06/11/26 04:39:06
「だって、そうでしょ。このアタシという美少女と二人っきりになりながら、
こうムラムラってこないの?」
「そんなのあるわけないだろ」
「ほんとう?」
「うそ言ってどうすんのさ?」
とシンジは言ったが、すぐに、
「って、うそかな。そりゃあ、やっぱり僕も男だし」
「ダメよ。アタシには加持さんが」
と、アタシはオーバーなリアクションで言った。
「ときどき思っちゃうだけだよ。でも、アスカは小さい頃からの友達だし、
本気でそんなことは考えたことないから」
「ふーん、そうなんだあ」
「そうだよ」
「じゃあ、今は?」
「思うわけないだろ。だからさ、僕も恥ずかしいいんだから、もう訊かないでよ」
「はい、はい。わかりました」
と、その時、電話のベルが鳴った。
「あ、ママ。……ん、そう。……わかった・じゃあ、待ってる」
アタシが電話の受話器を置くと、
「アスカのお母さんから?」
と、シンジが訊いてきた。
「そう。今日の晩御飯のおかずをどうするって」
「あっ、もうそんな時間か」
と、シンジは外を見た。
すっかり空は闇に包まれ、月は厚い雲に隠れている。
「じゃあ、そろそろ帰るよ」
と言って、シンジはコタツから立ち上がった。
玄関でシンジが靴を履き終えて、
「シンジ。今日は付き合ってくれて、ありがとう」
「僕、何もしていないけど、これでよかったの?」
「いいのよ。これで。なーんかさ、アンタといると落ち着くのよね」
アタシは照れのため、ちょっと顔を横にしながら頬を指でかいた。
784:res698
06/11/26 04:59:14
「僕もアスカといると気が楽なんだ」
「そっか。……じゃあ、シンジ。またね」
「うん、また」
そう言ってシンジは帰っていき、アタシは閉められた玄関のドアを見続けていた。
そっか。シンジはアタシといると落ち着くのか。
今日ずっとアタシはシンジと一緒にいてドキドキしていたのにな。
「バカ」
と、アタシはドアに向かって呟いた。
その時、ドアフォンが鳴った。そして、ドアを開けるとシンジが立っていて、
「一日早いけど、アスカ、誕生日おめでとう」
と言って、アタシに淡いミルク色のロングマフラーを渡した。
「これは?」
「母さんと一緒に編んだんだ。と言っても、ほとんどは母さんで、僕はちょこっとなん
だけどね。あ、材料費は父さんが出したんだ」
「……」
「今年は寒くなるみたいだし、マフラーはいくつ持っててもいいかなって」
うつむいて黙っていたアタシに気づいたのか、不安そうにシンジは、
「気に入らなかったかな?」
「バカ。ユイさんの編んだものが気に入らないわけないでしょ」
「そうだよね。よかった。じゃあ、アスカ、またね」
と言って背を向けたシンジにアタシは、
「ありがとう」
と言った。
シンジはそのままうんと返事して、帰っていった。
そのマフラーをアタシは首に巻くと、急いでドアを開けて出ると、遠くのエレベータに
シンジが乗り込むところが見えて、アタシはもう一度、
「ありがとう」
と小さな声で言ったのだった。
つづく
785:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/26 07:46:24
おつ セツナイブルー
786:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/30 05:42:51
redmoonでヒカリの日記というタイトルに惹かれて読んでみたが日記になっていなかった
日記スレ立ててもキツいのは明らかだしスレタイ的に問題なさそうなんで
此処で日記書いてくれる職人さんキボン
ヒカリが日記書くのって、もろ合うと思うけど・・
787:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/01 00:30:38
>>786
まぁ、日記風の投下があっても問題はないだろうが、仮に書いてくれる職人が居たとして、
カップリングがヒカリ×シンジになることを承知の上での希望なんだろうな?
788:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/01 06:59:26
>>787もちろん。そうじゃなきゃこのスレで書き込まんでしょ。
789:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/01 22:40:44
エヴァ板の日記スレを見ると、日記でなく単なる一人称文がほとんどなんだよなあ
790:res698
06/12/04 22:14:18
それは突然だった。
アタシの誕生日にイタリアン・レストランでママと食事をしている時、
「アスカ、驚かないで聞いてほしいの」
「なに? ママ。まさか再婚するとか?」
と、アタシは軽い感じだった。
「そんなことではないわ。ドイツの研究所に転勤することになったの」
「えっ!」
あまりにも意外なことでアタシは言葉を失ってしまい、
「2ヶ月後に行くことになったわ。アスカはまだ高校があるから無理強いはできない
けど、できればママと一緒に行ってほしいと思っているの」
その夜、アタシはよく眠れず、いろんなことを考えていた。
そのせいで翌朝は重いまぶたを抱えながら学校へ行くはめになり、一緒に登校す
るシンジは相変わらず元気だった。
夜に降っていた雪はすっかり止んでいたけど、辺り一面ゆき化粧となり、きゅっきゅと
5cmくらい積もった雪を踏みしめながら歩く。
シンジは途中途中で小さな雪だるまを作りながら歩いていて、まるで小学生みたいに
はしゃいでいた。
「アンタさ、ホント、ガキよね」
「うるさいなあ。アスカだって、ちょっと前までは雪が積もると大喜びだったろ」
「そんな昔のことは忘れたわよ」
「いや、ほんの2,3年前だけど」
「忘れたのよ」
シンジは手袋についた雪をパンパンと叩いて取ると、
「僕は憶えているよ。アスカと始めて会った時のことも憶えているしね」
と言って笑みを浮かべて、
「アスカがさ、公園のジャングルジムから降りられなくなって、泣いちゃったんだよねえ」
「あー、あー、アタシは知らない。そんなことは何にも無かった」
シンジはくすっと笑って、
「アスカと一緒だと退屈しないですむから楽しいんだよな」
「ばーか、それはアンタの方よ。いっつもギャグみたいなドジをしているくせに」
「うーん、そうかもしれないなあ」
791:res698
06/12/04 22:38:55
シンジはそう言うと、雪玉を一つ作って、遠くへ投げた。
「これからも退屈しそうにないなあ」
と呟いて、シンジは笑った。
たぶん、シンジはこれからもアタシがずっとそばにいると思っているのだろう。
もし、ここでアタシがドイツへ行くかもしれないと言ったら、シンジはどんな顔を
するんだろう。アタシはとても見てみたい欲求にかられたが、その言葉を告げる
時期ではまだ無かった。
教室に入ると、ヒカリがすぐにやってきて、
「アスカ、一日遅れだけど、お誕生日おめでとう」
「ありがとう。ヒカリ」
「これ、よかったら使って」
と言って、ヒカリが渡したものは深い青のイヤリングで、
「お姉ちゃんからもらったんだけど、私には似合わないから」
「でも……」
「アスカにはきっと似合うと思うの。お姉ちゃんもそう言っていたから、ねっ」
アタシはちょっと涙目になっていたと思う。
そんなアタシをヒカリはただ微笑んで見ていた。
それから始業時間のチャイムがなるまでずっとヒカリと雑談していた。
久しぶりに長く話していたような気がする。
やっぱりヒカリはアタシにとって一番の友達で、それはずっと変わらないと思う。
だから、昼休みにお弁当を一緒に食べていた時、
「碇くんに告白したの」
とヒカリが言ったことに対して、アタシは
「ヒカリ、がんばったね」
と、優しく言葉を返した。
アタシたちは少し遅れて昼ご飯を食べていたから、教室の中はもう喧噪にまみ
れて、アタシたちの話している声はかき消されてしまうだろう。それでも、ヒカリは
周りを気にするように小声で、
「アスカ、ごめんね。今まで黙っていて」
「いいわよ。やっぱり、そういうことって相談しづらいしさ」
「でも、ごめん」
本当に謝っているヒカリに対して、アタシは少しばつが悪くなって、
792:res698
06/12/04 23:03:14
「アタシも本当のことを言うと、知っていたんだ」
「……碇くんから?」
と、ヒカリは窺うように訊いた。
「そう。いくら幼なじみとはいえ、そういう大事なことは相談しないでほしいわよねぇ」
「そっか。碇くん、アスカに相談したんだ」
「あ、相談って言っても、全然そんなんじゃないから。それにアイツ、自分で考えるって
言っていたし」
「考える……」
ちょっと落ち込んでしまったようなヒカリの気分を変えようと、
