06/11/06 19:09:19 3CbUALQf
西高東低の気圧配置に変化し冬の到来を告げる寒波が御崎市に到来した頃……一人の少年と小柄な少女が並んで歩いていた。
「……」
「……」
互いに会話はない。“炎髪灼眼の討ち手”の少女シャナは極度の緊張に襲われていた。
零時迷子の“ミステス”坂井悠二と二人きりに
なるのは久しぶりだったからである。
“天壌の劫火”アラストールは“万条の仕手”ヴィルヘルミナと共に会議を開いている。
シャナの今後の教育方針を悠二の母千夏の意見を取り入れまとめているらしい。
(悠二何か喋ってよ……)
贄殿遮那を振るい紅蓮の双翼を出し紅世の徒と戦うフレイムヘイズが一人の少女になっていた。
表情はこの上なく不機嫌である。
(シャナなに怒ってるんだ?)
一方悠二はそんなシャナの表情に首を傾げていた。
(カルメルさんにメロンパン禁止令出されたのまだ怒ってるのかな)
頭は切れるのにそっちの話にめっぽう鈍感な零時迷子のミステスはシャナの健康を心配したヴィルヘルミナが出したメロンパン禁止令のせいだと誤解していた。
(どうしよう……)
風が吹き落ち葉が舞い地面を覆い隠す。
(……だけど、今日言うしかないよね)
突き刺すような冷風が頬にあたる。
(だけど……怖い)
厚い雲から日光が差し込み辺り一面を照らす。
(悠二がもし一美を選んだら……)
「……シャナ?さっきから黙ってどうしたの?具合でも悪い?」
不意にかけられた悠二の声にシャナは動揺する。
「なんでもない!」
そう言ってシャナはそっぽを向く。