10/05/17 19:43:29 EwzwcmrA0
「佐藤さーん、すいませーん、お届け物でーす」
さっきとまったく同じトーンで、まったく同じセリフで配達人が呼びかけてくる。
「え、あ、あぁ、あの、ええと、夜も遅いので今日はちょっと・・・」
なんとか断ろうと頭をフル回転させても、いい断りの文句が出てこない。
「佐藤さーん、すいませーん、お届け物でーす」
「佐藤さーん、すいませーん、お届け物でーす佐藤さーんすいませーんお届け物でーす佐藤さーんすいませーんお届け物でーす」
まるで壊れたレコードプレーヤーのように繰り返し呼びかけてくる。
もう確信はしてた。あれは人間じゃない。
しかもそいつは玄関を開けて、すでに家の中にいる
「佐藤さーんすいませーんお届け物でーす佐藤さーんすいませーんお届け物でーすフフッ・・・」
おそらくウチへの届け物だろう袋を玄関の床に置き、靴を脱ぎ、そいつは玄関を上がり部屋に向かってきた。
築20年の傷んだ床をギッ、ギシッ・・・と音を立てながら。
もうダメだ、居間に入ってくる・・・!
「うわー!!!」・・・という声とともに目が冷めた。どうやら夢を見てたらしい。
体じゅう汗だくになっていた。もうぐったり。テレビではガキの使いがやっていた。
その時だった。
「佐藤さーん、すいませーん、お届け物でーす」