06/09/08 20:11:13 eF4TmO6l
>>855
コトコト、コトコト・・・
囲炉裏の真ん中に、小さな火の上に煤けたやかんが一つ。
外は吹雪、でなくとも雪国の寒さは厳しい。特に、この姉妹の住まいはボロなのだ。
ヒゥー・・・と、戸の隙間から寒気と共に粉雪が舞い込む。
もぞもぞと、むずがる末の妹を長女がぎゅぅと抱きしめる。
「ルリ、寒い?」
ううん平気、と頭を振って姉に抱き付く。本当に姉の腕の中は不思議と寒さを感じない。
ふと、それを見つめる視線に気づく。
長女は柔らかく笑うと、次女を手招きして抱き寄せる。
三女は半分だけ体をずらして、二人がすっぽりとレイの腕の中に納まる。
「寒くない?」長女の問いに揃って首を横に振る。
それを嬉しそうに見て、レイは二人に語りかける。
「明日は、お仕事があるから。帰りに白いお米いっぱい買ってくるからね・・・
明日は晴れるといいわね・・・。あら、二人とも寝ちゃったの?」
外は相変わらずの吹雪。しかし、この小さな家の囲炉裏の淵は、いつも通りあたたかった。