エヴァで801するスレat EVA
エヴァで801するスレ - 暇つぶし2ch469:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/22 18:46:57
ゲンドウ×シンジっぽく。しかも途中ですが板の墓場に落としていきます。
続きはまた今度。



 父さんなんか嫌いだ。

 ずっと、そう思っていた。たまに顔をあわせても目もあわせない、優しい言葉なんて聴いたこともない。
 でも仕方ない。多分父さんはそういう人なんだ。子供なんて要らない、冷たい人なんだ。
 だから、僕の方から父さんを嫌いになろう。
 そう、思っていた。
 嫌いな人に冷たくされても、辛くなんかない。
 嫌いな人に会えなくても笑ってもらえなくても優しくされなくても。

 だけど。

 綾波といた時の父さん。
 いつもは無表情だった綾波が、嬉しそうに微笑んで父さんに言葉をかける。
 父さんは穏やかな笑みを浮かべてそれに応えている。
 見たこともない、僕といるときに。そんな顔。
 僕は分からなくなった。父さんが。
 父さんは本当に冷たい人なのか。
 子供なんて要らないのか。

 ひょっとして、要らないのは子供じゃなくて。
 僕、なの、か。





470:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/24 01:44:21
イイヨー(・∀・)

471:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/24 20:15:22 sgWuGOaW
803区間まで水増しコンクリ注入!

472:469
05/12/25 23:51:24
続き。肉体関係方面が苦手な方はそろそろ透明あぼーんよろしく。
いやまだだけど。


 シンジは想像を打ち消すかのように頭を振った。
 しかし頭の中から二人の姿は消えてはくれない。

 『綾波と僕の、どこが違うの』
 『どんなに呼んでも見てくれなかったのに』
 『綾波は僕に笑ってくれた』
 『でも僕はあんな嬉しそうな綾波を見たことない』
 『父さんには見せるの?』
 『綾波になら父さんは笑ってくれるの?』 
 
 いつか見た綾波の白い肢体が目の前から離れない。
 綺麗だ、と思った。紅い目に吸い込まれそうだった。
 その身体を父が抱く。
 …嫌だ。
 柔らかい身体だった。自分も決して筋肉質な方ではないけれど、それでも男の自分とは違う優しい身体。
 父さんにも、触れさせているの?
 ……嫌だ、そんなの嫌だ。
 見つめあって微笑みあって。
 触れ、あって。そして-----  

473:469
05/12/25 23:56:51
 嫌だ
 嫌だ嫌だ

 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!
 
 父さん、綾波を見ないで。
 綾波、父さんを見ないで。

 何が嫌なのか分からない。
 『盗られた』と思うのはどちらをなのだろう。
 嫌なのに。どうしようもなく哀しいのに。
 シンジは自分の身体が熱くなっていくのを止められずにいた。
 「父さん…」
 綾波の白くて細い身体。触れる父の指先。
 そんな想像に自分が嫌になる。

474:469
05/12/25 23:57:37
 「どうして…父さん」
 父の子供は自分なのに、紛れもない真実なのに。
 なのにどうしてこんなに辛いのだろう。
 何が違う。何がいけない。
 どうして父さんは自分を見てくれない?
 シンジは自らの身体をきつく抱きしめた。だれも抱いてはくれなかったから。
 だから、自分で抱くしかなかった。

 「僕が…」
 涙が止まらない。
 綾波と違うところ。シンジに思い当たる所は一つしかない。
 「僕が女の子なら…」
 それは違うと本当は分かっていた。それでも、今の彼にはには
そう思い込むことでしか自分を納得させることはできない。
 「僕が、女なら。父さんは僕を……」

 そこから先を口にすることは出来なかった。
 言葉には出せないことばがシンジの心に染み込んでいく。
 捕らえられる。己の言葉に。己の想いに。
 それでも。

 それでも、シンジはそこから逃げ出すことも振り払うことも出来ず、
ただ涙を流すことしか出来なかった。

475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/26 00:20:44
イイヨイイヨー(・∀・)

476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/26 10:32:22
なんだかんだ言って、結局シンちゃんってファザコンなんだよね。
冷たい態度しかとれないゲンドウの不器用さはどうにかならんものか。

477:469
05/12/27 02:05:37
時間があるうちにどんどんいっときます。
年末は忙しいね。みんなもがんばれ。

最近ますます似てきたな。

ゲンドウは微かにため息をついた。
艶やかな髪、細くしなやかな肢体。大きな黒い瞳。
どこを取っても『彼女』を連想させるに充分過ぎる。
だから、見るのが辛いのか。
自問に、ゲンドウは小さく首を振った。

いいや、『アレ』は違う。

『彼女』は強かった。
今の自分は大抵の人間に少なからず畏怖の念で見られているだろう。
だがそんな自分など及びもつかないほどに彼女は強かった。
微笑んで、生意気なだけの自分をいつの間にか捕らえていた。
そして、置き去った。
微笑んで。
未来、などというものの為に。
自分には『彼女』のいない未来など、欲しくはなかったのに。




478:469
05/12/27 02:06:38
ああ、『アレ』は確かに違う。

いつも怯えたような目で。
反抗する言葉さえ生ぬるくて。
ふいに壊れてしまいそうなほど、弱い。
『彼女』とは似ても似つかない。
だからなのか、彼を見ていると無性に心がざわつくのは。
彼女と同じ顔で、まったく違う表情を見せるから。
だから、辛く当たってしまうのか。

…違うな。

ゲンドウは自嘲気味に笑みを漏らした。
弱いのは、恐らくは自分も同じだ。
彼を見つめるのが怖い。向き合うのが怖い。
…好意を向けられるのが、怖い。
また失ってしまうのが、怖い----
だから、彼の存在を消した。自分の中から。
呼び戻したときも、本当は来て欲しくはなかった。
会えばまた目に入ってくる。また、心乱れる日々が訪れる。
だから逃げ出したときも反抗したときも、止めなかった。
ここまま逃げてくれれば、会わずに済むから。
いいや、逃げ出したかったのは本当は自分なのかもしれない。

479:469
05/12/27 02:10:17
『アレ』は弱い。
『アレ』は『彼女』じゃない
強いのは『彼女』
弱いのは『アレ』

弱いのは。
本当に弱いのは。

自分、だ----

480:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/27 07:37:21
ゲンドウに萌えてしまいそうだ

481:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/27 12:53:17
イイイイイ(・∀・)イイヨー

482:469
05/12/31 00:37:05
アク禁に巻きこまれてましたよ。
どうでもいいけどレスくれたお二人様、地獄指令スレも巡回しちゃいませんか。
いえ、私もですが。


 雨が、街を薄灰色に染めている。
 ゲンドウはそれを一瞥するとマンションの廊下を足早に進んだ。

 部屋に戻るのは久しぶりだ。尤も、頻繁に戻ったところで何かあるわけでもないのだが。
 サングラスの奥で彼は目を僅かに細める。と、ふいにそれが大きく見開かれた。
 部屋の前に誰かがしゃがみ込んでいる。雨にぬれた身体で。
 立ちすくむゲンドウの姿に気づいたのか、その人物が顔を上げた。
 「何の用だ、シンジ」
 動揺を隠すかのように、殊更冷たく言い放つ。シンジはその言葉に身体を少し震わせ
俯きかける。が、次の瞬間彼は首を振り意を決したようにその口を開いた。
 「…話があるんだ」
 彼の言葉を待つより先に、ゲンドウは部屋の鍵を開け扉を開ける。
 その後姿に少し怒ったようにシンジが何事か叫ぼうとしたとき、開かれたままの扉の
中から声が響いた。
 「何をしている。早く入れ」

483:469
05/12/31 00:38:44
 「父さ…」
 「話は後だ。まずシャワーでも浴びて服を着替えてこい。
 タオルと服はその辺の引き出しに入っている。勝手に使え」
 恐る恐るシンジが部屋に入ると、口を開くより早くゲンドウからこんな言葉を
浴びせかけられる。
 すっかり毒気を抜かれてしまった彼は素直にタオルとシャツを取り出すと、
そのまま浴室へと向かった。
 ゲンドウはそれを見送ると、落ち着かない様子でソファーに腰を下ろした。
それから新聞を手に取り、買って来た缶コーヒーを口に含む。
 「…甘すぎるな」
 誰に聞かせるでもなく、彼はそう呟いた。
 普段は気にも留めないような出来事が、妙に癇に障る。と、突然部屋に
聞きなれぬ電子音が響いた。見るとシンジの荷物の中で携帯電話が激しく
その存在を主張している。
 やや不機嫌そうな顔をしながらゲンドウはそれを手に取ると、ためらうことなく通話ボタンを押した。
 「ちょーっとシンちゃん?何処にいるのよ!遅くなるなら連絡ぐらい入れてよねーー?!」
 途端、けたたましい声が響き渡る。葛城ミサトだ。
 「シンジなら今私のところにいる。何か問題でも発生したか?」
 ゲンドウがそう告げると、明らかに電話の向こうでミサトが緊張したのが分かった。
 「し…指令?!いいえ、何も問題ありません」
 「そうか。ならいい」
 「はい、失礼しました。シンジ君に宜しくお伝えください」
 その言葉と共に回線はあっさりと切られる。よほど慌てていたらしい様子が
目に見えるようで、ゲンドウは苦笑いして電話をテーブルに置いた。と、同時に。
 バタン。
 浴室のドアが開く音がした。どうやらシンジが風呂から上がったらしい。
 その気配を感じ取りゲンドウは彼に気づかれぬよう、小さくため息をついた。

484:469
05/12/31 00:40:38
 どうかしている。

 いつもの自分なら、彼を部屋に招き入れたりなどしない筈だ。
 常夏の今の日本の気候なら、少々の雨に濡れたからといって風邪を引く
こともないだろうに。
 それなのに何故だか妙に気になった。
 雨の中、ただ自分を待ち続けているシンジの姿が。

 どうかしている。本当に。

 そんな些細なことまで気にかかるようになってしまったのも、昼間自分が
考えていた下らぬ思考故か。
 そばにいれば互いに傷つけあうばかりだと分かりきっている筈なのに、
何故こうも彼が気にかかってしまうのか。それを止められないのか。
 ゲンドウは未だその答えを見つられず、ただ深いため息をつくばかりだった。

485:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/31 06:15:14
イイ(・∀・)ヨオォヲヲォオオォォオオオオ

ああ見えてこの人可愛いところもあるんですか?わかりません><

486:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/12/31 07:41:09
>どうでもいいけどレスくれたお二人様、地獄指令スレも巡回しちゃいませんか。

ふふふ。もちろんです。


487:469
06/01/03 01:57:57
あけましておめでとうございます。
いい加減 イイヨ(・∀・)イイヨー のバージョンがどこまで増えていくのか
楽しみになってきますた。
地獄指令スレいいね。これ終わったらバカ親父書きたいなバカ親父。


 どうしよう。

 シンジは身体を拭きながら少しため息をついた。
 勢いでここまで来てしまったものの、あの父が自分の話をまともに聞

くはずがないのは分かりきっていたことだった。
 今こうして部屋に招き入れてくれたことさえ奇跡に近いと言うのに、

それ以上何をどう話せと言うのだろう。
 そもそも、自分がどうして欲しいのかさえ、シンジには分かっていな

かった。
 分かっているのは、たった一つだけ。

 振り向いて。

 自分を置いていったあのときの、父の後ろ姿が頭から離れなくて。
 それが今までずっとシンジの心を締め付けていた。
 どんなに泣いても、喚いても。父は自分を振り向いてはくれないのだ

ろう。それはあの時からずっと分かっていたことだった。
 それでも。
 それでも、シンジは父に振り向いて欲しかった。
 自分を、見て欲しかった。


488:469
06/01/03 01:59:40
 シンジは父のワイシャツをゆっくりと手に取る。
 『父さんの匂いがする』
 懐かしいような、初めて嗅いだようなかおり。
 それが殊更にシンジの心を締め付けた。


 シンジはふるふると頭を振ると、それを身に着けはじめる。
 自分には大きすぎるそのシャツは、袖を折り返さないと掌さえ
出てこない。
 シャツのボタンを全て留めてから、シンジはちょっと迷ったように
彼の下着を手に取った。
 完全に濡れてしまったそれは、なまじ温まってしまった身体につける

にはやや抵抗がある。仕方がない、という顔をして彼はそのままそれを

自分のワイシャツと共に洗濯乾燥機に放り込んだ。
 それから父のワイシャツと一緒に持ってきたジャージの下を手にとっ

て身体に合わせてみる。
 「やっぱり大きすぎるなあ…」
 裾は折り返すにしても胴回りがあまりに緩すぎて、それは素直に彼の

腰にとどまってくれそうにない。
 シンジは諦めたようにそれを籠に放り込んだ。
 「まあ、このままでも大丈夫かな」
 ワイシャツの丈は幸いにも彼の膝くらいまでを隠していたため、素足

のままでもあまり違和感を感じさせないで済みそうだ。
 シンジは自分にそう言い聞かせると、意を決したように脱衣所のドア

を開けた。

489:469
06/01/03 02:01:05
 「いいお湯でした。…えと、父さんも入るの?」
 ソファーに座ったまま振り向きもしないゲンドウにそう声をかける。
 その問いに彼はいいや、とだけ答えると彼は缶コーヒーを口に運ぶ
仕草をした。が、もうとっくに空になってしまっていたらしくゲンドウは

憮然とした表情でそれをテーブルの隅に追いやる。
 「あ、コーヒーなら僕が入れるよ。機械どこ?」
 「知らん。あるなら台所だろうな」
 家主とは思えぬ答えにシンジは一瞬呆れ顔を作って見せるが、
気を取り直したように台所の棚を漁り始めた。
 その姿を何気なく横目に入れたゲンドウの顔が、一瞬呆気にとられる。
 「なんだその格好は」
 「あ、ズボン大きすぎて…。服が乾くまでだからいいかなと思ったん

 だけど、ごめん。だらしなかったかな…」
 謝りながらも棚の奥から目当ての機材を見つけると、シンジは探索の

ついでに先に見つけたコーヒー豆をセットする。
 「いや、構わん」
 ゲンドウはそれだけ呟くと、シンジから目線をはずすようにふいと新聞に
目を落とした。
 
 大きすぎる彼のシャツは、シンジに辛うじて存在する骨っぽさを巧妙

なくらい覆い隠し実際よりも彼を華奢に見せていた。
 それは、他でもない『彼女』を否が応でもゲンドウに思い出させる。

 『ユイ……』

 心の中でゲンドウはそっと、その名前を呟いた。

490:469
06/01/03 02:01:56
うわ、1つ目の改行がえらいことに。

491:469
06/01/03 02:06:38
うわあ。1つ目どころか全部の改行がとんでもない。
何故だ。

492:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/03 18:38:43
イイ(・∀・)ヨ-!  !-E(・∀・)トト

>>491
坊やだからさ

493:469
06/01/04 02:20:36
>492
…ツッコんだな!
父さんにもツッコまれたことないのに!

