エヴァで801するスレat EVA
エヴァで801するスレ - 暇つぶし2ch545:469
06/01/09 17:57:49
ホモ賛否両論だなあ。
でもこれもどうしても必要だったのでどうか堪えてつかぁさい。
>544
とりあえずこの話に於いてはそれは当たってないな。
何故なら自分は親父萌えだからw



 「嘘だ!カヲル君がそんな…嘘だっ!!!」
 「事実よ。受け止めなさい」
 冷酷な言葉にシンジの心が弾けるような音がした。
 「どうして…なんでだよカヲル君!」
 あの時心が触れあったと思ったのは。
 互いに通じ合えたと思ったのは。
 全部嘘だったというの?
 僕がエヴァのパイロットだから。カヲル君が使途…だから。
 だから近づいたの?僕に。
 全部そのために。
 あの夜も。
 『好きだ』と言ってくれたあの言葉も…?!

 「裏切ったな!僕の心を裏切ったんだ!…父さんと同じに!!!」
 シンジの心が叫びだす。
 どうして。
 どうしていつも、大切なヒトは自分を裏切るの。
 自分を捨てていくの。
 綾波も、アスカも、…父さんも。カヲル君まで!!!!!
 嫌だ。
 もう捨てられるのは嫌だ。


546:469
06/01/09 18:01:14
 シンジは夢中で初号機とともにターミナルドグマを降り、カヲルを追いかける。
 そしてそこにカヲルの姿を確認すると同時に、シンジの行く手を弐号機が
阻んできた。 カヲルに操られて。
 「邪魔するなっ!!!」
 シンジは躊躇う事無く弐号機を破壊する。
 カヲルは、そこにいた。
 まるでシンジを待っていたかのように。
 初号機の掌がカヲルを掴む。それさえ予期していたかのように、彼はあっさりと
シンジに捕まった。
 「生と死は等価値なんだよ。僕にとっては」
 「カヲル君…君が何を言ってるのか分からないよ…!」
 シンジが欲しかったのはそんな言葉ではなかった。
 確かめたかったのは、そんな事ではなかった。

 裏切ったの?
 好きといってくれた言葉は本当に嘘だったの?!
 どうして一緒にいてくれなかったの。
 どうして離れようとするの。誰もが僕から。
 皆、どうして。
 どうして!
 どうして!!
 どうしてなんだよ!!!!


547:469
06/01/09 18:02:32
 「うわぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
 もう分からない、何も。
 何もかも分からない。自分の気持ちが。
 自分が今何をしているのかも。
 痛い。
 痛いよ。
 誰か助けて。
 誰か僕をここから連れ出して。
 お願いだから。
 みんな…カヲル君…
 …父さん…!!!

 その時シンジの掌に掴まれたカヲルの首が。
 ごとり、と地面に、落ちた----

548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/09 18:52:19
バシャンじゃないのかぁ

乙イ(・∀・)イヨ

549:469
06/01/09 19:52:06
>548 ごめん素で間違えた。



 「死ぬべきだったのは僕の方だ…。カヲル君じゃなくて」
 「いいえ、彼は生きることを放棄した。だから残ったの。シンジ君が」
 溢れてくる、涙。
 それを拭ってくれるヒトはもう、いない。
 「…冷たいんだね、ミサトさんは」
 答えは返ってこない。
 もう、誰も答えてはくれなかった。
 シンジの問いに。
 シンジの、心に。
 もういない。誰も。
 シンジを暖めてくれるモノは、もう誰も残ってはいなかった。

 状況は、悪化する。
 シンジはそれをただ冷めた目で見つめることしか出来なかった。
 もう何もしたくない。
 どうでもいい。なにもかも。
 世界も、エヴァも、…自分の命も。
 カチリ、とシンジの頭に銃口が突きつけられる。
 「悪く思うなよ」

550:469
06/01/09 19:53:13
 殺すの、僕を。
 殺されるの?僕は?
 いいよ。
 もういい。
 殺して。
 今すぐに。
 早く。

 どうせ、もう生きてる意味なんてないのだから。
 今このときも、僕は死んでるのと同じなんだから。
 だから、もう、いいんだ…。

 だが、それすらも阻止されてしまう。ミサトの手によって。
 「歩きなさい!あなたにはまだやるべき事が残されてる!」
 することって、何?
 やらなきゃいけない事ってなんだよ。
 もう僕は何もしたくない。なにも考えたくない。
 誰も、誰も僕のことなんて分かってくれない。
 押し付けるだけ。みんなの都合を。
 大人の、都合を。
 僕の意思なんて関係無しに。いつもいつも、いつも---!!!
 辺りには銃声が鳴り止まない。その中をミサトはシンジをつれて走っていく。
エヴァ格納庫へと続く道を。
 初号機の元へと。

551:469
06/01/09 19:55:17
 エレベーターに彼を押し込めると、ミサトはシンジの唇に己のそれを重ねた。
そしてそのまま、深く絡めとる。
 「大人のキスよ。…帰ったら…続きをしましょうね…」
 その言葉を最後に、扉が閉められる。
 倒れていく彼女のからだは、シンジの目には入ることはなかった。

 シンジはたった今触れられた自分の唇に指を這わせる。
 『大人のキス』
 シンジはもう、それを知っていた。
 それ以上のことも。
 だが女から与えられるそれは、まるで別のもののようにシンジにとって
柔らかいぬくもりを与えていた。
 ベークライトに固められた初号機が動き始める。
 まるで、シンジを待っていたかのように。
 「母さんも、僕に求めるんだね。エヴァに乗ることを…」
 シンジは諦めたような溜息を漏らす。

 『分かったよ。僕に出来ることは、これしかない』

 初号機が彼を連れて行く。戦いの場所へ。
 「アスカは、戦っているの?女の子なのに」
 「僕は男なのに、逃げてばっかりだ」
 「ごめんアスカ。ごめんね。…待ってて。いま僕も行くから」
 「助けるから。絶対」
 だがシンジが目にしたものは、量産型エヴァ達に捕食される、二号機の姿-----

 「あぁぁぁぁっぁっっっっ!!!!!」
 間に合わなかった。
 また、シンジの守りたかったものは、彼の掌からすり抜けていく。
 なにもかも。
 そしてシンジの身体を槍たちが貫き、浮き上がらせる。

552:469
06/01/09 19:56:50
 どうして。
 守りたいものは、どうして。
 守りたい?何を。
 世界を?この世界を?
 自分をこんな目に合わせた大人達の作る、この世界を?
 自分を?
 こんな血に塗れた自分を?

 もう嫌だ。
 嫌いだ。みんな嫌い。
 みんな嫌いだ。
 僕は、僕が、嫌いだ。
 だから。
 『みんな、死んじゃえ----!!!』

 シンジの願いはいつも叶うことがなかった。
 いつだって、シンジの求められるものは与えられることはなかった。
 それなのに。
 『それ』は。
 その、最悪の願いだけが。
 初めて、叶えられた-----

553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/09 21:35:44
ポエム乙

554:469
06/01/09 23:07:30
>553
冷静な突っ込み有難う。
まったくその通りです返す言葉もありません。
そんなポエミーなもの読んでくれたうえレスまで下さる
あなたにも乙。




 補完が、始まる。
 赤い海が人々を溶かしてゆく。
 それぞれの想い人の姿を借りて、ひとつに溶け合ってゆく。
 それは、彼の元にも。
 『レイ』に拒否され『願い』を叶えられなかった、もう一人の男の元にも
それは等しく訪れていた。

 「ユイ…」
 ゲンドウの元に現れる、初号機の姿。
 それは、彼の妻の。
 求めてやまなかった、彼の愛しいヒトの。
 そして誰より大切な、彼の息子の乗った。

555:469
06/01/09 23:10:50
 『怖かったのね』

 ああ、その通りだ。私は『あれ』を何よりも怖れていた。
 ユイの腕の中で微笑むシンジが。
 私に置いて行かれ、泣き喚くシンジが。
 呼び戻したあの時のシンジが。
 再び戻ってきた、あのシンジが。
 ずっと、怖かった。
 いつか訪れる時が。ユイと同じように、自分を見捨てて行ってしまうその日が。
 その時、自分はどうなってしまうのか。

 『だから、消したの』

 そうだ。だから消した。自分の中からその存在を。
 それなのに抱きしめてしまった。
 そして、傷つけた。これ以上ないほどに。
 
 『愛してると、言うのが怖かったのね』

 ああ、そうだ。
 『あれ』がそれを待っているのを知っていたのに、私にはそれを言うだけの
勇気がなかった。覚悟がなかったのだ。
 「すまなかった…シンジ」
 後悔の言葉と共に、ゲンドウの身体は初号機に捕食される。
それが、彼の願いだったから。
 ヒトは分かり合うことなど出来はしない。
 ヒトが、ヒトの身体を持つ限り。
 だからこうするしかない。

 ゲンドウは、ようやく今、ひとつになれた。
 彼の望んでやまなかった、その存在と---

556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/10 00:14:18
ここで終わったのかと思った

557:469
06/01/10 01:12:57
当たらずも遠からず。これで終わりです。


 シンジは何もない空間をただ彷徨っていた。
 以前にも感じたことがある、この感覚。
 身体の先から溶け合っていくこの感じは、初号機に取り込まれたときのあの感じと同じ。
 そして、それ以上に『誰か』と溶け合う感じ。

 『君が世界で、世界は君だ。分かるかい?シンジ君』
 気がつくとレイとカヲルがシンジの前に立っていた。
 「分かるよ。今皆とひとつになっている。…還ってきたみたいだ」
 『全てがひとつに溶け合う世界。これが碇君の望んだ世界なの』
 レイの言葉にシンジの身体が震える。
 この世界を望んだのか?本当に、自分は。
 瞬間、世界が白く染まる。
 シンジが疑問を覚えたその瞬間、彼の意識はふいに何かに飲み込まれた。

 赤ん坊の泣き声が聞こえる。
 遠くに見えるその姿は、まだ若い面差しのゲンドウとユイ。
 「女の子ならレイ、男の子ならシンジだ」
 ユイの腕の中で微笑むシンジに、ゲンドウは戸惑うように呟いた。
 「この子はこんな世界で生きていくのか。…地獄のような、この世界で」
 ゲンドウの戸惑い、不安、恐れ。
 それらがシンジの心にも流れてくる。そして、それらを取り巻くもっと大きな心も。

558:469
06/01/10 01:14:38
 愛しい。

 初めて得た、たった一人の肉親を想うこころ。
 感謝のこころ。生きてくれて、生まれてきてくれて有難うと想う暖かいこころ。
 それら全てがシンジの中に流れ込んできた。
 「父さん……」
 シンジの心が、涙を流している気がした。
 「僕は……」
 温かい心。シンジを包み込む、大きなおおきなこころ。
 それは彼の心の隅々に染み渡ってゆく。
 「僕は、いらない子なんかじゃ、なかった…」

 ありがとう。
 ありがとう、父さん。
 嬉しい。嬉しい。嬉しいよ父さん。

 シンジの心が満たされていく。ずっと欠けていたモノが埋まる感覚。
 それが、補完だった。シンジにとってこれが。
 そして、シンジの心が彼の意識を捉えた。
 彼の父である、ゲンドウの、意識を。

 「…シンジか」
 目の前にはいつの間にかゲンドウがいた。シンジは彼の目を正面からじっと見つめる。
 こんな風に向き合ったことは今までなかった。
 こんなに穏やかな心で、父と向き合ったことは。

559:469
06/01/10 01:16:06
 「人は人の身体をもつ限り、分かり合えたりはしない。お前にも、もう分かっただろう」
 ゲンドウはそう呟く。その言葉にシンジは軽く頷いてみせた。
 「そうだね。こんな事でもなければ、僕は父さんの気持ちを本当に分かることは
 出来なかったと思う。多分、父さんが僕の気持ちが分からなかったのと同じで」
 シンジの言葉にゲンドウはふ、と笑みを漏らせた。
 「ゼーレの補完も悪くはないな。お前と、こんな風に話が出来る」
 初めて見るゲンドウの穏やかな笑みに、シンジもふふ、と楽しそうに笑った。
 「僕もだよ、父さん。僕もずっとこうやって普通に話がしたかった」

 でも。

 シンジはそっと目を伏せた。
 「でもね、父さん」
 ゲンドウはシンジの言葉にじっと耳を澄ませる。
 「人は、本当の意味で分かり合うことは、きっと出来ない。でも」
 シンジの心に溢れる気持ちは、もっと違った形で彼を動かしていた。
 「父さんが僕を褒めてくれたとき、僕は嬉しかった。抱きしめてくれたときも。
 お墓参りに誘ってくれたときも。哀しいときも沢山あったけど、あの時僕は、
 本当に嬉しかったんだ」
 ゲンドウの目がシンジをじっとみつめる。
 「だから…。人は分かり合おうとすることは、出来るのかもしれない。
 …この気持ちが、僕の。…全ての人の中に、ある限り」

560:469
06/01/10 01:17:18
 嬉しい気持ちが。
 知りたいと言う気持ちが。
 欲しいと思う気持ちが。
 愛しいと思う、気持ちが----
 その気持ちがある限り、いつか、きっと。
 それはこんな形では決してないけれど。
 それでも。

 『人の心を取り戻せば、元の形に戻れる。また、他人の恐怖が始まる。
 碇君は、それでもいいの?』

 分からない。
 でも、父と抱き合ったときのあの気持ちも、自分にとっては嘘ではなかったから。
 だから、きっとやり直せる。
 ゲンドウはそっとその目を閉じた。

 『ああ、そうだ』
 『自分にとって彼がいた時間は、決して嘘ではなかった』
 『それは確かに、自分にとって』
 『私はあの時確かに、嬉しかったのだ----』

 世界が全ての色に染まる。黒い月が、壊される。
 それは。
 それは、始まりの瞬間。
 全てのいのちの、再生の瞬間だった。

561:469
06/01/10 01:19:14
 気がつくとシンジは波打ち際に打ち上げられていた。隣にはやはり同じく、アスカの姿。
 シンジはその首に手をかける。
 シンジの掌に脈打つもの。シンジの掌を通じて伝わる呼吸。それは、生きていることの証だった。
 生きている。これが、生きるということ。この身体をもっている事そのものが、ヒトが生きるということ。
 「…気持ち悪い」
 アスカがぼそりとそう呟いた。
 気持ち悪いと感じる身体も、気持ちいいと感じる体も。
 それらは全て、同じ身体。
 その身体をつくるものが。そのこころを形作るものが、ATフィールドと呼ばれたそれなのかもしれない。

