
「いや…あの…」
「いいから入って!」
半ば足蹴にされた感じで部屋に押し込まれる。
玄関先でもじもじしていると
「上がって」
「いや、もう夜も遅いし…」
「上がれと言ってるの」
彼女の顔を見ると、何故か眉の辺りがひくついている。
怒らせたのかな。こんな俺だから仕方が無いか…
上がって部屋の入口でもたもたしていると
「そこに座って」
ソファを指差される。言い付け通り座ると、彼女はコーヒーを入れてきてくれた。そして私の隣りに座ると…
「…他に好きな人が居るの?私じゃ駄目?」
見ると彼女の目に涙が浮かんでいる。
「いや…あの…」
呆気に取られていると「私、今迄人を真面に好きになった事無いの。私の周りは皆、私の後ろ盾に取り入りたくて私をちやほやしてくれた…《私》を見てくれる人なんて、一人も居なかったの…」
ぽつりぽつりと彼女が話し始めた。

478:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 00:13:01
「《私》は只の道具。だから全てにおいてパーフェクトで無いといけなかった。気を抜けない毎日が続いて、あの、資料が見付からなかった日…もう…壊れそうだったの…」
彼女が堰を切った様に話す。
「見付からなくて、どうしていいか分からなくて、もう泣きたくて、でも泣けなくて…そんな時六分儀君が来てくれたの。」
「…君は半べそだったからな」
彼女は少し微笑んで
「嬉しかったの。六分儀君は私の後ろ盾を知らないのに《私》を見て助けてくれた。道具としての《碇ユイ》じゃなくて、只の《私》を見付けてくれた…それが、凄く嬉しかったの…」
大きな目から涙が一粒零れ落ちる。
「それからずっと、六分儀君を探したの。でも見付からなくて、なのに…逢いたい気持ちが募って、逢いたくて、話したくて、側に居て欲しくて…今日逢えた時、嬉しくて堪らなかった…」
彼女は私の両頬を、自分の両手で包み込むかの様に触れ、
「…私じゃ駄目?私、六分儀君の側に居たい。六分儀君に側に居て欲しいの。…私じゃ…駄目…?」
最後は泣き声だった。悲しそうに私を見つめる彼女に、私は言った。
「俺は、君にそんな風に思って貰える様な、価値のある男じゃないよ」


479:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 00:42:18
「価値?価値って何?」
彼女の目から涙が溢れる。
「俺は人を傷付け、疎まれる事しか出来ない、只の男だ。君は俺を買い被ってるだけだ。君にはもっと相応しい人がいる。何も俺じゃなくてもいいだろう」
これ以上、ここに居る訳にはいかない。ソファから立ち上がり
「今日は、ありがとう…じゃ、さよなら」

戸口に向かおうとした途端
「…私は、六分儀君を一人にしたりしない!!捨てたりなんかしない!!!!…側に、いるから…ずっと、側に…」
歩みが止まる。振り返ると彼女が抱き付いて来た。
「…お願い…側に居て…」
駄目だ
俺はきっと君を傷付ける
駄目なんだ…!





…なのに
彼女の泣き顔を見るのが、どうしてこんなに苦しいんだ
…どうしてこんなに彼女を抱き締めたくなるんだ。
側に居て欲しいと望んでしまうんだ。
何故こんなに愛しいと思ってしまうんだ…

抱き付いて来た彼女を最初は優しく、そしてぎゅっと抱き締める。
「…俺の、側に…居て…くれるか…?」
抱き締めている彼女がうんうんと頷く。
「…私の側に…居て…」
「…ああ、わかったよ。ユイ」
彼女が泣き出す。
そして彼女が泣き止む迄、時折背中を擦りながら、ずっと、ずっと抱き締めていた…

480:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 08:19:03
ユイ×ゲンドウキテタ━━(゚∀゚)━━ !!!

481:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 15:17:28
職人さん
ワーイ!!\(o ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄▽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄o)/ワーイ!!

482:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 15:48:30
uzeeeee

483:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 17:15:19
若かりしパパンとママン萌え(*´Д`)ハァハァ

484:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/26 18:03:10
また投下されてる!ワク((o(=´ー`=o)(o=´ー`=)o))ワク

485:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 19:40:58
「…コーヒー、冷めちゃったね…」
「気にするな」
「も一度入れ直…」
「これでいい」
ついと彼女から離れて…離れ…離れない?振り返ると彼女がしがみついていた
「嫌」
「いや…」
「嫌」
「コーヒーを飲みたいんだが」
「離れるの、嫌」
半分彼女を引き摺る様にソファに近付き、コーヒーを飲む。
「六分儀君、ブラックが好き?」
「ああ」
「私も。同じだね」
私の顔を覗き込む彼女
「…私で、いいの?」
「? 何だ突然?」
「だって…ギャップが余りにも違うでしょう?私…皆が言う程完璧じゃないもの」
「何今更弱気になってるんだ、俺の前で散々ドジやってるのに」
「う…(Σギクッ)」
「子供みたいに泣き喚くし」
「うう…(冷や汗)」
「…お前じゃないなら、他の奴なんていらない。お前が、いいんだ」
「…私も。六分儀君かいい、他の人なんていらない」
肩に凭れかかる彼女をそっと抱き寄せ、頭を撫でる。
「…嬉しい」
「そうか」
「安心する…」
「そうか…」
…彼女の寝息が聞こえた。見ると安らかな顔をしている。
ここで寝て、風邪を引くといけない…と彼女を抱っこして、寝室へ行った。

486:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 20:09:02
寝室へのドアを開け、彼女をベッドに横たえて毛布を掛ける。
「…おやすみ、ユイ」
と言って、出ようとしたのだが…進まない
「!?」
いつの間にかユイが目を開けて、私の裾を掴んでいた
「帰っちゃ、嫌」
「いや、だから…」
「明日土曜日だもん、泊まって。ベッドはダブルだから広いし、一緒に寝られるよ?」
ちょっと待て。
頼むからちょっと待て…お前意味が分かって言ってるのか?俺だって健康的な男であって、一緒に寝たりなんかしたら欲情が理性を吹っ飛ばしてお前に何するか分からないじゃないか!!
断ろうとした時、ユイが悲しそうに私を見つめた。
「やっぱり…嫌…?」



「………………………分かった、泊まるよ」
「うん!お風呂の用意、してくるね」
そしてお互い風呂に入り、さて寝ようかとベッドに入る。
「おやすみ、六分儀君」
「ああ、おやすみ。ユイ」
すぐに寝息が聞こえた。
なるべくユイに近寄らない様にベッドの端に寝ていたが、彼女は寝相も悪いらしく私にぴったりくっついてきた。
薄明かりの中…パジャマがはだけ、ユイの白い肌と谷間が見える…例え死んでも手は出さないと必死で耐え、やっとうとうとして来たのは、明け方だった…

487:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 20:22:44
天国なのか地獄なのか全く持って判別し難い時間が過ぎ、ユイが目を覚ました時は、意識が半分朦朧とし、目の下にクマが出まくっていた。
「…おはよう」
「ああ、おはよう」
「よく、眠れた?」
「ああ」
寝られる訳無いだろ!!と言いたかったが、自分が嫌らしい人間だと思われるのが嫌で我慢するしかなかった。









本当に…よく我慢したな私!凄いぞ!!偉いぞ!!!あの時の私!!!!!!
全世界の人に褒め讃えて貰いたい位だった…

488:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/28 23:47:44
職人さんヽ(▽^〃ヽ)ヽ(〃^▽^〃)ノ(ノ〃^▽)ノ ワーイワーイワーイ♪

489:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 00:22:04
GJ
このまま結婚して子供を作って
シンジに泣き出されておろおろしてるゲンドウと
さりげなくフォローするユイを見たいw

490:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 02:04:14
ゲンドウが可愛いと思った。
本当にみんな知らないだけだなwww

491:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 16:02:41
G~~~~O~~~~D~~~~!!!神だー!!神が舞い降りたぞ皆の衆~!くはーGJGJ!!!!

492:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 18:43:08
時間を全く気にしていなかったが
「あ、もう11時だ。ごめんね、お腹空いたよね」
「いや…」
正直、腹が空いたより眠かった。
「お外に食べに行こう?いい?」
これ以上この密室の中にいたら、どうにかなってしまいそうだった為、彼女の提案には一も二もなく賛成だった
「ああ」
と答えると
「じゃ、すぐ支度するね」
と、いきなり彼女はパジャマの上を…何と私の目の前で脱ぎ捨てた!!
「!? うわあああああ!!!!!!」
慌てて後ろを向く

「? どうしたの?」
と、彼女はパジャマの上を持ったまま、きょとんとしている
「むっ…向こうで着替えろ!!」
「別に気にしないよ?」
「俺が気になるんだ!!」
と悲鳴が如く叫ぶと
「はぁーい…」
不服そうにとてとてと、彼女が寝室から出て行く


…良く言えば天真爛漫&無邪気
悪く言えば危機監理が全く無い!!無さ過ぎる!!!!!!

良く今迄男の毒牙にかからなかったもんだと溜め息をついた時
「お待たせ、行こう?」
「ああ」
振り返ると白いシャツに薄いブルーのスカートと、ごく普通の格好をしている彼女がいた。
悩殺される様な服でなくて良かったと…正直、ほっとした。


493:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 19:52:46
二人で当て所も無く、とてとて歩いて行くと何軒か食事をする所があった。
レストラン1店。
居酒屋2軒
ラーメン屋3軒
定食屋2軒
「何が食べたいんだ?」
「…えっと…」

…その通りを突き当たりまで行き、帰って来たと思ったら又突き当たりまで行く…


そんな事を7回程繰り返しても、まだユイは悩んでいる。
いい加減痺れを切らして
「ここにするか」
とレストランに行こうとしたら
「Σ嫌!」
と、いきなりぐいぐい私を引っ張る。
「…はっきり言ってくれ、何が食べたいんだ?」
「…分かんない」
「え?」
「レストランとかは…連れてって貰った事あるけど…こういう所…初めてで分かんなくて…でも、レストランは嫌なの」
「何で?」
「食べ方が分からないの」
「…は?」
「だって、ナイフやフォークが何本もあって、その都度換えなくちゃいけないんだもの」
「…はあ」
「で、間違えない様に相手の人の真似して誤魔化してたら、食べるの間に合わなくて…ほとんど食べて無いのに下げられちゃって…いつも帰る時、ひもじくて泣きそうだったの」
しょんぼりしながら、ユイが言った。

494:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 20:22:42
「…じゃあ、ここでいいか?」
よく私が通っている、定食屋の前に止まる。
ユイが心配そうに
「何か作法あるの?」

…思わず笑いそうになるのを堪えて
「無いよ、俺がいるから大丈夫だ」
がらり、と戸を開ける
「いらっしゃ~い!!」突然の大声に、ユイが目を見開いてびっくりする。
「大丈夫だ、お出で」
「…うん」
奥のテーブル席に着く。お品書きを開き
「どれにする?」
無言…
顔を上げるとユイが、壁に書いてある品書きやポスター等を物珍しげに見回していた。
その表情が、おっかなびっくりで、でも楽しそうで…余りの可愛らしさに思わず微笑む
「? なあに?」
私の目線に気付いたユイが首を傾げて問う。
「何でも無い。何が良い?」
「分かんない」
「何が嫌いとか、食べられない物はあるか?肉が嫌とか、生魚が駄目とか」
「…多分、無いと思う」
「じゃあ、この日替わり定食にするか」
「うん」
「注文決まったかい?ゲンちゃん?」
「ああ、日替わり定食2つ」
「はいよっ、日替わり定食2つ!!」
奥の厨房から「あいよ~!!!」
オヤジさんの返事が聞こえた。


495:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 20:49:35
「ゲンちゃん!随分とまあ別嬪さんを連れて来たじゃないの!」
おっかさんに突然頭を撫でられたユイが、目をパチクリさせている。
「こんな可愛い女の子連れて来て…お父さんとお母さんが生きてたら、嬉しくて号泣しちゃうよ…!ねぇ!あんた!」
「あんだよ、母ちゃん!おらあ、メシ作っ…ゲンか!何だ偉い別嬪さん連れて来たなあ…済まんなあ、お嬢ちゃん。こんな汚い所で…こらゲン!もっと綺麗な所連れて行くんだよ!全く、気が利かねえなあ…」
オヤジさんがぽりぽり頭を掻く。
「…いいえ!!とっても良いお店!又、来てもいいですか?」
ユイが唐突にオヤジさんとおっかさんに話し掛けた。
「…気に入った!!いつでもお出で!ゲン!この子、絶対ヨメにするんだよ!逃がしたらタダじゃ措かないよ!!」二人が揃って叫んだ。
「お嬢ちゃんの名前は何て言うんだい?」
「ユイです。碇ユイです」
「ユイちゃん!ゲンちゃんをよろしくね!この子は全く頑固でいつも損ばかりして…」
「勘弁してくれ、定食はまだなのか?」
「ああ!今腕に選りをかけて作るよ!」

ふぅ、と溜め息をつくと…ユイが悪戯っ子の様な顔でこっちを見ていた。


496:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 21:20:12
「…何だ」
不貞腐れて言うと
「ゲンちゃん、って呼ばれてるんだね」
「小さい頃から食べに来てたからな。馴染みなんだ」
「…照れてるの?」
「…別に」
ユイがくすくす笑いながら
「…可愛い」
「…? 何が?」
「教えない♪」

「はいよ!日替わり定食2つ!今日は奢りだから、いっぱい食べな!」
どん!と盛り沢山のおかずと、しゃもじでこれでもかと固めまくった特盛りのご飯と、波打つが如くの味噌汁がテーブル狭しと置かれた。
ユイが目を見開いて、唖然としている様に見えたので
「食べ切れなかったら、残して構わない。俺が食べてもいいから。はい、いただきます」
「…いただきます」
手を合わせ、食べ始めた

…ここで私は又、大学で皆が語っているユイの印象が、儚くも崩れ去る光景を目の当たりにする。

ユイのスタイルは出る所は出ていて、細い所は抱き締めたら折れてしまいそうな位細い…のだが!!!!