494:492
06/01/04 04:44:34
>>493
いや~んな感じィ うへへ!

495:469
06/01/05 11:00:48
>494
…修正してやるっ!

すいません嘘です書き込んだ後で自分でもヤバイ台詞だってことに気づきました。

 「…コーヒー入ったよ。ここ置くね」
 シンジの声に顔も上げずゲンドウはああ、とだけ返事するとコーヒーカップを手に取った。
 そういえば自分の部屋で淹れたてのコーヒーを飲むことなど、何年ぶりだろう。
口に含んだそれは予想外なほど熱く、少し苦い。
 ふと気づくといつの間にかシンジもソファー横の床に座り、コーヒーに口をつけていた。
 しばらく無言の刻が続く。
 壁にかけた時計の音だけが音のない部屋でやけに大きく響く気がした。
 「あ、父さん食事は…?」
 静寂を破ったのはシンジのこんな言葉だった。
 「外で済ませた。腹が減っているならお前だけ何かとれ」
 「いや、別に僕もお腹へってないから…」
 取り付くしまもないゲンドウの言葉にシンジは少し俯く。それからふと気づいたように言葉を続けた。
 「外で、って…綾波と一緒に?」
 「ああ。レイも一緒だ」
 『レイ』という呼び名にシンジの身体がびくり、と震える。その姿にゲンドウは不審そうに眉根を寄せた。
 「それがお前に何か関係あるのか?」
 あくまでも冷淡な口調に、シンジは頭にかっと血が上るのを感じた。
 「関係って…関係なかったら聞いちゃいけないの?!綾波は同じエヴァのパイロットの仲間だし…それに…」
 肩が震える。言葉の続きがどうしても出てこなかった。

 『どうして父さんは綾波にだけはそんなに優しいの』

 言葉に出来ぬ重さにシンジは思わず俯いた。ただ、身体だけがぶるぶると震えている。
その姿にゲンドウは苦虫を噛み潰したような顔で口を開いた。
 「そんなくだらん話をするためにわざわざこんな所まで来たのか」
 その言葉に瞬間、シンジの中で何かが弾けるような感覚が、した。

496:469
06/01/05 11:02:12
 「…くだらない?くだらない話って何だよ?!」
 ほとんど叫ぶようなシンジの剣幕にゲンドウは思わず彼の顔を見上げた。
 「父さんはいつもそうやって僕の言うことなんかまともに聞いてくれない。
 …それなのに」
 肩が震える。握り締めた拳が震える。…心が、震える。
 「それなのに…僕が望むものは何もくれないくせに…僕の大事なものは
 全部奪っていくんだ…!」
 そう。何も貰ってはこなかった。
 父親らしい言葉も、優しい言葉も、笑顔も。
 『綾波にはあげるくせに』
 シンジの目からはもう涙さえ出てこなかった。
 この激情はどうしようもなく、ただはけ口を求めてシンジの言葉の刃となり
ゲンドウに突き刺さる。
 「綾波も、僕の生活も。…母さんも。父さんは全部僕から取り上げるんだ!
 全部父さんの都合で!」
 言ってはいけない言葉。
 小さい頃から自分の周りで囁かれていて、とても嫌だった言葉。
 絶対に認めてはいけない言葉。
 それが口から滑り落ちる。
 「母さんを返してよ。父さんのせいで死んだ、母さんを…!」
 シンジの言葉にゲンドウの目が、大きく見開かれた。

497:469
06/01/05 11:05:56
 『母さんを返して』
 
 シンジの言葉にゲンドウの身体がかっと熱くなる。
 『返して、だと?』
 『ユイが帰ってこなかったのは、誰の為だ?』
 『未来。…お前のいる未来というモノの為に』
 『お前の為に』
 『お前の為にユイは帰ってこなかった』
 『そのお前が言うのか。返してと』
 『私から全てを奪った、お前が言うのか』

 『私に全てを奪われた、などという言葉を----!』

 口を開くよりも早く、ゲンドウの拳がシンジの頬を捉えた。
 突然の出来事にシンジの身体はあっさりと床に打ち付けられ、
唇の端は切れて血がにじんでいた。
 「父さん…」
 血を拭いながらシンジはそう呟いた。驚きで目が見開かれている。
だがそれに構わずゲンドウは立ち上がると彼の胸倉を掴みあげた。
 シンジの身体がびくり、と緊張するのが服の上からでもよく分かる。
 その姿にゲンドウはようやく我に返った。
 そのままシンジの両目を見据える。

498:469
06/01/05 11:06:45
 ユイと同じ黒い瞳。
 今にも泣き出しそうに、潤んでいる。
 彼がネルフに来てからは、こんな目しか見ていない。
 いいや、初めに見たのは彼の元を去った、あの時か。
 あの時から、シンジはずっとこんな目をしていたのか。

 ゲンドウは掴みあげた手を、そっと下ろした。不審そうに見上げる彼の肩に掌を置く。
 「人は自分の力で、独りで歩くしかない。私はずっとそうしてきた」
 全てを失ったとき、そう悟った。
 満たされたと思ってもそれはすぐに消える。結局人は独りに戻る。
 ならば、それに縋るのは辞めようと心に誓った。
 「だが、お前は」
 そんなふうに生きられぬ者もいる。しかしゲンドウは何かに縋るより独りの方がまだ楽だったから。
 「お前は、誰かに縋る生き方を選ぶのか」
 自分には選べぬ生き方を。
 それを、彼女に似たこの息子は選ぶのか。
 「ならば与えてやる。だが私はこれの他に方法を知らぬ」
 「父さ……」

 思わず出たシンジの言葉は、そのまま何かに遮られた-----

499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/06 00:53:14
イイヨヨヨ(・∀・)ヨヨヨヨォオ!

500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/06 01:07:16
つ…続きキボン(*´Д`)ハァハァ

501:469
06/01/06 18:05:37
すいませんゲンドウ最悪です。
あとマジ肉体関係駄目な方透明あぼーん宜しくお願いします。
入れようか迷ったのですが、これ書かないとどうしても駄目だったので。


 びくり、とシンジの身体が震える。
 気がつくとゲンドウの唇が彼のそれを塞いでいた。突然の行為に
シンジの目が驚きに見開かれる。
 「恨みたいなら好きにしろ。だが、忘れるな」
 耳元で囁かれる言葉。しかし肩で息をすることに気をとられ、それは
まるでシンジの耳には届いていなかった。
 「お前が望んだ事だ。たとえ、お前がどう思おうとも」
 その言葉と共に、シンジの身体が抱き上げられる。あまりの展開に
ついていけてない風情の彼をよそに、ゲンドウは寝室のドアを開け、
彼の身体をベッドに放り投げた。
 「……!!!」
 衝撃にシンジの身体が軋む。それに構わずゲンドウはそのまま彼の
身体を押さえ込んだ。
 「…何…父さん…」

 怖い。

 いつもとは違いすぎる父の行動に、シンジの身体が竦みあがる。
だがお構い無しにゲンドウはそのまま彼の服のボタンに手をかけた。

502:469
06/01/06 18:07:23
 「……っ?!嫌だ!父さん…やめてよ…!」
 ようやく我に返ったシンジは激しく身体を捩り、父の体を押しもどそうと
力を込めた。だが体躯差はどうにもならずあっさりと両手を押さえ込まれて
しまう。そしてそのまま再び唇を塞がれた。
 「……っふ…く…ぅ」
 頭を振って逃れようとするものの、両手で押さえ込まれそれすらも
ままならない。戸惑うシンジの口内をゲンドウは乱暴に蹂躙していった。
 「…ん…ぅん…っ」
 絡み付く感覚にシンジの思考が霞んでゆく。抵抗のなくなったシンジの
身体を、ゲンドウはそのままきつく抱きしめた。
 「……ぁ…」
 こんな状況だというのに、シンジには自分の身体が歓喜していくのが
よく分かった。
 ずっと自分はこうして欲しかったのだと、初めて知った気がする。
 ずっと不安で仕方がなかった。誰かに支えて欲しかった。
 …抱きしめて、欲しかった。
 こんなやり方でさえなければ、これはどれだけ自分にとって嬉しい
出来事だっただろう。そう思うとシンジはやるせない思いがした。
 ゆるゆると、自分の両腕をゲンドウの背中にまわしてみる。
 『父さんの背中だ』
 広くて大きな背中。自分はずっと、これを追いかけていた。
 ようやく追いついた。
 自分の欲しかった形ではないけれど、それでも父は自分をようやく
見つけてくれた。
 『父さんが、そうしたいなら…』
 シンジはゆっくりと腕を首にまわし、自分からゲンドウを求めるように
舌を蠢かせた。

503:469
06/01/06 18:09:07
 ようやく唇が離される。
 もうシンジは抵抗しなかった。ゲンドウのなすがまま、服の
ボタンを外される。
 「下着も着けていなかったのか。用意のいいことだ」
 ゲンドウの言葉にシンジの頬がかっと染まる。
 「違…っ…ぁ…っ?!」
 反論を聴くこともせず、ゲンドウは彼の身体を屠り始めた。
 首筋に、鎖骨に、脇腹に。紅い徴を刻んでゆく。 それから
胸の突起を唇と舌で、丹念に転がした。
 「…ん…ぁ……っ」
 それだけでシンジは己の身体に熱が篭るのを感じた。
 背筋からぞわぞわと湧き上がる感覚に思わず目を閉じる。
 ひくひくと身体を震わせるシンジにふ、と笑みを漏らせると
ゲンドウはそのまま彼の下腹部に手を伸ばした。
 「…っ?!…ゃ…っ!」
 初めて他人に触れられる感覚に、シンジはびくりと肩を竦めた。
だがゲンドウはその手を止めようとはしない。いやむしろ煽るように
殊更にその掌で彼のそれを撫で回す。
 「…はぁ…ぁ…っ止めてよ…っ」
 潤んだ目で父を見上げる。それは先程までの寂しそうな瞳ではなく、
その奥に艶を隠した黒い瞳。
 ゲンドウはそれを確認すると、更に強く彼自身を弄り始める。
 勃ちあがったそれの先端からはひくひくと透明な液が滴り、彼が
限界に近いことを示していた。

504:469
06/01/06 18:11:18
 「…やだ…もう…ぁ…っ」
 喉の奥から振り絞るようなか細いシンジの声に、ゲンドウは満足そうに
笑みを浮かべ耳元で囁きかける。
 「構わん。このまま出してしまえ」
 「…っ!ゃだ…ぁ…父さん…!」
 瞬間、びくりとシンジの身体が跳ね上がり、ゲンドウの掌に白濁した
それが迸った。
 「…あ…ぁぁ…」
 はあはあと肩で息をしてぐったりと横たわるシンジの両肢を、ゲンドウは
お構い無しに押し広げる。びくりと身体を震わせるシンジの最奥に
今吐き出したばかりの彼の白濁液を塗りこんだ。
 「…ひ…っ」
 自分でさえ目にしたこともない箇所に触れられ、シンジはびくんと
身体を硬くする。だが責苦はそれに留まらない。
 入口周辺を彷徨っていた指先がゆっくりと中に押し入り始める。
初めて知るその奇妙な感覚にシンジの目尻からは堪らず涙が溢れていた。
 「…嫌…やだ…父さん…っ」
 「やはり、固いな」
 シンジの哀願に耳もかさずゲンドウはそう呟くとベッドサイドにある
ボードの引き出しから小瓶を取り出し、一旦引き抜いた指にその中身を
とりだすと、再び彼の奥にそれを塗りこむように何度も出し入れをする。
 「…っ!…や…っはぁ…!」
 冷たいそれに身を震わせながら、シンジはそれでも身体の奥から
滲み出てくるかのような熱い感覚に身体強張らせた。
 それはじりじりとシンジを追い詰め、知らず彼自身を再び熱く
勃ちあがらせている。
 ゲンドウはシンジの変化に気付くとその指を引き抜き、代わりに
彼自身をそこにあてがった。そしてそれはシンジが何か反応する
隙さえ与えずに一気に彼の中に進入していた。

505:469
06/01/06 18:13:18
 「……っ?!ぁ…っ痛ぅ…!」
 突然押し入られて、シンジは叫び声を漏らす。だがゲンドウは
それに構うことなく彼の腰を持ち上げると小刻みに揺らし始めた。
 繋がった場所からちゅくちゅくと淫靡な音が響く。その恥ずかしさに
シンジは我を忘れて頭を振った。
 ゲンドウのそれが探るようにシンジの内部を突き上げていく。
掻きまわし、弄られる感覚にシンジはただ翻弄されていた。
 と、ある一点をゲンドウが突いたときシンジの頭の中に閃光が走る。
 「ひぁ…っ?!」
 その反応を見逃す事無く、ゲンドウはそのままそこを激しく
責め立て始める。身体の奥から溢れ出す未知の感覚に、シンジは
怖れるように身体を震わせた。
 「…っぁ…あぁ…っ」
 甘い吐息が知らず口から漏れはじめる。初めて感じる昇りつめる
ような感覚。自分の中で猛り狂う父の存在。シンジは抗うすべもなく
それに流されていた。
 昇り詰めた先に何があるのか。それは彼自身にも分からない。
 ただシンジは自分を求める父のそれを、より深く求めることに
だけ集中していた。
 瞬間、ゲンドウが己の中で固さを増すのを感じる。
 「…あっ…父さん…!」
 シンジの身体がびくりと跳ねる。ゲンドウはそれを固く抱きしめ
留まらせると一気に最奥を突き上げた。
 「あぁ…っ!父さん…父さん…っ!」
 その名を呼び、彼が限界に達しようとしたその時、父の吐息のような
呟きが耳元で響いた。
 「ユイ………」