 「帰ろう。アスカ」
 シンジはそっと彼女の手をとった。まだ呆然としている彼女は素直にそのまま彼に従い立ち上がる。
 そう、僕達は帰らなくてはいけない。あの街へ。この、大地へ。
 この海に還るのではなく。
 ヒトは生まれたときからこの海に還りたかっている。それでも帰る所はこの大地にしか存在しないのだから。
 だから、帰ってきて。
 「父さん。僕、待ってるから。…ずっと待ってるから…」
 振り返ってその海を見つめる。
 帰ってくる。きっと。
 この体験で得た想いを、長い経験の中で繰り返してきた存在が『大人』なのだとシンジはあの時知った。
 だからきっと帰ってきてくれる。

 そしてシンジは振り返る事無く歩き出した。
 その海に背を、向けて-----

562:469
06/01/10 01:32:13
ようやく終わりました。
読んでくださった方、有難うございます。
あの親子関係がどうにも不服で書き始めたこの話ですが、
拙いばかりで今一歩伝え切れなかったかもしれません。
本編の展開もあえて変えたところ、素で間違えたところなどが混在して
自分でも何がなんだかさっぱりです。
ただ分かったことは、やはり自分は親父スキーだということくらいでした

それではこれで名無しに戻ります。
ありがとうございました。

563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/10 05:15:16
長編マジGJGJ!!!!最後らへんでホロリときた

564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/10 07:37:39
当時シンジと親父の和解をひたすら望んでいた身としては
実に読み応えがあった。GJ

565:せめて、801スレらしく。
06/01/10 18:12:01
あるかもしれない、いつかのどこかの物語。
続きません。


 気がつくと、私は浜辺にいた。
 目の前には息子の姿。
 「父さん、おかえり」
 それだけ言うとしっかりと抱きしめてくる。その頬を涙が濡らしている。
 だがそれが哀しみ故のものではないことは、まだ意識のはっきりしていない私にも容易く
分かる事だった。
 
 それから、目まぐるしい日々が続く。
 赤の海に沈んでいた都市は、人々が日々増えていくのに比例するかのようにその水位を
下げていった。
 今ではそれは以前の状態と変わらないまでになっている。
 ただし、ゼーレの老人達だけは帰っては来なかった。
 あの海の中で彼らは自分達の望む『補完』の日々を、今も待っているのかもしれない。
 彼らの組織と財産は全て押収、解体された。
 私はこの事件の主要人物として投獄される覚悟を決めていたが、不思議とそれはいつまで
待っても来なかった。
 人々の記憶が消えているわけではない証拠に、ネルフは解体。しかしその職員は政府直轄の
復興支援団体として再結成された、そこで働くこととなった。勿論私も例外ではない。
 私の私的財産は押収されたが、代わりに生活にかかる費用は全て補助に寄る事になった。勿論
それは、私という人物を監視するためなのだろう。要は自由な監獄に入れられたようなものだ。
 だが、その生活に不満はなかった。

566:せめて、801スレらしく。
06/01/10 18:15:14
 シンジと私は同居することになった。
 実の親子が共に生活することに何の問題があろうか。政府もそれをあっさりと認め、
私たちは新しい生活を始めることとなった。

 「父さん朝ごはんできたってば。早くしないと遅刻しちゃうよ」
 ベッドルームの扉が勢いよく開けられる。私は疲れきった身体をのろのろと
起き上がらせると髪を掻き回した。
 「そんなに寝起き悪くて、よく今まで一人暮らしできたね」
 シンジの言葉に溜息をつく。
 私が毎朝毎度、疲れきった状態で目覚める羽目に陥っているのはいったい
誰の所為だと思っているのだろう。
 「さっさと起きて顔洗って着替えて!ほら父さん!」
 腕をぐいと掴まれて無理やりベッドから引きずり出される。正直に言おう。痛い。
 だがそんな私をあっさりと無視するとシンジは台所へと再び姿を消した。
程なくしてコーヒーの匂いが辺りにたちこめる。
 着替えを終え席につく私の目の前に、計ったようなタイミングで淹れたてのそれは差し出された。
 私は素直にそれを受け取ると、口に運ぶ。
 あたたかい。
 それは、温かい味がした。
 何ひとつ不満のない生活だ。ゲンドウは不思議な想いでそれを味わう。

567:せめて、801スレらしく。
06/01/10 18:16:33
 正体の見えぬ怖れは、もう彼の中には存在しなかった。あの、赤い海から
帰ってきたときから。
 まったく不安がないといえば嘘になるが、それでもかつての焦燥のような恐怖は、
彼をもう苦しめることはなかった。
 「シンジ」
 「何?父さん」
 食事を終えて学校へ向かう彼の身体をふいに抱き寄せる。
 そして、唇を。
 見る間に彼の頬は、赤く染まっていった。その姿にふ、と知らず笑みがこぼれる。
 やはり私とシンジは普通の世間一般で言う『親子関係』とは大きく違う関係しか築けぬようだ。
少なくとも、今のところは。
 それはシンジにしても同じだったらしく、どうして良いのか分からないからこうしよう、
と提案したのも彼からだった。
 お互いどうも、想いを言葉にして分かり合おうとする行為は苦手なようだ。
こんな所で親子なのだなと実感する。
 しかしかつてのそれと比べれば、自分達の関係は大いに進歩している。
少なくとも、私にとっては。
 そしておそらく、シンジにとってもそれは。
 だから、もう少しだけこのままでいよう。折角やり直す機会が与えられたのだから。
 だから、ゆっくりと進んでゆけばよい。
 いつか訪れる、旅立ちの日まで。

 ゲンドウは『その日』の存在を、思ったほど怖れてはいない自分に気がついて、笑みを、こぼした。

568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/11 01:17:29
イイ(・∀・)イイヨー

569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:34:48
先行きなんも考えずに妄想してみた。
加持×シンジ気味に。


 最初は鞄か何かが当たっているのかと思った。

 学校帰りに新しいアルバムを買おうと湯本まで足を伸ばしたシンジは、夕刻の
通勤ラッシュに巻き込まれてしまいややうんざりとした面持ちで電車に乗り込んだ。
 扉近くの壁際に身体を滑り込ませると、ふうと溜息をつく。
 それはそんな時に起こった。
 『それ』があまりに頻繁に身体に触れるものだから、シンジはやや不愉快そうに
身体を捩ってその向きを変えようとして。
 そこでようやく『何かがおかしい』ことに気付く。
 さわさわと腰を蠢くもの。それは人の、恐らく目の前にいる男の掌だった。
 瞬間、シンジの頭がパニックに陥る。
 自分は男子学生の制服を着ている。確かに年齢にしては小柄で女顔だという
自覚はあるが、少なくとも女には見えないはずだ。
 だが自分に降りかかるこの状況は紛れもなく。
 『痴漢……?なんで?男なのになんで?』
 シンジの異変に気付いたのか、男の掌は彼の腰をしっかりと押さえ、逃げられぬよう固定してくる。
 それから、一方の手がシンジの下腹部へと伸びた。
 びく、と体が震える。
 『嫌だ…!誰か…』

570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:36:30
 辺りを見回すが、夕刻の通勤時間帯で混み合う車内に彼らの異変に気付いている
様子のものはいない。
 大声を出そうか迷うが、互いに男という状況でそれをしても信じてもらえるとは思えなかった。
第一喉は緊張の為か、からからでまともに声も出せそうにない。
 『どうしよう…嫌だ…いや…』
 シンジが迷っている間にも男の手は留まるところを知らない。
 やわやわと握りこみ、ズボンのファスナーを下ろされる。そして下着の上から直に揉み解された。
 『…っん…』
 辛うじて声が上がるのだけは防ぐ。
 そんなシンジの太腿を後ろから男の手が割り広がせると、双丘の付け根に固いものが押し付けられた。
 彼の秘部を突付き上げるそれが男の膨張したそれということは、布越しからでもはっきりと分かる。
 シンジが嫌悪感に身体を震わせた、その時。
 「桃源台、桃源台~」
 電車がホームに滑り込む。
 『助かった』
 あわてて人並みに紛れ電車からシンジは駆け下りた。
 それから乱れてしまった下半身に気付き鞄でそれを隠しながら人の流れるまま改札へと向かう。
 どうしようかと迷うシンジの目に飛び込んできたのは駅のトイレの看板。そこで乱れてしまった服を
直そうと彼は人ごみをはずれ、そこに向かった。
 『もう、ひどい目にあったなあ』
 シンジが安堵の溜息をつき個室の扉に手をかけた瞬間、ぐいとその肩を掴まれた。
 「こんなところで一人で慰めるつもりかな?」
 「………っ!」
 その指の感触は、電車の中で触れられたそれと同じ。
 叫びだそうとするシンジの口が、その掌で覆われた。

571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:38:05
 「…っ!んむ…っ!」
 そのまま個室に連れ込まれそうになる。シンジはそれだけは避けようと必死で身体を捩り、
男の手から逃れようともがいた。
 『こんなとこ連れ込まれたら…!』
 その先は電車で行われたあの身の毛のよだつ様な行為。いや、それ以上のことをされて
しまうのはいくらなんでもシンジにも予想できた。
 だから必死で食い下がる。だが所詮シンジの体躯で大人の男の力に叶うはずもない。
個室の中に突き飛ばされ、鍵が閉められようとしたその時。
 「な…なんだお前?!」
 男の戸惑ったような声が聞こえた。
 振り返ったシンジの目に映ったのは、よく知る男の姿。
 「加持さん…?」
 「ようシンジ君。こいつは君の知り合いか?」
 今までシンジに無体を仕掛けていた男の襟首を掴みながら、加持がこの場所には不釣合いな
までの笑みを浮かべ、シンジに聞いてくる。
 ふるふると首を振るシンジの姿に頷くと、加持は男の鳩尾に一発喰らわせる。
 それからシンジの手をとり立ち上がらせた。
 「何か駅の改札で見知った顔があるなと思って来て見たら。…随分ドラマチックな体験してるじゃないか」
 「な…なんですかドラマチックって!僕だって好きであんな目に…!」
 安堵の為かシンジの目から涙が零れ落ちる。
 加持はそれを見やるとやれやれといった顔をしてシンジの頭をぽんぽんと撫でてやった。
 「いや済まん。辛い目に、あったな」
 「…いえ、加持さん助けてくれたのに。僕の方こそごめんなさい…」
 それだけ言うとシンジは加持の胸に顔を埋め、しゃくりあげた。
 突然襲ってきた恐怖と、それから逃れられた安堵と、全ての感情がシンジの中で混ざり合い涙の粒となって溢れ出る。
 加持はただそれを頭を撫でてやることで、宥めるしかなかった。

572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:42:24
ごめんここまで。

573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:46:31
ところでこういう状況でなく本当に単に加持がシンジを見かけて
ついていっていた場合だと、やはり加持はシンジが出てくるのを
用を足しながら待ってて、出てきた瞬間
「よう、奇遇だなシンジ君」ってな事になるわけか。
嫌な出会いだな。

574:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/13 02:13:19
ちょとマテなんでココで終わりなんだ、そういうプレイか?焦らすなw

575:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/13 02:20:57
良スレ

576:569
06/01/13 19:02:05
なんとか続き思いついたので投下。


 とりあえず駅のベンチに泣きじゃくるシンジを座らせる。
 それから何とかひとごこちついたらしい彼にミルクティーを勧めながら、加持は時計に
目を走らせるとまずい、という顔をした。
 「そろそろ帰らなきゃ葛城にどやされるな。…シンジ君、送るよ」
 その言葉にシンジの体がびくり、と震えた。
 「………?どうした?」
 その反応に加持は訝しげにシンジの顔を覗き込む。慌ててシンジはぷるぷると首を振って
なんでもないです、とだけ答え自ら率先してホームへと向かうよう歩き出した。
 明らかに様子が変なのだが、あまり問いただすのも何だしと加持も彼について歩き出す。
それが一変したのは電車がホームに滑り込んできた瞬間だった。
 近づいてくる電車の姿にシンジの顔色がみるみる青ざめていく。
 「……っ!!!」
 そしてそれがホームに停車した瞬間、シンジはその場にしゃがみ込んでしまった。
青ざめた額には脂汗が滲んでいる。慌てた加持が見たのは口元を押さえ、必死に吐き気を
こらえているシンジの姿だった。
 「おい大丈夫か?!シンジ君?!」
 「だ…大丈夫…で…っぅ…!」
 ぶるぶると震える体を抱きとめると、加持は背中をさすってやる。
 やがて電車が発車しホームに人がまばらになる頃、シンジはようやくはあはあと息を整えると
加持にすみません、とだけ謝った。
 「謝る必要はないが…その様子じゃ電車は止した方が無難だな」
 加持は溜息をつくとシンジを再び駅のベンチへと誘った。
 『…無理もない。あんな事があった直後に、同じ電車に乗れと言う方が酷だったな』
 加持はさっきシンジから聞いたばかりの、電車の中で先程の男に痴漢行為にあったのだという話を思い出す。
 おそらく、ショックによるPTSD。電車の中だけならまだしも、後までつけられて男に襲われたという
恐怖が、シンジの心に深い傷をもたらしたのであろう事は容易に推測できた。
 そこまで気が回らなかった自分が情けない。加持は再び深く溜息をついた。

577:569
06/01/13 19:04:26
 「タクシーでも呼ぶとするか」
 そう言うと携帯電話を取り出そうとした加持の手を、シンジが掴む。それからはっと
気付いたように慌ててそれを引っ込めた。
 「ひょっとして…帰りたくないか?」
 加持の言葉にこくんとシンジが頷いた。
 今のシンジの精神状態では、家に戻ってもミサトやアスカに気を使う余裕はない。
かといって自分の部屋に引きこもって一人でいるのも今の彼には怖くて仕方がなかった。
 それをどう伝えてよいのかわからず、まごつくシンジの頭を、加持はぽんぽんと
撫でてやる。それから携帯電話を取り出すとミサトの元へと電話をかけた。
 「おう、葛城か。シンジ君は預かった。返して欲しくばキス一回で手を打つぞ。
 なに?いや本当だって。今日は俺んところに泊めるから心配するな。なあに
 男同士の親交でもたまには深めないとと思ってな」
 電話の向こうでミサトがキーキー言っているのを宥めながら加持はシンジにウインクした。
その表情にようやくシンジはほっと安堵したように微笑み返す。
 「僕の身代金、キス一回ですか?何か安くないですか?」
 「俺にとっては最上級に高いんだがなあ。その後のビンタがまた痛んだぞこれが」
 そんな軽口も出てきたシンジの姿に加持も安堵の溜息をつく。
 「さて、と。じゃあ今日の宿探さないとな」
 そう言ってシンジの手をとり加持は鼻歌交じりに歩き出す。正直、そのざっけない態度が
今のシンジにはとても有難かった。
 あまりいい印象を抱いていなかった彼だが、シンジはその認識を改めることにすると、
慌てて加持の後を追いかけた。

