05/11/30 18:34:38
「おやおや、お姫様の入場が少々早くなったようだぞ」
「ありゃ。 ま、準備も八割がた済んじゃってるし、もういいわよね」
「そういうことらしいわね。それじゃミサト、号令頼むわよ」
「いや~、そこはシンちゃんの役目でしょ」
「ほんまですな。おーいセンセ、はよ出てこんかいな」
「碇君、アスカを待たせちゃ悪いわよ」
わけがわからない。みんな、何を言ってるわけ? そもそも、この豪華なパーティもどきはなんなのよ?
悩むアタシの横を通り、どういうわけかちょっとバツの悪そうなシンジと、
これもなぜか少し残念がっているような様子のファーストがリビングへと出てくる。
「ちょっと順番狂っちゃったけど、しょうがないかな…」
「ここまで来たら、このままやるしかないと思うわ…」
シンジが誰にともなく呟いて、ファーストがうつむき加減で答える。
「…じゃ、じゃあ、みんな、いいですか?」
「いつでもいいわよん」
ミサトの返事とともに全員がうなずき、ポケットに手をつっこんだり、後ろ手に何かをつかんだり。
「それじゃ、せーのっ…」
シンジがいまひとつ気合の入らない号令をかける。だから、いったい何を…
964:21/26
05/11/30 18:36:20
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぁん! 「きゃ!」
いきなりの耳をつんざく大音響! そして漂う硝煙の匂い。アタシは思わずひるんでしまう。
な、な、なんなの!? どこかの突入部隊でも攻めてきたっていうの!?
…って、これは、紙テープ… クラッカー…?
間髪入れずにみんなが声を合わせた。
「「「「「ハッピーバースデー・トゥ・アスカ!」」」」」
965:22/26
05/11/30 18:37:15
え?
ひょっとしてこの料理と飾りつけ、は… みんながいきなりここに来てるのも…
アタシの誕生日パーティ、ってこと?
たったそれだけのために、ここまで大掛かりなことを?
「ごめん、アスカ… せっかくだから、アスカにはぎりぎりまで内緒にしとこうと思ってて…
そのつもりが伝えるの遅くなりすぎちゃって、びっくりさせすぎたかな? ほんとに、ごめんね」
シンジが悪戯の現場を見つかった子供のような顔をして喋っている。
アタシはまだ衝撃から立ち直りきれなくて、ロクに返事もできない。
「え、じゃぁなぁにシンちゃん、今のいまアスカにタネあかししたの?」
「はい、ちょっと伝えそこねちゃったままで…」
小さくなってシンジがうつむく。
「なにやっとんのかいな、自分でちゃんとやるから任せろて言うとったのに」
「まぁそう言ってやるなよ、鈴原君。結果としておおむねうまく行ったんだから」
「はは、そないですね、わははは」
「それはともかくとして、アスカ、ほんとにおめでとう。
アイス食べながらうっかりこのこと喋っちゃわないか、わたしも不安だったのよ?」
みんながこのためにいろいろしてくれたのに、アタシだけが知らなかった…わけだ。
966:23/26
05/11/30 18:37:54
「…アスカ?」
気がつくと、目の前のシンジとファーストの輪郭がぼんやりと揺らいでいた。
な、なによ、バカシンジとファーストの癖して…なんでアタシが泣いてるのよ!
「あ、アスカ、その、ごめん」
「なんであんたが謝るのよ、バカ…」
「ごめん…」
「こんな美少女を泣かせるとは君もなかなか罪作りな男だね、シンジ君」
「そ、そんな、やめてください加持さん」
シンジが慌てたように否定するのがおかしくて、思わずアタシも笑ってしまう。
「今日の用事っていうの、これだったのね、シンジ」
「うん、僕一人じゃ準備にはどうしても限界があるから、綾波にも手伝ってもらってさ。
人数が人数だから料理も買うことにして…あとは飾り付けの道具とか。
本部ではミサトさんからみんなに連絡とって貰って、学校でもアスカにばれないように
委員長とトウジとケンスケ誘って…」
「バカシンジにしては、段取りよくやったじゃない…」
「あ、ありがとう。でも、今回の発案者、メインは僕より綾波なんだよ」
967:24/26
05/11/30 18:38:37
「え?」
またしても虚を突かれて、間の抜けた声を出してしまう。
「いや、アスカの誕生日がもうすぐだ、って話をしたのは僕なんだけど、
それならせっかくだからみんなでお祝いしようって言い出したのは綾波なんだ。
僕じゃよくわからない道具選びとか、段取りがよかったのはきっとそのせいだよ」
思わず傍らのファーストを振り返る。彼女はそこで心なしか頬を赤らめていた。
「でも、私はあまり働いていない… 今回の功労者は、やっぱり碇くん…」
照れたような小さな声で、ファーストはそう呟く。
「そうじゃないよ、綾波が言い出してくれなきゃ…」
「なによ、アタシを祝うのにもファーストにお伺いを立てないとできないっての?」
嬉しさや照れや、いろいろな感情でいっぱいになって、ついアタシはいつもの憎まれ口を叩く。
「そ、そんなこと言ってないだろっ…」
みんながつられて笑いさざめく。
「お祝いしようと思ってたよ、ちゃんと。 …アスカ、誕生日、おめでとう」
その一言だけで、アタシの心のどこかにぽっと火が灯ったように、体が温かくなるのを感じる。
ああ、アタシはコイツがいることに、いてくれることに、こんなに安心していたんだ。
968:25/26
05/11/30 18:39:57
「おめでとう…」
ファーストが小さな声でそう言う。
いや、違う。『ファースト』なんて記号みたいな呼び方は似つかわしくないわ。
誕生日のパーティを企画してくれたから、なんて、今どき小学生でもしないような動機だけど、