ふと顔を上げて
「ユイ、大丈…」
次の言葉が出なくなる。
先刻食べ始めたばかりなのに、もう半分以上ユイは食べ進んでいた。
食べ方は確かに上品だが…そのスピードたるや、飛ぶ鳥を落とす勢いとはこの事だなと納得出来る位の食べっぷりだった。


497:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/29 21:49:48
私は自分を少食とは思わない。いや、同年男子の平均をかなり超える位は食べるが…
ユイの食欲は、私の想像を遥かに超え、尚且つ限界を突き抜けて行く様な…ここ迄食べてくれたら食べ物も本望だろうと、そう想像してしまう位いい食べっぷりだった。
ユイは、唖然としているオヤジさんとおっかさん、そして私を尻目に…あっと言う間に自分の分を食べ終え
「…あーっ!美味しかったぁ!」
と一息ついた。
「…? どうしたの?」
ユイが首を傾げる。
「…いやぁ~…こんなに大した子は見た事無いな!益々気に入った!」
オヤジさんとおっかさんがにこにこ笑う。本当に気に入ってくれたみたいだった。
「…俺の分も、つまむか?」
「!! いいの?」
まだ食うのかよ!!と突っ込みたくなったが、それだけ気を許してくれているのかもと思い直し
「ああ」
「じゃあ、少しだけ…」
見る見る内に無くなって行く、テーブルの上のおかずやご飯を見ているだけでお腹いっぱいになる…て言うか、お前の少しだけは全部か?と心の中で突っ込む。
「美味しかった!ご馳走様でした!」
わずか数分で、テーブルの上の食器は全て空になっていた。


498:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 00:43:03
オヤジさんとおっかさんにお礼を言って、店の外に出る。
「どこかに行くか?」
「海!」
「分かった」



「着いたぞ」
「うわあ…海だ…本当に青いんだね」
「見た事無いのか?」
「うん…ねぇ、さっきのお店で…お父さんとお母さんが生きていたらって、言ってたけど…」
「ああ、俺は一人だ」
私の両親は、私が小さい頃に交通事故で亡くなっていた。そして私だけが生き残り…運が良いのか悪いのか加害者が莫大な資産家で、補償金は沢山貰えた。
だが…その金目当てに親族共が争うのを見て嫌になり、全ての親戚と縁を切った後、小さい頃から両親と一緒に行っていた、あの店の夫婦に保証人&後見人になって貰ったのだと語った。
その間ユイは黙って聞いていた。
「どこにでもある話だ」
「違うよ、似た様な話はあっても同じ事は無いと思う」
ユイは私の胸に手を当て
「痛かったよね…置いて行かれるの…」
「…ああ」
「怖かったよね、一人になって…」
「…ユイ」
「私は、側にいるからね、置いて行ったりしないから…」
私の頭を抱き寄せて撫でてくれた。
自分を受け入れてくれる人の暖かさが心地よくて、思わず涙を流していた。

499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 20:07:57
ゲンちゃん&ユイたんヽ(^^)(^^)ノ やっほー♪

500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/09/30 20:51:49
その後、私とユイは黙って海を見つめていた。
ユイは私に寄り添い、又私も彼女を抱き寄せ夕日が海に沈む寸前迄、只二人で海を見ていた。

こんなに満ち足りた気持ちになったのは…生まれて初めてだった。

…だから、私は気付かなかったのだ。
ユイに聞いておくべき事を聞かなかった事を
確かに彼女もその話題を敢えて避けている様だったが…だが、今後自分の身がどうなるかを考えたならば、無理にでも彼女を問い質して聞くべきだったのだ。


そう、彼女の《後ろ盾》の事を。

己の身に起きた、生まれて初めての幸福を深く、深く噛み締めていて全く己の足下を見ていなかった私は
その後彼女の《後ろ盾》が何なのかを、文字通り体で知るはめになる。




だがこの時の私は有頂天になっていた為、気付く筈も無かった。


頼む!今からでも気付け私!!ユイに受け入れて貰えた所以外、無かった事にするんだ!!!!


501:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 01:23:03
GJ!GJ!GJ!




そして…、
コメントの顔文字がuzeeeeeee。

502:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 01:44:16
無視しろって

503:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 04:10:20
職人さん、これからもp(*^-^*)q がんばっ♪

504:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 11:25:11
夕日が海に沈み、辺りが薄闇に包み込まれ始める。
「帰るか」
「…うん、綺麗だったね」
「朝日が昇る海も綺麗だぞ」
「! 見たい!!」
「じゃあ、次の機…」
「今日が良い!」
それは無理だと、次の機会にしようと問い聞かせた。ユイはしょんぼりしてたが…夜はまだ冷えるし、風邪を引かせたりしたら、それこそ彼女の御両親に申し訳ないと思い、頑として譲らなかった。
「必ず、連れて行くから…準備してからにしような?」
「…分かった。絶対連れて行ってね?約束だよ?」
「ああ」
彼女と晩ご飯を食べ(又凄まじい食いっぷりだったが)送り届け、泊まって行けと言われたが丁寧に断り、家路につく。
帰り道では、彼女の事、そしてある考えをずっと思っていた

たかが一か月で彼女はここ迄私を好きになってくれたのだろうか?…いや、きっと彼女は《心の支え》が欲しかったのだろう。そこにたまたま私が現れたから、今まで耐えていた物が全部私に向けられたに違いない。
いずれ彼女は私に飽きて、私の元から去るに違いない、いや絶対そうだ…
そんな事を考えながら歩き、尚且つ俯いていたせいもあって、私は二度電柱にぶつかり、たんこぶを2個作った以外は無事に帰宅出来た。


505:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 14:08:56
じんじん痛むたんこぶを擦りながら家に着く。これで、やっと…安心…して…寝ら…れ…る…
ベッドに倒れ込み、あっと言う間に眠った。