578:569
06/01/13 19:07:01
 「あの…ここ高いんじゃないですか?」
 シンジが恐る恐る声をかける。加持が連れてきたそこは仙石原に昔からある
高級リゾートホテルだった。
 「なあに、家までタクシー飛ばすよりは安いさ」
 事も無げにそう言うと加持はさくさくとチェックインの手続きを済ませ、
戸惑うシンジを先導する。
 流石手馴れてる…と余計な感心をしてしまう。実際ネルフでの彼の行動は大体
女を口説いてるか、ミサトと漫才のような掛け合いをしているかのどちらかだったので、
そういう意味では予想通りというか何と言うか。シンジは何となく可笑しくなって笑みをこぼした。
 「よしよし、元気出てきたな。ここは飯もなかなかでな、芦ノ湖の鱒料理はちょっとしたもんだ。
 後で食いにいこう」
 「…その絵に描いたような『女と以前来ました』な発言、何とかなりませんか?」
 シンジの鋭い突っ込みに加持はまいったな、といった面持ちでぽりぽりと頭を掻くしぐさをする。
 シンジは改めて『いい人だな』と安堵の笑みを浮かべた。彼が来てくれなかったら自分は今頃
どうなっていたのか予想も出来ない。その上こんなに迷惑をかけても、それを感じさせず
自分を労ってくれている彼の優しさが身に染みる。
 シンジの表情に、加持は『気にするな』と言うかのようにぽんぽんと頭を撫でる。

 指先から伝わる労りの言葉に、シンジは泣きたくなるような嬉しさを感じて微笑みを、返した。

579:569
06/01/13 22:00:53
なんとか違和感なく雪崩れ込ませることが出来ました。
やれやれ。一時はどうなることかと思いましたが何とかなりそう。でも落としどころに
かなり困ってます。こういう書き方は初めてなのでかなり戸惑い気味。


 レストランで食事を済ませた加持とシンジが部屋に戻る。
 部屋の中をぐるりと一瞥すると、シンジはおずおずと口を開いた。
 「あの…入ったときから思ってたんですけど。何でこの部屋ベッドが一つしかないんですか?」
 シンジの問いにもっともだと頷くと加持はバツの悪そうに頭を掻く素振りをする。
 「急なことでダブルの部屋しか空いてなくてな。でも心配するな」
 そう言うと加持はソファーをごそごそと弄り始める。マットの下を引き伸ばして形を整えると、
そこにはもう一つベッドが現れた。
 「こういう所はエキストラベッドが用意してあるからな。俺はこっちで寝るからシンジ君はベッドを使うといい」
 そういって微笑む。シンジは慌ててそれを遮った。
 「いや、駄目ですよ!僕がそっちに寝ますから加持さんがベッド使ってください!」
 「子供が遠慮なんかするモンじゃない。今日は疲れただろ?ここは露天風呂も最高なんだが
 もう夜遅いし、今日のところはシャワーだけにして早めに休んだ方がいい」
 あからさまな子ども扱いに一瞬腹が立つが、今日の自分の状況を考

えるととてもそれを否定することは出来ない。有無を言わさぬ彼の態度にシンジはそれ以上の説得は
諦め、軽く頷くとバスルームへと向かった。

580:569
06/01/13 22:04:06
 シンジはシャワーブースに入るとコックをひねり湯を身体にかけた。ヘッドから出る湯は
リゾート地らしくそれも温泉のようで、硫黄の匂いが少しだけシンジの鼻を擽った。
 シャンプーをしようと目を閉じてそれに手を伸ばした瞬間、シンジの目の前が白く光る。

 男に口をふさがれ乱暴に身体を弄られる感触。
 男の荒い息遣い。
 どうにもならない無力感。
 逃げ場所のない、恐怖-----

 「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 それらが一瞬のうちに蘇り、シンジは思わず叫びだした。
 息が、苦しい。
 夢中ではあはあと空気を吸うが、その度に余計苦しくなる気がしてシンジは堪らず床に身体を伏せる。
 自分を打つシャワーの湯と息苦しさが自分を更に追い詰める。シンジは夢中で頭を振った。

 苦しい。誰か。

 ぼうっとした頭でシンジが扉に目を向けた瞬間、そこに加持の姿が飛び込んできた。
 「大丈夫かシンジ君!」
 バスローブに彼の身体を包むと、加持はシンジのただ事ならざる様子に気がついた。
 急いでその辺にあるビニール袋を掴むとシンジの口元に押し当て背中を撫でてやる。
 「…落ち着いて。もう大丈夫だ。…ゆっくり、息を吐いて」
 青ざめて震えるシンジを出来るだけ労るように加持はそう声をかける。やや落ち着いた様子に
ほっと胸を撫で下ろすと彼はもう一度シンジの背中をゆっくりと撫さすった。
 「ゆっくり息を吸って、吐いて。そうだ」
 しばらくそうしているうちに、ようやくシンジはぜいぜいと息を整えた。
その姿に安堵し、加持が彼の肩に手を回した、そのとき。

581:569
06/01/13 22:13:26
 「………っ!!!」
 びくりとシンジの体が震える。見るとその目が恐怖に見開かれていた。
 「…嫌だ…っ!誰か…やだあ…っ!」
 突然暴れだしたシンジに驚くと加持は暴れる身体を取り押さえようと手を伸ばし、何かに
気付いたように彼の目を見つめる。

 『フラッシュバック…!』

 シンジの目に自分の姿は映っていない。
 恐らく、彼の目の前にいるのは先程自分を襲った暴漢の姿なのだろう。必死で加持の
手から逃れようともがいていた。
 「助けて…誰か…っ!」
 「シンジ君落ち着け!俺だ!加持だ!」
 必死でその身体を抱きしめ声をかける。その声にびくりと身体を震わせシンジは加持を見上げた。
 「…ぁ…加持さん…僕…僕……っ!」
 ぽろぽろと涙が零れる。予想以上のシンジの心の傷に、加持はどうしたものかと溜息をつき
彼の身体を再びぎゅっと抱きしめた。
 「…ぁ……!」
 その途端シンジは頬を染め加持の身体を勢いよく引き剥がす。
 そのまま、俯く。加持はあっけにとられたように彼の身体を見つめ、合点が言ったように
ああ、と声を漏らした。

582:569
06/01/13 22:15:56
 その声にシンジの体がびくんと震える。
 彼の体の中心で身をもたげるそれは、触れてもいないのに既に熱く震えていた。
 「僕…こんな…嫌なのに…どうして…!」
 ぽろぽろと涙をこぼす。加持はその姿にもう一度彼の身体を抱き寄せると、今度は逃げ出せないよう
更にきつく抱きしめた。
 「…大丈夫だ。何も変なことじゃない。男なら当然だ」
 「でも、こんな…あんな事されて…っ!」
 ぶるぶると震える。加持はその頭を撫でてやると優しく囁いた。
 「状況とか気持ちとかは関係ない。…きみは歓んだ訳じゃない。そういう哀しい体なんだ。
 男って生き物は、な」
 「…でも…でも…っ」
 「君は悪くない。なにも悪くないんだ。感じることも、悪いことじゃない」
 加持はそう言うと、シンジのそれにそっと手を伸ばした。
 びく、と震える。それを見て加持は出来るだけ優しく微笑んだ。
 「怖いか…?これは、怖いものじゃない。俺を信じてくれ、シンジ君」

 それだけ呟くと優しく撫でさする。シンジは目をつぶり静かにそれに従うとこくり、と頷いた。
  

583:569
06/01/14 06:42:43
一週間風邪っぴきで咳がひどいためまったく横になれません。横になると呼吸困難で死にます多分。
のでずっとパソコン弄っては意識を失い、咳で目覚めパソコン弄り…の繰り返しです。夜が長い。
寝不足で頭モーローとしてきました。異常な投下ペースです。誰かこの咳止めてマジで。
薬効きやしねえ。


 ゆるゆると体の力を抜いていく。
 加持の指が身体に触れる度、シンジは怖れる様に身体を震わせるが、すぐにその緊張を解いて
彼の為すがままにさせた。
 『大丈夫。…怖くない…これは、安心な手…』
 自分に言い聞かせるようにシンジは心の中でそう繰り返すと固く目を閉じる。
 シンジのそれがやんわりと握りこまれる。やさしく、羽が触れるようなそれから徐々に強さを増してゆく。
 「…ん…っ」
 シンジは堪らず声を漏らし、それから慌てたように口を押さえた。それを加持はやんわりと押しとどめる。
 「大丈夫だ。恥ずかしいことじゃない」
 「で…でも…ぁ…っ…」
 反論は加持の手の動きにかき消される。両手で包み込まれ、揉み解しながら扱かれる。その感覚に
シンジはびくりと身体を反らせた。
 ひくひくと痙攣する。加持はシンジの限界が近いことを知ると更にその掌の勢いを増していった。
 「あ…加持さん…駄目…!」
 目尻に涙を浮かべシンジが見上げてくる。加持はそれに構わずそのまま彼を追い詰めた。
 「ゃだ…っもう…!」
 「…構わない。そのまま任せて」
 加持の声にシンジはびくびくと身体を震わせると、一際甲高い声で呻き声を上げた。


584:569
06/01/14 06:45:44
 「…っん…くぅ…んぁ…!」
 その声と同時にシンジは達していた。白い飛沫が加持の掌に弾け飛ぶ。シンジはそれを見た途端
真っ赤に頬を染め俯いた。
 「ご…ごめんなさい…」
 「謝ることはない。俺がそうさせたんだからな」
 にこやかに微笑うと加持は掌に飛んだそれを舐めた。その光景にシンジは目を見開いてそれを押しとどめる。
 「駄目…加持さん汚いです…そんな…!」
 「汚くないさ。シンジ君のなんだから」
 事も無げにそう言う加持に、シンジは尚も恥ずかしそうに俯き。
 「……ぁ…」
 瞬間『それ』に視線を奪われる。
 「ん、どうした?…って、これか。参ったな」
 シンジの視線の先には、加持の起立した自身。照れくさそうに笑う加持を他所に、シンジは恐る恐る
それに手を伸ばした。
 「…僕のこと襲ったあの人も、こうなってました。男の体触ってて、気持ちいいものなんですか?
 僕にはよく分からない」
 「…まあ、少なくともシンジ君が相手なら不快ではないな。ただ、こういうのはそういうものとは別だと俺は思う」
 別のもの?シンジは不思議そうに加持の目を見つめる。
 「征服欲というか、な。自分の手の中でいい気持ちになってる相手を見ているだけで興奮するのも、
 男の自然な欲求だ」
 びくんと震えるシンジに加持は穏やかに微笑みかける。
 「ただそいつを望まぬ相手に押し付けるのは、男のやることじゃない。だからまあ、シンジ君が無理して
 それに応える必要も、ない」
 そう言うと加持はシンジの手を己のそれから外させる。それからゆっくりとその身体を抱きしめた。
 「シンジ君。人に触れることや、触れられることは怖いことじゃない。気持ちがいい、嬉しいことなんだ。
 心が通いあった証拠のようなものだからな。それだけ覚えておいてくれ」

585:569
06/01/14 06:48:54
 「加持さん…」
 シンジはゆるゆるとその腕を背中にまわした。
 「僕…嫌じゃないです。加持さんとこうしてるの。…だから」
 そう言うと己の身体を加持のそれに押し付ける仕草をした。
 「平気です。…加持さんが、嫌でなければ」
 シンジの言葉に加持の理性がぐらつきそうになる。それを必死で押し殺すとシンジの目を見つめた。
 「シンジ君。君は、男だ。こんな事覚える必要はないんだ」
 それだけ呟くとシンジの身体を引き離そうとする。だが、シンジはそれに逆らうように腕に力を込めた。
 それからふるふると首を振り、意を決したように加持の耳元で囁きかける。
 「もう遅いです。…だって、あの時無理やり押し付けられた感触はもう消せない。だから…加持さんなら、
 それも別の思い出にしてくれると思うから…」

 シンジのか細い呟きに、加持の中に残っていた最後の理性が音を立てて崩れる、気がした。

586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/14 10:43:23
つ、続きキター(*´Д`)ハァハァ

587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/14 14:17:52
シンジ受けはいいねえ

588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/15 03:43:19
たまらん(;´Д`)ハァハァ

589:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/15 20:25:35
おまえらー!!
ティッシュの用意しとけー!!!

590:569
06/01/16 01:01:01
なんとか薬が効いてきてありえんほど寝てました。



 抱きしめて、キスをする。深く、激しく。衝動の赴くまま加持はシンジを貪った。
 「…ん…ふぅ…っ…!」
 シンジは息苦しさに顔を背けようと身を捩る。だがそれを許さず加持は更に舌を深く絡ませ、
思うまま彼を蹂躙した。
 歯列をなぞり、吸い上げ、ちろちろと擽るように舌先で口内を掻き回す。
 シンジは突然訪れたその行為に、頭の端から蕩けていくような感覚を覚えぐったりと加持に
その身体を預けた。
 ゆっくりと、唇が離される。
 「これから先は、先刻みたいな優しい俺じゃない。君を奪おうとする一人の男だ。
 …いいのか?本当に」
 加持の振り絞るような呟きにシンジは戸惑いがちに、こくりと頷いた。
 それが合図のように、身体を床に押し付けられる。そして再び唇を奪われると、加持の唇は
そのままシンジの首筋へと移動した。
 「……っ」
 吸い上げられシンジはぴくりと身体を震わせる。首筋から鎖骨へ、それから胸の突起に辿り着くと
ちろり、と舐めあげられた。
 舌先で突付きあげられ、シンジは思わず甘い声を漏らす。その声音に加持は唇の端を少し持ち上げ、
彼の耳元で囁いた。
 「もっと声を聞かせてくれ。…気持ちいい時の、君の声を」
 シンジの頬が真っ赤に染まる。顔を背けようとするそれを阻むかのように、加持はその顎に手を掛け
上向かせると再び舌の動きを再開した。