その呼称は今日限り返上して、きちんと彼女の名前を呼ぼう。
今までの凝りとちょっとした自尊心が邪魔っくさかったけど、アタシは努めて自然に返事をした。
「ありがとう、レイ」
彼女はちょっと驚いたような、困ったような表情を一瞬だけ浮かべて、それから静かに微笑んだ。
「「「もう一回、おめでとう!」」」
二人の一言を皮切りにみんなが口々にそう言って、拍手の音が部屋を包んだ。
969:26/26
05/11/30 18:42:06
「ま、なんや、多少寄り道はあってもこれで丸くおさまった、ちゅーことやな」
料理を目の前にして目を輝かせている鈴原がなんだか強引にまとめにかかる。
我等が作戦部長どのも、負けじとそれに応じて声を上げる。
「そうよ、小さいことは忘れて、それじゃ各自! 料理に突貫を許可します! 作戦開始っ!」
「「「いただきまーす!」」」
それを合図にみんながわっと盛り上がり、テーブルに盛り付けられた料理にとりかかる。
ジョッキにすら注がずに缶ビールを呷るミサトが居ればなりふりかまわずがっつく鈴原が居て、
それをたしなめるヒカリの横にはカメラを構える相田が居る。
青葉さんと日向さんのコンビが早くも悪酔いのケを見せ始め、リツコが眉をひそめてる。
マヤの隣でちゃっかり口説きモードに入ってる加持さん。マヤも酒の勢いか、満更でも無さそう。
そして、アタシの左右には、黙々と、でもよく見れば美味しそうに箸を進めるファ…レイと、
ミサトをたしなめつつロンゲとメガネとジャージにからまれ、その様子をカメラにおさめられながら
満足に料理にもありつけていない、サードチルドレンのアイツがいる。
こんなに五月蠅い誕生日を過ごしたことは、アタシの人生にも例がない。
こんなに素敵な誕生日を過ごすことは、この先の人生でもないだろう。
Fin
970:26連書きの人
05/11/30 18:44:39
以上です。
終盤になって大量にスレを使ってしまい、申し訳ありません。
新手の埋めとでも思って大目に見てください。
お騒がせしました&ありがとうございました。
971:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/11/30 18:59:42
乙です。バーボンハウス行きの恐怖にめげず、良く頑張った。おめでとう。
最近は誕生日SSも少なくなってきたし、いいですね。
> 「ああそうそれ…それだけで3000とかあるんでしょ?
>あんなのどれ見たって大差ないじゃない…西欧諸語のがよっぽど機能的よ」
これはアスカさんの勘違い。漢字は文字ではなく語と捉えるのが正しい。
日本語においてはともかく、一字一音で一語なのだから、西洋言語よりよほど機能的ともいう。
逆に言えば、こんな特殊な文字を、唯一の文字として取り入れざるをえなかったところから
日本語の特殊性が発しているとも言うが。
あと、常用漢字は1945ですか。
972:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/03 02:48:46 Rhb3VntX
乙
しかし長いな。しかも長いだけで中身は(ry
973:972
05/12/03 02:49:28
そしてsage忘れる、と orz
974:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/05 11:53:09
乙ッス。
またネタが浮かんだら書いてくれぃ。
975:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/21 23:39:24
保全さげ
976:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/25 00:19:00
マフラーはないだろ
977:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/29 02:26:07
過去に何百もあるよな、このシチュのLAS。
じゃぁ何か目新しいところは...、何書きたかったんだ?
記憶の誕生日LASのツギハギ?
978:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/29 06:15:16
いいじゃん、王道ってことで
979:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/30 18:43:49
あー、まぁイマイチだが。
投下物に過度に期待するほうが間違ってるだろ。
いい作家のHPを見つけてそこにたかれ。
980:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/30 19:30:19
ume
981:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/30 23:28:30
次スレは要るのか?
982:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/31 03:06:55
スレタイ戻すんだよね?13になるの、それとも14?
ちなみに前スレ↓
落ち着いてLAS小説を投下するスレ 12
スレリンク(eva板)
983:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/31 09:50:33
ここも数えることにして14でいいんじゃない?