06/04/12 21:06:03 rDzW6dMx
「追い出されちゃったね」
めぐが何やら嬉しそうに話し掛ける。
ドアが閉まるのを呆然と見ていたジュンは、今の状況に気付いて戦慄した。
めぐと二人きり。それは、これ以上なく危険な状況に他ならない。
人目があってもすこぶる積極的な彼女だ。それがなくなったら、どんな行動に出るか簡単に想像がつく。獣は野に放たれた!
「真紅っ、ドアを開けて! お願いだよっ!」
ジュンはドンドンとドアを叩くが、鍵を掛けられたドアはびくともしない。
部屋の中で、真紅はその様子を聞いていた。助けを呼ぶ声が、椅子に向かう彼女の足を止める。
「開けてっ! 独りにしないでっ!」
真紅を頼るジュンの声が、彼女の心を揺さぶる。
「ひど~い、私がいるじゃないのぉ」
「め、めぐっ、ダメだって!」
「何がダメなの?」
真紅が迷っている間にも、外のジュンにめぐの魔の手が伸びる。声しか聞こえなくても、ジュンが危ない目に遭っているのは目に見えるように分かる。
「もうっ……!!」
意地になっていた真紅が、身を翻してドアに向かう。あれだけ散々に言われても、彼女はジュンを放っておけなかった。
ロックを解除してドアノブを押した真紅は、助けが遅かったことを知る。
「あれ……いない?」
部屋の前に二人の姿はなかった。廊下に出て端から端まで見渡しても、それらしい姿はなかった。めぐから逃げるためにどこかへ行ったのだろう。
探してまで助ける気は起きず、真紅は部屋の中へと戻った。
つづく