591:569
06/01/16 01:04:58
 「…あ…っ」
 甘い、吐息のような上擦ったシンジの声。
 加持はまるで上質の音楽を聞くかのようにそれに耳を澄ませる。耳を擽る吐息と聞き慣れぬ彼の甲高く短い喘ぎ。
 それら全てが加持をもっと強い欲求へと導いていった。
 胸から脇腹へ。そして彼のもたらす刺激に再び勃ちあがりかけているそれへと、加持の唇が移動する。
 「…ひゃ…っ!」
 シンジが反応するより早く、加持の唇はシンジのそれを捕らえていた。そしてそのまま口に含まれる。
 「や…加持さん…駄目…っ!」
 シンジの抗議に耳も貸さず、加持はそのままシンジのそれを舌で舐め上げる。わざとぴちゃぴちゃと音が立つように
舌と唇で扱きあげるとシンジの体がひくひくと震え、反り返った。
 「やぁぁ…っ!」
 啼くような甘い声に加持は唇を離し、シンジに微笑みかけた。涙ぐむシンジの手を己のそれに導き触れさせると、
そのまま彼の口元へそれを押しあて呟く。
 「シンジ君…」
 加持の掠れたその声に導かれるように、シンジがそれを口に含む。
 おずおずと舌が触れ、舐めてくる感覚に加持はくう、と溜息を漏らした。
 ぞわぞわと背筋を駆け上る快楽に加持の体が震える。シンジの戸惑いがちな愛撫は却って彼を凶暴な情欲へと
駆り立てていた。
 加持は彼に己のものを含ませたまま、身体を捩りシンジの下半身へ顔を埋める。足を割り広がせると、
びくりとシンジの体が震えるのが分かった。だがそれに構わず最奥へ唇を近づける。
 「…んむっ…ふぅ…ん…!」
 入り口を丹念に唇で解きほぐし、舌を割り入れる。ねっとりとしたその感触に、シンジは異物の入る違和感と
背中を駆け上る快感を同時に覚え、くぐもった喘ぎ声をあげる。
 その声に後押しされるかのように加持は根元までそれを捩じ込むと、押し広げるように激しく舌を蠢かせた。
 「んふ…んん…っ!」
 柔らかく広げられかき回される感触に、シンジのそれは熱く震えている。加持はそれを横目で見やりながら更に
深く彼を追い詰めていく。

592:569
06/01/16 01:07:53
 「…っんん…んっっ…!」
 腰を動かしその口内を愉しみながら、彼の内部を舌で突付き上げる。両方からの激しい責苦にシンジは
既に限界寸前まで昇りつめていた。
 それを承知で加持は一番敏感であろう部分を乱暴に舐めあげてみせる。
 「んっ!ん…ふぅ…んんん…っ!!」
 びくん、と背を反らしシンジのそれが再び性を吐き出した。加持は満足そうにそれを指に取り片頬を歪ませる。
 「シンジ君、舐められて気持ちいいのか?これからもっと君は気持ち良くなる。…狂いそうな程に。覚悟はいいな」
 その言葉にシンジはびくりと身体を震わせた。射るような加持の瞳は獲物を追い詰めた時の獣のそれと同じに、
暗い欲望に塗れている。
 逃げ出したくなるような気持ちを抑え、シンジは加持のそれを口に含んだまま頷く。
 望んだのは自分なのだから、今更逃げ出せないことなど彼には百も承知だった。
 それが自分を傷つけるものでも、後悔はしないと心に深く誓う。
 「いい子だ。…シンジ君、いくぞ」
 そう言うとシンジの口から加持のものが引き抜かれる。それから大きく足を広げられ、今まで舌を入れられていた
そこにシンジの液で濡れた指が捩じ込まれた。
 「ひぁっ!…あっ…あぁ…!」
 いきなり広げられ、目尻から涙が零れる。がくがくと震える体を加持の腕がしっかりと支え、そのまま揺さぶられた。
 「んぁっ!くぅ…あああっっ!!」
 段々と指が増やされる。シンジの心が追いつくよりも先にそれは限界まで広げられ、じっくりと濡らされ解されていた。
 ちゅくちゅくと淫靡な音が部屋に響き渡る。
 「シンジ君…!」
 溜息のような呟きと共に指が引き抜かれ、ほっとシンジが身体の力を抜いた瞬間、指よりももっと熱く強大なモノが
シンジを貫いた。
 「あぁぁぁぁっ!!!」
 そのままがくがくと揺さぶられる。全身を貫くかのようなその感覚に、知らずシンジの瞳からは涙が溢れていた。
 だが、追及の手は緩まない。突き上げられ指よりも激しく、深く内部をかき回される。充分に解されていたためか
痛みはそれほどには感じなかったが、それでも異物感と広げられる戸惑いはおいそれと慣れられるものではなかった。

593:569
06/01/16 01:09:16
 「ふぁ…ぁ…」
 視界が歪む。身体の全てが加持の行為に支配される感覚に、シンジは怖れるように首を振ることで耐えるしかない。

 『君を奪う』

 その言葉の意味がようやく理解できる。

 奪われる。なにもかも。
 シンジの身体も、感情も、心も。全てが今の彼にとっては加持の思うが侭になってしまっていた。

 「あぁ…っ…加持さん…もう…許して…っ!」
 口をついて出る哀願の言葉。自分がおかしくなってしまいそうなほどの、快感。

 そう、快感だった。
 加持に染められる自分。貫かれ、支配される自分。
 情欲に乱れ、全ての思考を誰かに委ねる快感。

 そんな自分をまざまざと見せ付けられている気がして、シンジは首を振り加持の責めをただ耐え続ける。
 「シンジ君…いくぞ…っ!」
 なにかに焦るような呟きと共に、シンジの中のそれが一際熱く、固く膨れ上がり、その瞬間。
 「あぁ…んあぁぁっあん…っ!」
 シンジの叫ぶような喘ぎと共に、加持のそれはシンジの中に熱い迸りを放っていた。

594:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/16 03:15:54
キテター!!!!!!
ハァハァハァハァハァハァハァ

595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/16 17:16:34
くぁwせdfrtgyふじこl;p@:「」

萌えもえもえもえもえもえも絵もえもえーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ついにやちゃったーーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwww

596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/16 19:05:07
加持シンに目覚めそうです

597:569
06/01/17 16:40:16
なんとか終わりです。ついでに風邪もだいぶ良くなりました。
シンジ受けは風邪に良く効くらしいです。お試しあれ。


 熱い。
 シンジは迸るその感覚に、虚ろな目のまま体を捩り、腰をくねらせた。最後の一滴も逃さず
吸い尽くすかのような締め付けに加持の表情が軽く歪む。
 「シンジ君…最高だ…」
 その言葉に恥らうように首を振る。しかしその動きは決して止まる事はなかった。それは加持の
固さが失われるまで締め上げ、蠢き続けている。
 「や…そんな…ぁぁ…っ!」
 そして甘い叫びと共に、シンジも三度目の絶頂を迎えた。
 はあはあと部屋に二人の甘い吐息が響き渡る。しっかりと抱きしめ合い互いの呼吸が一つになる頃、
加持の身体がむくりと起き上がる。
 それから湿らせたタオルを持ってくるとまだぼうっとしているシンジの身体を清め始めた。
 体中に飛んだ飛沫を拭うと、腿の間に手を伸ばす。その途端シンジの体がびくりと震え、
恥ずかしそうに身を捩った。
 「あ…僕、自分でしますから…」
 「今更恥ずかしがってもしょうがないだろ?いいから任せて」
 そう言うと強引に足を広がせると指で丹念に拭いてゆく。入り口に触れるたびシンジはぴくぴくと身体を震わせた。
 その反応に悪戯心が芽生え、わざと耳元で囁いてみせる。
 「また感じてるのか?シンジ君はいやらしいな」
 「……!…加持さんのバカ…!」
 短く抗議すると、シンジは真っ赤に頬を染めぷいと拗ねた様に加持に背中を向けてしまう。
 「怒ったのか?そういう表情もいいもんだな」
 後ろから抱きすくめ、耳元を舐めるように舌で突付いてみせるとシンジの唇から軽い吐息のような声が漏れる。
 その表情に加持は満足げに微笑むと、ふと気付いたように声を上げた。

598:569
06/01/17 16:41:52
 「おっと、あんまり可愛い声出さないでくれよ。…まあもう遅いか」
 「え?」
 何のことかとシンジが振り向いた先には、加持の再び起立した自身。思わず呆れ顔を作る
シンジに加持はにや、と笑ってみせた。
 「君があんまり可愛いからいけないんだ。責任、取ってくれるよな?」
 その言葉にシンジの頬が染まる。
 「む…無理ですよ!僕もう…!」
 加持は慌てて首を振るシンジの頬に手を当てると、唇に指を押し当てた。
 「こっちなら、平気だろ…?」
 「…やっぱり加持さんは意地悪な人だったんですね」
 何を今更、と微笑んでみせるとシンジは諦めたように溜息をついた。それからゆっくり立ち上がると
ベッドの方に向かう。
 状況が分からずはて、という顔を作る加持の姿にシンジは振り返って不機嫌そうな顔で手招きをした。
 「…床のままじゃ、身体痛くなっちゃいますから。ダブルだったら二人で寝れるでしょ。
 もう、早くしてください!」
 頬を染めながらふくれっ面をするその姿に思わず噴きだす。それからしまったと言う顔つきで
すまんすまんと謝りながら加持もベッドの方に近づいた。そしてそのまま、シンジを抱きしめる。
 ベッドに寝そべり促すと、シンジはこくりと頷いて加持のそれを恐る恐る口に含んだ。
 震える唇と、舌。それらでゆっくりと舐めあげられ、時折吸い付いてくる。添えられた右手でやんわりと
扱きながら筋に沿って舌を絡ませてくる仕草に加持は少々驚いてシンジを見つめた。
 「……ごめんなさい。よくないですか…?」
 加持のその反応に、唾液で濡れた唇から舌を覗かしながらシンジが見上げてくる。
 「いや、逆だ。上手いよシンジ君。一度でこんなに上達するなんて、これも才能かな?」
 「いりませんよそんな才能」
 あっさりと否定するとシンジはそのまま作業に戻った。
 袋を揉み解し扱きながら、先端を口に含んで舌で刺激する。ぺちょぺちょと音を立てながら眉根を寄せて
加持に奉仕しながら、シンジは無意識のうちに腰をくねらせていた。

599:569
06/01/17 16:45:30
 「…うん…っ…ん…」
 声が上がる。ひくひくと蠢く身体に、加持は意地悪に微笑みシンジの耳元で出来るだけ
ねっとりとした声で囁いた。
 「シンジ君…しゃぶって感じてるのか…?」
 びく、とシンジの体が震えた。その反応に確信を得たように加持はシンジの奥に指を埋める。
 「…ひゃ…っ!」
 「ご褒美だ。…嬉しいだろ…?」
 「やだ…もう駄目だって…ぁ…っ!」
 言葉とは裏腹にシンジの中は加持の指に吸い付くように締め上げてくる。限界のない身体に、
加持の背筋を駆け上るような興奮が湧きあがる。
 「シンジ君、いいよ…もう出そうだ…」
 シンジはその言葉にこくりと頷くと、更に激しく舌を動かし加持を追い詰めた。
 「く…っ!」
 低いうめき声を上げ、シンジの口内に勢い良く性が迸る。それを眉根を寄せて飲み下すと、
シンジは溜息をつきながら加持のそれからようやく口を離した。
 飲み損ねた白い液体がシンジの口の端から流れ落ちる。目を潤ませ濡れた唇をしながら
見上げる彼の姿に、加持はぞくぞくとした達成感を感じていた。
 征服した歓びが沸き起こる。幼い彼の身体を蹂躙した罪悪感よりも深いそれに、加持は少しだけ
心が痛んだ。それを埋めるかのようにシンジの身体を抱き寄せるとそのままキスをする。
 深く、労わるように。出来るだけ優しく。しかし激しく。
 うっとりと自分に身体を預けるようにシンジは加持の背中に手を回し、とろけそうな目で唇を離し呟いた。
 「僕…加持さんが、初めての人で良かったです…」
 それだけ囁くと眠るようにシンジは目を閉じた。力の失った身体をベッドに横たわらせると、
すぐにすやすやと寝息が聞こえてくる。

600:569
06/01/17 16:46:44
 「…まいったな…」

 加持は少し頬を赤らめながらそう呟き、ぽりぽりと頭を掻いた。
 どうやらこれは、単なる火遊びで済みそうもない予感がする。
 加持はなんとなくそう感じながらシンジの隣に寝そべると、彼の身体を抱きしめた。
 「まさかここまでとは…。一体どこをどうしたらあの親父からこんな可愛いのが
 できるんだか不思議だよ、俺は」
 ついでにどうやったら、こんな可愛い相手にあそこまで邪険に出来るのか、秘訣でも聞きたい
気がして加持は複雑な笑みを浮かべる。
 それから欠伸を一つすると、目を閉じ枕に顔を埋めた。
 今夜はいい夢が見れそうだ。
 久しぶりのその感覚に苦笑いしながら、加持もゆっくりと眠りに落ちて行く。

 伝わってくるぬくもりが、とても嬉しい。

 それを感じていたのは一体どちらなのか分からぬまま、夜は静かに更けていった。

601:569
06/01/17 16:48:50
 加持が目を覚ますと、部屋には誰もいなかった。まさか昨夜の出来事は夢だったのかと一瞬
混乱するが、テーブルの上に書き置きを見つけほっと胸を撫で下ろす。しかしその内容を見て
再び加持の身体に衝撃が走った。

 【お風呂行ってきます。    シンジ】

 たったそれだけの走り書きだったが、加持は昨夜露天風呂のことを伝えた自分に軽く後悔する。
 温泉地の宿泊客は総じて酔っ払いが多い。ここはホテルだからそれほどひどい客は居ないだろうが、
それでも万が一ということもある。それが昨夜シンジを風呂に行かせなかった理由のひとつでもあった。
 朝自分と一緒に行けばいいだろうと油断した自分が恨めしい。
 過保護かなとも思うが、昨日のシンジの脅え方を見たら誰でもそうせざるを得ないだろう。
 ともあれ加持は慌てて部屋を飛び出すとシンジの後を追いかけた。

 その頃シンジは風呂の脱衣所で入浴の準備をしていた。と、その肩を叩く者がいる。加持が来たのかなと
振り向くと、そこには昨夜の酒がまだ残っているのだろう、赤い顔をした男がにやにやと笑っていた。
 「おじょーちゃん、女湯はあっちだぜ?それともおじさんと一緒に入るか?ん?」
 酒臭い息に眉を顰めると、シンジは男に向き直る。
 「僕は男です!…それから、気安く触らないで下さい」
 そう言うと男の手を払いのけた。その態度に男の顔色が変わる。
 「んだと?!可愛い顔してるから優しくしてやりゃ付け上がりやがって。男だってんなら
 証拠見せてもらおうか?」
 凄む様にそう言うと、男はシンジの身体を抱きすくめると浴衣の上から身体を弄る。

