09/09/14 23:39:09 XnqD6c1D0
真琴が同性に性的な興味を抱いていないことは聞かされた。
しかし海蠍女であるいまは、改造人間の実験台としてではあるが、この身体を必要としてくれているのだ。
理恵には、それが誇らしい。
「いいわ。お願い」
にっこりとして、理恵は海蠍女を促した。
海蠍女は手にした幼体を理恵の胸元に近づける。
理恵は微笑みのまま、それを待ち受けていたが―
「……待って」
不意にそう言うと、海蠍女の肩に手をかけて、背伸びしながら唇を重ねた。
海蠍女はそれを避けることも、払いのけることもできた筈だが、しなかった。
理恵は眼を閉じて、しばらく海蠍女の―かつて真琴という名の少女であった相手の唇の感触を味わった。
それから、いったん唇を離して、
「……愛してる、真琴。この気持ちは、絶対に忘れないから」
そう囁くと、再び唇を合わせた。
海蠍女は理恵と唇を重ねたまま、相手の胸に幼体を押し当てた。すると―
幼体の歩脚が、尻尾が、たちまち長く伸びて理恵の身体に巻きついた。
「……かはァッ……!?」
頭を仰け反らせて理恵は喘ぐ。
幼体の胴体もまた巨大化して、理恵の裸身の前面を覆うように、ぴったりと貼りついた。
伸びた脚と尻尾とは、背中と尻に絡みついて融合する。
怪物の鋏脚(前肢の大きな鋏)と鋏角(頭部にある鋏状の角)は理恵の頭をめがけて伸びた。
それは少女の頭を取り巻き、ヘッドギアのような形状で融合した。
「……くゥッ……うゥゥゥゥゥッ……!」
理恵は呻き、背を丸めて両手で頭を抱え、二、三歩、後ずさる。
この時点で理恵は、まだ顔と手足は露出したままであったが、その肌が徐々に蒼白く染まっていった。