05/01/24 05:16:30
「昼休みのこと?」
「うん。このままアスカに隠しているのは卑怯なことだと思うから」
「でも…」
「わたし、かってよね。碇君の返事もまだ聞いていないのに」
「……」
「だけど、どうしたらいいのかわからないの。たぶん、アスカとは友達じゃなくなると思う。
碇君もわたしを嫌いになる。でも、胸が張り裂けそうなくらい苦しいの。黙っていることが」
「委員長……」
ヒカリは泣きそうな眼をしながら、微笑みを作った。
「ねえ、碇くん。一つだけお願いがあるの」
「なに?」
「一度だけ、一度だけでいいから、ヒカリって呼んでくれないかな。いつも委員長でしょ。
最後までそれでは、あんまりだから……」
シンジは俯き、拳を握りしめると、これまでの自分と今の気持ちを思い、心に決断を下した。
顔を上げ、彼はまっすぐな眼でヒカリを見つめる。
「委員…、ヒカリさん。僕も一緒にアスカのところへ行く。そして、アスカに言うよ」
「……なにを?」
「今の自分の気持ちを、」
シンジは言葉を止め、ヒカリは黙って彼を見る。
そして、数拍の後、彼は口を開いた。
「僕は、君が好きだ」
「……いかりくん、」
ヒカリは涙声で彼の名前を呟いた。瞳からも透明なしずくが頬を伝って落ちている。
けれど、彼女は笑みを浮かべていた。
うれしさと哀しさが混ざり合ったその笑みはシンジの心へ深く広く溶け込んでいった。