602:569
06/01/17 16:52:28
 「…や…っ止めて下さい…!」
 びくんと震えるシンジに、にやにやと男は顔を近づけ股間を弄った。
 「…ぁ…っ嫌…っ!」
 「へえ、ほんとに男だな。そのわりにゃ可愛い声出しやがって…」
 はあはあと男の息遣いが荒くなってくる。シンジはびくりと身体を震わせると男の腕から逃れようともがいた。
 「離してください!…やだ…っ!」
 「色っぽい反応だな…どれ、おじさんが可愛がってやるよ」
 舐め回すような目つきでそう言うと、男の手がシンジの胸を弄り、股間を激しく撫で回す。
 その感触にシンジの全身が総毛だった。昨夜とはまったく意味の違う、まさしく嫌悪感で。
 シンジはきっ、と男を睨むと怯んだように緩む腕の中から急いで逃げ出し男に向き直る。
 昨日の痴漢男と目の前の男の姿がシンクロする。シンジは叫びだしたくなるような恐怖を覚えながらも、
あえてその場に踏みとどまった。
 『逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。…ここで逃げたら昨日と同じだ…!』
 昨日の加持に見せた失態。シンジはあんな風に彼を困らせるのは、もう嫌だった。だから必死で男を睨みつける。

 そして。

 言い争いの声を聞きつけ、焦ったように脱衣所に飛び込んできた加持がそこで見たものは、股間を
押さえて蹲る男の姿と、乱れた浴衣を直しながらそれを見下ろすシンジの姿だった。
 どうやらぶち切れたシンジに思いっきり蹴り上げられたらしい。加持は少しだけ男に同情すると、
シンジに声をかける。
 「お見事。いや、たいしたもんだ。俺が焦って追いかけてくることもなかったな」
 その言葉に振り向くとシンジの目が途端に潤む。
 「加持さん…!」
 ぽろぽろと涙を流す。どうやら一気に緊張が緩んだらしい彼の様子に背中をぽんぽんと撫でて
やりながら落ち着かせる。
 それからどうせなら、と露天風呂にシンジを連れて行く。湯に浸かってだいぶ落ち着いたらしく、シンジも
気持ちよさそうに身体を伸ばした。

603:569
06/01/17 16:53:50
 「僕…怖かったです」
 ひと心地ついてシンジは俯きながらそう呟いた。加持は黙ってそれに耳を傾ける。
 「でも、いつも僕のそばに加持さんに居て貰うわけにはいかないから…だから頑張って逃げませんでした」
 シンジの言葉に加持はにこりと微笑んだ。やはり目の前の幼い彼は、それでも男なのだなと
嬉しくもあり、少々残念な気もする。
 「よくやったな、シンジ君」
 複雑な心境で呟いた加持の言葉に、シンジは嬉しそうににっこりと笑う。その笑顔を見ると、
やはりこれで良かったのだと思えてきた。
 「いい眺めだろう。遠くに駒ケ岳、眼下に広がる湿原。…そうだ、姥子にある宿もいいんだぞ。
 芦ノ湖が一望できる巨大露天風呂があってな、なかなか爽快だ」
 話題をすり替えようとにこやかにそう言う加持に、シンジは楽しそうにふふ、と微笑んだ。
 「へえ、今度連れて行ってくださいね」
 シンジの言葉に加持は少しどきりとする。
 「…それは、またお相手願えるって事かな?」
 「それはお断りします。もう御免ですよ、加持さんしつこいし」
 唇を尖らせる彼の姿に、加持は思わず噴出した。
 しばらくそのまま二人で笑い転げる。

 嬉しそうに笑うシンジの横顔に朝日が反射する。湯の中で火照ったその表情は思わず見とれて
しまうぐらい綺麗で、加持はなんとなく苦笑いした。
 若さってのは、強さだな。
 そう思ってしまう自分に歳を感じるのは、少々加持にとって不本意だったが、それでも彼の笑顔を
見ているとそれもどうでもいい事のように思えてくるから不思議だ。
 加持は辺りに誰もいないことを確かめると、彼の身体を抱き寄せそっと、キスをした。
 湯煙の中睦みあう二人を祝福するかのように、朝日がそっと二人を照らす。

  沸き起こる愛しさに、加持は再びシンジに気づかれぬ様、苦笑いをした-----

604:569
06/01/17 16:57:13
 「シンジ君、本当にいいのか?遠慮ならいらないから、やっぱりタクシー呼ぶか?」
 なんとなくおろおろした様子の加持に、シンジはにっこり微笑みかける。
 それもその筈、二人が立っていたのは昨日シンジが襲われたあの駅のホームだった。
 その後のシンジの様子を思い起こせば、加持のその心配も無理のない事といえる。多少
吹っ切れたとはいえ、実際たった一晩であの心の傷が癒えるとは加持には思えなかった。
 「大丈夫です。これから先も一人で電車に乗れなかったら、それこそ僕困っちゃいますから」
 しかし、と呟く加持の手をシンジはそっと握った。
 「…ほんとは怖いです。でも、きっと大丈夫です。…加持さんが、居てくれるから」
 その手がふるふると震えていた。加持はそれに気付くと応えるようにその手をしっかりと握り返す。
 「…そうだな。大丈夫だシンジ君。俺がついてる」
 「…はい」
 微笑みあう二人の目の前に、昨日と同じ電車が近づいてくる。
 シンジは少しだけ溜息をつくと、きりと前を向き歩を進めた。

 『大丈夫』
 『加持さんと居れば、怖くなんかない』
 『強くなるんだ、僕は。…加持さんみたいに』

 そして、二人の目の前に扉が、開いた--- 

605:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/17 17:18:20
なんかもう、内容の割りに長い話ですいませんでした。
そして無駄にヒゲ親父の話題を出さずに居られない自分に乾杯。
そして次は何書こうかなあとまったく懲りてない様子です。
くっだらねえ話がいいな。すげえくっだらねえの。短めで。
トウジ×シンジって上の方にあったけど、ヒゲ親父の話の番外編みたいのしか
思い浮かばないや。どうもノーマルな気がして。トウジって。
また何か思いついたら投下します。読んでくださって有難うございます。

606:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/17 17:54:46
頼む!!トウシン書いてくれ!!!
誰でもいいから!!!!頼むーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!111

607:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/17 18:39:48
加持シン、GJ

トウシンスレ、前あったのに落ちたんだよなぁ。
あの続きが読みたいものだ


608:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/17 20:07:37
神マジGJGJ!!!完全に加持シンに目覚めた。
ハァハァした御礼にバファリン つ○
手が空いてたら是非トウシンも書いてくれw

609:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/17 22:46:57
トウシンは加持シンのようにエロくなく
友情以上恋愛未満くらいが好み

610:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/18 00:20:12
「なんやセンセ、ええ匂いがする…」
「ちょっ!やめてよトウジ!どこに顔近づけてるのさっ!」
「ええやんけ、ちょっとぐらい。ああ、ほんまええ匂い…なんや食べてしまいたいわ」
「やだ、ちょっ舐めないで…っ!」
「ええなあ、センセ可愛いわぁ」
「……やだって言ってるじゃないか!もう!いいかんげんにしてよ!」
すぱこーん!!!!
「いっつぅー!センセきっついわぁ…」
「知らない!トウジのバカ!」

横っ面を張られた衝撃を毛づくろいで誤魔化すロシアンブルー♂と
それを威嚇しながら逃げる雑種キジトラ♀
ウチの猫二匹が繰り広げる小劇場(実話)をトウシン目線でお送りしました。

親父話番外編トウシンは、没にしたネタをリライトして後日投下します。
気長にお待ちくださいませ。
つか他の人の話も読みたいぞー。投下キボンヌ。

611:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/18 16:03:21
>>610
GJ!!よくやった!!ほら、これでも飲んでくれ つ旦


とりあえずエロエロトウシン読みたい。



612:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/18 21:11:57
リライトしてみました。途中だけど。バファリンとお茶ありが㌧。
リク貰ったときゲンドウ×シンジの話に入れようとしたけど、どうもこれ入れると
話の主軸がぶれるし、広がりすぎてここに書き込めないくらいの長さになりそうだったから
没にしてました。これ入れるとヒゲに嫉妬とかさせなきゃイカンかったし、
それやるとまたややこしくなるからね。
なので日の目が見れてある意味良かったです。


 「なあセンセ、頼む!一生のお願いや!」
 「それ何回目の『一生のお願い』だっけ?…もう、しょうがないなあ。たまには自分でやりなよ」
 毎朝の恒例行事のようなやり取りを経て、トウジはシンジから宿題のノートを受け取ると
いそいそと書き写す。やれやれという顔をしてシンジはそれを見つめると、ふと気付いたように
教室を見回した。
 「あれ?ケンスケは?」
 「んー?あいつならまたどっかに軍艦が来たから撮りに行ってくる言うてたで。 まったく
 飽きんやっちゃなー」
 こりこりと筆を走らせながらも律儀にトウジが答える。その言葉にふうん、と返事をすると
シンジは時計に目を走らせ慌ててトウジに声をかけた。
 「あ、あと5分!写すなら早くしてよ?授業始まったらノート持って行くからね?!」
 「嘘ぉん!もうそんな時間なんか?!そんな、殺生やで~」
 ばりばりと筆のスピードを上げるトウジに、シンジは少し呆れ顔で

微笑むとはやくしてよ、と急かすように声をかけ自分の席へと戻った。

 「今朝は助かったわ~センセ、ホンマおおきに。…なんや?昼飯教室で食わへんのか?」
 何とか宿題を提出できたトウジが弁当をもって教室を出ようとするシンジににこやかに
声をかけてきた。
 「うん。今日は天気がいいから屋上に行こうと思って」
 「そっか、そりゃええな。…よっしゃ、ワシも付き合うたる。ちょお待っとってや」
 そう言うとパンの入った袋を抱えてトウジも慌てて後をついて来た。それから二人で
屋上へと向かう。

613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/18 21:14:58
 「センセの弁当、美味そうやな~」
 パンをかじりながらトウジは感心したようにそう呟いた。その言葉にシンジは照れくさそうに
微笑んでみせる。
 「…そうかな。自分で作ってるから良く分からないけど…」
 「おう。ワシはそういうちまちましたモンは、よう作られんからなぁ。尊敬するでホンマ」
 素直な褒め言葉にシンジは嬉しそうに笑った。それから卵焼きを箸で掴むとトウジの目の前に
すっと差し出してみせる。
 「自分で作ってると美味しいかどうか良く分からないんだ。…味見、してみてくれるかな…?」
 「ええんか?ごっそさん!」
 にか、と笑うとそのままトウジは目の前のそれをパクリと口に入れ、にっこり微笑んだ。
 「うんまい!センセ料理上手やなー。ええ嫁さんなれるで!」
 「…なんでお嫁さんなんだよ…」
 憮然とした声を上げながらも、ちょっとだけ嬉しそうに微笑むシンジにトウジはちょっと真面目に声をかける。
 「や、ほんま美味いって。でもセンセ、誰ぞ飯食わせたいヤツでもおるんか?」
 「え?な…何で?!」
 突然の言葉にシンジの顔が真っ赤に染まる。どこからどう見ても図星のようだ。
 「はあ…分っかりやすいなあセンセは。何や?好きなヤツでも出来たんか?つうか料理で気を
 引こうて、乙女の発想やでそれ」
 トウジの台詞にシンジは益々真っ赤になる。それから慌てて首を振った。
 「ち…違うよ!最近父さんの部屋に行ってご飯作ってるから…。父さん何も言ってくれないし、
 僕の料理美味しくないのかなって…!」
 意外な言葉にトウジの目が丸くなる。

614:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/18 21:16:40
 「なんや、親父さんと最近上手くいってんのかいな?」
 「…うん、帰れそうなときは電話かかってくるんだ。その時だけご飯作りに行ってる」
 照れくさそうに、しかし嬉しそうにそう言うシンジにトウジも微笑み返し、彼の背中をばんばんと叩いた。
 「良かったなあ!親子やもんな、やっぱ仲良え方がええよな!」
 「…うん、ありがとうトウジ」
 微笑んで礼を言うシンジの髪を、風がさわさわと揺らす。それにふと気付いたように、シンジはフェンスの
向こうに目をやりながらぽそりと呟いた。

 「…いい風。気持ちいい」
 目を細めて風を感じるその表情に、トウジの胸が一瞬どきりと弾む。
 『センセ、何や雰囲気変わったか…?』
 「どしたの?トウジ、顔赤いよ?」
 シンジの声にはっと我に返るとトウジはなんでもないといった素振りでぶんぶんと腕を横に振る。
 「な…何でもないて!さ、そろそろ昼休み終わるで。帰ろうや」
 そう言って慌てて立ち上がる。その声にシンジも急いで弁当箱をまとめるとトウジの後を追いかけた。
 『なんやこれ…センセがごっつ色っぽく見えた…ワシどっかおかしいんかな…?』
 ふ、と横目でシンジを見る。細い首筋が妙に目に眩しく思えて、トウジの動悸がますます早くなった。
 『や、気のせいやて。男が色っぽいて、そんな訳ないやろ』
 トウジはその考えを頭から追い出そうとふるふると首を振った。

 それが、初めてトウジが彼を意識した瞬間だった。

615:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/18 23:47:23
トウシンキター!!!(*´Д`)ハァハァ
神GJ!!やっぱり同い年同士だとほのぼのするなw

616:612
06/01/19 00:19:42
ゴメン一気にほのぼのじゃなくなった。


 夢を、見た。
 目の前でシンジが見知らぬ男と嬉しそうに話をしている。その顔は影になっているので良く分からないが、
彼の様子からそれが彼の父親であるということは何となく推測がついた。
 と、その身体を男が好きに弄び始める。
 「あ、父さん…駄目…」
 恥ずかしそうに身を捩る。だが決して抵抗はしないシンジを、目の前の男はゆっくりと愛撫していった。
 いつの間にか裸にされていたシンジは、その腕の中で頬を染め男の為すがままになっている。
 「父さん、恥ずかしいよ…あぁ……っ」
 腿を広げられあられもない格好でうっとりとするその表情に、動悸が激しくなってくる。
 『センセ、あかんて!親子やろ?!なんでそんな…!』
 思わず叫び出す。だがその声は目の前に居るはずの彼には届かない。
 シンジの身体が目の前で男のそれに犯されている。潤んだ目でそれを受け入れ気持ちよさそうに
腰を使う彼の姿に、だんだん妙な気分をになってくる。
 痛いような、もっとその表情を眺めていたいような。初めて感じる奇妙なその感覚に、慌てて頭を振って
それを振り払った。
 「あ…いい…っ父さん…もっとぉ…」
 それを嘲る様に目の前の彼は男に貫かれ、歓喜の表情を彼に見せつけた。胸の痛みが更に強くなる。
 『あかん…あかんあかん!センセ、そんなヤツでそんな顔したらアカン……!』
 彼がそう叫んだ途端、目の前が白く光った、気がした。

 「夢……か。つか、なんちゅー夢見とんのやワシ…」
 溜息をついてむくりと身体を起こした。妙な罪悪感で彼の胸がきりきりと痛む。と、何かに気付いたように
トウジは再びはあ、と大きく溜息をついた。
 「最悪や…何しとんねん…!」