余程私は疲れていたらしい。ぐっすり眠って起きたら何と昼の3時だった。
しばし床の中でまどろみ、ご飯を食べに行こうと外に出ようとした途端、電話がかかってきた。
「…六分儀君かね?」
「その通りですが、勧誘、先物取引、株の紹介なら間に合ってますよ」
「いや…」
「お墓ですか?ならだいぶ前に作ってあるんで要らないですよ」
「いや…だから…」
「じゃあ、布団とか掃除機ですか?布団はベッドですし、掃除機は買い換えたばかりなので必要ありませんから。では失礼します」
電話を切ろうとしたら
「ちょっ、ちょっと待て!話があ…」
「俺にはないですよ」
「私にはあるんだ!!」
はあはあと電話の向こうで息切れが聞こえる。
「…全く…これがユイの恋人とは…」
「!? 彼女に何をした!!」
「まだ何もしとらんよ。最も、これからの君の態度次第では分からんがね」
「…何をさせる気だ」
「外に車があるだろう、それに乗りたまえ」
見ると、又いかにも悪人が乗っていそうな黒塗りの車が止まっていた。


506:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 15:21:48
外に出て車に近寄って行くと…これまた黒いスーツ、黒いサングラスの男が二人降りて来て
「六分儀様ですね?」
「様を付けられる覚えは無い。だが確かに俺が六分儀だ」
「御送りさせて頂きます。どうぞ、御乗り下さいませ」
ドアを開けられ、素直に乗り込んだ。
中に運転手がいた為、3人+私の1人で計4人が車に乗っていた。
「だいぶかかるのか?」
「車で2時間程ですが…車酔いの御心配ですか?」
「いや、腹が減った…」
「…どこかで何かお食べになられますか?」
「コンビニに寄ってくれるか?」
「了解致しました」
コンビニでお弁当とお茶を買い、外のベンチで食べようとしたら
「車の中でお食べ下さいませ」
「…車が汚れてしまうが」
「構いません、どうぞ」
又車が進み始めるが、さすがに気になったので
「どこに行くんだ?」

「私共の主の所です」
「おい、そろそろだな」
突如一人が私を羽飼締めにしたと思うと、もう一人が私に布を押し当てた。
鼻に薬の匂いがしたかと思うと、すぐに私は気を失った。
直前、ユイの笑顔が脳裏を過ぎったが、すぐ闇に塗り潰されてしまった。




507:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 16:41:12
…暗い

暗い、暗い闇

かすかに泣き声が聞こえる。あれは…
「…どうして、泣いてるの?」
…膝を抱えて泣いている小さい男の子と、側に立ってる…あの女の子は…?
「お父さんとお母さんが…もう、会えないんだ。僕、一人なんだ…」
「…そう、寂しいね…」
「!? 寂しくなんか無い!!僕はそんな弱虫じゃないんだ!!」
男の子が顔を上げる…昔の俺だ!!
「…本当は寂しいのに」
「寂しくなんか…!!」
「何故、嘘をつくの?」
「…皆、僕をおいて行くんだ…僕が要らないんだ。僕は、要らない子なんだ!!」
「そんな事、ないよ。私が側にいてあげる」
「嘘だ!」
「今は、まだ、無理だけど…大人になったら、会おうね」
「…本当に?」
「うん!」
「…イ。さあ、来るんだ」
「あ…はい。またね!」
女の子が走って行く。あの女の子は…ひょっとして…

…うっすらと目を開ける…が、まだ暗い闇が目の前にあった。
まだ夜か、もう少し寝られるな…再び目を瞑ろうとした時
「気が付いた様だな」

…この声は、電話の…!!
顔を上げると、闇の中に一つの顔があった。白髪の御老体が真っ直ぐ俺を見つめている。
ふと気付くと俺は椅子に縛り付けられていた。

508:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 17:40:35
話の内容がスレタイからずれてきてるな
次スレはタイトル変えたほうがいいんじゃないの?

509:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 18:18:24
…そうなんだ。
《ネルフ、誕生》を書いてたら、どんどんずれてしまった…スマソorz

もう、書かない方がよいだろうか…?


510:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 19:41:02
正直ユイ×ゲンドウはスレチだと思ったが他に職人もいないし黙ってた

511:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/01 20:34:01
そういえばユイゲンスレってないんだな

512:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 01:28:28
スレタイと内容が違うスレなどいくらでもある。
問題ない

513:図々しくも又書いているバカ一人
06/10/02 02:36:11
「君は我々が何者なのか知っているか?」
「…ゼーレと書いてありますね」
「な、何故分かった!?」
「…書いてあるじゃないですか、貴方の胸元に。クリーニングのタグですね、ゼーレ・キール様用と」
「なっ…!!このクリーニング店の店長を、しばり首にしろ!!」
激怒しながら電話で指示した後、余裕が無くなったのか話は単刀直入だった。
「私と組め」
「嫌と言ったら?」
「君とユイが死ぬだけだ」
これが私とユイ、そして後ろ盾と言われていたゼーレとの出会いだ
彼女の命がかかっていたので…嫌も応も無く手伝わされる羽目になったのだが、仕方が無いと諦めた
冬月と出会ったのもこんな時だ。最も、身元引受人になって貰った理由は、本当は酔っ払いに絡まれたのではなく《碇ユイを愛す会》の会員から襲撃されたからだったが。

長くなるから経過ははしょるが…私達は別れもせず、結婚する事になり、翌年産まれた…可愛い私達の光。

名前はシンジ。
男の子だった。


514:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 14:59:00
>「…書いてあるじゃないですか、貴方の胸元に。クリーニングのタグですね、ゼーレ・キール様用と」
>「なっ…!!このクリーニング店の店長を、しばり首にしろ!!」

ひょっとして職人さん、『パタリロ!』の読者?
違ってたらスマン。

515:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 18:20:09
このゲンドウだったら劇場版で
「冬月先生後を頼みます(シンジ~どこにいるんだ~)」
とか
「ユイのところに連れて行っておくれ(きっとそこにシンジもいるはずだ)」
とか思ってるんだろうな。

516:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 21:59:08
だが、シンジが産まれる前に一つエピソードがあるのを思い出した…今思い出しても絶叫したくなる、死ぬ程恥ずかしい出来事だ。


8ヶ月位の頃。
「子供の性別は聞いたのか?」
「まだよ、産まれた時の楽しみに取っておこうと思って」
ユイがくすくす笑う。
「? 何だ」
「どっちに似てるかと思って。きっと貴方似ね。男の子なら格好良くて、女の子なら凄く可愛いと思うわ」
…可愛い?
私に似てると可愛い?
何かの間違いじゃないかとユイに何度も問うたが、ユイは頑として
「きっと貴方似で、可愛いわよ」
と譲らない。


…可愛い…?
私の顔が女ならば可愛いのか?
とてもそうには思えなかったが、その場凌ぎで笑っておいた。

深夜

鏡の前に立ち、己の顔を穴が開く寸前迄見つめる。
もし…
もし…私似の女の子だったら、どうなるんだ?
どうしても己の顔を可愛いと思えなかった私は、心配で心配で堪らなかった…だからあんな事をしたのかも知れない。
ふと、洗面台を見る。ユイの化粧ポーチが置いてあった…そして洗面台の下には、キール議長がこの前宴会で腹踊りをした時に使ったカツラ(しかも金髪)があった。


…カツラに手を伸ばす。

夜が更けていった。

517:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 22:34:27


慌ただしい一日の始まり。日差しがきつくなる前の、優しい日だまりの時間。


目覚ましが鳴った音で、はっと我に反る
鏡の中には、金髪の…女…?の様な…強いてあげれば、明け方のオ〇マとでも言うべき生き物がそこに写っていた。

…可愛くない!
可愛くないぞ!!ユイ!!子供は性別問わず、お前に似た方が遥かに良いに決まってる!!いや絶対そうだ!!!!!!

