10/02/21 04:44:01 GaYfJfI5i
俺が大学の友人Yから聞いた話。
去年の夏、Yは遅まきながらSNSに興味を持った。
ネット上のサービスで、登録した者同士で、メッセージをやり取りしたり、特定の話題について語るコミュニティを作って、交流するというものだ。
Yが登録したのは一人暮らし専用SNSという、その春一人暮らしを始めたYにぴったりのところだった。
近所で一人暮らししてる女の子と出会えるかも、などという下心もあったが、実際始めてみると一人用料理のレシピや洗濯のテクニックなどを紹介するコミュニティが大いに役立って、YはどんどんそのSNSにハマっていった。
Yがミーコと出会ったのは、半分冗談で入った、「一人暮らしで出会ったオカルトな出来事」コミュニティだった。
ミーコというのはSNS内で名乗るニックネームで本名は知らない。住んでいる場所は東北と、関西に住むYとは随分遠いのでまず会うことはないが、ミーコの独特の雰囲気が気にいったYは直接メッセージを送ってみたのだ。
ミーコが変わっているのは、とにかく不思議なものに出会い過ぎるということだ。
幽霊は当然のように、妖怪、精霊、天使、悪魔、はては宇宙人ともコンタクトしたらしい。
コミュニティでは賛否両論で、酷い言われ方をされることもあったが、変にユルいおかしみのある反論の仕方がYには面白かった。
「いるもんはいるんだから仕方ないよぉ。朝に目を開けたら目の前にすごい顔のお婆さんがいるんだぜぇ?キスされるかと思ったよぉ」
万事そんな調子だった。
Y自身は霊感の類いはまったくなく、オカルトは単なる娯楽程度に考えている。当然ミーコの言うことも本気では信じてはいず、面白いネタ程度に考えていた。
Yはミーコに話を合わせたり、たまにはからかったりしながら、毎日だらだら雑談のようなメッセージのやり取りを続けていた。
数ヶ月は経った頃、そのメッセージは深夜に届いた。
「こんなのキタ
辻紗由 さんからのメッセージ
お前ハ私をクルしめるか?
見えないつもりか?
好きカッテ言うつもりか?
お前ハゆるさない
ゆるし許してほしくても許さない
嘘付きには罰お」
コミュニティの中でミーコに反感を持った人だろうか。
Yは、気にせず放っておけ、とメッセージを返しておいた。
(続く)