506:469
06/01/06 18:14:08
 「………っ?!」

 シンジの目が見開かれる。
 違う。
 そう叫びたかった。自分は母ではない、シンジだと。
 自分の名を呼んで、と。
 だがそう思う暇もなくそれは彼を限界まで昇り詰めさせた。
 「…っあっ…んぁ…っっ!」
 一瞬、世界が白く染まる。
 シンジは同時に自分の中に熱いものが溢れ出したのを感じた。
 それが、彼の感じた最後の感覚だった。

 堕ちてゆく。
 深い、奈落に。
 どこまでも深い闇に。
 
 手に入れたと思ったそれは、あまりにも容易く彼の指の隙間から
零れ落ちてしまった。
 「父さん……」
 シンジの目から涙が零れ落ちる。
 やっと手に入れたと思ったのに。
 やっと、満たされたと思ったのに。

 どこまでも自分は『自分』として見て貰えはしないのだと知り、
シンジはただ暗い淵で己の身体を抱きしめるより他になかった-----

507:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/06 18:51:17
ユメガヒロガリ(・∀・)イイイイング

508:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/07 02:42:30
キテター!!(゚∀゚)

509:469
06/01/07 09:51:29
朝っぱらからなんちゅーもん投下してんだ自分。と
突っ込まずにいられません。
というかゲンドウ、なんぼなんでも人を放り投げるな。男やもめで
どうしてローションとか完備してあるんですか。
ひょっとしたらそれ以上のモン持ってるかも。なんだこの変態親父。
人の所為にすな。お前が書いてるんじゃボケ、と自己ツッコミしつつ。


 己の腕の中で乱れる息子の姿。
 それは、ゲンドウにとって情欲の対象とは比べ物にならぬほどの存在だった。
 『それ』にどう触れてよいのか、ずっと分からなかった。
 思い出すのはいつも、無垢な目をしてユイの腕の中から自分を見上げる彼の姿。
 嬉しそうな目をして、幸せそうに微笑む姿。
 それが失われたのは、あの時から。
 ユイが永遠になった、あの瞬間からだった。

 「…父さん…父さん…っ!」
 それが、今は自分の腕の中で情欲にまみれている。
 見たこともない、己の分身の艶に溺れた痴態。それを与えている自分自身の姿。
 『彼女が見たら、どう思うだろうか』
 彼の顔に自嘲気味な笑みが浮かぶ。
 「ユイ………」
 ゲンドウはシンジの中に放つ直前、無意識のうち呟いていた。

510:469
06/01/07 09:52:47
 何故、自分とシンジを置いていった。
 おまえがここに居てさえくれれば。
 そうすれば、こんな想いをさせずにすんだのに。

 いいや、違う。
 彼女のせいなどではなかった。
 こうなったのは、全て自分の所為だ。
 全てを捨てて、逃げ出した自分。
 彼を見ようとしなかった自分。
 すべて彼自身の蒔いた種だった。
 そのつけを今、彼の息子が全て負ってしまっている。

 「…あぁ…んぁっ…!」
 ゲンドウが己を吐き出した瞬間、腕の中でシンジの身体も跳ねる。
 男に犯され、絶頂に達する息子の姿。それはゲンドウにとって背徳以外の何物でもない。
 シンジの身体から力が抜けていく。
 「父さん…」
 その言葉を最後に、息子が気を失ったのを知った。
 「シンジ…すまない…」
 目尻を濡らしたまま意識を失う息子に、そう声をかける。
 本人に伝わらないところでしか、このような言葉を口に出せない自分が無性に情けなかった。

 『ユイ…私はどうすれば良かったのだ…』

 問いには誰も答えてはくれなかった。
 傷つけあうのは初めから分かっていた事だった。
 その上で、呼び戻した。
 全て予想していたことだった。
 だが、これは----

 ゲンドウは初めて、己が今進むべき道を見失ったことに、気が、ついた-----

511:469
06/01/07 09:54:07
 シンジが目を覚ましたとき、部屋には誰も残っていなかった。
 がらんとした暗い部屋は、妙に冷たい。
 重い腰を庇いながらリビングに向かうと、テーブルの上になにか置いてあるのを見つける。
 シンジはそれを手に取りぼんやりと眺めた。
 【葛城くんには連絡した。今日は学校とネルフには行かなくてもよい】
 たったそれだけの文章と、鍵。
 それは「これを使って出て行け」と言われているのか、それとも
「いつでもここに来ていい」という証なのか。
 シンジにそれを判断することは出来なかった。

 重い身体を引きずり、シンジはシャワールームに向かう。
 身体に残された昨夜の情事の跡。それはシンジにとって忘れがたく、しかし
消してしまいたい思い出だった。
 湯を満遍なく身体にかける。しかしそんな事では昨日の傷跡は決して消えてはくれない。

 乱れた自分。
 汚された自分。
 犯された自分。
 再び、父に捨てられた自分----

 シャワーの音に、嗚咽が混じる。
 手に入れたと思ったのに。
 いいや、手に入れたと思ったからこそ。
 今のこの感情がシンジには耐えられぬほどの寂しさを与えていた。
 『父さん』
 『どうして、父さん』
 溢れる涙は彼自身にも止め方など、分かるはずもなかった。

512:469
06/01/07 09:55:04
 身体を拭いて、シンジは父のベッドにもう一度身体を滑り込ませた。
 昨日感じた父のにおいに塗れているシーツに顔をうずめる。

 『僕を見て』
 『僕に触れて』
 『僕を、抱きしめてよ…』

 自身に手を這わせる。
 女にはない器官。男の自分だけがもっているそれに指を這わせる。
 『父さん…』
 父に弄られる自分を想像する。
 咥えられ、舌で嬲られる。指で扱かれる。
 『それ』を弄られている間は、父は『女』を思い出さないだろうから。
 だから執拗にそこを責め立てた。
 「…ぁ…んぁ…父さん…」
 父の顔を思い浮かべながら夢中で扱く。

 もっと、狂わせて。
 他に何も感じないくらい。
 何も思い出せなくなるくらい、僕を犯して。
 父さんの『モノ』にして。
 もうどうでもいい。
 自分のプライドも、嫉妬も、父への憧憬も。
 全て忘れさせて。

 「あぁ…っ父さん…もっと…っ」
 身体が跳ねる。昨日と同じように。
 と、同時に。
 シンジの掌に、白い涙が、迸った----

513:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/07 13:30:28
ウヒョイイ━(。A。)━!!!!

514:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/07 15:28:36
職人さん乙です!
シンジ切ない・・だがそれがイイ (*´д`)ハァハ

今ちょうど命の選択~のDVDを茶の間でたれ流しながら読んでたんだが
「父さんやめてよ!!!!こんなのやめてよぉぉぉぉぉ」のセリフと
バッチリシンクロしてしまい妙にハゲ照れ。

パターンレインボウゥ!! 間違いありません。ウヒョーです!


515:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/07 18:40:30
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。) ウヒョーォオヲォオオ!

516:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/08 00:25:47
モエー――!!!!!!!!!!!!!!!!
ハァハァ止まらんwwwwwwwwwwwwwwwwヤヴァイ!!!!!

次はトウジ×シンジ物キボンヌwwwww

517:469
06/01/08 01:33:02
>516
はは、無茶言うなよコイツぅw つうのはまあ冗談ですがw
まあこの先は今回はともかく今後どんどん暗くなりまする。
エロ要素もあんまないかな。
それでよければ最後までお付き合いくださいませ。



 シンジは携帯の画面に「着信」の文字を見つけると、急いで留守電を確認する。
それは『あの時』から始まった奇妙な習慣だった。
 あの夜から、時折シンジの携帯にはゲンドウからの着信が入るようになった。
大抵は「今日は部屋に戻る」等のほんの短い父の予定のようなものなのだが、
シンジはそれがまるで何かの合図のように彼のマンションへと向かうのだ。
 今日も『それ』は彼の携帯に何事もなかったかのように吹き込まれている。
シンジは夕飯の買い物を済ませると足早にゲンドウのマンションへと向かった。

 『それ』の時ゲンドウは彼の部屋でシンジの作った食事を採ることに、いつのまにか決まっていた。
 だからシンジは安心して夕飯の用意をはじめる。
 誰かのために作る食事は案外苦ではないことに気付いたのは、ミサトと一緒に住むようになってからだった。
 だが彼の父に食事をしつらえることは、それにも増してシンジにとって楽しい出来事になっていた。
 父と二人で摂る食事。
 ずっと焦がれていた時間が過ごせることは、シンジにとって何よりの至福の時間だ。
 夕飯の仕込を済ませると、ダイニングの椅子に腰を下ろしたシンジはふ、と時計に目を走らせる。
 帰ってくると分かっている人を待つ事が、こんなに楽しいものだとシンジはこうやって時を過ごすことで
初めて知った。

518:469
06/01/08 01:34:22
 やがて扉の向こうから響く靴音に、シンジは顔を綻ばせる。
 「おかえり、父さん」
 シンジの笑顔にゲンドウはああ、とだけ答えるとコートをシンジに手渡し
シャワールームへと向かう。
 シンジはそれをクローゼットへ仕舞うと父が風呂から上がったタイミングに
合うように夕飯の支度を始めるのだ。
 まるで、ままごとの様な甘い時間。
 シンジはそれをただ享受していくだけだった。
 やがて風呂から上がる父の気配を感じる。
 「お疲れ様。ご飯出来てるよ」
 シンジの言葉に答える事無く、ゲンドウは彼の身体を抱き寄せる。
 「…ぁ…待って…」
 「どうした。…嫌か」
 父の言葉にシンジはふるふると首を振る。
 「違うよ…ご飯、冷めちゃう…」
 シンジの言葉にゲンドウは構わん、とだけ答えると彼の身体を再び抱き寄せ、口付ける。
 「…ん……っ」
 甘い接吻。
 それはシンジの心をもゆるゆると蕩けさせる。
 『あの時』の彼の呟きを、シンジは意識的に頭の中から追い出していた。
 それさえ忘れてしまえば、今の状況は彼にとって申し分ない。
 自分は父に求められている。
 それが身体だけでも、シンジにとっては自分を保つには充分だった。

519:469
06/01/08 01:35:23
 ゲンドウの首に両腕を回す。
 それが合図のように、二人は互いを求め始めた。
 触れられる、指先。
 与えられる快感。
 それらは全てシンジにとって己の情欲そのものだった。
 「あぁ…父さん…っもっと…!」
 躊躇う事無く求める彼に、ゲンドウは激しく彼自身を弄ってゆく。
 もっと深く。
 もっと、激しく。
 シンジは父を求め続けた。
 いつのまにか躊躇いは何処かに消え去っていた。
 今の自分に感じられるのは父の熱い飛沫だけ。
 それが全てだった。

 すべて、どうでもいい。
 抱きしめて。
 気持ちよくさせて。
 それが何故いけないことなの?
 どうでもいい、何もかも。
 世界も、未来も。…自分自身も。
 全てどうでもいい。
 自分にとって気持ちいい、今があればそれでいい。

 シンジはゲンドウのそれを咥え、目を閉じた。
 舌でゆるゆるとそれを味わう。
 父さんの、雄。
 自分を犯す、強い『雄』
 それが世界の全てだった。


520:469
06/01/08 01:36:17
 ゲンドウのそれを、自ら自分の最奥へと導く。
 早く。もっと深く。
 シンジは恥も外聞もなく、それを自分の中に受け入れた。
 「ぁ…っ父さん…いい…!」
 甘い吐息を漏らす。それは彼にとっての最上の時間。
 父と過ごす甘い憩いの時間。
 己を求める父。
 父を求める、自分自身。
 全てはこのためにあった。

 「あぁ…父さん…っもう…っ!」
 溜息はかき消されてゆく。深い、奈落の刻に。
 身体の奥に吐きだされる欲望の液体。
 それらがシンジの全てを情欲に駆り立ててゆく。
 だが、それは。

 それは。
 幸せな刻は、永遠には続かない。
 シンジにとってもそれは、音もさせず近づいていた。
 別離のとき。
 それは、彼にとって。

 最悪の状況でそれは訪れることを、今のシンジには知る由もなかった----

521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/08 05:03:24
ウヒョー(  ・)( ・∀)イイ(・∀・)ヨー(∀・ )(・  )イイヨー

522:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/08 09:22:38
ウホッ 先の読めない展開になって参りました(*´Д`)ハァハァ

523:469
06/01/08 09:50:32
>522
いんや今後読めまくりです展開w
そして素で>514にビビったw
ともあれ、暗い話が続きますが最後は幸せにしたいです。



 エヴァに乗る。
 それはシンジにとって父との繋がりだった。
 いつか綾波が『絆』と行っていた事の意味が、シンジには
ほんの少しだけ分かる気がした。
 エヴァに乗って使徒を殲滅すれば、父は自分を褒めてくれる。
 それだけがシンジにとっての『エヴァに乗る理由』だった。
 だが、それは------

 「どうしたシンジ。何故戦わん」
 「だって人が乗ってるんだよ?!僕には出来ないよ!!!」
 戦う相手は常に『ヒト』ではなかった。
 だからこそ『殲滅』できたのだ。シンジにとっては。
 『ヒト』と戦う。『ヒト』を傷つける。
 『ヒトを殺す』
 シンジにそれが出来るはずもなかった。
 そんな事を要求する父自身、シンジは信じられない思いだった。
 3号機…いや、第13使徒バルディエルの掌が、初号機の喉を掴む。
 息苦しさにシンジはくう、と溜息のような声を漏らす。
 「戦わなければお前が死ぬぞ」
 「それでもいい…僕には…出来ないよ…!」

524:469
06/01/08 09:51:52
 きりきりとシンジを締め付けるそれに、ゲンドウは眉根を狭める。
 彼は本気だ。
 他人を傷つけるくらいなら自分を傷つける方が、シンジにとっては
まだ容易い行為であることは、ゲンドウにもよく分かっていた。
 このまま彼の意思に全てをゆだねれば、彼はあっさりとその命を
差し出すだろう。
 ゲンドウはマヤに指示を与える。
 「初号機のシンクロを全てカット」
 それは、シンジにとって最悪の。
 しかしゲンドウにとっては唯一の判断だった。

 「やめて、父さんやめてよ!!!」
 悲痛な叫びが指令室にも響き渡る。
 ダミープラグに操られた初号機は、シンジの目の前で使徒殲滅を
実行していた。
 「やだ…嫌だよ…!こんなの…!」
 初号機の掌に握られる『それ』にシンジは目を見開いた。
 「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
 シンジの目の前で『それ』はぐしゃりと握りつぶされる。
 『ヒト』の乗った、エントリープラグ。それがシンジの掌で、
握りつぶされたのだ。
 「エヴァ参号機…いえ目標、完全に沈黙しました…」
 作戦司令室に、暗い声が響き渡る。
 そして、エントリープラグから搭乗者が救出される。幸いにも
それは命だけは取り留めていた。
 シンジはほっとしたようにその姿を見やり、そして。

 「---------!!!!!」

525:469
06/01/08 09:53:40
 もう、叫び声も出なかった。
 助け出された『それ』は。
 自分が殺そうとした『それ』は。
 父が殺せと命令した、『それ』は-----!

