10/02/25 21:07:01 発信元:203.133.224.184
ぐぐったらでた
漢文(聊斎志異)の口語訳
明の末、山東省の青・えんのあたりに蝗が発生し、次第に沂県に集まってきた。
沂県の長官は蝗の害を心配していた。
仕事を終えて役所内の部屋で寝ていると、一人の秀才が訪ねてきた夢を見た。
高い冠をかぶり、緑の服を着て、容姿端麗である。
男は自分から、「蝗の害を防ぐ策がある。」と言った。
(県令が)尋ねると、答えて言うには、
「明日、西南の路上に、大きなおなかの牝の驢馬に乗った婦人が現れるが、これは蝗の神だ。
この婦人に哀願すれば、蝗の害から逃れることができるだろう。」と。
県令は不思議な夢を見たと思い、供え物を準備して町の南に出掛けた。
しばらく待っていると秀才の言葉通り婦人が髪を高く結い上げ、
褐色の着物を着て、一人で驢馬の手綱をひいてゆっくりと北へ向かって来た。
県令はすぐさま香をたき、酒を捧げ、道の左でお辞儀をして迎え、
驢馬をつかまえて進ませないようにした。
婦人が、「あなたは何をしようとするのか。」と尋ねた。
県令はすぐに哀願した。「この取るに足らぬ小さな県を、
どうか憐れんで蝗の害からのがれさせて下さい。」と。
婦人が言うには、「腹の立つ柳秀才のおしゃべりめ、私の秘密を漏らしたな。
その身に災いが降りかかるべきだ、穀物を損なわなければよいのだから。」と。
そこで三杯の酒を飲み干し、県令を一瞥するとそれきり姿が見えなくなった。
やがて蝗の群が来て、空を覆い日をさえぎった。
しかし、稲田には下りず、柳の木に集まり、蝗の通った後の柳の葉は残らず無くなってしまった。
そこで初めてあの秀才が柳の神であったことを知った。
ある人が、「これは県令が人民を心配していることに神が心を動かされたのだ。」と言った。
まことにその通りである。