「ねえ、ヒカリ。急にどうして告白しようと思ったの? シンジのどこが好きになったの?」
と訊いた。
ヒカリはちらっと横目で教室の隅にいるシンジを見てから、
「私、たぶんずっと前から碇くんが好きだったんだと思う。でも、ずっと自分の気持ちを
隠していて。鈴原とのことがあったからかな。もう男の子を好きにならないって、決めて
いたような気がする。けれど、もうダメ。碇くんには私だけを見ていてほしい」
「恋って、そういうものじゃない」
「うん、」
ヒカリはアタシからわずかに逸らして、
「本当のことを言うと、私、アスカに嫉妬しているんだ。さっきも碇くんがアスカに相談し
たって聞いて、そう感じた。私にはあまり言ってくれないのに、アスカには何でも言うの
かなって。……本当に、嫌な女よね。もう何にでも嫉妬しちゃって」
「だから、それはそんなじゃないって。ほら、アイツ、友達が少ないから。それで幼なじ
みのアタシに相談する癖がついちゃったのよ」
「わかってる。アスカ」
とヒカリは小さく笑ったが、それは寂しそうな笑みだった。
放課後、ソフトボールの練習が終わってから、アタシは一人で雪道を歩いていた。
今日はママの帰りが遅くなるとメールが来ていて、コンビニでお弁当でも買って帰ろう
かなと思った。これから料理をするのも面倒くさいし。
と、そんな時、車道からアタシを呼ぶ声が聞こえた。
「アスカー、元気ー?」
アタシが声の方を振り向くと、車の窓から手を振っているミサトの姿があった。
793:res698
06/12/04 23:24:22
それからミサトに家まで送ってもらうことになって、アタシは助手席に乗った。
雪道を慎重に運転するミサトに意外さを感じていたアタシに、
「こんなに遅くまで部活?」
「あったりまえじゃない。これでもアタシはソフトボール少女なの。エースで4番。
アタシがいなきゃ始まらないんだから」
「相変わらずね」
とミサトは笑った。
「じゃあ、帰ったらキョウコさんが料理を作って待っているわね」
「ううん。今日は遅くなるって。だから、どこかコンビニに寄って。弁当を買うから」
「コンビニ弁当じゃ栄養のバランスが取れないわよ」
「別に一食くらいいいわよ」
「だーめ。育ち盛りなんだから。でないと、私みたいにボイーンにならないわよ」
ダメだ。この人は。相変わらず下品で脳天気で、でも意外に優しくて。
「じゃあ、ファミレスにでも寄っていきましょ。私がおごっちゃうから」
と言って、ミサトは急ハンドルを切り、雪道に後輪を滑らせながら交差点を曲がった。
そして、ファミレスでアタシはエッグハンバーグを、ミサトはトンカツ定食を食べていた。
ミサトは口いっぱいにトンカツを頬張りながら、
「今日は私もコンビニ弁当にしようと思っていたのよ」
と言った。
「加持君も今日は出張でいないのよね。っと、アスカには禁句だったかしら」
「ばーか、アタシも高校生なのよ。今さら禁句とかバッカじゃない」
「ごみん、ごみん」
と舌を出して謝る。
でも、未だにアタシはそのように思われているのかなとも考えていた。
ミサトは中2の時の担任で、アタシやシンジの親とも古くからの顔見知りだった。
それで、加持さんはアタシの憧れの人だった。
アタシが中学を卒業する時に、加持さんとミサトが結婚したけれど、その時のことは
あまり思い出したくない。結局、まだアタシはガキだったのよね。もう大騒ぎを起こして、
周りに迷惑をかけまくっていたのを思い出すたびに、恥ずかしくなってくる。
「まあ、でも、そんな様子じゃ、アスカにも恋人ができたのかな?」
と、ミサトが茶化すように言った。
「シンちゃんかな~」
794:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/04 23:44:53
「ミサト、馬鹿じゃないの。シンジとそんな風になるわけないでしょ」
「そう? お似合いだと思うわよ」
「絶対にありえない。だって、アタシ、幼稚園の頃、シンジがお漏らししたことま
で憶えているのよ。小学校の時なんて、シンジがよくいじめられていて、アタシ
が助けたことなんて、一度や二度じゃすまないし」
「へ~、よく憶えているわね」
そう言って、ミサトはにへらと笑った。
「幼なじみじゃ、トキメキっていうものがないのよ」
「そんなものかしらねえ」
「そうなの」
「はい、はい。わかりました」
そして、ミサトはまた大口でトンカツを食べ始めた。
それから食事が終わってから、アタシたちは食後のコーヒーを飲んでいた。
アタシはその間、ずっと考えていた。ミサトはこれでもいろんな経験をしているんだし、
いいアドバイスをしてくれるかもしれないと。
「ねえ、ミサト」
「ん?」
と、ミサトはコーヒーカップから口を離した。