ユイの起き出して来る音が聞こえた。寝室のドアが開き、パタパタとスリッパの音が聞こえ、私の前に立ち俯いてエプロンを着けている
「あら貴方、起きてたの?ごめんなさい、今すぐご飯の支度…」
ユイが顔を上げる



隠す暇も無かった。



直後…オ〇マの強盗だと思ったユイがマンション中に響き渡る声で絶叫し、逃げ惑うユイを追い回して私だと気付かせ、尚且つその絶叫を聞いた他の住民が事もあろうに警察に連絡し…
…終いにはドアから上がり込んで来た警察に強盗と疑われ、ユイが私を夫だと何度言っても信じて貰えず署迄連れて行かれる寸前だった。

…一騒動の後、私はユイに死ぬ程笑われた。
以後この事件を口に出すのは、碇家の禁止行為となったのは言う迄も無い。

518:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/02 22:39:08
>>514

はい。その通りです
パタリロ!全巻持ってます。

スレチなのに、もっと長くなってしまう為、あそこでパタリロのネタ使って切り上げました。

しかもまだ図々しく書いている俺。本当にスマソorz


519:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 00:07:55
問題ない

520:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 01:05:39
パタリロ全巻持ってるのか!
ある意味神


521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/03 02:43:38
スレチだろうが何だろうが職人さん乙!

522:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/04 11:45:13
ゲンドウとユイの話は外伝みたいな物だから、前の流れに(本編に)戻ればスレチも無問題。

523:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/06 00:33:41
保守

524:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 14:24:43
そして誰もいなくなった・・・

525:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/09 22:46:45
期待あげ

526:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/10 05:23:18
                        _,,t-‐‐-、,-‐‐-、
                     三'::::::............... .....::::::`y,.
                     ナ::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::ヾ
              | ̄|   V::::::::::::::::_{{ ({∫∬ノノjヾ:::::{
           | ̄| | ̄|   ナ::::::::::::::i`__,,,,,,,ァ_  _,,,,,_ t;;:ヌ
           |  | |  |  イヘ::::::(ヾ~!,ャt、 !'''i ィtン )=f }f
           |  | |  |  i {t)テ" ヘ' '___,イ ヽ_/ 介'
           |  | |  | _,rヘ_,j|!'     /ー--''!     |'
           |,.ィ―'''' ̄ /| |       /二ク     !
           /;;:::'';;::''::;;:/ { ! 、     ヾニン   ノ\
            /'''::::;r|''':::;;;|  | ! \       _,,./|::;;'''\
        /:;;/ |;;;''::;;|   丶\  `__>-ー´   !;;;:'''::iヽ、
          i/   |'::;;;;''|      三 ―''"       !''::;;;;| /ヽ
        /⌒ヽ  |;;''':::;|       \            !;;::''|/  i
         /     \{'';;;::''}          ̄二ニ=    !::;;|   |
        /ヘ     |;;:::::;{            ‐-      !/   |
        /  i     |:::;;;''!             ー       !  / |
     /   l     |;;'';イ                   }   {、
     〉、      ∧テ{ ヽ  _   _,,,,;;;;;:::-==ニ;;;_   ノ __,イ´
      / \_    //レ!      ̄           ̄ { ̄  |
    /    `ー::v'´/ | i                     i    |
    i       / ̄   | |                     i、  |
    i       /    ||                         ヽ  |


527:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/13 23:56:18
鮮やかに保守っ!

528:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/14 02:30:51
職人さんコネ━━━('A`)━━━…

529:番外編。
06/10/15 16:08:57
私とユイの交際は順調に進んで行った。
…と言いたかったが…結構波乱含みだったな、ユイ。
苦笑しつつ又一つエピソードを思い出した

「…六分儀君?」
講義も終了。ユイと待ち合わせて、お昼ご飯を一緒に食べようかと考えながら歩いていた時、いきなり声を掛けられた。
「?」
振り返ると、髪の長い女が俯いている。見た事あるな、確か同じ講義を受けていた様な…
「あの…あの…良かったら、食べて下さい!」
凄い勢いで何やら紙包みを渡された。
「え?あ、おい!!」
女が走り去って行く。
「…おいおい六分儀、ユイさんだけじゃなくて彼女迄虜にしたのかよ?」
「何貰ったんだ?開けてみろよ」
「彼女結構人気あんだぜ?何で六分儀がいいかなあ?」

…知るかそんなの。
取り敢えず包みを開ける。中にはお弁当が入っていた。
「六分儀君モッテる~♪」
と冷やかされてると
「…何それ」
その声に気付き傍らに目をやると、いつの間にかユイが固まった表情で立っていた。

「あ、ユイさんだ。じゃ、頑張れよ六分儀!」と連中が笑いながら去って行った。

何を頑張るんだ?まあいい。ユイの方を向き
「ああ、何だか良く分からないが貰ったんだ」


530:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 16:52:54 J8NqbCBh
久しぶりにエヴァ板に来たら好みだったゲンドウスレが落ちてて泣いたage。

531:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 18:12:17
「…何で?」
「え?」
「何で?何で貰うの?」
「いや、だってくれると言うから…」
「くれるって言われたら何でも貰うの?」
…?お腹空いてるのか?
「ひょっとしてお腹空いたか?なら一緒に食べ…」
「そんなんじゃない!!」
ユイが怒鳴った。
「何で分からないの?馬鹿っ!鈍感!!にぶちん!!」
ユイが涙目で叫び走り去って行く。
「…???」
呆然として後ろ姿を見送る。
…俺、何か悪い事したのか?
途方に暮れて、とぼとぼと図書館脇の階段に行き、しゃがみ込む
鬱々と考え込んでいると
「あぁ~ら、そんな所で何を黄昏れてるのかしら?ろ・く・ぶ・ん・ぎ・くん?」
の声と共に頭に衝撃がきた。
衝撃の正体がかかと落としだと言う事に気付いたのは、その声の主に胸ぐら掴まれた時だった。
「そ、惣流…ピンヒールでのかかと落としはちょっ…」
「かかと落としが嫌やら、回し蹴りがいい!?アンタねぇ、ユイを泣かして私に許されると思ってんの!!!!」
惣流キョウコ。後、惣流・アスカ・ラングレーの母となり、弐号機の接触実験により精神を患い自ら命を絶った彼女の若き姿。

