10/05/15 17:33:42 1KJK3S9w0
二週間前、妹は紹介したい人がいる、そう言って男を連れて来た。
男は真面目そうだった。両親は二人の結婚に喜んで同意した。
しかし一週間前のことだ。妹の婚約者の行方が分からないという。
その翌日、彼は近くの川で遺体となって発見された。
妹の証言から容疑者は絞られていくが、その誰もが確固たるアリバイを持っており、自殺という形で終わりそうだ。
妹は怒り狂い、悲しみ、苦しんでいるようだ。
そして今朝、妹が首を吊って自殺した。遺書があった。
よろしくお願いします。 。
何故、蛾は暗闇が嫌いなのか?
決して彼は悪くない。
こっけいな人で私を愛してくれた。
人殺しとは無縁な人。
でも、あなたはいない。
躊躇はいけない。
しばらく読んだが、いまいち意味が分からない。
涙を流しながらも、通報しようとした。
彼女の机の上を見ると、小説が置いてあった。
作家は東野圭吾。何故こんなところに。心臓が高鳴る。
この遺書の意味はまさか―。
俺はパソコンに向かった。そして俺は気付いた。俺は遺書を隠した。
分かってしまったのだ。
彼女の本当の苦しみを。妹の婚約者の死の謎を。