06/04/07 20:16:16 gIQASey8
>>242
「僕はローゼンメイデン第五ドール桜田ジュン」
「私は真紅。それ以上は何も聞かないで」
騒々しい出会いが一段落した所で自己紹介を始める二人。
人形の自己紹介を聞いても、真紅はそれほど混乱しなかった。彼女はローゼンメイデンに関する書籍を読んでいてジュンと出会ったのだ。わずかでも予備知識があった分、冷静に対応できた。
真紅の自己紹介については、深く考えないでおいてほしい。真紅は真紅。それでいいではありませんか。
自己紹介が終わった所で、ジュンは大切な交渉を持ち掛ける。これを成すために真紅が選ばれたのだ。
「ローゼンメイデンはアリスゲームで争っているんだけど、それにはミーディアムの協力が必要なんだ」
「アリスゲーム? ミーディアム?」
「そう、アリスゲーム。アリスを生み出すための戦い。僕にとっては非情に迷惑な戦いなんだけど、狙われているから戦うしかないんだ」
「それで、ミーディアムは?」
「ミーディアムは、僕達ローゼンメイデンに力を送ってくれる人間を指す言葉。今から真紅がそれになるんだ」
「は? どうして?」
ミーディアムになれと言われ、真紅が見るからに嫌そうな顔をする。戦いに巻き込まれるのだから、それが常識的な反応だろう。
こうまで露骨に嫌な顔をされるとは思っていなかったジュンは、一瞬怯みながらも説得する。
「ホーリエがお前を選んだからだよ。人工精霊は、ドールに見合うミーディアムを選ぶ事ができる」
「それはいいけど、私に見返りはあるのかしら」
「見返り?」
「当然でしょ。得る物も無いのに戦うなんてごめんなのだわ」
交渉はここでストップしてしまう。歳に似合わず、やけに現実主義な真紅の主張に、ジュンは何も言い返せなかった。アリスゲームに報酬など期待できない。