 生まれて初めて、シンジは他人を憎いと思った。
 回収された初号機の中で、気がつくとシンジはゲンドウに向かって、
啼く様に叫んでいだ。
 「まだ内部電源は残ってる!ここを半分潰す位ならできるんだ!」
 
 ずっと見ないフリをしていた。
 父の冷酷さを。
 自分の『役割』を。
 父にとっての自分は、あくまでも便利のよい『モノ』でしかなかったのだと。

 エヴァに乗る自分。
 彼の性を咥えこむ自分。
 楽しませるための自分。
 命令を遂行するためだけの、自分。

 それでもいい、と思っていた。父が自分を見てくれるなら。
 それでも幸せだと。満足だと。自分にそう言い聞かせてきた。
 事実、彼にとって今までの時間は至福だった。
 満たされていた、と思った。
 身体だけとはいえ、父に愛された。
 情欲だけとはいえ、求められた。
 命令遂行のためだけとはいえ、褒められた。
 それはシンジにとって全て幸せに繋がるものだった。

 その結果が、これなのか-----!!!

526:469
06/01/08 09:54:54
 『要らない』

 こんな『幸せ』なら、要らない。
 他人を踏みつけて、見殺しにして。
 そんなことでしか手に入らない幸せなら、もう欲しくはなかった。
 そんな父ならもう、消してしまったほうがマシだった。
 父の作ったエヴァと共に。
 全て消してしまおうと。
 忌まわしい、自分自身と共に。

 だが、その願いさえもゲンドウはシンジに赦す事はなかった。
 彼は強制排除され、病院に搬送される。
 彼の父への憎しみを抱えたまま。

 彼の頬を濡らすものは、LCLだけでは、なかった-----

527:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/08 14:14:59
イイッ(・∀・)ッッ!

528:469
06/01/08 15:39:33
マザコン親父とファザコン息子に拍車がかかってまいりました。



 「もうエヴァには乗らない」
 シンジはゲンドウを睨みながらそう叫んだ。
 こうなる事は彼がダミープラグの使用を決めたときから分かっていた事だった。
だからゲンドウは驚くこともなくその要求を聞き入れる。
 ピシャリと扉が閉まり、部屋を後にするシンジの後姿を見つめながらゲンドウは
シンジのパイロット資格の剥奪を命ずる内線をかける。
 それから執務室の扉をじっと見据えた。

 早かれ遅かれ、こうなる事は分かっていた。
 相容れる存在ではないのだ。自分達は。
 血に塗れた自分が触れてはいけない存在だった。初めから。
 はじめから全て、ゲンドウにはわかっていたのだ。
 それなのに触れてしまった。
 抱きしめてしまった。
 その血で汚れた掌で、穢してしまった。
 『これでいい。これ以上汚れる必要は、ない』
 独りでいることには、もう、慣れた。
 憎まれることにも。
 だがら、これでいい。
 そうすることでシンジが立って生きていけるのなら、ゲンドウにはそれだけでよかった。

529:469
06/01/08 15:42:24
 脳裏に浮かぶのは、いつもあの頃のシンジの姿。
 幸せそうな笑みを浮かべ、ユイの腕の中で微笑む息子の姿。

 壊したのは、自分だ。

 だがら、罪を負うのは自分だけでいい。
 彼の涙を流す姿など、もう見たくはなかった。
 『こんな私を見たらおまえは笑うだろうか』
 ゲンドウは彼の妻に思いを馳せる。

 『あなたはとても不器用なヒト』
 『生きるのが、苦手なのね』
 微笑みながら自分を抱きしめた、手。
 受け入れた微笑。

 いまその手がココにないことを、ゲンドウにとってあの日以来
これほどに感じた刻は、なかった。
 そして、こんな愛し方しか出来ない自分を。

 これほどに、後悔したことは、なかった-----

530:469
06/01/08 17:53:06
 「なんで今更逃げるんだよ!」
 シンジの携帯に着信が入る。彼が通話ボタンを押すと同時に、こんなケンスケの
謗り声が響いてきた。
 逃げるわけじゃない。
 もう嫌なんだ。あの父の元で働くのは。
 だから、見切った。
 せっかく出来た友達を殺せと命令するような、あの、父を。
 だがシンジが口を開く前に、回線はぶつりと切られてしまう。

 『誰も、分かってくれない』

 誰もいない。
 自分の心を分かってくれるものは誰もいないんだと、シンジはそう悟った。
 どうしようもなかったのに。
 父がそう命じたから、だから、トウジはあんな目にあったのに。
 自分は傷つけることなど望んではいなかったのに。
 シンジは箱根湯本の駅のホームで、電車が来るのを待っていた

531:469
06/01/08 17:54:15
 ここから離れよう。
 そうすればもう傷つかなくて済む。
 また平和な日々が訪れる。
 
 平和?
 あの、何もない日々が?
 誰からも求められない、誰も自分を見てくれない日々。
 それが自分にとっての平和?

 『仕方がないじゃないか』
 『だって僕はもう、エヴァのパイロットじゃない』
 
 だから、もう誰も自分を見てはくれない。
 それでいいの?

 知らない。
 もう考えたくない。
 自分の中で響くこの声は何?
 どうしてこんなに思い出したくないことばかり聞くの?

 『父さんなんて嫌い』
 『みんな嫌いだ』
 『楽しいことばかり考えて、何がいけないの』
 『楽しい事だけして、それで幸せならいいじゃないか』

 そうして、友達を壊すの?

 違う!
 あれは僕じゃない!
 僕のせいじゃない、父さんがいけないんだ!
 父さんのせいでトウジは!!!

532:469
06/01/08 17:55:31
 突然、警報が響き渡る。
 「使徒…!」
 シンジは駅から飛び出した。
 もう何も出来ないとわかっているのに、それでも彼はそうぜずにはいられなかった。
 そんなシンジに声をかける者がいた。加持リョウジだ。
 「シンジ君じゃないか。ここは危ない、こっちだ」
 誘われるまま彼についていく。
 壊される街。逃げ惑う人々。
 煩いほどに鳴り響く警報の音。
 彼がエヴァに乗って戦っている間の人々の喧騒をシンジは初めて目の当たりにした。
 呆然とそれを見つめるシンジに加持が声をかける。
 「君は、大人を知るのが早すぎたんだな」
 「………?」
 シンジのもつ雰囲気の違いを、加持はいち早く見抜いていた。
 おそらく彼がもう『知っている』ことに。
 「同情はしないさ。こんな御時世だからな」
 そのまま彼を自分の畑まで導いていく。
 「君は大人の世界を知った。だから俺は、君に言わなきゃならない」
 「…え…」
 「君がまだ子供のままでいたいと言うなら、俺にそれを止める権利はないさ。
 それでも、君は決めなくてはいけない」
 シンジはびくりと身体を竦ませた。
 加持は気付いているのだろうか。シンジと父との関係を。
 「君には、君しか出来ないことがある。違うか?」
 「………!!」
 どうしろと言うのか、自分に。だが加持はその答えを否定するかのように続ける。
 「決めるのは君自身だ。…自分が、どうしたいのか」

 どうしたいのか。
 そんなこと、シンジに分かるはずもない。
 しかし悩んでいる暇は彼にはなかった。
 目の前で苦戦する、零号機と弐号機。一刻の猶予もそこにはなかった。

533:469
06/01/08 17:56:56
 僕は。
 僕は、どうすればいい。
 考えるより先に、身体が動いていた。
 彼が向かったのは。

 ネルフ。
 結局彼が向かう先は、そこしかなかった。

 「どうしておまえがここに居る」
 ゲンドウの声が響く。シンジはその声の響く方向に視線を動かした。
 そしてしっかと父の姿を見据える。
 僕にしか出来ないこと。
 それは、やはりこれしかなかった。
 嫌だけど。もう二度と乗らないと決めたけど。
 それでも、もう後悔はしたくなかった。
 誰かが目の前で傷つくのを、シンジはもう見たくなかった。
 覚悟を決める。
 それは、何に対してなのか。しかし。
 「僕は…僕は、エヴァンゲリオン初号機のパイロットです!」
 はっきりとした声が、ネルフに響き渡った。

534:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/08 21:39:37
イイ…(・∀・)

いろんな意味で興奮して
鳥肌立った((゚∀゚))

535:469
06/01/08 22:22:10
ホモ登場。いやホモ言うなよ。
すいませんパチンカーなのでパチ版の呼び名で定着しちゃいました。
他意はありません。はい。



 シンジはネルフに戻ることになった。
 だが結局、シンジの『もう誰かが傷つくのは見たくない』という願いは
決して叶うことはなかった。
 復帰した彼を待っていたものは。
 本当の、修羅場。

 加持が、姿を消した。ミサトの元に伝言だけを残して。
 あの時の疑問を抱えたまま。
 アスカも失踪した。
 傷つき、何もかも全て、シンジもアスカ自身も否定して消えた。
 そして、綾波までも。
 シンジの見舞いに答えた綾波は、もうシンジの知る彼女ではなかった。
 「多分私は3人目だから」
 それは、シンジに微笑んでくれた…はにかんだ笑顔で礼を言った
彼女がもう、この世にはいないという事を指していた。

536:469
06/01/08 22:24:42
 全て。彼の守りたかったものは全て、彼の元を去っていった。
 もう誰も残されてはいなかった。彼のもとには誰も。
 取り残された哀しさがどうしようもなくシンジの心を苛んでゆく。

 寂しかった。
 独りには慣れていたはずなのに、どうしようもなくシンジの心には
寂しさが吹き荒れていた。
 ゲンドウからの電話も、もうシンジの携帯にはかかって来なかった。
 シンジもまた、それを待つことはなくなっていた。
 それでもシンジには、独りでいることは耐えようもなく辛かった。
 誰でもいい、そばにいて欲しい。
 抱きしめて欲しい。
 ここに居ていいのだと、誰かに認めて欲しい。
 それをしてくれた父には、縋るわけにはいかなかった。
 彼を許す事はシンジには出来そうもなかった。
 そんな父に縋ることなど、何があってもしたくはなかったから。

 しかし。

 『誰か……助けて…』
 夕日が街を染めてゆく。
 また夜が来る。長い長い、夜が。
 独りで膝を抱え、寂しさに耐えなくてはならない時間が。
 『嫌だ…嫌だ…。独りはいやだよ…!』
 シンジの心の呟きに答えるように、夕日の中から歌声が、響いた。

537:469
06/01/09 00:59:54
 「歌はいいねえ。リリンが生み出した文化の極みだよ」
 アルビノの白い肌。色素の薄い毛髪。血のように紅い、瞳。
 「そう思わないかい?碇シンジ君」

 それが彼との出会いだった。
 渚カヲル。
 シンジにとって、初めての理解者である、彼との。

 初めて会った時からシンジにとって彼は『他人』という感じを抱かせなかった。
それは彼の持つ雰囲気が綾波のそれと酷似していたからだろうか。
 いいや、それ以上にシンジは彼の微笑みに惹かれていた。
 全てを知っているかのような不思議な微笑み。
 それが自分に向けられているとき、何故だか彼はとても安心できた。
 『受け入れてくれるかもしれない。彼なら』
 シンジは漠然とそう感じていた。

 「待っててくれたのかい?」
 カヲルは訓練を終えて、シンジにそう声をかける。
 それから二人でシャワールームに向かった。
 湯船に浸かっていてもなんだかいつも以上にリラックスできている気がして、
シンジはどこか不思議な気持ちになる。
 こんな気持ちになったのは久しぶりだ。
 シンジはかつて自分が幸せであった『その時』をつい思い出してしまい、ふるふると頭を振った。
 『忘れよう、もう』
 ゲンドウとの事は、もう過去のことだと。
 決して消えてくれはしない、でも消してしまいたい刹那の思い出。
 でもきっといつか忘れられる。彼がそばにいてくれれば。
 確証もなく、シンジにはそんな気がしていた。

538:469
06/01/09 01:01:49
 「君の心は硝子細工のように繊細で、壊れ易い。…好意に値するよ」
 「え?」
 言葉の意味が分からずシンジは一瞬彼の目を見返して問い返した。
 それにカヲルは微笑みで返事をする
 「好きって事さ」

 『好き』

 そんな言葉を言われたのは、初めてだった。
 シンジの心に暖かい喜びが溢れてくる。
 嬉しかった。どんな言葉より。どんな褒め言葉より。
 シンジにとってそれは、なによりずっと焦がれていた言葉だったから。
 『もっと、彼と一緒にいたい』
 シンジは彼の部屋に行ってもいいか、と尋ねる。そんなに積極的にシンジが
他人と関わりを持とうとしたのは、これが初めてのことだった。
 声に出して初めて『断られたらどうしよう』という不安がシンジを襲う。だが
それも杞憂に終わった。
 返ってきたのはやはり、シンジの好きな彼の、最上の笑顔だった。

 いろいろな話をした。
 尤も話しているのは専らシンジの方で、カヲルはただそれを笑顔で聞いている
だけだったのだが。
 『なんで、こんな事話してるんだろう』
 シンジにも分からなかった。
 彼になら何でも話してしまいたくなる。
 自分の辛かったこと。泣き出したいほど哀しかったこと。自分自身の全てを。
 全て受け入れて欲しかった。
 そして事実、カヲルはそれら全てを受け入れるかのように、ただ彼の話に頷いていた。
 ふと、カヲルが微笑みを漏らす。
 「君に逢うために、僕は生まれてきたのかもしれない」
 シンジの心にびり、と電撃が走ったような気がした。
 零れそうな涙を抑えながら、シンジにはただ頷くことでしか彼に答えることは出来ない。