 自らの性で汚れてしまった下着を見つめながら、トウジは情けなさそうに頭を抱えた。

617:612
06/01/19 00:21:35
 「なによ、辛気臭い顔してうっとおしいったら!」
 机に突っ伏して今朝の失態を反省するトウジにアスカがヒカリを伴ってそう声をかけてくる。
それにうんざりしたように溜息をつくとふと気付いたように彼はアスカに尋ねるように口を開いた。
 「なあ、センセ親父さんと最近上手くいってるてホンマか?」
 「ああ、碇指令の事?そうね。最近ちょくちょく会ってるみたい。一体何の風の吹き回しかしらね、
 あーんなに邪険にしてたのに」
 アスカの言葉に少しだけずきりと胸が痛んだ。そんなトウジに構わずアスカはそのまま言葉を続ける。
 「そういえばこの間雨の降ってる日に、アイツが急に指令の部屋に行ってからね。風邪引いたとか
 いって指令の部屋に泊ったのよ。指令から直接電話があったみたいで、珍しいこともあるモンだって
 ミサトのやつが驚いてたもの」
 「そっか、センセもよかったなあ」
 何となく気持ちの篭らない声でそう呟く。
 「アイツ張切っちゃってうっとーしいったらないわ。まあ元々ファザコン気味だからしょうがないけど、
 あれ以来夕食当番ブッチして帰ってこないのよ時々。も、あったまくるったら!」
 思い出したようにきい、と叫びだすアスカの言葉にトウジの胸が再びきりり、と痛む音がする。
 『泊ってるて…いや親子やん、何も変なことないがな…』
 トウジは必死で次々と浮かんでくる今朝の夢の内容を、頭から振り払うようにぷるぷると首を振り
再び机に突っ伏した。
 「あれえ、珍しい。トウジ今日は宿題してきたんだ?」
 そんなトウジにきょんとした顔でシンジがにこやかに声をかけてくる。可愛いなあ、と一瞬見とれた後、
その声にはっと気付いたようにトウジは慌てて顔を上げた。
 『可愛いて、何考えとんねん!…じゃのおて!』
 ぱち、と拝むようにシンジに慌てたように向き直る。
 「あかん忘れとった!センセ、頼む助けて!」
 「無理無理、もう授業始まるもん。諦めたら?」
 くすくすと笑いながら席に戻るシンジの後姿に、泣きそうな声をあげる。
 「そんなぁ~センセのいけずぅう~!」
 振り返ってにこ、と笑うシンジの表情にトウジはずきんずきんと痛む胸を押さえ、必死で笑い返した。

618:612
06/01/19 00:24:06
 教師の小言を聞き流しながら、トウジは横目でシンジの姿をふ、と見やる。苦笑いしながら
こっちを見つめる姿にどきりと彼の心臓が弾んだような音をたてた。
 『今まで気付かんかったけど、客観的に見てもやっぱべっぴんやなあ…。綾波といい惣流といい、
 エヴァのパイロットちゅうのは顔で選んでるのかいな』
 心ここにあらず、なトウジの姿に教師の小言がますます激しくなる。トウジはそれに気付きもせず、
ただ呆然とシンジの姿を見つめていた。

 教師の小言が終わっても、トウジはシンジから目が離すことが出来なかった。教師の話に耳を
傾けながら、時々ふと思い出したように窓の外を見つめている。
 その横顔が、なんだかとても哀しそうな目をしている気がして、トウジの心に軽い痛みが走った。
 『なんでやねん。センセ今、親父さんと仲良ぉ出来て嬉しいんと違うんか?
 それなのに何で、そんな顔しとるねん…。』
 見れば見るほどにシンジの事が異常に気にかかってしまう自分に、少しげんなりするとトウジは
軽く溜息を、ついた。

 「災難だったね。ま、これに懲りてちゃんと明日から自分で宿題したら?僕だって
 そうそう助けてらんないよ」
 結局宿題三倍の刑を申し付けられたトウジに同情したような声でシンジが声をかけてくる。
それにああ、と気のない返事をするとトウジは再び机に顔を突っ伏した。
 「駄目駄目、今日はずっとこんな調子。寝不足なのかね?」
 ケンスケが手を振って代わりにシンジに答えた。と、教室にあるスピーカーから校長室に
トウジを呼ぶ声が聞こえてくる。
 「鈴原ぁ、あんた何か悪さしたの?」
 「んな訳あるかい。全然心当たりないわ。…何やろ」
 ヒカリに返事しながらトウジは頭をひねりながら教室を後にした。シンジはなんとなくその後姿に
妙な不安を感じて、じっとそれを見つめる。

 『どうしたんだろ…何か、変な感じ…』

 不安を振り払うかのように頭を振ると、シンジはケンスケとの話題に戻り、わざとらしいくらいの
はしゃいだ声を、あげた。

619:612
06/01/19 01:14:30
 昼休みが終わってもトウジは教室に戻ってこなかった。何となく彼の様子が気になって
ぼおっとしているシンジに教師が声をかける。
 「碇、眠そうだな。目覚ましに資料室に行って世界地図のA-5Ⅲ持って来てくれ」
 しまったな、という顔をしてシンジは、はいと返事をして教室を後にした。
 『トウジ…どうしたんだろ…』
 ふう、と溜息を一つつくとシンジは資料室の扉を開ける。持って来いといわれたそれは
棚の随分上の方にあり、シンジはそれを取ろうと爪先立ちをして必死に手を伸ばし。
 「うわっ!」
 取り損ねたそれが突然シンジの頭に降ってくる。尻餅をついてしまった彼がズボンを叩いていると、
奥のほうから物音に気付いたように誰かがのそりと現れた。
 「なんやセンセか。相変わらずとっぽいなあ」
 「…トウジ、ここに居たんだ。授業始まってるよ」
 突然現れた姿に驚きながらも、シンジはそう言って彼に近づく。トウジはそれに気のない素振りで
ああ、とだけ呟いた。
 「なんや、やる気せんでな。ここでサボっとったわ」
 それだけ言うと溜息をつくトウジの姿に、シンジは何だかいつもの彼とは違う雰囲気を感じ、
おずおずと声をかけた。
 「あの、さ。…何かあったの?」
 シンジの言葉にいいや、とだけ首を振る。彼のそんな様子にシンジは少し哀しそうに目を伏せた。
 「言いたくなかったらいいけど、僕に出来ることがあるなら何でも言って。何の役にも
 立たないかもしれないけど…」
 シンジの言葉にトウジは少しだけ微笑むと、ふうとまた一つ溜息をついた。それから、ゆっくりと口を開く。

620:612
06/01/19 01:17:52
 「なあ、センセはエヴァに乗るの、怖くないんか…?」
 「え?」
 いきなり思ってもみなかった質問を投げかけられて、シンジは軽く目を見開いた。
 「初めに会うた時、言うてたやろ。『好きで乗ってる訳じゃない』って。何でセンセはあの時
 逃げんかったんや?別に悪いことでもないのに」
 トウジの呟きにシンジは少しだけ目を伏せる。それからぽそりと呟いた。
 「怖いよ。…今でも、すごく怖い」
 「なら何で乗れるんや?正義感か?ワシにはよう出来ん。…センセは強いなあ」
 トウジの言葉にシンジは少しだけ身体を震わせると、どこか遠くを見るような目で口を開いた。
 「僕は強くなんかない。正義感なんかであんなのに乗れる訳ないよ。…僕は多分、
 たった一人の人の為だけに、エヴァに乗ってる…」
 「…親父さん、か?」
 びくりとシンジの体が震えた。それから少しだけ、頷く。
 「エヴァに乗ってるとね、…父さんが褒めてくれるんだ。その言葉が欲しいから、怖くても頑張れる。
 他の人が聞いたら多分怒られちゃうけど」
 シンジの夢見るような声音に、トウジは再びずきりと胸が痛む気がした。思わず自嘲気味に呟く。
 「…親父さんが羨ましいわ。センセに、そんなに想って貰えて」
 その言葉にシンジは驚いたようにトウジの顔を見つめる。それから恥ずかしそうに頬を染めると、
ゆっくりと口を開いた。
 「僕はトウジのことも、すごく大事に思ってる。…初めてなんだよ、こんな事話せる友達が出来たのは」
 シンジのその言葉に、トウジは思わず彼の身体を抱きしめた。少し驚いたような顔で自分を見上げて
くるシンジの姿に、トウジは頭のどこかが弾けるような感覚を覚える。

621:612
06/01/19 01:21:35
 「…………っ!」
 腕の中で、シンジが目を丸くしている。気がつくとトウジは、何かに吸い寄せられたように彼の唇を
己のそれで塞いでいた。
 ふるふるとトウジの身体が震えている。シンジはそれに気付くと彼の背に腕を回し、そのまま
舌を入れ彼に絡ませた。
 「…ん…ふぅ…ん…っ」
 突然与えられた感触に、夢中でトウジはそれを貪っていた。シンジはそれを抵抗する事無く
受け入れると、少しくぐもった甘い吐息を漏らす。
 その声に我に返ったようにトウジが、がばとその唇を慌てて離した。それから真っ赤になって目を伏せる。
 「堪忍な…ワシ、どうかしとる。センセにこんな…」
 と、その時扉の外からヒカリの声が聞こえた。
 「碇君いるの?先生が遅いって怒ってるわよ?」
 同時にがらりと扉が開かれる。気付くと二人は反射的に物陰に隠れていた。
 「あら?いない。…これ、教材よね。持って行かなきゃ」
 そう言うとヒカリはシンジが落としたままの地図を両手で抱えると資料室の扉を閉めた。
遠ざかってゆく足音にどちらともなくほう、と安堵の溜息をつく。それから近づきすぎた距離に、慌てて
ぱっと身体を離した。
 「気持ち悪かったやろ…?悪かったな。虫がいいかも知れんが、忘れてくれや…」
 目を伏せてそう呟くトウジにシンジはふるふると首を振る。
 「気持ち悪くなんかない。平気だよ、僕は」
 そう言って見上げてくるシンジの姿に、トウジははたと気付いた。背中にまわされた腕の感触。
差し入れられた舌の動き。それらは今日初めて体験したにしては、あまりにも巧みすぎた。
 『初めてやないんか…?それにあの声。女相手であんな声出しよる男はおらん。まさか、ホンマに?!』
 トウジはかっと頭に血が上るのを感じた。恐らくそれは、嫉妬。
 「まさか親父さんと、いつもこんな事しよるんか…?」
 震える声で口に出して初めて後悔する。幾らなんでもとんでもない言葉だったとトウジが
否定しようと彼を見つめた瞬間、目に飛び込んできたのは真っ赤に頬を染め狼狽するシンジの姿だった。
 「…な…何で…?いつから…!」
 その言葉にがつんと衝撃が走る。どんな言葉よりもその反応が、今の言葉が事実だと彼に知らしめていた。

622:612
06/01/19 01:23:47
 「ホンマにそうなんか?!何でや?親子やろ?!アカンてそんなん。そんなんしたらアカン!」
 思わず叫びだしていた。その剣幕にシンジは少し哀しそうな顔をして静かに目を伏せる。
 「…分かってる。僕も、こんなの間違ってると思う。でも、どうしていいのか分からない。
 だって初めてなんだ…父さんが僕を見てくれたのは。抱きしめて、くれたのは…!」
 泣き出しそうな声にトウジの心がちくりと痛んだ。
 「何でや…なんでそうなるんや。センセは親父さんに、子供として見て欲しいんやろ?なら何で
 嫌やって言わへんのや」
 「言えないよ…もしそれで父さんが僕のこと、また見てくれなくなったら、そっちの方が僕は
 嫌だから…。それに、全く嫌なわけでもない。…父さんが僕で満足してくれてるの、見るの嬉しいから」
 恥ずかしそうにそう呟くシンジの姿に、トウジは自分の中で何かが壊れる気がした。
 「嫌や…センセがそんなん、ワシは嫌や!」
 そう叫ぶとシンジの身体を力任せに押し倒した。突然の行為に腕の中でシンジの身体が暴れだす。
 「トウジ、止めて…!駄目だよ僕は…!」
 「親父さんのモノやからか?!…だから駄目なんか。嫌や!ワシは…ワシかてセンセの事…!!!」
 口に出して初めて気がつく。ずっと彼の中で引っかかっていた感情は。それは多分。
 『ワシ…好きなんか…?センセの事…』
 トウジの振り絞るような告白に、シンジの身体が震える。驚いたような目をして見上げる彼の唇を、
トウジは再び乱暴に奪った。
 「…!んっ!んんん…っ!」
 首を振って逃れようとするシンジを押さえつけながら、乱暴に口内を弄る。シンジの指がふるふると
震えながら、トウジの肩に痛いくらいに食い込んだ。

623:612
06/01/19 01:26:55
 そのまま、下腹部に指を伸ばす。夢で見たときと同じようにシンジはその瞬間ひくひくと震え、恥らう
ように身体を捩った。
 唇を離し、そのまま首筋へと吸い付く。その瞬間シンジの口から甘い吐息が漏れ、その身体の力が
少し抜けた。
 胸に掌を這わせ、腰を引き寄せ己の身体でシンジ自身を刺激する。たったそれだけの行為で
シンジは既に熱く勃ちあがり、甘い喘ぎ声を漏らしていた。
 『センセ、慣れてる…全部、親父さんが覚えさせたんか…!』
 トウジは深い憤りを感じ、乱暴にそれをシンジへとぶつけた。引き剥がすようにワイシャツを脱がせると、
シャツの下から手を入れる。胸の突起はそれを待っていたかのように硬く立ち上がり、震えていた。
そのままシャツを押し上げると、唇でむしゃぶりつく。
 「嫌だ…っ!トウジ、止めて…お願いだから…!」
 目尻に涙をためながらシンジが呟く。その姿に少し罪悪感を覚えたが、それでも激情は止まらない。
そのまま指と唇で刺激し続けると、シンジは甘い息を漏らして背を反り返らせた。
 「あ…っあぁ…!トウジ…駄目ぇぇ…」
 拒絶の言葉さえ、誘うような艶を帯びている。トウジが堪らずシンジのズボンに手を伸ばした、その時。
 「あ………っ!」
 シンジのポケットから携帯の着信音が鳴り響いた。その音にはっと我に返ったようにシンジは身体を震わせると、
トウジの身体を両手で引き剥がし腕の中からすり抜ける。
 トウジの邪魔をしたそれは1コールだけ鳴ると、直ぐに留守電に切り替わる。こすこすと伝言が吹き込まれるような
音がして、それは直ぐにぷつりと切れた。

