09/06/16 18:42:02 Zwiwurn20
【所属】JR東海・西
【形式】300系
【コメント】
こんな夜更けに、闇と風の中で馬を駆っているは誰だろう。
それは父と子だ。父はおびえる子をひしと抱きかかえている。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
子 「お父さんには300系が見えないの。黄ばんだ塗装を身に纏い、アクティブダンパーも付けていない恐ろしい300系がいるよ」
父 「あれは廃屋だ・・・」
300 「かわいい坊や、一緒においで。東京~博多をのぞみで爆走しよう。エチケット袋を用意して待っているよ。」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。300系がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、ホームの誘導鈴がざわめいているだけだよ。」
300 「いい子だ、私と一緒に行こう。私の薄暗い内装がもてなすよ。硬い座席が君を全方向に揺さぶり、空転するのだ。」
子 「お父さん、お父さん!見えないの、あの暗いところに300系のライトが!」
父 「見えるよ。だが、あれは家の光だよ。」
300 「愛しているよ、坊や。お前の美しい姿がたまらない。力づくでも乗せてゆく!」
子 「おとうさん、おとうさん!300系がぼくを乗せる!300系がぼくを車内に…」
父親はぎょっとして、馬を全力で走らせた。あえぐ子供を両腕に抱え、やっとの思いで駅に着いた時には、
腕に抱えられた子はすでに死んでいた。