09/07/29 13:59:40 e9221WYo0
「……何を笑っているんだ?」
隣に腰かけている少女に、僕は声をかける。
ようやく、僕の手に帰ってきた少女。
ずっとずっと、傍にいたかった少女。
「だって……彼、最後まで私に気づかなかったもの」
「どういうこと?」
なおも笑う少女に、僕は尋ねる。
「ずっとね、彼だけを見てたの」
「どうして?」
「彼が壊れていくのを見ているのが、楽しかったの」
「……もしかして、君が夢を操っていたのかい?」
「あなたも、気づいてなかったのね」
「どうして……」
「だって、不公平じゃない」
僕には理解ができない。
だって僕らは、最終的には助かったのに。
「世界の果て……私たち、まだ、見てないよね」
「……君は、狂っているの?」
「そうかも。あなたは、狂っている私は嫌い?」
「ううん」
「よかった」
少女は、微笑みを浮かべる。
(……彼らには、過酷な日々を)
確かに、僕はそう思っていた。
でも、こんな終わりを望んでいたわけではなかった。
「私のこと、スキ?」
不気味な笑顔で、少女は尋ねてくる。
「うん。好きだよ」
僕は、少女を抱きしめた。
「僕はずっと、君だけを待っていたから……」