……惣流。娘も君と同じで暴れん坊だよ…

532:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 19:31:48
おおキョウコキタwww

533:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 19:51:57
「遺言は?今なら聞いてやるわよ!!」
「じゃあ、一つ分からない事が…」
「何よ!?」
先刻あった事を話し、何故ユイが涙目で叫んだのか分からないと告げたら
「…アンタ、本当に馬鹿ね。まだ分からないの?」
「ああ」
「全く…女心が分かんないのね、アンタ。ユイん所泊まった時、ご飯出してくれた?」
そういえばユイはいつも外食に誘ってたっけ
「いや…無い」
「あの子、料理出来ないのよ。いや、やった事が無いと言った方が正しいかな」
「何故だ?」
「まあ、私もユイもゼーレ生まれのゼーレ育ちだしね。その辺は聞いてんでしょ?」
「ああ」
「後はユイに直接聞いて。でも、その女いい度胸してるわねぇ」
「何が?」
「ユイに喧嘩売ってるじゃない。多分ユイが見てたのを承知で渡した筈よ、貴女には負けないわよって。要はユイからアンタを奪い取る為の一歩って事よ、そのお弁当」
ぎょっとしてお弁当を見つめた。
「アンタがそれを受け取っただけでもショックなのに、ましてや『一緒に食べよう』だなんて言われたら泣きたくなるわよ!馬鹿!」
やっと気付いた…あの悲しそうな目。
「ユイは…」
「さあね!泣きながら帰ったんじゃないの!?」


534:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 20:48:22
今すぐユイに謝らないといけない。ユイを傷付けた事も何もかも。
「惣流、ありがとう。俺、今からユイの所へ行ってくる」
うん、と惣流は腕組みしながら頷き
「しっかりすんのよ!全く、二人して世話が焼けるんだから…」
私の背中をパンッと叩いて
「ほら、行ってらっしゃい!!私はちょっと用事があるからね」
「…なあ、惣流」
「ん?何よ?」
「まさかシメる気じゃ…」
「殴るつもりは無いわ。只、釘は刺しておかないとねぇ…」
にやりと笑う。
…その背筋が寒くなる様な微笑みを見て、名前も知らない彼女の事が少しだけ気の毒になったが、ユイの方が他の何よりも大事だ。行こう。

惣流に別れを告げ、ユイのマンションへ向かった。

マンションに着き、ユイの部屋の前迄来る。インターホンを鳴らそうとしたら、中から何か異様な臭いが漂って来た。
…まさか火事か!?ユイ!!ユイは!?
「ユイ!!!!!!」
前に貰った合鍵で開け、中に入った。
リビング・寝室・ベランダと探すがユイが見当たらず、室内に戻って来たら台所から黒煙が流れて来た。
ユイ!!!!!!!
台所の前迄来た途端、何故か咳込みながら半泣きの声が聞こえて来た。
「…どうして?どうして駄目なの…?」

535:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 21:28:37
入口から中をそっと覗くと、黒煙を上げるフライパンがかかっているガス台の前で、エプロンを着けたユイが座り込んで俯いていた。辺りには本や小麦粉、タマゴの殻が散らばっていて、洒落にならない有様だった。
「…何してるんだ?」
と、台所に入りガスを止める
「…!?ろ、六分儀君…」
びっくりしているユイの傍らにしゃがみ込み
「どうしたんだ?これは」
ユイが目を逸らして俯く
「…俺の事、もう嫌になったか?」
「そんなんじゃ…!!」
ユイが私の顔を見、目線を下に落とす
「…ご飯を…」
「え?」
「…ご飯…作ろうと思って…でも作った事無くて、本を見ながらやってたけど、上手くいかなくて、それで…」
目を伏せたユイの涙が、頬に流れて行く
「…あの人はご飯作れるのに…私、作れなくて…このままじゃ六分儀君、取られちゃうって…そんなの、嫌だから、だから…」
ユイはエプロンをぎゅっと握り締め、泣き出しそうになるのを必死で堪えている
「…嫌だもん、別れるの、嫌だもん…だから…頑張ろうって…でも…出来なくて…」

…何て。
何て愛しいんだろう
思わずユイを抱き締める
「酷い事、言って…ごめんなさい…別れないで…」
ユイが泣き出した。

536:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 22:47:09
ごめんなさいと、何回も泣きながら言うユイを抱き締め、頭を撫でながら
「ユイ。お前の気持ちが分からなくて、お前を傷付けてしまって、すまなかった。本当にすまん…」
謝ると、ユイがぶんぶん首を振る。
泣きじゃくったユイを宥め、落ち着いた頃
「…ユイ」
ユイが顔を上げる
「お前が作った物を、俺が試食するよ。」
「…え…?」
「その代わり、良い所も悪い所も全部余さず言うぞ。覚悟してくれよ」
「…でも、上手に出来ないよ…」
「最初から出来る奴なんていないさ。少しずつ出来る様になれば良い」
「いいの…?」
「ああ。ところで何を作ろうとしてたんだ?」
「…目玉焼き」
「もう一度やってご覧」
ユイが立ち上がり、作り始める
…待てユイ。本当に本を見て作ってるのか?何故目玉焼きを作るのに酢を使う!?
こら!酢の後に醤油や砂糖を入れるな!ってそこにタマゴを入れるのか!!??
お前どんな本を見てるんだ?
本を見ると何と…!!
「ほら、ここでいつも焦げちゃうの」
「ユイ、この本は間違ってるぞ」
「え?」
「落丁本だ。途中から『鶏のサッパリお酢煮込み』に繋がってる」
「…本当だ、頁が3から24に…」
「だから焦げるんだよ、目玉焼きなら俺が教えられるから」
「うん」


537:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 23:25:16
正しい作り方を教えると、ユイはあっさりと看破した。
その後は、私のいきつけの食堂の夫婦に教えて貰ったり、独自の工夫で作った物を試食した。
ある日…生肉を食べさせられ腹を下し、ユイが半泣きで謝るのを聞きながらトイレに籠りきりになった事もあったが…一、二度失敗した後は完璧に作れる様になっていった。

「六分儀君」
「ユイ。どうした?」
「お弁当、作ったの。…食べてくれる?」
「ああ。じゃあ一緒に…」
「あぁ~ら、私もご相伴しようかしら♪」
「惣流!」
「キョウコ!キョウコも食べてくれるの?」
惣流キョウコがいつの間にか傍らに立っていた
「ユイが何処迄成長したのか知りたいもん♪六分儀ぃ、文句無いでしょね!?」
「ああ、構わないよ」
「良かった、いっぱい作って来たんだ♪」

