10/01/03 18:49:38 GWmeci7L0
『俺と東武とスカイツリー』プロローグ
東武沿線に住んでもう何年になるだろうか。
「伊勢崎線」なんて線名だが、肝心の伊勢崎まで直通出来なくなったのも今は昔…。
今日もしがない日雇い労働。現場まで乗っていくのはやはり東武線。
やって来たのは10030系の6両編成。内装はリニューアルされちゃいるが、チョッ
パの音とフラットのがたつきは相変わらずだ。
ふと車内を見渡して俺はいつもの憂鬱な気分に浸る。
夏場で冷房が動いているにもかかわらず窓は開き、7人掛けのバケットシートに
は5人がふんぞり返っている。携帯のマナーなど何処吹く風。終いには優先席に座
っていたジジイまでもが枯れた話に花を咲かせている。
確かこの編成は修繕工事を受けてから間がないはずだが、既に壁は汚れ、シート
にはゴミが挟まっている。
全く以て馬鹿ばかりだ…。下らない街。
俺をこのゴミ溜めから掬い上げるように、電車は走っていった。
(以下続巻)