06/04/24 22:24:09 hn4XSSE7
各々外野がエールになっていないエールを飛ばす。
「カナガワーがんばるですぅ!」
「かにみそーがんばるのー!」
「将軍さまーまんせーなのだわー!」
顔を真っ赤にしたカナ水銀のヒステリーじみた声が響き渡る。
「そこっ!!今喋ったの誰かしら!!?」
全員です。
「だから、なーんで水銀燈が反応するです?」
カナ水銀が気をとられたその一瞬を衝いて、水銀カナが素早く攻撃を仕掛けた。
「いっくわよぉ、序曲!背徳の不協和音!!!」
遅れをとったカナ水銀の顔に緊張が走る。
『わわっ!一体どんな演奏が奏でられるって言うのかしら!?』
しかし、思わず身構えたカナ水銀の予想とは裏腹に、バイオリンの弓を空中に投げ捨てた水銀カナは、
爪で弦を直につまんでそのままゆっくりと上下にしごきだした。
ギャキキキィィィイイ!!!!
そこから放たれる音は黒板を引っ掻く様な強烈に不快な音。
桜田家の窓が粉々に割れて吹き飛ぶ。屋根がビリビリと共鳴しだす。
「わあぁぁぁぁ!!これはたまらないですぅぅぅ!!!」
「くぅぅぅ、金糸雀、止めるのだわ!!」
この攻撃にはカナ水銀も耐え切れずに、失速して地面に突っ伏しのたうち回る。
「ひいいいいぃ、何てハイレベルの演奏なのかしらー!!ジョン・ケージも真っ青かしらぁ!!」
いや、これを演奏とは言わないぞ。
予想外の攻撃にカナ水銀は這いずりながら逃げに入る。逃げ足だけはローゼンメイデン一。
「ちょっと、待ちなさい!」
水銀カナが追撃に移行する。だが、金糸雀の体では水銀燈に追いつく筈が無い。
遠く逃げゆくカナ水銀を見ながら、水銀カナは攻撃の手段を変えることにした。
「…金糸雀、めぐの仕返しはあなたのミーディアムにさせてもらうわよぉ」
2体が去った後、ドールズは穴だらけの庭に呆然と佇んでいた。
「金糸雀…おそるべき嫌がらせ攻撃ですぅ…」
「…水銀燈の攻撃の名前って『まっくろなビーム』って言うのね…」
「ダッサイ名前ですぅ」
「ほんと、最低のセンスだわ」
「うにゅー、たまごやきがじゃりじゃりなのー」
こうして水銀燈の黒龍波は、まっくろなビームと呼ばれることになった。
後編へつづく。