認知療法:行動療法:論理療法12 -質問回答歓迎at UTU
認知療法:行動療法:論理療法12 -質問回答歓迎 - 暇つぶし2ch408:最後ですm(_ _)m
09/05/15 16:34:34 YFTsTv6I
「自分は生まれない方がよかった」という思想とは、自らを「望ましからぬ者や生きる資格のない者」であるとみなし、
「あたかもそんなものは嘗て存在したことがなかったかのように地表から抹殺してしまう」ことへの希求に等しい。
それはいわば、歴史上に微少な「忘却の穴」をつくりだそうとすることなのである。

だがそのような欲望が成就されることはない。
なぜなら「世界には人間が多すぎるから、完全な忘却などというものはありえないのである。
必ず誰かひとりが生き残っていて見てきたことを語るだろう」
誰かがすでに生まれたのならその人を覚えている人が必ずいるというアーレントの示唆は、
私たちにとっても無縁ではない。

ある人の生がどれほど苦痛に満ちていたとしても、すでにその人を<誰か>と認めてしまった他者がいる以上、
その人は自らの生を「なかったもの」にすることはもはやできないのである。
いうまでもなく、本人以外の他者たち、すなわち私たちのもそれはできない。
だが私たちにはできることもある。
それは、ある人をして「生まれない方がよかった」と叫ばせるほどの苦痛を和らげるべく手助けすることであり、
苦痛である必然性のない不便を解消すべく便宜を図ることである。
すなわち、自らの生を否定する人を迎える世界が、その人の生を肯定するものであるよう、世界の側を整備することである。

                              from加藤秀一『<個>からはじめる生命論』


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