06/02/05 22:17:58
通路をしばらく歩いていると、葛城さんと出会った。
「あんた…何勝手に着替えてんのよ!?」
「帰るんです。帰るといっても、新しい家の場所、知りませんけど」
「そう。手続きは済んでるそうだから、送ってあげるわ」
車内には会話がない。
会話をする必要性もない。
僕は窓の外に映る流れていく景色を、運転する葛城さんは前を見ている。
「ねえ。あなた、碇司令と…お父さんと暮らすつもりはないの?」
不意に、葛城さんが話しかけた。
視線だけを葛城さんに向ける。
「別に。司令というくらいだから忙しいでしょうし、それに一緒にいる意味も無いです」
「なんで?唯一の家族でしょ?」
「……だからなんですか?」
僕の言葉を最後に、また車内は沈黙に包まれた。
僕はまた、窓の外の風景を眺める。
沈黙が続いたまま、車は僕がこれから住むことになるマンションに到着した。
ドアを開くと、建設中のマンションから工事の音が響いてくる。
騒音は覚悟しなければならなそうだ。
「まだ入院してるけど、同じ棟にファーストチルドレン、綾波レイって子もいるから」
「へえ。じゃあ、何かあったら連絡してください」
そんな子のことなんか興味なかった。