「友達の話なんだけど、その友達、親友と同じ人を好きになったらしいの」
「……」
「でね、その親友は彼に告白をしたんだけど、友達は自分も好きと言えずにいるんだって。
ここでそう言ったら親友との仲が壊れそうだし、ずっと親友でいたいと思っているのよ。でも、
その親友と同じくらい、もしかすると親友よりもずっとその彼が好きかもしれないって」
「ふーん、アスカにそんな友達がいるんだ」
「まあ、そうなのよ。それで、そんな時、その友達のママが転勤することになっちゃって、ママ
は残っていてもいいと言っているけど、今は一緒にママと行った方がいいかなっても考えて
いるみたいで。ほら、ここで一緒に行った方がずっと親友でいられるし、その彼も自分を恋人
とかそういう風には見てくれそうにもないから、残っていてもつらいだけなのよ」
と、アタシはいつの間にか自分のことのように話していたのを気づいた。
アタシはおそるおそるミサトを見たが、ミサトにからかうような気配はなく、真剣に考えている
ようだった。
ミサトはしばらく腕組みをしていたが、
795:res698
06/12/05 00:03:05
「そのアスカの友達、自分の気持ちを伝えずに行ったら、後悔しないかしら」
「後悔?」
「そっ。私、大学生の頃、加持君と一回、別れたことがあるのよ。私の方から別れ
話を持ち出したんだけど、本当は捨てられそうな予感がしてね」
「……」
「でも、あとで聞いてみたら、そんなことは全然なくて。ただ、加持君の方も私に
他の男ができたように思っていたみたいで、そんなこと聞けなかったんだってさ。
アイツ、プレイボーイに見えるけど、けっこう可愛いとこがあるのよね」
「……」
「それからまた出会うまで何年も私は加持君のこと引きずっちゃってね。あの時、
こうすればよかったとか、あーすればよかったのかなとか、よく考え込んじゃった
りね。私と加持君はそれから運良くまた出会ったけど、もしかするともうそれっきり
だったかもそれないのよね。案外、人の縁って簡単に切れちゃうものなのよ」
「……」
「だから、アスカ、どういう選択をするとしても、後悔しないようにね」
そうミサトはアタシの目をまっすぐに見ながら言った。そして、
「あっ、そういうふうにその友達へ伝えるといいんじゃないかな」
あはは、と困ったようにミサトは笑った。
アタシもくすっと笑ってから、
「ミサトも案外、先生っぽいこと言うのね」
「案外って何よ? 案外って」
「褒めてあげているのよ」
「担任にそういう言い方はしないの」
「元・担任でしょ」
そして、アタシたちはまた笑い合った。
その後、ミサトと別れて自宅に戻ったアタシは、コタツに入ってテレビを見ながら考え
ていた。アタシはどうすればいいんだろうかと。
「やっぱり、言えないよね」
そうアタシは呟いていた。
つづく
796:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/08 21:57:49 8B9Cm7F2
ここいらで一回あげよう
797:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/23 03:53:53
hosyu
798:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/27 22:58:57
ヒカリシンジか
Galaxy Dream
Galaxy Dream
夢銀河渡ればふたりIt's all right ♪
799:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/28 21:45:46
>>798
オルガニックフォーメーション発射かw
主人公に金髪の幼馴染がいてシンジ君と呼ばれてるのがよい。
800:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/04 18:42:58
保守
801:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/09 22:08:54
中川氏が久し振りに書いてるの誰か突っ込んでやれ
802:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/10 12:26:30
>>801
日記見てるとかなり痛いからスルーしてた。
803:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/10 14:12:17
もうLHS界は終わりなのか
F氏、S氏は更新ないし、N氏はあんなだし
ヽ(`Д´)ノ