【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ【一般】at ANICHARA
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ【一般】 - 暇つぶし2ch165:ケットシー
06/03/31 18:30:54 JpUxYEDC

「大事にするのはいいけど、おまえらは店で買ったりしないんだろ? 財布は持ち歩かずに仕舞っておけよ。落として無くすぞ」
「なっ!? チビ人間っ、誰もおまえなんぞの作った財布なんて大事にしてないですよ! 無くして泣いたりしないですよ!」

 おもしろいように狼狽する翠星石。それを見ながら蒼星石は「無くしたら泣くんだね」と姉の本心を代弁する。
 恥ずかしくて言葉も出なくなった彼女は、リビングから逃げ出て行った。

「人に作らせといて、なんだよ、まったく……」

 本心を見抜けなかったジュンは憤慨し、蒼星石はそんなすれ違う二人を溜め息混じりで見ていた。
 リビングに来ていきなり腹を立てたジュンだが、ここに来た目的を思い出して幾分か冷静になる。
「蒼星石、これ」
 ジュンが差し出した手には、みんなと同じ小銭入れがあった。
「これを僕に?」
「どうせバカ姉がおまえにも小遣いをやるだろうから。それだけだからな」
 押し付けるように渡したジュンは、すぐに背を向けて廊下に出た。

「よかったね。蒼星石もヒナと同じお財布なのっ」
「あっ、ジュン君―」
 嬉しさのあまり夢見心地だった蒼星石は、雛苺の声ではっとなってジュンの後を追う。
 そして、階段で追いついた彼女は、急いでお礼の言葉を送る。

「ジュン君、ありがとう。大切にするよ」

 ジュンは一瞬足を踏み止めるだけで、振り返りもしないで二階に向かった。
 それでも、彼女には解っていた。感謝の気持ちが、彼にしっかりと届いたことを。
 蒼星石はもう一度小銭入れをよく見た後、両手で包むようにして小さな胸に押し当てた。



つづく


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