624:612
06/01/19 01:28:11
 『親父さんからか…?』
 トウジがそれを聞き出す暇もなく、シンジは既に出口の近くまで逃げ出していた。それから
ふと立ち止まるとシャツの裾の乱れを直しながらトウジの元を振り返り、ぽそりと呟いてみせる。
 「ごめん…僕、トウジのこと嫌いじゃない。…父さんとこんな風になる前に、トウジが
 言ってくれてたら…そしたら僕…。でも、もう駄目なんだ。本当にごめん…!」
 きらりと目尻が光る。それを隠すようにシンジは資料室のドアを開けると、走ってその場を後にした。
 その後姿を見送ると、トウジは盛大に溜息をついた。
 「嫌いじゃない、か。ずるいでセンセ…。そんなんやったら、いっそ大嫌いやて、
 言われた方がマシや…!」
 トウジは完璧なまでの失恋にがくりと首を落とす。それからシンジの言葉をふと思い出したように繰り返した。
 「たった一人の為に、エヴァに乗ってる。…か」
 そう呟くと、トウジは遠い目をした。
 「流石センセや、なかなかええ言葉やな。…なら、ワシもそうするとしよか。覚悟決めて行くで、
 ええか、鈴原トウジよう?」
 自分に言い聞かせるようにそう呟く。シンジがゲンドウの為にと言うならば、自分は彼の為に。見
も知らぬ誰かの為にという正義よりも。そして妹のためという道理よりもそれは、トウジの心に
勇気をくれるような気がした。
 「見とれよセンセ。ワシは自分の息子に手ぇ出すような外道には、絶対負けへんからな!
 必ず惚れ直させたる!」

 トウジは叫ぶようにそう口に出すと、窓の外に向かって誰に向けるともなく握り拳を突き出した。

625:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/19 03:05:04
神だ…

626:612
06/01/19 20:19:04
 資料室で落ちてきた地図に頭をぶつけて具合が悪い、と嘘をついて保健室で休ませてもらい
しばらく気を落ち着かせた後、既に授業もHRも終えて人気の少ない教室に戻ったシンジを
迎えたのは、何となく元気のないような様子のヒカリだった。
 「あ、碇君…。具合はどう?」
 「え?あ、うん。もう平気」
 突然声をかけられて少し焦りながらも、シンジはそれを曖昧に誤魔化した。それに気付く様子もなく
ヒカリは思いつめたようにシンジに訊ねてくる。
 「ね、碇君。鈴原って…アスカのこと好きなのかな?」
 「え?!」
 突然出たトウジの話題に先程の出来事を思い出してしまい、シンジの胸がびくりと高鳴る。
それからその言葉の内容に、再び彼は素っ頓狂な声を出した。
 「えぇぇ?!アスカとトウジが?ないないない!それは絶対にないよ!何でそんな風に思うの?!」
 「だって二人とも仲いいし…」
 『あれ仲いいっていうのかな…どう見ても犬猿の仲なんだけど』
 思わず苦笑いするシンジにヒカリはそっと目を伏せた。
 「大体、何でそんなこと…あ、もしかして」
 その言葉にびくりとヒカリの体が震える。それだけの仕草で、シンジは彼女の想いをあっさりと
悟ってしまった。
 『何だよトウジのヤツ…僕にあんなことする前に、委員長の事もっと見てあげてれば良かったのに。
 そしたらアイツだって元々女の子の方が好きなんだから、丸く収まってたのに…僕もトウジの事、
 傷つけなくて済んだのに…』
 なんとなく彼の想いを踏みにじってしまった罪悪感から、シンジはそんな想いにとらわれる。
そんな彼の背後から気配もさせず、いきなり聞きなれた声があがった。

627:612
06/01/19 20:21:42
 「…誰と誰が仲いいですってぇ?!」
 「うわっ!アスカいつの間に?!」
 思わず飛びのくシンジの襟首を掴みながら、アスカはヒカリに焦ったようにまくし立てる。
 「冗っ談じゃないわよ?!いい、アタシはもっと理想が高いの!あんなのと仲がいいなんて
 誤解されちゃ、死んでも死にきれないわ!」
 そんなアスカの剣幕に気圧された様にヒカリがうん、と頷いた。その返事にようやく安心したように
ほっと溜息をつく。
 「ヒカリの趣味が分からないわ…なぁんで、あんなのが良いのよ?田んぼで食う虫は好き嫌いが
 多いって言うけど、ほんとね」
 「アスカ…ひょっとして蓼食う虫も好きずき、って言いたいの…?」
 シンジの冷静なツッコミにアスカはきい、と喚くとシンジの胸倉を掴んで畳み掛ける。
 「うっさいわね!もう、バカシンジはさっさとヒカリの恋の成就大作戦のアイディアでも
 出したらどうなのよ!」
 「…はあ?!なんでいきなりそんな話になってるんだよ?!」
 アスカの突然の要求にシンジの目が白黒する。それを見下したような目で睨むと、腰に手を当て
アスカは踏ん反り返って更に厳しく言い放つ。

628:612
06/01/19 20:22:47
 「女の子が困ってるのよ?!男が助けてやるのが筋ってモンでしょ?アンタそれでも男なの?!」
 「何だよそれ?!全然理屈になってないって!…あ、そういえば」
 そのまま激しい言い合いをしていたシンジが、ふと何かに気付いたように声を上げた。
 彼の脳裏に一瞬浮かんだのは、自分の作った卵焼きを嬉しそうに頬張るトウジの笑顔。
 「なあに?何か思いついたの?」
 突然動きを止めたシンジに、アスカが声をかける。それにうん、と頷くと彼はヒカリに向かって提案する。
 「お弁当、作ってあげたらいいんじゃない?ほらアイツ、いつもお昼パンとかばっかり食べてるし」
 シンジの言葉に感心したようにアスカが頷く。
 「成程ねー。古典的だけど、単純なアイツには結構効くかも。バカシンジの割には良い作戦じゃない」
 アスカの言い草に一瞬腹が立つが、俯いて躊躇いがちに佇むヒカリの姿に何とか反論を思いとどまる。
 「鈴原…喜んで、くれるかな…?」
 「うん、大丈夫だよきっと」
 彼の言葉に嬉しそうに微笑むヒカリの姿に、シンジは先程の彼との行為を思い出し少しだけ
罪悪感を覚えた。それからそれを振り払うように首を振ると、彼女に微笑みかける。
 『大丈夫だよ。さっきのだってきっと、僕と父さんの事聞いて、急に変な気持ちになっただけなんだ。
 それだけだよ多分。そうだよ…きっとそう…』
 自分に言い聞かせるようにシンジは頭の中でそう繰り返す。そうであって欲しいと願いながら。
 …本当はそうではないと心の隅で気付きながらも、彼はそう思い込むことで自分を納得させるしかなかった。

 だがシンジがあの時、彼の想いを受け入れてやれなかったことを、死ぬほど後悔する事になるのは
それから数日後のことだった。

629:612
06/01/19 20:24:42
 「はあ…これがワシのエヴァか…ごっついのぉ」
 トウジは三号機を見上げながら誰に聞かせるともなくそう呟いた。
 起動実験に呼ばれた彼は、あのままこの事実を誰に話すこともなくリツコに呼ばれるまま、
この松代向かっていたのだ。
 勿論、それはシンジにも。
 隠したことに特に深い意味はなかった。ただ彼のことだから、自分がエヴァのパイロットに
なったことを告げればこの実験のこともひどく心配してしまいそうだったから、だから全て終わって
自分がちゃんとエヴァに乗れるということ、シンジの頼りになる仲間として戦力になれるのだと
いうことをきちんと証明してから告げようと。
 そう、思ったからに過ぎなかった。
 「鈴原君、緊張してる?大丈夫よ今日は単なる起動実験だから」
 そんなトウジに声をかけたのは、彼の緊張を解そうとなるべくにこやかに微笑んだミサトだった。
 「大丈夫ですわ。ああそうや、ミサトはん…センセの親父さんて、どんなお人や?
 司令官なんやろ?」
 突然そう訊ねる彼に目を丸くしながら、ミサトは苦笑いしながら答える。
 「碇指令ねえ…顔は全然似てないわ。怖くて、冷徹な人。何考えてるか良く分からないのよね。
 でもシンジ君ともちょっと似てるかも。彼の素直でなくて、ひねくれてて。ちょっち人付き合いが
 苦手みたいなところは指令に似たのね多分」
 その言葉にちょっと意外な気になりながらも、出会ったばかりの頃のシンジの姿を思い出し
合点がいったようにトウジは頷いた。
 「そっか…14年間親戚の元に預けたまんま会いにも来なかった言うてたもんな…」
 「そうね。こっちに呼んだ時も一緒に暮らしてあげればいいのに、一人暮らしさせようとするんだもの。
 あきれてモノも言えないわ。進路の事だって私に任せっぱなし。あれでよく父親面できるわよね。
 …あ、それさえしてあげてない、か。親は選べないけど、シンジ君もとんでもない人の所に
 生まれちゃったわよね。同情するわ」

 ミサトの言葉にトウジの心がずきりと痛む。

630:612
06/01/19 20:26:36
 『初めてなんだよ…父さんが、僕のこと見てくれたのは』

 シンジのあの言葉が、本当に彼の心からの本音であったことを知り、トウジは彼にすまない
気持ちでいっぱいになった。それから改めてゲンドウへの怒りがむらむらと湧き上がる。

 『センセにあんな顔させて、都合のええときだけ弄んで…ワシはそんなヤツ絶対認めへん。
 待っときやセンセ、これからはワシがずっと傍に居たる。このエヴァでいつだってセンセを
 守ってやる。これが終わったらあんな親父はんの事なんか、思い出さなくなるまで抱きしめて
 やるんや。センセがもう寂しくないように』

 きりと再びエヴァを見上げ、トウジはミサトに向き直る。
 「さ、ちゃっちゃと実験済ませてしまおうかいのお!この、鈴原トウジがオトコ見せたるわ!」
 あくまでも明るい彼の姿に、ミサトは微笑む。

 『良い友達持ったわね、シンジ君。彼が傍にいてくれたら、きっと変わるわ。何かが。
 …そんな気がする』

 だが、ミサトのそんな予感は見事に打ち砕かれる事となることを、その時予想できるものは誰も居なかった。

631:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/20 04:30:50
トウジ切ないよトウジ

632:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/20 08:06:18
誰かさんへ
LOSスレに来ないでね

633:612
06/01/20 17:59:49
やっぱりベースになってる話が話なだけに、ほのぼのにも友情にも
できかんかったよ。ごめんよ。でもそっちの方が自分も好きだよ。
ともかくどんなに暗くても最後だけは幸せにするから、どうか
温かい目で見てやってくれると嬉すい。

 「な…なんやこれ!!!何かがワシの中に入ってくる…これ、ええのか?!なんや分からん
  …何が起きたんや!」
 起動実験の最中、突然トウジはエントリープラグ内の異変に気付いて声を上げた。モニターに
焦ったようなリツコの顔が浮かび上がる。
 「緊急事態よ!実験は中止、パイロットはすぐに脱出して!」
 その声に緊急用のエントリープラグ排出ボタンを押す。だが、それは参号機を絡め取る『何か』に
邪魔され上手くいかない。
 「あかん…駄目や…」
 モニターがぶつりと途切れる。その瞬間トウジの意識が、何者かに喰われた、気がした。

 気がつくと自分は初号機…シンジと戦っていた。はっきりしない意識のまま、トウジは叫びだす。
 『アカン…なんでセンセ、抵抗せんのや…!…このままやったら…!くそっ止めろや、
 止めろ言うてるやろ!』
 そんな彼の意識とは裏腹に自分の掌が初号機の、シンジの喉を掴んで持ち上げる。
 『センセ、頼むから逃げてくれや!…くそったれ、何でワシの言うこと聞かへんねやこのクソ腕が!』
 トウジの叫びも空しく、己の掌の中でシンジの呼吸が小さくなってくる。その瞬間、泣き出したくなるような
 恐怖が彼を襲った。
 『嫌や…センセが…ワシの手でセンセが死んでまう!…お願いやから抵抗してくれや!なあセンセ!!
 ワシに一番大事な人を殺させんでくれ!頼む…頼むから…!!!!』
 トウジがそう叫んだその瞬間、回路が閉じてしまった筈のモニターから、小さく声が聞こえた。
 「初号機のシンクロを全てカット」
 と、同時に初号機が突然反撃を始める。安堵するトウジの耳に、聞きなれた彼の悲痛な叫びが聞こえてきた。
 「やめて!父さんやめてよっっっこんなの嫌だよ!!!」
 「役立たずはただ座っておればよい」
 その言葉にトウジは苦笑いする。
 『…ったく、酷いヤツやなぁ。噂どおりの冷酷非情や。でも、こればっかりは感謝するで…』

634:612
06/01/20 18:03:04
 初号機に掴みかかられ、めちゃくちゃに殴られ腕をもぎ取られる。今まで体験したこともない痛みに、
トウジは思わず叫び声をあげた。
 と、初号機の掌に全身が握られる感触がする。参号機からエントリープラグを引き抜かれたのだ。
 『ワシ…死ぬんかな…でもええわ。センセの手で殺されるなら、本望や…センセ、構わんから
 一気にいってや…』

 トウジがそう願った瞬間、初号機の掌のそれはぐしゃりと握りつぶされる。薄れていく意識の端に、
シンジの悲痛な叫び声だけが、トウジの耳に聞こえてきた。

 気がつくと病院にいた。傍らには悲しそうな目をしたヒカリの姿。
 「なんや…センセが隣におった気がしたんやけどな…」
 今までのことは夢だったのかと一瞬安堵する。だがあれは事実だったのだと告げるかのように、
ヒカリの口からこんな言葉が漏れた。
 「碇君なら3日前に退院したわ…」
 その言葉に彼の頭にがつんと衝撃が走る。はあ、と溜息をついてトウジはそっとその目を閉じた。
 『最低や…ワシは、自分が絶対したくなかった事、センセにさせてしもうたんか…。センセはあんなに
 嫌がってたのに。どう謝ってええか分からん…堪忍やでほんま…!』
 トウジは後悔に苛まれながらそっと眠りに落ちていった。
 『守りたかったんや…この手で、抱きしめたかったんや…!それなのにセンセ、ワシは…ワシは……!』

 そんなトウジの心の叫びを聞けるものは、だれもこの部屋に存在してはいなかった。

635:612
06/01/20 18:06:05
 一体どれぐらいの日にちが経ったのか。トウジはあ、と溜息をついた。退院にはまだまだかかりそうで、
正直うんざりする。
 シンジがこの病室を訪れる事は、トウジが入院してから一度もなかった。彼の性格からして、この事で
きっと彼は自分を責めて深く後悔しているのであろう事は容易に想像できて、トウジは再び深く溜息をつく。

 『センセが悪いんやない…ワシの力が足りんかったからや。謝らなアカンのは、ワシの方や。…センセに
 あんな辛い事させて。…ああ、会いたいなあ。こんな姿見せたら、また哀しい想いさせてまうやろけど、
 ワシ、センセに会いたいわ…』