…いっぱい?何か嫌な予感がした。
図書館脇に行き
「ちょっと待ってね」
ユイが小走りでいなくなる。
「惣流」
「何よ」
「何か嫌な予感がしないか?」
「何でよ?」
「ユイの食いっぷりは知ってるんだろう?」
「…まさか」
「ああ、そのまさかが当たったみたいだな」
…遠目でも分かる位、大量の荷物を持ったユイがよたよたと歩いて来る。
慌てて荷物を受け取りに行った。

538:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 00:16:56
五重の重箱が15。中身はおにぎりが6、おかずが6、デザートやサラダが3…全てぎっしり詰まっていた
「ななな何なのよ!!この凄まじい量は!?」
惣流が目を見開いて指を差す
「え?そんなに凄い?」
ユイがきょとんとして問い返す
「ユイ!!アンタねぇ、ガーデンパーティでも開く気!?」
「ユイはよく食べるからな。仕方無いさ」
「六分儀!!アンタも達観してんじゃないわよ!!」
「キョウコ、お腹空いたんでしょ?」
「はあ?ユイ、アンタ何言っ…」
「お腹空くと怒りっぽくなるもんね、いっぱい食べてね?」
ユイがにこにこしながら、取り皿と割り箸を惣流に差し出す
「惣流、君の負けだ。座って食べよう」
「…ったく…その笑顔に、いっつも負けんのよねぇ…」
と言いながら惣流が、おにぎりやおかずをパクつく。
「! ユイ、美味しいわよ!!」
「ああ、確かに美味い。腕を上げたな、ユイ」
「本当?嬉しい!いっぱい食べてね!」
と言いながら、ユイはあっという間に御重を一つ完食していた。
「…相変わらずね、その食いっぷり」
「ゼーレの時からか?」
「よく食べるのは知ってたけど、今程じゃなかったわよ。ったく、幸せそうに食べちゃって!」
惣流と顔を見合わせて苦笑した。

539:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 01:36:31
「ご馳走さま!美味しかったわよ、ユイ♪これでいつでも嫁に行けるわねぇ♪」
「えっ!?」
「!!」
ユイが顔を真っ赤にし、私はカラアゲを吹き出してしまった。
「あはは、冗談よ♪じゃ、また後でね」
惣流が立ち去る。
二人で顔を合わせ…顔が真っ赤になった。
「いつか…ね」
「ああ、いつか…な」
二人で照れながら微笑んだ。

ああ、あの頃は毎日が楽しかったなあ…今みたく、ご老体に嫌味を言われ、こき使われたりしなかったし…ユイもいて、シンジとも仲良く出来ていたのになあ…
シンジ、可愛かったなあ…いや今も可愛いんだけどね、やっぱり小さい頃って言うのはあどけないって言うか、別格の可愛さで堪らな…



「…司令!碇司令!!」
はっと気付く。顔を上げると、リツコ君が腰に手をやって私を見ていた。
「副司令が拉致されてもう2日目ですよ。心配では無いのですか!?」
心配いらないって。将棋だから…
「何言ってるんです!副司令が将棋で勝ちまくったら、激怒した委員会に消されてしまうかも知れないのに!!」

…む、それはまずいな。ま、何とかなるだろ。なるよな?なるよね、ねぇちょっと。
そんな事を心の中で思いながら

大丈夫だ。心配無い

リツコ君が呆れて出ていった。




540:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/16 23:56:33
おお~!楽しみにしてました。職人さんGJです!

541:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 19:11:35
リツコ君が出て行った後、久しぶりにアレの整理や確認をせねばとドアの前に
「只今外出中!勝手に開けないで!お・ね・が・い♪」
のプレートを掛け、尚且つ鍵も五重に閉め、誰もいない事を熱反応スコープにて確認した後、机の中のボタンを押す。

畳に数えて50畳以上はある広い執務室の床からせり上がって来る部屋の中にある、私の命よりも大切な物…

『マイラバーメモリアル ユイ&シンジ』

その部屋の中に入り、古い物から新しい物へと順序良く並べ替え、時には観賞するのが、シンジと離れてからの私の唯一の楽しみだ。
…む!!冬月め、この前自棄酒為らぬ、自棄メモリアル50時間耐久上映に付き合わせた時
『シンジとの初めての会話記念日』
のDVDとアルバムとネガとデータを
『シンジが初めて寝返りをうった記念日』
の前に入れたな!?
いかん!!間違っているではないか!!
あいつはここの順序を良く間違えるから、嫌な予感はしていたが…
やはりこれを完璧に管理出来るのは私しかいないな!!

順序を変えようとしてDVDを取り出し、入れようとしたが気が変わった。
今日は『シンジとの初めての会話記念日』を見よう…

数え切れない位見ているのに全く飽きる事が無い。楽しみだ。



542:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 22:04:31
『シンジとの初めての会話記念日』

私室にてご老体の嫌味に対するメールを返し、一息つく私。
玄関、台所、風呂、ベランダ、トイレ以外のドアは皆無い。

…ああ、そうだ。シンジが歩き始めた時、ドアが何かの拍子で閉まってしまって、部屋に閉じ込められたシンジが、手を真っ赤にして号泣しながらドアを叩いてたんだ…
それ以来ドアを全て取っ払ったんだよな、ユイ。

ドアから小さな子が某家政婦の様に私を見ている。シンジだ。
「シンジ、お出で」
私が手を伸ばすと、シンジがにこにこしながら、とてとてとおぼつかない足取りで私の所に来た。
抱き上げ、向かい合う形で膝の上に乗せる。
見つめ合う私とシンジ。
「あー?」と、シンジが私の顔を触りながら言って笑い、愛しさで思わず微笑む。
「シンジ?シン…あら、貴方の所にいたの?シンジは本当に貴方が好きなのね」
「…そうか?そうなら良いが…」
「それだけ懐いていて、嫌われるもへったくれも無いでしょ。本当にもう!」
ユイが苦笑する
「…私ちょっと用事があるの。申し訳無いのだけど、シンジを見ていて貰えるかしら…?」
「構わない、私の用事は終わった」
「すみません」
「気にするな」
「シンジ、お父さんとお留守番よろしくね」
「あーい!」


543:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 22:38:23
「じゃあ…お母さんに行ってらっしゃい、するか。シンジ」
「あーたん、いーらーたい!!」
「はい、行って来ます♪ついでに晩ご飯のおかずも買って来ますね」
「ああ、たまにはゆっくりしてお出で」

ユイが出かけた後
「さて、DVDでも見るか。シンジ」
シンジが首を傾げる
 ? ああ、そうか。
「シンジ、動物さん、見るか?」
シンジがにこーっと笑って
「あーい!」
と手を挙げる。

…幼児がDVDなんて分かる訳無いだろ、あの時の俺!アホか!