539:469
06/01/09 01:03:17
 「ねえ、シンジ君。やっぱりこっちに来ないかい?」
 「え、駄目だよ。カヲル君はベッドで寝て」
 シンジの言葉にカヲルは可笑しくてたまらない、といった風情で吹き出してみせる。
 「そうじゃないよ。…一緒に寝ない?」
 「…え…?」
 瞬間、シンジの頬が赤く染まる。カヲルの真意が図れず返事が出来ないでいる彼に、
カヲルは再び問いかけた。
 「それとも僕と一緒では嫌かい?」
 「そ…そんなことない!」
 ふるふると頭を振る。その姿にカヲルは満足げに、にっこりと微笑んだ。
 「じゃあ決まりだシンジ君。…おいで」
 ベッドの中から手を伸ばす。
 シンジは頬を染めながら頷くと、そっとその手をとり彼のベッドへと身体を滑り込ませた。
 「ごめん…狭いよね」
 「こうしてれば狭くはないさ」
 言葉と共にシンジの身体がぐいと抱き寄せられる。
 「…ぁ……」
 頬を染めてシンジは身体を固く強張らせた。
 「緊張してる。…僕が怖い?」
 カヲルの言葉にふるふると頭を振って否定すると、シンジはゆるゆると身体の力を抜いていった。

540:469
06/01/09 01:05:50
 構わない。…カヲル君なら。

 シンジはぎゅっと目を閉じて、カヲルを、待った。
 「…………?」
 しかしいつまで待っても彼の思う『それ』は訪れなかった。
 シンジは訝しげにカヲルに問いかける。
 「…しないの?」
 「何を?」
 カヲルの返事にかあっと頬が熱くなる。

 何を考えていたんだろう、自分は。

 恥ずかしさに死んでしまいたい。
 赤面しながら俯くシンジに、カヲルはきょとんとした目で彼を見つめた。
それからふ、と笑みを漏らすと再びシンジの身体をきつく抱きしめる。
 「暖かいね、シンジ君の身体は」
 「…………」
 恥ずかしさにシンジは何も答えることが出来ない。だがカヲルはそれに構わず言葉を続けた。
 「僕は君のぬくもりを感じてるだけで満足だよ」
 「………」
 「でもシンジ君がそれ以上を求めるのなら、そうするけど」
 カヲルの言葉に、シンジの身体がびくりと跳ねる。

 それ以上。

 シンジが欲しかったのは『それ』では決してなかった。
 ふるふるとシンジは頭を振る。
 「ううん。僕もこのほうが、いい…」
 腕をそっとカヲルの背に回す。ゆるゆると暖かい何かが、シンジの中に流れ込んでくる。
 知らずシンジの頬を熱いものが流れた。

541:469
06/01/09 01:07:37
 嬉しかった。
 何も与えられない自分でも、誰かを満足させられる事が。
 身体を求められることもなく、ただシンジの望む『ぬくもり』をくれる彼の存在が。
 『君に逢うために生まれてきたのかもしれない』
 その言葉を伝えたいのは、シンジの方だったのかもしれない。
 
 幸せだった。
 ゲンドウと共に過ごした『ごっこ遊び』のような幸せではない、本当の幸せ。
 自分の気持ちを受け入れてくれる誰かに出会えた、本当の至福の時間。
 
 しかし。
 シンジは不安に身体を竦める。
 シンジが幸せを感じれば感じるほどに『絶望』の刻は、彼の元へと近づいてくるような。
 そんな予感がして、彼はぎゅっとカヲルの背中をきつく抱きしめる。
 
 離れないで。
 離さないで。
 誰も、誰も。
 誰も、もう僕のそばにはいないのだから。
 だから。
 カヲル君だけは。

 だが、シンジの願いは、それは。
 いつの時も、彼の願いは。
 決して叶うことが、なかった-----

542:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/09 03:06:35
ホアア─ッ!!

543:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/09 06:21:43
キタキタキター!!!

544:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/09 08:41:07
結局カヲルか

545:469
06/01/09 17:57:49
ホモ賛否両論だなあ。
でもこれもどうしても必要だったのでどうか堪えてつかぁさい。
>544
とりあえずこの話に於いてはそれは当たってないな。
何故なら自分は親父萌えだからw



 「嘘だ!カヲル君がそんな…嘘だっ!!!」
 「事実よ。受け止めなさい」
 冷酷な言葉にシンジの心が弾けるような音がした。
 「どうして…なんでだよカヲル君!」
 あの時心が触れあったと思ったのは。
 互いに通じ合えたと思ったのは。
 全部嘘だったというの?
 僕がエヴァのパイロットだから。カヲル君が使途…だから。
 だから近づいたの?僕に。
 全部そのために。
 あの夜も。
 『好きだ』と言ってくれたあの言葉も…?!

 「裏切ったな!僕の心を裏切ったんだ!…父さんと同じに!!!」
 シンジの心が叫びだす。
 どうして。
 どうしていつも、大切なヒトは自分を裏切るの。
 自分を捨てていくの。
 綾波も、アスカも、…父さんも。カヲル君まで!!!!!
 嫌だ。
 もう捨てられるのは嫌だ。


546:469
06/01/09 18:01:14
 シンジは夢中で初号機とともにターミナルドグマを降り、カヲルを追いかける。
 そしてそこにカヲルの姿を確認すると同時に、シンジの行く手を弐号機が
阻んできた。 カヲルに操られて。
 「邪魔するなっ!!!」
 シンジは躊躇う事無く弐号機を破壊する。
 カヲルは、そこにいた。
 まるでシンジを待っていたかのように。
 初号機の掌がカヲルを掴む。それさえ予期していたかのように、彼はあっさりと
シンジに捕まった。
 「生と死は等価値なんだよ。僕にとっては」
 「カヲル君…君が何を言ってるのか分からないよ…!」
 シンジが欲しかったのはそんな言葉ではなかった。
 確かめたかったのは、そんな事ではなかった。

 裏切ったの?
 好きといってくれた言葉は本当に嘘だったの?!
 どうして一緒にいてくれなかったの。
 どうして離れようとするの。誰もが僕から。
 皆、どうして。
 どうして!
 どうして!!
 どうしてなんだよ!!!!


547:469
06/01/09 18:02:32
 「うわぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
 もう分からない、何も。
 何もかも分からない。自分の気持ちが。
 自分が今何をしているのかも。
 痛い。
 痛いよ。
 誰か助けて。
 誰か僕をここから連れ出して。
 お願いだから。
 みんな…カヲル君…
 …父さん…!!!

 その時シンジの掌に掴まれたカヲルの首が。
 ごとり、と地面に、落ちた----

548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/09 18:52:19
バシャンじゃないのかぁ

乙イ(・∀・)イヨ

549:469
06/01/09 19:52:06
>548 ごめん素で間違えた。



 「死ぬべきだったのは僕の方だ…。カヲル君じゃなくて」
 「いいえ、彼は生きることを放棄した。だから残ったの。シンジ君が」
 溢れてくる、涙。
 それを拭ってくれるヒトはもう、いない。
 「…冷たいんだね、ミサトさんは」
 答えは返ってこない。
 もう、誰も答えてはくれなかった。
 シンジの問いに。
 シンジの、心に。
 もういない。誰も。
 シンジを暖めてくれるモノは、もう誰も残ってはいなかった。

 状況は、悪化する。
 シンジはそれをただ冷めた目で見つめることしか出来なかった。
 もう何もしたくない。
 どうでもいい。なにもかも。
 世界も、エヴァも、…自分の命も。
 カチリ、とシンジの頭に銃口が突きつけられる。
 「悪く思うなよ」

550:469
06/01/09 19:53:13
 殺すの、僕を。
 殺されるの?僕は?
 いいよ。
 もういい。
 殺して。
 今すぐに。
 早く。

 どうせ、もう生きてる意味なんてないのだから。
 今このときも、僕は死んでるのと同じなんだから。
 だから、もう、いいんだ…。

 だが、それすらも阻止されてしまう。ミサトの手によって。
 「歩きなさい!あなたにはまだやるべき事が残されてる!」
 することって、何?
 やらなきゃいけない事ってなんだよ。
 もう僕は何もしたくない。なにも考えたくない。
 誰も、誰も僕のことなんて分かってくれない。
 押し付けるだけ。みんなの都合を。
 大人の、都合を。
 僕の意思なんて関係無しに。いつもいつも、いつも---!!!
 辺りには銃声が鳴り止まない。その中をミサトはシンジをつれて走っていく。
エヴァ格納庫へと続く道を。
 初号機の元へと。

551:469
06/01/09 19:55:17
 エレベーターに彼を押し込めると、ミサトはシンジの唇に己のそれを重ねた。
そしてそのまま、深く絡めとる。
 「大人のキスよ。…帰ったら…続きをしましょうね…」
 その言葉を最後に、扉が閉められる。
 倒れていく彼女のからだは、シンジの目には入ることはなかった。

 シンジはたった今触れられた自分の唇に指を這わせる。
 『大人のキス』
 シンジはもう、それを知っていた。
 それ以上のことも。
 だが女から与えられるそれは、まるで別のもののようにシンジにとって
柔らかいぬくもりを与えていた。
 ベークライトに固められた初号機が動き始める。
 まるで、シンジを待っていたかのように。
 「母さんも、僕に求めるんだね。エヴァに乗ることを…」
 シンジは諦めたような溜息を漏らす。

 『分かったよ。僕に出来ることは、これしかない』

 初号機が彼を連れて行く。戦いの場所へ。
 「アスカは、戦っているの?女の子なのに」
 「僕は男なのに、逃げてばっかりだ」
 「ごめんアスカ。ごめんね。…待ってて。いま僕も行くから」
 「助けるから。絶対」
 だがシンジが目にしたものは、量産型エヴァ達に捕食される、二号機の姿-----

 「あぁぁぁぁっぁっっっっ!!!!!」
 間に合わなかった。
 また、シンジの守りたかったものは、彼の掌からすり抜けていく。
 なにもかも。
 そしてシンジの身体を槍たちが貫き、浮き上がらせる。

552:469
06/01/09 19:56:50
 どうして。
 守りたいものは、どうして。
 守りたい?何を。
 世界を?この世界を?
 自分をこんな目に合わせた大人達の作る、この世界を?
 自分を?
 こんな血に塗れた自分を?

 もう嫌だ。
 嫌いだ。みんな嫌い。
 みんな嫌いだ。
 僕は、僕が、嫌いだ。
 だから。
 『みんな、死んじゃえ----!!!』

 シンジの願いはいつも叶うことがなかった。
 いつだって、シンジの求められるものは与えられることはなかった。
 それなのに。
 『それ』は。
 その、最悪の願いだけが。
 初めて、叶えられた-----

553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/09 21:35:44
ポエム乙

554:469
06/01/09 23:07:30
>553
冷静な突っ込み有難う。
まったくその通りです返す言葉もありません。
そんなポエミーなもの読んでくれたうえレスまで下さる
あなたにも乙。




 補完が、始まる。
 赤い海が人々を溶かしてゆく。
 それぞれの想い人の姿を借りて、ひとつに溶け合ってゆく。
 それは、彼の元にも。
 『レイ』に拒否され『願い』を叶えられなかった、もう一人の男の元にも
それは等しく訪れていた。

 「ユイ…」
 ゲンドウの元に現れる、初号機の姿。
 それは、彼の妻の。
 求めてやまなかった、彼の愛しいヒトの。
 そして誰より大切な、彼の息子の乗った。

555:469
06/01/09 23:10:50
 『怖かったのね』

 ああ、その通りだ。私は『あれ』を何よりも怖れていた。
 ユイの腕の中で微笑むシンジが。
 私に置いて行かれ、泣き喚くシンジが。
 呼び戻したあの時のシンジが。
 再び戻ってきた、あのシンジが。
 ずっと、怖かった。
 いつか訪れる時が。ユイと同じように、自分を見捨てて行ってしまうその日が。
 その時、自分はどうなってしまうのか。

 『だから、消したの』

 そうだ。だから消した。自分の中からその存在を。
 それなのに抱きしめてしまった。
 そして、傷つけた。これ以上ないほどに。
 
 『愛してると、言うのが怖かったのね』

 ああ、そうだ。
 『あれ』がそれを待っているのを知っていたのに、私にはそれを言うだけの
勇気がなかった。覚悟がなかったのだ。
 「すまなかった…シンジ」
 後悔の言葉と共に、ゲンドウの身体は初号機に捕食される。
それが、彼の願いだったから。
 ヒトは分かり合うことなど出来はしない。
 ヒトが、ヒトの身体を持つ限り。
 だからこうするしかない。

 ゲンドウは、ようやく今、ひとつになれた。
 彼の望んでやまなかった、その存在と---

556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/10 00:14:18
ここで終わったのかと思った

557:469
06/01/10 01:12:57
当たらずも遠からず。これで終わりです。


 シンジは何もない空間をただ彷徨っていた。
 以前にも感じたことがある、この感覚。
 身体の先から溶け合っていくこの感じは、初号機に取り込まれたときのあの感じと同じ。
 そして、それ以上に『誰か』と溶け合う感じ。

 『君が世界で、世界は君だ。分かるかい?シンジ君』
 気がつくとレイとカヲルがシンジの前に立っていた。
 「分かるよ。今皆とひとつになっている。…還ってきたみたいだ」
 『全てがひとつに溶け合う世界。これが碇君の望んだ世界なの』
 レイの言葉にシンジの身体が震える。
 この世界を望んだのか?本当に、自分は。
 瞬間、世界が白く染まる。
 シンジが疑問を覚えたその瞬間、彼の意識はふいに何かに飲み込まれた。

 赤ん坊の泣き声が聞こえる。
 遠くに見えるその姿は、まだ若い面差しのゲンドウとユイ。
 「女の子ならレイ、男の子ならシンジだ」
 ユイの腕の中で微笑むシンジに、ゲンドウは戸惑うように呟いた。
 「この子はこんな世界で生きていくのか。…地獄のような、この世界で」
 ゲンドウの戸惑い、不安、恐れ。
 それらがシンジの心にも流れてくる。そして、それらを取り巻くもっと大きな心も。

558:469
06/01/10 01:14:38
 愛しい。

 初めて得た、たった一人の肉親を想うこころ。
 感謝のこころ。生きてくれて、生まれてきてくれて有難うと想う暖かいこころ。
 それら全てがシンジの中に流れ込んできた。
 「父さん……」
 シンジの心が、涙を流している気がした。
 「僕は……」
 温かい心。シンジを包み込む、大きなおおきなこころ。
 それは彼の心の隅々に染み渡ってゆく。
 「僕は、いらない子なんかじゃ、なかった…」

 ありがとう。
 ありがとう、父さん。
 嬉しい。嬉しい。嬉しいよ父さん。

 シンジの心が満たされていく。ずっと欠けていたモノが埋まる感覚。
 それが、補完だった。シンジにとってこれが。
 そして、シンジの心が彼の意識を捉えた。
 彼の父である、ゲンドウの、意識を。

 「…シンジか」
 目の前にはいつの間にかゲンドウがいた。シンジは彼の目を正面からじっと見つめる。
 こんな風に向き合ったことは今までなかった。
 こんなに穏やかな心で、父と向き合ったことは。

559:469
06/01/10 01:16:06
 「人は人の身体をもつ限り、分かり合えたりはしない。お前にも、もう分かっただろう」
 ゲンドウはそう呟く。その言葉にシンジは軽く頷いてみせた。
 「そうだね。こんな事でもなければ、僕は父さんの気持ちを本当に分かることは
 出来なかったと思う。多分、父さんが僕の気持ちが分からなかったのと同じで」
 シンジの言葉にゲンドウはふ、と笑みを漏らせた。
 「ゼーレの補完も悪くはないな。お前と、こんな風に話が出来る」
 初めて見るゲンドウの穏やかな笑みに、シンジもふふ、と楽しそうに笑った。
 「僕もだよ、父さん。僕もずっとこうやって普通に話がしたかった」

 でも。

 シンジはそっと目を伏せた。
 「でもね、父さん」
 ゲンドウはシンジの言葉にじっと耳を澄ませる。
 「人は、本当の意味で分かり合うことは、きっと出来ない。でも」
 シンジの心に溢れる気持ちは、もっと違った形で彼を動かしていた。
 「父さんが僕を褒めてくれたとき、僕は嬉しかった。抱きしめてくれたときも。
 お墓参りに誘ってくれたときも。哀しいときも沢山あったけど、あの時僕は、
 本当に嬉しかったんだ」
 ゲンドウの目がシンジをじっとみつめる。
 「だから…。人は分かり合おうとすることは、出来るのかもしれない。
 …この気持ちが、僕の。…全ての人の中に、ある限り」

560:469
06/01/10 01:17:18
 嬉しい気持ちが。
 知りたいと言う気持ちが。
 欲しいと思う気持ちが。
 愛しいと思う、気持ちが----
 その気持ちがある限り、いつか、きっと。
 それはこんな形では決してないけれど。
 それでも。

 『人の心を取り戻せば、元の形に戻れる。また、他人の恐怖が始まる。
 碇君は、それでもいいの?』

 分からない。
 でも、父と抱き合ったときのあの気持ちも、自分にとっては嘘ではなかったから。
 だから、きっとやり直せる。
 ゲンドウはそっとその目を閉じた。

 『ああ、そうだ』
 『自分にとって彼がいた時間は、決して嘘ではなかった』
 『それは確かに、自分にとって』
 『私はあの時確かに、嬉しかったのだ----』

 世界が全ての色に染まる。黒い月が、壊される。
 それは。
 それは、始まりの瞬間。
 全てのいのちの、再生の瞬間だった。

561:469
06/01/10 01:19:14
 気がつくとシンジは波打ち際に打ち上げられていた。隣にはやはり同じく、アスカの姿。
 シンジはその首に手をかける。
 シンジの掌に脈打つもの。シンジの掌を通じて伝わる呼吸。それは、生きていることの証だった。
 生きている。これが、生きるということ。この身体をもっている事そのものが、ヒトが生きるということ。
 「…気持ち悪い」
 アスカがぼそりとそう呟いた。
 気持ち悪いと感じる身体も、気持ちいいと感じる体も。
 それらは全て、同じ身体。
 その身体をつくるものが。そのこころを形作るものが、ATフィールドと呼ばれたそれなのかもしれない。

 「帰ろう。アスカ」
 シンジはそっと彼女の手をとった。まだ呆然としている彼女は素直にそのまま彼に従い立ち上がる。
 そう、僕達は帰らなくてはいけない。あの街へ。この、大地へ。
 この海に還るのではなく。
 ヒトは生まれたときからこの海に還りたかっている。それでも帰る所はこの大地にしか存在しないのだから。
 だから、帰ってきて。
 「父さん。僕、待ってるから。…ずっと待ってるから…」
 振り返ってその海を見つめる。
 帰ってくる。きっと。
 この体験で得た想いを、長い経験の中で繰り返してきた存在が『大人』なのだとシンジはあの時知った。
 だからきっと帰ってきてくれる。

 そしてシンジは振り返る事無く歩き出した。
 その海に背を、向けて-----

562:469
06/01/10 01:32:13
ようやく終わりました。
読んでくださった方、有難うございます。
あの親子関係がどうにも不服で書き始めたこの話ですが、
拙いばかりで今一歩伝え切れなかったかもしれません。
本編の展開もあえて変えたところ、素で間違えたところなどが混在して
自分でも何がなんだかさっぱりです。
ただ分かったことは、やはり自分は親父スキーだということくらいでした

それではこれで名無しに戻ります。
ありがとうございました。

563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/10 05:15:16
長編マジGJGJ!!!!最後らへんでホロリときた

564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/10 07:37:39
当時シンジと親父の和解をひたすら望んでいた身としては
実に読み応えがあった。GJ

565:せめて、801スレらしく。
06/01/10 18:12:01
あるかもしれない、いつかのどこかの物語。
続きません。


 気がつくと、私は浜辺にいた。
 目の前には息子の姿。
 「父さん、おかえり」
 それだけ言うとしっかりと抱きしめてくる。その頬を涙が濡らしている。
 だがそれが哀しみ故のものではないことは、まだ意識のはっきりしていない私にも容易く
分かる事だった。
 
 それから、目まぐるしい日々が続く。
 赤の海に沈んでいた都市は、人々が日々増えていくのに比例するかのようにその水位を
下げていった。
 今ではそれは以前の状態と変わらないまでになっている。
 ただし、ゼーレの老人達だけは帰っては来なかった。
 あの海の中で彼らは自分達の望む『補完』の日々を、今も待っているのかもしれない。
 彼らの組織と財産は全て押収、解体された。
 私はこの事件の主要人物として投獄される覚悟を決めていたが、不思議とそれはいつまで
待っても来なかった。
 人々の記憶が消えているわけではない証拠に、ネルフは解体。しかしその職員は政府直轄の
復興支援団体として再結成された、そこで働くこととなった。勿論私も例外ではない。
 私の私的財産は押収されたが、代わりに生活にかかる費用は全て補助に寄る事になった。勿論
それは、私という人物を監視するためなのだろう。要は自由な監獄に入れられたようなものだ。
 だが、その生活に不満はなかった。

566:せめて、801スレらしく。
06/01/10 18:15:14
 シンジと私は同居することになった。
 実の親子が共に生活することに何の問題があろうか。政府もそれをあっさりと認め、
私たちは新しい生活を始めることとなった。

 「父さん朝ごはんできたってば。早くしないと遅刻しちゃうよ」
 ベッドルームの扉が勢いよく開けられる。私は疲れきった身体をのろのろと
起き上がらせると髪を掻き回した。
 「そんなに寝起き悪くて、よく今まで一人暮らしできたね」
 シンジの言葉に溜息をつく。
 私が毎朝毎度、疲れきった状態で目覚める羽目に陥っているのはいったい
誰の所為だと思っているのだろう。
 「さっさと起きて顔洗って着替えて!ほら父さん!」
 腕をぐいと掴まれて無理やりベッドから引きずり出される。正直に言おう。痛い。
 だがそんな私をあっさりと無視するとシンジは台所へと再び姿を消した。
程なくしてコーヒーの匂いが辺りにたちこめる。
 着替えを終え席につく私の目の前に、計ったようなタイミングで淹れたてのそれは差し出された。
 私は素直にそれを受け取ると、口に運ぶ。
 あたたかい。
 それは、温かい味がした。
 何ひとつ不満のない生活だ。ゲンドウは不思議な想いでそれを味わう。

567:せめて、801スレらしく。
06/01/10 18:16:33
 正体の見えぬ怖れは、もう彼の中には存在しなかった。あの、赤い海から
帰ってきたときから。
 まったく不安がないといえば嘘になるが、それでもかつての焦燥のような恐怖は、
彼をもう苦しめることはなかった。
 「シンジ」
 「何?父さん」
 食事を終えて学校へ向かう彼の身体をふいに抱き寄せる。
 そして、唇を。
 見る間に彼の頬は、赤く染まっていった。その姿にふ、と知らず笑みがこぼれる。
 やはり私とシンジは普通の世間一般で言う『親子関係』とは大きく違う関係しか築けぬようだ。
少なくとも、今のところは。
 それはシンジにしても同じだったらしく、どうして良いのか分からないからこうしよう、
と提案したのも彼からだった。
 お互いどうも、想いを言葉にして分かり合おうとする行為は苦手なようだ。
こんな所で親子なのだなと実感する。
 しかしかつてのそれと比べれば、自分達の関係は大いに進歩している。
少なくとも、私にとっては。
 そしておそらく、シンジにとってもそれは。
 だから、もう少しだけこのままでいよう。折角やり直す機会が与えられたのだから。
 だから、ゆっくりと進んでゆけばよい。
 いつか訪れる、旅立ちの日まで。

 ゲンドウは『その日』の存在を、思ったほど怖れてはいない自分に気がついて、笑みを、こぼした。

568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/11 01:17:29
イイ(・∀・)イイヨー

569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:34:48
先行きなんも考えずに妄想してみた。
加持×シンジ気味に。


 最初は鞄か何かが当たっているのかと思った。

 学校帰りに新しいアルバムを買おうと湯本まで足を伸ばしたシンジは、夕刻の
通勤ラッシュに巻き込まれてしまいややうんざりとした面持ちで電車に乗り込んだ。
 扉近くの壁際に身体を滑り込ませると、ふうと溜息をつく。
 それはそんな時に起こった。
 『それ』があまりに頻繁に身体に触れるものだから、シンジはやや不愉快そうに
身体を捩ってその向きを変えようとして。
 そこでようやく『何かがおかしい』ことに気付く。
 さわさわと腰を蠢くもの。それは人の、恐らく目の前にいる男の掌だった。
 瞬間、シンジの頭がパニックに陥る。
 自分は男子学生の制服を着ている。確かに年齢にしては小柄で女顔だという
自覚はあるが、少なくとも女には見えないはずだ。
 だが自分に降りかかるこの状況は紛れもなく。
 『痴漢……?なんで?男なのになんで?』
 シンジの異変に気付いたのか、男の掌は彼の腰をしっかりと押さえ、逃げられぬよう固定してくる。
 それから、一方の手がシンジの下腹部へと伸びた。
 びく、と体が震える。
 『嫌だ…!誰か…』

570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:36:30
 辺りを見回すが、夕刻の通勤時間帯で混み合う車内に彼らの異変に気付いている
様子のものはいない。
 大声を出そうか迷うが、互いに男という状況でそれをしても信じてもらえるとは思えなかった。
第一喉は緊張の為か、からからでまともに声も出せそうにない。
 『どうしよう…嫌だ…いや…』
 シンジが迷っている間にも男の手は留まるところを知らない。
 やわやわと握りこみ、ズボンのファスナーを下ろされる。そして下着の上から直に揉み解された。
 『…っん…』
 辛うじて声が上がるのだけは防ぐ。
 そんなシンジの太腿を後ろから男の手が割り広がせると、双丘の付け根に固いものが押し付けられた。
 彼の秘部を突付き上げるそれが男の膨張したそれということは、布越しからでもはっきりと分かる。
 シンジが嫌悪感に身体を震わせた、その時。
 「桃源台、桃源台~」
 電車がホームに滑り込む。
 『助かった』
 あわてて人並みに紛れ電車からシンジは駆け下りた。
 それから乱れてしまった下半身に気付き鞄でそれを隠しながら人の流れるまま改札へと向かう。
 どうしようかと迷うシンジの目に飛び込んできたのは駅のトイレの看板。そこで乱れてしまった服を
直そうと彼は人ごみをはずれ、そこに向かった。
 『もう、ひどい目にあったなあ』
 シンジが安堵の溜息をつき個室の扉に手をかけた瞬間、ぐいとその肩を掴まれた。
 「こんなところで一人で慰めるつもりかな?」
 「………っ!」
 その指の感触は、電車の中で触れられたそれと同じ。
 叫びだそうとするシンジの口が、その掌で覆われた。

571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:38:05
 「…っ!んむ…っ!」
 そのまま個室に連れ込まれそうになる。シンジはそれだけは避けようと必死で身体を捩り、
男の手から逃れようともがいた。
 『こんなとこ連れ込まれたら…!』
 その先は電車で行われたあの身の毛のよだつ様な行為。いや、それ以上のことをされて
しまうのはいくらなんでもシンジにも予想できた。
 だから必死で食い下がる。だが所詮シンジの体躯で大人の男の力に叶うはずもない。
個室の中に突き飛ばされ、鍵が閉められようとしたその時。
 「な…なんだお前?!」
 男の戸惑ったような声が聞こえた。
 振り返ったシンジの目に映ったのは、よく知る男の姿。
 「加持さん…?」
 「ようシンジ君。こいつは君の知り合いか?」
 今までシンジに無体を仕掛けていた男の襟首を掴みながら、加持がこの場所には不釣合いな
までの笑みを浮かべ、シンジに聞いてくる。
 ふるふると首を振るシンジの姿に頷くと、加持は男の鳩尾に一発喰らわせる。
 それからシンジの手をとり立ち上がらせた。
 「何か駅の改札で見知った顔があるなと思って来て見たら。…随分ドラマチックな体験してるじゃないか」
 「な…なんですかドラマチックって!僕だって好きであんな目に…!」
 安堵の為かシンジの目から涙が零れ落ちる。
 加持はそれを見やるとやれやれといった顔をしてシンジの頭をぽんぽんと撫でてやった。
 「いや済まん。辛い目に、あったな」
 「…いえ、加持さん助けてくれたのに。僕の方こそごめんなさい…」
 それだけ言うとシンジは加持の胸に顔を埋め、しゃくりあげた。
 突然襲ってきた恐怖と、それから逃れられた安堵と、全ての感情がシンジの中で混ざり合い涙の粒となって溢れ出る。
 加持はただそれを頭を撫でてやることで、宥めるしかなかった。

572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:42:24
ごめんここまで。

573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/12 20:46:31
ところでこういう状況でなく本当に単に加持がシンジを見かけて
ついていっていた場合だと、やはり加持はシンジが出てくるのを
用を足しながら待ってて、出てきた瞬間
「よう、奇遇だなシンジ君」ってな事になるわけか。
嫌な出会いだな。

574:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/13 02:13:19
ちょとマテなんでココで終わりなんだ、そういうプレイか?焦らすなw

575:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/13 02:20:57
良スレ

576:569
06/01/13 19:02:05
なんとか続き思いついたので投下。


 とりあえず駅のベンチに泣きじゃくるシンジを座らせる。
 それから何とかひとごこちついたらしい彼にミルクティーを勧めながら、加持は時計に
目を走らせるとまずい、という顔をした。
 「そろそろ帰らなきゃ葛城にどやされるな。…シンジ君、送るよ」
 その言葉にシンジの体がびくり、と震えた。
 「………?どうした?」
 その反応に加持は訝しげにシンジの顔を覗き込む。慌ててシンジはぷるぷると首を振って
なんでもないです、とだけ答え自ら率先してホームへと向かうよう歩き出した。
 明らかに様子が変なのだが、あまり問いただすのも何だしと加持も彼について歩き出す。
それが一変したのは電車がホームに滑り込んできた瞬間だった。
 近づいてくる電車の姿にシンジの顔色がみるみる青ざめていく。
 「……っ!!!」
 そしてそれがホームに停車した瞬間、シンジはその場にしゃがみ込んでしまった。
青ざめた額には脂汗が滲んでいる。慌てた加持が見たのは口元を押さえ、必死に吐き気を
こらえているシンジの姿だった。
 「おい大丈夫か?!シンジ君?!」
 「だ…大丈夫…で…っぅ…!」
 ぶるぶると震える体を抱きとめると、加持は背中をさすってやる。
 やがて電車が発車しホームに人がまばらになる頃、シンジはようやくはあはあと息を整えると
加持にすみません、とだけ謝った。
 「謝る必要はないが…その様子じゃ電車は止した方が無難だな」
 加持は溜息をつくとシンジを再び駅のベンチへと誘った。
 『…無理もない。あんな事があった直後に、同じ電車に乗れと言う方が酷だったな』
 加持はさっきシンジから聞いたばかりの、電車の中で先程の男に痴漢行為にあったのだという話を思い出す。
 おそらく、ショックによるPTSD。電車の中だけならまだしも、後までつけられて男に襲われたという
恐怖が、シンジの心に深い傷をもたらしたのであろう事は容易に推測できた。
 そこまで気が回らなかった自分が情けない。加持は再び深く溜息をついた。

577:569
06/01/13 19:04:26
 「タクシーでも呼ぶとするか」
 そう言うと携帯電話を取り出そうとした加持の手を、シンジが掴む。それからはっと
気付いたように慌ててそれを引っ込めた。
 「ひょっとして…帰りたくないか?」
 加持の言葉にこくんとシンジが頷いた。
 今のシンジの精神状態では、家に戻ってもミサトやアスカに気を使う余裕はない。
かといって自分の部屋に引きこもって一人でいるのも今の彼には怖くて仕方がなかった。
 それをどう伝えてよいのかわからず、まごつくシンジの頭を、加持はぽんぽんと
撫でてやる。それから携帯電話を取り出すとミサトの元へと電話をかけた。
 「おう、葛城か。シンジ君は預かった。返して欲しくばキス一回で手を打つぞ。
 なに?いや本当だって。今日は俺んところに泊めるから心配するな。なあに
 男同士の親交でもたまには深めないとと思ってな」
 電話の向こうでミサトがキーキー言っているのを宥めながら加持はシンジにウインクした。
その表情にようやくシンジはほっと安堵したように微笑み返す。
 「僕の身代金、キス一回ですか?何か安くないですか?」
 「俺にとっては最上級に高いんだがなあ。その後のビンタがまた痛んだぞこれが」
 そんな軽口も出てきたシンジの姿に加持も安堵の溜息をつく。
 「さて、と。じゃあ今日の宿探さないとな」
 そう言ってシンジの手をとり加持は鼻歌交じりに歩き出す。正直、そのざっけない態度が
今のシンジにはとても有難かった。
 あまりいい印象を抱いていなかった彼だが、シンジはその認識を改めることにすると、
慌てて加持の後を追いかけた。

578:569
06/01/13 19:07:01
 「あの…ここ高いんじゃないですか?」
 シンジが恐る恐る声をかける。加持が連れてきたそこは仙石原に昔からある
高級リゾートホテルだった。
 「なあに、家までタクシー飛ばすよりは安いさ」
 事も無げにそう言うと加持はさくさくとチェックインの手続きを済ませ、
戸惑うシンジを先導する。
 流石手馴れてる…と余計な感心をしてしまう。実際ネルフでの彼の行動は大体
女を口説いてるか、ミサトと漫才のような掛け合いをしているかのどちらかだったので、
そういう意味では予想通りというか何と言うか。シンジは何となく可笑しくなって笑みをこぼした。
 「よしよし、元気出てきたな。ここは飯もなかなかでな、芦ノ湖の鱒料理はちょっとしたもんだ。
 後で食いにいこう」
 「…その絵に描いたような『女と以前来ました』な発言、何とかなりませんか?」
 シンジの鋭い突っ込みに加持はまいったな、といった面持ちでぽりぽりと頭を掻くしぐさをする。
 シンジは改めて『いい人だな』と安堵の笑みを浮かべた。彼が来てくれなかったら自分は今頃
どうなっていたのか予想も出来ない。その上こんなに迷惑をかけても、それを感じさせず
自分を労ってくれている彼の優しさが身に染みる。
 シンジの表情に、加持は『気にするな』と言うかのようにぽんぽんと頭を撫でる。

 指先から伝わる労りの言葉に、シンジは泣きたくなるような嬉しさを感じて微笑みを、返した。

579:569
06/01/13 22:00:53
なんとか違和感なく雪崩れ込ませることが出来ました。
やれやれ。一時はどうなることかと思いましたが何とかなりそう。でも落としどころに
かなり困ってます。こういう書き方は初めてなのでかなり戸惑い気味。


 レストランで食事を済ませた加持とシンジが部屋に戻る。
 部屋の中をぐるりと一瞥すると、シンジはおずおずと口を開いた。
 「あの…入ったときから思ってたんですけど。何でこの部屋ベッドが一つしかないんですか?」
 シンジの問いにもっともだと頷くと加持はバツの悪そうに頭を掻く素振りをする。
 「急なことでダブルの部屋しか空いてなくてな。でも心配するな」
 そう言うと加持はソファーをごそごそと弄り始める。マットの下を引き伸ばして形を整えると、
そこにはもう一つベッドが現れた。
 「こういう所はエキストラベッドが用意してあるからな。俺はこっちで寝るからシンジ君はベッドを使うといい」
 そういって微笑む。シンジは慌ててそれを遮った。
 「いや、駄目ですよ!僕がそっちに寝ますから加持さんがベッド使ってください!」
 「子供が遠慮なんかするモンじゃない。今日は疲れただろ?ここは露天風呂も最高なんだが
 もう夜遅いし、今日のところはシャワーだけにして早めに休んだ方がいい」
 あからさまな子ども扱いに一瞬腹が立つが、今日の自分の状況を考

えるととてもそれを否定することは出来ない。有無を言わさぬ彼の態度にシンジはそれ以上の説得は
諦め、軽く頷くとバスルームへと向かった。

580:569
06/01/13 22:04:06
 シンジはシャワーブースに入るとコックをひねり湯を身体にかけた。ヘッドから出る湯は
リゾート地らしくそれも温泉のようで、硫黄の匂いが少しだけシンジの鼻を擽った。
 シャンプーをしようと目を閉じてそれに手を伸ばした瞬間、シンジの目の前が白く光る。

 男に口をふさがれ乱暴に身体を弄られる感触。
 男の荒い息遣い。
 どうにもならない無力感。
 逃げ場所のない、恐怖-----

 「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 それらが一瞬のうちに蘇り、シンジは思わず叫びだした。
 息が、苦しい。
 夢中ではあはあと空気を吸うが、その度に余計苦しくなる気がしてシンジは堪らず床に身体を伏せる。
 自分を打つシャワーの湯と息苦しさが自分を更に追い詰める。シンジは夢中で頭を振った。

 苦しい。誰か。

 ぼうっとした頭でシンジが扉に目を向けた瞬間、そこに加持の姿が飛び込んできた。
 「大丈夫かシンジ君!」
 バスローブに彼の身体を包むと、加持はシンジのただ事ならざる様子に気がついた。
 急いでその辺にあるビニール袋を掴むとシンジの口元に押し当て背中を撫でてやる。
 「…落ち着いて。もう大丈夫だ。…ゆっくり、息を吐いて」
 青ざめて震えるシンジを出来るだけ労るように加持はそう声をかける。やや落ち着いた様子に
ほっと胸を撫で下ろすと彼はもう一度シンジの背中をゆっくりと撫さすった。
 「ゆっくり息を吸って、吐いて。そうだ」
 しばらくそうしているうちに、ようやくシンジはぜいぜいと息を整えた。
その姿に安堵し、加持が彼の肩に手を回した、そのとき。

581:569
06/01/13 22:13:26
 「………っ!!!」
 びくりとシンジの体が震える。見るとその目が恐怖に見開かれていた。
 「…嫌だ…っ!誰か…やだあ…っ!」
 突然暴れだしたシンジに驚くと加持は暴れる身体を取り押さえようと手を伸ばし、何かに
気付いたように彼の目を見つめる。

 『フラッシュバック…!』

 シンジの目に自分の姿は映っていない。
 恐らく、彼の目の前にいるのは先程自分を襲った暴漢の姿なのだろう。必死で加持の
手から逃れようともがいていた。
 「助けて…誰か…っ!」
 「シンジ君落ち着け!俺だ!加持だ!」
 必死でその身体を抱きしめ声をかける。その声にびくりと身体を震わせシンジは加持を見上げた。
 「…ぁ…加持さん…僕…僕……っ!」
 ぽろぽろと涙が零れる。予想以上のシンジの心の傷に、加持はどうしたものかと溜息をつき
彼の身体を再びぎゅっと抱きしめた。
 「…ぁ……!」
 その途端シンジは頬を染め加持の身体を勢いよく引き剥がす。
 そのまま、俯く。加持はあっけにとられたように彼の身体を見つめ、合点が言ったように
ああ、と声を漏らした。

582:569
06/01/13 22:15:56
 その声にシンジの体がびくんと震える。
 彼の体の中心で身をもたげるそれは、触れてもいないのに既に熱く震えていた。
 「僕…こんな…嫌なのに…どうして…!」
 ぽろぽろと涙をこぼす。加持はその姿にもう一度彼の身体を抱き寄せると、今度は逃げ出せないよう
更にきつく抱きしめた。
 「…大丈夫だ。何も変なことじゃない。男なら当然だ」
 「でも、こんな…あんな事されて…っ!」
 ぶるぶると震える。加持はその頭を撫でてやると優しく囁いた。
 「状況とか気持ちとかは関係ない。…きみは歓んだ訳じゃない。そういう哀しい体なんだ。
 男って生き物は、な」
 「…でも…でも…っ」
 「君は悪くない。なにも悪くないんだ。感じることも、悪いことじゃない」
 加持はそう言うと、シンジのそれにそっと手を伸ばした。
 びく、と震える。それを見て加持は出来るだけ優しく微笑んだ。
 「怖いか…?これは、怖いものじゃない。俺を信じてくれ、シンジ君」

 それだけ呟くと優しく撫でさする。シンジは目をつぶり静かにそれに従うとこくり、と頷いた。
  

583:569
06/01/14 06:42:43
一週間風邪っぴきで咳がひどいためまったく横になれません。横になると呼吸困難で死にます多分。
のでずっとパソコン弄っては意識を失い、咳で目覚めパソコン弄り…の繰り返しです。夜が長い。
寝不足で頭モーローとしてきました。異常な投下ペースです。誰かこの咳止めてマジで。
薬効きやしねえ。


 ゆるゆると体の力を抜いていく。
 加持の指が身体に触れる度、シンジは怖れる様に身体を震わせるが、すぐにその緊張を解いて
彼の為すがままにさせた。
 『大丈夫。…怖くない…これは、安心な手…』
 自分に言い聞かせるようにシンジは心の中でそう繰り返すと固く目を閉じる。
 シンジのそれがやんわりと握りこまれる。やさしく、羽が触れるようなそれから徐々に強さを増してゆく。
 「…ん…っ」
 シンジは堪らず声を漏らし、それから慌てたように口を押さえた。それを加持はやんわりと押しとどめる。
 「大丈夫だ。恥ずかしいことじゃない」
 「で…でも…ぁ…っ…」
 反論は加持の手の動きにかき消される。両手で包み込まれ、揉み解しながら扱かれる。その感覚に
シンジはびくりと身体を反らせた。
 ひくひくと痙攣する。加持はシンジの限界が近いことを知ると更にその掌の勢いを増していった。
 「あ…加持さん…駄目…!」
 目尻に涙を浮かべシンジが見上げてくる。加持はそれに構わずそのまま彼を追い詰めた。
 「ゃだ…っもう…!」
 「…構わない。そのまま任せて」
 加持の声にシンジはびくびくと身体を震わせると、一際甲高い声で呻き声を上げた。


584:569
06/01/14 06:45:44
 「…っん…くぅ…んぁ…!」
 その声と同時にシンジは達していた。白い飛沫が加持の掌に弾け飛ぶ。シンジはそれを見た途端
真っ赤に頬を染め俯いた。
 「ご…ごめんなさい…」
 「謝ることはない。俺がそうさせたんだからな」
 にこやかに微笑うと加持は掌に飛んだそれを舐めた。その光景にシンジは目を見開いてそれを押しとどめる。
 「駄目…加持さん汚いです…そんな…!」
 「汚くないさ。シンジ君のなんだから」
 事も無げにそう言う加持に、シンジは尚も恥ずかしそうに俯き。
 「……ぁ…」
 瞬間『それ』に視線を奪われる。
 「ん、どうした?…って、これか。参ったな」
 シンジの視線の先には、加持の起立した自身。照れくさそうに笑う加持を他所に、シンジは恐る恐る
それに手を伸ばした。
 「…僕のこと襲ったあの人も、こうなってました。男の体触ってて、気持ちいいものなんですか?
 僕にはよく分からない」
 「…まあ、少なくともシンジ君が相手なら不快ではないな。ただ、こういうのはそういうものとは別だと俺は思う」
 別のもの?シンジは不思議そうに加持の目を見つめる。
 「征服欲というか、な。自分の手の中でいい気持ちになってる相手を見ているだけで興奮するのも、
 男の自然な欲求だ」
 びくんと震えるシンジに加持は穏やかに微笑みかける。
 「ただそいつを望まぬ相手に押し付けるのは、男のやることじゃない。だからまあ、シンジ君が無理して
 それに応える必要も、ない」
 そう言うと加持はシンジの手を己のそれから外させる。それからゆっくりとその身体を抱きしめた。
 「シンジ君。人に触れることや、触れられることは怖いことじゃない。気持ちがいい、嬉しいことなんだ。
 心が通いあった証拠のようなものだからな。それだけ覚えておいてくれ」

585:569
06/01/14 06:48:54
 「加持さん…」
 シンジはゆるゆるとその腕を背中にまわした。
 「僕…嫌じゃないです。加持さんとこうしてるの。…だから」
 そう言うと己の身体を加持のそれに押し付ける仕草をした。
 「平気です。…加持さんが、嫌でなければ」
 シンジの言葉に加持の理性がぐらつきそうになる。それを必死で押し殺すとシンジの目を見つめた。
 「シンジ君。君は、男だ。こんな事覚える必要はないんだ」
 それだけ呟くとシンジの身体を引き離そうとする。だが、シンジはそれに逆らうように腕に力を込めた。
 それからふるふると首を振り、意を決したように加持の耳元で囁きかける。
 「もう遅いです。…だって、あの時無理やり押し付けられた感触はもう消せない。だから…加持さんなら、
 それも別の思い出にしてくれると思うから…」

 シンジのか細い呟きに、加持の中に残っていた最後の理性が音を立てて崩れる、気がした。

586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/14 10:43:23
つ、続きキター(*´Д`)ハァハァ

587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/14 14:17:52
シンジ受けはいいねえ

588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/15 03:43:19
たまらん(;´Д`)ハァハァ

589:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/15 20:25:35
おまえらー!!
ティッシュの用意しとけー!!!

590:569
06/01/16 01:01:01
なんとか薬が効いてきてありえんほど寝てました。



 抱きしめて、キスをする。深く、激しく。衝動の赴くまま加持はシンジを貪った。
 「…ん…ふぅ…っ…!」
 シンジは息苦しさに顔を背けようと身を捩る。だがそれを許さず加持は更に舌を深く絡ませ、
思うまま彼を蹂躙した。
 歯列をなぞり、吸い上げ、ちろちろと擽るように舌先で口内を掻き回す。
 シンジは突然訪れたその行為に、頭の端から蕩けていくような感覚を覚えぐったりと加持に
その身体を預けた。
 ゆっくりと、唇が離される。
 「これから先は、先刻みたいな優しい俺じゃない。君を奪おうとする一人の男だ。
 …いいのか?本当に」
 加持の振り絞るような呟きにシンジは戸惑いがちに、こくりと頷いた。
 それが合図のように、身体を床に押し付けられる。そして再び唇を奪われると、加持の唇は
そのままシンジの首筋へと移動した。
 「……っ」
 吸い上げられシンジはぴくりと身体を震わせる。首筋から鎖骨へ、それから胸の突起に辿り着くと
ちろり、と舐めあげられた。
 舌先で突付きあげられ、シンジは思わず甘い声を漏らす。その声音に加持は唇の端を少し持ち上げ、
彼の耳元で囁いた。
 「もっと声を聞かせてくれ。…気持ちいい時の、君の声を」
 シンジの頬が真っ赤に染まる。顔を背けようとするそれを阻むかのように、加持はその顎に手を掛け
上向かせると再び舌の動きを再開した。

591:569
06/01/16 01:04:58
 「…あ…っ」
 甘い、吐息のような上擦ったシンジの声。
 加持はまるで上質の音楽を聞くかのようにそれに耳を澄ませる。耳を擽る吐息と聞き慣れぬ彼の甲高く短い喘ぎ。
 それら全てが加持をもっと強い欲求へと導いていった。
 胸から脇腹へ。そして彼のもたらす刺激に再び勃ちあがりかけているそれへと、加持の唇が移動する。
 「…ひゃ…っ!」
 シンジが反応するより早く、加持の唇はシンジのそれを捕らえていた。そしてそのまま口に含まれる。
 「や…加持さん…駄目…っ!」
 シンジの抗議に耳も貸さず、加持はそのままシンジのそれを舌で舐め上げる。わざとぴちゃぴちゃと音が立つように
舌と唇で扱きあげるとシンジの体がひくひくと震え、反り返った。
 「やぁぁ…っ!」
 啼くような甘い声に加持は唇を離し、シンジに微笑みかけた。涙ぐむシンジの手を己のそれに導き触れさせると、
そのまま彼の口元へそれを押しあて呟く。
 「シンジ君…」
 加持の掠れたその声に導かれるように、シンジがそれを口に含む。
 おずおずと舌が触れ、舐めてくる感覚に加持はくう、と溜息を漏らした。
 ぞわぞわと背筋を駆け上る快楽に加持の体が震える。シンジの戸惑いがちな愛撫は却って彼を凶暴な情欲へと
駆り立てていた。
 加持は彼に己のものを含ませたまま、身体を捩りシンジの下半身へ顔を埋める。足を割り広がせると、
びくりとシンジの体が震えるのが分かった。だがそれに構わず最奥へ唇を近づける。
 「…んむっ…ふぅ…ん…!」
 入り口を丹念に唇で解きほぐし、舌を割り入れる。ねっとりとしたその感触に、シンジは異物の入る違和感と
背中を駆け上る快感を同時に覚え、くぐもった喘ぎ声をあげる。
 その声に後押しされるかのように加持は根元までそれを捩じ込むと、押し広げるように激しく舌を蠢かせた。
 「んふ…んん…っ!」
 柔らかく広げられかき回される感触に、シンジのそれは熱く震えている。加持はそれを横目で見やりながら更に
深く彼を追い詰めていく。

592:569
06/01/16 01:07:53
 「…っんん…んっっ…!」
 腰を動かしその口内を愉しみながら、彼の内部を舌で突付き上げる。両方からの激しい責苦にシンジは
既に限界寸前まで昇りつめていた。
 それを承知で加持は一番敏感であろう部分を乱暴に舐めあげてみせる。
 「んっ!ん…ふぅ…んんん…っ!!」
 びくん、と背を反らしシンジのそれが再び性を吐き出した。加持は満足そうにそれを指に取り片頬を歪ませる。
 「シンジ君、舐められて気持ちいいのか?これからもっと君は気持ち良くなる。…狂いそうな程に。覚悟はいいな」
 その言葉にシンジはびくりと身体を震わせた。射るような加持の瞳は獲物を追い詰めた時の獣のそれと同じに、
暗い欲望に塗れている。
 逃げ出したくなるような気持ちを抑え、シンジは加持のそれを口に含んだまま頷く。
 望んだのは自分なのだから、今更逃げ出せないことなど彼には百も承知だった。
 それが自分を傷つけるものでも、後悔はしないと心に深く誓う。
 「いい子だ。…シンジ君、いくぞ」
 そう言うとシンジの口から加持のものが引き抜かれる。それから大きく足を広げられ、今まで舌を入れられていた
そこにシンジの液で濡れた指が捩じ込まれた。
 「ひぁっ!…あっ…あぁ…!」
 いきなり広げられ、目尻から涙が零れる。がくがくと震える体を加持の腕がしっかりと支え、そのまま揺さぶられた。
 「んぁっ!くぅ…あああっっ!!」
 段々と指が増やされる。シンジの心が追いつくよりも先にそれは限界まで広げられ、じっくりと濡らされ解されていた。
 ちゅくちゅくと淫靡な音が部屋に響き渡る。
 「シンジ君…!」
 溜息のような呟きと共に指が引き抜かれ、ほっとシンジが身体の力を抜いた瞬間、指よりももっと熱く強大なモノが
シンジを貫いた。
 「あぁぁぁぁっ!!!」
 そのままがくがくと揺さぶられる。全身を貫くかのようなその感覚に、知らずシンジの瞳からは涙が溢れていた。
 だが、追及の手は緩まない。突き上げられ指よりも激しく、深く内部をかき回される。充分に解されていたためか
痛みはそれほどには感じなかったが、それでも異物感と広げられる戸惑いはおいそれと慣れられるものではなかった。

593:569
06/01/16 01:09:16
 「ふぁ…ぁ…」
 視界が歪む。身体の全てが加持の行為に支配される感覚に、シンジは怖れるように首を振ることで耐えるしかない。

 『君を奪う』

 その言葉の意味がようやく理解できる。

 奪われる。なにもかも。
 シンジの身体も、感情も、心も。全てが今の彼にとっては加持の思うが侭になってしまっていた。

 「あぁ…っ…加持さん…もう…許して…っ!」
 口をついて出る哀願の言葉。自分がおかしくなってしまいそうなほどの、快感。

 そう、快感だった。
 加持に染められる自分。貫かれ、支配される自分。
 情欲に乱れ、全ての思考を誰かに委ねる快感。

 そんな自分をまざまざと見せ付けられている気がして、シンジは首を振り加持の責めをただ耐え続ける。
 「シンジ君…いくぞ…っ!」
 なにかに焦るような呟きと共に、シンジの中のそれが一際熱く、固く膨れ上がり、その瞬間。
 「あぁ…んあぁぁっあん…っ!」
 シンジの叫ぶような喘ぎと共に、加持のそれはシンジの中に熱い迸りを放っていた。

594:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/16 03:15:54
キテター!!!!!!
ハァハァハァハァハァハァハァ

595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/16 17:16:34
くぁwせdfrtgyふじこl;p@:「」

萌えもえもえもえもえもえも絵もえもえーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ついにやちゃったーーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwww

596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/01/16 19:05:07
加持シンに目覚めそうです

597:569
06/01/17 16:40:16
なんとか終わりです。ついでに風邪もだいぶ良くなりました。
シンジ受けは風邪に良く効くらしいです。お試しあれ。


 熱い。
 シンジは迸るその感覚に、虚ろな目のまま体を捩り、腰をくねらせた。最後の一滴も逃さず
吸い尽くすかのような締め付けに加持の表情が軽く歪む。
 「シンジ君…最高だ…」
 その言葉に恥らうように首を振る。しかしその動きは決して止まる事はなかった。それは加持の
固さが失われるまで締め上げ、蠢き続けている。
 「や…そんな…ぁぁ…っ!」
 そして甘い叫びと共に、シンジも三度目の絶頂を迎えた。
 はあはあと部屋に二人の甘い吐息が響き渡る。しっかりと抱きしめ合い互いの呼吸が一つになる頃、
加持の身体がむくりと起き上がる。
 それから湿らせたタオルを持ってくるとまだぼうっとしているシンジの身体を清め始めた。
 体中に飛んだ飛沫を拭うと、腿の間に手を伸ばす。その途端シンジの体がびくりと震え、
恥ずかしそうに身を捩った。
 「あ…僕、自分でしますから…」
 「今更恥ずかしがってもしょうがないだろ?いいから任せて」
 そう言うと強引に足を広がせると指で丹念に拭いてゆく。入り口に触れるたびシンジはぴくぴくと身体を震わせた。
 その反応に悪戯心が芽生え、わざと耳元で囁いてみせる。
 「また感じてるのか?シンジ君はいやらしいな」
 「……!…加持さんのバカ…!」
 短く抗議すると、シンジは真っ赤に頬を染めぷいと拗ねた様に加持に背中を向けてしまう。
 「怒ったのか?そういう表情もいいもんだな」
 後ろから抱きすくめ、耳元を舐めるように舌で突付いてみせるとシンジの唇から軽い吐息のような声が漏れる。
 その表情に加持は満足げに微笑むと、ふと気付いたように声を上げた。

598:569
06/01/17 16:41:52
 「おっと、あんまり可愛い声出さないでくれよ。…まあもう遅いか」
 「え?」
 何のことかとシンジが振り向いた先には、加持の再び起立した自身。思わず呆れ顔を作る
シンジに加持はにや、と笑ってみせた。
 「君があんまり可愛いからいけないんだ。責任、取ってくれるよな?」
 その言葉にシンジの頬が染まる。
 「む…無理ですよ!僕もう…!」
 加持は慌てて首を振るシンジの頬に手を当てると、唇に指を押し当てた。
 「こっちなら、平気だろ…?」
 「…やっぱり加持さんは意地悪な人だったんですね」
 何を今更、と微笑んでみせるとシンジは諦めたように溜息をついた。それからゆっくり立ち上がると
ベッドの方に向かう。
 状況が分からずはて、という顔を作る加持の姿にシンジは振り返って不機嫌そうな顔で手招きをした。
 「…床のままじゃ、身体痛くなっちゃいますから。ダブルだったら二人で寝れるでしょ。
 もう、早くしてください!」
 頬を染めながらふくれっ面をするその姿に思わず噴きだす。それからしまったと言う顔つきで
すまんすまんと謝りながら加持もベッドの方に近づいた。そしてそのまま、シンジを抱きしめる。
 ベッドに寝そべり促すと、シンジはこくりと頷いて加持のそれを恐る恐る口に含んだ。
 震える唇と、舌。それらでゆっくりと舐めあげられ、時折吸い付いてくる。添えられた右手でやんわりと
扱きながら筋に沿って舌を絡ませてくる仕草に加持は少々驚いてシンジを見つめた。
 「……ごめんなさい。よくないですか…?」
 加持のその反応に、唾液で濡れた唇から舌を覗かしながらシンジが見上げてくる。
 「いや、逆だ。上手いよシンジ君。一度でこんなに上達するなんて、これも才能かな?」
 「いりませんよそんな才能」
 あっさりと否定するとシンジはそのまま作業に戻った。
 袋を揉み解し扱きながら、先端を口に含んで舌で刺激する。ぺちょぺちょと音を立てながら眉根を寄せて
加持に奉仕しながら、シンジは無意識のうちに腰をくねらせていた。


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