 トウジがそう願った瞬間、病室の扉が開き、その奥からおずおずとシンジの姿が現れた。
 そして扉を閉めるとかちりと鍵を閉める。だが思ってもなかった彼の来訪に喜ぶトウジは、その事には
全く気付いていない。
 「トウジ……」
 すまなそうな顔をして目を伏せるシンジに、トウジは嬉しさを隠さぬ声でシンジに微笑んでこう言った。
 「センセ、気にするなや!こうなったんはワシが抜けてたからや。それにあの時センセがワシを
 傷つけとうない言うてたの、聞こえてたで。せやからセンセは何も悪くないんや!な、もう忘れてくれや!」
 シンジはその言葉に虚ろな目で首を振る。その表情にトウジは何か奇妙な感覚を覚え、身体を震わせた。
 「トウジは優しいんだね。…分かってたけど。だから、僕はきっとここに来たんだ。誰かに優しくして
 欲しかったから…。でも、駄目だよ。トウジ、僕に優しくしちゃ駄目…」
 焦点の合わない目でふ、とシンジが微笑む。それからトウジの失われた足を擦りながら、呟いた。
 「僕の声が聞こえてたなら、尚更だよ。僕はあの時逃げたんだ…人を傷つけるのが怖くて。僕はあの時、
 トウジとちゃんと戦わなきゃいけなかった。戦って、トウジを参号機から救出してあげなきゃいけなかったんだ。
 それなのに、逃げた。逃げて…トウジに僕を殺してもらおうとしたんだ。ごめんね…使途に汚染されただけでも
 辛かったトウジに、僕はそんな事までさせようとした…!」

636:612
06/01/20 18:10:27
 「そんな…ワシは気にしてへん。殺してもらおて、逃げたのはワシかて同じや。あん時ワシは
 諦めたらアカンかった。けど諦めてもうたんや…諦めて、センセに辛いこと全部押し付けてしもた…」
 トウジの言葉にシンジはふ、と微笑をもらした。
 「それだけじゃないよ。…僕は、トウジを裏切った。トウジの気持ちを知ってたのに…委員長を
 応援するようなフリをした。トウジが委員長と巧くいってくれたら、僕がトウジの気持ちを傷つけたこと、
 嘘にしてしまえるから。トウジを傷つけたことが辛いんじゃなくて、僕は自分が傷つくのが嫌だったから…
 トウジの気持ちを嘘だと思おうとしたんだ」
 「そんなん…ワシが勝手にセンセの事好きになっただけやんけ!何でセンセがその気持ちに
 応えなならん義理があるんや。ワシが傷ついたのは、ワシの所為でしかないがな!」
 焦ったような彼の言葉に、シンジはふるふると首を振る。
 「違うよ。…裏切ったのは、その後。僕ね…好きな人が出来たんだ、父さん以外に…。 トウジの
 気持ちには応えなかったくせに…トウジの気持ちを知ってたくせに。それを嘘だと思い込んで、
 勝手に寂しくなって…勝手に辛くなって。そんな時に優しくしてもらって、嬉しくなって心を全部、
 その人にあげた」
 「…………!!!」
 その言葉に、トウジの身体が震えた。そしてそのまま目を見開いてシンジの顔を見つめる。
 「そして、裏切られた。使途…だったんだよ、その人。だからこの手で…大好きな、一番大切な人を
 この手で、殺した…!」

637:612
06/01/20 18:12:41
 くすくすと可笑しそうにシンジが笑う。その目はもう誰の姿も映してはいない事に気がついて、
トウジは目を見開き、ただ彼の言葉を聞いていることしか出来なかった。
 「辛かったよ。大切な人殺すの、すごく辛かった。…今でも、すごく痛いんだ…心が。
 そんな事があってようやく気付いたんだよ僕は。自分はトウジに同じ事をさせようとしてた、ってね。
 酷いよね…トウジに会わせる顔なんか、ある訳ない。それなのに僕はトウジに甘えたくて、 優しく
 して欲しくてここに来た。吐き気がするよ自分に。どこまで僕は、自分勝手なんだろうって、ね。
 …だから、トウジは僕に優しくしちゃ、駄目なんだよ…!」

 「センセ……そんな…嘘やろ…?」
 トウジの言葉ににっこりと微笑む。そしてシンジはきっぱりそれを否定し、虚ろな目で自分の着ている
 ものを一枚ずつゆっくりと脱ぎ始めた。そしてすべて脱ぎ終わり完全に裸になると、トウジの目の前に
 その身体を曝け出す。
 「嘘じゃないよ。…ね、トウジ。僕が憎いよね?僕のこと、もう嫌いになったよね…?だからさ…
 こんな酷い僕に、罰を与えて…」

 信じられないその言葉にトウジは目を見開き、彼の姿を呆然と見つめる事しかできなかった。

638:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/20 20:57:05
(*´Д`){シンジー!トウジー!

639:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/21 03:20:48
まさかトウシンが読めるとは…
良スレだ

640:612
06/01/22 02:48:38
ええと、二人ともえらい事になってます。でもこれ壊れてるだけなんで…。
こんなの違う!とお思いの方、その認識が正しいです。ええもう。



 「なんでもいいよ。僕のこと、トウジの好きなようにして。どんな事でもするから…全部、トウジの言う通りに
 するから。どんな酷いことでもいい…トウジの気が済むまで、僕を、虐めて…!」
 振り絞るようなその声に、トウジはとぶんぶんと首を振った。
 「アカン…アカンて。そんな事したらアカン…!何でそんな自分ばっかり責めてまうんや。ワシは構わん。
 センセにならどんなに裏切られても、報われんでもええ。…憎いことなんかある訳ないやろ!ワシは
 自分の意思でセンセに惚れた。せやから、どんな事があってもそれはワシの責任や。センセが気にする
 ことやないんや…!」
 トウジのその言葉に潤んだ目で首を振ると、シンジは震える声でトウジに向かって呟いた。
 「僕はトウジにそこまで想って貰えるような人間じゃない。そんな資格なんてないんだ。…知ってるよね、
 僕が…もうとっくに慣れきってること」
 そう言うとシンジはベッドの横にある椅子に手を掛けると、トウジの前に自分の腰を突き出した。そして
脚を広げ最奥を彼に見せ付けるように自分の指で押し広げてみせる。

641:612
06/01/22 02:51:33
 「ここに、何回男を咥えたか分かる…?何度も何度も、トウジの気持ち知った後も。僕はトウジ以外の
 男に犯されて歓んだんだよ?トウジに告白されたあの日だって…あんな事があった夜にだって、僕は
 父さんに抱かれた。それだけじゃない。父さんの目の前でトウジに犯される所想像して、興奮さえ
 したんだ。父さんに恥ずかしい姿見られて、他の男で歓んでる僕に嫉妬してる姿想像して、何回もイった。
 …最低だろ?軽蔑するよね?!こんな身体で、トウジのこと拒否できる資格なんかなかった。あの時
 素直に抱かれてれば良かった。父さんに操を立てるふりして、綺麗なふりしてトウジを拒否なんかしなきゃ
 よかったんだ…!どうせ、父さんにだって…僕の身体だけが求められてたんだから…誰にでも好きに
 させておけば良かったんだよ!こんな僕がトウジに想ってもらう資格なんかない。トウジはこんな
 汚れた僕を、好きになんかなっちゃいけない。もっと綺麗で、優しい人と幸せにならなきゃいけない人
 なんだよトウジは…!」
 「止めてくれセンセ!もうええ…もうええから…!!!」
 堰を切ったように流れ出すシンジの言葉に、トウジは思わず耳を塞いでいた。その瞳からはぼろぼろと
 涙が流れている。はあはあと息を荒くする彼の姿を、シンジは悲しそうな目でただ見つめていた。
 「分かった…虐めたる。センセのその身体、ワシがめちゃくちゃにしたる。せやからもう、何も言わんでくれ…!」
 トウジの振り絞るようなその声にシンジは泣き出しそうな顔で頷くと、鞄の中から何かを取り出した。
 その手に握られていたのは男性器を模った電動式の玩具。
 「父さんに渡されたんだよ、これ。自分が居ないときに使え、だって。…笑っちゃうよね、こんなの貰っちゃう
 くらい淫乱に見えてたんだよ、父さんにも僕が」
 自嘲気味な呟きにも、もうトウジは何も答えない。ただシンジが握るそれを、冷たい瞳で眺めているだけだった。
 それから少しだけ鼻で笑うと、シンジに冷徹な声で命令する。

642:612
06/01/22 02:54:31
 「…そんなモンまで咥えてたんか。ええで、ワシの前でそれ使ってしてみぃや。自分で入れるんや
 …出来るやろ?」
 トウジの言葉にびくんとシンジの体が震える。恥ずかしくて死にたくなる程のその要求に、シンジの頬が
みるみる染まった。
 彼に自慰をしろと命令するトウジの瞳の奥は、冷たい炎が燃えているようにゆらゆらと揺れている。
 「早うせえ…!虐めろ言うたんはセンセやろ。お望みどおり思う存分虐めたるがな…今更嫌やなんて
 言わせへんで」
 トウジの剣幕にシンジの身体が再び、びくりと震えた。それから目を伏せて恥ずかしそうにこくりと頷くと、
それを自分の奥へと導き躊躇う事無く差し込んだ。そしてスイッチを入れる。
 途端、静かな病室にシンジの甘い喘ぎと低いモーター音だけが鳴り響いた。
 「ん…ふぁ…んんっ」
 「声、殺すなや。いつもはもっとやらしい声あげてんねやろ」
 容赦のない責めにシンジの頬が益々真っ赤に染まってゆく。それを見つめながらトウジは促すように
顎を動かした。
 「あ…あぁ…っ!トウジ…恥ずかしいよ…見ないで…!」
 「そんな事言うて、ホンマは見られて歓んでるんやろ。センセのソコ、嬉しそうに咥えてるやんけ。ちゃんと
 見てたるからワシの見とる前で、ワシの視線でイクところ見せてみろや…」
 煽るようなその言葉に突然シンジの身体が激しく震えた。びくんびくんと腰を捩り、あられもないよがり声を上げる。

643:612
06/01/22 02:57:17
 明らかに言葉で責められて歓んでいるその姿に、トウジはむらむらと卑猥な欲望が自分の中に
湧き上がるのを感じていた。
 「せやけどその格好じゃアカンな。そやセンセ、そこの椅子座って股広げろてみろや。センセの
 ビンビンになってるモンも、恥ずかしい顔も、そのやらしい下の口も。全部見せてみぃ」
 トウジの責めに、シンジは頬を染めこくりと頷いてみせる。潤んだ目で椅子に座り膝を立て、脚を
広げてその全てを曝け出すシンジの姿にトウジは満足そうに頷いた。
 「ええ格好やな…。どや、センセも気持ちええやろ?ワシに目で犯されて興奮してんやろ?なあ…
 触ってもへんのにもうセンセのソコ、イってまいそうやな…?」
 「あ…あぁ…!僕、おかしいよ…トウジに見られてるだけで…感じてる…どうにかなっちゃいそうだよ……!」
 その言葉にぴくぴくと身体を震わせ、シンジは胸の突起と自分を貫くそれを同時に自分の指で刺激する。
自分の一番恥ずかしい姿を見られているという羞恥は、いつの間にかシンジの心と身体を麻薬のように
狂わせる。頭の中が掻き乱されるような感覚に、シンジはもう理性も何もかもかなぐり捨てて叫ぶように
トウジに呼びかけていた。
 「トウジの視線が…入ってる…あぁ…もっと入れて…僕の中、もっとトウジで掻きまわして…」
 激しい指の動きでぐちゅぐちゅと音が漏れる。モーター音と相まって、それは酷く扇情的に彼を刺激した。 
 「あ…っ!あぁぁ…っっイク…トウジ、気持ちいい…出ちゃう…!見て…僕のイクところ見てぇぇぇ…」
 瞬間、シンジの身体が反り返り勃ちあがったそれから、白い液体が迸った。噴出したそれがシンジの細く
しなやかな身体を汚し、ひくひくと震えることでトウジをより深い欲望へと誘っていた。
 「…もうイってもうたんか…やらしいのうセンセは。弄ってもおらんのに後ろだけで感じたんやな」
 容赦ない責め言葉にシンジは恥ずかしそうに身体を捩る。その姿にトウジは満足げに頷くと、彼に手招きをした。

644:612
06/01/22 02:59:53
 「こっち来いや。今度はワシの目の前でよがってみい。…出来るやろ?ワシを興奮させてみろや。
 そしたらご褒美やるわ…センセの大好きなご褒美や。欲しいんやろ…ワシのモンが。のう?」
 「あ…欲しい…トウジのが欲しいよ…!」
 恥ずかしそうに口に出す。トウジの促すような目線に、シンジはふらふらと彼の寝ているベッドに近づくと
彼の身体に跨った。
 「間近で見るとますますやらしいわ、センセのここ」
 にやにやと笑いながらシンジを貫いたままの玩具を、指で動かしてみせる。それだけでシンジ自身は
再び勃ちあがりひくひくと震えた。
 「そういや親父さんの前でワシにヤられて歓んだんやってな。ワシにも見せてくれるか?親父さんの
 モン咥えて歓んでるセンセのやらしい姿…さぞかし乱れてくれるんやろなあ…?」
 「……ぁ…そんな…あぁ…」
 ふるふると首を振るシンジを赦す事無く更に言葉が追い詰めていく。
 「どんな風にされてたんや?親父さんのモン、センセ大好きやったんやろ?ん?ええから咥えて
 よがってみろや?興奮するんやろそれが。見せたいんやろホンマは…自分がヒイヒイいうてる姿を…!」
 「やだ…ぁ…駄目…………父さん駄目ぇ…!」
 シンジの身体がびくりと跳ねた。ゲンドウの幻影に絡め取られ、乱れてゆくその姿をトウジは冷たい目で
ただ見つめている。
 「…父さん…駄目……そんなにしたら…ん…ぁぁ…!」
 拒絶の言葉を吐きながらも、目の前のシンジの腰は激しくそれをくねらせ、淫らな音を立てていた。
トウジは戯れにそれを乱暴に掻き乱すと冷たい声で命令する。
 「ようワシの前でそんなに歓べるなあ。こんなに腰ふって…そんなに美味しいんか親父さんのモンが。
 ワシにもちょっとは愉しませろや。親父さんとワシ、二人がかりでセンセ抱いたる。嬉しいやろ?…
 しゃぶれや。両方から咥えてみせろや…!」
 「あぁ…っそんな…ぁ…っ駄目…!そんなの駄目ぇ…」
 くねくねと腰を震わせながらシンジが哀願する。だがトウジはそれを決して赦さない。快感に震える身体を
反転させ、無理やり自分の股間へ押し付けた。 


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