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銀色の髪のアギト 2005/11/02松竹試写室 by K. Hattori
何しろ「世界のミヤザキ」なのだ。宮崎駿の作品は世界中のアニメ製作者に影響を与えているし、
その作品世界に触発されるだけでなく、明らかな模倣としか思えない作品も少なからず生み出され
ている。ましてや日本で宮崎アニメを見て育ち、長じては宮崎アニメの製作現場で働いたという人達
から、その影響を排除してまったくのオリジナル作品を作れと要求するのはかなり難しいのかもしれ
ない。しかしだ、ここまで影響力があらわな作品を、あえて現在オリジナル・アニメとして製作する意
味があるのだろうか?
本作『銀色の髪のアギト』は、「未来少年コナン」や『ルパン三世/カリオストロの城』『風の谷のナ
ウシカ』『天空の城ラピュタ』そして『もののけ姫』などから、話のアイデア、世界観、エピソード、シー
ンの演出まで、あれこれ引用ながらツギハギして、一応それらしく作り上げた台紙の上に張り付け
ただけの作品ではないのか。(ついでに『AKIRA』のエッセンスを少々ふりかけてある。)僕にはこの
映画から、製作者たちがやりたかったことがまったく伝わってこなかった。マネならマネで構わない。
好きな作品からシーンを引用したっていい。表現というのは先行者の模倣の上に成り立っているの
だ。でも引用や模倣をしたとしても、作品の中心には「これがやりたい!」という明確な芯が必要な
んじゃないだろうか。この作品の場合、それは一体なんなのだ?