DVDをセットし、シンジを膝の上に座らせ、一緒に見る。
色んな動物が映る…シンジはどうやら犬、猫、ペンギンが好きらしい。
クジラやゾウを見、大きさに目を見開いてびっくりしている。

はて、何か忘れてる様な…そうだ!!
「シンジ、そこで待っててくれ」
シンジを一度膝から降ろし、私室に行く。
あったあった。この前シンジにお土産を買って来たんだっけ。
「…あー?」
シンジが不安そうに覗きこむ。
「シンジ、お土産だ」
新しい動物のDVDをセットする
「あー♪」
シンジが喜んでくれた、良かった…


544:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 23:24:30
「こー?(これは?)」
「これはライオンだ」
「こー?(これは?)」
「これは…えーと、オランウータンだ。この大きいのがお父さん、こっちのちょっと小さいのがお母さんか。これは赤ちゃんだ」
「…おーたん?」
…オランウータンの事か?
「ああ、おーたんだ」

…今でもショックだったのを覚えている。
突如シンジがくるりと画面から私の顔を見て
「おーたん!」
とにこにこしながら言った。
…え?

………シンジ…?

お前は私をオランウータンだと言うのか!!??
思わず目を見開いてシンジを凝視する。
「…おーたん?」
…どうして笑ってくれないの?と言う顔でシンジが私を見る。
そ、そりゃあ確かに私はお世辞にもかっこいいとは言えないし、サル顔かも知れないが、何も、よりによってオランウータンじゃなくたって良いじゃないか!シンジ!
戸惑っていると、それがシンジに伝わったのか
「…おーたん…?」
不安そうになり、段々涙目になりかけている。だが、正直私の方が号泣しそうだった。
オランウータンだと、そんなに連呼しなくたって…!
「……おーた……うわああああああん!」
シンジが泣き出したが私も泣きそうだった。いや、実際頬を涙が伝っていたので泣いたのだろう


545:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 23:43:42
シンジが私の頬に伝う涙を見て、より一層酷く泣きじゃくる
…やっぱり私は嫌われてるのか…
すっかりしょげて、情けない顔をしている私と、私をオランウータンだと泣きながら連呼するシンジ。
どれ位の時が過ぎたのか。
時間にしては3分程だったらしいが、私には永遠に続くかの様に思われた。

玄関のドアが開き
「ただいま~♪今すぐ晩ご飯作…どうしたのシンジ?貴方!?」
ユイが駆け込んで来る。そして私とシンジの顔を見た途端
「何があったの!?二人共怪我したの?大丈夫?シンジ!貴方!!」
と私達に近付いて来た。私からシンジを受け取り、宥めるユイ。
「…何があったの?」
起きた事を全て話した。
「…シンジは、オランウータンの親子を見た後、貴方をおーたんって言ったのね?」
「ああ。やっぱり嫌われてるんだ。駄目な父親だ…私は…」
ユイはそれには答えず
「シンジ?」
「…あい…」
少し泣き止んだシンジが返事をする。
ユイは自分を指差し
「この人、だあれ?」
と問い掛けた。
「…あーたん」
「そう、母さんよね。じゃあ、この人だあれ?」
と私を指差す。
「…おーたん…」
「ほら、オランウータンだって…」
「…貴方、本当にシンジがそう言ってると思ってるの?」
「?…だって…」

546:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 00:12:34
「私は、あーたんで母さんよ?で、貴方を指したらおーたんって言ってるのよ?」

…………まさか!!??
「…シンジは、私を父さんと、言ってくれてたのか…?」
「そうとしか思えないけど。ねぇシンジ?この人お父さんよね?」
こくりと頷き
「おーたん!」
とシンジが私を見て言う。
…シンジ…!!!!
思わず抱き締める。
「気付かなかった…すまん、すまなかった…シンジ…」
「…おーたん?ないないの?」
「ほら『お父さん?泣かないで?』って言ってるわよ?」
涙を拭って顔を上げると、シンジが私の頭を撫で撫でしてくれた。
「たいの、ないない!」
「? 何て言ってるんだ…?」
「『痛いの、無くなれ!』って言ってると思うわ」
「そうか…」
「これで一件落着ね♪ふふ、貴方の先刻の情けない顔…」
ユイがくすくす笑う
「…何とでも言え…」
穴があったら入って出て来たく無い位恥ずかしかった。
「二人共お腹空いたでしょう?さあ、晩ご飯にしましょうね」
「あーい!」
シンジが真っ先に手を挙げ、それから三人で顔を見合わせて笑う

そこでDVDが終了した。
目から流れ落ちる涙を拭いながら、シンジを、ユイを想う。
あれから遠い所迄来てしまった。もう、あの幸せは思い出の中にしか無い…


547:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 00:47:09
こんなに可愛がってるのに何で人様の家に預けたんだ

548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 01:01:55
そのまんまだったら食っちまいそうだったからじゃね?

549:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 08:39:10
子シンジハァハァ
子煩悩なゲンドウもカワユス

550:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 12:37:21
つか、誰がDVD撮ってんだよ

551:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 12:41:03
つ冬月

552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 14:13:57
ちょwww冬月先生、なんでも屋さんだなw

553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 14:55:47
冬月先生かwww何か納得だw

554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 17:57:57
子シンジが冬月先生にも「おーたん」と言って、
死にたくなるほどショックを受けるゲンドウ

555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/20 19:42:44
ありえるwww

556:碇
06/10/21 00:20:59
>>272

最低だ・・・・・・俺って・・・・・・・・・

せっかくシンジからアプローチしてくれたのに・・・





・・・そうとも・・・
保護者はあの作戦部長だと言ってあるのにも関わらず
シンジは こ の 俺 に三者面談の連絡をしてきてくれた
こんなにうれしい事はない




それなのに・・・それなのに・・・俺はなんてことを・・・
せっかく父親になれるチャンスだったのに・・・

何故俺はこんな簡単な事が出来ないんだろう・・・




・・・もう・・・嫌だ・・・・・・


557:碇
06/10/21 00:35:25
―・・・っ!

―・・・かりっ!

―おいっ、碇っ!!


おっ・・・冬月・・・か
いつからそこにいたんだ?まったく気が付かなかったよ


何?暗い?
ああ、やっぱりわかるか・・・?
そう、今の私にはとても明るくなれる元気などない・・・


・・・・・・・・・え?何?
あ・・・部屋のことか・・・

そうだよな・・・私なんていつも暗い顔しかしてないからな・・・


・・・ああ、電気を点けてくれ。頼む



・・・点かない?じゃあ紐を引っ張れば・・・それもダメ?



電球切れたかな・・・・・・?


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch